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このページは、2011年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
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*総評案10(code18)
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「あなたは、戦っている時は平和を、そして平和の中では戦いを… 
そうしなければ生きていけない。あなたはいつも蜃気楼を見ているんだわ……」 
(小学館『エリア88』より抜粋) 


幾多もの強者・猛者・魑魅魍魎が暴れ、壮絶なる戦いを繰り広げた2010年。 
熾烈を極めた戦いを制したのは、PS3用ソフト『ラストリベリオン』であった。 
名言「レベルを上げて物理で殴ればいい」は、その後も色々なところで見聞きする事となったのであった。 

さて、そんな2010年が過ぎ、年も明け2011年となったKOTYスレに訪れたもの。 
それは他のどのスレよりも、このスレに似つかわしく無いもの、“平和”であった。 
据え置き機がどの機種も発売後数年を迎え、各社扱いに慣れてきた為か 
はたまた天井知らずな開発費を抑えるため無難なものしか発売されない為か。 
ともかく、“クソゲー”が一本も出なかったのだ。 


そしてこの状態はなんと、10ヶ月もの間続くこととなる。

その間、KOTYスレにあった事といえば 
「数本のクソゲー未満の選外作品」 
「およそクソゲーと程遠い、良ゲーとすら言えるタイトルを挙げる、某板からのお客様」 
「もはやクソゲーの話題どころかゲームの話題ですら無い、延々と続くスレ違いの雑談」 
「それを諌める者との争い」 
「鮫」 
位なものであった。 
クソゲーが出ないまま進むスレ番。もはや存在意義すら問われるスレ… 
そんな中、ある者は「平和が一番」とクソゲーが出ない事を神に感謝し 
ある者はこの平和に退屈しクソゲーの発売を切望し、ある者は「年末の魔物」の存在に怯え 
またある者は「年末の魔物」を強く望み、ある者は遠い修羅の国に思いを馳せるのであった。 


もはや今年は“大賞無し”が囁かれる中、仮初めの平和は、音を立てて崩れる事となる…… 

平和慣れし、もはやクソゲーの急襲など起こりうるはずも無いと、油断しきっていたKOTYスレを襲ったもの。 
それはサイバーフロント製Xbox360用ソフト『Code_18』(通称:c18)であった。 

このタイトルは、今だ名作ADVとして根強いファンを持つ『Ever17』や『Remenber11』等、infinityシリーズの最新作として 
満を持してHD機での発売となったアドベンチャーゲームである。 

ADVのクソゲーとしては当たり前の要素、誤字・脱字は当然完備。本作はこれに加え 
“画像とシナリオが食い違う”という新技を見せてくれるのである。 
・「夜の浅草」という描写の画面は「昼の仲見世」 
・「天候は回復した」と書かれる画面に降り続く雨 
・「真っ暗なお化け屋敷」と書かれる画面に表示されるのは「明るい教室」 
・「眼鏡を外してキスをした」彼女の顔にまだある眼鏡 
・「目が覚めた」と言いつつ主人公の腕枕で寝続けるヒロイン 
・「フリフリなメイドさんだかウェイトレスさんだかの衣装を着てる」と主人公が形容する学園祭のコスプレ喫茶のシーンの画面には全員学校の制服姿の女の子 
そして極めつけは、このゲームを一躍スターダムに押し上げた 
・ヒロインとスカイタワーからビルに沈む夕日を眺める二人……だが突然画面には夕暮れの浅草寺 
である。これにおいてはスレでも発覚後大騒ぎとなり 
「実は法力でワープしたのかも」 
「浅草寺と書いてスカイタワーと読むんだよ!」等の仮説が立つほどであり 
AA『タイムパラドックスダイブ』や『必殺!四八浅草寺タイムパラドックスキック』が誕生するほどであった。 

そしてこれらがここまで問題視された背景には 
“感動的な良いシーンが致命的な演出ミスによってぶち壊されている” 
という理由があったことを付け加えておこう。 

更にシステム面でもプレイヤーを不快にさせてくれる要素がある。 
本作は数人のヒロインが存在するが、選択肢によってヒロインが分岐する仕様ではない。 
なんと“週回数によって攻略できるヒロインが完全固定されている”のである。 
よって4人目のヒロインを攻略中、バッドエンドに行ってしまいやり直したい 
と思った時には、最悪、最初から3周クリアしなおしというハメに陥る事となってしまう。 

またシナリオ面においてもいくつかの問題点が指摘される。 
「飛行ユニットを作った!よし次はタイムマシンだ!」と意味不明な目標を掲げる主人公。 
4周目まではほぼ本筋が進まない為、退屈にさえ感じるシナリオ。 
両親の離婚問題を解決するために奔走し、解決に導いたシナリオ。 
だが後日談にて「実は仲は良くないまま」「嘘ついた」と語るヒロイン。 
シナリオライターの「見所は絆」に対し、「どこが?」とつっこみたくなるとんだ結末である。 

そしてシナリオは本作のメインテーマである“ループ”においても破綻が指摘されるのだが 
ここはネタバレにもあたる為、本総評ではカットしておこうと思う。 

シナリオのメインと言えば物語の根幹を占める、タイトルにもなっている『code』 
タイトル通り18まであるのだが、4周目まではcode02までしか発信されておらず 
かと思えば5周目になり07〜15までは怒涛の9連打で発信されるという、最後の辻褄合わせに詰め込みました感がものすごい。 
この際にはcode受信の実績が解除されるのだが、ここでボタンを連打すると“フリーズを起こす”という罠も仕掛けられているので要注意だ。 
なお、codeは全て妙に短い文で送られてくるのだが、それに対する説明は最後まで無い。 

他にも、 
・名前の後ろに意味不明の『?』や『@』が表示される 
・名前が枠からはみ出て表示されている 
・何故か名前も一緒にメッセージウインドウに表示される 
・電車から降りたのに電車の効果音が止まらない 
・背の高いキャラの顔が上で切れている 
・スキップモードが未読シーンも飛ばしてしまう 
等、テストプレイをしたのか?と言いたくなるような細かな不具合ゴロゴロ出てくる始末である。 

なおこの本作、『infinity』シリーズの最新作として発表されたが 
過去作のスタッフは殆ど“参加していない”。 
プロデューサーは人気を博した過去作ではただの“デバッガー”であり 
プロデューサーが発売日に“Twitterを非公開にした”や「KIDブランドでゲーム作ってるプロデューサーです」という“紹介文を消す” 
という前代未聞の事件があった事も明記しておこう。 

「如何にバグと手抜きの積み重ねだけでここまで酷くなるものか」 
「全ての要素に酷いものがあるだけで十分推薦したくなる」 
とは選評製作者が序文にて強く書き記した一文である。 


そしてc18の一撃により開いた城壁に押し寄せる敵兵の如く、年明けまでの約100日間 
KOTYスレは誰も予想すらし得なかった怒涛の襲撃を受ける事となる。 

c18よりやや間が開いて襲来した第2の刺客 
それはD3 PUBLISHER製PS3/Xbox360用ソフト『街ingメーカー4』(通称:待ing・待)である。 

こちらもまた多くのファンを抱える、住民との対話による街づくりがメインシステムの『街ingメーカー』シリーズの最新作である。 
発展させた街の住人と自由に会話をしながら仲良くなっていき 
それぞれの住人たちと親密な関係となることにより様々イベントが発生し 
そのイベントによっ更に住人が増えて街が発展していくといった 
アドベンチャーゲーム的な要素も備えているというのが、シリーズ一番の特徴であった。 

が、その楽しさは発売日、全てが崩壊したのである。

話しかけても定型メッセージを繰り返すだけの住人。 
いままのシリーズでは付いていた個別の名前まで消えてしまい、もはや住人はただのマネキンの群れと化してしまった。 
そして次世代機になり容量も増えたのに、削られる街の施設。 
工場の種類は激減し、漁場・農場・郵便局・交番・お墓・歯科・外科・内科病院は完全に消え去った。 
そしていまだ残る作れる施設においても、色やバリエーションに違いがほぼ無くなり 
住宅街にはまったく同じ色と形の住宅が、ひたすら立ち並ぶ事となったのである。 
「HD画質によるリアルな街づくりが可能」という謳い文句もPS2にすら劣るレベルであり 
選評製作者曰く「水の描写だけはキレイ」と、褒める所を探すのに一苦労といった有様であった。 

住人や街がこんな有様ではする事も無くなり、昼と夜の2つしかないBGMを聞きながら 
1日経過でポイントを貰う→建てる→1日経つのをひたすら待つ→ポイントを貰う→建てる→待つ 
のループを繰り返しするだけの“待つ”ゲームと化したのであった。通称「待ing」の誕生の瞬間である。 
もはやプレイした者たちからは「モバゲーの方がマシ」と言う声まで上がる始末。 
それほどまでにゲーム性が薄く、ただ時間を待つだけの作業ゲー。 
さらにはこちらでも今世代機の呪縛なのか、DLCの魔の手が忍び寄っていた。 
発売から2週間後に配信されたDLC4つのうち3つが有料であり、ただでさえ7140円も出して買ったことに後悔するプレイヤーに追い討ちをかける事となる。 

「これ、SIMPLEシリーズじゃないのか?」とは選評製作者が皮肉を込めて言った言葉であるが、SIMPLEシリーズであればどれだけマシだったかと思わざるを得ない。 


しかしこの日、攻めてきていたものはひとつだけではなかった。この呪われたかの様な11月23日。 
働く人に感謝をと設けられた日に、労いどころか老体に鞭打つような 
KOTYノミネートに値するゲームが二本も発売されていようとは…… 

その2本目、2011年3本目のノミネート、それはアクワイア製PS3用ソフト『グラディエーターバーサス』(通称:剣投資vs・投資)であった。 

こちらもまたまた好評を博している『剣闘士』シリーズの最新作であるのだが 
この投資、一言で言えば“詐欺と搾取”で出来ているゲームといえよう。 

公式PVによると「容姿の組み合わせは10000通り以上」と謳われているが 
実際は「種族の違い」以外は殆ど変わり映えのしないキャラしか作れない。 
種族・声・頭・顔が3種類ずつ、髪型が6種類、刺青が18種類。 
あとは肌と髪の色をカラーバーから選ぶだけなので、3×3×3×6×18の実質2916通り+髪と肌の色選択。 
水増しである刺青を除外すると162通り…。 
だがどんなに頑張ってキャラの顔を作ったところで、“兜をすれば顔は見えない”のである。 
そして難易度からいって“兜をしないという選択肢はありえ無い”という仕様である。 

また「所持金・所持アイテム・店の品揃えはキャラクター間で共有できます」 
と説明書に書いているにもかかわらず、“実際は共有されていない”。 
サポセンに電話すると「仕様です。説明書が間違ってます」という素敵な返答を貰えるようだ。 

それではメインともなる「対戦格闘アクション」に目を移してみよう。 
本作は基本、「3vs3」のバトルとなるのだが 
・わざとやってるんじゃないのか?と疑いたくなるような、味方NPCの自分への魔法の誤射 
・コンボの最中に割り込んできて、コンボを中断させる味方 
・1対1で戦っているところに他の敵を連れてくる味方。そしてまたも起こる魔法誤射 
とまったくもって役に立たないことこの上ない味方のだが 
いなければいないでゲームにならないのが腹立たしいところである。 
これを回避する手段はひとつ。“オンラインでcoopする事”なのだが 
初週売り上げ2700本。夜9時を過ぎると過疎と化すオンラインにおいて、それは望むべくも無いだろう。 

ならばキャラを強くすれば!となるのだが、そこで必要となってくるのが、お金。そして“宝石”である。 
そしてこの宝石。入手には手間も金もかかるのだが、簡単に手に入れられる方法があるのといえばある… 
それは「DLC課金」である。 

さてこのDLCコンテンツ。ざっと言うと 
・MMOの定番課金「ガチャガチャ」並みのランダム要素を含む「宝石販売」 
・3種族あるのに初期で2つしかないキャラクタースロットを増やす「キャラ枠販売」 
・アイテムを持てる数を増やす「アイテムボックス拡張販売」 
・ゲーム中の敵のキャラの顔の使いまわしの「容姿の追加販売」 
等、いままでの家庭用ゲームでは類を見ない 
いままではゲーム内にあって当たり前なラインナップがカタログには並ぶのだが 
それらをフルプライスのゲームでやってのけるというだけで、本作がどれほどクソかは分かっていただけるであろう。 

公式のDLC紹介ページの宝石の欄で、「ライバルに差を付けろ」とプレイヤー同士の課金合戦を煽っている一文があるが 
DLCで大儲けを目論んでいた魂胆が見え隠れするのが痛々しい。 
なお発売日前、公式サイトにアクセスするとウィルスバスターが反応し 
「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」と表示されると言うことがあったことも書き記しておこう。 
これはもう、ウィルスバスターの先見の明にただただ感心するばかりである。 
『投資』という通称も、皮肉が効いていてとても良いネーミングであるといえよう。 

前作まであった「パリィ」と「ドッヂ」を削除して入れた「魔法」 
そして頻発するフレンドリーファイア。 
まったく爽快感の無いバトル。 
課金を煽るだけの制作会社…… 

このゲームをやめ、中古屋に売ることを「奴隷解放」と言うそうだが 
うまいこと言うものだと、賛辞を送りたいと思う。 


思いもよらぬ急に湧いた豊作に、正常な流れを取り戻してゆくスレ。 
だがクソゲーの神はそこで手を緩めるような優しき者では無かった。 
間髪入れずに次の刺客が差し向けられる。 
それは誰よりも有名で、誰よりも強い、宇宙最強の戦士であった。 
そう、「オラこそが年末の魔物だッ!!!」とcv野沢雅子で再生されそうなその刺客 
それはバンダイナムコゲームス製PS3/Xbox360用ソフト『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称:アルブラ・UB)である。 

まず、今作では大幅に戦闘システムが変えられている。 
例えば従来のシリーズでは、ボタンを駆使したコンボが基本のシステムであったが 
今作では連打をすると読み合いシステム、QTE「ストライクムーブ」(いわゆるジャンケン)に突入する。 
だが問題はそこだけでは無い。 
その後、キャラが一定の距離になると、間合いを離す為にQTE。 
吹き飛ばされ、復帰に成功するとQTE。 
必殺技を使えばQTE。 
攻撃したらQTE、喰らったらQTE、距離詰めようとしたらQTE…… 
「モウQTEダラケデ、オ兄チャン、生キテル気ガシナインダヨー!」 
と古いコントネタを思い出してしまうしつこさである。 

「でもQTEはアニメ演出みたいでかっこいいんでしょ?」と思う方がいるかもしれないが、ちょっと待った! 
“QTEは全キャラ共通”で、すぐに飽きるのである。 
最弱である栽培マンから最強の超4ゴジータまで、みんな同じ動きしかしないのだ。 
しかもこの“共通モーション”のせいでピッコロは手を伸ばさないわ、誰を使っても展開が大差無いわで 
個性も何もあったものでは無く、クソゲーとしての一因を担っているのである。 

またこのQTEは前述したとおり、いわゆるジャンケンであり、とどのつまり“運勝負”なのである。 
つまり、初心者だろうが熟練者であろうがボタン連打とジャンケンが強い方が勝つ 
それが今回のドラゴンボールなのだ。

それ以外にも、「一時は100人を超す程いた操作キャラクターが、本作では34に激減」や 
「ぶつ切りのアニメダイジェスト」「男しか作れない上にメイキングの幅が狭いアバターモード」等 
良かった所を探すのが難しい程になってしまっている。 

キャラゲーでありながら立派にノミネートを果たした本作は、ファンからの擁護も得られない代物であった。 


そして年の瀬も差し迫る中、またしてもスレに一本の選評が投下された。 
平和であった頃、名前だけは何度か出ていたゲーム。それがついに満を辞して選評にまとめられたのである。 
1月27日にすでに発売されていたそのタイトルは 
アクワイア製PS3用ダウンロード専売ソフト『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(通称:亡霊)であった。 

本作はいわずもがな、あの超有名シリーズ『ウィザードリィ』の続編であり 
『剣と魔法と冒険モノ』で3DダンジョンRPGを何作も発売してきているアクワイアの作品である。 
が、発売日すぐ、 セーブバグが出来なくなるというバグが発覚する。 
幸いこれは幾度かのアップデートで事無きを得るのだが、本当の恐怖は数ヶ月先にて待ち構えていたのだった。 

それはシナリオ3が発売されてしばらくの事……本スレにて書き込まれた一文 

「どうも敵が強すぎる気がする」 

そうなのだ。本作はシナリオ1〜2までは、幾つかの問題点こそあるものの、ほぼ問題無くプレイ出来る。 
しかしシナリオ3になるとそうもいかない。どんな百戦錬磨の強者も 
「エンカウントしたら即死魔法で全滅」 
「エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅」 
と、理不尽な敵の猛攻の前に成す術が無かったのである。 

その原因はどうやらLvを100以上に出来るキャップの開放にあるようで 
本作のプログラムは“Lv2桁まで”を想定して作られた『剣と魔法と冒険モノ』という作品からの流用であるらしく 
その結果、プレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで 
他の能力は概ねLv99上限のシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対し 
モンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していくという、圧倒的な力の差を生む状況を作り出してしまったのだ。 

こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら 
仕様の穴を突いた裏技を使うか 
特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するか 
または数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い) 

と、本作の問題点をまとめるならば、“テストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さ”であると言えよう。 

また本作においてもDLCは猛威を振るっており、“装備品を含むゲーム内で得られるアイテム”が販売されるという 
アイテム蒐集が楽しみである本作を根底から覆すような馬鹿な商売を始めたのも 
剣投資のアクワイアといえば納得といったところであろうか。 

ところでこの本作、2011年1月に『ウィザードリィ ツインパック』が発売されたのだが 
12月に全部入り+追加ダンジョン『残魂の迷宮』の入った『ウィザードリィ パーフェクトパック』が発売された。 
ここで問題が発生するのだが、『残魂の迷宮』は単品販売をしていないため 
これをプレイしたいなら、ツインパックを持っている者も、パーフェクトパックの購入を強いられる。 
先に買った者程馬鹿を見る、立派な“完全版商法”である。 
しかもアクワイアは2011年9月から10月にかけて既存シナリオの値引きセールを行っており(もちろんパーフェクトパックの存在は伏せたまま) 
発売日から順に販売されるまま買っていった純粋なファンの方々には、かける言葉も無い状況である…。 


そして選評が来る12月までその異常性を誰にも悟られる事無く 
10ヶ月もの間隠し通していた猛者がもう一人。 
2011年初頭の2月24日に発売されていたそれは 
PIACCI製Xbox360用ソフト『Piaキャロットへようこそ!!4 夏の恋活』(通称:pia4・pアフォ)である。 

このゲーム、SLG(シミュレーションゲーム)部分と、恋愛ADV部分に大きく分類できるのだが 
・新入りのアルバイトが人事権を行使する謎のファミレス 
・部署「デリバリー」だけを選んでいけば、問題無くパラメーターをMAXにできる謎の新設設計 
・エンディング分岐“だけ”にしか関係がない、仕事には一切関係の無い8つの謎のパラメーター 
・移動できる全19ヶ所中、10ヶ所は“一切何も起こらないハズレ”である、半分は攻略情報を知らない初心者に対する嫌がらせで出来ている移動選択 
と、SLG部分を取ってみると「完全に不要」「一本道のノベルゲーのほうがマシ」と言われる出来である。 

と、このように褒めるところのないSLG部分であるが 
ではもうひとつの肝、恋愛ADV部分の方はどうであろうか。 
恋愛ADV部分=シナリオということになるが…これがまたSLG部分に匹敵する香ばしさを放っていた。 

このゲームは古くは1996年のPC版にまで遡る老舗シリーズ 
『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズの第4弾として2009年にPC用アダルトゲームとして発売されたものを 
18禁要素を削りXbox360に移植されたものである。 

全体的にキャラの感情表現があまり描写されず、メリハリも無く 
たまに事件が起きたかと思えば「いつの時代の恋愛ストーリーだよ!」と言いたくなるような 
陳腐かつ既視感ありまくりの事しか起こらないイベント。 
だがそのたまに起こるイベントにおいても問題はあり 
イベントシーンにだけ付随しイベント後は無かった事になる、突然発生するキャラクターの“新設定”。 

もう一度言うが、本作は“元は18禁のPCゲーム”であり、その18禁部分を削った移植作品である。 
しかしシナリオにおいてその削られた部分を違和感無き様補完するなどという事は一切無く、とられた対策といえば 
Hシーン部分になったら“画面を暗転させ時間を飛ばす”、ただそれだけであった。 
「本来あるHシーンの時間を丸ごと切り離し消し去る。プレイヤーはその時間を体験出来ないので記憶はもちろん無い」 
という某ボスも真っ青の能力でこの難題を切り抜けた結果 
プレイヤー本人が気づかぬ内にヒロインと付き合っていたり 
あまつさえヒロインを孕ませていたりするという事が起こったりするのだ。 

選評製作者は言う。「シナリオのつまらなさこそが、このゲーム最大の問題点」であると。

またこの作品は背景の酷さも度々話題に上がり、スレに上げられた背景絵を見ては 
「なんというか…サバンナ?」「廊下の窓がなんか騙し絵みたい」「某魔法少女アニメで見た事ある光景だな……」 
という、およそ現代劇の背景の感想とは無縁の言葉が飛び交う事になったのは余談ではあるが 
一見の価値はあるので明記しておこう。 

その他にも「未読部分まで読み飛ばすスキップ」「突如発生する原因不明のフリーズ」 
「セーブ数が増えれば増えるほどロード画面の操作が鈍重になる」など多種多様なクソ要素が存在する 
まったくもって見事なクソゲーっぷりである。 

以上、プレイした者には「SLGパートがひどい、背景が酷い、シナリオが凄まじく酷い」と言われ 
「エロゲーとはエロで抜くものであって、エロを抜くものではない」という 
家庭用ゲーム板ならではの名言が生まれたのも、本作の功績であると言えよう。 


そして年も明け、総評もいくつか投稿され始めた1月上旬。ついに7作目となる新たな選評が投下された。 
スレ住人は「今年も7つ来たか…」と、改めて2011年の豊作ぶりに驚き 
誰とも無く「七英雄の再来」「七つの大罪」と呼ぶのであった 
。 
そんな7本目にやってきたクソゲー、それはもはやKOTY常連メーカーが9/1に発売していた 
タカラトミー製Wii用ソフト『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(通称:人生・誤当地)である。 

本作もまたしても人気ボードゲーム、『人生ゲーム』をゲーム化したもの。 
そしてWiiで2作発売され、昨年フルプライス版なのに先の簡易版と殆ど差異がない事で 
詐欺ゲーとして話題になった『人生ゲーム ハッピーファミリー』の増補改訂版であり、最新作である。 
余談ではあるが、Wiiで発売された2作はそれぞれ、当年のKOTYにノミネートされており 
しかもそれぞれが大賞候補と接戦を繰り広げる程の剛の者であった。 

そんな親・子・孫の三代で挑むKOTY、天空の花嫁で言えば本命の勇者である今作であるが 
その勇者の力の一端を説明していこうと思う。 

始めてまず目に付くのが、使えるキャラクターの少なさだろう。 
男5人+女5人。これだけである。 
更に名前も固定で、顔も服装もデフォルトから一切変化しない。 
結婚相手もこの中から選ばれるし、子供に至ってはこの10人の顔パーツを流用した子が産まれてくるというのだから 
男の顔をした女の子も産まれてこようというものである。 

マップの方も「ボードゲームをリアルに再現しました!」と言わんばかりに一種類しか無く 
ミニゲームは存在しない、仕返しマス等の一部のマスが存在しない、天使も存在しないと 
あらゆる面で本作も手を抜いてきた模様である。 

ゲーム面をとってみても、圧倒的にイベントが少ない本作では 
・殆どのマスは片手で数えられる程度のイベントしか発生しない 
・初見の4〜5時間のプレイだけで、全く同じイベントを両手で足りないくらい見ることになる 
・子供に引き継いでの2週目プレイが出来るのだが、イベントは同じ 
と、「どこが増量仕上げ?」と首を傾げたくなる始末である。 

本作で追加された「ご当地ネタ」であるが 
各都道府県の名産品やら、名所やら、遺産やらを紹介してくれる物であるが 
単なる豆知識紹介と言った感じで、“ゲームに影響する事は一切無い”。 

「これなら俺の人生の方がまだ面白いのでは…」とは、選評製作者の〆の一言である。


ではいよいよ2011年の大賞を発表しよう。 
7つのノミネート作から選ばれた、栄えある今年のクソゲーオブザイヤー大賞は…… 


『Code_18』(Xbox360/サイバーフロント) 


である。 

今年は特出した誰もが満場一致で納得できるクソゲーというものが無く 
選ぶのが非常に困難極まった年であった。 
どのソフトにも他に負けないクソ要素を含み 
人によってはどれが大賞になってもおかしくない接戦であった。 

そんな中、クソが産まれにくいアドベンチャーというジャンルでありながらの健闘ぶりや 
スレを最も賑わせ、“クソを持ってして皆に笑いを振りまいた”事と 
新キャラクター『c18マン』や新観光スポット『浅草寺スカイタワー』等を誕生させた功績を称え 
本作を大賞にするものとする。


永遠に続くと思われた平和な日々から一転、2010年をはるかに超える魔物を迎えた2011年であった。 
7つの大きな罪を背負いし作品がしのぎを削る結果となった本年であるが 
今回ノミネートされたものの全てが“人気シリーズの最新作”であることは 
今のゲーム業界の現状を表しているようで、いろいろ心配にもなろうというものだが 
ここは無事大賞決定!ということで、2012年への期待と希望を持って 
我々はこれからも楽しくゲームを選んでいきたいと思う。 

ではこの方のお言葉を持って、2011年のKOTYを締めくくらせていただこう。 


C <安心して休め、四八マン。これからは私がこのスレを護る! 
(十) 
八 

}}

*総評案11 (グラディエーターバーサス) [#wf90e4f0]
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前年王者『ラストリベリオン』は、KOTY(クソゲーオブザイヤー)に新たな歴史を刻んだ。
据え置き機ゲーム業界を「重厚長大主義」が支配し、意欲作が生まれにくくなっていた閉塞感……
そんな中で、颯爽と現れた次世代機の新星は、
「物理」の力で挑戦者を全て打ち祓い、KOTY史上初めての先行逃げ切りを達成する。
次々と門前払いを続けるその雄姿は頼もしくもあり、
一方で、ある種の不安をスレ住人達に植えつけていった。

「クソゲーが来なくなった時、我々はどうなるのだろうか」

果たして、その予感は現実となった。

2011年3月11日、日本を未曾有の大震災が襲った。
幾人のゲームを愛する者達が、同志が、志半ばに命を落としたことだろう。

日本中が喪に服し、「自粛」ムードが広がる中で、
ゲーム業界もまた、本来の輝きを失っていた。
クソゲーとはゲーム業界の暗部……
すなわち、光あってこそ濃やかに現れる闇である。
長い長い停滞が、KOTYスレに訪れることとなった。 

雲間から光が差し込み、ようやく稲穂が実り始めたのは、実に10月のことである。
サイバーフロントによる恋愛ADV『code_18』(「c18」)。
本作は、神ゲーとして名高い『Ever17』を擁する「infinity」シリーズの最新作である。
だが、「c18(しーじゅうはち)」という略称ゆえの呪いなのか、
発売当日に本スレでは購入者の悲鳴がこだまし、それを尻目にプロデューサーは雲隠れした。
本作の悪評を決定づけた最大の原因は、各場面を台無しにする演出ミスにある。
「真っ暗なお化け屋敷」が昼間の明るい教室だったり、
感動の場面でヒロインの父親の顔が見切れているのは序の口。
「スカイタワー」でヒロインと夕暮れを見つめる場面では背景が「浅草寺」であり、
製作者はデュシャンの「泉」のような前衛芸術でも目指したのかと邪推せざるを得ない。
むろん誤字脱字も完備であり、セリフの表示が丸ごと消えている「脱文」も抜かりない。
シナリオの大筋を解説すると、作中で時間が循環している設定の「ループもの」である。
しかし、あろうことか周回ごとに攻略対象を完全固定しており、さかのぼっての攻略は不可。 
BADエンドの分岐に気づかず上書きセーブした場合、問答無用で1周目からやり直しである。
また、表題にもなっている18個の「code」(未来からのメッセージ)であるが、
最終周で思い出したように16個配信され、結局正体がうやむやのまま終わる。
プロデューサーは以前、「code_18はInfinityシリーズの入門編」と発言していたが、
よもや彼ら自身の(ゲーム制作における)入門編を指していたとは誰が予想できただろうか。

こうして束の間の収穫を分かち合うスレ住人たちであったが、この時はまだ誰も知る由もなかった。
立ち込める冬の銀杏の香りに紛れて、
去年姿を見せなかった「年末の魔物」どもがこちらの様子を伺っていたことを……。

12月も近づこうとした時、突如KOTYスレを襲う黒い影が現れた。
D3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(「待」)である。
「街ingメーカー」は、本作で4作目となる人気シリーズ。
その特徴は何と言っても、「街の人々と会話して意見を取り入れながら街を作っていく」
という独自のジャンルを開拓したことにある。 
だが本作は、前作まで各建物に入れたはずの主人公がなぜか出入禁止状態になっており、
街の人々は揃いも揃って「家に帰る」「仕事に行く」など、心底どうでもいい内容しか喋らない。
肝心の街づくりパートも、7140円のフルプライスを微塵も感じさせない仕上がりである。
ゲーム本編のBGMは昼と夜の2種類しかなく、建築可能な物件の種類も前作から激減。
学校は小中高大ではなく「総合学園」のみで、郵便局や交番等は存在すらしない。
街を開発するには「ポイント」が必要であるが、中盤以降は一、二個の物件を建てるだけで枯渇。
ゲーム内時間で一昼夜が経過するまでポイントは振り込まれず、その間じっと待たなければいけない。
クリアまではおよそ6時間、それも、その大半は上記の「待ち」時間である。
いつしか本作は「街」づくりゲームではなく、『待』と呼ばれる何かとして扱われるようになった。

それと同日、コロッセオに殴り込んできた狂戦士がいた。
アクワイアより発売された『グラディエーターバーサス』(「剣投資」)。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘型アクション「剣闘士」シリーズの最新作である。
電撃プレイステーションで『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得した本作、
それもそのはず、シリーズの肝である「パリィ」「ドッジ(寸前回避)」の操作体系を削除し、
作品名を無視して舞台設定を中世ファンタジーに変更するなど、凄まじい迷走が見て取れる。
まずプレイヤーが目の当たりにするのは、キャラクター作成機能の前代未聞のショボさだ。
公式PVで謳われている「10000種類以上の容姿」は、実際には首から上のパーツが数種類ずつ選べるだけ。
シワ1本の違いや、左右2組×3色展開の刺青など露骨過ぎる水増しも目立つが、
さらにやるせないことに、ゲーム中は兜に隠れるため、全くと言っていいほど見えない。
実質的なバリエーションはわずか3通り(「種族」)と肌の色しかないのである。
ゲームの内容はと言うと、いわゆるミッションクリア形式であるが、
全編を通して、その場にいる敵を順次殺戮するだけの作業。
ミッション合間に流れるムービーはスキップ不可である。
味方NPCの知能は3歳児並で、ファイナルファイトばりにパーティアタックやコンボ妨害を仕掛けてくる。 
また、本作を彩る最大の特徴は、あこぎなDLC(有料ダウンロードコンテンツ)である。
2人より多く自キャラを持ちたければ課金が必要、
異様に小さいアイテム保持数を拡張するには課金が必要、
デフォルト3種類以外の顔パーツを使いたければ課金が必要……
公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」などと課金合戦を煽っているが、
冷静に考えるまでもなく、どれも「出来て当たり前」のことである。
アイテム強化のDLCは今流行りの「ガチャガチャ」方式で、パチンコのごとく射幸心を煽ることにも余念がない。
ともあれ、その商魂を讃え、本作は誰からともなく『剣投資』と呼ばれるようになる。
かのウィルスバスターは本作発売前の公式サイトを
「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と喝破したが、とんだ慧眼であったと言えよう。

こうして温まってきた武舞台に、凄まじい「気」と共に飛来する存在があった。
バンダイナムコの格闘ゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(「アルブラ」)である。 
本格的な原作再現で人気を集める「レイジングブラスト」シリーズの流れを汲む本作であるが、
何を思ったか、キャラゲーの核であるキャラ数を40人近く大幅削減。
青年悟飯の代わりにキュイがいるなど、無駄にこだわった人選にも疑問符が付く。
だが、それにもまして一番の問題点はQTE(クイックタイムイベント)の濫用である。
QTEとは、平たく言えばボタン入力が必要なムービーであり、
本作においては主に、時間内にお互いが押した二択のボタンで「ジャンケン」勝負を行うものである。
むろんこれでは「運」だけが勝負を決し、プレイヤーの力量は何も報われない。
しかし本作ではこのQTEの頻度が異常に高く、
通常攻撃、受け身、間合いの変更、必殺技と、あらゆる局面で発生。
そのたびにジャンケン、ジャンケン、ボタン連打……と、
懐かしの『ジャンケンマン』並に退行したゲーム性がプレイヤーを退屈の渦に巻き込む。
これらの演出は全キャラほぼ共通であり、キャラの少なさと相まってプレイヤーを瞬時に飽きさせる。
昨今の格ゲーの複雑化に対する挑戦は評価できるが、この出来では幼児はおろかチンパンジーすら満足するまい。

「魔物」たちの熱線に当てられたか、上半期の不発弾も突如誘爆を起こした。
PS3向けDL販売専用ソフト、『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(「亡霊」)。
古典的RPGの金字塔「ウィザードリィ(Wiz)」の再興(ルネサンス)を期して制作された作品である。
「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたい」
製作者たちが掲げた崇高な理念について、以下に検討していこう。
まず《緊張感》である。
Wizの魅力を端的に言えば「隣り合わせの灰と青春」。
全滅やキャラ消滅の恐怖と戦いながら、探索や宝探しを続けていくスリルである。
だが本作では、配信初日から「プレイ中に一切セーブ不能になるバグ」が発見され、
歴戦のプレイヤーも泡を食うはめになった。
次に《悲壮感》。
発売数ヶ月後の新章配信と同時に、本スレには断末魔の叫びが一斉に轟くこととなる。
最終章からレベル制限が取り払われるが、どんどんインフレするモンスターの能力に対して
主人公達の能力は早々に頭打ちであり、遭遇・即・全滅の罰ゲーム状態になるのである。 
クリアする方法自体は、「無いわけではない」。
普通にやれば適正レベル到達に500時間かかるが、バグで増やした金で経験値を買う作業に徹すれば10時間。
エンカウント回避のDLCを購入したり、数歩ごとにセーブアンドロードを駆使してひたすら敵を避けても良い。
だが、制作会社がテストプレイすらろくに行なっていない事実は否定しがたく、
続編を待ち続けたプレイヤーたちを深い悲しみと絶望が包むことになった。
そして最後に《高揚》……であるが、
本作は少なくとも、ここにいる一部の好事家たちには熱狂的に歓迎されたと言えよう。
発売元はアクワイア。『剣投資』に続き、2作目のノミネートである。

そして、とどめとばかりに修羅の国の猛者も名乗りを挙げた。
『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(「Pia4」)。
F&Cから出た同名のアダルトゲームを、PIACCIがXbox 360に移植したものである。 
「Piaキャロ」シリーズ自体は過去に映画化も果たした名門ブランドであるが、
本作及び原作を一言で言えば「没落貴族」。
「陸上競技場」の背景がサバンナにしか見えないなど、
中韓丸投げアニメのごとく崩壊しきった作画が哀愁を誘う。
不定期に起きるフリーズや、既読スキップ周りの不具合もある。
だが、本作の一番の問題点はシナリオである。
もともとエロの「つなぎ」でしかなかった代物から18禁部分を強引に削り取った結果、
ほぼ全てのキャラのシナリオが意味不明な超展開になってしまったのである。
その混沌ぶりたるや、「行間を読め」などという言葉で片付けられるものではなく、
「格ゲーをしていただけなのに、気付いたら彼女ができていた」
「気付いたら従姉を妊娠させていた」
「気付いたら実妹と一線を越えていた」
と、身に覚えのない事実が次々と語られるサイコホラーと化している。
また、恋愛ADVパートと並行して育成SLGパートもあるが、
本作の場合、エンディングの分岐のみに関係し、シナリオ本編には一切関係しない。 
「体調」が万全なのに主人公が過労で倒れるなどのご都合主義もさることながら、
白眉なのはパラメータが不足していた場合の共通BADエンドであろう。
「この一ヶ月はなんだったろう」と主人公が一言嘆いて実家に帰るのであるが、
誰かを攻略完了していた場合でもまるで触れず、「ヤリ捨て」と言わざるを得ない終わり方をする。
なお本作の発売日は2月下旬なのに対し、選評が届いたのは大晦日。
それまで潜伏し続けた本作は黒船ならぬUボートである。
決死の覚悟で本作に突入した勇者の、血を吐くようなプレイ手記を、ぜひ参照して頂きたい。

さて、どんじりに控えしは『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ 増量仕上げ』(「人生3」)。
賢明な読者はご推察のことと思うが、前回ノミネートの「人生2」のマイナーチェンジ版である。
申し訳程度のご当地ネタが追加された以外の変更点は絶無であり、相変わらず手間を省きたいという強い意志を感じさせる。
もはや存在自体が紙幅の無駄であり、詳細については前年の総評・選評に譲るべきであろう。
特記事項として、タカラトミーの連続ノミネート記録が6年へと更新されたのであった。 

以上、ノミネート7作品の紹介を終えたところで、大賞を発表しよう。
大混戦の様相を見せた2011年、
ゴール前の直線で抜け出し、見事レースを制したのは……
『グラディエーターバーサス』である。
本作の受賞を決定づけたのは、クソゲーとしての「自由度」の高さである。
本来クソゲーというものは、どれだけひどい出来であっても何らかの美点を見いだせたり、
あるいはツッコミを入れながら楽しむことができるものである。
しかるに本作は、最初のキャラクターメイキングは3分で飽きる代物であり、
序盤は連打しかすることがなく、中盤以降もゴリ押しで同じ行動の繰り返し。
後半はステージの使い回しが激しく、ラスト二回にいたってはミッション丸ごとほぼ流用。
オンラインでの協力プレイならあるいは……と淡い期待を抱いても、
この出来でプレイを継続する聖人君子がいるはずもなく、発売数日後から廃村状態。
どこまで行っても金太郎飴がごとき見事な一本糞なのである。 
なお、本作と最後まで競った『Pia4』や『c18』も部分的には決して大賞に劣るものでなく、
明暗を分けたのは「捨てる神あれば拾う神あり」というただ一点に過ぎない。
昨今、どんな遊び方をしてもいい「自由度が高い」ゲームが良いとする議論があるが、
『剣投資』も同様に、どんな遊び方をしてもひどい「自由度が高い」クソゲーだったのである。

もしもクソゲーが最後まで現れなかったら……。
そんな諦念が長く尾を引いていた一年であったが、終わってみれば杞憂であった。
最初のノミネートからわずか2ヶ月半で7作品が集結する、カンブリア爆発さながらの事態である。
『c18』、『待』、『剣投資』、『アルブラ』、『亡霊』、『Pia4』、『人生3』。
これらは全てが「シリーズもの」のゲームであり、
概して言えば、旧作から大幅に路線変更した結果の失敗であったと言えよう。
だが、例え今回残念な結果に終わったとしても、各メーカーには今後も奮って挑戦を続けて欲しい。
ゲームはゲーマーに、クソゲーはクソゲーハンターに……
この世に生まれ落ちた全てのゲームは、それぞれ還る場所があるのだから。
願わくは、本年もゲーム業界全ての活力がますます栄えるよう、祈るばかりである。

最後に、2011年の土壇場に垣間見たクソゲー界の底力をここに讃え、この文章の結びと代えたい。

「クソゲーは滅びぬ、何度でも蘇るさ」
}}

*総評案12 (pia4) [#q29e73f5]
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(お好みの実況で再生してください)
全世界のクソゲーマーが待ちくたびれた、最低のクソゲーを決める2011年クソゲーオブザイヤー
業界中から選びぬかれた七つのクソゲーが、ようやく出走を迎えます

2011年で一番つまらないのは一体どのゲームか、世界中の被害者が固唾を飲んで見守っています
それではノミネート作品、発売日順で紹介です

1番、亡霊(ウィザードリィ 囚われし亡霊の街)
ウィザードリィからまさかの刺客
フトコロの深いシリーズからノミネートできるクソゲーの実力は如何ほどか
パブリッシャーは携帯の強豪・アクワイア、据え置きでは初めての登場です

2番、pアフォ(Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜)
修羅の国でガッカリゲーと噂の誰得移植
あのSSα<アルファ>が改心した後、後継は我であると言わんばかりのノミネート
ディベロッパーはカクテルソフト、携帯と合わせての二冠を狙わんと気焔を上げています

3番、誤当地(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)
残暑の残る防災日、人生ゲームがやってきた
鞍上はやはりお前かタカラトミー、性懲りもなくフルプライスでのノミネート

4番、C_18 (code_18)
伝説を彷彿とさせるネーミングに、悪夢を思い出させる同ジャンル
父親はご存知infinityシリーズ、でも兄弟のエバーセブンティーンとは赤の他人です
騎手は心臓発作を起こしたKIDSから代わってサイバーフロント、ここも赤の他人です

5番、剣投資 (グラディエーターバーサス)
ファミ通で貫禄の低得点を付けられた人気作品
ドッジやパリィと共に爽快感が無くなった最新作
騎手は亡霊も作ったアクワイアの一人二役、二作目のノミノートです

6番、待ing(街ingメーカー4)
シリーズ独自の要素を排除して、同人クオリティを実現させた二番人気
開発は新顔のメディアファクトリー、忍耐深く勝機をまっちんぐさせます

7番、UB(ドラゴンボール アルティメットブラスト)
沸点の高いキャラゲーから、QTEを引っさげてのノミノート
開発はまさかの株式会社スパイク、定評があるのにどうしてこうなった

(パーンパカパンパンパン〜)
一番人気は現金搾取DLC・剣投資
二番人気は手抜き虚無ゲー・待ing
誤字脱字の完備したC_18も注目されています

各作品ゲートインから選評順にスタートしました

まず飛び出したのはC_18、プロデューサーはツイッター非公開済み
続いて剣投資一番人気、味方から魔法で攻撃されている
更に二番人気待ing、プレイヤーが暇潰しの出来る悪ポジション
中央一UBには海外の怨嗟が届いている
一歩遅れて亡霊、完全版商法で現金を搾取中
大きく遅れてpアフォ、何時の間にかヒロインが孕んでいた
最後尾にはお馴染み誤当地人生ゲーム、六年連続ダカラゴミー

さあ、最終コーナー
先頭C_18、二番手内側から剣闘士、外から二番人気待ing

その間を狙ってUBが運任せの戦闘で切り込んだ
QTEだけの幼児退化!あいこの無いジャンケンゲーム!
鞍上が必殺のボタン連打!謎のチョイスでキャラ激減!
戦闘パターンが同じで子供が泣いている!

先頭剣投資、出た必殺のアクドイワフォーム!
容姿の組み合わせ数がPVから遥かに少ない!実際の仕様が説明書と違う!
一週間でオンラインが過疎に!あげくに開発スタッフがプレイヤーフルボッコ!
クソ仕様で有料DLC!ウィルスバスターが公式サイトに反応した!

しかし待ingが食らいつく
街にひしめくマネキン達!削除された施設の群れ!
フルプライスで有料DLC!誰得特典でドリームクラブ!

更にC_18が並んでいる
明るい教室でお化け屋敷!学園祭で制服コスプレ!
出た伝家の宝刀浅草寺<スカイタワー>、感動シーンがぶち壊された!
電車の音が止まらない!周回固定でヒロイン攻略!

おっと、UBずるずると後退、やはりグラフィックが綺麗なのは褒める所か!

代わりに亡霊が上がってきた!
まだ許容できる前半シナリオから高難易度シナリオで差し込んでくる!
何をやっても全滅する!まともにやると数百時間!
しかしUBよろしく後退してゆく、やはりクソが三分の一なのが響いたか!?

誤当地も上がるが届きそうにない!
やはりユーザーを舐め切った企業姿勢だけでトップは狙えない!

いや、何時の間にか大外からpアフォが上がってきた
選評が届いてる!同じADVのC_18をかわしての猛烈な追い込み!
攻略キャラが削られた!エロを抜いた所に追加がないので辻褄が合ってない!
SLGパートに意味がない!その子誰の子オーナーの子!?

さあ、残り四作
先頭の三作が上がって行きます

先頭剣投資、出たお約束の改悪パッチ!
強化された味方魔法がプレイヤーの尻を焼く!
しかし待ingも動く
ゲーム性がない!施設がない!
おっと騎手もいない!鞍もない!なにもかも捨て去った身軽さで剣闘士と併せ馬!
C18も食い下がるが劣悪シナリオだけでは届かない!

おーっと!大外から一気にpアフォ!大外から一気にpアフォ!
背景が酷い!馬場がサバンナと化している!
キャラが酷い!本スレすら悲鳴を上げている!
意味不明の新設定!お約束のバグ地獄!
更にプレイ手記が届いている!急速に正気を失っている!
pアフォ強い!苦痛が強い!狂気と涙のサバンナストライク!
130キロ恋活<バイト>の怨念を受けてpアフォ、金っ、時間っ、返せええええ―――――――!

――修羅の国のガッカリゲー、色々抜いたら阿鼻叫喚
エロさえあれば許せるが、エロを抜いたら寝取られゲー

確定しました、一着pアフォ、二着剣投資が入ります
2011年クソゲーオブザイヤーでした、また来年にお会いしましょう
選評者よ安らかに
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