[[2012年 総評]]~
[[2012年 次点]]~

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このページは、2012年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
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*総評案1(ヘビーファイアアフガニスタン)
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大飢饉時代。
昨年の「七つの大罪」がもたらした選評ラッシュの勢いはどこへやら、2011年度同様にスレ住人は飢えに飢えていた。
もはや恒例と言わんばかりに、話題になりえる選評が届かないまま半年以上が過ぎようとしていた。
「我に七難八苦を与えたまえ」と大小問わずあらゆる作品の検証が進むも、いっこうに住人達の満足いくクソゲーは現れず。
延々と戦略的撤退を続ける期待の星の発売延期が伝えられる度に、漏れだす溜息。
もはやクソゲーは出ないのではないだろうか・・・・
そんな重々しい空気がスレ内に充満し、住人の不安はますます募るばかりだった。
その時が来るまでは・・・ よもや最初の刺客が思いもせぬ方向から襲来しようとはまだ誰も知る由もなかった2012年の後半、奴らはやってきた。
はるばる海の向こうから。

かつて修羅の国から一隻の黒船が到来したのは記憶に新しい。
しかし今回は、まさかの北米市場からのリアル黒船が来てしまったのである。
しかも二隻も。そのうちの一つが『ヘビーファイア アフガニスタン』(通称:アフガン)。

北米WiiwareDLランキング1位というスレ住人にとってはもはやフラグでしかない実績を引っさげ、日本市場に上陸を果たした『HEAVY FIRE』シリーズ最新作。
伏兵として3DSに姉妹作『ザ・チョーズン・フュー』も先に潜伏していたが、両作品が双方のフィールドで派手に戦火を広めるとは誰が想像しただろうか。
当作品は北米市場でWii、PS3、PCとマルチで展開され、PS3版のみが日本語でローカライズされる。
一見するとFPSに思われがちだが、タイムクライシス系統の「隠れるレールシューティング」に該当する。
アーケードゲームではおなじみのジャンルであり、そこそこ安定したゲームデザインも確立されているためクソ化するはずはないのだが、
同ジャンルでかの征夷大将軍『デスクリムゾン』が盛大にやらかした実績もあるため全くの安パイとは言えず、その教訓が海外にまで波及していなかったことが判明する。 

まず大まかなゲーム内容を見てみよう。
プレイヤーは新米の海兵隊となり、アフガニスタンのゲリラを掃討していく・・・ただそれだけである。
特定のリーダーが登場したり巨大な陰謀に立ち向かうといったバックストーリーはなく、最後はヘリを一機撃墜して仲間と喜んで終わる。
ただそれだけである。
全くもって地味すぎる設定ではゲームを盛り上げる事は出来ず、一部を除けば各ミッション間の繋がりもなく、
毎度ぶつ切りのストーリーにプレイヤーが没入できる隙は微塵もない。
ミッション間でなぜか挿入されるチュートリアル用の射的ゲームにも何の説明もなく、ただプレイヤーを冷めさせるだけ。

演出面にも問題は多々ある。
次世代機としては申し分のないグラフィックでありながら、敵は初代プレステ並みのもっさりした動きで迫ってくる。
無駄にローリングしたり明後日の方向に撃ちまくったりと、まるで何世代か前のゲームをプレイしているのような錯覚に陥る。
銃声はサイレンサーでも付けたのかと思うくらいに小さく、終盤で入手するロケットランチャーはポップコーンの仕上がりのような音を出す始末。
なかば棒読みの無線はゲーム内容と一致せず、人質を全員殺害しても全員の安全を確保したと嘘の報告をしだす。
ルート分岐も一切なく、時折挟まれるQTEを失敗しても、ダメージも演出の変化もなくボーナスポイントが加算されないだけ 。

これだけを見てもゲームとして十分に酷い出来だが、これはほんのウォーミングアップにすぎない。
このゲームの真価はそのレールシューティングとしてのありえない仕様にある。
その最たる事例が、ダメージ後の無敵時間が全く無い点である。
FPSならば敵の集中砲火にあえばそのまま絶命という流れも珍しくもないが、
移動が全てオートで行われるレールシューティングにおいては安全地帯の確保は敵を順序よく倒すこと、そして身をタイミングよく隠す事になる。
しかしどういうわけか、画面の両端から複数の敵が致命傷となる弾丸を撃ち込んできたり、隠れることの出来ないシーンも出てくる。
さらには隠れている最中にも敵に捕捉され、文字通り頭を隠して尻隠さずな状態にもなる。
逆に言えば隠れながら敵を撃てるが、画面に敵がいないにもかかわらずガンガン撃たれるシーンが最終ステージでも発生しうる。

ダメージマークもただ穴がぽつんと画面に表示されるだけなので非常にわかりにくく、気付いた頃には連続でダメージが入っていることもよくある。
これらの合わせ技によりダメージがほぼ不可避な場面にプレイヤーは遭遇することになるが、チェックポイントからリスタートしてもダメージは残ったままという心折設定。
多くの敵を同時に攻撃できるグレネードもモーションが非常に遅いため、使い勝手が悪い。
ある程度慣れれば立ち上がりながら投げられるようにもなるが、どのみち画面上の敵を一掃できるわけでもない。
加えて改造していない状態ではメイン武器はあっさり弾切れを起こし、ハンドガンで大勢の敵を一度に相手にしなくてはいけないためテンポも非常に悪い。
多くの購入者がFPSと勘違いして買ってしまったという報告が上がっているが、開発側がFPSと間違えて作ったのではないかと疑いたくもなる。 

この他にもゲームの煩雑さを物語る仕様はいくつもある。
まずゲーム難易度はノーマルとハードの二つが用意されているが、
車両以外はどの敵もどこを撃っても1撃で倒れる上に配置に差がないため、最大の違いが実質、画面の明るさだけとなっている。
逆光や影の強度が増し、元々かなり見えづらい敵をさらに見えなくしている。
オプション画面の輝度で調整すれば多少は改善されるものの、なぜかゲーム内ではなくテレビ本体で調整する必要がある
しかし、問題はそもそも敵が見えづらい点にあり、遮蔽物から完全に身を乗り出しているのに発見できない事が多い。
ノーマルでも煙や炎の後ろにいたり逆光や影に完全にとけ込んでいるなど当たり前で、ようやく見つけて倒したらと思ったらまだ残っている事がよくある。

配置されている距離が異様に遠い者もおり、スナイパーゲームではないかと疑うレベル。
しかし取り付けられた照準器を覗くことは決してしない。
シューティングであるにもかかわらず選べる武器は連射系4つだけで、
しかも持ち運べるのはメイン1丁と弾切れを起こした時にしか使えないハンドガンのみ。
武器の交換もカスタマイズ画面でしか行えず、変える度に改造や全ステータスを毎回リセットしなければならない。

またMove対応ソフトでありながらキャリブレーション等のセッティングにも難があり、
オンラインが対応しているのがランキングの反映のみ、説明書もモノクロ5Pと極薄で説明不足、
AVアンプを使うと画面が真っ黒になる、ゲーム中に存在しないアングルを多用するPV詐欺など、つつけばつつくほどにボロが出てくる。

あげくにローカライズ作品としての信じられない有り様も次々と露呈する。
音声は英語のみであり、追加された読みにくい日本語字幕はあろうことか何行も画面中央に表示されプレイを妨害してくる。
さらには極薄の説明書も北米版では英仏両言語合わせて20Pものボリュームもあり、
日本版には記載されていないボーナスポイント全般についてもしっかり明記されている。
そして元々19.90ドル(約2000円)のゲームを5980円で売るという暴挙にまで出ている。
余談ではあるが、3DSの姉妹作が5ドルから5000円と10倍の値をつけてるあたり、販売元のハムスターがいかに本気なのかが伺える。

ゲームそのものの異臭もさることながらそれにさらなる拍車をかけてくるローカライズの在り方は、まさに衝撃そのものであった。
長い飢饉にピリオッドを打った初の洋ゲーの上陸をスレ住民は歓迎し、新たなフィールドへの道が開拓されることとなった。


その後を追うように、早くもスレに到来したもう一隻の黒船、それが「デュークニューケム フォーエーバー」(通称:DNF) 

前作の発売から開発に14年もの歳月をかけた事ですでに壮大なフラグを立てて登場した本作。
海外では『DOOM』や『QUAKE』シリーズと並ぶ絶大な人気を誇る古参FPSとしてシリーズファンからは大きな期待を寄せられ、
それを見事なまでに裏切られた悲痛な叫び声も幾ばくかはスレに届いていたが、
海外ゲームという性質上なのかローカライズ版のプレイ報告がなかなか来なかった。
しかし、アフガンが道を切り開いてくれたためかようやくその選評が届くと、事態は一変する。
元々のゲームのクソっぷりに加え、なんと日本版限定の酷い扱いまでが露呈しスレ住民は多いに沸き上がった。 

本作は『Duke Nukem』シリーズ四作目として1998年に発売を予定されていたが、実際に北米本国で発売されたのが2011年と、
当初の予定から13年もかかるという前代未聞の大延期を繰り返していた。
ゲームエンジンと開発チームの相次ぐ変更による開発リセット、あげくに開発会社自体が閉鎖される等様々なトラブルに見舞われただが、
2010年の突然のプロジェクト再開発表から1年後にようやく販売される事に。
途方もない難産であったためか訓練され続けたファンには発売直前の1か月延期などもはや何の意味もなさず、
それに呼応するかのように公式サイトの「延期へのお詫び」をクリックすると「NOT FOUND」になる毅然とした態度を見せている。
大手レビューサイト「Game Trailers」は「恥知らずの忌々しき後継者」と酷評、「1UP」では初の0点をつけられ、
日本版が延期の末ようやく2012年に発売日を迎える頃には、Steamでのオリジナル版の価格が300円まで暴落していた。

それでは「14年も掛けたんだから面白くて当然だ」と意気込む主人公の台詞で始まる本作の全容を見ていこう 

「デューク・ニューケム」といえば、筋肉モリモリのマッチョマン「デューク様」が銃器片手にお下品なジョークを飛ばしながら
宇宙人を次々と薙ぎ払い地球を救う、痛快FPS。
幾度の侵略から地球を守ったデューク様がスターダムを駆け上がり、立ちションをしている場面からゲームがスタートする。
だがそんな豪快なキャラ設定とは裏腹にゲーム中では体力設定がとてつもなく低く、
ちょっとでもダメージを受ければこそこそと敵から隠れ自動回復を待ち、ちょこちょこと顔を出して敵を一体一体倒していくという小物ぶりを発揮する。
弾数も少なく持てる武器が最大で2つなため、徹底的に節約にいそしむ姿からもキャラとのギャップをバリバリ感じることができる。
「クソを手にして投げつける」などデューク様お得意の下品なジョークも序盤こそ健在なものの、
ゲーム開始30分後からは息切れでもしたかのようにほとんど無くなり、次第に「クソを投げつけられたのは俺達」とプレイヤーに気付かせる。 

ゲーム中の謎解きは完全にノーヒントで次の目的地や具体的な指示もなく、あげくにマップすら存在していない。
無駄に広大なフィールドで迷子になっているデューク様に突きつけられるのは、
毎回30秒はかかるロード中の「困ったらWEBのQ&Aを見ろ」の文字、つまりは「ググれカス」である。
なお、公式にQ&Aが存在しているわけでもないことも言及しておこう。
肝心の謎解きも「重しを乗せるだけ」といったとてつもなく地味な作業が延々と続く。 

こうした謎解きの合間に派手な戦闘が行われればよいのだが、
そもそも戦闘自体があまりなく、敵の種類の少なさと相まって余計に地味さが増す。
さらには敵のAI調整も雑なため、銃を持っていようともこちらに突撃しゼロ距離発射をしかけてくる。
かと思えば、命中率も異常としか言えず、どれだけ離れていようともゴルゴもビックリなくらいに正確に弾を当ててくる。
一体どちらがデュークなのかと問いたくもなる。
加えてどこに隠れていようとも、透視能力でもあるのかと疑うぐらい正確にグレネードを投げ込んでくる。
中にはダメージを負う度にワープする雑魚敵がおり、現れた瞬時に正確無比な弾丸を浴びせてくる。
背後にまで現れることもあり、囲まれてしまえばそのままゲームオーバーといったバランス崩壊もまざまざと見せつけてくる。
一方でラスボスは容姿から攻撃方法、止めの演出にいたるまで最初のボスの使い回しであり、異様なほど弱い。
最後の最後で真逆のバランス崩壊をみせ、がんばってクリアしたプレイヤーの失笑を買うことには成功している。 

このようにFPSとしても問題だらけのDNFだが、これらをさらにヒートアップさせるのがシステム面での問題だ。
先にも述べた通り、ローディングには30秒もかかるわけだが、どういうことかインストールにはHDDの容量が4.6G以上も必要である。
超高画質のムービーシーンが満載というわけでもない上に、敵などの物体が動くだけで頻繁に処理落ちまで起きる。
エリア移動、リトライとあらゆる場面でローディング発生するため、そのたびに長い待ち時間によるストレスが加算されていく。
加えてオートセーブのタイミングもめちゃくちゃで、一例を挙げれば、戦闘で死亡するとその直前の謎解きまで逆戻りする。
戦闘終了後にトラップで死亡した場合でも戦闘前に引き戻される等、心折設計にもきちんと配慮がなされている。

こうしたゲームそのもののクソ要素だけでも十二分に酷い惨状なのだが、そこにさらに汚物を投下したのが本作のローカライズ版である。 

まず日本語音声と英語字幕、または英語音声と日本語字幕という組み合わせが出来ない。
収録された言語はゲーム機本体の言語設定に依存しており、設定が日本語のままでは英語音声も英語字幕も一切選択できない。
また日本語キャストには立木文彦、喜多村英梨、後藤邑子と豪華な声優陣が参加しているが、
その名前はスタッフロールはおろか説明書にすら記載されていない。
加えて日本では海外で配信済みのDLCが一切配信されず、システムの不具合を直すパッチも同様の扱いである。
例えば、不評だった武器枠を2つから4つへと拡張するパッチは日本版では未実装かつ解禁予定一切なし。 

18禁指定がされているにもかかわらず大量のエログロ表現が規制され、上記パッチ未配布と合わせて完全なダウングレード版となってしまっている。
しかし最大の問題点は日本限定のオンラインサーバーの隔離であり、その事実が公式に発表されたのがまさかの発売当日だった。
そのため、ただでさえ購入者が少ない本作のユーザー同士の対戦が国内では一か月ほどでほぼ不可能となった。
オンラインプレイでの過疎ぶりは凄まじく、5月7日時点での1時間以上の対戦プレイをした人数は20人にも満たない状態に(30分でも40人程度)。
発売半年後にはランキング下位に「プレイ時間 00:00:00」の表示が並ぶ異様な光景が広がっていた。
なお、当ゲームの検証を行ったスレ住人同士が協力し合い、ようやく対戦が実現できた事も付随しておきたい。

かつては下ネタを武器に一世を風靡したはずの人気の洋ゲーも、ローカライズで全く別の方向で笑いを取りにくることになってしまった。
シューティングという安定した人気ジャンル、そして洋ゲーという未知の分野から連続して2作品も輩出された事にスレ住人のテンションは最高にハイとなった。 

一方、海外からの思わぬ攻撃に国内のゲームが黙っているはずもなく、一体の魔物が蠢き出すのであった。
満を持して登板したイメージエポック、そしてその背後に威風堂々と立つ大御所バンダイナムコゲームズが放った刺客の名は「時と永遠〜トキトワ〜」(通称:トキトワ)

ゲーム史上「初のHDアニメーションJRPG」を謳い文句に、モーションが全て手描きのキャラクターを3Dの空間で動かすという画期的な試みがされている本作。
新規タイトル、和製RPG、ヒロインの人格を入れ替えながら物語を進めていく様は、どことなく前々年度の覇者の姿を彷彿させるが、
その大先輩に恥じない盛大な滑りっぷりを見せてくれるのであった。 

まずは目玉のアニメーションについてみていこう。
発売前に公開されたPVでは、移動も戦闘もどちらも不自然なカクつきが目立ち、とても良質なアニメーションとは言いづらい出来映えであった。
原因はその圧倒的に少なすぎる作画枚数である事が容易に伺え、特に戦闘ではかの伝説のアニメ『MUSASHI -GUN道-』並とも一部では囁かれた。
そしてそのままのクォリティで発売を迎えるトキトワであったが、その後も口パクと音声が見事なまでにずれることや、そもそも口パクすらなくキャラがしゃべっているシーンまで発見される。
しかもサブシナリオでは一切声が出ずに口パクのみとなっていた。

キャラ同士の視線の不一致、距離感の無さなどいたる所から演出のダメさ加減が露呈し、移動シーンでは横移動のアニメーションが用意されなかったためか、
前後させる事しか出来ないことも判明する。
次世代機におけるフルアニメーションを売りにしているとは思えないあまりもの稚拙な完成度から、PC−FX時代の作品以下とまで言われる始末。
これだけ貧相な演出内容であるにもかからず、インストールに要する容量は4.5GとわずかにDNFに届かず、
一体両作品のどこにそれだけ容量を食う要素があるのかと改めて問いたくなる。

しかしトキトワの本質的な問題は、その見た目よりもむしろRPGの部分にあるといわざるを得ない。

まず戦闘であるが、初代ドラクエと同じく1vs1の方式になっている。
しかも敵が複数いた場合、1体倒すと次の一体に画面がスクロールしグダグダな演出の中、戦闘が継続される。
これで敵のバリエーションが豊富であるならばある程度は仕方ないのだろうが、色違いを除けばボスを含めてわずか20体しかいない。
パラメーターが全く同じ敵まで存在し、HPや攻撃力、防御力、経験値、GP、落とすアイテムまでもが完全に一致することさえある。
さらには攻撃パターンまでも一定のものばかりで、パターンさえ覚えてしまえば「回避>攻撃」を繰り返すだけの単純作業へと早変わりする。
元々ボイスのバリエーションも少ないため、「止まらないわよ!止まらないわよ!止まらないわよ!」と同じパターンを頻繁に繰り返す結果となり作業感がさらに増す。 

戦闘バランスも褒められたものではなく、平均的なRPGよりも装備品によるパラメーターの上昇率がかなり高いため、わざわざレベル上げをする意味がほとんどなくなる。
その一方で、装備品を整えるために必要なお金は逃走するとかなりの額を失うリスクを負い、
スズメの涙ほどしかゴールドが得られない安全な戦闘を延々と繰り返さなければならない。
それを考慮してか、序盤の敵と終盤の敵との経験値の差がほとんどなく、
もしレベル上げを必要とするならば倒すのに数分もかかる終盤の敵よりも数秒で終わる序盤の敵を延々と狩り続ける方がいいという顛末に。
その結果、弱い物いじめを繰り返すヒロインの姿を見続けるハメになる。 

また、戦闘中における能力のアップ/ダウン効果の数値も異常であり、
自らに防御アップと敵への攻撃ダウンを一回ずつ行うだけで数百の被ダメージがあっさりゼロになる。
ラスボスでも数回同じようにかけるだけで被ダメージがなくなるなど、もはや調整を放棄しているのではないかと疑ってしまう。
先の装備品でのパラメーター変動を加えると、推奨レベル50のラスボスでさえレベル30程度で倒せてしまう。 

さらには魔法攻撃が通常攻撃に比べ圧倒的に強く、インフレ具合もひどいものとなっている。
例に挙げると、最初の攻撃魔法を覚える頃の通常攻撃は60〜70程度のダメージであるが、その魔法だけで4000ものダメージを叩き出せる。
終盤で覚える究極魔法にいたっては通常攻撃の1000倍以上の威力があり、ラスボスを含む全ての敵に大ダメージを与えられる。
かの大先輩にここぞと反逆するかのように、「武器と装備を整え、レベルを上げずに魔法で殴れ」と主張しているかのようだが、
どのみちバランスが崩壊しているという意味ではただの両極端な悪い2例でしかない。
しかしその一方で魔法が効かない雑魚敵もおり、通常攻撃の弱さから戦闘が非常に長引くという逆のバランスの悪さも同時に有している。

また、ヒロイン「トキ」と「トワ」の人格を入れ替える「デュアルソウルシステム」も見事なまでに滑っている。
それぞれの人格が入れ替わるタイミングがレベルアップ時限定なため、一方が新しいスキルを覚えた場合、
もう一方に入れ替わると使えなくなるというデメリットが生じる。
つまり、場合によってはレベルアップする事で弱体化するという事もありえる。
さらに両者には髪と声以外に変化がほとんどなく、パラメータもほとんど差別化されてないなど、
何のためにあるのかよくわからないシステムとなっている。
そしてストーリー面でもこのシステムが大きな矛盾を生む要因となっている。 

本作は結婚式の真っ最中に主人公が謎の集団の襲撃を受け絶命し、その命を救うためにトキとトワが時間を旅するというもの。
別人格の二人のどちらかが最終的に結婚できるという流れなのだが、作中に5回開かれる結婚式のアニメーションは全て使い回し。
そのためトワの状態であるにもかかわらずトキの映像が流れ、最後にトワを選んだ際には「まるでトキみたいだ」の一言で全て済まされる。
しかし直後のキスシーンではトワに変わっているので、プレイヤーが大混乱の中、ゲームの幕が閉じるのである。 

幸せの絶頂にある主人公の死から始まる物語はその設定からシリアス路線が想像されるが、
実際は製作陣の寒いギャグと内輪ネタに彩られ、シナリオの隅々に極寒の風を吹かしている。

まず、主人公が前年度の次点作のバイト君並みにうっとうしい性格であり、プレイヤーの没入感を妨げている。
また、ドラゴンとの不当な契約を消費者センターに訴えると連呼し、
所有しているアナログテレビには砂嵐しか映らずナイター中継を観たいから戦うと言い出すなど、
典型的ファンタジーの世界観を完全に無視した会話が平然とキャラ同士で飛び交う。
緊迫したボスとの対峙で早口言葉合戦を始める、デューク様と同レベルのセクハラ発言や下品な演出もあり、
重要なイベントアイテムを「う〜〜〜ん!!ひり出すから受け止めろよぉ〜〜〜!!!出る〜〜〜〜!!!!」という台詞とともに暗転中に手渡される。

お使いイベントで入手した「ゲロマズケーキ」を手渡すと「わけのわからないイベント」をよく達成できたと褒められたり、
「カクザ島」「グラニュー島」「オサ島」の寒いネーミングにゲーム中でセルフツッコミを入れ、
画面外のプレイヤー達に冷凍魔法を頻繁にかけてくる。
これらの寒いネタを自画自賛するゲーム会社社長の分身「ミカゲール」なるキャラクターをわざわざ登場させているあたり、
2007年の偉大なる先輩から何も学んでいない事がよくわかる。 

またアフガン同様にプロモーションの仕方にも問題はあり、ダメな部分を極力隠すというせこい手法に打って出ていた。
そもそもアニメーションの問題点は作画の枚数不足だったため、静止画ならそこそこクォリティーが高く
紙媒体のメディアでは好評価で取り上げられていた。
さらには体験版を一切配信せず、発売直前のTGSでの試遊台も設けずトークに徹し、
発売前に購入者にさわらせないことを徹底する。
その結果か初週販売本数は32000本と売れすぎたトキトワの購入者らは、
阿鼻叫喚の地獄にたたき落とされたことは言うまでもない。 

餌に使用されたCGも、ふたを開けてみれば収録されているのがたったの11枚で、残りは全て有料DLCというあこぎな商法にも手を出している。
しかも一本500円の追加シナリオはそれぞれ10分程度しか収録されておらず、
CGだけが見たいのであれば無修正のまま公式サイトに載せてあるので買わない方がマシという、ゲーム本編よりも面白いオチが用意されていた。

バグも無く仕様通りでプレイヤーに様々な苦痛を与えてくる姿は、依然としてストロングスタイルの和製クソゲーが健在であることを証明した。
大先輩の『スベリオン』にも決して引けを取らないトキトワは、日本のクソゲーもまだまだ捨てた物ではないとスレ住民を安堵させるのであった。 

2012年には最終的に3本のクソゲーが大将争いに残った。
しかしたった3本といえ、ぞれぞれのポテンシャルはこれまでの大将クラスに恥じぬ出来であり、
バグすらもないくせにやたらとハイレベルなクソを数多くのプレイヤー達に投げつけた。
海外から、そして国内からも我こそはと言わんばかりに立ち上がった3者らは、どれをとっても今年度の覇者にふさわしい内容といっても過言ではないだろう。

そんな苛烈な戦いに勝利し、見事に王者の座を勝ち取った作品、それは: 『ヘビーファイアアフガニスタン』 

その理由は、あらゆる点において他の二作品よりも一歩リードしてしまっていることにある。
まずジャンルとして比較しやすいDNFからすれば、
両者ともシューティングとして粗雑な作りではありプレイスタイルも同じようにコソコソと隠れてチマチマと敵を倒す方法にならざるを得ない。
だが、アフガンの場合はレールシューティングの性質上これを強制され、FPSであるDNF相手に「動けるだけマシだろ」と言えてしまう。
さらにはバリエーションは少ないとはいえ一応はエイリアンの種類があるDNFに対し、アフガンは民兵と車とヘリぐらいしか敵がいなく、
きちんとしたストーリーもない、武器の種類もハンドガン合わせてたった5つ、自由に切り替えも出来ない、
SEもおかしいなどシューティングとしての最低限のことが出来ているかすらも怪しい。 

過疎状態のため連絡を取り合わなければ対戦すらできないDNFではあるが、
そもそもオンラインプレイ自体元からないのがアフガンである。
しかもマルチプレイは一画面共有なため、一人が隠れる動作を行うと全員が隠れてしまため
リアル軍隊並みの連携が求められるアフガンは、
一歩間違えれば殺伐とした空気を生み友情破壊にも繋がる危険性がある事が後の検証で判明する。
よもやこんな形で前年の覇者の魂を受け継ぐものが現れようとは、だれが想像していたか。 

そして同様の発売前詐欺を行ったトキトワではあるが、一応はゲーム内素材でごまかした猿スタイルだったのに対し、
PC版の映像とゲーム中に存在しないアングル多用のリアル詐欺PVをやらかしたのがアフガン。
一方では中身のないDLC販売を行い、もう一方は20ドルから5000円への値上げをすることで上手く張り合っている。
しかし、2つの難易度で2倍の水増しをしたアフガンの内容の薄さは凄まじく、
投げっ放しながらも真EDが用意されているトキトワには二週目をやる価値は一応あるかもしれないが、
画面が見づらくなるだけのアフガンにその価値は果たしてあるのだろうか。
ストーリーは稚拙ながらもムービーや会話があるトキトワに対し、
アフガンにいたってはミッション前の流れを10行ぐらいの長文を1分間だらだらと読むだけという手抜きまで披露してくれる。 

インストール容量ではリードされがちかと思えば、アフガンまでもが2.3Gもの容量を食っているあたり、
お前らの胃袋はどうなっているんだと思わず問いたくなる。
ローディング時間では有無を言わせないDNFだが、アフガンも負けじと毎ステージ前に20〜25秒の待ち時間を設けている。
DNF、トキトワと無駄に豪華な声優が参加しているのに対し、アフガンはローカライズで撮り直しがあったわけでもなく、
無線自体からもやる気の無い声がしょっちゅう流れてくる。
キャラ設定も難易度別に新米とベテラン兵士の違いはあれど、性能差など全く無い上に掘り下げも無く、ともに戦う仲間はほとんど空気化している。 

OPとEDムービーすら用意されておらず、徹底した手抜き具合があらゆる場面から見て取れるアフガンは、
バグ以外は全方位に対応できるオールレンジスタイルのクソゲーとして完璧すぎる布陣を築いている。
その圧倒的火力で他の追随を許さない姿を、なぜゲーム中で活かせなかったのかと問わざるを得ないほどにクソゲーとして完成されているアフガンは、
新天地開拓という偉業とともに2012年のクソゲーのトップにふさわしい勇姿を存分に見せてくれたのではないだろうか。 


振り返れば2012年はクソゲーのみならず、日本のゲーム市場全般が冷え込んだ年とも言える。
特にWiiにいたっては、新ハードの発売が控えていたとはいえ一年以上もWiiwareで新規ゲームが配信されず、
また他ハードにおいてもゲーム本数は軒並み低調であった。
様々な理由はあれど、やはりクソゲー界においてもその冷えきった風は吹き荒れ、
前年度同様に半年以上もの飢饉に苦しむ結果となった。
それゆえ、まったく未知のエリアから来訪者が複数到来したらのは、あるいは必然だったのかもしれない。

思い起こせばKOTYには毎年、新しい風が吹く。
決してクソ化はしないだろうと思われたADVからの革命児、スポーツゲーム、オンライン化に伴うパッチでの改悪、
修羅の国からの襲撃、和製RPG、国民的ゲー無、そしてついに来てしまった洋ゲー。 

年々進化し続けるクソゲーの在り方は、あるいはゲーム市場の未来を反映しているのかもしれない。
そこには様々なドラマがあり、毎年異なった様相を提示してくれる。
クソゲーが出ない事は幸せな事である。だがクソゲーが無いゲーム市場も、なかなかどうして寂しいものである。
大物企業の撤退をはじめとするゲーム業界全般の衰退が危ぶまれる中、
これでもかと言わんばかりに張り合う国内外のクソゲー界の猛者達。
その姿にはまだ、ゲーム市場に秘められた熱い闘争心が依然として健在である事を示しているのではないだろうか。
この熱くも重い炎が今後のゲーム市場を活性化し、さらなるクソゲーを輩出してくる事を願わずにはいられない。

そんな期待も込めて、今後のゲームの未来に対して敬意と激励を、「ヘビーファイアーアフガニスタン」からの一言とともに送りたい:


ふぅあーーーーーーーー!





・・・・・余談ではあるが、携帯版、さらには2013年度据置版に既にハムスターが刺客を送り込んでいるあたり、あまり心配をする必要は無いのかもしれない


-終わり- 
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