概要

名称Takedown: Red Sabrehttp://marketplace.xbox.com/ja-jp/Product/Takedown-Red-Sabre/66acd000-77fe-1000-9115-d802584113e7 [外部リンク]
ジャンルシューティング, 戦略 & シミュレーション
対応機種Xbox360
発売元505 Games
開発元Serellan
発売日2014年2月21日
価格1543円(税込)
対象年齢CERO D - 17 才以上対象

参考動画

選評

選評1

Takedown : Red Sabre (通称 赤サブレ)

Takedown : Red Sabreとは近年見られる映画的体験や自動回復など似たようなFPSばかりになった流れを変えるリアル系FPSとして発売された
だが発売されたTakedown : Red Sabreはリアルな部分を見つけるほうが難しいほど現実味のない作品になってしまった

チュートリアルが2つ、ステージが5つあり、
ステージを開始する前にスタート地点を2つの中から選ぶことができ、自分の兵種もここで選択可能
またミッションで連れていく味方(装備や兵種は固定)を全3人のうち何人連れていくか選ぶことができる

チュートリアルではトレーニングルームで銃の扱い方やしゃがんで物陰に隠れること、リーンの使い方などを学ぶ
ゴール手前では各種武器が置かれていて、武器の性能の違いを確認できる
ただ何故か同じチュートリルが二つ存在しており、マネキンの位置、マップの構造、ゴール手前に設置された武器の種類など全て同じになっている
唯一違う点といえば、片方はスタート地点が固定されており(画面では選択できるように見えるがどちらを選んでも同じところからスタートする)、
もう片方はスタート地点をゴールから一番遠い所にするか一番近い所にするか選ぶことができることぐらい。
だがマネキンの位置などはゴールから一番遠い所を基準に作られており、一番近い所から始めるてもあまり変わり映えしない。
そしてスタート地点を変えてもゴールはそのままなのでゴールから一番近い所から始めるともう1つのスタート地点の所まで行き、そこからUターンしてゴールを目指さないといけない。

チュートリアルで基本的な動きを覚えたらステージ攻略だ
まずブリーフィングでミッションクリアの条件やステージ説明を確認するのだが、字が小さくて読みづらい。
そして3分の1の確率でブリーフィング時の映像が大きく乱れて、真っ黒で何も映らなかったり、映像の全てか半分くらいが砂嵐のように赤や黄色の線が動くだけの映像になったりする
ブリーフィングでステージの全体図や目標物の大まかな位置が説明されるのは5つ中3つでその他の2つは自分たちの足で探さないといけない。
また目標物の説明を受けても、ミッション中にマップの確認ができないため、自分がどこにいるか、目標物の所までどうやっていくかは結局ステージを攻略しながら覚えるしかない

次にミッションについて
敵は大変個性豊かで様々なタイプの敵がいる
・難聴タイプ すぐそばで発砲しても反応せず、棒立ちのまま
・無鉄砲タイプ 「銃なんて捨ててかかってこいやー」と銃を下してこちらに突撃する
        突撃する際に銃で攻撃しないのが特徴
(注 このゲームにナイフは存在しません)
・弱虫タイプ こちらを発見すると背を向け「俺は何も見なかった、気のせい気のせい」と言う感じで死ぬまで棒立ち
・発狂タイプ 「ファー、敵だ敵だー」という感じでその場をぐるぐる回る
・優秀タイプ 物陰にうまく隠れて高い命中率を誇る凄腕の兵士
・待ち伏せタイプ こちらのことを待ち伏せする、鉢合わせした場合、高確率で殺される
・逃走タイプ こちらを見つけると逃げる
また逃走タイプの中には逃げた後にこちらのことを忘れて戻ってくる、忘れん坊タイプがいる
・チートタイプ 背中に鉛玉を6発当てても死なない
もしくは後進、横移動が明らかにこちらよりも早く、高速で動きながら撃ってくる

また優秀タイプで味方を2人殺した敵が目の前で急に逃げ出し、何故か背を向けてこちらが攻撃しても反応しなくなるなど敵のタイプ変更もよく見られる

バカな行動をする時も多いがかなり高性能の兵士たちである
・索敵範囲はプレイヤーをはるかに上回っている
プレイヤーが建物の2階にあるガラス張りの廊下を歩いているときに敵は地上から
すぐにプレイヤーを見つけて発砲してくる
敵によっては夜にライトをつけず、700メートル先にいるプレイヤーを撃ってくる強者もいる(スナイパーではありません)
高さ、距離、昼夜問わず、プレイヤーと敵の間に障害物さえなければ確実にこちらを発見して襲い掛かってくる
・射撃能力が高い
銃の命中率が高く、一発でヘッドショットを決めるものもいる
また遠距離でもアサルトライフルでこちらを全滅させることがある
だが基本的に近距離は苦手で3メートルくらいの距離でショットガンを3発も外したり、天井に向けてアサルトライフルを乱射したりする
出会い頭の早撃ちではプレイヤーが反応できないスピードで撃ってくることがある
・足音を立てない
プレイヤーは立った状態で歩くと足音を立ててしまうが敵は全く足音が無い
マップやレーダーがないため敵がこちらを見つけた時の声や銃声、自動扉の開閉音でしか敵の位置を知ることができない。
高確率で鉢合わせする原因の1つ

味方について
ミッションでは味方を3人まで連れていくことができる
味方の命令は「全員ついてこい」と「全員待て」の2つで、
「反対方向から突撃しろ」、「お前は俺についてこい、他はここで待て」「この爆弾を解除しろ」と言った命令は出来ない。
猿でもわかるレベルの命令しか選択できないが味方はそんな簡単な命令すらも守れない。
「全員ついてこい」と言っているのにポールの間を右往左往してついてこない(ポールの間は通れる)、何故か扉で銃を構えたままついてこない、
勝手に先行して敵を連れて戻ってくる、プレイヤーがまだ行っていないエリアに勝手に行って勝手に敵と戦うなど本当に言葉が通じているか疑うレベルの者もいる
また援護射撃は味方の気が向いた時しかやってくれないので気が向かなければ目の前に敵がいても撃たないし味方が殺されても撃たない
プレイヤーが死んでしまうと味方を操作することになるが味方の装備は変更できず、味方のうち2人は遠距離スコープを付けた武器なので中近距離では使い物にならない
さらに味方は何故か目の前でプレイヤーが戦っているのに銃を天井に向けていることがあり、
その状態で味方を操作できるようになると天井に向けてある照準を敵に向ける間にやられる。
プレイヤーが味方を操作できるようになるまで数秒かかるのだがこの間に敵が味方を皆殺しにすることが多い。
あと狭い通路を通っているときに戻ろうとすると味方が邪魔で戻れなくなる


その他にリーン(体を傾けて体の出す面積を極限まで減らして壁の向こう側などを覗き込むこと)が首を45度傾けただけとしか思えないほど見えるようになる視界が狭い。
だがその場で首を傾げただけなのに覗き込んだ時と同じ当たり判定になる。
またリーン中は移動できず、リーンをやって少し移動したいと思ったら
リーン→移動(リーン強制解除)→リーン…と大変手間がかかる
この作業中に何故か構えていた銃を下してしまうことがある
以上の理由からリーンを使ったほうが危険。
しゃがむこともできるが、遮蔽物がない上に敵にすぐ見つかるステージが多いためあまり意味がない。
そして武器変更ができなくなる、武器変更を行うボタンがYボタンからBボタンになる、味方に命令するボタンが2回押さないと反応しなくなるなど操作性も悪い


ステージについて
ステージはBiolab、HQ、Radar Base、Cargo Ship、Facilityの5つなのだが
Biolabを除いたステージは長く広い通路や屋外など敵にすぐに見つかるようなところを通らないと先に進めないように作られている
敵の出現位置はランダムで死にながらどのパターンか覚える必要がある

HQ 
建物のほとんどが透明なガラスで遠くからでも敵から見つかってしまう
ガラスは光を反射しているのでこちらは敵を発見し辛く、割ろうと思っても銃で4発食らわせないといけない。
2発からガラスにひびが入り、さらに敵を確認し辛くなるが敵はガラスがあろうがなかろうが正確にこちらを狙ってくる
広い廊下や広い部屋ばかりで遮蔽物があまりない
目標物のうち2つは敵が密集している建物の中にあるため2〜3人の敵と撃ち合いになる

Radar Base
屋外での戦闘なので複数の敵が色々な方向から撃ってくる。
プレイヤーが目視で確認するのが厳しい距離から撃ってくる

Cargo Ship
人質を助けるミッションで人質も敵と同様に出現位置がランダム
人質の前には敵がいるのだが殺しても殺されてもフリーズすることがある
人質は助ける前と後では見た目や動きにまったく変化がない
よく味方が人質を殺す
人質の近くにいる敵に見つかって数秒すると敵は人質を殺す、だがこちらが人質を助ければ敵は目の前に人質がいても殺さない
何故かステージの全ての扉が開かれた状態で固定されている

Facility
スタート地点が固定されている
ミッションクリアのためには何階にも続く円状のエリアを上ったり、下りたりしなくてはならない。
このエリアはRadar Baseと同じように敵に色々な方向から攻撃されたり、遠くから攻撃される

以上の4つは敵の索敵範囲の広さ、遠距離からの射撃能力の高さが遺憾なく発揮され、鬼難易度になっている

通路は狭く、敵もあまり密集してないため赤サブレの中では一番簡単なBiolabでも、
敵の出現位置や目標物の位置を覚えるのに20回ほど死に、どう進めば最短でミッションクリアできるか知るためのマップ探索で10回ほど死んで、
大方のマップと目標物や敵の位置を覚えた状態にならないとクリアできない
さらにいくら撃っても死なない敵や自動扉が開閉音はするのに開かなくなるバグ、
武器変更時のバグなどが起きず、敵AIが賢くない、味方が言うことを聞いてくれるなどいくつかの条件がそろわないとクリアできないのでクリアには運の要素が大きい

公式は隠密行動とチーム連携が重要と言っているが味方への命令が少なすぎる上に命令通りに動かないためチーム連携は絶望的。
さらに隠密行動は絶対に敵に見つかる場所が多いため不可能。
なので攻略に必要なのは隠密行動とチーム連携ではなくいかに敵よりも早く撃てるかという「早撃ち」。
それとバグが起きない、弾が当たらないなどの「強運」の2つである

一応、武器の中には隠密行動の際によく使われるサイレンサーがあるが銃声が少ししか軽減されない。
そもそも敵に「見られて」発見されるから大変なので、銃声が全くしなくても使い物にならない 。あと何故か手榴弾の爆発音がなくなる。

そしてリアル系FPSを謳っているが所々でリアルとは思えない動きなどが目立つ
・銃で殺されるとほとんどがブリッジみたいな状態の死体になる
・味方が奇妙なカニ走りになることがある
・武器を両手で構えながら扉を開ける
・目標物と透明なガラス以外は銃で撃っても傷が自動回復する
・敵も味方もスーパーアーマー持ちで足や手を撃たれても動作が遅くならない
・銃で撃たれた時には微量の血しぶきが出るのに死体は血が一滴も見当たらない
・遠距離で撃たれたら2〜3発で死ぬのに近距離で5発食らっても死なない時がある
自動回復はリアルじゃないがスーパーアーマーはリアルだとでもいうのだろうか…

まとめ
たった4人でマップも持たずにミッションに行き、味方に「ついてこい」「待て」しか命令できず、
遮蔽物のない広いエリアで十数人いる敵を早撃ちだけで倒しながら目標物の破壊等を行う。
バグやAIを抜きにしてもとてもリアルだとは思えない作りになっている
唯一リアルだと思ったのは運が無いやつはどんなに頑張っても戦場で生き残れないという点だ

選評2

TAKEDOWN is a thinking-person’s shooter.
(TAKEDOWN: RED SABRE(以下赤サブレ)は考える人のシューターである)
これは赤サブレのHPの紹介文の冒頭の一節である。
そして、続いて概ね以下の内容で昨今のシューター事情を嘆いている。
かつては数多くの種類のシューターが存在していた。
だが近年、回復する体力、一直線のマップ、映画的な演出、
こういう要素があるゲームばかりになりシューターはワンパターン化している。
そして、リアルでタクティカルなシューターはほとんど姿を消してしまった、と。

なるほど、そこで赤サブレの登場である。
公式のジャンル名が「タクティカルミリタリーFPS」としていることからも
それは明らかであろう。


前置きはここまでにして、肝心の赤サブレのゲーム内容について説明する。
このゲームのプレイヤーは民間軍事会社「レッドサーベル」の隊員となり、
テロリストに占拠されたバイオ研究所や貨物船に潜入し、
爆弾の解除や人実の救出、敵の殲滅といった任務を目的とするものだ。
ゲームモードは、ミッション、爆弾解除、敵殲滅の3つである。
マップは勿論一本道で前に進んでいくタイプの作りでなく、マップの中を好きに進むことが可能だ。
武器はメイン1つに拳銃1つ、後はグレネード等を2種類持ち込める。
大した意味はないが、メイン武器は弾の種類や照準等セッティングが可能だ。
味方はミッションモードというモードのみ3人まで連れて行くことができる。
ちなみに本作はシングルでもマルチでも遊べるが、
以下は概ねシングルプレイの記述であるとしてご覧頂きたい。


さて、クソ要素の紹介の前にこのゲームについてもう少し説明が必要なことがある。
それは、このゲームのキャラは味方も含め、
昨今のシューターと比べると極めて貧弱であることだ。
アーマーの種類で撃たれ強さが決まるのだが、
最も硬いアーマーですら耐えられるのはせいぜい2〜3発と言ったところだろう。
ヘッドショットを食らうためと思われるが、一撃で死ぬことも時々ある。
また、上述してるように体力が回復することを良しとしていないため
体力の自動回復はない。当然回復アイテムなどあるわけもない。

貧弱さだけで言えば、昨今のFPSのキャンペーンの最高難易度とほぼ同等位であろうか。
ただし回復ができないため、その分体力面ではかなり厳しいと言える。
また、難易度調整もできないので、常にこの貧弱さでプレイする必要がある。
しかしながら、この点だけであればクソ要素にはならないと筆者は考える。
突撃してクリアできるようであれば、そもそもタクティカルに立ち回る必要はないからだ。
貧弱さはタクティカルに立ち回らせるための設定とも言えるだろうし、
貧弱であれば貧弱なりの対応方法があれば問題ない、むしろそれは面白さに繋がるだろうと思う。

上述の通り、このプレイヤーが貧弱で回復も出来ない仕様からすると、
このゲームでは通常のFPSのような正面きっての撃ち合いは極めてリスキーだ。
後述もするが敵は1体1体の脅威度が非常に高く、撃ち合いになれば1人の敵がこちらの戦力の半分、
つまり2人を1度の戦闘で殺すことなどザラである。
しかも最も簡単であるミッションモードをクリアするにも、
この敵を概ね15体程度始末する必要がある。
撃ち合うということがどれだけリスキーかは、これでご理解頂けただろうか。

そして、その正面からの撃ち合いを極力避けるために
行動の要点としては以下の3点のプロセスが重要になると言えよう。

・敵に見つからないような隠密行動
・その逆に敵を先に見つける索敵
・そこから先制攻撃を仕掛け反撃を許さない敵の制圧

このゲームで死にたくなければ、
このプロセスを繰り返していくことに尽きると言って過言ではない。
そのため、本作のゲーム性としては撃ち合うことに主眼が置かれているのではなく、
攻略ルートの構築であったり、密かに敵の背後を取ったりと言った、
引き金を引く前の戦略に重きが置かれていると言える。


この目指したタクティカルなシューターという方向性自体は悪くない。
問題はここからだ。
結論から先に言うとその目指した方向性が数々のクソ要素のため、
古臭く理不尽なシューターにしかならなかったからである。
筆者がそう考える理由は主に5つあり、
同時にそれがこのゲームの主要なクソ要素でもある。


ではいよいよ本題に入ろう、まず1つ目は敵の性能だ。
このゲームの敵は察知能力と狙撃能力が非常に高い。
どの位高いかと言うと、こちらがスコープで狙撃する位の距離から普通に察知し、
しかも鮮やかにヘッドショットを決めてくることがある程である。
背後から長距離狙撃を試み失敗した時は、索敵行動すらなく振り返り一撃で殺されたこともある。
これはあまりの華麗さに開いた口がふさがらなかった。

だが本当に脅威なのはむしろその察知能力の方であろう。
敵は遠距離から察知してくるだけに留まらず、
距離が近いと壁やドア越しにこちらを察知することもある。
この恐るべき察知能力は攻略においては厄介なことこの上ない。
上述した様にこのゲームは隠密行動からのプロセスを重視する必要があるのだが、
察知されるとこのプロセスがいきなり破綻し、リスキーな撃ち合いが発生してしまうからだ。
というより実際にプレイすると撃ち合いになることが非常に多い。

尚、後述する索敵モードの敵は近距離だと命中率が下がる傾向がある。
これはある意味弱点とも言えるが近距離戦に持ち込めば楽かというとそうでもない。
そもそも撃ち合うこと自体がリスキーなので、
長距離だろうが近距離だろうが原則的に撃たせてはいけないのである。
また仮に楽だとしても、後述するマップがそれを簡単には許してくれないだろう。


続いて2つ目は敵の行動パターンだ。
このゲームの敵は恐らく2種類のモード(状態)がある。
モードはいくつかの要因が引き金となり、切り替わることがあるようだ。
そして配置は概ね4〜5位のパターンから選択されているように思われる。
筆者が名付けたモードの種類と把握している行動様式をまとめると下記の通りだ。

・索敵モード
フラフラと移動しているモードである。
決まった順路を巡回してるのではなくある程度の範囲で自由に動いてると思われる。
プレイヤーを視認した場合、基本的にはその場で攻撃するが、
一旦距離を取って後述する待ち伏せモードに移行する時もある。
それ以外だとプレイヤーを殺したりするとモードが移行することがあるようだ。
初期状態の敵の70%位はこのモードである。

・待ち伏せモード
名前通り待ち伏せている状態。
待ち伏せする場所はある程度決まっているようで、
大抵はこちらが侵入してくる方角か、こちらが移動していく方を向いてガン待ちしている。
こちらからの死角になりやすい場所にいることもよくある。
このモードの時は付近で戦闘が生じてもガン待ちする。
そして、プレイヤーを視認すると即発砲し索敵モードに移行するようだ。
他にもモードが変わる引き金はあるようだが、詳細は分かっていない。
特長として射撃精度は索敵モード時より高いと思われるが、察知能力は低下してる気がする。
初期状態では敵の30%程度がこのモードのようだ。

どちらのモードも脅威であるが、特に脅威となるのは前者の索敵モードの敵である。
どこにいるのか、またどこから来るのかが予測が難しい。
こちらが分かるのはその付近にいる可能性がある敵の数位だ。
しかもこれは、何度も死んだ上での経験則でしかない。
このように動きの予測がつかないため、
この索敵モードの敵は基本的にアドリブでの対応を強いられることが多い。
そのため、このゲームはいわゆる死に覚えでパターンを構築していくのが困難だ。
余談ではあるが、敵は足音がしないので来る時は音もなく目の前に現れるため、大変心臓に悪い。

また、待ち伏せモードの敵は場所を覚えられるだけマシだが、場所は大抵嫌らしい。
ドアを開けた先、死角となる暗がりで彼らは引き金に指をかけて待っている。
場所が分かっていれば迂回すればいいように思えるが、
その場合は必然的に、より脅威度の高い索敵モードの敵と接触する危険性が増す。
その危険を冒す位なら、配置が固定の敵を排除しつつ最短距離を取った方が恐らくは安全だ。
また、脅威度は比較的低いとは言え射撃精度は高いと推測され、
この状態の敵の前に不用意に出ることほぼ確実に死を意味する。

尚、能力の高い彼らであるが、戦闘時の挙動は独特で正直理解に苦しむ動きをする。
発砲してた奴が後向いていきなり逃げ出したかと思うと
突然逃げた敵がUターンして突撃してきたりと、予測できないのだ。
また、撃ち合ってる時に移動する場合、
銃口をこちらに向けて対峙したまま移動するのではなく、
2Dのレトロゲーのキャラのように体と銃口を進行方向を向けてよく移動する。
しかも移動の仕方も棒立ちの小走りなので、これは大変奇異な行動に見える。
そして性能自体は高いにも関わらず妙ちくりんな動きをしてくるため、
動きだけで割とイライラさせてくれるのだ。


3つ目はマップである。
チュートリアル用を除いてこのゲームには5つのマップが存在する。
そのうちまともに遊べそうなのは開けた地形の少ないバイオ研究所のみであろう。
他のマップはいずれも開けた場所が多く、
敵の察知能力と狙撃能力の高さが助長されてボロクズのように殺される。
そもそもこのゲームはHPの紹介文を見ると近距離戦をさせたいようなのだが、
そのゲームの設計とマップの作りが正直噛みあっていない。
バイオ研究所以外は近距離戦どころかその前に狙撃戦を強いられる場所が多いからだ。
ちなみに各マップの構造はともかく、雰囲気自体は割と良い。
しかしそれに気付けるのもうんざりする程のリトライを乗り越え
マップの作りを覚えてからとなるだろう。


4つ目としてはプレイヤーキャラの対応の乏しさだ。
個人的にはここが最大のクソ要素と思っている。
プレイヤーキャラにはしゃがみとリーン(物陰から体を傾けての覗きこみ)というアクションがある。
まずしゃがみについてだか、しゃがむと多少気付かれにくくなる気はするが、
そもそも敵の察知能力が異様に高いため、しゃがんだところで結局察知されやすい。
余談ではあるが、このゲームではしゃがんでもおよそ10cm程度しか視点が下がらない。謎。
続いて、リーンは敵に気付かれる上当たり判定が大きい等、索敵にも安全な攻撃にも使えない。
しゃがみはともかくこちらは機能として完全に死んでいると言えよう。

また、プレイヤーの装備はアーマーにメイン武器と拳銃、それにグレネード2種類のみである。
GPSや煙幕、ナイトビジョンと言ったガジェットはない。
特殊部隊ゆえ地形は頭に叩きこんであるためか、
建物の見取り図すらない。(結果としてプレイヤーは死にながらの現地調査を強いられる)

ここから言いうることとしては、
プレイヤーキャラは敵に対して優位性を構築できる能力や道具はないということだ。


最後の5つ目はチームプレイをできない味方だ。
味方に指示できるのは「ついてこい」と「待て」だけである。
チームを二つに分けて同時突入等の高等なことはできない。何のためのチームなのか。
また、さほど強くもないので割と簡単にやられたりする。
死ぬ以外でキャラの切り替えもできないため、武器を分担することすらできない。
共闘感などは夢のまた夢である。

ただ、攻略する上では不要かというとそんなことはない。
自キャラが死ぬと味方と交代になるので残ライフとしては重要であるし、
敵と同様察知能力は高く、敵を発見するとその旨を教えてくれる。
つまり簡易レーダーとしては有用と言えるのだ。
これは索敵モードの敵に対して多少の保険にはなるので有難い。
しかしながら簡易レーダーとして用いる場合、
自分に随行させることになるので一瞬で全滅する可能性もある。
尚、味方を連れていけるのはミッションモードのみであり、
なぜかこの味方すら連れていけない敵殲滅モード等の厳しさは数倍に跳ね上がると言える。


上記の5つのクソ要素が重なり、
このゲームは隠密行動からの敵制圧が重要なはずなのだが、
敵の察知能力の高さをクソマップが助長することで隠密行動が破綻しやすく、
本来避けるべきリスキーな撃ち合いを度々強制されてしまうことになる。
撃ち合いになれば個の射撃精度が高く数に優れる敵が圧倒的に有利だ。
敵にはランダムに移動してるタイプもいるので攻略はパターン化で対応できる部分も多くはない。

またプレイヤーには隠密行動からのプロセスを有利にするような力も道具もない。
さらに味方もさほど頼りにはならないため、チームプレイも絶望的だ。
能力も道具もなく味方との連携も取れないため、
プレイヤーが敵に対して取り得る手段の幅は極めて狭く、古典的とすら言える。
この古臭さは2013年に発売したシューターとはとても思えない程だ。


ここから導き出されるこのゲームの攻略スタイルとしては、
隠密行動が露見するより早く敵を見つけられるかどうか、そして先手を取れるかどうか、後は運である。
いつ現れるか分からない敵に怯えつつ、視界の端に動くモノと固定配置の敵を早撃ち。
発見され交戦状態になろうものなら、一撃死の恐怖に怯えつつの早撃ちである。
考える必要など何一つない、マップと固定配置を覚えているかどうかと後は早撃ちに尽きる。

分かりにくいかもしれないので一つ具体例を出すと、
例えばある部屋にクリアに必要な解除を要する爆弾が配置されているとする。
部屋に到着し、覗きこむなり道具を使うなりして爆弾や敵等の状況を把握、
そして道具なり能力なり味方との連携なり、
いくつか取れる選択肢の中から最適解を考え、被弾なくクレバーに敵を始末して爆弾を処理。
少なくとも2013年の水準なら、本来はこういうことができるのがタクティカルではないかと思う。

だがこのゲームの場合、部屋に到着したその時点で爆弾があることとそのマップの作り、
待ち伏せモードの敵の人数と数パターンある配置が頭に入ってないとそもそもお話にならない。
敵を倒す選択肢もたまにグレネードを使う程度で、
基本的に敵の配置に合わせて早撃ちする場所が変わるだけである。
それも多少の被弾の覚悟が必要な場合が結構あるのだ。
しかも、この間にも視界の端に索敵モードの敵が写れば即早撃ちでの始末が必要であるし、
視界に写ればむしろ幸いな方で、後ろで待っている味方が殺されてたりするのは日常茶飯事である。

一体これのどこがタクティカルなのだろうか?
タクティカル要素は完全に崩壊してしまったといえよう。


そして本来タクティカル要素と均衡することでゲーム性を構築するはずの貧弱さが、
このゲームの場合敵の脅威に直接晒されるため、本作ではただの理不尽発生装置となるのである。
このように、タクティカルなシューターを目指したにも関わらず、
何故かタクティカル要素を崩壊させ、シビアさのみが残ったこのゲーム、
筆者が思うにその本質としては、これは決してタクティカルなシューターなどではない。
これは、ただただ古臭くて理不尽なシューターである。


ちなみにこの5つのクソ要素についてだが、これらは他のいくつかがなければ、
それ単体としては面白さに繋がるものもあると思う。
しかし少なくとも難易度固定のシングルプレイで、
ただでさえ貧弱な体力設定の上にこれを全部盛るのはさすがにアウトであろう。
脆弱な地盤の上に高層ビルを建てるようなものである。
個人的な推測として、これはCOOPを前提としたバランスをそのまま持ってきてる様に思える。
COOPにしたってこのゲームはかなりシビアな部類に入るだろうが。


結果として発生する難しさについてもう少し触れさせて頂く。
筆者はマップや敵の配置をある程度把握し、
その上でミッションモードのバイオ研究所のマップを1度クリアした。
この状態をある程度は攻略の手法が構築できていると仮定して、
実際ここからどの位の確率でクリアできるのか、という点を検証してみた。
検証の趣旨としては、すでにクリアはしてるので、ゲームにはある程度慣れており、
初見殺しとイージーミスは概ね排除できる状態での純粋な難易度の検証だ。
尚、筆者のゲームの腕前は並程度と考えて頂いて差し支えはないと思う。

検証のデータとしては少なくて申し訳ないが、試行回数としては50回である。
結果としてはクリアは6回、確率としては12%だ。
死亡原因としては、索敵モードの敵の不意打ちが5割、早撃ち対決の敗北3割、
把握できてなかった待ち伏せ等、その他の理由が残り2割と言ったところだろうか。

感想としては、クリアするためにはある程度の戦術を構築するのはやはり必要だ。
だが、その上で結構な運が絡まないとクリアは相当厳しいと感じる。
特に索敵モードの敵の不意の登場からの攻撃には対応に大変苦慮した。
12%という数字の捉え方にもよるだろうが、所感としてはかなり難しいと言わざるを得ない。
そしてその難しさ以上に理不尽さをより濃く感じるものである。

また、これは最もマシなマップとされるバイオ研究所の話で、
こいつは残った4マップ、いわば四天王と比べると明らかに格が下だ。
さらにこの他に味方を連れていけない、よりハードなモードが2つもある。
ミッションモードのバイオ研究所は難易度的に言うと、
通常のゲームのチュートリアル後のステージ1と言ってよい。
だがこの時点で、難しいゲームを許容できる人でどうにか遊べるレベルではないだろうか。
それも、タクティカルな要素を求めていたらもちろんアウトという条件付だ。


そして個人的な所感として、ミッションモード以外の爆弾解除モードと敵殲滅モードは全ステージ、
少なくとも筆者にはクリアは無理ではないかと思う。
というのも、先ほどの検証を含め筆者はバイオ研究所を計100回以上プレイしてるが、
ノーミスでクリアできたことは1度たりとてない。
これが何を意味するかというと、
仮にその100回以上のプレイが爆弾解除モードや敵殲滅モードであっても、
残ライフとなる味方を連れていけない=ワンミスでゲームオーバーであるため、
1度もクリアできていないということとほぼ同義であるからだ。

また、味方を連れていけないことは、残ライフが無いことに加え、
簡易レーダーとしても使えないため、常に敵の奇襲に怯えなければならないことも意味する。
この2つのモードはクリア後のおまけ等ではなく標準で用意されてるものであるが、
少なくとも筆者には、3つのモードの内2つは実質的にプレイに堪えれるものでない。
実際このゲームがどれだけ販売されたかは知らないが、
理不尽さに苛まれながら全滅を繰り返して尚、
この2つのモードを楽しいと思って遊べるような強者はどれだけいるのだろうかと思う。
無論、筆者はその強さを持たない心折れた弱き者の1人である。


ここまでがゲーム内容の主要なクソ要素であるが、
公式でもリアルと謳い購入者からの質問に度々「リアルでハードコアな故意の仕様」、
という表現を用いたこのゲームのリアルさについてもやはり言及したい。
安価ゲーであるので大層なリアルさを求めるのは酷であろう。
2013年発売にしてキャラの影がないのも個人的には許容範囲である。
だが、ドア越しや壁越しで敵を察知するのはリアルだろうか
近くへの着弾のみで、瞬時に敵へカウンター狙撃できるのはリアルだろうか、
すぐ近くで味方が交戦してるのにガン待ちするのはリアルだろうか。

少なくとも一般的なFPSのシングルプレイにおいては、
主に移動と射撃といった極めてシンプルな動作のみで彼我が対峙する以上、
敵の動きはアクションゲーム以上に敵を演出する重要な要素であり、
ゲームの性質や面白さを決める生命線でもあるはずだ。
その最重要とも言える点がリアルでないのなら、
リアルを名乗るのはいかがなものであろうか。
シューターでリアルと言うのであれば、最低限敵の挙動はリアルであるべきではないだろうか。
リアルであることを製品の売りにするなら、そこは押さえるべきポイントであろうと思う。


以上をまとめると、
リアルでタクティカルなシューターを目指した本作であるが、
様々なクソ要素を搭載した結果、タクティカル要素が崩壊、
リアルさについても敵の挙動はリアルというよりはむしろシュールであり、
シビアさだけがリアルでハードコアなシューターになってしまった。
繰り返すが、彼らの言うリアルでタクティカルなシューターとは一体何なのであろう。
どう考えたらコレを“thinking-person’s shooter”などと呼べるのであろうか。
言葉と実体があまりに乖離してるため、お前は何を言ってるんだと言いたい。
そしてこうつけ加えてやりたい。
最近のシューターは確かにリアルさは薄れ、ワンパターンで、
そしてタクティカルな要素もないだろう、
だが、それでもお前のとこのクソゲーよりかは遥かに面白いと。


最後に言動が一致してないこととして、
公式のFAQに「どんなキャラが使えるのか?」という質問に対し、
「様々な国籍や背景の隊員が使える」と回答しているのだが(ひょっとしたら筆者の誤訳かもしれない)
実際は襟に貼れる国旗のパッチが変えられるだけ、
ということも記載してこの選評の結びとしたい。

以上