2015年 総評

2015年 次点

総評案1 (アジト×タツノコレジェンズ)

(3/5 15時修正)

2014年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)は、
二大巨頭の睨み合いに割って入ったヒーローが、劇的な勝利を収めた。
『仮面ライダー サモンライド!』……。
歴代ノミネート作の魂を宿し、見るものを魅了する稀代の「劇場型クソゲー」であった。

そして、そんなヒーローの姿にかつての強敵(とも)たちの面影を見出しながら、
我々は、かつて思い悩んだ自らの在り方について確かな答えを得ていた。

誰よりもクソゲーのことを深く知ろうとする我々だからこそ、
誰よりもクソゲーのことを愛することができる。
クソゲーを語ることは、間違っていなかったのだ、と。

高騰する開発費、日々減るゲームの発売本数……。、
この修羅の道がどこかで途絶えぬ保障など、何もない。
それでももう、立ち止まることはないだろう。
まだ見ぬ不幸の徒花を探して、我々は2015年の旅に出た。

***

2015年、最初に発見されたクソゲーは、あまりにも「意外」であった。

PS4/Xbox One用ダウンロードソフト、『テトリスアルティメット』(通称「テトアル」)。

本作の情報がスレに飛び込んできたとき、誰もが耳を疑った。
というのも、あの「テトリス」。
公式に定められた仕様が存在しており、本来的にクソゲーになりようがないジャンルである。
だが、「百聞は一プレイに如かず」。
最初にオンライン周りで、次いで一人プレイでの検証を進めた結果、スレで出された結論は、
「本作はテトリスではなく突き抜けた何か、いわば、『テトリヌ』である」というものであった。

まずは一人プレイでの特徴を見ていこう。

本作が壇上に上がった第一の要因は、その【究極すぎる難度】にある。
一般的に、テトリスは、プレイし続けると徐々にゲームスピードが速くなるものだ。
だが、本作の場合、あまりにも速くなりすぎて光の速度を超えてしまうのか、
時折、≪時間が飛ぶ≫という怪現象が起きる。
ラインを消去したと思ったら、次のブロックが下に着いていた……。
ブロックを置いたと思ったら、いつの間にか、次のブロックも同時に置かれていた……。
何を言っているかわからないかもしれないが、誤解や錯覚では断じてない。
秒間60コマの録画でビデオ判定された結果、これらのバグが起きている決定的瞬間が確認されたのである。
これまでにも高難度のテトリスは存在した。
テトリスという単純なゲームを難しくするためにメーカーは工夫を凝らし、プレイヤーもそれに真摯に応じてきた。
だが本作のように、プレイヤーが頑張れば頑張るほどゲームの動作が怪しくなり、
バグによって半強制的にゲームオーバーに追いやられるという超難度には、誰も納得しないだろう。

【ユニークな演出】もまた味わい深い。
グラフィックについては次世代機らしさを意識したのか、ラインを揃えると光輝く壮大なエフェクトが付く。
あまりに壮大過ぎて光の海が消えない中、待ち切れずに次のブロックがボチャンと飛び込んでいく様子は鬱陶しいことこの上ない。
サウンドに関しても独自路線をとっている。
BGMはテトリス定番のロシア民謡のアレンジだが、モードごとに完全固定で、ゲーム全体を通しても全3曲。
悲壮感漂うアレンジと、「ドクン、ドクン……」と不安を煽り立てる迫真のSEとが相まって、
まるでテトリスに誰か殺されたかのような異様な雰囲気を醸し出している。

問題点はまだまだ積み上がる。
続いて、【カオスなコンピュータ対戦】について説明しよう。
本作では強さ別の4種類のAIと対戦できるが、そこでプレイヤーは異様な光景を目にすることになる。
一つは、セミのようにやかましく儚い、最強AIの存在だ。
試合開始から高橋名人の全盛期を軽く超える秒間20連打で猛然と積みはじめ、
けたたましい操作音を立てながらひとりでに自爆していくその姿に誰もが圧倒されることだろう。
そしてもう一つ、プレイヤーを唖然とさせる点が、
対戦テトリス史上初と思われる≪試合放棄≫現象である。
接待プレイでも実装したつもりなのか、本作のAIは、対戦中にいきなり勝負を投げ出してしまうことがある。
糸が切れたようにぷっつりと操作をやめ、ただじっと自殺を待つ光景は、見る者に強烈な印象を与えるものになっている。

以上の通り、一人でプレイしてもアルティメットすぎる本作であるが、
信じがたいことに、多人数でプレイすることでさらなるアルティメットぶりを見せつける。
以下、【史上最低クォリティのオンラインモード】について述べよう。

プレイヤーはまず、各種ランキングが盛大にバグっていることに嫌な予感を抱くことだろう。
40ライン揃えるまでのタイムアタックを0秒や1秒でクリアした、などの不正なスコアが上位に鎮座している。
そして、オンライン対戦を有効にすることで、いよいよその予感は的中する。
まず、国内Xbox One版ではそもそも試合開始にこぎつけることすらできず、
「対戦開始まであと23時間待て」といった衝撃的な指示が画面に表示される。
一方、PS4版では多少プレイ人口が多いのか、繋がるには繋がるのだが、
そこに待っていたのはまた地獄……いや、地獄のそのまた最下層にあるコキュートスそのものであった。
その光景を克明に描き出した事件があるので、一部始終を紹介しよう。

それは2015年7月13日、「ニコニコ生放送」にて、本作の販売元メーカー公式チャンネルにて起こった。
何を血迷ったのか、オンラインバグ未修正の本作のプロモーションを、
メーカー自ら、全世界同時中継で配信してしまったのだ。
司会進行役のお笑い芸人、メーカーの女性スタッフ、そして対戦テトリス名人の3人で行われた本番組……。
のちに語り草となる、≪クソゲー公式生実況≫である。

冒頭15分、どう見ても相手側のテトリスが上端まで積み上がっているのに死なない「ゾンビ」現象が起きる。
見てはいけない光景を前に凍り付く三人。

「違うんですこれ! これ違うんです……違うんです……! 一戦目でぇぇぇ……!」

そんな女性スタッフの悲鳴をよそに、その後も仕切り直しのたびにゾンビ現象が発生し、淡々と死体蹴りが行われる。

「勝ったんですけど、ずっとできるんですね……あっ、ウィニングランみたいな」

そうこうしているうちに異常な光景にも徐々に慣れ始めた三人であったが、
次はブロックの挙動が異臭を放ち始める。
消えたはずのラインが高速で明滅し、ネオン広告のごとく強烈な存在感を放ち続ける「エレクトリカルパレード」や、
消えたはずのラインが「消えたかな? いや、どうかな?」とでも言いたげに消滅と復活を高速で繰り返す「踏み台昇降」が発生。
そんな中、今度はゾンビ現象とは逆に、相手側がまだ積み上がっていないのにいきなり決着してしまう。

一同しばし絶句の後、起死回生のフォロー。

「セコンドの方、タオル投げましたかね……?」

対戦テトリスのルールに「TKO(テクニカルノックアウト)」が書き加えられた歴史的瞬間であった。
なお、最終試合も案の定、ゾンビ現象が発生してグダグダになりかけたが、
テトリス名人が盤面を使ってアートを描くことで場を和ませ、事なきを得たことを記しておこう。
こうして、1時間連続、17試合中15試合で何かが起きるという前代未聞の放送事故が終了したのであった。

この事件、バグを直しきれなかった開発陣に最大の過失があったことは言うまでもない。
だが、よりによってそれを全世界生中継の場で発露させる神のいたずらは、あまりにも、あまりにも容赦ないと言えよう。
ともあれ、この奇跡の光景が2015年のクソゲー界を象徴するベストシーンであることは間違いない。
「一体全体、テトリスをどう作ったらクソゲーになるんだよ」という驚嘆の声とともに、
本作は無事、恥の殿堂に奉納されたのであった。

***

「不作」と言う言葉がある。
期待したほどクソゲーが出なかったことを指す、不謹慎な言葉だ。

2015年、11月を迎えた時点で選評が提出されていたのは『テトアル』一本しかなく、
それすらも未だ審議中の状態であった。
このまま終わるならば、例年と比べて穏やかな、平和な年だったと言えるだろう。

しかしながら、本当に「不作」だろうか?

否、違う……。

スレ住人は気づいていた。
空でもなく、海でもなく、地の底から放たれる、かつてない瘴気に。

あまりの凄まじさに「選評を書く気も起きない」とまで言わしめた怪物が、
我々の立つこの大地の下に、闇の根城を築き上げていたのだ。

***

遡ること5か月前、6月25日に『それ』は世に出ていた。

地鳴りとともに大地から現れた巨大な影。
空にそびえる鬼岩城。

Xbox One専用ソフト、『アジト×タツノコレジェンズ』(以下、「アジノコ」)である。

『アジト』と言えば、「秘密基地作成シミュレーション」というジャンルを確立したPS時代の名シリーズ。
その名のとおり秘密基地を地下に建設し、怪人やヒーローを思うさま配置し、敵陣営と戦うゲームだ。
そんな『アジト』1作目の版権を買い取り、再販やリメイクをしていたメーカーが、次世代機での完全新作を発表した。
さらに、今回は「ガッチャマン」、「ヤッターマン」等で有名なタツノコプロとコラボし、参戦ユニット数は60を超えると言う。
旧作ファンの間では否が応にも期待が高まるばかりであった。

だが、3ヶ月の発売延期を経て世に出たのは、
【モノを売るというレベルではない何か】だった。

それは、≪比喩でも揶揄でもない、本物の有料デバッグ≫であった。
のっけから、操作を一つ間違えただけで進行不能になるチュートリアル。
何もしていないのに勝手に壊れる基地施設、地中を飛び交う戦闘機。
そして何より、基地建設にかけた長大なプレイ時間を一瞬で吹き飛ばすフリーズの連続。
その他、敵と交戦中にセーブするとロード時に100%強制終了し、
メニュー画面からオンラインモードを選択するだけでも100%強制終了する。
もはや、「バグ祭り」としか言いようのない地獄絵図である。
中でも、「魔のエレベーター」と呼ばれる一連の現象はひときわ鮮烈な印象を残した。
巨大ロボを発進させた際、それに連動して、エレベーターが上下いずれかの方向に突き抜けていくのだ。
エレベーターと一緒に空の彼方、あるいは、地球の奥深くマントルに消えていった戦闘員は、永遠に帰ってこない。
呼び戻そうとすると、誰も歩いていない基地の中に謎の足音が響き渡るのは怨念のなせる業だろうか。

この有様では評価のしようがない。
おとなしく修正を待つほかないだろう。
なお、あまりの惨状に、ダウンロード版は発売1日で配信停止されたことを補記しておこう。

***

発売日から3週間後、修正パッチが配信された。
バグの発生頻度が軽減され、かろうじて評価できる程度には動作するようになった。
スレでの検証が本格的に開始したのもこのパッチ以降である。
だが……。

『アジノコ』第二形態。
そこに待っていたのは、さらなる絶望だった。

まず目につくのは、
【やり過ぎの次元をはるかに超えたコスト削減】だ。
本作では、「どこに金をかけたのか全くわからない」ほどの高レベルな倹約が行われている。
それを可能にした最大の要因は、
キャラゲーの常識を覆す≪原作ディスリスペクト≫。
本作には「米粒ほどの大きさで描かれたタツノコキャラのドット絵」以外に評価できる点がなく、
その他すべてが版権元に喧嘩を売る出来になっている。
例えば、顔グラフィックは原作アニメの切り抜きで、カットインは音声なしのアニメ本編を数秒垂れ流すだけ。
また、版権モノと言えばどこまで原作のキャストを呼べるかという点に注目が集まるが、
本作のキャストは全員、アニメ声優の専門学校から動員した素人である。
なお、実際にこれらの姿勢に対して考えるところがあったのか、
タツノコプロ公式サイトでは本作の発売について一言も触れられていない。
では、キャラゲー以外の面ではどうなのか?
端的に言えば、旧作素材によって作られた≪フランケンシュタインの怪物≫だ。
公式サイト上で自画自賛する「こだわりのドット絵」は、旧作素材を拡大して手直ししただけであり、
一部にいたっては旧作からそのままコピペして3倍に引き延ばしただけ。
このほか、内部パラメータ、説明文、ボイスにいたるまで、ほぼ全ての旧作素材をフル活用。
その使い方も、旧作ヒロインの死に際ボイスがザコ怪人の断末魔に使われていたりと、
シリーズ初プレイでも異常性に気が付くレベルの雑コラ加減になっている。

続いて、ゲーム内容を詳しく見ていこう。
本作には、大きく分けて「戦闘」と「基地経営」の2つのフェーズがある。

先に戦闘フェーズについて述べると、
本作には、こちらが相手の基地に攻め入る「侵攻戦」と、相手がこちらの基地に殴りこんでくる「防衛戦」がある。
このうち【侵攻戦】は、AIの機嫌次第で全て決まる≪祈りゲー≫だ。
本作のゲームバランスは「タツノコ>それ以外」であり、
多大な費用と時間をかけてタツノコキャラを戦地に送り出す必要がある。
だが、本作のAIはそんな苦労などつゆ知らず、敵基地に爆弾一つ仕掛けて勝手に帰還する戦闘放棄を繰り返す。
言ってしまえば、タツノコではなくアホの子である。
出撃命令を出すたび、全員一斉に目的地の逆方向に歩き出して壁にぶち当たる様子や、
ほかに通路があるのにエレベーター前で何日も行列を作る様子を眺めることになる。
もう一方の【防衛戦】はと言うと、むなしいだけの≪消化試合≫だ。
第一に、一部のタツノコ関連ロボが強すぎて、せっかく作った基地に敵が入ってくる前に焼き尽くしてしまう。
第二に、よしんば基地の中に敵が入って来ても、砂を噛むような味気ない世界が広がっている。
白衣の研究員を20人並べた部屋で敵戦闘員をリンチする、
お行儀よくエレベーター待ちする敵を無抵抗のまま後ろから撲殺する、といった光景に一体誰が心躍るだろうか。

次に基地経営フェーズについて述べると、
「作業ゲー」と「ヌルゲー」、「待ちゲー」と「連打ゲー」とをコンクリートミキサーにかけてぶちまけた、
【地獄の100時間耐久ルーチンワーク】になっている。
まずは≪作業ゲー≫、≪ヌルゲー≫の側面に関して。
本作にはミッションが30個用意されているが、プレイ開始から全面クリアまでやることがほとんど変わらず、
徹頭徹尾同じパターンの行動を繰り返すだけである。
続いて、≪待ちゲー≫。
本作の1ミッションあたりの時間は3,4時間ほどだが、何もすることがない時間がおよそ半分に相当する。
そして、残り半分の時間は≪連打ゲー≫だ。
ゲームの半分は、劣悪なUIのせいで十字キーと決定ボタンをひたすら連打させられる時間なのである。
このようにして、本作ではクリアまでの100時間以上、何ら創造性のないルーチンワークが延々と続く。
終わりのない単純労働によって徐々に精神を削られ、疲弊していくその様子は、言うなれば「タツノコ絶望工場」。
あまりの苦行ぶりに、パッチからたった3ヶ月でソフト本スレの住人は絶滅したのであった。

ただ、ここで脱落したプレイヤーはある意味で幸運だったのかもしれない。
ここからの先の真の地獄を知らずに済んだのだから。

11月17日、本作の検証が続く中、勇者の口から不意に、不吉な一言が発せられる。

「こんな時期に新パッチ来たんだが」

今思えばこれが、長い長いラストバトルの幕開けであった。

***

突然の知らせにスレ住人は総毛立った。

まさか、さらに凶悪になるのか?
いや、今度こそ、良い方に生まれ変わるはずだ。

祈りにも似た気持ちで待った結果、土埃の中から現れたのは、
なおいっそう禍々しく変貌した「大魔王」の姿だった。

『アジノコ』第三形態、
最後の審判の時である。

このパッチではフリーズの頻度が改善され、グラフィックやボイスの素材も追加された。
だが、それと同時に、ある一つの特大バグが混入してしまった。

「セーブデータが毎回リセットされる」。

ゲームを一度終了し、再開するたびに、100%の再現率で、
育てたはずのデータが、なぜか初期化されているのである。

本作では、「ミッションの進行度」と「入手したタツノコキャラ」のデータとが分けて管理されている。
このうち、進行度は全く変わらないまま、手持ちのタツノコキャラが忽然と姿を消すのが今回のバグの概要だ。
RPGに例えれば、
「シナリオが進んだ状態でセーブ&ロードすると、毎回、装備やレベルだけが初期データにリセットされる」
という事態に等しい。

勇者は、震える声でこう紡いだ。

これは、【賽の河原】のようだ、と。
石を積むたび、地獄の鬼があざ笑うかのようにやってきて、一つ残らず崩していくのだ、と。

このバグが起きてから、本作のゲーム性は激変した。
もともと「地獄の100時間耐久ルーチンワーク」だった苦行がさらに、
「初期データ縛り」か、「ぶっ通しプレイ縛り」かの2択を強要するようになったのだ。
前者を選ぼうにも、本作のゲームバランスは「タツノコ>それ以外」であり、
タツノコキャラなしで進めるのは絶望的だ。
一方で後者を選べば、数十日かけて進めたデータが、
ただ一度のフリーズや進行不能バグによって水泡に帰してしまう。
つまり、どちらに進んでも、死、あるのみである。

(知らなかったのか……? 大魔王からは逃げられない……)

そんな幻聴さえ聞こえてくるような、かつてない絶望が辺りを包み込んでいた。

最終的に、72日間の死闘の末に勇者は本作を制することに成功した。
だが、そこに笑顔はなかった。
……本作にEDが存在しないことは、以前から薄々わかっていたことだった。

最後のパッチ配信から三か月経過した現在、この「賽の河原」バグは未だ修正されていない。
本作が数多の問題点を修正し、皆に笑顔で受け入れられる「第四形態」に変わる日を願ってやまない。

***

さて、以上2つが本年のノミネート作である。
役者がそろったところで本年の大賞発表をしよう。

不作かとも思われた2015年……。
現れた両雄は、例年であれば何作かに分かたれるはずの不幸のエッセンスを凝縮し、
見たこともないほど強大な存在に結実していた。
神のいたずらさえも味方につけ、笑いの奇跡を引き起こした≪究極≫の光の戦士『テトアル』か、
人の手によって禍々しく進化を遂げ、プレイヤーの嘆き悲しみを歴史に刻んだ≪伝説≫の大魔王『アジノコ』か。
いずれも、これまでの大賞作品に勝るとも劣らない、当代きっての英傑である。

光と影、苦と楽……。
正反対の方向に大きく振り切った最強者たちの激突。
純粋なるエネルギーとエネルギーのぶつかり合いが、激しく火花を散らし、
あらゆるものを飲み込んで破滅させていく。
万物創成の様相をなしたこの新たなる神話の戦いを制し、新世界の領主として名乗りを上げたのは……

『アジト×タツノコレジェンズ』である。

本作の勝利を決定づけたもの……
それは、「質と量の両面で最高峰を成す、規格外のクソさ」である。

いわゆるクソゲーには、大きく分けて2つの類型がある。
一つは、クソ要素の数が多いもの、すなわち量で勝負の「バラエティ」型。
もう一つは、飛び抜けて大きなクソ要素を持つもの、すなわち質で勝負の「インパクト」型だ。
これまでのノミネート作品を振り返っても、概ねどちらかの傾向に分類できると言えるだろう。

その点を踏まえて2015年のノミネート2作品を比較してみよう。
『テトアル』は、インパクト型の典型である。
テトリスとして最低限プレイできることがプラス評価の材料になりながらも、
「試合放棄AI」や「史上最低クォリティのオンライン」などの離れ業によって大きく逆方向に打ち返している。
かたや、『アジノコ』はどうだろう。
「魔のエレベーター」のインパクトはあったものの、
それよりも、どこを切っても隙の無いバラエティ型としての強さが際立っている。
だが、第三形態になったことで『アジノコ』は劇的な変貌を遂げた。
不可避的にセーブデータが初期化される「賽の河原」バグと、
それに連なる「クソゲーなのに縛りプレイ強要」という、
クソゲー史においても記録的な、特大のインパクトを持つクソ要素を手に入れてしまったのだ。
言うなれば、本作はただでさえ打率10割のバッターでありながら、
それに加えて場外ホームランを飛ばしてしまった。
このような規格外の存在を前にしては、どんなクソゲーも道を譲らざるを得まい。

それにつけてもクソゲー史に残るインパクトを誇る作品が2015年に二つ集結してしまったとは、
『テトアル』の不運が悔やまれてならない。
一方で、『アジノコ』はXbox系列ハードの作品としてはKOTY史上初の受賞となる。
奇しくも、パッチによる進化という共通項を持つ同門の『ジャンライン』の雪辱を見事に果たしたと言えよう。

***

タツノコプロと言えば、タイムボカンシリーズに登場する「三悪」の存在がつとに有名だ。
目先の欲望から悪だくみに走り、毎度人々を困らせるものの、すぐに露見して手痛いしっぺ返しを食らう。
そんな、永遠の憎まれ役。
だが、三悪がいたからこそ、ヒーローたちの物語は輝いていた。
影があってこそ映える光であり、悪があってこそ引き立つ正義なのである。

思えば、クソゲーもまた、三悪に相通ずるところがあるのではなかろうか。

クソゲーそのものは、買った人々を不幸にする忌むべき存在である。
だが、クソゲーを通じて人は、憤りを機知に昇華し、苦しみをおどけに転じることができる。
そうして結局、誰も憎むことのない、笑顔に満ちた世界が形作られるのだ。
この不思議なパラドックスに我々はいつも心惹かれてきた。
だからこそ我々は、
クソゲーが生まれることを悲しみながらも、
心のどこかでクソゲーを待ち望んでしまうのかもしれない。

「負けない。くじけない。何度もよみがえる」。

クソゲーにはこれからも、三悪のようなしたたかな存在であり続けてほしい。

それはそれとして、今回の検証を終えた率直な感想を、
往年の名作にしてタツノコプロの代表作「ヤッターマン」の決め台詞から拝借することで、本年の締めくくりとしたい。

「勝利のポーズ! ヤッター、ヤッター……やってられんわ!!!!」