2018年 総評
2018年 次点

ご案内

このページは、2018年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。

総評案1 (RPGツクールMV Trinity)

初版
https://docs.google.com/document/d/14R9xuK3H6SAW4Zu3LgHnzIWb17x-yuDr_jecjdPwBuE/edit?usp=drivesdk

改訂版
https://docs.google.com/document/d/1uAmZWkz3JlH4bRd_e0SAAaT-JH9M1jkolVgckoegNxA/edit?usp=drivesdk

時代を駆け抜けた平成クソゲー達。
今その力が未来へと受け継がれる…。
祝え!新たなる王の誕生を!

KOTY2017は、クソゲー五険帝による激しい戦いの末、『RXN-雷神-』が制した。
同時に、『SHOOT THE BALL(通称:球)』が
とことん虚無を極め、
「クソゲー失格」
にも等しい烙印を押された。
「クソゲーとは何か」。
人々は改めて考えさせられることとなった。
そして時代は、
「平成最後のKOTY」へと進んでいく…。

KOTY2018は4月下旬に幕を開けた。
競馬シーズンも春の天皇賞を間近に控えた頃、先頭で入場してきたのは1枠1番、
『Horse Racing 2016(通称:馬)』。
タイトルにあるように、2016年にsteamで発売されたゲームの、PS4への移植作である。
プレイヤーがジョッキーとして馬を駆り、競馬界の王者を目指すレースゲームになっている。
しかし、その夢の代償として、ゲームの出来が残念なものになっている。

ゲームの初回起動時に、メインメニュー等で文字が表示されないバグが発生。言語を切り替えるオプションを手探りで見つけるか、PS4本体側で本作対応の言語に変更することで解消されるが、いきなり面倒臭い手間がかかる。
ちなみに、本作は日本語には対応していない。

主な操作は、
・×ボタン「連打」で前進(アクセル)
・R1ボタンで鞭を打ち、一定時間加速
・左スティックで進行方向を操作(ハンドル)
・L1ボタンでハードルを越える(ジャンプ)
・スタート直前、矢印をバーの中央近くで止めると、スタートダッシュ成功

また、ゲージやアイコンは、
・体力ゲージ:前進で消費(スタミナ)
・青ゲージ:鞭で消費、0でリタイア(ライフ)
・顔アイコン:鞭で徐々に赤く変化、赤に近い程速くなる代わりに体力ゲージが激減
となっている。
鞭で叩き過ぎてリタイアか…。

必勝法は、以下の3つのパターンを守るだけ。
1.スタートダッシュは他の馬より速く
2.序盤は、馬の顔アイコンを赤にならない程度に橙に保つ
3.レース中盤に差し掛かった辺りで、青ゲージが切れない程度に馬の顔アイコンを赤に保つ

これで楽勝だが、反面これをしないとなかなか勝てないため、勝つために作業ゲー化し、単調にならざるを得ないのが事実である。
しかし、本作は「1位でなくても先に進める上、最後まで進めることもできる」ので、
勝ちにこだわらなければ無理する必要はない。
それはそれで問題な気もするが。

単調な作業を強いてくる原因は、他にもある。
全55コースのステージが、ほぼ全て同じ形をしているため、コースごとに戦い方を変える余地がほとんどない。
勝つために単調な作業をするか、
さっさと進めるためにわざと負けるか、
のどちらかである。
しかもこのゲーム、1ステージ1分のペースで進められるため、何と1時間程度でクリアできてしまう。値段が999円でも割高に感じる。

特に苦痛なのが、×ボタンの「連打」。馬を前進させるため、指と×ボタンには過酷な負荷を強いてくる。1時間とは言え、それだけ連打をさせられたら、某課長でなくても「指痛い!」と叫びたくなる。
連射パッドなしでプレイできるのは、北斗神拳の使い手か高橋名人くらいだろう。

ボリュームの薄さと単調さと指の痛みを兼ね備えた、「連射プレイヤー育成ゲーム」ぶり。
KOTYに襲来する魔物達を、馬は出走前のゲートで待ち構えていた。

6月。馬に続いてKOTYの大地に立ったのは、
『NEW ガンダムブレイカー(通称:NGB)』。
クソゲー界の大御所、バンダイナムコエンターテインメントにより起動。バンダイが誇るガンダムシリーズが秘密裏に完成させた本機の正体は、白い悪魔そのものだった…。

ガンダムのプラモデル、「ガンプラ」による「創快共闘アクション」と銘打ったゲーム、
「ガンダムブレイカー」シリーズ。
「自分だけのガンプラを作り、思い通りにカスタマイズし、思うがままに戦い合う」
ことが醍醐味である。
その最新作となる本作は、新機能や新システムを搭載し、「新時代のガンダムゲーム」となるはずだった。それが何故、
「ガンブレブレイカー」となったのか?

問題点の一つ、新機能「インナーフレーム」。
フレームのレベルアップによって、攻撃力や防御力等の基本性能が強化されたり、必殺技に当たる「EXアクション」が解禁される。
しかし、フレームレベルは、ステージ開始時は必ず「1」になり、次に引き継ぎ出来ない。
ここが最大の問題である。
フレームレベル1では、敵に全く歯が立たず返り討ちにされてしまう。このため、
「いかに早くコンテナを破壊し、自機のフレームレベルを上げるか」に終始させられるのだ。
ステージ開始と同時に、クエストそっちのけでコンテナ目掛けて突撃。
しかし、ステージの広さに対して移動が遅い。
味方は精密射撃で確実にコンテナを狙い撃ち、横取りしてくる。射撃武器は、弾速もリロードも遅く使い辛いのに。
制限時間10分の内、開幕の約2分間は、移動の遅さと横取りしてくる味方にイライラしながら、白熱のコンテナ争奪戦を繰り広げることになるだろう。

そして、本作最大の目玉となる新システム。
それが、「RTC(リアルタイムカスタマイズ)」
である。RTCの主な特徴は、
・戦闘中に、好きなタイミングでパーツを付け換えられる
・戦闘中は、最大5個までパーツをストックして付け換えができる
・場に落ちているパーツは、拾ってすぐ付け換えられる
と言うものである。
戦場に落ちている武器を拾って敵と戦ったり、拾ったパーツで破損した箇所を補修する等、
劇中のシーンをイメージして採用されたのだろうか。しかし、それこそがこのゲームを白い悪魔に変えた、大きな要因だったのだ。

とにかく、パーツが気前よく外れていく。
・ダメージを受けると、パーツがすぐ外れる
・一度外れたパーツを拾って付け直しても、
一発食らうとまた外れる
・換装中は無防備で、被弾してパーツが外れる
・外れているパーツと同じ箇所のパーツを、
勝手に拾って装着する
と言う有様だ。
パーツを付けては外れ、付け直してもまた外れ、不要なパーツを勝手に拾って付け換えて、の繰り返し。ちっともパーツが機能せんし、
思うように戦えない。
後半に進むに連れ自機が強化されると、落ちているパーツの方が性能が低いため、うっかり拾って弱体化なんてことも。
中には、弱体化を恐れて自爆に走る、思春期を奪われた少年も存在した。

乱戦では、拾っても拾っても追い付かない。
気付いた時には見る影も無い、キメラ化したガンプラに変貌していた。
「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
俺はガンダムで出撃したはずが、帰ってきた時にはジムの顔をしたザクに乗っていた…」
と言う、ポルナレフ状態に陥る哀戦士が続出。
気合いを入れて作ったガンプラを、全くの別物にされる苦痛は、ガンプラ好きでなくても筆舌に尽くし難いだろう。
これこそ、「RTC(Real Time Chimerism)」。

さすがに公式も、この事態を見過ごすことはできず、RTCにアプデを施した。
第三勢力からの攻撃では、パーツが外れなくなったことで、キメラ化現象は格段に減少し、以前よりは確かに遊べるようになった。
だが、お気付きだろうか。
「RTCにアプデが施された」と言う事実が、
何を意味しているのかを。

本作は、かつて「核バズーカ無限発射バグ 」が存在し、一時期は核が飛び合う世紀末になっていたが、早期に修正されている。アプデにより改善されたのだ。
このように、現代はアプデにより、バグや仕様の不具合を治すことが出来るのだ。そのせいで、KOTYの選外となったものも存在する。
しかし、「本作の目玉かつメインシステム」
であるRTCにアプデを施したと言うことは、
「本作のコンセプトを自ら否定した」
と宣言したに等しい。そう、
「本作は失敗作」と公式が認めた証拠である。

RTCに匹敵する、もう一つの大問題がある。
パーツの収集だ。戦闘中に拾ったパーツは、
「キューブ」と言う回収ボックスに収納することで保管され、ステージクリアで獲得となる。
しかし、一度に自機がストックできるパーツは、「最大5個まで」。何度も何度も、
キューブへ向かって走らなければならない。
そのキューブは、味方チームで共有しており、
味方の誰かがパーツを収納した途端、
マップ内の出現ポイントのどこかに、
ランダムでワープしてしまうのだ。
味方のせいでたらい回しに翻弄され、
苦労してたどり着いても、収納中は無防備。
攻撃を受けて、思うように収納出来ない。

それもこれも、ショップのパーツが高く、戦闘で拾うゴミパーツ100個で、やっとショップのパーツ1個が交換できるレベルだからだ。1個のパーツのために、最低20回は戦場とキューブとのシャトルランをさせられるのである。
その姿は、ゴミ拾いと称されるも、サッカーのサポーターと違い、誰も誉めてはくれない。
NGB、教えてくれ…。
俺たちはあと何個拾えばいい?
俺はあと何回、あのパーツとあのゴミを拾い続ければいいんだ…。
RTCは俺に何も言ってはくれない…。
教えてくれ…NGB!

ゴミ拾いは、システム周りを修正しても、パーツの値段や交換比率が変わらない以上、解決しない。そして、何も変わらなかったからこそ、
「RTC(Real Trash Collection)」
と言う名のゴミ拾いは、これからも続くのだ。
「俺達は、そのしわ寄せでこんなゴミ拾い生活を、強いられているんだ!」(集中線)。

武器の仕様にも問題が浮かび上がっている。
ミサイルやバズーカ等の攻撃を受けると、そのまま打ち上げ花火のように打ち上げられる、
通称「ワッショイ」現象である。
一度打ち上げられたら最後。
死ぬまで、「ワッショイ!ワッショイ!」
と神輿に担がれ、最後は汚ねぇ花火となって、宇宙に散るしかないのだ。
見た目はお祭り気分で楽しそうだが、食らった方は血祭りにされて、最悪の気分だ。

開幕コンテナ争奪戦。
ザ・失敗作RTC。
強いられているゴミ拾いシャトルラン。
まつりだワッショイ打ち上げ花火。
クソレスタル・ブーイングによる、
4機の凶悪仕様を投入した武力介入により、
全てのユーザーは一つになっていった。
「NGB許すまじ!」と。

他にも、
・ステージの種類がかなり少ない
・味方が知らない内にメインクエストをクリアし、完全放置でも勝手に快勝している
・EXアクションに設定していないため、ハリボテになっている武装パーツ
と、他にも様々な問題はあるが、もう一つの大問題に比べれば、物の数ではない。

それが、「ファンゲーの要素」である。
40年続く老舗コンテンツ、ガンダムには熱狂的なファンが存在し、劇中に登場するキャラ、 名言や名シーンに心動かされたファンも多い。
当然、ファンの目も厳しく、ファンゲーとして要求されるレベルも高くなる。
しかし、本作のシナリオは、歴代ガンダムシリーズの名言や用語を、考えもなしに入れたせいで、メチャクチャになっている。
「本当にガンダム見たことあるのか?」と言いたくなる程に。しかも、本作の内容とも合わないセリフもあり、もう何が何だか。

シナリオ冒頭、いきなりおかしな所がある。
ヒロインが、「ニュータイプは人類の革新」と言う様なセリフを喋り、更に「ピキーン!」と何かを直感するシーンがある。ヒロインは、
「ガンダムX」を元ネタにした様だが、同作ではむしろ、「ニュータイプは特別視しない」
様な描写のため、意味が合わないのだ。
これが、「初代(ファースト)ガンダム」等の場合だと、同様の描写と同様の直感的なシーンがあるため、何もおかしくない。
と言うか、そっちが元ネタだろ?

「ファンネルみたいにちゃんと付いてきて」
と言うセリフがあるにも関わらず、自機の動きに付いて来ない本作の「ファンネル」。ゲームの仕様とも齟齬が生じ、乾いた笑いが出る。

極め付きはヒロインが、
「人から無理矢理奪ったパーツで組み上げたその機体…それが本当に、あなたの機体なの?」
と、RTCを真っ向から否定してくる始末。
仕掛けて来たのは、そっち(公式)なんだよ!
とんでもない二枚舌。
そしてその言葉は、RTCのアプデと言う形で、公式にそのまま返ってきた訳だ。

ADVパートでの不満点は他にもあり、
・ヒロイン別シナリオは会話が若干異なる程度
・各キャラ2枚程度のCGイラスト
・バックログ非搭載
・会話スキップでパート内会話を全スキップ
など、ギャルゲーも真っ青なボリュームの薄さと、不便さを併せ持っている厄介ぶり。

本作は、ADVパート以外でも抜かりはない。
製作したガンプラを見せ合うことができる、「ハンガー」が廃止されたことが痛い。
ファンゲーは、イラストやグラフィックを楽 しむと言う要素も多分にある。RTC等でガッカリさせられた分、せめて自分だけのガンプラを見せ合って盛り上がろう、と考えた人もいたはず。NGBは、そのわずかな希望さえも打ち砕いてきたのだ。ふざけるなぁ!

ちなみに、本作のCMでは歴代シリーズのある キャラ(しかもラスボス)が、絶好調で喋ってPRしてくれるが、そのキャラの機体が結局収録されなかった。ある意味CM詐欺までやらかしているのは内緒だ!御大将との約束だぞ!

「ガンダムマニアは殲滅する」と言わんばかりに、ファンキラー要素のフルバーストで、次々とファンを撃ち落としていくNGB。
「ガンダムのゲームだから」と、擁護していた
「信者ファンネル」は付いてこなくなり、
ファンからの罵声バズーカ無限発射に晒されることになったのだ。

本作は、前作『ガンダムブレイカー3』と同じ世界が舞台と言う設定にしたため、嫌でも比較される立場にある。公式も、インタビュー等でやたら「前作以上」をアピールしていた。
前作は、戦闘システムも概ね良好で、シナリオに配慮もガンダム愛も感じ、評価も高い。
だがNGBはどうだ?前作までの良さを捨て、
新システムを導入しては自ら否定し、
公式のエゴで破壊しただけではないか。
まさに、「ガンブレブレイカー」。

「根本から腐った仕様のクソ」と
「公式のエゴによるファンゲー要素のクソ」。
クソのツインドライブは同調し、一般ユーザーとガンダムファンも、NGBに対する怒りで結び付いていった。彼等の怒りは、我慢の最終防衛ラインを突破して阿修羅と化した。

発売されるや否や、すぐに値段が下がり始め、わずか1ヶ月で1,000円近くにまで暴落。
年末にはワンコインのレベルにまで落ちぶれ、
それでもなお買おうとする者もおらず。
小売は絶望した。在庫を抱え絶望した。
頭を抱え、福袋にNGBを封入する悲しみは、
普段なら「もっとゲーム安くしろ!」と叫ぶ、
ユーザー達にも伝わっていった。
「NGBが憎い!」と。
ユーザー「俺たちは」
小売「私たちは」
ユーザー&小売「分かり合うことができた」

三代目メイジンが、「ガンプラは自由だ!」と言い放ったが、公式側はそれを自分達に都合よく曲解した結果、ユーザーはおろか小売までも根絶させてしまった。
人類は、NGBがバグに頼らない、純粋種のストロングスタイルを貫く姿に恐怖した。
そう、NGBはKOTY界の「救世主」である。
NGBは、己に関わった全てを砂へと変え、
文字通りの「黒歴史」として埋没していった。

NGB「諸君らが愛したガンブレは死んだ!
なぜだ?」
ユーザー&小売「お前のせいだよ!」

馬とNGBの参戦後、KOTYはNGBの恐怖政治により、平穏を保っていた。
噂が立つと、 ひとつ、ふたつ、と3分間に12本の勢いで、新たな候補を撃ち落とすNGB。
馬は、見張りもG1の出走もせず、門の前で草を生やしてばかりいた。
10月を過ぎても、次の候補はなかなか現れず。
KOTY史上稀に見る不作の年だと叫ばれ、新たなクソゲーを望む者が、後を絶たなかった。

しかし11月に入り、事態は風雲急を告げる。マーベラスより、
『リトルドラゴンズカフェ ひみつの竜とふしぎな島(通称:リトドラ)』が出店。
8月末に発売されていたにも関わらず、
ここまで鳴りを潜めていた。

「『牧場物語』生みの親が送るオリジナル完全新作」の売り文句を御旗に、牧場物語及び派生作のルーンファクトリーシリーズのファンは、大いに期待を寄せた。
しかし、その淡い期待は、クソゲーと言う現実として打ちのめされるのである。

本作はタイトルの通り、カフェを経営しながらドラゴンと一緒に冒険すると言う、ファンタジー感溢れる見た目になっている。
そして、このゲームには「通貨」の概念が存在しない。え?もう一度言う。
「通貨は存在しない」。
どうやってカフェを経営するんだ…。

本作はお金の代わりに、「食材」と言う形で、
報酬が得られるようになっている。
1.カフェで料理を提供する
2.客が喜び、報酬として食材がもらえる
3.店の評判も上がる
4.もらった食材も使ってもっとおいしい料理を提供する
5.2~4の繰り返し
と言う流れである。通貨がなくなるだけで、
経営ってこんなに簡単になるものなのか。

料理は、流れてきたらタイミングよくボタンを押す、所謂「リズムゲー」。なのに、料理の評価に影響しない無意味さ。面倒臭い上に達成感も無いとは、何と悪趣味な仕様か。
そしてこれらの作業すら、後の要素でままならなくなる。

まず、客の中にはクレーマーもバッチリ完備。早くしろだの何だのは勿論のこと、料理が来る前に帰ったり、皿を投げたり、食い逃げ犯まで現れる。対応に追われて、時間がムダに。
何でゲームの中まで、こんな奴等を相手にしなければならないのか。
カフェのスタッフも悩みの種だ。すぐサボる。しょっちゅうサボる。一人サボったらカフェが回らない。店員が増えれば増える程、叱ってばかりでさあ大変。一人ずつしか叱れない。

カフェの手伝いも、
・料理の注文は一人ずつ受ける
・皿洗いは一皿ずつ運んで洗う
・料理は一皿ずつ運ぶ
全て一つずつで、同時作業は出来ない。それどころか、作業と同時に叱ることも出来ない。「一つの手伝い」か、「一回叱る」か、どちらかしか出来ないのだ。
手伝い中でも、スタッフはやっぱりサボる。
オーナーが手伝ってるのに、サボるな!
これが、本作で一番大変な作業かもしれない。

カフェ経営の単調作業で、クレーマーやサボるスタッフの対応に追われ、あっと言う間に一日が終わる。あれ?冒険は?
しかもこのカフェ、評判になる程に人が増えていき、NPCが邪魔で通り辛くなる上に処理が重くなる。NPCを通り抜けできなくて鬱陶しい。あれ?冒険は?

冒険は…まともにできそうにない。
このゲーム、朝6時に起床し深夜1時に就寝の生活リズムを、公式が基準にするブラックさ。
それなのに、カフェの対応に追われて、時間が全く足りないのである。忙しすぎて冒険に行く暇が無く、冒険パートがオマケ要素になってしまっている。そもそも、冒険どころか食材集めの「採集」作業でしかない。

前述の、カフェでサボるスタッフがネックで、
自分が店にいようが、冒険に出ようが、お構い無しでサボる。叱るために、冒険中でも慌てて店に引き返さなければならない。しかも冒険中にサボりが発生すると、一人ごとに通知音とメッセージが流れ、鬱陶しいことこの上ない。

冒険中はスタッフがサボっていなくても、
・全体マップがない
・壁近くにいる敵を倒すと、落としたアイテムが壁にハマって取れない
・段差に引っかかったりして、敵に多段ヒットした回数分だけ、料理を奪われる
など、イラつく要素が山積している。特に全体マップ。パッケージのケース内や公式サイトに載せるくらいなら、ちゃんとソフトの中に入れておけよ!

操作面にしても、
・頻繁なロード(カフェの出入りに約5秒等)
・ジャンプの感度が悪く、二段ジャンプの要領でボタンを押す必要がある
・ドラゴンも二段ジャンプの要領での操作
など、プレイに更なる苦痛をもたらす。

ドラゴンは、指示してもすぐには動いてくれない。ドラゴンから降りられなくなるバグもあり、冒険中はむしろいない方が楽。
成長要素やイベントも薄い。
「一緒に冒険して、一緒に成長している」感がほとんど無く、愛着が湧かない。
本作の執拗な嫌がらせで、ドラゴンは存在価値を奪われてしまっている。

シナリオも意味不明。「倒れたお母さんを助ける」が目的なのに、お母さんはエンディングで起きるまで部屋で完全放置。それだけ。
イベントも、悩みごとのあるゲストに、条件の料理を提供するだけの繰り返し。それだけ。
しかもイベントで必要な、食材とレシピ集めはノーヒント。ジャンプの感度といい、まるでファミコン時代に戻ったかのようだ。

カフェと言い、冒険と言い、イベントと言い、苦痛ばかりで投げ出したくなる要素ばかり。
しかし、この苦痛すら本作最大のどんでん返しの前触れに過ぎないのだ。
実は、本作は「一度上がった評価が下がることはない」。スタッフがどれだけサボろうとも、客を見下した態度を取ろうとも、ゲロマズ料理を提供しようとも。
本作一番のファンタジー要素だろう。

サボる奴を叱っても、クレーマー相手も、ただ時間がムダなだけ。客に媚を売る必要も、常に至高の一品を出し続けるのも意味がない。
冒険ですら行くだけ疲れて、大した成果も達成感もない。ドラゴンは邪魔。イベントも退屈。
結局、ゲームの中でも成果主義だった。
血の滲む努力も、ドMの自己満足に過ぎない。
そう。本作は、頑張れば頑張る程に損をする、
真面目に生きたらバカを見るゲームなのだ。

最適解は 、「評価を上げる時だけチャチャっと済ませて、後はグースカ寝てれば良い」。
評判が上がりきったら、終盤はシナリオを進めるため、カレンダーの早送りでひたすら寝太郎モード。カフェ無視で、ニートまっしぐら。
クリア後はやり込み要素も少なく、料理で食材が減るのすらムダに感じるだろう。
素直に、リトドラからの卒業をオススメする。

かわいいイラストだけでは、到底払拭出来ない生ゴミの山。ハートフルの欠片もない、ストレスフルな重労働の後に残るのは、過労死寸前の疲労感と、時間や努力をムダにした後悔だけ。
「NGBよりも苦痛!」との呼び声も高く、現実との二重労働に苦しめられる、社畜キラー。
本作は、ゲームを通して働き方改革を推進し、今後の就職活動の教科書になるつもりか?
これのどこがファンタジーだよ!

リトドラの登場で盛り上がりを取り戻し、次の魔物の登場が待ち遠しい。色めき立つKOTY。
しかし、それはこれから始まる事態の、序章に過ぎなかった…。

リトドラのオープンから間もなくして、
ダブルドライブがSwitch向けのDL専用ソフト、
『GEM CRASH(通称:ジェム)』を緊急投下。
「世界初?!360°全方位式ブロック崩し」
に、経験値の要素を加えたゲームである。
キャッチコピーからしてカオスになっているが、中身もなかなかカオスなクソゲーだった。

システムとしては、
・LRボタン又は方向キーで円状のバーを操作
・ボールを打ち、ジェム(ブロック)を崩す
・ ゲージを貯め、「フィーバータイム」で
スコア稼ぎ
・経験値を稼いでレベルアップ
・ジェムを破壊して獲得した「宝石」を使い、スピードや貫通能力等の性能を強化
と言った所で、シンプルな出来になっている。

しかし、本作はそのボリュームまでシンプルになっているのだ。
まさかの全5ステージ。しかも、使い回しのため実質3ステージ。
BGMが全2曲。うち一曲はステージ5限定で、実質1曲。
周回プレイ前提で、何だこのボリュームは?
その上、ステージは経験値によるアンロック式になっている。一体どうしろと…。

経験値自体も、膨大な数値を要求してくる。
レベル70で、全ステージがアンロックされるようになっているが、レベル69から1上げるだけに約200万!初期レベルから、そこへ到達するには、少なくとも10時間以上のプレイが必須。
このボリュームで、10時間もプレイしろと?
育成にしても、倍々ゲームの勢いで必要な宝石の数が増え、最終的に10万個以上の宝石を要求してくる。とんだクソセレブがいたもんだ。

操作も単調。と言うのも、本作はブロック崩しにあるべき、妨害ブロックやギミックが無いに等しい。本来、ブロック崩しは妨害ブロックをうまくかわしたり、ギミックを利用してスコアを稼ぐ楽しみ方がある。
しかし、本作はそれが録にないため、ただボールを打って返すだけに終始することになる。
また、ボールの動きが不規則どころか、予測不可能なレベルになっている。跳ね返って来ると思ったら、途中でふわふわ空間を漂い出したり、ジェムを貫通していったり。
これをギミックとして楽しむしかない。

このため、初期では思うようにレベルが上げられない。しかし、ボールを1個増やしてくれるアイテム、「スプリットジェム」を取ると、
世界がガラリと変わる。
ただ、今度はレベルが上がったら上がったで、ボールが増えれば増える程、放置するだけでジェムを勝手に崩し、スコアを稼げてしまう。
「プレイヤーの操作」と言う名の戦術を奪い、
結果的に単調なプレイになるのは斬新だ。
本作で唯一通用する戦術は、
「レベルを上げて、ボールで殴ればいい」。

周回プレイを前提にしながら、それを阻む要素の数々と、尚限りなく無に近いボリューム。
レベルを上げて殴り、後は放置。必死に周回しても、単純につまらない虚無感。
クソの原石と周回プレイの腕を磨き上げた結果、崩れ落ちたのはプレイヤーの精神だった。

2018年のKOTY「四皇」が揃い踏みになり、
覇者を決める頂上決戦が始まらんとした、
まさにその時…。
KOTY界に、ギャラルホルンの音が鳴り響く。
それは、これから始まる黄昏の幕開け…。

2018年11月15日。黙示録の日。
遥か「無間」の彼方、角川ゲームスより、
『RPGツクールMV Trinity(通称:MVT)』
が降臨。
その名の通り、PC版『RPGツクールMV』が、Switch、PS4、Xbox oneの3機種(Trinity)に移植され、発売される…はずだった。
が、DL販売のみの箱版だけ、翌年に発売が延期されたことで、早くも暗雲が立ち込めていた。

まずは、まともに動かないチュートリアル。
無限ロードバグで、ちっとも動かない。
製作中データへの上書きバグで、
ツクっていたデータが消滅。
挨拶代わりの進行不能バグで、挑戦者を手荒く歓迎する。
早くも折れて脱落するツクラー達が続出。
この事態に、公式が下した決断とは…。
あろうことか、
「チュートリアルそのものを削除」
してしまったのである。
蓋しても臭いから、消しちゃえ!
予想の遥か斜め上を行くパワープレイ。

チュートリアルを失ったMVTは、公式が代わりにチュートリアル動画を順次配信し、穴を埋める形となった。埋められたとは言っていない。
しかし、PS4版はトロフィーの条件に、チュートリアルの制覇も含まれており、アプデを実施した瞬間からトロコンが不可能になるのだ。
この状態は、年を明けても治らなかった。

MVTは、ツクる作業の至る所にロードが発生。各種メニューやデータベースを開いたり、テストプレイの起動にも、8~10秒のロードが必ずつきまとう。編集中に、何かを「確定させる」だけで5秒。フリーズかと思ったわ!
なお、フリーズも強制終了もよく起こる。
ツクールはその性質上、数え切れない程、
ツクって試してツクり直して、を繰り返す。
画面もしょっちゅう開閉する。その至る所でロードが発生するため、致命的なのである。
ツクラーにとって、作業時間100時間は当たり前の世界。MVTは、それと同等の総ロード時間を与えてくれるだろう。

やっとツクれたゲームのロードもセーブも、
かかる時間が容量によって大きく増減する。
「セーブの完了までに1時間かかった」
と言う話も聞く。なん…だと…?
気分転換が必要だ。馬ならクリアできるぞ!

不親切なUIは頼りにならないし。
ツクる作業に必須な「快適な操作」。
MVTは、それが全然見当たらない。何故なら、
PC版『MV』に準拠させ、CS機用にまともに最適化されていないため、不便な上に誤操作を多発する構造になっているためだ。
MVTの画面は、同じ画面内に様々なボタンや入力欄が存在し、「一つの画面内に同居」している構造になっている。編集画面の全体を確定するOKボタンやキャンセルボタン、各項目の編集用ボタンや選択欄等が同じ画面にあり、
不意な操作でボタンの押し間違え等も起こる。
PCでの操作が前提の画面を、十字キーやボタンで操作させるため、不便極まりない。

加えて、画面のフォーカスにクセがある。
普通、フォーカスが当たる箇所は、視覚的に分かりやすくする処理がされるものだ。
それ以外は、もっと画面を暗くするとかさ。
MVTは、その程度の配慮もない。
ただでさえ、画面上でフォーカスが分かり辛いのに、項目を掘り進める程、フォーカスがどこに当たっているか分からなくなる。
見辛いわ使い辛いわで、意図せずボタンを押し間違えたり、画面を誤って閉じてしまったり、と余計な手間を掛けさせてくる。
画面の開き直しで、ロードとの新たなる戦い。
意図せぬキャンセルで、ツクり直しも。

編集中に、誤ってキャンセル等をしないよう、
「~されますが、よろしいですか?」と聞いてくれる、「確認ダイアログ」もない。
誤操作を誘発してくる癖に、それを防止する仕組みがないのだ。
特に、キャンセル時に編集内容が破棄されてしまう場合でも、確認ダイアログがないため、
「お前の意見は求めん!」と強制キャンセル。
画面を戻され、ツクり直しとなってしまう。

MVTのUIは、ツクラーの使い勝手を考慮せず、
いたずらに誤爆へと誘ってくる、
魔性の「UI(Unplayable Interface)」だ。
PC準拠の画面を、CS機のコントローラーで操作させておいて、それ以上は何もしない。
最適化もない。配慮もない。容赦もない。
ナイナイ尽くしの先に待ち受けているのは、
「もっとツクり直したいだろう?」
と嘲笑う、MVTの洗礼だった。
全てのツクラーは、MVTの掌の上で踊らされているに過ぎないのだ。

そんなUIの邪念の結晶が、
「キャラクタージェネレーター」。
RPGあるある、「顔」や「歩行時」のグラフィックを、髪型や目や服装等のパーツを組み合わせ、自由にツクれる機能だ。
MVT版NGBと呼ぶべきか。
さて、これには「ランダム生成」機能がある。
悩んだ時に、インスピレーションや笑いを届けてくれる、優れものだ。

画面内のボタン等の並びは、こちら。
「パーツの選択欄」
「ランダム生成」
「設定の保存」
「設定の読み込み」
編集したら、次は何をする?保存だろ?
何故お前がそこにいる。
編集終わりに保存しようとするツクラーに、うっかりランダムを誤爆させたいのか。
なお、使い勝手が悪いフォーカスも健在。
そして、ランダム作成の最大のポイントは、
「全部のパーツを一括でランダム生成」する。
そう、一発で全パーツがランダムに選択され、
見る影もない本当のキメラになるのだ、
「お前の顔、全部整形するけどいいよね?
答えは聞いてない!」
確認ダイアログなんて、やっぱりなかった。
一度踏み込んだら、強制的に生まれ変わる、
「RTCツクール」。

不可解な要素として、音声やマップの素材の一部を、何とログインボーナスで配布。しかも、歯抜きと思える程、素材の選出が謎。
ログボ素材は、素材一覧の中に「割り込む」形で追加される。そのせいか、素材の管理IDがズレるバグも発生。
症状は、ログボで追加された素材の下にある素材が、一つ上の素材に入れ換わる、と言うものである。既に配置している素材も入れ換わる。
もし、入れ換わりを見付けてしまったら、本当の意味でポルナレフの気持ちに浸れるだろう。ついでに手直しも待っている。
それだけでなく、「受け取ったはずのログボが、バグにより受け取れていなかった」と言う事態も発生。「ログボを受け取った瞬間」が、 バグで飛ばされたのだろう。

しかし、本当の恐ろしさは、ログボを受け取ったらセーブデータが消えるバグの存在。
「ログインペナルティ」なんて聞いてない!
ツクラーは、素材のコンプリートのために、
データ消去のログぺに怯えながら、1日1回ずつログインし続けなければならないのか。
年末頃になると、ログボが180日間は存在することが判明した。あくまでも「最低」180日間であり、それ以降の存在も示唆されているが、いつまで続くのかは明らかになっていない…。

まともに遊べないレベルのロード。
PC準拠の誤爆誘発型、不便で不親切なUI。
存在価値すら理解不能なログボ。
仕様面だけでも、凶悪な「Trinity」を形成する悲惨な状況だった。
何がなんでも、RPGをツクらせない。
根気と編集データを、根こそぎ奪ってくる。
人々はいつしか、
「RPGツクーレナイ」と呼び始めた。

しかし、それすら「無限」とも思える程のバグの前には、霞んでいた。
「毎日必ず」、新たなバグが発見されていく。
中には、手に負えない進行不能バグが、
ツクラー達の前に立ちはだかる。
セーブデータの消去や上書き、挙句の果てにはセーブデータを破壊するバグまで発生。
全てを消し去り、今までの努力を無に帰す。
四方八方から降り注ぐ、バグの雨を掻い潜り、たどり着いたその先は、賽の河原だった。
「そのデータ、消えるよ」。
仕様のせいで、まともにツクることも出来ないのに、「賽の河原バグ」で何もかもが水の泡。
例えツクれたとしても、「RPGキエール」。

数々の検証の末、判明しただけで500を超える不具合やバグの数々は、際限無く増え続け、
本当に終わりがない。
アプデで治したはずが治ってなくて、治してもないはずが勝手に治る。
アプデをする度に悪化していき、手を加えてもいない箇所から、新たな問題点が生えてきて、予測不可能な動きを起こす。
バグの自己増殖、自己再生、自己進化の
「Trinity」を成し遂げた、デビルMVT。

底知れぬMVTのバグを体験した人々は、
「これ検証は無理じゃね?」
とそれぞれ口にし、検証は絶望視された。
中には、「スマブラSPがクソゲーっぽい」
と言う与太話を聞き付け、
MVTから逃げ出してスマブラの検証に走り、
ハマって帰らぬ者もいた。
そう、MVTの検証は「不可能」である。
誰であろうと、「MVTの検証を完遂した」
と言う真実に到達することは、
決して、無限にないのである。
検証に終わりがないのが「終わり」。
それが「MVTレクイエム」。

『嵐』を彷彿とさせる、「ゲー霧の海」。
バグか仕様か分からない、終わりなき濃霧。
魔王『アジノコ』の再来、「賽の河原バグ」。
ツクったデータを、悉く台無しにされる悪夢。
『ジャンライン』の如き、「ダウンデート」。アプデが来る度、バグも仕様も悪化の一途 。
『戦国姫』を思い起こす、「二面同時侵攻」。
Switch版とPS4版で、異なるバグまで発現。
パンドラの箱に、過去のKOTY大賞達より受け継いだ、「負の叡智」をありったけ詰め込み、
じっくりコトコト煮込んで煮詰めた闇鍋ぶり。「自作で完成したRPG」と言う最後の希望は、
掴みたくても掴めない。

まともにツクーレナイから、自作のRPGを遊びたくても、「RPGアソーベナイ」。
テストプレイの時点から、ロード&ロード。
やっとツクれたRPGで遊ぼうとも、壊れやしないか、消えやしないか、とヒヤヒヤしながら、
予期せぬバグや不具合との、綱渡りの戦い。
ツクられたRPGが集う、「ツクール広場」。
でも、画面に10作しか表示されない。
探す方は、アソーベナイ。
探される方は、アソーバレナイ。

著名ツクラーと言う、先人の手で生み出されたサンプルゲームも、発売当初からいつまで経っても「近日配信予定」。一体、いつになったら配信されるのだろうか。
ロックバンドとのタイアップ企画として、コラボゲームが配信中。しかし、それすらも進行不能バグが複数存在。ちゃんと背信してるって?
笑えない。「MVTでツクられていない疑惑」まで浮上しているが、真相は闇の中。

ツクったゲームも、ツクられたゲームも、
サンプルゲームも、コラボゲームも、
どれも録にアソーベナイ。

完成度は、α版にも劣る未完成品レベル。
「ツクれるものならツクってみろ!」と、
MVTから叩き付けられた挑戦状。
圧倒的な負の力の前に、歴戦のツクラー達も次々と散っていった。
有志で検証をする勇者も現れ、彼等の手により判明したバグや不具合は数知れない。
ツクラーが有料デバッガー化した様な実態に、
「デバッガーツクール」と称する者もいた。
実際は、ユーザー側でデバッグ作業が出来ないため、「有料テスター」が現実である。

「このままではいけない」。
事態を目の当たりにした小売も、動き出す。
POPを自作して注意喚起したり、MVTを購入しようとする客に、購入を考え直すよう声を掛けたりと手を尽くした。彼等もツクラーと共に、少しでも被害者を減らそうと奔走していた。

そんなツクラー達に対し、
ツクール開発部が放った言葉とは…。

「皆さまはデバッガーではございませんので」

これを目にしたツクラーは大激怒。
デバッグをしたとは思えない程の、バグ地獄の超絶クソゲーを発売しておいてこの態度。
この発言自体、皆さまをデバッガー扱いしていなければ、思い付かないであろう。
この発言が、黙示録の炎に油を注ぎ、大炎上。
MVTの悪名はKOTY界のみならず、ネット中に広まっていった。

アイテム・説明文が改行できず、一行しか使えないのに、公式は「仕様」の一点張り。
なお、翌年2月のアプデでこっそり修正。
修正一覧にも載ってない。いや、載せない。
3行目まで改行可も、3行目がはみ出ている。

誤植も当たり前に存在。タイプミスによる、
誤変換と疑わしいものも見受けられる。
「喜ぶ」がゲーム内で、
「予六部(よろくぶ?)」に誤植。
公式サイトの修正一覧では更に、
「矛六部(ほころぶ?)」と「二重誤植」。

2019年2月15日(土・日・祝日を除く)まで、
お客様対応の「特設窓口」が開設されていた。当初、「17日まで」と記載も、「日曜日」。
こっそり修正も、すぐバレた。

公式の配信動画は、ロード箇所をカット等、
隠蔽工作を図り、ツクラーを騙す気満々。
でも、テストプレイ中にマップが真っ暗。
微妙な空気で強引に打ち切り。
ちゃっかりやらかす。

アプデでちっとも治らないのに、
手間ばかりかけて隠蔽工作。
表向きだけまともに見せて、
中身は欠陥だらけの詐欺まがい。
申し訳ないと謝るフリして、
皆さまはデバッガーではないと煽り返す。
どんなに罵倒されようとも、
返金だけは絶対しない。
日本中のツクラーを人柱にしてでも、
海外に売り付けようとするその姿勢。
MVT公式を、絶対に許してはならない!

MVTは、余りにも強大すぎた。
バグは質量共に未知数。
仕様もどうしようもない。
ペナルティだらけの謎ログボ。
アプデは更に悪化するだけ。
配信されないサンプルゲーム。
コラボ先への背信ゲーム。
歴戦のツクラーすら裸足で逃げ出す。
ユーザー保護に回った小売。
腹立たしいだけの公式の対応。
何処を何一つ取っても、隙がない。
結局、MVTでツクることができたのは、
まともにゲームプレイすら出来ない心の傷と、
何度もデータを消されてツクれない絶望と、
無限に増えていくバグだけだった。

何とか良いところを探しても、
「他のゲームが全て神ゲーに見える」
「デバッガー気分が味わえる」
「ケースは綺麗でしっかり使える」
「PS4版はカラスよけになる」
「Switch版は口に入れてダイエット効果」
くらいしか見当たらなかった。
いっそのこと、ソフトの起動もできなければ、消費生活センターに突撃して、完全な不良品として返金対応が見込めたかもしれないのに。

今年の「年末の魔物」は早いなぁ。
初めは誰もがそう思っていた。
しかし、我々が見ていたのは、
「年末の魔物」でも、
「平成最後の怪物」でもなかった。
そう、あれは…「最低最悪の魔王」だ。

かくして、KOTY界に降り立った「五皇」は、
あらゆる形で猛威を奮い、人々の心を弄び、
ユーザーと小売をこれでもかと苦しめ続けた。
つい数日前まで、不作の年と言われたのが、
遥か昔と思える程に。

仕様。バグ。圧倒的ボリュームの薄さ。
ユーザーの苦痛。小売への被害。公式の対応。
ゲーム内での操作の否定。
ゲームのコンセプトの否定。
そして、ゲームのプレイそのものの否定。
クソ要素も、クソゲーのタイプも千差万別な、
歴代屈指のクソゲードリームチームが集合。
平成KOTYの総決算に相応しい顔触れが揃い、今ここに、「KOTY史上最低最悪の決戦」が、
始まる前からほぼ決していた…。

2018年末。最終決戦の地に並び立つは、
破壊の名を持つ創造神、救世主『NGB』。
創造の名を持つ破壊神、魔王『MVT』。
両者による「神々の黄昏」と言う名の、
究極のクソゲーアピール合戦が始まった。
「根本からクソなNGBの方がヤバい」
「MVTはバグ無しでも十分すぎる程ヤバい」
と激論を交わしては、日夜クソとゲームソフトを投げ合っていた。

また、MVTはツクールの性質上、
「ツールじゃないのか?」
と言う意見も出たが、
「CEROを通して発売されたゲーム」
「RPGをツクって自分でプレイし、ツクった
RPGを皆にプレイしてもらうゲーム」
と言う判断から、前年の『球』のような事態にはならなかった。

そして、遂にその時を迎える…。

逢魔の日。
平成クソゲーの時代を画する審判の日。
KOTY2018の大賞は…

祝え!
全クソゲーの力を受け継ぎ、時空を越え、
過去と未来を知ろしめす時の王者!
その名も『RPGツクールMV Trinity』!
まさに生誕の瞬間である!

MVTは、
過去のあらゆるクソゲーの要素を受け継ぎ、
箱VTの翌年への発売延期で、時空を越え、
アプデ毎の悪化や180日以降も終わりが見えないログボ、そして箱VTが発売前にも関わらず、KOTY2019にも多大な影響を与えたことで、
未来にまでその絶対的な力を知ろしめた。
どこまでも続く、クソで目映い世界を見せ、
KOTYの夜明けを告げた、クソゲーの王者。
「バグ」「仕様」「公式の対応」と言う、
限り無き「負のTrinity」を身に纏った姿は、
まさに「最低最悪の魔王」である。

2019年に入るも、MVTにアプデが届かない。2018年内のバージョンで、更に検証は進められていた。

1月末。「一定の容量を超えた」ゲームをツクると、「無限ロード」が発生することも判明。
一度、無限ロードにハマると、そのデータを削除しても、データ容量が戻って来ない。
「削除済のデータ」としてMVT内に残留し、
消えることなく容量を食いつぶす。
データを消され、誰にも遊んで貰えなかった、RPGの残留思念か、それとも…。
根本の解決法は、ゲーム機の本体から丸ごと、MVTのデータを削除すること。
それは歴史の終わり(全データ削除)か、
それとも(無限ロードの)始まりか、
選べ!ツクラー自身の未来を。

無限ロード検証の副産物として、
とんでもない事実が判明した。
MVTの容量の上限は、「1,572,864」メモリ。
MVTはこの容量を、
「全10個のセーブスロットで共有している」
ことが分かったのだ。
全10スロットで使える「容量の合計」は、
上限の1,572,864メモリまで、と言うことだ。
一つずつフルに使える訳じゃないのか…。
ツクるのに使う、全スロットの容量の合計が、上限を超えないように確認しながら、一つ一つやりくりしなければならない。
なのに、各スロットの容量は確認できても、
合計値は「自分で計算する」しか方法がない。

そして、無限ロードの実態は、
「使用した全スロットの容量の合計が、上限の1,572,864メモリを超えた状態でセーブすると、そのセーブデータが無限ロードにハマる」
と言うものである。
「セーブの仕様」そのものが、無限ロードを引き起こす原因だったのだ。
前代未聞の、「賽の河原システム」。

容量オーバーしたら、セーブの度に無限ロードにハメられる。スロットを一つずつ、確実に潰される悪質さ。
バックアップを取っても、容量が同じだからどちらにしても無限ロード行き。
無限ロードにハマらないよう、手計算で容量を確認しながらの作業。確認ダイアログもない。
ツクる数を増やす程、大容量のゲームはツクれない。一つ一つも、容量の節約生活。
ハマったら、ゲーム機本体からデータ削除。
これが仕様だと?これがゲームだと?

ツクラーは、無限ロードと言う、見果てぬ先まで続く戦いのロードに、MVTを起動したその瞬間から、自ら足を踏み入れていたのである。
なお、「容量オーバーしても無限ロードが発生しない」場合もあるようで、真相にたどり着くのはまだ先のようだ。

なお、MVTのソフトを持っていない人でも、MVTでツクられたゲームが遊べる無料ソフト、『RPGツクールMVプレイヤー(通称:MVP)』が配信されている。
しかし、MVTをベースにした様で、こちらも同様の不具合が生じ、まともにプレイ出来ない。これでは、絶対にRPGをツクれない、ただの劣化版MVTじゃないか!何がMVPだよ!
しかも、MVTの最初のバージョンのままで、MVT本体とはバージョンが食い違っていた。
この違いで、正常に動かないRPGがあったかもしれないが、元々まともに遊べないため、真実は定かではない。
MVTが無くても遊べるはずの、皆さまがツクったRPGもアソーベナイ。

2019年最初のアプデは、バレンタインのプレゼントとして届いた。ごく一部のロードが改善された程度。致命的な欠陥は変わらず、バグも不
具合も更に増殖。
3月末にもアプデが届いたが、相も変わらず。
申し訳程度の改善と、クソ仕様と、新たなバグや不具合が追加され、更なる悪化の平常運転。
併せて、MVPにも漸く初アプデが実施された。それまでのMVPは、最初のバージョンのまま。そしてMVPは、MVTをベースに作られている。
あれ?アプデでバグも増えるんじゃないか?
大方の予想通り、MVPは最新バージョンのMVTのバグをも取り込み、更にアソーベナイ状態になってしまったのだ。
MVT本体のツクール要素の改善も、MVPには全く関係無い。ツクール以外の部分を取り込み、デビルMVPの悪魔進化も止まらない。

MVTの発売から、ここまで4ヶ月半。
公式が、バグを85個も治したって?
ハハッ!このペースで500個のバグを治していけば、「2年」くらいで何とかなりそうだね!
治せるとは言ってない。
なお、致命的なバグや不具合は、大して治っておらず、バグは絶賛増殖中。アプデの度にも増えており、更に100個単位での上乗せも想像に難くない。

KOTYは、「発売年の年末時点のバージョン」で判断するため、2019年以降に実施されたアプデは、KOTY2018には影響が無い。
公式は、「今後もMVTのアプデを実施する」と口にするが、どれだけアプデが来たとしても、治る見込みなんてある訳がない。
「治せるものなら治してみろ!」
と、公式までもMVTに挑戦状を叩き付けられ、公式もムキになって治し続けているのだ。
MVTは、公式がギブアップするまで、
いや、公式が投げ出しても止まることはない。

そもそも、MVTの移植元である、PC版『MV』の致命的なバグや不具合を解決してきたのは、「有志の人々」である。
MVTでも、有志の方々の力により救われた、
多くのツクラーがいる。その勇姿に公式は、
「有志の方がまとめてくださりました」。
それは本来、公式のお前等がやることだろ!
そして、有志の皆さまが束になってかかったとしても、MVTの負の力の前には、歯が立たないのである。
だって、デバッグできないんだもん!

(MvT)
「お前達に、私を治すことは不可能だ。
何故か分かるか?
私は生まれながらの(クソゲーの)王である!」

さて、ツクールのコンセプトは、
「誰もが簡単にオリジナルRPGが作れる」
とある。
では、MVTはどうか?
RPGが 、
「ツクーレナイ」
「キエール」
「アソーベナイ」
の「Trinity」ではないか!

MVTは、ゲームをツクることも、楽しむことも許されない。それどころか、
「ゲームをプレイする」
と言う、最低限のコンセプトさえも、徹底的に破壊し尽くした。
余りにも貪欲に、極限まで「負」を追い求めるこのゲームは、最低最悪のクソゲーとして歴史に残るだろう。

平成最後に相応しいKOTY大賞が決定し、
クソゲーも新たな時代へと移っていく。

2019.3.11。KOTY界に激震が走った。

お願い、死なないで箱VT!
あんたが今ここで倒れたら、
角川ゲームスやepicsとの約束は
どうなっちゃうの?
期間はまだ残ってる。
今年発売されたら、
史上初の「2年連続KOTY大賞」
を獲れるんだから!
次回、「箱VT死す」。
ゲームスタンバイ!

箱版MVTの「発売中止」が発表されたのだ。
KOTY2018の住民は、
未来の魔王の死に涙した。
KOTY2019の住民は、
未来の魔王からの解放に歓喜した。
そして…封印の刻。

(箱vT)
「我が名は、『MVT』!」

箱VTは、MVTとの戦いで散っていった多くの英霊達の魂と、KOTY仲間が待つ、
「RPGツクールMV Trinity 初起動の地」
へと還っていった。
闇の中へ完結する物語。
彼が去り際に呟いた最後の言葉。

(箱vT)
「ゲームをツクるって、楽しい?」

「もう一人のバグ」はもういない。
「MVT(仮)」こと『RPGツクールMV Twin』は、やがて海の向こうへ飛び立つだろう。
忌まわしき名である『Trinity』を捨て、
彼らは新天地での再出発を誓うだろう。
彼らの物語は、まだ始まったばかりなのだ。

KOTY2019に、魔王MVTが再臨することはないだろう。しかし、人々の願いも空しく、
クソゲーの新星達が、ひとつなぎの大悲報、
「KOTY大賞」を虎視眈々と狙っている。
人々は、またクソゲーに悩まされ、苦しむことになるのだ。

確かに、クソゲーを掴まされた悲しみは、
誰にも癒せない。
決して、クソゲーを掴むことのない、
悲しみが終わる場所へたどり着きたい。
しかし、クソゲーがあるからこそ、
珠玉の神ゲーが輝くのではないか?
クソゲーがたくさん生まれるからこそ、
同じ様に神ゲーがたくさん生まれ、
ゲーム業界に活気が生まれるのではないか?
クソゲーあるところに神ゲーあり。
それは、表裏一体の存在なのだ。
そう遠くない未来、
クソゲーと神ゲーを共に手に取り、
皆が笑い合えると信じてみたい。
(信じてるとは言ってない)

だから、何も恐れなくていい。
何も変わらずいつものように、
「これクソゲーじゃねぇか!」
と怒り、嘆き、悲しみ、
KOTYに思いの丈をぶつければいい。

さあ、行こう!
新時代には、まだ見ぬクソゲー達が、
君を待っている!

2019.3.11。角川ゲームス本社にて。
相棒『MVT』との戦いの儀に敗れ、
発売中止を伝えられた『箱VT』が、
KOTY民に向けて遺した、餞の言葉である。

(箱vT)
「KOTYか?欲しけりゃくれてやるぜ…
探してみろ!
この世の全て(バグ)をそこに置いてきた!」

総評案2 (RPGツクールMV Trinity)

初版
https://docs.google.com/document/d/18AcBcPMYCrUx8waQoSZmVtogWzUhNnRPQNq1QFvofXM/edit

改訂版
https://docs.google.com/document/d/16aeIfJY_O-pdtTMZjUYbV7MROF3qkgHsSMTNH6zKks0/edit

ブラッシュアップ案
https://docs.google.com/document/d/1KgapDz8Ajrja2AntpudQ0Tpyl-Zok04UOluWwjTTUzo/edit?usp=drivesdk

二訂版
https://docs.google.com/document/d/1HpJ64p9oCRzsxtVB2edamDgdZHO3hSp67LhtHaT13Cs/edit

2017年はKOTYの座を懸けて5つの作品が名乗りを上げ、群雄割拠の様相を呈した。
各々、強烈な異臭を放ち、誰が大賞になったとしてもおかしくない状況であり、
その年1番のクソゲーを決める意義を大きく考えさせる契機にもなった。

激闘の末大賞の冠を戴いた『RXN -雷神-』は、良作に成り得るポテンシャルを秘めていたにも拘らず、
ごく小さな狂いによって悲しきモンスターへと変貌してしまった。
鳥除けにもならないと、人々の眼には映らなかったとしても、我々は確かに価値を見出していた。
「KOTYは忘却されることのないように、語り継ぐのに相応しい作品へ与えるべきである」
という答えを導いた立役者として、これからも記憶に残り続けることだろう。

15年目となる2018年もまた、そんな惨劇をよそに覇を競う者が次々と現れた。
過去の英傑が遺した「叫び」は、果たして彼らの耳に届いているのだろうか。

スレ住人はKOTYの門番を決める「クソゲーダービー」の開幕戦に関心を寄せた。
晩春の風を合図に、一斉に扉が開く。
間もなく届けられた選評には、鮮やかなスタートダッシュを決めた馬が捉えられていたのだ。

PS4DL専用ソフト『Horse Racing 2016』(通称『馬』)。
2016年にSteam及びXboxOne向けに発売された、競馬のチャンピオンシップを進んでいくレースゲームの移植作である。
トレイラーの時点でPS4の恩恵を受けているとは思えないグラフィック及びモーションのショボさが目に付くが、
ジョッキーたるプレイヤーへの試練は別にある。

最初にぶち当たる試練は、バグと不親切さだ。
ゲームを初回起動するとメニュー内の文字が消滅しており、
どの項目を選べばいいのか分からない事態にいきなり直面することになる。
これに対処するには予めPS4本体のシステム言語を『馬』の対応言語に変更するか、
目隠しのまま言語切替のオプションを探り当てるかの2つの方法があるが、いずれにせよ面倒臭い手間がかかる。

バグを解消しても、馬の扶助の仕方が分からないという問題は依然として残っている。
レース開始前には毎回ご親切に操作説明とTipsを挟んでくれるが、曖昧な表記であるため使い物にはならない。
一流のジョッキーとして大成するには、実戦にて技術を体得するほかに道は無いのだと厳しさを痛感させられる。
なお、馬を前進させ続けるには×ボタンを連打しなくてはならないため、
本当に指の痛みを感じるだけでなく、コントローラにもかなりの負担がかかる。

レースそのものにおいても、「すこぶる単調なゲームプレイへの耐久」という試練が待ち受けている。
用意された55のステージは殆どが同じ形状であり、違いは精々、マップのグラフィック・ゴールまでの距離・要求タイム。
そのため、「スタートダッシュを成功させ、馬の加速幅を上げる鞭を振るタイミングを守って最後まで走らせる」
というパターンを覚えて馬を乗りこなせるかがレースの勝敗を分かち、てんで戦略性もへったくれもない。
ゲームを進めていくごとに性能の違う馬が増えていくが、ほぼ既存の馬の上位互換であるため乗り換えない理由がない。
縛りプレイでもない限り、馬とジョッキーとの間に絆が芽生えることは皆無である。
なお、1ステージにつき1分程度で終了するので、手に汗を握らない展開のまま約1時間後にはクリアまで辿りついてしまう。

その一方で、操作やパターンの把握が難しいと感じる初心者の救済も手厚くなされている。
『馬』では各レースの成績に応じたスコアが入り他9人のNPCと競い合えるのだが、これはPS4トロフィー獲得の条件でしかない。
極端な話、全レースで故意に最下位を維持し続けても、次のステージに進むことができる。
最終ステージでは殆どのゲームシステムが取っ払われ、終始ボタンを連打して馬を走らせるだけで1位が取れる始末である。

結論として、ジョッキー達は1位を目指して操作性の悪さに耐えつつプレイするか、
順位は二の次にして、ひたすらステージを解禁する作業に時間を費やすかの二択を迫られる。
尤も、どの道クリア演出は変化せず、スタッフクレジット後にタイトルに戻るだけ。
進行に支障を来す程の破綻したシステムこそないが、
プレイスタイルの如何に拘らず、ネガティブな感情を生み出すストロングタイプのクソゲーとして、
『馬』は2年の時を越えてKOTY界のゾンビホースに昇華されたのである。

快調な走りを見せ初戦を制した『馬』は、暇を持て余したかのように門の前で佇んでいた。
しかし、来る夏に1頭だけでは心許ないと判断したのか、
誰もが目にしたことのある白い悪魔が、「我こそは」と『馬』の騎乗に挑まんとしていた。

PS4専用ソフト『New ガンダムブレイカー』(通称『NGB』)、KOTYスレに立つ。
『機動戦士ガンダム』シリーズに登場するロボットのプラモデル「ガンプラ」をテーマに、
「敵を倒しパーツを奪う」、「手に入れたパーツを自機にカスタマイズする」、
この2つの要素をメインとした「創壊共闘アクション」ゲームの最新作である。
だが、過去作で取り入れられていたユーザーからの意見を全く無視したかのようなPVと、
発売1週間前に配信された体験版のあまりにも低いクオリティに、スレ住人は心奪われた。
そして発売後、「New」の名を冠した本作の全貌が明るみになると同時に、スレは近年最大の盛り上がりを見せる。
それもそのはず、『NGB』は想像以上の「『ガンダムブレイカー』ブレイカー」だったのだ。

『NGB』はアクションパートだけでも、書き切るには多すぎる粗が撒き散らされている。
移動と戦闘スピードの遅さ、アテにならないミニマップ、
カメラワークの悪さ、ボロボロの戦闘バランス…しかし、これらは序の口でしかない。
本作の特筆すべきポイントとして、積極的な戦闘を阻害する回収作業がある。
ガンプラの各パーツには「Exアクション」という特殊なアビリティが設定されており、
ガンプラの素体である「インナーフレーム」のレベルが上がるにつれて、次第に解禁されていくという仕様になっている。
レベルを上げるにはフィールドに存在する敵を倒すか、あるいは点在するコンテナを破壊することになるが、
自機の戦闘能力に直結しているフレームレベルが初期状態では敵に全く歯が立たない。
つまり、戦闘開始後は「敵も味方もそっちのけでコンテナを破壊しまくる」という、
いきなり本筋から脱線したプレイを要求されるのである。

だが、これだけでは終わらない。
カスタマイズに必要なパーツ集めでは、攻撃を喰らった敵から外れたパーツを拾うことになるのだが、
自機は5つしかパーツをストックできない上、ボックスに納めない限り戦闘中に落としてしまうリスクが付きまとう。
そのため、レベル上げの次は「パーツを拾い、あちこちにワープするボックスまで走ってパーツを入れる」という、
これまた戦闘とは程遠い内職に徹することになる。
敵味方構わずコンテナとパーツの奪い合いに血眼になるその様は、
ガンプラバトルではなく「ゴミ収集」や「玉入れ」とした方が的を射ているだろう。
ゲーム内ショップでお目当てのパーツを購入する方法も用意されているが、
パーツを100個程収容してようやく1個と交換できるボッタクリ価格で販売されている。
足下を見る遣り口に、流石はバンダイナムコエンターテイメントだと感服せざるを得ない。

そもそも、『NGB』で変更されたメインルールがこの問題に拍車をかけている。
次々と発生するお題を先にクリアしたチームにポイントが付与され、
制限時間内に獲得したポイント数で勝敗を決まるというものであるが、
メインのお題さえクリアすれば、どれだけポイント差が開いていてもその時点で自チームの勝利が確定する。
『ハリー・ポッター』に登場するスポーツ「クィディッチ」にインスパイアされたのか、
対人戦はともかく、NPC戦ではまともに戦うのもアホらしくなるアンバランスさである。
味方NPCはクリアを優先するため、プレイヤーが共闘を放棄してパーツ集めに勤しんでいても、
気が付いたらいつの間にか勝利していたことも多々ある。
「完全放置しても全ステージが各3回以内のリトライでクリアされた」
という検証結果から勝率の高さが窺えるが、そこに達成感はあるのだろうか。

目玉として大々的に宣伝されていた「RTC(リアルタイムカスタマイズ)」も、とんでもない地雷要素である。
敵から奪ったパーツをその場で装備できる新システムなのだが、
「自分のガンプラで戦う」という本シリーズのコンセプトとの乖離を引き起こしている。
パーツが外れているか、装備していない部位が存在する状態で対応するパーツを拾うと、
否が応でも装備を強いられ、換装こそ可能だが外すことは不可能。
「ジムで出撃したら戦闘終了時にはザクになっていた」怪奇現象が、本作では起こり得てしまうのである。
「シールドを付けずに戦いたい」、「徒手空拳で戦いたい」などの場合は機体コンセプトの維持ですら困難を極める。
落ちている武器を拾い戦況を動かすドラマチックな戦闘を想定していたのかもしれないが、
実際のところは、中途半端に呪われている装備を拾いはしないか戦々恐々として、余計に交戦が忌避される要因になっている。
コンセプトの崩壊に目を瞑ったとしても、「Exアクション」が各パーツに紐づけられている仕様のため、
パーツや武器が変われば、根幹的な戦術を組み直さなくてはならない。
出撃時のガンプラを維持したいのであれば、「わざと撃破されるか自爆を行い、初期状態に戻す」方法があるのだが、
自機のキメラ化を阻止するために自滅が推奨されているとは、俄かに信じがたいだろう。
公式は当初、過去作よりもパーツアウトし易くする程RTCの活用を推し進めていたのだが、
アップデートで真逆の補正が掛かり、存在意義がより一層疑われる結果となった。

また、『NGB』はアクションパート以外でもスベり倒している。
「モテる! 更にモテる!」と一押しのギャルゲー風ADVパートだが、内容が非常に薄い。
攻略できる7人のヒロイン共、シナリオの流れがほぼ同じという判子っぷり。
会話の中身は適当に放り込んだガンダムネタのオンパレードで、ファンの逆鱗にいちいち触れてくる。
用意されたCGイラストは各2枚程度、バックログ非搭載、会話スキップが会話パート全カット…と、
どこを取ってもやっつけとしか言いようのない出来映えになっている。
ガンダムゲーとして本作を見ても、評価を挽回できるだけのフォローは望めず、
機体と装備できる武器が食い違っているなど、原作再現のお粗末さに事欠かない。

一新した内容が悉く低評価に繋がった『NGB』は、発売から時間を掛けることなく壮大な値崩れを起こし、
その反動か前作『ガンダムブレイカー3』が再評価され、若干の値上がりが起こる異例の展開となった。
本作そのものにもRTCを施した結果、バグの改善など一歩前進したと認められる箇所も存在するが、
メインシステムがこの為体なので、総合的には付け焼刃に留まっているのが現状である。
製作者が本作を世に出したことでブレイクしたものは、
それまでに掲げてきたコンセプトと、ファンとの間で積み重ねてきた信頼関係に他ならないだろう。

多くのジョッキーを振り落としてきた『馬』と、それを風雲再起の如く乗りこなした『NGB』。
固く閉ざされた門にて立ち構える最強の騎兵によって、スレは暫くの間歪な平和を保っていた。
この警備で攻める馬鹿はいないと誰もが確信していた。ところが、幸か不幸か、馬鹿は来たのだ。
上半期の強豪に翻弄され続けたスレ住人は、立て続けに来襲した3者の実力にまたもや戦慄することとなる。

11月中旬、秋の深まりを感じる頃だが、スレでは2ヶ月半前から潜伏していた酷暑に見舞われていた。
PS4及びNintendo Switch向けソフト、『リトルドラゴンズカフェ -ひみつの竜とふしぎな島-』(通称『リトドラ』)。
突然目を覚まさなくなってしまった母親の命を救うために、
双子の子供がカフェを経営しながら、解決の鍵を握るドラゴンと共に冒険生活を送るゲーム…のはずだった。
箱庭シミュレーションゲームの金字塔である『牧場物語』と、
2013年の携帯版KOTYを制した『ホームタウンストーリー』の生みの親が送るオリジナル完全新作は、
ほのぼのとした雰囲気とは裏腹に静かなる狂気を孕んでいたのだ。

冒険とカフェの経営をウリにしている『リトドラ』だが、どちらも薄っぺらい出来である。
まず、本作は「カフェで出す料理のためにレシピのかけらと食材を調達する」という、
ただの採集が冒険であるとされており、肩透かしもいいところだ。
それでもまだ見ぬ新天地に心を躍らそうにも、心折なシステムが水を差しに来る。
全体マップは、公式サイトあるいはパッケージのケース内にしか存在せず、
移動中の確認は行儀が悪いという、スタッフの配慮がこの上なく利いている。
「冒険には危険が付き物」とは常套句だが、本作でもその例に漏れていない。
ジャンプの感度とカメラワークの悪さに梃子摺り、多段ヒットが発生するモンスターに折角作った料理を根こそぎ奪い取られ、
崖や壁間際でアイテムをドロップすると手が届かず、お約束のバグ&フリーズも発生。
ドラゴンが成長して空を飛べるようになっても行動範囲が広がるだけで、
終始一貫してゲーム性を変化させないその姿勢には、寧ろ安心感すら覚える。

カフェの経営と書いたが、間違っても文字面をそのまま受け止めてはいけない。
何故ならば、『リトドラ』においてカフェはストーリーを進めるための舞台装置でしかないからだ。
第一に、経営と言うならば存在してしかるべき通貨の概念がオミットされている。
「美味しい料理を提供して客の心を開き、彼らの悩みを解決した報酬として新たな食材を貰う」、
本作ではこの繰り返しが経営と定義されているようだが、それでも根底にある単調さは拭い切れるものではない。
料理パートは音ゲー形式で完成度が決まるが、最低評価でも何故か客足が増え、
畑は耕しも水やりもできず、食材の種類が増すにつれて収穫量が減る。
経営に繋がると思わせる要素の多くは見て呉ればかりで、全く内容が伴っていない。

カフェは内憂外患こもごも至っており、サボりと往来の邪魔だけは一丁前なスタッフと、
「お客様は神様です」と言わんばかりの傍若無人な態度を取る客との対応に追われる。
若き主人公は2つ以上の物事を同時に扱えるほどマネジメントの要領を掴んでいないので、
消化すべきタスクが発生しても、とりあえずは現在進行中の作業をこなすしかない。
だが、カフェがただの飾りであることが、皮肉にもこの苦行からの解放を可能にしている。
カフェの評判が上がることでストーリーが進んでいくが、時間一杯接客するよりも、
最初の来客にだけ相手をしてすぐさま寝た方が評判の伸びが良い。
イベント以外では料理する必要もなく、普段はカフェなど我関せずと採集に精を出して、
昼過ぎに帰宅からの就寝という流れで事が足りる。
最終盤では「働いたら負け」を体現するかのように、寝続けるだけでイベントが進行する有様だ。
公式サイトにある「1日の過ごし方」を見ると、休憩なしの18時間労働が当然とばかりに日程を組んでいるが、
「努力が報われない」と一度知ってしまえば、労災待ったなしの過酷な生活を送ろうとは誰も思うまい。
物語の発端となった母親がエンディングまで完全放置の扱いを受けようが、それは些末な事情である。

『牧場物語』のネームバリューに惑わされ、『リトドラ』もシミュレーション要素が強いゲームであると、
勘違いしてしまった側にも責があるのでないか…という意見もあるだろう。
だが、いくらでも面白くできそうな要素の一切を丁寧に潰した冒険生活の前では、
そのような擁護など、何の意味も成さないのは自明である。
ビジュアルから漂うほのぼの感はどこへやら、その実体は"Hurtful"な作品だったと言えよう。

KOTYの座を狙う挑戦者達に、攻撃の手を緩める気配はない。
11月15日、『リトドラ』に続いて現れたのは、Nintendo Switch専用DLソフト『GEM CRASH』(通称『ジェム』)。
「360度全方位式ブロック崩しゲーム」である本作は、既存のブロック崩しとは異なる特徴を持つ。
ステージは円状であり、ルールも全てのジェム(ブロック)を崩すのではなく、
無限に出現するジェムを制限時間内にどれだけ崩せるかを競う、スコアアタック形式である。
しかし、980円という低価格ゆえか、初っ端から手抜き臭が凄みを帯びている。
本作は全5ステージしかなく、後半の2つのステージが前半の1ステージの使いまわし、
最終ステージ以外では使用されているBGMが全く同じ、といった具合だ。
ステージのギミックも、ボール射出装置とワープゾーンの2種類が1箇所ずつ設置されているだけで味気がなく、
スコアの稼ぎ時であるフィーバータイムでは全て撤去されてしまい、存在価値に乏しい。

だが、『ジェム』を俎上に載せた最大の要因は、「膨大なレベリング作業」である。
本作はプレイヤーレベルの概念があり、ステージ及び消費アイテムの開放状況に影響する。
スコアに応じた経験値を溜めることでプレイヤーレベルが上がるのだが、
1プレイあたりの獲得量がしょっぱいにも拘らず、レベルアップに要求される経験値は飛躍的に増加していく。
最終ステージがアンロックされるプレイヤーレベルは70かつ、
1つ手前のレベル69から、レベルアップまでに稼ぐ必要のある経験値は200万。
ただでさえ少ないボリュームだというのに、最初は1番目のステージしか選択できず、
一通り遊べるようにするには、同じステージを繰り返しプレイするしかない。
また、ステージでジェムを破壊することにより獲得できるゲーム内通貨「宝石」は、
ボールの性能の向上や、スコアを稼ぐための消費アイテムの購入に使われるが、
ボールを更に強化しようとするにはやはり大量の宝石を要求されるし、
消費アイテムもその効果は微々たるものであり、効率の良さを実感しにくい。
1ステージの所要時間は1,2分程度で『馬』とタメを張れる短さだが、
全ステージが解放される頃には累計10時間超と、プレイ時間が露骨に水増しされている。

では肝心のブロック崩しは面白いかと言えば、そんなことはない。
本作のボールの挙動はフワフワしており、予測不可能な動きの前ではテクニックは無用の長物となる。
また、初期状態ではボールは1個しかないので、スコアを稼ぐこともままならない。
しかし、突破口はある。それは「ボールの個数を増やす」ことである。
本作においては、ボールが1個増える「スピリットジェム」をいかに素早く破壊できるかが重要となる。
ボタンを押してバーを動かすだけの地味な操作も、ボールを増やし、また性能を向上させてしまえば必要がない。
縦横無尽に駆け回るボールの征く手を阻むトラップもステージ上には存在しないため、
コントローラから手を離したところで、勢いが衰えはしないかと気に病むこともない。
選評者は、このゲームを一言で片づけている。「レベルを上げてボールで殴ればいい」と。

勿論、そうした虚無の極致に辿り着くには、相応の作業を余儀なくされるので、
プレイの単調さが加速していくのに対し、レベリングはより鈍重なものと化す。
美しい反比例曲線を描くそのデザインは、2016年大賞の『古き良き時代の冒険譚』を想起させる。
響きに乗せられて『ジェム』を購入した者は、程無くして思い知らされるだろう。
数の暴力をもってして苦痛を与え、精神を崩落せんとする「ゲー無」であると。

警戒を続けていたスレ住人だが、知らず知らずのうちに逃げ場を失っていた。
『ジェム』と同日に侵攻を開始したPS4及びNintendo Switch向けソフト、『RPGツクールMV Trinity』(通称『MVT』)。
RPG制作ツールとして名高い『RPGツクール』シリーズのPC向け最新作『RPGツクールMV』の移植版かつ、
据置型ゲーム機向けとしては14年ぶりとなるタイトルでもある。
だが、DL専用として同時発売予定だったXBox One版が発売寸前で延期となり、早くも雲行きが怪しくなっていた。

『MVT』は端的に言ってしまえば、「仕様通りな部分もそうでない部分もクソ」であることが真骨頂だ。
手始めに、RPGをツクるにあたってツールの使い方にある程度慣れておきたいと、特に未経験者は思うだろう。
しかし、本作には説明書はおろか、なんとチュートリアルも存在しない。
否、発売当初はチュートリアルが実装されていたものの、
開始しようとすると無限ロードバグで進めなくなるトラバサミが仕掛けられていた。
公式ですら触れたくないと内心思っていたのか、アップデートにより改修するのではなく、
チュートリアルそのものを削除する、臭い物に蓋の原理が適用されてしまった。
古代ローマの「ダムナティオ・メモリアエ(記憶の破壊)」を彷彿とさせる対応により、
チュートリアル関連のトロフィーが存在するPS4版が、発売から1ヶ月も経たずにトロコンが実質不可能となる、
思わぬ弊害を生んだことも付記しておこう。

いざ製作に取りかかろうにも、ここではテンポと操作性の悪さが立ちはだかる。
幾度となく手直しすることが前提だというのに、何をするにも毎回挟まれる5~10秒の長いロードと、
誤操作を誘発させ、警告を挟むことなく数値設定やキャラクターグラフィックに掛けた作業を無に帰すUIのおかげで、
ツクラーに与えられた貴重な製作時間はじわじわと削られていく。
公式が「シンプル」だと宣うUIについてもう少し掘り下げると、
「アイテム枠の追加やマップの通行判定など、共通する作業を一括で行えない」、
「それらの設定を文字通りボタン連打のみでしか受け付けない」、
「ダメージの計算式も入力できる項目数が11個と少なすぎるため、項目を[]で区切った時、
[味方の][攻撃力][×][定数][-][敵の][防御力][×][定数]…のようなえらく単純なものしか実装できない」と、
PC版には存在しなかったストレス要素をいたずらに増やしている。

それでもゲームを完成させることが可能であるのならまだ救いもあったのだが、そうであればどんなに良かっただろう。
最低限のゴールすら、『MVT』では保証されないのである。
製作の進行と共に延びていくロード時間や、PC版から劣化したUIに耐えてきたツクラーを嘲笑うかのように、
大小入り混じった、発生条件も不確かなバグが容赦なく、彼らの力作を踏みにじるのだ。
突然のフリーズ、強制終了はざらにあり、果てにはセーブデータが破壊される「賽の河原」バグが出現。
不幸にも目の当たりにしたツクラーは「おきのどくですが」としか、掛ける言葉も見つからない。
新種の発見が日常茶飯事となったバグの数々を書き並べようものなら枚挙に暇がなく、
ここまで来ると本作に「RPGツクーレナイ」と改名、もとい戒名を付けたくなる。

また、買い切り作品だというのに何故かログインボーナスが実装されている。
一日に一回配布される素材は、「最初から入れとけ」レベルのものばかりと選出基準が謎。
その上、素材が追加されるごとに内部の管理IDがズレる所為なのか、
ゲーム製作で使用していた素材が別のものと勝手に置き換わるバグが発生。
ついでに、素材補完の代償としてセーブデータを亡き者にする「賽の河原」バグも完備。
この有難迷惑なログインボーナスは最低でも180日間存在すると判明しており、
最早謎を通り越して恐怖のロシアンルーレットである。

仕様側のストロングなクソ要素と、終わりの見えないバグ要素。
双方で致命的な欠点を露わにした『MVT』は、2019年3月11日にXBox One版の発売中止が決定された。
対応プラットフォームの減少により、本来想定されていた"Trinity"の瓦解が不可避となる、
スレ住人としてはこれ以上にないオチがついたのだ。
その代わりとして、伸びしろのあるロード・お粗末なUI・有志の検証により500超が確認されているバグの大群と、
負のベクトルで構成された"Trinity"が、本作を特徴づけていると言える。

以上5作品の候補作を紹介し終えたところで、大賞の発表に移ろう。
波乱に次ぐ波乱が巻き起こった2018年、激動の時代に終止符を打つごとく、
高らかな「叫び」を天地に轟かせた声の主は……
『RPGツクールMV Trinity』である。

『MVT』が他の手強い候補作よりも抜きん出ていたのは、
「自ら掲げたコンセプトの否定を最悪の形でやってのけた」点である。
「ゲームを作るって、楽しい!」と謳ったキャッチコピーに触発されて手に取れば、
RPGに盛り込みたいアイデアをあれやこれやと膨らませ、
自分や家族、友人、あるいは知らない誰かが、自作のゲームで楽しんでいる光景を想像し、
作品の実現を夢見るであろうことは想像に難くない。
だが前述の通り、本作ではゲームを最後までツクりあげることすら、危うさが忍んでいる。
度重なるロードに頭を抱え、不便で制限の多いUIやフリーズなどの不具合で足が止まり、
それでも少しずつ完成に近づいていると信じて懸命の努力を続けても、
「賽の河原」バグに遭遇すれば、非情にも作業が大幅に巻き戻される。

更に、PS4版において『MVT』全体のゲーム製作容量が一定値を超えると無限ロードが発生することが判明。
セーブデータの破壊を防ぐために、二重セーブを取ることは自殺行為と同義であり、
重い制約が課される対応策を取ろうものなら、初代『ドラクエ』の再現すら夢のまた夢。
また、『MVT』を持っていなくてもツクられたゲームが遊べる無料アプリ『MVプレイヤー』は、
不具合だらけの『MVT』を基にして作られているためか、製作時のテストプレイデータが残っている上に、
置き土産として無限ロードが発生して遊べなくなるバグも付けた、香ばしい逸品である。

気の休まる余地がない本作のどこに、ゲームをツクる楽しさや喜びを感じ取れば良いのだろうか。
誰でも簡単にゲーム製作ができ、知識と技術があればプロも顔負けの作品を生み出せる『RPGツクール』を通じて、
ものづくりに興味を抱き、ゲーム業界を志した人も少なくないはずである。
しかし、公式でさえ全容が把握できているとは言い難いクソの迷宮たる本作では話が違ってくる。
踏み入れば最後、ツクラーは何時来るかも分からないゲーム側からのちゃぶ台返しに怯え、
やがては製作にかける熱意をも喪失してしまうだろう。

虚無感こそあるが、全ステージ制覇やエンディングへの到達といった、
プレイの大まかな目標を達成することが難しくはない次点4作品との絶対的な差が、ここにある。
これまでのKOTYのクソ要素を煮詰めてできた底無し沼にツクラーを陥れ、
完成が果てしなく遠のいていく『MVT』は、大賞の座に輝くには充分すぎる説得力を持っていた。
2010年の携帯機KOTYで一時期取り上げられるも「ツクーレナイ」要素の弱さが仇となり、
敢え無く選外となってしまった『RPGツクールDS』。
それから8年越しの雪辱を遂げた現在も慢心することなく、定期的なアップデートが実施されている。
赤と黒が混ざったサンタクロースとして、
改善と改悪を同時にプレゼントしている本作の先にある結末まで、今後も目が離せない。

平成最後となるKOTYも無事に終了し、新時代の夜明けを迎えようとしている。
2018年の流行語大賞では「eスポーツ」がノミネートされ、
茨城県で開催予定の国民体育大会にて、eスポーツ選手権の初実施が決定されるなど、
半世紀近い歴史を刻むコンピュータゲームは今もなお、その在り方を変化させ続けている。
発展なくして、未来はない―それは、クソゲーにも同じことが言えるのではないだろうか。

成功と失敗の織りなす過程では、どうしても成功ばかりに目を向けてしまいがちだが、
失敗だと揶揄されるクソゲーもまた、確実に進化の道を歩んでいるのだ。
2004年の大賞『ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸]』に始まり、
見事2018年の栄光を掴み取った『MVT』に至るまでの15年間、
KOTYに名を連ねたクソゲー達の惨状に、驚愕が絶えることはなかった。
ただ停滞していただけならば湧き上がらない我々の感情が、クソゲーの発展を裏付けるなによりの証拠である。
また、発明王トーマス・エジソンは、電球の発明に1万回もの失敗を重ねたことについて、
「失敗ではない。うまく行かない1万通りの方法を発見したのだ」という言葉を遺している。
我々も彼に倣って、娯楽を提供しようとしたがうまく行かず、斜め下の方向を突き進んだクソゲー達に敬意を表しつつ、
2019年も、その先も、記憶の片隅に埋もれることのないよう語り継いでいきたい。

最後に、『MVT』のキャッチコピーになぞらえて、
過去・現在・未来に通ずるスレ住人からの素朴な疑問を投げかけることで、本稿の結びに代える。

「クソゲーを作るって、楽しい?」