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2011年総評案?

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このページは、2011年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。

総評案10(code18)

「あなたは、戦っている時は平和を、そして平和の中では戦いを…
そうしなければ生きていけない。あなたはいつも蜃気楼を見ているんだわ……」
(小学館『エリア88』より抜粋)


幾多もの猛者・強者が暴れ、壮絶なる戦いを繰り広げた2010年。
熾烈を極めた戦いを制したのは、PS3用ソフト『ラストリベリオン』であった。
名言「レベルを上げて物理で殴ればいい」は、その後も色々なところで見聞きする事となったのであった。

さて、そんな2010年が過ぎ、年も明け2011年となったKOTYスレに訪れたもの。
それは他のどのスレよりも、このスレに似つかわしく無いもの、“平和”であった。
据え置き機がどの機種も発売後数年を迎え、各社扱いに慣れてきた為か
はたまた天井知らずな開発費を抑えるため無難なものしか発売されない為か。
ともかく、“クソゲー”が一本も出なかったのだ。


そしてこの状態はなんと、10ヶ月もの間続くこととなる。


その間、KOTYスレにあった事といえば
「数本のクソゲー未満の選外作品」
「およそクソゲーと程遠い、良ゲーとすら言えるタイトルを挙げる、某板からのお客様」
「もはやクソゲーの話題どころかゲームの話題ですら無い、延々と続くスレ違いの雑談」
「それを諌める者との争い」
「鮫」
位なものであった。
クソゲーが出ないまま進むスレ番。もはや存在意義すら問われるスレ。
そんな中、ある者は「平和が一番」とクソゲーが出ない事を神に感謝し
ある者はこの平和に退屈しクソゲーの発売を切望し、ある者は「年末の魔物」の存在に怯え
またある者は「年末の魔物」を強く望み、ある者は遠い修羅の国に思いを馳せるのであった。

もはや今年は“大賞無し”が囁かれる中、仮初めの平和は、音を立てて崩れる事となる……


平和慣れし、もはやクソゲーの急襲など起こりうるはずも無いと、油断しきっていたKOTYスレを襲ったもの。
それはサイバーフロント製Xbox360用ソフト『Code_18』(通称:c18)であった。

このタイトルは、今だ名作ADVとして根強いファンを持つ『Ever17』や『Remenber11』等、infinityシリーズの最新作として
満を持してHD機での発売となったアドベンチャーゲームである。

ADVのクソゲーとしては当たり前の要素、誤字・脱字は当然完備。本作はこれに加え
“画像とシナリオが食い違う”という新技を見せてくれるのである。
・「夜の浅草」という描写の画面は「昼の仲見世」
・「天候は回復した」と書かれる画面に降り続く雨
・「真っ暗なお化け屋敷」と書かれる画面に表示されるのは「明るい教室」
・「眼鏡を外してキスをした」彼女の顔にまだある眼鏡
・「目が覚めた」と言いつつ主人公の腕枕で寝続けるヒロイン
・「フリフリなメイドさんだかウェイトレスさんだかの衣装を着てる」と主人公が形容する学園祭のコスプレ喫茶のシーンの画面には全員学校の制服姿の女の子
そして極めつけは、このゲームを一躍スターダムに押し上げた
・ヒロインとスカイタワーからビルに沈む夕日を眺める二人……だが突然画面には夕暮れの浅草寺
である。これにおいてはスレでも発覚後大騒ぎとなり
「実は法力でワープしたのかも」
「浅草寺と書いてスカイタワーと読むんだよ!」等の仮説が立つほどであり
新キャラクター『c18マン』や新名所『浅草寺スカイタワー』
AA『タイムパラドックスダイブ』『必殺!四八浅草寺タイムパラドックスキック』が誕生するほどであった。

そしてこれらがここまで問題視された背景には
“感動的な良いシーンが致命的な演出ミスによってぶち壊されている”
という理由があったことを付け加えておこう。

更にシステム面でもプレイヤーを不快にさせてくれる要素がある。
本作は数人のヒロインが存在するが、選択肢によってヒロインが分岐する仕様ではない。
なんと“週回数によって攻略できるヒロインが完全固定されている”のである。
よって4人目のヒロインを攻略中、バッドエンドに行ってしまいやり直したい
と思った時には、最悪、最初から3周クリアしなおしというハメに陥る事となってしまう。

またシナリオ面においてもいくつかの問題点が指摘される。
「飛行ユニットを作った!よし次はタイムマシンだ!」と意味不明な目標を掲げる主人公。
4周目まではほぼ本筋が進まない為、退屈にさえ感じるシナリオ。
両親の離婚問題を解決するために奔走し、解決に導いたシナリオ。
だが後日談にて「実は仲は良くないまま」「嘘ついた」と語るヒロイン。
シナリオライターの「見所は絆」に対し、「どこが?」とつっこみたくなるとんだ結末である。

そしてシナリオのメインと言えば、物語の根幹を占めるタイトルにもなっている『code』
タイトル通り18まであるのだが、4周目まではcode02までしか発信されておらず
かと思えば5周目になり07〜15までは怒涛の9連打で発信されるという
最後の辻褄合わせに詰め込みました感がものすごい。
この際にはcode受信の実績が解除されるのだが、ここでボタンを連打すると
“フリーズを起こす”という罠も仕掛けられているので要注意だ。
なお、codeは全て妙に短い文で送られてくるのだが、それに対する説明は最後まで無い。

他にも、
・名前の後ろに意味不明の『?』や『@』が表示される
・名前が枠からはみ出て表示されている
・何故か名前も一緒にメッセージウインドウに表示される
・電車から降りたのに電車の効果音が止まらない
・背の高いキャラの顔が上で切れている
・スキップモードが未読シーンも飛ばしてしまう
等、テストプレイをしたのか?と言いたくなるような細かな不具合ゴロゴロ出てくる始末である。

なおこの本作、『infinity』シリーズの最新作として発表されたが
過去作のスタッフは殆ど“参加していない”。
プロデューサーは人気を博した過去作ではただの“デバッガー”であり
プロデューサーが発売日に“Twitterを非公開にした”や
「KIDブランドでゲーム作ってるプロデューサーです」という“紹介文を消す”
という事件があった事も明記しておこう。

「如何にバグと手抜きの積み重ねだけでここまで酷くなるものか」
「全ての要素に酷いものがあるだけで十分推薦したくなる」
とは選評製作者が序文にて強く書き記した一文である。


そしてc18の一撃により開いた城壁に押し寄せる敵兵の如く、年明けまでの約100日間
KOTYスレは誰も予想すらし得なかった怒涛の襲撃を受ける事となる。

c18よりやや間が開いて襲来した第2の刺客
それはD3 PUBLISHER製PS3/Xbox360用ソフト『街ingメーカー4』(通称:待ing・待)である。

こちらもまた多くのファンを抱える、住民との対話による街づくりがメインシステムの『街ingメーカー』シリーズの最新作である。
発展させた街の住人と自由に会話をしながら仲良くなっていき
それぞれの住人たちと親密な関係となることにより様々イベントが発生し
そのイベントによっ更に住人が増えて街が発展していくといった
アドベンチャーゲーム的な要素も備えているというのが、シリーズ一番の特徴であった。

が、その楽しさは発売日、全てが崩壊したのである。

話しかけることすら出来ず、近づくと定型メッセージをしゃべるだけの住人。
いままのシリーズでは付いていた個別の名前まで消えてしまい、もはや住人はただのマネキンの群れと化してしまった。
そして次世代機になり容量も増えたのに、削られる街の施設。
工場の種類は激減し、漁場・農場・郵便局・交番・お墓・歯科・外科・内科病院は完全に消え去った。
そしていまだ残る作れる施設においても、色やバリエーションに違いがほぼ無くなり
住宅街にはまったく同じ色と形の住宅が、ひたすら立ち並ぶ事となったのである。
「HD画質によるリアルな街づくりが可能」という謳い文句もPS2にすら劣るレベルであり
選評製作者曰く「水の描写だけはキレイ」と、褒める所を探すのに一苦労といった有様であった。

住人や街がこんな有様ではする事も無くなり、昼と夜の2つしかないBGMを聞きながら
1日経過でポイントを貰う→建てる→1日経つのをひたすら待つ→ポイントを貰う→建てる→待つ
のループを繰り返しするだけの“待つ”ゲームと化したのであった。通称「待ing」の誕生の瞬間である。
もはやプレイした者たちからは「モバゲーの方がマシ」と言う声まで上がる始末。
それほどまでにゲーム性が薄く、ただ時間を待つだけの作業ゲー。
さらにはこちらでも今世代機の呪縛なのか、DLCの魔の手が忍び寄っていた。
発売から2週間後に配信されたDLC4つのうち3つが有料であり、ただでさえ7140円も出して買ったことに後悔するプレイヤーに追い討ちをかける事となる。

「これ、SIMPLEシリーズじゃないのか?」とは選評製作者が皮肉を込めて言った言葉であるが、SIMPLEシリーズであればどれだけマシだったかと思わざるを得ない。


しかしこの日、攻めてきていたものはひとつだけではなかった。この呪われたかの様な11月23日。
働く人に感謝をと設けられた日に、労いどころか老体に鞭打つような
KOTYノミネートに値するゲームが二本も発売されていようとは……

その2本目、2011年3本目のノミネート、それはアクワイア製PS3用ソフト『グラディエーターバーサス』(通称:剣投資vs・投資)であった。

こちらもまたまた好評を博している『剣闘士』シリーズの最新作であるのだが
この投資、一言で言えば“詐欺と搾取”で出来ているゲームといえよう。

公式PVによると「容姿の組み合わせは10000通り以上」と謳われているが
実際は「種族の違い」以外は殆ど変わり映えのしないキャラしか作れない。
種族・声・頭・顔が3種類ずつ、髪型が6種類、刺青が18種類。
あとは肌と髪の色をカラーバーから選ぶだけなので、3×3×3×6×18の実質2916通り+髪と肌の色選択。
水増しである刺青を除外すると162通り…。
だがどんなに頑張ってキャラの顔を作ったところで、“兜をすれば顔は見えない”のである。
そして難易度からいって“兜をしないという選択肢はありえ無い”という仕様である。

また「所持金・所持アイテム・店の品揃えはキャラクター間で共有できます」
と説明書に書いているにもかかわらず、“実際は共有されていない”。
サポセンに電話すると「仕様です。説明書が間違ってます」という素敵な返答を貰えるようだ。

それではメインともなる「対戦格闘アクション」に目を移してみよう。
本作は基本、「3vs3」のバトルとなるのだが
・わざとやってるんじゃないのか?と疑いたくなるような、味方NPCの自分への魔法の誤射
・コンボの最中に割り込んできて、コンボを中断させる味方
・1対1で戦っているところに他の敵を連れてくる味方。そしてまたも起こる魔法誤射
とまったくもって役に立たないことこの上ない味方のだが
いなければいないでゲームにならないのが腹立たしいところである。
これを回避する手段はひとつ。“オンラインでcoopする事”なのだが
初週売り上げ2700本。夜9時を過ぎると過疎と化すオンラインにおいて、それは望むべくも無いだろう。

ならばキャラを強くすれば!となるのだが、そこで必要となってくるのが、お金。そして“宝石”である。
そしてこの宝石。入手には手間も金もかかるのだが、簡単に手に入れられる方法があるのといえばある。
それは「DLC課金」である。

さてこのDLCコンテンツ。ざっと言うと
・MMOの定番課金「ガチャガチャ」並みのランダム要素を含む「宝石販売」
・3種族あるのに初期で2つしかないキャラクタースロットを増やす「キャラ枠販売」
・アイテムを持てる数を増やす「アイテムボックス拡張販売」
・ゲーム中の敵のキャラの顔の使いまわしの「容姿の追加販売」
等、いままでの家庭用ゲームでは類を見ない
いままではゲーム内にあって当たり前なラインナップがカタログには並ぶのだが
それらをフルプライスのゲームでやってのけるというだけで、本作がどれほどクソかは分かっていただけるであろう。

公式のDLC紹介ページの宝石の欄で、「ライバルに差を付けろ」とプレイヤー同士の課金合戦を煽っている一文があるが
DLCで大儲けを目論んでいた魂胆が見え隠れするのが痛々しい。
なお発売日前、公式サイトにアクセスするとウィルスバスターが反応し
「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」と表示されると言うことがあったことも書き記しておこう。
これはもう、ウィルスバスターの先見の明にただただ感心するばかりである。
『投資』という通称も、皮肉が効いていてとても良いネーミングであるといえよう。

前作まであった「パリィ」と「ドッヂ」を削除して入れた「魔法」
そして頻発するフレンドリーファイア。
まったく爽快感の無いバトル。
課金を煽るだけの制作会社。

このゲームをやめ、中古屋に売ることを「奴隷解放」と言うそうだが
うまいこと言うものだと、賛辞を送りたいと思う。


思いもよらぬ急に湧いた豊作に、正常な流れを取り戻してゆくスレ。
だがクソゲーの神はそこで手を緩めるような優しき者では無かった。
間髪入れずに次の刺客が差し向けられる。
それは誰よりも有名で、誰よりも強い、宇宙最強の戦士であった。
そう、「オラこそが年末の魔物だッ!!!」とcv野沢雅子で再生されそうなその刺客
それはバンダイナムコゲームス製PS3/Xbox360用ソフト『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称:アルブラ・UB)である。

まず、今作では大幅に戦闘システムが変えられている。
例えば従来のシリーズでは、ボタンを駆使したコンボが基本のシステムであったが
今作では連打をすると読み合いシステム、QTE「ストライクムーブ」(いわゆるジャンケン)に突入する。
だが問題はそこだけでは無い。
その後、キャラが一定の距離になると、間合いを離す為にQTE。
吹き飛ばされ、復帰に成功するとQTE。
必殺技を使えばQTE。
攻撃したらQTE、喰らったらQTE、距離詰めようとしたらQTE……
「モウQTEダラケデ、オ兄チャン、生キテル気ガシナインダヨー!」
と古いコントネタを思い出してしまうしつこさである。

「でもQTEはアニメ演出みたいでかっこいいんでしょ?」と思う方がいるかもしれないが、ちょっと待った!
“QTEは全キャラ共通”で、すぐに飽きるのである。
最弱である栽培マンから最強の超4ゴジータまで、みんな同じ動きしかしないのだ。
しかもこの“共通モーション”のせいでピッコロは手を伸ばさないわ、誰を使っても展開が大差無いわで
個性も何もあったものではなく、クソゲーとしての一因を担っているのである。

またこのQTEは前述したとおり、いわゆるジャンケンであり、とどのつまり“運勝負”なのである。
つまり、初心者だろうが熟練者であろうがボタン連打とジャンケンが強い方が勝つ
それが今回のドラゴンボールなのだ。

それ以外にも、「一時は100人を超す程いた操作キャラクターが、本作では34に激減」や
「ぶつ切りのアニメダイジェスト」「男しか作れない上にメイキングの幅が狭いアバターモード」等
良かった所を探すのが難しい程になってしまっている。

キャラゲーでありながら立派にノミネートを果たした本作は、ファンからの擁護も得られない代物であった。


そして年の瀬も差し迫る中、またしてもスレに一本の選評が投下された。
平和であった頃、名前だけは何度か出ていたゲーム。それがついに満を辞して選評にまとめられたのである。
1月27日にすでに発売されていたそのタイトルは
アクワイア製PS3用ダウンロード専売ソフト『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(通称:亡霊)であった。

本作はいわずもがな、あの超有名シリーズ『ウィザードリィ』の続編であり
『剣と魔法と冒険モノ』で3DダンジョンRPGを何作も発売してきているアクワイアの作品である。
が、発売日すぐ、 セーブバグが出来なくなるというバグが発覚する。
幸いこれは幾度かのアップデートで事無きを得るのだが、本当の恐怖は数ヶ月先にて待ち構えていたのだった。

それはシナリオ3が発売されてしばらくの事……本スレにて書き込まれた一文

「どうも敵が強すぎる気がする」

そうなのだ。本作はシナリオ1〜2までは、幾つかの問題点こそあるものの、ほぼ問題無くプレイ出来る。
しかしシナリオ3になるとそうもいかない。どんな百戦錬磨の強者も
「エンカウントしたら即死魔法で全滅」
「エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅」
と、理不尽な敵の猛攻の前に成す術が無かったのである。

その原因はどうやらLvを100以上に出来るキャップの開放にあるようで
本作のプログラムは“Lv2桁まで”を想定して作られた『剣と魔法と冒険モノ』という作品からの流用であるらしく
その結果、プレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで
他の能力は概ねLv99上限のシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対し
モンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していくという、圧倒的な力の差を生む状況を作り出してしまったのだ。

こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら
仕様の穴を突いた裏技を使うか
特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するか
または数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い)

と、本作の問題点をまとめるならば、“テストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さ”であると言えよう。

また本作においてもDLCは猛威を振るっており、“装備品を含むゲーム内で得られるアイテム”が販売されるという
アイテム蒐集が楽しみである本作を根底から覆すような馬鹿な商売を始めたのも
さすが剣投資のアクドイワ、じゃなくアクワイアといえば納得といったところであろうか。

ところでこの本作、2011年1月に『ウィザードリィ ツインパック』が発売されたのだが
12月に全部入り+追加ダンジョン『残魂の迷宮』の入った『ウィザードリィ パーフェクトパック』が発売された。
ここで問題が発生するのだが、『残魂の迷宮』は単品販売をしていないため
これをプレイしたいなら、ツインパックを持っている者も、パーフェクトパックの購入を強いられる。
先に買った者程馬鹿を見る、立派な“完全版商法”である。
しかもアクワイアは2011年9月から10月にかけて既存シナリオの値引きセールを行っており(もちろんパーフェクトパックの存在は伏せたまま)
発売日から順に販売されるまま買っていった純粋なファンの方々には、かける言葉も無い状況である。


そして選評が来る12月までその異常性を誰にも悟られる事無く
10ヶ月もの間隠し通していた猛者がもう一人。
2011年初頭の2月24日に発売されていたそれは
PIACCI製Xbox360用ソフト『Piaキャロットへようこそ!!4 夏の恋活』(通称:pia4・pアフォ)である。

このゲームは古くは1996年のPC版にまで遡る老舗シリーズ
『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズの第4弾として2009年にPC用アダルトゲームとして発売されたものを
18禁要素を削りXbox360に移植されたものである。

このゲーム、SLG(シミュレーションゲーム)部分と、恋愛ADV部分に大きく分類できるのだが
・新入りのアルバイトが人事権を行使する謎のファミレス
・部署「デリバリー」だけを選んでいけば、問題無くパラメーターをMAXにできる謎の新設設計
・エンディング分岐“だけ”にしか関係がない、仕事には一切関係の無い8つの謎のパラメーター
・移動できる全19ヶ所中、10ヶ所は“一切何も起こらないハズレ”である、半分は攻略情報を知らない初心者に対する嫌がらせで出来ている移動選択
と、SLG部分を取ってみると「完全に不要」「一本道のノベルゲーのほうがマシ」と言われる出来である。

と、このように褒めるところのないSLG部分であるが
ではもうひとつの肝、恋愛ADV部分の方はどうであろうか。
恋愛ADV部分=シナリオということになるが…これがまたSLG部分に匹敵する香ばしさを放っていた。

全体的にキャラの感情表現があまり描写されず、メリハリも無く
たまに事件が起きたかと思えば「いつの時代の恋愛ストーリーだよ!」と言いたくなるような
陳腐かつ既視感ありまくりの事しか起こらないイベント。
だがそのたまに起こるイベントにおいても問題はあり
イベントシーンにだけ付随しイベント後は無かった事になる、突然発生するキャラクターの“新設定”。

もう一度言うが、本作は“元は18禁のPCゲーム”であり、その18禁部分を削った移植作品である。
しかしシナリオにおいてその削られた部分を違和感無き様補完するなどという事は一切無く、とられた対策といえば
Hシーン部分になったら“画面を暗転させ時間を飛ばす”、ただそれだけであった。
「本来あるHシーンの時間を丸ごと切り離し消し去る。プレイヤーはその時間を体験出来ないので記憶はもちろん無い」
という某ボスも真っ青の能力でこの難題を切り抜けた結果
プレイヤー本人が気づかぬ内にヒロインと付き合っていたり
あまつさえヒロインを孕ませていたりするという事が起こったりするのだ。

選評製作者は言う。「シナリオのつまらなさこそが、このゲーム最大の問題点」であると。

またこの作品は背景の酷さも度々話題に上がり、スレに上げられた背景絵を見ては
「なんというか…サバンナ?」「廊下の窓がなんか騙し絵みたい」「某魔法少女アニメで見た事ある光景だな……」
という、およそ現代劇の背景の感想とは無縁の言葉が飛び交う事になったのは余談ではあるが
一見の価値はあるので明記しておこう。

その他にも「未読部分まで読み飛ばすスキップ」「突如発生する原因不明のフリーズ」
「セーブ数が増えれば増えるほどロード画面の操作が鈍重になる」など多種多様なクソ要素が存在する
まったくもって見事なクソゲーっぷりである。

以上、プレイした者には「SLGパートがひどい、背景が酷い、シナリオが凄まじく酷い」と言われ
「エロゲーとはエロで抜くものであって、エロを抜くものではない」という
家庭用ゲーム板ならではの名言が生まれたのも、本作の功績であると言えよう。


そして年も明け、総評もいくつか投稿され始めた1月上旬。ついに7作目となる新たな選評が投下された。
スレ住人は「今年も7つ来たか」と、改めて2011年の豊作ぶりに驚き
誰とも無く「七英雄の再来」「七つの大罪」と呼ぶのであった

そんな7本目にやってきたクソゲー、それはもはやKOTY常連メーカーが9/1に発売していた
タカラトミー製Wii用ソフト『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(通称:人生・誤当地)である。

本作もまたしても人気ボードゲーム、『人生ゲーム』をゲーム化したもの。
そしてWiiで2作発売され、昨年フルプライス版なのに先の簡易版と殆ど差異がない事で
詐欺ゲーとして話題になった『人生ゲーム ハッピーファミリー』の増補改訂版であり、最新作である。
余談ではあるが、Wiiで発売された2作はそれぞれ、当年のKOTYにノミネートされており
しかもそれぞれが大賞候補と接戦を繰り広げる程の剛の者であった。

そんな親・子・孫の三代で挑むKOTY、天空の花嫁で言えば本命の勇者である今作であるが
その勇者の力の一端を説明していこうと思う。

始めてまず目に付くのが、使えるキャラクターの少なさだろう。
男5人+女5人。これだけである。
更に名前も固定で、顔も服装もデフォルトから一切変化しない。
結婚相手もこの中から選ばれるし、子供に至ってはこの10人の顔パーツを流用した子が産まれてくるというのだから
男の顔をした女の子も産まれてこようというものである。

マップの方も「ボードゲームをリアルに再現しました!」と言わんばかりに一種類しか無く
ミニゲームは存在しない、仕返しマス等の一部のマスが存在しない、天使も存在しないと
あらゆる面で本作も手を抜いてきた模様である。

ゲーム面をとってみても、圧倒的にイベントが少ない本作では
・殆どのマスは片手で数えられる程度のイベントしか発生しない
・初見の4〜5時間のプレイだけで、全く同じイベントを両手で足りないくらい見ることになる
・子供に引き継いでの2週目プレイが出来るのだが、イベントは同じ
と、「どこが増量仕上げ?」と首を傾げたくなる始末である。

本作で追加された「ご当地ネタ」であるが
各都道府県の名産品やら、名所やら、遺産やらを紹介してくれる物であるが
単なる豆知識紹介と言った感じで、“ゲームに影響する事は一切無い”。

「これなら俺の人生の方がまだ面白いのでは」とは、選評製作者の〆の一言である。



ではいよいよ2011年の大賞を発表しよう。
7つのノミネート作から選ばれた、栄えある今年のクソゲーオブザイヤー大賞は……


『Code_18』(Xbox360/サイバーフロント)


である。

今年は特出した誰もが満場一致で納得できるクソゲーというものが無く
選ぶのが非常に困難極まった年であった。
どのソフトにも他に負けないクソ要素を含み
人によってはどれが大賞になってもおかしくない接戦であった。

そんな中、シナリオさえ良ければなんとかなる
クソが産まれにくいアドベンチャーというジャンルであり、更に“家庭用オリジナル”でありながら
同じADVにしてADVの本場、魑魅魍魎が蠢く国から来た元修羅のpia4と
互角以上の戦いをしてみせたその強靭さ。
シナリオの周回強制システムにして、その“周回が最も苦痛”であること。
そしてその苦痛を乗り越えた先に待ち受ける、感動のシーンを台無しにする
ADVとして絶対に“やってはいけないミス”を平然とやってのける豪胆さ。
その他、“システム面の不備”により溜まるストレス
大小さまざまな“バグ”にあからさまな“手抜き”。
前代未聞の“逃亡するプロデューサー”。
そしてスレにて誕生した愛されし“キャラクターや新造語”等
昨今のクソゲーに必要な要素が全てつまった、プレイする者から全てを吸い取る
「クソゲーの玉手箱」のような本作こそが一番にふさわしいと考え、大賞にするものとする。

蛇足になるが今回、pia4のノミネートが無ければc18の大賞は無かったかもしれない。
pia4があったからこそ、c18のクソゲーADVとしての地力が評価され
またc18があったからこそ、pia4はその本場のレベルをまざまざと見せ付ける結果となった。
よってここでもう一度、素晴らしい戦いを繰り広げた2作品に、盛大な拍手を送りたいと思う。


永遠に続くと思われた平和な日々から一転、2010年をはるかに超える魔物を迎えた2011年であった。
7つの大きな罪を背負いし作品がしのぎを削る結果となった本年であるが
今回ノミネートされたものの全てが“人気シリーズの最新作”であることは
今のゲーム業界の現状を表しているようで、いろいろ心配にもなろうというものだが
ここは無事大賞決定!ということで、2012年への期待と希望を持って
我々はこれからも楽しくゲームを選んでいきたいと思う。

ではこの方の言葉を持って、2011年のKOTYを締めくくらせていただこう。


C <安心して休め、四八マン。これからは私がこのスレを護る!
(十)


総評案11(グラディエーターバーサス)

前年王者『ラストリベリオン』は、KOTY(クソゲーオブザイヤー)に新たな歴史を刻んだ。
据え置き機ゲーム業界を「重厚長大主義」が支配し、意欲作が生まれにくくなっていた閉塞感……
そんな中で、颯爽と現れた次世代機の新星は、
「物理」の力で挑戦者を全て打ち祓い、KOTY史上初めての先行逃げ切りを達成する。
次々と門前払いを続けるその雄姿は頼もしくもあり、
一方で、ある種の不安をスレ住人達に植えつけていった。

「クソゲーが来なくなった時、我々はどうなるのだろうか」

果たして、その予感は現実となった。

2011年3月11日、日本を未曾有の大震災が襲った。
幾人のゲームを愛する者達が、同志が、志半ばに命を落としたことだろう。

日本中が喪に服し、「自粛」ムードが広がる中で、
ゲーム業界もまた、本来の輝きを失っていた。
クソゲーとはゲーム業界の暗部……
すなわち、光あってこそ濃やかに現れる闇である。
長い長い停滞が、KOTYスレに訪れることとなった。

雲間から光が差し込み、ようやく稲穂が実り始めたのは、実に10月のことである。
サイバーフロントによる恋愛ADV『code_18』(「c18」)。
本作は、神ゲーとして名高い『Ever17』を擁する「infinity」シリーズの最新作である。
だが、「c18(しーじゅうはち)」という略称ゆえの呪いなのか、
発売当日に本スレでは購入者の悲鳴がこだまし、それを尻目にプロデューサーは雲隠れした。
本作の悪評を決定づけた最大の原因は、各場面を台無しにする演出ミスにある。
「真っ暗なお化け屋敷」が昼間の明るい教室だったり、
感動の場面でヒロインの父親の顔が見切れているのは序の口。
「スカイタワー」でヒロインと夕暮れを見つめる場面では背景が「浅草寺」であり、
製作者はデュシャンの「泉」のような前衛芸術でも目指したのかと邪推せざるを得ない。
むろん誤字脱字も完備であり、セリフの表示が丸ごと消えている「脱文」も抜かりない。
シナリオの大筋を解説すると、作中で時間が循環している設定の「ループもの」である。
しかし、あろうことか周回ごとに攻略対象を完全固定しており、さかのぼっての攻略は不可。
BADエンドの分岐に気づかず上書きセーブした場合、問答無用で1周目からやり直しである。
また、表題にもなっている18個の「code」(未来からのメッセージ)であるが、
最終周で思い出したように16個配信され、結局正体がうやむやのまま終わる。
プロデューサーは以前、「code_18はInfinityシリーズの入門編」と発言していたが、
よもや彼ら自身の(ゲーム制作における)入門編を指していたとは誰が予想できただろうか。

こうして束の間の収穫を分かち合うスレ住人たちであったが、この時はまだ誰も知る由もなかった。
立ち込める冬の銀杏の香りに紛れて、
去年姿を見せなかった「年末の魔物」どもがこちらの様子を伺っていたことを……。

12月も近づこうとした時、突如KOTYスレを襲う黒い影が現れた。
D3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(「待」)である。
「街ingメーカー」は、本作で4作目となる人気シリーズ。
その特徴は何と言っても、「街の人々と会話して意見を取り入れながら街を作っていく」
という独自のジャンルを開拓したことにある。
だが本作は、前作まで各建物に入れたはずの主人公がなぜか出入禁止状態になっており、
街の人々は揃いも揃って「家に帰る」「仕事に行く」など、心底どうでもいい内容しか喋らない。
肝心の街づくりパートも、7140円のフルプライスを微塵も感じさせない仕上がりである。
ゲーム本編のBGMは昼と夜の2種類しかなく、建築可能な物件の種類も前作から激減。
学校は小中高大ではなく「総合学園」のみで、郵便局や交番等は存在すらしない。
街を開発するには「ポイント」が必要であるが、中盤以降は一、二個の物件を建てるだけで枯渇。
ゲーム内時間で一昼夜が経過するまでポイントは振り込まれず、その間じっと待たなければいけない。
クリアまではおよそ6時間、それも、その大半は上記の「待ち」時間である。
いつしか本作は「街」づくりゲームではなく、『待』と呼ばれる何かとして扱われるようになった。

それと同日、コロッセオに殴り込んできた狂戦士がいた。
アクワイアより発売された『グラディエーターバーサス』(「剣投資」)。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘型アクション「剣闘士」シリーズの最新作である。
電撃プレイステーションで『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得した本作、
それもそのはず、シリーズの肝である「パリィ」「ドッジ(寸前回避)」の操作体系を削除し、
作品名を無視して舞台設定を中世ファンタジーに変更するなど、凄まじい迷走が見て取れる。
まずプレイヤーが目の当たりにするのは、キャラクター作成機能の前代未聞のショボさだ。
公式PVで謳われている「10000種類以上の容姿」は、実際には首から上のパーツが数種類ずつ選べるだけ。
シワ1本の違いや、左右2組×3色展開の刺青など露骨過ぎる水増しも目立つが、
さらにやるせないことに、ゲーム中は兜に隠れるため、全くと言っていいほど見えない。
実質的なバリエーションはわずか3通り(「種族」)と肌の色しかないのである。
ゲームの内容はと言うと、いわゆるミッションクリア形式であるが、
全編を通して、その場にいる敵を順次殺戮するだけの作業。
ミッション合間に流れるムービーはスキップ不可である。
味方NPCの知能は3歳児並で、ファイナルファイトばりにパーティアタックやコンボ妨害を仕掛けてくる。
また、本作を彩る最大の特徴は、あこぎなDLC(有料ダウンロードコンテンツ)である。
2人より多く自キャラを持ちたければ課金が必要、
異様に小さいアイテム保持数を拡張するには課金が必要、
デフォルト3種類以外の顔パーツを使いたければ課金が必要……
公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」などと課金合戦を煽っているが、
冷静に考えるまでもなく、どれも「出来て当たり前」のことである。
アイテム強化のDLCは今流行りの「ガチャ方式」で、パチンコのごとく射幸心を煽ることにも余念がない。
ともあれ、その商魂を讃え、本作は誰からともなく『剣投資』と呼ばれるようになる。
かのウィルスバスターは本作発売前の公式サイトを
「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と喝破したが、とんだ慧眼であったと言えよう。

こうして温まってきた武舞台に、凄まじい「気」と共に飛来する存在があった。
バンダイナムコの格闘ゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(「アルブラ」)である。
本格的な原作再現で人気を集める「レイジングブラスト」シリーズの流れを汲む本作であるが、
何を思ったか、キャラゲーの核であるキャラ数を40人近く大幅削減。
青年悟飯の代わりにキュイがいるなど、無駄にこだわった人選にも疑問符が付く。
だが、それにもまして一番の問題点はQTE(クイックタイムイベント)の濫用である。
QTEとは、平たく言えばボタン入力が必要なムービーであり、
本作においては主に、時間内にお互いが押した二択のボタンで「ジャンケン」勝負を行うものである。
むろんこれでは「運」だけが勝負を決し、プレイヤーの力量は何も報われない。
しかし本作ではこのQTEの頻度が異常に高く、
通常攻撃、受け身、間合いの変更、必殺技と、あらゆる局面で発生。
そのたびにジャンケン、ジャンケン、ボタン連打……と、
懐かしの『ジャンケンマン』並に退行したゲーム性がプレイヤーを退屈の渦に巻き込む。
これらの演出は全キャラほぼ共通であり、キャラの少なさと相まってプレイヤーを瞬時に飽きさせる。
昨今の格ゲーの複雑化に対する挑戦は評価できるが、この出来では幼児はおろかチンパンジーすら満足するまい。

「魔物」たちの熱線に当てられたか、上半期の不発弾も突如誘爆を起こした。
PS3向けDL販売専用ソフト、『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(「亡霊」)。
古典的RPGの金字塔「ウィザードリィ(Wiz)」の再興(ルネサンス)を期して制作された作品である。
「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたい」
製作者たちが掲げた崇高な理念について、以下に検討していこう。
まず《緊張感》である。
Wizの魅力を端的に言えば「隣り合わせの灰と青春」。
全滅やキャラ消滅の恐怖と戦いながら、探索や宝探しを続けていくスリルである。
だが本作では、配信初日から「プレイ中に一切セーブ不能になるバグ」が発見され、
歴戦のプレイヤーも泡を食うはめになった。
次に《悲壮感》。
発売数ヶ月後の新章配信と同時に、本スレには断末魔の叫びが一斉に轟くこととなる。
最終章からレベル制限が取り払われるが、どんどんインフレするモンスターの能力に対して
主人公達の能力は早々に頭打ちであり、遭遇・即・全滅の罰ゲーム状態になるのである。
クリアする方法自体は、「無いわけではない」。
普通にやれば適正レベル到達に500時間かかるが、バグで増やした金で経験値を買う作業に徹すれば10時間。
エンカウント回避のDLCを購入したり、数歩ごとにセーブアンドロードを駆使してひたすら敵を避けても良い。
だが、制作会社がテストプレイすらろくに行なっていない事実は否定しがたく、
続編を待ち続けたプレイヤーたちを深い悲しみと絶望が包むことになった。
そして最後に《高揚》……であるが、
本作は少なくとも、ここにいる一部の好事家たちには熱狂的に歓迎されたと言えよう。
発売元はアクワイア。『剣投資』に続き、2作目のノミネートである。

そして、とどめとばかりに修羅の国の猛者も名乗りを上げた。
『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(「Pia4」)。
F&Cから出た同名のアダルトゲームを、PIACCIがXbox 360に移植したものである。
「Piaキャロ」シリーズ自体は過去に映画化も果たした名門ブランドであるが、
本作及び原作を一言で言えば「没落貴族」。
「陸上競技場」の背景がサバンナにしか見えないなど、
中韓丸投げアニメのごとく崩壊しきった作画が哀愁を誘う。
不定期に起きるフリーズや、既読スキップ周りの不具合もある。
だが、本作の一番の問題点はシナリオである。
もともとエロの「つなぎ」でしかなかった代物から18禁部分を強引に削り取った結果、
ほぼ全てのキャラのシナリオが意味不明な超展開になってしまったのである。
その混沌ぶりたるや、「行間を読め」などという言葉で片付けられるものではなく、
「格ゲーをしていただけなのに、気付いたら彼女ができていた」
「気付いたら従姉を妊娠させていた」
「気付いたら実妹と一線を越えていた」
と、身に覚えのない事実が次々と語られるサイコホラーと化している。
また、恋愛ADVパートと並行して育成SLGパートもあるが、
本作の場合、エンディングの分岐のみに関係し、シナリオ本編には一切関係しない。
「体調」が万全なのに主人公が過労で倒れるなどのご都合主義もさることながら、
白眉なのはパラメータが不足していた場合の共通BADエンドであろう。
「この一ヶ月はなんだったろう」と主人公が一言嘆いて実家に帰るのであるが、
誰かを攻略完了していた場合でもまるで触れず、「ヤリ捨て」と言わざるを得ない終わり方をする。
なお本作の発売日は2月下旬なのに対し、選評が届いたのは大晦日。
それまで潜伏し続けた本作は黒船ならぬUボートである。
決死の覚悟で本作に突入した勇者の、血を吐くようなプレイ手記を、ぜひ参照して頂きたい。

さて、どんじりに控えしは『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ 増量仕上げ』(「人生3」)。
賢明な読者はご推察のことと思うが、前回ノミネートの「人生2」のマイナーチェンジ版である。
申し訳程度のご当地ネタが追加された以外の変更点は絶無であり、相変わらず手間を省きたいという強い意志を感じさせる。
もはや存在自体が紙幅の無駄であり、詳細については前年の総評・選評に譲るべきであろう。
特記事項として、タカラトミーの連続ノミネート記録が6年へと更新されたことに触れておく。

以上、ノミネート7作品の紹介を終えたところで、大賞を発表しよう。
大混戦の様相を見せた2011年、
ゴール前の直線で抜け出し、見事レースを制したのは……
『グラディエーターバーサス』である。
本作の受賞を決定づけたのは、クソゲーとしての「自由度」の高さである。
本来クソゲーというものは、どれだけひどい出来であっても何らかの美点を見いだせたり、
あるいはツッコミを入れながら楽しむことができるものである。
しかるに本作は、最初のキャラクターメイキングは3分で飽きる代物であり、
序盤は連打しかすることがなく、中盤以降もゴリ押しで同じ行動の繰り返し。
後半はステージの使い回しが激しく、ラスト二回にいたってはミッション丸ごとほぼ流用。
オンラインでの協力プレイならあるいは……と淡い期待を抱いても、
この出来でプレイを継続する聖人君子がいるはずもなく、発売数日後から廃村状態。
首尾一貫して、見事なまでの一本糞なのである。
なお、本作と最後まで競った『Pia4』や『c18』も部分的には決して大賞に劣るものでなく、
明暗を分けたのは「捨てる神あれば拾う神あり」というただ一点に過ぎない。
昨今、どんな遊び方をしてもいい「自由度が高い」ゲームが良いとする議論があるが、
『剣投資』も同様に、どんな遊び方をしてもひどい「自由度が高い」クソゲーだったのである。

もしもクソゲーが最後まで現れなかったら……。
そんな諦念が長く尾を引いていた一年であったが、終わってみれば杞憂であった。
最初のノミネートからわずか2ヶ月半で7作品が集結する、カンブリア爆発さながらの事態である。
『c18』、『待』、『剣投資』、『アルブラ』、『亡霊』、『Pia4』、『人生3』。
これらは全てが「シリーズもの」のゲームであり、
概して言えば、旧作から大幅に路線変更した結果の失敗であったと言えよう。
だが、例え今回残念な結果に終わったとしても、各メーカーには今後も奮って挑戦を続けて欲しい。
ゲームはゲーマーに、クソゲーはクソゲーハンターに……
この世に生まれ落ちた全てのゲームは、それぞれ還る場所があるのだから。
願わくは、本年もゲーム業界全ての活力がますます栄えるよう、祈るばかりである。

最後に、2011年の土壇場に垣間見たクソゲー界の底力をここに讃え、この文章の結びと代えたい。

「クソゲーは滅びぬ、何度でも蘇るさ」

総評案12(Piaキャロットへようこそ!!4)

(お好みの実況で再生してください)
全世界のクソゲーマーが待ちくたびれた、最低のクソゲーを決める2011年クソゲーオブザイヤー
業界中から選びぬかれた七つのクソゲーが、ようやく出走を迎えます

2011年で一番つまらないのは一体どのゲームか、世界中の被害者が固唾を飲んで見守っています
それではノミネート作品、発売日順で紹介です

1番、亡霊(ウィザードリィ 囚われし亡霊の街)
ウィザードリィからまさかの刺客
フトコロの深いシリーズからノミネートできるクソゲーの実力は如何ほどか
パブリッシャーは携帯の強豪・アクワイア、据え置きでは初めての登場です

2番、pアフォ(Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜)
修羅の国でガッカリゲーと噂の誰得移植
あのSSα<アルファ>が改心した後、後継は我であると言わんばかりのノミネート
ディベロッパーはカクテルソフト、携帯と合わせての二冠を狙わんと気焔を上げています

3番、誤当地(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)
残暑の残る防災日、人生ゲームがやってきた
鞍上はやはりお前かタカラトミー、性懲りもなくフルプライスでのノミネート

4番、C_18 (code_18)
伝説を彷彿とさせるネーミングに、悪夢を思い出させる同ジャンル
父親はご存知infinityシリーズ、でも兄弟のエバーセブンティーンとは赤の他人です
騎手は心臓発作を起こしたKIDSから代わってサイバーフロント、ここも赤の他人です

5番、剣投資 (グラディエーターバーサス)
ファミ通で貫禄の低得点を付けられた人気作品
ドッジやパリィと共に爽快感が無くなった最新作
騎手は亡霊も作ったアクワイアの一人二役、二作目のノミノートです

6番、待ing(街ingメーカー4)
シリーズ独自の要素を排除して、同人クオリティを実現させた二番人気
開発は新顔のメディアファクトリー、忍耐深く勝機をまっちんぐさせます

7番、UB(ドラゴンボール アルティメットブラスト)
沸点の高いキャラゲーから、QTEを引っさげてのノミノート
開発はまさかの株式会社スパイク、定評があるのにどうしてこうなった

(パーンパカパンパンパン〜)
一番人気は現金搾取DLC・剣投資
二番人気は手抜き虚無ゲー・待ing
誤字脱字の完備したC_18も注目されています

各作品ゲートインから選評順にスタートしました

まず飛び出したのはC_18、プロデューサーはツイッター非公開済み
続いて剣投資一番人気、味方から魔法で攻撃されている
更に二番人気待ing、プレイヤーが暇潰しの出来る悪ポジション
中央一UBには海外の怨嗟が届いている
一歩遅れて亡霊、完全版商法で現金を搾取中
大きく遅れてpアフォ、何時の間にかヒロインが孕んでいた
最後尾にはお馴染み誤当地人生ゲーム、六年連続ダカラゴミー

さあ、最終コーナー
先頭C_18、二番手内側から剣闘士、外から二番人気待ing

その間を狙ってUBが運任せの戦闘で切り込んだ
QTEだけの幼児退化!あいこの無いジャンケンゲーム!
鞍上が必殺のボタン連打!謎のチョイスでキャラ激減!
戦闘パターンが同じで子供が泣いている!

剣投資動いた、出た必殺のアクドイワフォーム!
容姿の組み合わせ数がPVから遥かに少ない!実際の仕様が説明書と違う!
一週間でオンラインが過疎に!あげくに開発スタッフがプレイヤーフルボッコ!
クソ仕様で有料DLC!ウィルスバスターが公式サイトに反応した!

剣投資強い!しかし待ingが食らいつく
街にひしめくマネキン達!削除された施設の群れ!
フルプライスで有料DLC!誰得特典でドリームクラブ!

更にC_18も並んでいる
明るい教室でお化け屋敷!学園祭で制服コスプレ!
出た伝家の宝刀浅草寺<スカイタワー>、感動シーンがぶち壊された!
電車の音が止まらない!周回固定でヒロイン攻略!

おっと、UBずるずると後退、やはりグラフィックが綺麗なのは褒める所か!

代わりに亡霊が上がってきた!
まだ許容できる前半シナリオから高難易度シナリオで差し込んでくる!
何をやっても全滅する!まともにやると数百時間!
しかしUBよろしく後退してゆく、やはりクソが三分の一なのが響いたか!?

誤当地も上がるが届きそうにない!
やはりユーザーを舐め切った企業姿勢だけでトップは狙えない!

そして何時の間にか大外からpアフォが上がってきた
選評が届いてる!同じADVのC_18を追っての猛烈な追い込み!
攻略キャラが削られた!エロを抜いた所に追加がないので辻褄が合ってない!
SLGパートに意味がない!その子誰の子オーナーの子!?

さあ、残り四作
先頭の三作が上がって行きます

先頭剣投資、出たお約束の改悪パッチ!
強化された味方魔法がプレイヤーの尻を焼く!
しかし待ingも動く
ゲーム性がない!施設がない!
おっと騎手もいない!鞍もない!なにもかも捨て去った身軽さで剣投資と併せ馬!
C18も食い下がるが劣悪シナリオだけでは届かない!

おーっと!大外から一気にpアフォ!大外から一気にpアフォ!
背景が酷い!馬場がサバンナと化している!
キャラが酷い!本スレすら悲鳴を上げている!
意味不明の新設定!お約束のバグ地獄!
更にプレイ手記が届いている!急速に正気を失っている!
pアフォ強い!苦痛が強い!狂気と涙のサバンナストライク!
130キロ恋活<バイト>の怨念を受けてpアフォ、金っ、時間っ、返せええええ―――――――!

――修羅の国のガッカリゲー、色々抜いたら阿鼻叫喚
追加したらバグだけで、地雷踏んだら寝取られゲー

確定しました、一着pアフォ、二着剣投資が入ります
2011年クソゲーオブザイヤーでした、また来年にお会いしましょう
エロで抜いてエロは抜かないように。さようなら。

総評案13 (Wizardry 囚われし亡霊の街)

年始から「ラストリベリオン」がその圧倒的な単調さによって不動の門番の座を死守し続け、
果てはそのまま大賞に輝いた昨年のKOTY。
異例の展開を見た昨年から一転、今年はそのような門番の出現も無く、
KOTYスレには長い「日照り」――いや、平和と雑談の時が訪れていた。
だが、そのうららかさの陰で、スレ住人は焦っていた。
「このままでは、大賞どころか、次点作さえ出ないのではないか」
「既にゲーム界はクソゲーすら出ない、不毛の荒野と化したのではないか」と――


2011年も残り少ない10月、それが単なる杞憂に過ぎないということを知らしめる暗雲がスレに忍び寄った。
その暗雲の名は、「code_18(以下C18)」(Xbox360・サイバーフロント)である。
過去には恋愛アドベンチャーゲーム(ADV)の金字塔と讃えられる「Ever17」を生みだした「infinity」シリーズの最新作だが、
こちらは蓋を開けてみれば「手抜きと小バグの宝石箱」とでも評したいような出来映えであった。

近年のクソADVの基本装備とでもいうべき誤表記一つ取ってみても、単なる誤字脱字に留まらない。
「天候が回復したと言っておきながら背景は大雨」
「夕暮れのスカイタワーと言いつつ背景に見えるのは浅草寺」
など、プレイヤーの突っ込みを誘いたいのかと思うほかないようなものが随所にちりばめられている。

ADVにとって最大の肝であるシナリオも、恋愛ゲームでありながら周回数で攻略できるヒロインが固定されている上、
4週目まで話がろくに進まないというじれったさであり、そのテンポの悪さとイライラを上記のような誤表記、
ボイスと文章の不一致・効果音の再生バグなどの音声面の不備が煽り立てる。
加えて、PSP版にはある「クイックセーブ&ロード機能」がこちらでは何故か削除されている。
数少ない長所を自ら消し去るようなこの謎仕様も相まって、本作はスレ住人を一気に沸き立たせたのであった。


続いてスレに姿を現したのは、「街ingメーカー4」(PS3/Xbox360・D3 PUBLISHER)であった。
街作りと住民とのコミュニケーションをリンクさせたシミュレーションゲーム(SLG)
「街ingメーカー」シリーズの最新作だが、何と本作では過去好評を博してきた住民とのコミュニケーション要素を
ほとんど排除する、という斬新すぎる仕様変更が施されている。

その結果本作は

「建築用ポイントが約10分に1回もらえるのを待ち」
「交番や郵便局さえ無い町をただひたすら建造しては潰し」
「機械的なことを一方的に呟く住民が勝手に増えるのを待ち」
「時々出るボーナスを取るためジャンプする」

という超単調ゲームに大きくゲーム性を変貌させた。

一応、作った町を眺めることも出来なくはない。
だが、春夏秋冬の区別もなく、経年による変化もなく、無機質な住民しかおらず、
BGMは昼夜2パターンのみ、という箱庭をひたすら眺めるだけの苦行を楽しめるというならば、
そのユーザーは既にゲーマーではなく修行僧の域に達していると言えよう。
故に大半のユーザーにとっては、建築用ポイントを待つ10分間は読書なりネットなり
隙を潰しつつ待つしかすべきことが無く、かつプレイ時間の大半がこの「待ち」であるということから、
本作にはいつしか「待ing」という称号が奉られ、以後スレ住人に親しまれることとなってゆく。


これ以後、10月までの「日照り」がまるで嘘だったかのように、新たな雷雲がスレッドを襲い続けた。

まずは「待ing」と奇しくも同日発売の「グラディエーターバーサス」(PS3・アクワイア)の到来である。

PS2から続く格闘アクションゲーム「剣闘士」シリーズの4作目である本作だが、
剣闘士たちの戦いに何故か場違いにも「魔法」が導入され、
その代償なのか過去作で熱い戦いを産む原動力となっていた
「ドッジ(回避)」や「パリィ(弾き)」などがさっくりと削除されている。
ゲーム中のミッションやステージも変わり映えの無いものばかりが続き、
プレイヤーが取れる戦術も上述のような回避等が無く、ダッシュやジャンプすら存在しないため、
ただただゴリ押しあるのみである。

それでは追加された「魔法」はどうなのかと言えば、如何せん威力が低すぎ、
味方NPCが背後から誤射して来るときくらいしか存在感が無いというその様には失笑を禁じ得ない。

また、フルプライス(パッケージ版は6279円)のコンシューマゲームでありながら
ダウンロードコンテンツ(DLC)を売らんかなの意図を微塵も隠さない
アクワイアの商魂たくましい姿勢も話題の的となった。
妙に少ない(水増し要素の刺青を除くと162通り)キャラ作成パターン、
3種族のキャラが選べるのに2枠しかないキャラ枠、
宝石を溜める必要があるのに宝石1つで1枠が埋まるアイテム箱……
これらの不満を解消するための要素は総じてDLCで追加販売されているのである。

中でも特筆すべきは宝石であろう。
装備を強化するために宝石が必要で、これは入手に非常に手間とゲーム内通貨が
掛かる上、種類別に低ランクから何度も合成・高ランク化していく必要がある。
この宝石が「その手間を省けるよ」とばかりにDLCとしてリアルマネー販売されているのだが、
中身は何と種類もランクもランダム、しかも一部は出現率が低いネトゲ廃人御用達仕様。
これではスレ内で「剣『投資』」の呼び名が定着したことも、無理からぬことと言えよう。

ここまででも既に、発売当日から本スレが葬式状態という「剣投資」の戦闘力は
流石の一言に尽きるものであった。
しかし、本作はまだまだ大いなるポテンシャルを秘めていた。
発売1カ月後に行われたアップデートによって、謎の方向へ進化(もしくは退化)を遂げたのだ。

何故か敵のAIばかりが賢くなり、あの「魔法」は大幅に威力が向上。
これによって相変わらずアホAIの味方NPCが、相変わらずプレイヤーの背後をつけ狙う
――ただし、今度の魔法は即死級だが――という、奇抜なスリルを楽しめるゲームとなったのである。
加えてフレンド機能などもこのアップデートで強化されたが、
オンラインプレイは発売後1週間で既に過疎化しており、
この奇抜な世界観を楽しめる猛者が既に少数となっていたことが何とも惜しまれる。

「パッチで進化する」という、かつての怪物「ジャンライン」を彷彿とさせる新たなる怪物「グラディエーターバーサス」。
本作はこの後も、公式ブログの微妙対応・発売1ヶ月後にまさかの無料体験版、などのホットな話題をスレに提供し続けた。


続いて現れたのは、
「ドラゴンボールアルティメットブラスト(以下UB)」(PS3/Xbox360・バンダイナムコゲームス)である。
かつては微妙ゲーを生み出していた「ドラゴンボール」のゲーム化作品も、偉大な原作の安定した人気に支えられ、
近年では堅実な出来の作品が続いていた。そのためUBも期待感をもってファンに迎えられていたのだが……

美しいグラフィック、派手なエフェクト、ストーリーモードの見事なアニメーションは確かに期待に添っていた。
だが、その外見の美しさをもってしても、あまりの内容の無さを糊塗することは出来ていなかったのである。

戦闘時の攻撃、移動、必殺技、つまりはほぼ全てのタイミングでいちいちムービー付きの
クイックタイムイベント(QTE)が挿入され、そのため戦闘はひどく冗長な展開となる。
さらに苦痛なのはこのQTEのほとんどが単に運任せの「二択」であり、
そこに対戦アクションゲームらしい技術や駆け引きなどはありはしない、ということだ。
たまに他の要素があるとしてもそれは単なるボタン連打に過ぎない。
ジャンケンを遙かに下回る驚異のゲー無性である。
幅広いファン層のため難度を上げすぎてはならないのがキャラゲーとはいえ、
今時HD機のゲームで、ジャンケン以下のことをわざわざ行う必要があるのだろうか?

自分のキャラクターをドラゴンボール世界で活躍させることができる「アバターモード」も存在するが、
せっかくのアバターの人種はサイヤ人のみ、体型は3種のみ、性別は男のみ、という
自由度の低さで、これもまた薄さを感じさせる出来映えである。

肝心のキャラゲー要素もこれまた薄い。
膨大な数のキャラが登場する原作を反映し、過去作では100体以上ものプレイ可能キャラが
登場したこともあるのだが、本作「UB」での登場キャラ数は各キャラの変身形態を含めても64体に過ぎない。
そのキャラの選出も微妙で、青年悟飯や少年トランクス、悟天、チャオズなどの
有名・主要キャラが存在しないのに、妙なマイナーキャラが登場していたりする。
また、パンチ・キック等の基本動作だけは再現度が高いものの、
例えばピッコロの腕が伸びたりするようなキャラの個性を生かせる演出はない。
加えて、やたらに見るはめになる上述のQTE演出は全キャラ共通の使いまわしである。

当初は「キャラゲー=クソ」の図式には慣れきっているためか、
本作のクソゲー戦闘力に疑念を差し挟まないでもなかったKOTYスレ住人だったが、
選評・プレイ報告が次々届き、この「錦で包んだ空き箱」のような空虚さが知れ渡るにつれて、
次第に「UB=クソ」の評価は揺るぎないものとなっていった。


そして年末迫るクリスマス。
その日漸くスレに姿を現したのは、30年の歴史を持つ古典RPG、「ウィザードリィ」の最新作、その名も
「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街(以下wiz亡霊)」(PS3ダウンロード版/アクワイア)である。

1月の発売以来、都合11ヶ月もの間陰に潜み続けて来たその姿はまさしく「亡霊」と呼ぶにふさわしいものであった。
かくも長い期間潜伏してきた最大の理由は、

「追加シナリオ(シナリオ3)終盤高レベル帯」での「バランス完全崩壊」である。

そもそも、高難度で知られるウィザードリィの世界では
「一撃死」「即全滅バランス」「キャラ消滅」「理不尽罠」「理不尽特殊攻撃」など、
他ゲームであれば「クソ要素」とされそうな点でさえもが、
ゲームのシビアな味を引き立てるスパイスとして肯定的に見られている。
また、歴史が長いだけに、多数の過去作の中には洒落にならない重大バグを抱え込んだ作品も多い。

プレイヤー側もそんな殺伐とした世界に鍛え上げられた冒険者が多いためか、
シナリオ1と2の間はバランスの不安定さ、処理落ち、
セーブ不能バグをはじめとした不具合(一部はパッチで修正)
などの難点は数々あったにせよ、問題はなかなか表面化しなかったのだ。

――しかし、キャラのレベル制限が取り払われたシナリオ3後半の戦闘バランスは、
そんな歴戦のプレイヤーをも震撼させたのである。

「wiz亡霊」では、プレイヤー側のキャラのステータスはどんなに鍛えても
最大「種族の基本値+10」までしか上がらず、それ以外に上がるものといえばHPくらいしかない。
しかし敵モンスターはレベル上昇と共に、全能力が際限なく上がり続ける。
つまりは高レベル帯での戦いになればなるほど、プレイヤー側と敵側の能力差が絶望的に大きくなっていくのである。
行動順は素早さのステータスで決まるため、この頃になるとプレイヤー側が先手を取れることはほぼ無い。
すなわち、自分の幾倍もの能力を持つ敵が、毎回集団で先手を取って襲いかかってくるのである。
よって結果はまずもって即全滅、プレイヤーの行動順が来たとき6人パーティ中の
1人2人が生き残っているならまだマシ、といった具合となる。

200程度と言われる適正レベルに達するか、または数千のHPがあれば
「絶望しかない」という状況を脱し「結構死ぬが何とか勝てなくもない」域に到達できるとされるが、
そこまで正攻法でキャラを成長させるとなると、数百時間が必要である。
そのため寺院への寄付額の半分が経験値として加算されるシステムを利用し、
裏技すれすれの金稼ぎを十数時間行ってレベルを上げるか、
ダンジョン内のイベントでひたすらHPを上げ続けるか、といった方法が本スレでは推奨されている。
戦闘とレベリングによる俺tueeeee!が醍醐味とされるゲームであるにも関わらず、
よく鍛えられた本スレ住人からさえも「寄付金でレベル上げたほうが早い」
「レベル上げは非効率」という発想が出てくることそれ自体が、本作の常軌を逸した理不尽さを体現している。

ちなみにシナリオクリア自体は、DLC販売や特定の敵モンスターから入手できる
「エンカウント阻止アイテム」を利用することで容易に達成できる。
辺りを徘徊している異常な強さの雑魚モンスターに対し、シナリオボスは格段に弱いからだ。
戦闘とレベルアップが主軸のはずのゲームで「戦闘をしない」ことを選んでしまいたくなる
その仕様の不可思議さは、流石は人ならぬ「亡霊」であると思わざるを得ない。


年の瀬も押し迫ったその3日後、KOTYスレに猛然と大雪を降らせたのは
「Piaキャロットへようこそ!! 4 〜夏の恋活〜」(Xbox360・PIACCI)である。
ファミレスを舞台とした有名18禁AVD+SLG「Piaキャロットへようこそ!!」シリーズのコンシューマ移植版だが、
本作もまた「亡霊」同様、2月に発売されながら長い期間見出だされなかった伏兵であった。
しかし、その潜伏の理由は「亡霊」とは大きく異なっていた。

コンシューマゲームでは想像もつかぬような低品質ゲームに溢れた18禁PCゲーム界、
通称「修羅の国」内ですら駄ゲー、クソゲーとの呼び声が高かった原作から、
18禁要素を取り除いて移植した本作は、典型的な「誰得作品」「見えている地雷」だったのである。

内容も「地雷」の名に恥じぬ爆発力である。
まずはグラフィック面だが、KOTYスレ住人をも唖然とさせた
「サバンナにしか見えない運動競技場」「空間が歪んだ部屋」をはじめ、
この種のゲームにとっては最重要のキャラグラフィックまでが軒並み低品質で、
購入者をして「キャラの半分はできるだけテキストウィンドウから上を見たくない」とまで言わしめる出来であった。

システム面でも処理落ち・フリーズ・不安定なスキップ機能など、クソADVには欠かせぬ要素は無論のこと完備。
さらにエンディング分岐のパラメータ調整のために設けられているはずのSLG部分は、
ほぼ適当プレイで構わない退屈な構造である上、「調整」しているはずの
パラメータの多くが、ゲームに大した影響をもたらさない。
このためゲームの半ばを占めるSLG部分の存在意義は非常に希薄であり、その薄さが
「そもそもゲームデザインの根幹が間違っている」ということをひしひしとプレイヤーに実感させてくれる。

ではシナリオ面はどうか。

「シナリオが非常に弱い18禁ゲーからエロを抜き」
「攻略キャラルートを1人分まるまる削除した」

という大すぎる穴が開いているにもかかわらず、
その穴を埋めるシナリオ調整が全くと言ってよいほど行われていないのである。
そのためか半分以上のキャラルートでは特筆すべき事態が何も起きぬ空虚がプレイヤーを出迎え、
あげくの果てはプレイヤーも気づかぬうちにヒロインと恋人同士になっていたり、
気づいたらヒロインが妊娠していたりする超展開を迎える。
そのくせ主人公はエンディングで「何も思い出を残せなかった」とほざく始末であり、
シナリオ上の穴がベトコンばりの落とし穴戦術となって、プレイヤーの士気を根こそぎ奪いに来るのである。

この恐るべき地雷原兼落とし穴地帯に特攻し、A4用紙にして89枚にものぼる地獄の戦場記録を
書きつづった勇者も現れ、その雄姿にはスレ住人から惜しみない賞賛の声と拍手が贈られた。


こうして波乱の2011年も幕を閉じ、KOTYもいよいよ本格的選考に入るかと思われた2012年1月初め、
何と2011年作品最後の霹靂がスレに轟いた。
「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(Wii・タカラトミー)
――そう、09年・10年の二年に渡ってKOTYに名を馳せたあの「人生」の続編であった。

前作「ハッピーファミリー」は、辛うじて人生ゲームの体を守っているレベルの体験版(1000円)
に毛が生えた程度の内容でフルプライス、という驚愕のぼったくり商品であったが、
クソゲーの老舗タカラトミーはその消費者軽視の姿勢を堅実に守り抜き、
我々の前に三たび「ゲー無」を送り出してきたのである。

キャラメイクも無く、幼年時代も少年時代も無く、
スリルを高めるための「仕返しマス」も存在せず 、
おまけのミニゲームも存在しない。
マスコットキャラであるはずの天使と悪魔さえも存在しない。
単調な毎日の中、数少ないイベントが幾度と無く繰り返されるのを見ながら、
時折各地の名産品・名所情報を見るだけの「人生」など、誰が望むのであろうか。

前作の根本的なゲーム性の無さを何一つ解消せぬままに、
微妙なご当地ネタを足しただけで再びフルプライス(6,090円)で発売された本作は、
「また人生か!」という半ば驚嘆、半ば諦めの声をもってスレに受け入れられた。


クソゲーオブザイヤー2011。
秋の気配深まる頃までスレを包んでいた平穏は、今はいずこへ消え去ったのであろうか。
わずか2ヶ月強の間に、数えてみれば7作ものクソゲーがスレに闇をもたらしていた。
そして、見渡してみればその全てが「シリーズ」の続編であるという事実。
それは最早シリーズ作にすら安定を求められぬという、ゲーム界の衰弱と絶望の深さを如実に示していた。

それでは、その絶望の最も深い淵に沈む作品――2011年クソゲーオブザイヤー大賞作を発表しよう。


「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」である。

いずれ劣らぬ悪夢の7雄の中でも、その絶望度は抜きんでていた。


他の6雄は、絶望の中にもどこかしらユーザーの期待に添うものは存在していた。
恋愛ゲーの「C18」「Pia4」は、曲がりなりにも女の子と恋仲となることは出来る。
街作成SLG「待ing」も、とりあえず街らしきものを多少は恣意的に作ることが出来る。
キャラゲー「UB」は、美しいグラフィックとアニメが、ほんの束の間ではあるがドラゴンボール世界を感じさせてくれる。
格闘アクション「剣投資」も、「(投資不要の)体験版はそこそこ楽しい」の声が聞かれ、
格闘自体をいくらかなりとも楽しむことはできる。
すごろくゲー「人生」も、酷く単調ではあるが「すごろく」「人生ゲーム」の体をなしていないこともない。

……だが、「wiz亡霊」は?

美しいグラフィックも、重厚なシナリオも、魅力的なキャラクターも、よく練られた世界観も、
凡そ他ゲームにおいて要求されるような要素などハナから求められていないのがウィザードリィの世界である。
その中で冒険者たちが求めるのはただ自己を錬磨するダンジョンと、打ち倒すべき敵と勝利、そして戦利品のみだ。

しかし「wiz亡霊」が提供するのは――

胸躍らせる仕掛けも関門もろくに無く、不自然に宙に浮くスイッチを探してはゲートを開けるだけ、が
繰り返される退屈きわまるダンジョン。

レベルが上がるにつれ崩壊していき、最後には「戦闘するのが非効率」とまで
歴戦の冒険者に言わしめる戦闘バランスの苦痛――その痛みはまさに拷問であり、
シナリオ1最初のフロアからプレイヤーHPの数倍のオーバーキルを喰らわせてくる雑魚がごく当たり前に徘徊し、
シナリオ1終盤でさえ既に無理ゲーもしくは運ゲーに片足を突っ込んでいたこと程度は、
痛いどころか痒いとさえも感じぬように冒険者たちの感覚を麻痺させてゆくのである。

そして、その拷問の果てに手に出来るはずの一縷の光明・戦利品集めの快感をすらも奪いとる、
「前作のアイテムがアイテムリストに混入しているためコンプリート不能」
という仕様。
どんなに強い武具を手にしたところで、バランス崩壊の中では死亡率を僅かに引き下げる程度の役にしか立たないこと、
最強レベルの武具がDLCで販売されていることも、じわじわと冒険者のアイテムへの意欲を削いでゆく。

他のゲームよりも遙かに要求のハードルが低く、遙かに寛容なユーザー層が望む僅かな期待を
尽く裏切っていったその姿は、「まともなゲーム」の死から生まれた
「亡霊」そのものであると言っても過言ではなかった。

あまつさえ発売元の *A*C*Q*U*I*R*E* ……もとい、アクワイアは
修正パッチ配布が行いやすいダウンロード販売であるにもかかわらず、
このどうにもならぬゲーム性をこれ以上手直しすることを放棄し、そればかりか
新たに追加ダンジョンを含んだ完全版商法を仕掛けるという逞しさまでも見せつけたのである。

「剣投資」「亡霊」の二大クソを生みだし、図抜けた商魂で見事クソゲーマイスターの地位を確立した同社には、
古き良きウィザードリィから、あの銭ゲバ寺院の迷文句を借りて一言を贈りたい。

――「楽しいゲーム」という、すでに廃れてしまったのかもしれない古き神の一信奉者として。



「 このはいきょうしゃめ、(ゲームかいから) でていけ! 」

総評案14 (ドラゴンボール アルティメットブラスト)

「七つの大罪」
それはいわゆる罪悪そのものではなく、人類を罪悪に導く要因である
「暴食」「強欲」「色欲」「嫉妬」「憤怒」「傲慢」そして「怠惰」
はるか1400年の昔、定義されたこれらの罪は、その後も人々の心を蝕み続けた……と、されている

そして、2011年
それぞれに対応した悪魔を持つこれらの罪は、クソゲーへと姿を変え、人々を襲ったのである


−KOTY2011 開幕−

2010年、クソゲーオブザイヤースレを襲ったのは、『ラストリベリオン』による蹂躙劇だった
「レベルを上げて物理で殴ればいい」ですべてを済ますしかないゲームバランス
薄っぺらいとしか言いようのない、未完成のシナリオ
買い物どころか住民との会話すらないマップ
最高級の素材を与えられておきながら、計り知れないクソゲーへと変貌した『ラストリベリオン』
門番による無双という、かつて無い展開に、住民達は戦慄を禁じ得なかった

果たして2011年は、どのようなクソゲーが現れ、どのような展開を持って我々を襲ってくるのだろうか……

そのような不安を抱えながら、2011年KOTY据置は発進した

しかし、その不安はなかなか実ることはなかった
住民達を待ち受けていたのは、かつて無い規模の大飢饉だったからである


「この程度のゲームがクソゲーであるはずがない」と、様々なゲームを選外に落としてゆく日々
いつしか冬が終わり、春が過ぎ、夏は暮れていった
「ひょっとして、今年はもうクソゲーは現れないのではないか?」
住民達は、そのような希望に胸を躍らせた。クソゲーがない世界がようやく訪れたのだと、歓喜にむせび泣く者すらいた

しかし、住民達は知らなかった
七つの大罪を抱いたクソゲーが、すでに自分達を蝕んでいるということに……


10ヶ月に渡る長い沈黙を破り、スレに一体の悪魔が解き放たれた
「嫉妬」を司るそのゲームの名は、『code_18』
通称「C18(しーじゅうはち)」である(どこぞの伝説級クソゲーと呼び名が似ているが、偶然である)

本作は、神ゲーと名高い『Ever17』の流れを汲むAVG(アドベンチャーゲーム)、『infinity』シリーズの4作目である
過去作のスタッフが関わっていないということで、シリーズのファンはある程度の覚悟を持って本作に挑んだとされる
しかし、その中身がその覚悟をも粉々に打ち砕くようなものだとは、誰が予想しただろうか

AVGというジャンルのゲームは、そうそうクソゲーと呼べるほどの物体は現れないということで知られている
大雑把に「シナリオ」、「システム」、「演出」の三つ+α(絵など)さえまともであれば、まぁまぁの評価は約束されているからである
だが、この『code_18』というゲームは、そのAVGの三つの柱すべてが崩壊していた
クイックセーブ・ロード機能が無く、ヒロインごとにルートが独立しておらずバッドエンドルートに突入した後にセーブすると最初からやり直しになる不親切な「システム」

作品のキモである未来からのメッセージ「code」の伏線が回収されず投げっぱなしになり、他ヒロインのルートが最終ルートにまったく関係が無く、タイムパラドックスに関する説明を十分に解説することもせず、練りこみ不足による不整合や矛盾点が多い「シナリオ」

そして特にひどいのが「演出」である

電車の音がその後のシーンに跨って延々と流れ続ける、天候が回復したと言っておきながら背後では大雨が降っている、眼鏡を取ってキスをするシーンで眼鏡が取れていない、薄暗いお化け屋敷という話なのに背後にあるのはとても明るい教室の風景。さらにはスカイタワーから夕日を見るというシーンで、背景は昼間の浅草寺になっているなど、枚挙に暇が無い
これらのクソ演出が物語の最高潮とも呼べる場面でひたすら挿入されるのである。萎えるというレベルではない
これほどまでに各要素がひどいと、散見される中学生並みの誤字脱字や、終盤のcode連続受信によるフリーズなどはもうどうでもよくなってくる
ヒロインとイチャイチャする主人公に嫉妬するライターの思考がゲームに現れているのだろうか?

AVGを支える三つの根幹がクソであるこのゲームがクソゲーであることは疑いようが無く、住民達はついに現れた悪魔に身震いした

だが、これは住民達を悪夢へ誘う物語の、まさに序章に過ぎなかったのである


奇しくも同じ11月23日、同じ日に生まれ出た双子の悪魔がいた

双子の悪魔の片割れは、「怠惰」を司る悪魔
名を『街ing(まっちんぐ)メーカー4』という
自分でキャラを操作して、自分の作った街を自由に歩き回る事が出来る、街づくりSLG『街ingメーカー』シリーズの4作目である

『街ingメーカー』シリーズといえば、一人ひとりの住民に個性があり、彼らと会話や買い物をすることによって街が発展してゆく、というシステムが好評だったシリーズである
しかしこの『街ingメーカー4』は、それらの要素はほぼ削除されている
そうしてそこに残ったのは、凄まじい「虚無」の世界であった

それでは、このゲームの驚愕の内容を紹介しよう

このゲームの内容は、ゲーム内時間24時間(現実時間にして10分)ごとに貰えるポイントを使って建物を建て、あるいは建物を潰し、その様子を眺めること

以上である

一応、ゲーム内には住民の不満を解決して街に下りて星を手に入れ、建物を建てるためのポイントをゲットするというイベントがあるにはある
だが、貰えるポイントは微量で、クリアできるかどうかはかなり不安定なので、10分待ってポイントを貰った方が効率的で、存在する意味がない

要するに、このゲームをクリアするためにすることは、「建物を建てた後、10分間他のことをして時間を潰す」という、自分の存在意義を問いたくなるような行為を5時間ほど繰り返すことだけなのである。もちろん、スキップ機能や早送り機能などというものはない

建物のクオリティが高ければまだマシだったのだが、本作のグラフィックは次世代機にしてPS2並、テナントの種類も少なく、老朽化や発展もせず、建てられる建物の種類も「学校が一種類しかない」など、痒いところに手が届かない
おまけに操作性が悪い、ロードが長い、BGMが2つしかないなどの細かなクソ仕様が上記に加わり、非常にイライラさせられる

クリアまでの5時間のほとんどが「待ち時間」である本作は、「待ingメーカー」と呼ばれ、「虚無ゲー」としての地位を確立していった
プレイヤーにまで怠惰を強要するそのさまは、思わず「怠惰であることを……強いられているんだ!」と叫びたくなることだろう

双子の悪魔のもう一方は、「強欲」を司る悪魔
KOTYというコロッセオに降り立ったその悪魔の名は、『グラディエーターバーサス』という 
古代ローマの剣奴をテーマにした対戦アクションゲーム、『グラディエーター』シリーズの4作目である
が、今作からはファンタジー要素である「魔法」の概念を取り入れ、世界観を一新。その影響で、前回まで好評だった「ドッジ」「パリィ」といった要素を削除している
では、そうして路線変更を測った当ゲームがどのようなものなのか、見てみよう

まずは公式に「組み合わせは10000種類以上」と表記されるキャラクターメイキングが始まる
が、その種類は種族3×顔3×頭3×声3×髪型6で、486通りしかない
一応水増し要素の刺青18を入れれば8748通りにはなるが、それでも10000通りには届かない
のっけから宣伝詐欺というジャブを入れてくるあたり、このゲームのただならぬ実力を感じさせられる

キャラクターメイキングが終わると、ゲーム本編が開始される
しかし戦闘はできることが少なく基本的にゴリ押しで、スキルの無い序盤はひたすら同じ部位を攻撃し続けなければ鎧が破壊できずダメージが与えられない
そのため、同じ攻撃をひたすら連打することになる。防具破壊によるエフェクトなどないので爽快感など微塵も無い
にも関わらず、頭の悪い味方が非常に高い頻度で魔法を誤射してきてコンボを中断させてくる
味方が敵を引き連れて1vs3になっている……否、味方は邪魔をしてくるので1vs4以上の状況に置かれるなど、味方AIの頭脳が非常に残念なことになっており、非常にストレスフルな戦闘となる

とまぁ、通常の戦闘においても突っ込みどころしかないが、このゲームがさらにヤバイ箇所は別の所にある
同じような使いまわしミッションを延々とさせられた果てに報酬が得られるのだが、装備を強化するためや、何故か敵が落としたアイテムを手に入れるにゲーム内通貨を使う
また、持っている武器防具も頻繁に壊れたり、武器防具の強化のために必要な宝石のドロップが異常に悪かったりする
プレイヤーは思うだろう、「なんか、不便じゃねこれ……?」と
この疑問は、公式サイトに行けば答えが置いてある
DLC(ダウンロードコンテンツ)である

DLCとは、ネット上でリアルマネーを払うことで、そのゲームに関する特典を購入することができる、というシステムである
本作では、キャラクターパーツの種類、アイテムボックスの拡張、キャラスロットの拡張などのDLCが並ぶ中、何故か「装備強化用の宝石セット」というものが売ってある
この「宝石セット」、なんと手に入る宝石の種類がランダムなのだ
いわゆるネットゲーによくあり、「あからさまな搾取のためのシステム」という批判を常に受けている「ガチャガチャ」システムである
何を考えて今更このような仕様を持ち出したのか問い詰めたい
しかも宝石の出現率は非常に偏って設定されているらしく、100円のセットを6000円ぶん買っても、一番重要な宝石が出なかったりする
「ライバルに差をつけろ」などとサイトでほざいているあたり、「どんなことをしてでもカネを稼ぎたい」メーカーの本音が透けて見えるようである

ウィルスバスターに「オンライン詐欺に関係している可能性があります」と警告されるこのDLCの山から推測される事実は、「DLCを売るために意図的にクソ仕様にした」というメーカーの悪意であった
その悪意を存分に受け取り、スレッドでは本作を『剣投資vs』と尊称するに至る
まさに強欲の権化と言うべき存在だろう

このようなゲームに人が集まるはずもなく、オンラインは1週間と経たないうちに過疎化
12月22日にパッチがリリースされるが、敵のAIが強化されたのでごり押し中のイライラがさらに増し、魔法も強化されたため、味方への殺意が大幅にアップしてさらに人足は遠のいた
また、発売日から1ヵ月後に体験版を配布したり、誰もいないオンラインのサーバーを強化したり、さらにはスタッフが後日ツイッターで「この経験を今後に生かしたい」などと呟いたりするなど、とにかくゲーム以外の部分で話題に欠かないゲームとなった


この双子の悪魔の登場にスレが恐怖してから間もない12月8日、意外すぎるタイトルが悪魔となってスレに襲いかかってきた
「暴食」を司る悪魔、『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(以下UB)
『ドラゴンボール レイジングブラスト』シリーズの、次世代機に入ってからの4作目である

『ドラゴンボール』といえば国内に知らない人間はほとんどいない超有名漫画であり、それを原作とするゲームも多数作られている
玉石混合という言葉の合う『ドラゴンボール』のゲーム群であったが、次世代機に入ってからの『レイジングブラスト』シリーズはまぁまぁ安定していると評判であった
そこから突然、「私のクソ度は53万です」と言わんばかりの圧倒的クソゲーが現れるとは……

まずは、『UB』の褒めるところを褒めておこう

まず、映像が綺麗で迫力がある。圧倒的なグラフィックは今までのどのドラゴンボールシリーズをも上回り、ド迫力の戦闘を我々の前に見せてくれる

以上である。ゲーム部分を擁護するものは一切ない

このゲームでは、少しコンボを繋げるとクイックタイムイベント(以下QTE)と呼ばれるショートムービーが挿入され、簡単なコマンド入力をすることになる
これが通常技、必殺技、果ては移動をするたびに何度も何度も発生し、戦闘のテンポを非常に悪いものにしている
QTE内部のコマンド入力も問題で、その大半は2択のじゃんけんである
じゃんけんに勝つとそのままコンボが続く、ないし必殺技を打つ、フィニッシュブローを放つなどで相手にダメージを与えることができる
ここまでで嫌な予感がした貴方はなかなかに鋭い感性を持っている
そう、『UB』における戦闘というのは、ひたすらにこのQTEの繰り返し、すなわち「2択じゃんけんの繰り返し」なのである。当然、そこに「対戦アクションゲーム」としての駆け引きなどほとんどない
たまに違う操作が加わったと思ってもただの連打勝負だったりする。そこに上手くなる要素など微塵もない
対戦とはなんだったのか、アクションとはなんだったのか、という哲学的な問いかけを思い浮かべずにはいられない

戦闘以外にも問題点はある
『UB』の登場キャラクターは64人。対戦ゲームとしてはかなり多いのではないか、と思うかもしれない
だが、ぶっちゃけるとこれらのキャラの中身は同じである
ピッコロだから腕が伸びるとかいった要素は無い。使いまわしではないのは通常モーションと必殺技くらいで、他のQTEのモーションはほぼ全キャラで同じである
強キャラ弱キャラの区別もないから良ゲーだとでも言いたいのだろうか
しかも人選も微妙で、主要人物の何人かが抜け落ちているため、「力を入れた」というストーリーモードも歯抜け状態で、キングクリムゾンを食らった気分を味わうことができる

序盤こそムービーを鑑賞して楽しめるかもしれないが、同じムービーばかりなので30分もプレイすれば飽きる
ストーリーモードでは、この退屈極まるムービーゲーを3回ほど行わなければならない上に、ドラゴンボールを探すためにマップを虱潰しに探さなければならないキャラも存在
プレイヤーのストレスはさらに加速することになる
目玉の巨大キャラとの対戦も、やっぱりQTE中心なので5分で飽きる
ちなみに全ストーリーをコンプしようとするとこれらの要素を耐えつつ50周ほどしなければならない
こうなるともう完全に拷問である
プレイヤーの精神と時間を貪りつくす、その姿はまさに暴食の悪魔にふさわしい

ちなみにオンライン要素もあるが、ラグりまくりで切断が頻発するため事実上意味を成していないので、ここでの説明は割愛させてもらう


悪魔達による怒涛の進撃は留まることを知らない
続けて現れたのは「憤怒」を司る悪魔、『ウィザードリィ 囚われし亡霊』(以下、亡霊)である
1月に発売されたゲームが、悪魔となって年末に襲ってくるという意外すぎる展開であった

『ウィザードリィ』シリーズといえば、ゲーム好きの間で知らぬ者はいない、ダンジョン探索型ゲームの金字塔とも言える存在である
いろいろと詳しい説明をしていると日が暮れてしまうので手短に話すが、wizの魅力は良バランスに設定された戦闘と、ダンジョンを探索しアイテムを収集するやりこみであり、シナリオはそれほど重視されない
そのため、少し難易度が高かったり、ストーリーが駄目であっても「まぁwizだし」で片付けられることがほとんどなのである
本作も、発売日の当初はセーブバグで若干の論議はあったものの、パッチでおおかた修正され、たいしたクソゲーではなかったと判断されていた
しかし12月に入り、当初ではわかり得なかったこのゲームの特徴が、選評者によってもたらされたのである
それは、戦闘バランスを売りにするwizというゲームで起こってはならない、ハイパーインフレによる戦闘バランスの崩壊であった

異変は、本作のシナリオ3という場面に入ったところで起きる
シナリオ3に入ると同時にレベルキャップが99から299に開放されるのだが、
このゲームは他のレベル99までしかないゲームのシステムを流用しているらしく、味方のステータスがレベル99に到達するまでもなく最高値に達するのに対し、何故か敵側だけはレベル100以降もモリモリと能力が上がってゆく
結果、終盤になってくるとバランスは完全崩壊。エンカウントしたが最後、味方よりも圧倒的に早い敵の先制攻撃で、成す術も無く全滅してゆくしかない
味方モンスターの活躍などで全滅を免れることもできるが、その場合もPT全滅がPT6人中4人死亡になるくらいで、焼け石に水である

この状況をなんとかするためには、500時間というモンハンもびっくりのプレイ時間を使ってレベルを上げるか、裏技を使ってレベルを上げる(それでも一人につき10時間かかる)、あるいは、DLCやレアモンスター狩りを行って手に入るエンカウント回避アイテムを使う、最終手段として、敵に会わないように数歩歩いてセーブを繰り返す
と、いくらwizだと言ってもあきらかにおかしい手順を踏まなければならないのである
ちなみにこうして辿り着いたラスボスは雑魚とは比較にならないほど弱い

戦闘バランス以外にも問題点があり、キャラグラフィックと異なる音声が再生されるなどの細かいバグも完備
アイテム収集を目的の一つにしているゲームなのにアイテムコンプできない仕様
「レアアイテムを手に入れたぜ!」「ああ、あの300円のやつね」と、やる気をとことん奪ってくるDLC
などといった要素もポイントが高い
これらの要素を目の当たりにしたとき、あなたはメーカーへの底知れぬ憤怒を感じることができるだろう

奇しくも、「緊張感(全滅の危機)」「高揚感(メーカーへの怒り)」「悲壮感(プレイヤーの嘆きの声)」の三つを提供する、という、ある意味アクワイアの宣伝どおりの内容である本作は、まさに憤怒の悪魔と言うに相応しい


選評が出揃い、総評の作成に取り掛かろうとしていたスレに、大晦日を狙ったかのように襲撃をしてきた悪魔がいた
「色欲」を司る悪魔、その名は『piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜』である
ちなみに恋活と書いて「バイト」と読む
かつて『ときめきメモリアル』シリーズと奇妙な縁があることで一部で話題となった
『piaキャロット』シリーズのナンバリングタイトル4作目である
ちなみに販売されたのは2月である
これほどまでに選評が遅れてしまった理由は、「買う人間がどこにもいなかったから」という理由だった

原作は「修羅の国」として名高いエロゲー業界のもので、今作はよくある「エロゲーからチョメチョメシーンを抜いてコンシューマ向けにした」移植ゲーである
大半のエロゲーからのコンシューマ移植は高評価を受けた作品によるものなのだが、本作は「パッチなしでセーブできるとか良ゲーじゃね?」という台詞が飛び出す修羅の国の住民をして、「エロ以外に評価できる点がない」と言わせしめた原作から、「その唯一評価されているエロを抜いて」発売されるということで、発売前から異臭を放っていた
そのため、突撃者はごく少数で、話題には出ていたものの、ここに至るまで誰も触れようともしなかったのだ
しかし、とある勇者達の突撃により、その恐るべき全貌がここに明らかとなった

せっかくなので、先ほどC18にて持ち出した「AVGの三本柱」を軸に説明するとしよう

まず「システム」はどうだろうか
本作にはAVGパートとSLGパートがあり、SLGパートで主人公のステータスを上げることで、AVGの部分に影響が出てくる……という仕様にしたかったのであろう残骸が見受けられる
残骸、である。SLGパートによるミニゲームで上がる主人公のステータスは、エンディング以外の分岐に何一つ影響しない
そのエンディングへの影響も、序盤に二回「休む」を選んで後は「デリバリー」を選んでいれば全ステータスMAXまで行くので、まるで意味がない
つまり、SLGパートそのものが不要なのである
AVGパートにしても、当然のごとくクイックセーブ・ロード機能はない
スキップの挙動がおかしい、選択できるファミレスの衣装がセーブ・ロードのたびにデフォルトに戻るなど、不備が非常に目立つ作りになっている

次に「演出」を見てみよう
ボイスが流れない場所があるなどの不備は目立つが、C18ほど致命的な演出ミスは無い
が、陸上競技場の場面でサバンナのような背景が現れるなど、理解のできない場面も多々あり、並みのゲームではないという予感をひしひしと感じさせられる

さて、次に最大の問題である「シナリオ」を見てみるとしよう
修羅の国の住民が語った通り、そのシナリオは非常にチープで、場当たり的である
新しく出てきては忘れ去られて全く触れられなくなる設定
バッドエンドを迎えるとヒロインとキスしてようがチョメチョメしてようが「何も思い出を残すことはできなかった」とほざく主人公
男嫌いのヒロインに無理やりついていった → 突然目の前で幼女が溺れていたから助けた → 抱いて!
といった頭を抱えたくなる展開がプレイヤーへと押し寄せる
さらに問題なのは、カットしたシーンへの対処である

本作はコンシューマへの移植に際し、チョメチョメな場面をカットしてお贈りしている
コンシューマ化に際して避けては通れない道だが、ほとんどのゲームでは、そのチョメチョメな場面に代替する要素(代わりのイベント、追加イベント、追加キャラなど)を用意してある
しかし、このゲームにそのような親切要素はもちろんなく、やられているのは「チョメチョメな場面を含むイベントを全カットする」というとんでもない手法だった
この手抜き手法により、元より薄っぺらいシナリオがさらなるカオスを生み出した

ヒロインと格ゲーした → 続きをするために家に行って格ゲーした → 次の日になったらなんか男女の仲になっていた → さらにしばらくすると何故かヒロインが妊娠した(完)
ヒロインと何故か仲良くなった → ヒロインが仕事で失敗し、辞めると言い出した → オーナーがなんとかした → 主人公がバイトを辞めた後、ヒロインが妊娠した(完)
といった、今年でもどこかで見たかのようなぶつ切りのキングクリムゾンシナリオがプレイヤーを熱烈に歓迎してくれる
しかもこれが8キャラ分存在するのだ
選評が届かないのも当然である。心が壊れては選評など書いている場合ではない
あるいはこのゲームは、色欲に狂った人間の精神を壊すことで、その安定を図っているのかもしれない

これらのクソ要素の他にも、テキストより上はできる限り見たくないと言わせしめるキャラ絵
セーブデータが増えるほど処理が重くなりフリーズするようになるバグ
XBOXLIVEに接続・切断するとタイトル画面に戻る仕様(もちろんpia4にオンライン要素など無い)
PC版からシナリオを削除されたキャラがいる(ぶっちゃけこれは救いかもしれない)
などなど、あげていけばキリがない

ちなみに、これらのシナリオが判明する際に、選評者が130キロバイトを超える怨嗟の篭ったレポートを投稿し、スレ住民に大いに支持されたということを追記しておく
(ちなみに130キロバイトは400字詰め原稿用紙170枚に相当する。参考に夏目漱石の「坊ちゃん」は原稿用紙150枚である)


悪夢のような年が明け、総評が投下されてゆく季節となった
しかし、悪魔はそのような平穏な時間を狙って来訪してきたのである
遅れてきた「傲慢」を司る悪魔の名は……『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である

思わず「またお前か」と叫びたくなるほどの、KOTY常連の『人生』シリーズ
9月に発売されたらしいこのゲームの内容が記されたその選評には、恐るべき人生ゲームの系譜が書き記されていた
プレイヤーは10種類のキャラのどれかを選ぶ。名前もパーツも変更できない
マップは全1種類で、「職業」「恋愛」要素は極少
「ミニゲーム」「カード」「学校」に到っては削除するなど、旧世代機種で出来ていたことを徹底的に排除
シリーズお馴染みの「天使」の復帰もない
使えて当然のMii機能は相変わらず隠し要素
一周目からネタ切れを起こすイベント

などなど、前回のKOTY2010にノミネートされた『人生ゲーム ハッピーファミリー』からまるで成長していない姿がそこには記されていた

唯一の希望、追加要素の「ご当地ネタ」は、各都道府県の名産やら名所やら遺産やらを紹介してくれるというものだが、それがゲーム本編に与える影響は一切無い
間違った紹介をしていないだけ、2007年を制した名前を言ってはいけないあのゲームよりはマシだとでも言いたいのだろうか
「マイナス20点のものに1点の追加要素を加えてもマイナス19点なんだよ!」とはスレ住民の声
クソゲーを焼き直しても出てくるのはクソゲーである。傲慢な企業態度が作品からにじみ出てくるようだ

こうして、KOTY常連、強豪タカラトミーが、今回も危なげなくKOTYに名を連ねることとなった


以上、7体の悪魔が出揃ったところで、今回の大賞を発表するとしよう
史上稀に見る激戦となった、今回のKOTYを制した悪魔……
それは「暴食」『ドラゴンボール アルティメットブラスト』である

今回の7体の悪魔は、すべてがシリーズものの最新作ということもあってか、どの作品もある程度擁護できる点が見受けられた。

『C18』は、プロットはまぁまともであり、最終シナリオまで進んでしまえば何とか読めないこともない

『剣投資』は、ゲームとしては少なくとも『UB』よりは選択肢も自由度も上である

『待ing』は、一応建物を建ててそれを眺め、劣化シムシティとしてなら楽しむことができる

『UB』は、ムービーが綺麗である

『亡霊』は、シナリオ2までは遊べるという点と、強い敵は「神にも匹敵する」とか書かれているので、そのあたりは一応整合性も取れている

『pia4』は、一応ギャルゲーとして女の子との恋愛のようななにかをすることはでき、キャラクターデザインや制服デザインはそれなりにかわいい

『人生』は、本当に最低限の基準だけは満たしており、さらに前回に比べるとパワーアップしている

といった具合である

クソ要素としてはどの作品も横並びであり、決め手に欠ける中、『UB』を選んだ理由は、「いかにゲームとしてクソか」という点での審査を行った結果である
他の候補がゲーム部分を擁護されているのに対し、『UB』の擁護点は「ムービーが綺麗」という一点だけである
しかしながら、ムービーや見た目が綺麗かどうかというのは、結局のところその作品が着飾っている外面に過ぎない
ウンコをいくらメイクアップしようが中身はウンコである

申し訳程度の通常戦闘と二択のじゃんけん、連打しか駆け引き要素が無い本作は「対戦アクション」とジャンルに銘打たれており、「対戦格闘」ではない、という指摘があるかもしれない
しかし、たとえ「対戦アクション」と定義しても、QTEの連続には「アクション」要素などない
そして「対戦」要素は2択じゃんけんとたまに出てくる連打のみである
確かに広義から見れば「対戦」かもしれないが、勝利してもカタルシスすら得られない「対戦」になんの意味があるのだろうか
たとえ「ムービー鑑賞ゲーム」と定義した場合も、今度はQTEによるコマンド入力が邪魔であり、そもそもムービーを見るならアニメのBDを買えばいい、という存在否定が待っている
どちらにせよクソゲーであることは免れ得ず、その中身に擁護の余地がない

よって、これらの要素から、『UB』はこれらの候補作の中でも突き抜けた「クソゲー」であるとし、ここに2011年度版KOTYを与えようと思う

「七つの大罪」という大災害に見舞われた本年は、こうして幕を下ろした
悪魔達の襲撃に勇敢に立ち向かい、散っていった者達に、もう一度惜しみない感謝を伝えたいと思う
罪が許されるそのときまで、勇者-クソゲーハンター-達は戦い続けるのだろう
願わくば、今年こそはこれらの罪が浄化され、クソゲーの無い平和な世の中にならんことを……

………
……


スレ住民達がKOTY2012へと向かう日…。体調が1ポイント回復する。

「お前、この一年間どうだった?」

「楽しかったよ。私も成長できたし。」

「ふーん。ほんとこの一年はなんだったんだろ。よくわかんね。」

「またこようね!」

「そうだな、またクソゲーしにくるかぁ!」


〜KOTY2011 (完)〜