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このページは、2011年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。

総評案10 (code18)

「あなたは、戦っている時は平和を、そして平和の中では戦いを…
そうしなければ生きていけない。あなたはいつも蜃気楼を見ているんだわ……」
(小学館『エリア88』より抜粋)


幾多もの猛者・強者が暴れ、壮絶なる戦いを繰り広げた2010年。
熾烈を極めた戦いを制したのは、“最強の門番”こと『ラストリベリオン』であった。
名言「レベルを上げて物理で殴ればいい」は、その後も色々なところで見聞きする事となったのであった。

さて、そんな2010年が過ぎ、年も明け2011年となったKOTYスレに訪れたもの。
それは他のどのスレよりもこのスレに似つかわしく無いもの、「平和」であった。
据え置き機がどの機種も発売後数年を迎え、各社扱いに慣れてきた為か、
はたまた天井知らずな開発費を抑えるため無難なものしか発売されない為か。
ともかく“クソゲー”が一本も出なかったのだ。


そしてこの状態はなんと、10ヶ月もの間続くこととなる。


その間、KOTYスレにあった事といえば
「数本のクソゲー未満の選外作品」
「およそクソゲーと程遠い、良ゲーとすら言えるタイトルを挙げる、某板からのお客様」
「もはやクソゲーの話題どころかゲームの話題ですら無い、延々と続くスレ違いの雑談」
「それを諌める者との争い」
「鮫」
位なものであった。
クソゲーが出ないまま進むスレ番。もはや存在意義すら問われるスレ。
そんな中、ある者は「平和が一番」とクソゲーが出ない事を神に感謝し、
ある者はこの平和に退屈しクソゲーの発売を切望し、ある者は年末の魔物の存在に怯え、
またある者は年末の魔物を強く望み、ある者は遠い修羅の国に思いを馳せるのであった。

もはや今年は「大賞無し」が囁かれる中、仮初めの平和は音を立てて崩れる事となる……



平和慣れし、もはやクソゲーの急襲など起こりうるはずも無いと、油断しきっていたKOTYスレを襲ったもの。
それはサイバーフロント製Xbox360用ソフト『code_18』(通称:c18)であった。

このタイトルは、今だ名作ADVとして根強いファンを持つ、
『Ever17』や『Remenber11』等、infinityシリーズの6年ぶりの新作として
満を持してHD機での発売となったADV(アドベンチャーゲーム)である。

過去作のスタッフはほとんど参加しておらず、プロデューサーですら過去作ではデバッガーだったという本作は、
ADVのクソゲーとしては当たり前の誤字・脱字は当然完備。
それ以外に「名前欄がおかしくなる」「効果音が止まらない」「背の高いキャラの顔が見切れる」
という軽度のバグに加え、「画像とテキストが違う」事により、
“ルート終盤における感動的で大事なシーンを、致命的な演出ミスによって台無しにする”
という過去類を見ない大技まで見せてくれたのである。
「『暗幕に包まれたた教室』と書かれる画面に表示される『明るい教室と剥がれ落ちた暗幕』」
「『眼鏡を外してキスをした』彼女の顔にまだある眼鏡」
「『少しハレンチではないか?』と身内が心配する学園祭のコスプレ喫茶のイベントの画面には、学校の制服を着たヒロイン」
他にも上げればきりが無いのだが、極めつけはこのゲームを一躍スターダムに押し上げた
「スカイタワーにて主人公に過去を打ち明けるヒロイン……だが画面背景は突然『浅草寺』に」である。
これにはスレでも発覚後大騒ぎとなり、
「実は法力でワープしたのかも」「浅草寺と書いてスカイタワーと読むんだよ!」等の仮説が立つ程であり、
新キャラクター『c18マン』や新名所『浅草寺スカイタワー』
AA『タイムパラドックスダイブ』『必殺!四八浅草寺タイムパラドックスキック』が誕生する程であった。

ちなみにこのゲーム、数ある分岐を選択していって各ヒロインと仲良くなっていくという恋愛ADVの王道を踏襲してはおらず、
“今が何周目かによってヒロインが決まる”というシステムが採用されている。

そしてシナリオだが、最終ルートまでは本筋が進まない、文化祭でイチャイチャするだけの退屈な話な上、
「携帯番号を教えた人」に再会したのに、「誰コレ?」と初対面の対応をするヒロインや、
4周目のみ「白衣を常に着てるキャラ」になる主人公。
お化け屋敷を行う“教室”での会話のシーンの背景が“部室”で、「“会議室”の後ろでかがみ込んでいる」と解説される等、
前後の整合性どころか、その場の整合性すらも取れない完成度の低さを見せている。

ならば最終ルートなら面白いのかといえば、物語の根幹を占める『code』(未来からのメール)にして、
07〜15通目のcodeは“ひとつの長文を分割して9通のメールにしている”などの数合わせに走っていたり、
18通目のcodeに至っては実績は解除されるのだがメールは届かず、なにが「code18」なのか最後まで分からず終いだ。
上記のcode以外にも“突然付け加えられる設定”や“理解に苦しむ主人公の言動”。
ルートタイトルやバグでネタバレする“最終ルートのヒロインの秘密”等、非常に残念な出来となっている。
ライターが限定版ブックレットにて、「難しく考えずゲームとしての面白さを考えて」と書き残しているが、
「こまけぇこたぁいいんだよ!!」というAAが浮かんできてしまうのも、このような内容故であろう。

「とにかく完成度の低い、それでいて自由度の低い、読むだけのゲーム」
「如何にバグと手抜きの積み重ねだけでここまで酷くなるものか」
「全ての要素に酷いものがあるだけで十分推薦したくなる」
とは選評製作者とレポート製作者が各文にて強く書き記した一文である。


そしてc18の一撃により開いた城壁に押し寄せる敵兵の如く、年明けまでの約100日間、
KOTYスレは誰も予想すらし得なかった怒涛の襲撃を受ける事となる。

c18よりやや間が開いて襲来した第2の刺客。
それはD3パブリッシャー製PS3/Xbox360用ソフト『街ingメーカー4』(通称:待ing・待)である。

こちらもまた多くのファンを抱える『街ingメーカー』シリーズの最新作である。
発展させた街の住人と会話し、親密になって更に街を発展させるといった要素を備えているというのが、
シリーズ一番の特徴であったのだが、話しかける事も出来ず、
近づくと定型メッセージをしゃべるだけの、名も無きしゃべるマネキンと化した住人。
そして次世代機になり容量も増えたのに、激減した工場に削られた漁場・農場・郵便局・交番・お墓・歯科・外科・内科病院。
いまだ残る作れる施設においても、色やバリエーションに違いがほぼ無くなり、街には同じ色と形の住宅がひたすら立ち並ぶ事に。
「HD画質によるリアルな街づくりが可能」という謳い文句もPS2にすら劣るレベルであり、
選評製作者曰く「水の描写だけはキレイ」と、褒める所を探すのに一苦労といった有様であった。

住人や街がこんなではする事も無くなり、昼と夜の2つしかないBGMを聞きながら、
一日経過でポイントを貰う→建てる→一日経つのをひたすら待つ→ポイントを貰う→建てる→待つ
のループを繰り返しするだけの、ただ時間が経つのをを待つだけの作業ゲー。
それほどまでにゲーム性が薄く、もはやプレイした者達からは「モバゲーの方がマシ」と言う声まで上がる始末であった。

「これ、SIMPLEシリーズじゃないのか?」とは選評製作者が皮肉を込めて言った言葉であるが、
SIMPLEシリーズであればどれだけマシだったかと思わざるを得ない。


しかしこの日、攻めてきていたものはひとつだけではなかった。
この呪われたかの様な11月23日。働く人に感謝をと設けられた日に、労いどころか老体に鞭打つような、
KOTYノミネートに値するゲームが二本も発売されていようとは……。

その2本目、2011年3本目のノミネート、
それはアクワイア製PS3用ソフト『グラディエーターバーサス』(通称:剣投資vs・投資)であった。

こちらもまたまた好評を博している『剣闘士』シリーズの最新作であるのだが、
この投資、一言で言えば“詐欺と搾取”で出来ているゲームといえよう。

「容姿の組み合わせは一万通り以上」と謳われているが、実際は「2916通り+髪と肌の色を変える」しか作れない。
また「所持金・所持アイテム・店の品揃えはキャラクター間で共有できます」とあるが、“実際は共有されていない”。
サポセンに電話すると「仕様です。説明書が間違ってます」という素敵な返答を貰えるようだ。

そしてメインともなる「対戦格闘アクション」の方はといえば、まず上がるのが「味方」の存在だ。
本作は基本、味方二人を引き連れた「3vs3」のバトルとなるのだが、
「プレイヤーへの魔法の誤射」「割り込んでコンボを中断させる」「他の敵を連れてくる」
とまったくもって役に立たないことこの上ないのだが、いないとゲームにならないのが腹立たしいところである。
これを回避する手段はひとつ。“オンラインでcoopする”事なのだが、
初週売り上げ2700本。夜9時を過ぎると過疎と化すオンラインにおいて、それは望むべくも無いだろう。

ならばキャラを強くすれば!となるのだが、そこで必要となってくるのが、お金。そして“宝石”である。
そしてこの宝石。入手には手間も金もかかるのだが、簡単に入手できる方法がある。
それは「DLC課金」である。
ガチャガチャ形式の「宝石販売」、作成できるキャラを増やす「キャラ枠販売」
所持数を増やす「アイテムボックス拡張販売」、敵のキャラの顔の使いまわしの「容姿の追加販売」等
前世代であれば普通にゲーム内に入っていたような驚きの商品がカタログには並んでいる。
公式のDLC紹介ページにて「ライバルに差を付けろ」とプレイヤー同士の課金合戦を煽っている一文があるが、
DLCで大儲けを目論む魂胆が見え隠れするのが痛々しい。
そりゃウイルスバスターも「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と警告をするというものだ。
『投資』という通称も、皮肉が効いていてとても良いネーミングであるといえよう。

このゲームを止め、中古屋に売ることを「奴隷解放」と言うそうだが、うまいこと言うものだと賛辞を送りたいと思う。


思いもよらぬ急に湧いた豊作に、正常な流れを取り戻してゆくスレ。
だがクソゲーの神はそこで手を緩めるような優しき者では無かった。間髪入れずに次の刺客が差し向けられる。
それは誰よりも有名で、誰よりも強い、宇宙最強の戦士であった。
そう、「オラこそが年末の魔物だッ!!!」とcv野沢雅子で再生されそうなその刺客、
それはバンダイナムコゲームス製PS3/Xbox360用ソフト『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称:アルブラ・UB)であった。

過去最高161人いた操作キャラクターが34人に激減された本作だが、それ以外に戦闘システムにも残念な変更が行われている。
本作はいままのでシリーズと違い、連打をすると読み合いシステム
QTE(クイックタイムイベント)『ストライクムーブ』という、いわゆる「あいこの無いジャンケン」に突入する、
“ボタン連打”と“運”だけのゲームになっていたのだ。

だが問題はそこだけでは無い。その後、キャラが一定の距離になると、間合いを離す為にQTE。
吹き飛ばされ、復帰に成功するとQTE。必殺技を使えばQTE。攻撃したらQTE。喰らったらQTE。距離詰めようとしたらQTE……
「モウQTEダラケデ、オ兄チャン、生キテル気ガシナインダヨー!」と古いコントネタを思い出してしまうしつこさである。

そして最初こそはハデでかっこいいと思われがちなQTEのムービーではあるが、
“QTEは全キャラ共通”で、栽培マンから超4ゴジータまでみんな同じ動きしかしないのですぐ飽きる。
しかもこの“共通モーション”のせいで、ピッコロは手を伸ばさないわ、誰を使っても展開が大差無いわで、
個性も何もあったものではなく、クソゲーとしての一因を担っているのである。

他にも「男しか作れない上にメイキングの幅が狭いアバターモード」「エラーとフリーズだらけのオンライン対戦」等、
ドラゴンボールファンにして、良い所は“グラフィックとハデな演出”のみと語る、
キャラゲーでありながら立派にノミネートを果たした本作は、ファンからの擁護も得られない代物であった。


そして年の瀬も差し迫る中、またしてもスレに一本の選評が投下された。
平和であった頃、名前だけは何度か出ていたゲーム。それがついに満を辞して選評にまとめられたのだ。
1月にすでに発売されていたそのタイトルは、
アクワイア製PS3用ダウンロード専売ソフト『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(通称:亡霊)であった。

本作は言わずもがな、あの超有名シリーズ『ウィザードリィ』の最新作であり、
『剣と魔法と冒険モノ』で3DダンジョンRPGを何作も発売しているアクワイアの製作である。
発売当初はセーブバグ等一悶着あった本作ではあるが、バージョンアップで事なきを得ていた。
だがシナリオ3が発売されてしばらくの事……本スレにて書き込まれた一文

「どうも敵が強すぎる気がする」

本作はシナリオ1〜2にも幾つかの問題点こそあるものの、プレイに関してはほぼ問題無く出来た。
しかしシナリオ3になった途端
「エンカウントしたら即死魔法で全滅」
「エンカウントしたら物理攻撃で全滅」
と、理不尽な敵の猛攻の前に成す術が無かったのである。

その原因はどうやら『剣と魔法と冒険モノ』という作品からのシステム流用にあるようで、
“Lv2桁まで”を想定して作られた『剣と魔法と〜』をLvを100以上に出来るシナリオ3に使用した事で、
プレイヤーはLv100以降はレベルが上がっても増えるのはHPのみ。
だがモンスターはLvに応じて素直に全能力が上昇していくという、圧倒的な力の差を生む状況を作り出してしまったのだ。
クリアしたければエンカウント阻止アイテムを使用するか、または数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に進むか。
そこにはウィザードリィとしての楽しさはどこにも存在しなかった。

原因は「テストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さである」とは、
選評製作者が選評にて苦言を呈した一文である。

そしてウィザードリィといえば、アイテム蒐集が楽しみのひとつであるのだが、
「装備品を含むゲーム内で得られるアイテム」が販売されるという、本作の存在を根底から覆すような事をするのも、
さすがは剣投資のアクドイワ、もといアクワイアといえば納得といった所であろうか。
しかしアイテムリストに不備があり、アイテムコンプは出来ない仕様となっていて、いまだ修正もされていない…。


そして選評がくる12月まで、その異常性を誰にも悟られる事無く、約10ヶ月もの間隠し通していた猛者がもう一人。
2月に発売されていたそれは、ピアッチ製Xbox360用ソフト『Piaキャロットへようこそ!!4 夏の恋活』(通称:pia4)であった。

このゲームは古くは1996年のPC版にまで遡る老舗シリーズ、『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズの第4弾として、
2009年にPC用アダルトゲームとして発売されたものを、18禁要素を削りXbox360に移植されたものである。

このゲーム、SLG(シミュレーションゲーム)パートと、ADVパートに大きく分類できるのだが 、
パラメーターがエンディング分岐にしか関係がなかったり、デリバリーだけ選んでいれば余裕でクリアできることから、
SLGパートは「完全に不要」であり、「一本道のノベルゲーのほうがマシ」と言われる出来であった。

ではADVパートはといえば、キャラの感情表現が乏しくメリハリも無く、
「いつの時代の恋愛ストーリーだよ!」とツッコみたくなるような、陳腐かつ既視感ありまくりの事しか起こらないイベント。
イベントシーンにだけ付随しイベント後は無かった事になる、突然発生するキャラクターの“新設定”。

そして最大の問題点が、“Hシーン部分になったら画面が暗転して時間が飛ぶ”である。
もう一度言うが、本作は“元は18禁のPCゲーム”であり、その18禁部分を削った移植作品である。
しかしシナリオにおいて、その削られた部分を違和感無き様補完するなどという事は一切無く、とられた対策といえば、
「本来あるHシーンの時間を丸ごと切り離し消し去る。プレイヤーはその時間を体験出来ないので記憶はもちろん無い」
という某ボスも真っ青の能力の発動であった。
これにより、プレイヤー本人が気づかぬ内にヒロインと付き合い始めていたり、孕ませていたりという事が起こるのであった。

選評製作者は言う。「シナリオのつまらなさこそが、このゲーム最大の問題点」であると。

またこの作品は背景の酷さも度々話題に上がり、スレに上げられた背景絵を見ては、
「なんというか…サバンナ?」「廊下の窓がなんか騙し絵みたい」「某魔法少女アニメで見た事ある光景だな……」
という、およそ現代劇の背景の感想とは無縁の言葉が飛び交う事になったのも、本作ならではといったところか。

プレイした者には「SLGパートがひどい。背景が酷い。シナリオが凄まじく酷い」と言われ、
「エロゲーとはエロで抜くものであって、エロを抜くものではない」という、
家庭用ゲーム板ならではの名言が生まれたのも、本作の功績であると言えよう。


そして年も明け、総評もいくつか投稿され始めた1月上旬。ついに7作目となる新たな選評が投下された。
スレ住人は「今年も7つ来たか」と、改めて2011年の豊作ぶりに驚き、
誰ともなく「七英雄の再来」「七つの大罪」と呼ぶのであった。

そんな7本目にやってきたクソゲー、それはもはやKOTY常連メーカーが9月に発売していた、
タカラトミー製Wii用ソフト『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(通称:人生・誤当地)である。

本作は人気ボードゲーム『人生ゲーム』をゲーム化したものであり、
Wiiで2作発売され、昨年フルプライス版なのに先の簡易版と殆ど差異がない事で、
詐欺ゲーとして話題になった『人生ゲーム ハッピーファミリー』の増補改訂版であり、最新作である。
余談ではあるが、Wiiで発売された2作はそれぞれ当年のKOTYにノミネートされており、
しかもそれぞれが大賞候補と接戦を繰り広げる程の逸材であった。

そんな親・子・孫の三代で挑むKOTY、天空の花嫁で言えば本命の勇者である本作であるが、
その勇者の力の一端を解説していこうと思う。

まず問題点として挙げられるのは、使えるキャラクターの少なさだ。
“男5人+女5人の計10人”。…これだけである。
使用キャラが10人というなら、「別に少なくないのでは?」と思う人もいるかもしれない。
だが結婚相手もこの中から選ばれるし、子供に至ってはこの10人の顔パーツを流用した子が産まれてくると言ったらどうだろうか?
男にしか見えない女の子が産まれるという惨事を招くのも、当然の結果といえよう。

マップの方も前作同様一種類しか無く、ミニゲーム・仕返しマス・天使等、前作に無かったものは当然の如く本作にも無い。
致命的なのはイベント量の少なさで、大抵のプレイヤーは一回のプレイでうんざりするほど同じイベントを見させられることになる。
また、スレの有志によりルーレットが、「3」が出やすいという偏りがあることが確認されている。
ゲームのテンポを悪くすると共に、3位の人に不幸が集中しやすい原因となっているようだ。

ではタイトルの増量したご当地ネタはどうなのかといえば、
これがまた、ほとんどがガイドブックで事足りるようなお粗末な内容の物ばかりで、中には嘘情報も混入しており、
「長野県民はカラオケで誰もが長野民謡を歌う訳ではない」という事だけは訂正しておこうと思う。

そしてこのゲーム、スレにて「友人を誘ってプレイしたら友情崩壊しかけた」との報告があることも記しておこう。
パーティープレイなら必ずしも楽しいという訳ではないようだ。

「これなら俺の人生の方がまだ面白いのでは」とは、選評製作者の〆の一言である。



それではいよいよ2011年の大賞を発表しよう。
7つのノミネート作から選ばれた、栄えある今年のクソゲーオブザイヤー大賞は……


『code_18』である。


今年は特出した誰もが満場一致で納得できるクソゲーというものが無く、大賞を選ぶのが非常に困難極まった年であった。
どのソフトにも、方々のベクトルで他に負けない特出したクソ要素を持ち、
それによりクソ度は非常に拮抗し、人によってはどれが大賞になってもおかしくないという大接戦であった。

しかしクリアまでプレイするという観点から考えた場合、
他の作品は動かす・眺める・キャラを選べる・放置できるという、まだ救える点があるかもしれない。
だがADVのクソというのは、たとえそれがどんなに退屈な話であろうが、
とにかく“文章を読まなければゲームにならない”のだ。

そのADVの中でも『code_18』は、「周回数によってヒロインが決まっている」というシステムにより、
選択肢による物語の分岐は無く、選択肢が何の意味もなさない完全な『一本道の小説』なのである。

その一本道システムにより、物語を楽しむ以外にゲームを楽しみようが無いのだが、
その物語の売りである「タイムパラドックス」の結末を見る為には、同じような展開の『三流ギャルゲー』を4周せねばならず、
またその結末にしても、辻褄合わせや変なこじつけ満載の『残念な最終ルート』により、微妙な出来となっている。
そしてそれらは、終盤山場の感動シーンを台無しにするADVにおいて絶対に『やってはいけないミス』により、
楽しめる物語とは程遠い物と化しており、受賞の大きな要因となっている。

そしてそれらのミスを修正することなく商品化した『手抜き』に、様々な『バグ』。

プロデューサーが発売日に「Twitterを非公開」にし、
「KIDブランドでゲーム作ってるプロデューサーです」という紹介文を消し行方をくらませるという、
前代未聞の『逃亡するプロデューサー』

ゲーム業界初かもしれない、同じ日に発売されたPSP版の方が全体を通して出来が良いという、
同日発売の携帯機版に全ての面で劣る『機能縮小据え置き機版』

そしてスレにて誕生した愛されし『キャラクターや新造語』等、
昨今のクソゲーの覇者足るに必要な要素が全てつまった『クソゲーの見本市』のような本作こそが一番にふさわしいと考え、
大賞にするものとする。



永遠に続くと思われた平和な日々から一転、2010年をはるかに超える魔物を迎えた2011年であった。
7つの大きな罪を背負いし作品がしのぎを削る結果となった本年であるが、
今回ノミネートされたものの全てが“人気シリーズの最新作”であることは、
今のゲーム業界の現状を表しているようで、いろいろ心配にもなろうというものだが、
ここは無事「大賞決定!」ということで、2012年への期待と希望を持って、
我々はこれからも楽しくゲームを選んでいきたいと思う。

ではこの方の言葉を持って、2011年のKOTYを締めくくらせていただこう。


C <安心して休め、四八マン。これからは私がこのスレを護る!
(十)



総評案11 (グラディエーターバーサス)

前年王者『ラストリベリオン』は、KOTY(クソゲーオブザイヤー)に新たな歴史を刻んだ。
据え置き機ゲーム業界を「重厚長大主義」が支配し、意欲作が生まれにくくなっていた閉塞感……
そんな中で、颯爽と現れた次世代機の新星は、
「物理」の力で挑戦者を全て打ち祓い、KOTY史上初めての先行逃げ切りを達成する。
次々と門前払いを続けるその雄姿は頼もしくもあり、
一方で、ある種の不安をスレ住人達に植えつけていった。

「クソゲーが来なくなった時、我々はどうなるのだろうか」

果たして、その予感は現実となった。

2011年3月11日、日本を未曾有の大震災が襲った。
幾人のゲームを愛する者達が、同志が、志半ばに命を落としたことだろう。

日本中が喪に服し、「自粛」ムードが広がる中で、
ゲーム業界もまた、本来の輝きを失っていた。
クソゲーとはゲーム業界の暗部……
すなわち、光あってこそ濃やかに現れる闇である。
長い長い停滞が、KOTYスレに訪れることとなった。

雲間から光が差し込み、ようやく稲穂が実り始めたのは、実に10月のことである。
サイバーフロントによる恋愛ADV『code_18』(「c18」)。
本作は、神ゲーとして名高い『Ever17』を擁する「infinity」シリーズの最新作である。
だが、「c18(しーじゅうはち)」という略称ゆえの呪いなのか、
発売当日に本スレでは購入者の悲鳴がこだまし、それを尻目にプロデューサーは雲隠れした。
本作の悪評を決定づけた最大の原因は、各場面を台無しにする演出ミスにある。
「真っ暗なお化け屋敷」が昼間の明るい教室だったり、
感動の場面でヒロインの父親の顔が見切れているのは序の口。
「スカイタワー」でヒロインと夕暮れを見つめる場面では背景が「浅草寺」であり、
製作者はデュシャンの「泉」のような前衛芸術でも目指したのかと邪推せざるを得ない。
むろん誤字脱字も完備であり、セリフの表示が丸ごと消えている「脱文」も抜かりない。
シナリオの大筋を解説すると、作中で時間が循環している設定の「ループもの」である。
しかし、あろうことか周回ごとに攻略対象を完全固定しており、さかのぼっての攻略は不可。
BADエンドの分岐に気づかず上書きセーブした場合、問答無用で1周目からやり直しである。
また、表題にもなっている18個の「code」(未来からのメッセージ)であるが、
最終周で思い出したように16個配信され、結局正体がうやむやのまま終わる。
プロデューサーは以前、「code_18はInfinityシリーズの入門編」と発言していたが、
よもや彼ら自身の(ゲーム制作における)入門編を指していたとは誰が予想できただろうか。

こうして束の間の収穫を分かち合うスレ住人たちであったが、この時はまだ誰も知る由もなかった。
立ち込める冬の銀杏の香りに紛れて、
去年姿を見せなかった「年末の魔物」どもがこちらの様子を伺っていたことを……。

12月も近づこうとした時、突如KOTYスレを襲う黒い影が現れた。
D3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(「待」)である。
「街ingメーカー」は、本作で4作目となる人気シリーズ。
その特徴は何と言っても、「街の人々と会話して意見を取り入れながら街を作っていく」
という独自のジャンルを開拓したことにある。
だが本作は、前作まで各建物に入れたはずの主人公がなぜか出入禁止状態になっており、
街の人々は揃いも揃って「家に帰る」「仕事に行く」など、心底どうでもいい内容しか喋らない。
肝心の街づくりパートも、7140円のフルプライスを微塵も感じさせない仕上がりである。
ゲーム本編のBGMは昼と夜の2種類しかなく、建築可能な物件の種類も前作から激減。
学校は小中高大ではなく「総合学園」のみで、郵便局や交番等は存在すらしない。
街を開発するには「ポイント」が必要であるが、中盤以降は一、二個の物件を建てるだけで枯渇。
ゲーム内時間で一昼夜が経過するまでポイントは振り込まれず、その間じっと待たなければいけない。
クリアまではおよそ6時間、それも、その大半は上記の「待ち」時間である。
いつしか本作は「街」づくりゲームではなく、『待』と呼ばれる何かとして扱われるようになった。

それと同日、コロッセオに殴り込んできた狂戦士がいた。
アクワイアより発売された『グラディエーターバーサス』(「剣投資」)。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘型アクション「剣闘士」シリーズの最新作である。
電撃プレイステーションで『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得した本作、
それもそのはず、シリーズの肝である「パリィ」「ドッジ(寸前回避)」の操作体系を削除し、
作品名を無視して舞台設定を中世ファンタジーに変更するなど、凄まじい迷走が見て取れる。
まずプレイヤーが目の当たりにするのは、キャラクター作成機能の前代未聞のショボさだ。
公式PVで謳われている「10000種類以上の容姿」は、実際には首から上のパーツが数種類ずつ選べるだけ。
シワ1本の違いや、左右2組×3色展開の刺青など露骨過ぎる水増しも目立つが、
さらにやるせないことに、ゲーム中は兜に隠れるため、全くと言っていいほど見えない。
実質的なバリエーションはわずか3通り(「種族」)と肌の色しかないのである。
ゲームの内容はと言うと、いわゆるミッションクリア形式であるが、
全編を通して、その場にいる敵を順次殺戮するだけの作業。
ミッション合間に流れるムービーはスキップ不可である。
味方NPCの知能は3歳児並で、ファイナルファイトばりにパーティアタックやコンボ妨害を仕掛けてくる。
また、本作を彩る最大の特徴は、あこぎなDLC(有料ダウンロードコンテンツ)である。
2人より多く自キャラを持ちたければ課金が必要、
異様に小さいアイテム保持数を拡張するには課金が必要、
デフォルト3種類以外の顔パーツを使いたければ課金が必要……
公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」などと課金合戦を煽っているが、
冷静に考えるまでもなく、どれも「出来て当たり前」のことである。
アイテム強化のDLCは今流行りの「ガチャ方式」で、パチンコのごとく射幸心を煽ることにも余念がない。
ともあれ、その商魂を讃え、本作は誰からともなく『剣投資』と呼ばれるようになる。
かのウィルスバスターは本作発売前の公式サイトを
「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と喝破したが、とんだ慧眼であったと言えよう。

こうして温まってきた武舞台に、凄まじい「気」と共に飛来する存在があった。
バンダイナムコの格闘ゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(「UB」)である。
本格的な原作再現で人気を集める「レイジングブラスト」シリーズの流れを汲む本作であるが、
何を思ったか、キャラゲーの核であるキャラ数を40人近く大幅削減。
青年悟飯の代わりにキュイがいるなど、無駄にこだわった人選にも疑問符が付く。
だが、それにもまして一番の問題点はQTE(クイックタイムイベント)の濫用である。
QTEとは、平たく言えばボタン入力が必要なムービーであり、
本作においては主に、時間内にお互いが押した二択のボタンで「ジャンケン」勝負を行うものである。
むろんこれでは「運」だけが勝負を決し、プレイヤーの力量は何も報われない。
しかし本作ではこのQTEの頻度が異常に高く、
通常攻撃、受け身、間合いの変更、必殺技と、あらゆる局面で発生。
そのたびにジャンケン、ジャンケン、ボタン連打……と、
懐かしの『ジャンケンマン』並に退行したゲーム性がプレイヤーを退屈の渦に巻き込む。
これらの演出は全キャラほぼ共通であり、キャラの少なさと相まってプレイヤーを瞬時に飽きさせる。
昨今の格ゲーの複雑化に対する挑戦は評価できるが、この出来では幼児はおろかチンパンジーすら満足するまい。

「魔物」たちの熱線に当てられたか、上半期の不発弾も突如誘爆を起こした。
PS3向けDL販売専用ソフト、『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(「亡霊」)。
古典的RPGの金字塔「ウィザードリィ(Wiz)」の再興(ルネサンス)を期して制作された作品である。
「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたい」
製作者たちが掲げた崇高な理念について、以下に検討していこう。
まず《緊張感》である。
Wizの魅力を端的に言えば「隣り合わせの灰と青春」。
全滅やキャラ消滅の恐怖と戦いながら、探索や宝探しを続けていくスリルである。
だが本作では、配信初日から「プレイ中に一切セーブ不能になるバグ」が発見され、
歴戦のプレイヤーも泡を食うはめになった。
次に《悲壮感》。
発売数ヶ月後の新章配信と同時に、本スレには断末魔の叫びが一斉に轟くこととなる。
最終章からレベル制限が取り払われるが、どんどんインフレするモンスターの能力に対して
主人公達の能力は早々に頭打ちであり、遭遇・即・全滅の罰ゲーム状態になるのである。
クリアする方法自体は、「無いわけではない」。
普通にやれば適正レベル到達に500時間かかるが、バグで増やした金で経験値を買う作業に徹すれば10時間。
エンカウント回避のDLCを購入したり、数歩ごとにセーブアンドロードを駆使してひたすら敵を避けても良い。
だが、制作会社がテストプレイすらろくに行なっていない事実は否定しがたく、
続編を待ち続けたプレイヤーたちを深い悲しみと絶望が包むことになった。
そして最後に《高揚》……であるが、
本作は少なくとも、ここにいる一部の好事家たちには熱狂的に歓迎されたと言えよう。
発売元はアクワイア。『剣投資』に続き、2作目のノミネートである。

そして、とどめとばかりに修羅の国の猛者も名乗りを上げた。
『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(「Pia4」)。
F&Cから出た同名のアダルトゲームを、PIACCIがXbox 360に移植したものである。
「Piaキャロ」シリーズ自体は過去に映画化も果たした名門ブランドであるが、
本作及び原作を一言で言えば「没落貴族」。
「陸上競技場」の背景がサバンナにしか見えないなど、
中韓丸投げアニメのごとく崩壊しきった作画が哀愁を誘う。
不定期に起きるフリーズや、既読スキップ周りの不具合もある。
だが、本作の一番の問題点はシナリオである。
もともとエロの「つなぎ」でしかなかった代物から18禁部分を強引に削り取った結果、
ほぼ全てのキャラのシナリオが意味不明な超展開になってしまったのである。
その混沌ぶりたるや、「行間を読め」などという言葉で片付けられるものではなく、
「格ゲーをしていただけなのに、気付いたら彼女ができていた」
「気付いたら従姉を妊娠させていた」
「気付いたら実妹と一線を越えていた」
と、身に覚えのない事実が次々と語られるサイコホラーと化している。
また、恋愛ADVパートと並行して育成SLGパートもあるが、
本作の場合、エンディングの分岐のみに関係し、シナリオ本編には一切関係しない。
「体調」が万全なのに主人公が過労で倒れるなどのご都合主義もさることながら、
白眉なのはパラメータが不足していた場合の共通BADエンドであろう。
「この一ヶ月はなんだったろう」と主人公が一言嘆いて実家に帰るのであるが、
誰かを攻略完了していた場合でもまるで触れず、「ヤリ捨て」と言わざるを得ない終わり方をする。
なお本作の発売日は2月下旬なのに対し、選評が届いたのは大晦日。
それまで潜伏し続けた本作は黒船ならぬUボートである。
決死の覚悟で本作に突入した勇者の、血を吐くようなプレイ手記を、ぜひ参照して頂きたい。

さて、どんじりに控えしは『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ 増量仕上げ』(「人生3」)。
賢明な読者はご推察のことと思うが、前回ノミネートの「人生2」のマイナーチェンジ版である。
申し訳程度のご当地ネタが追加された以外の変更点は絶無であり、相変わらず手間を省きたいという強い意志を感じさせる。
もはや存在自体が紙幅の無駄であり、詳細については前年の総評・選評に譲るべきであろう。
特記事項として、タカラトミーの連続ノミネート記録が5年へと更新されたことに触れておく。

以上、ノミネート7作品の紹介を終えたところで、大賞を発表しよう。
大混戦の様相を見せた2011年、
ゴール前の直線で抜け出し、見事レースを制したのは……
『グラディエーターバーサス』である。
本作が受賞した最大の理由は、クソゲーとしての「逃げ道の無さ」である。
俗に、「捨てる神あれば拾う神あり」と言うように、
本来どれだけ酷いクソゲーであっても、一つくらいは美点を見出すことが出来たり、
あるいはツッコミを入れながら楽しむことができるものである。
本作と最後まで競った作品を見ても、『亡霊』は最終シナリオ以外は概ね遊べるものであり、
『Pia4』や『c18』にしても、少数ながらも「キャラ萌え」を楽しむプレイヤーが存在する。
しかるに『剣投資』は、最初のキャラクター作成からして3分で飽きる代物であり、
序盤は連打しかすることがなく、中盤以降もゴリ押しで同じ行動の繰り返し。
後半はステージの使い回し感が激しく、ラスト二回にいたってはミッション丸ごとほぼ流用。
オンラインでの協力プレイならあるいは……と淡い期待を抱いても、
この出来でプレイを継続する聖人君子がいるはずもなく、発売数日後から廃村状態。
このように本作はどこに活路を見出そうとしても逃げ道がなく、
言うなれば四方をクソで塞がれた「クソの迷宮(ラビリンス)」だったのである。

もしもクソゲーが最後まで現れなかったら……。
そんな諦念が長く尾を引いていた一年であったが、終わってみれば杞憂であった。
最初のノミネートからわずか2ヶ月半で7作品が集結する、カンブリア爆発さながらの事態である。
『c18』、『待』、『剣投資』、『UB』、『亡霊』、『Pia4』、『人生3』。
これらは全てが「シリーズもの」のゲームであり、
概して言えば、旧作から大幅に路線変更した結果の失敗であったと言えよう。
だが、例え今回残念な結果に終わったとしても、各メーカーには今後も奮って挑戦を続けて欲しい。
ゲームはゲーマーに、クソゲーはクソゲーハンターに……
この世に生まれ落ちた全てのゲームは、それぞれ還る場所があるのだから。
願わくは、本年もゲーム業界全ての活力がますます栄えるよう、祈るばかりである。

最後に、2011年の土壇場に垣間見たクソゲー界の底力をここに讃え、この文章の結びと代えたい。

「クソゲーは滅びぬ、何度でも蘇るさ」

総評案12 (Piaキャロットへようこそ!!4)

(お好みの実況で再生してください)
全世界のクソゲーマーが待ちくたびれた、最低のクソゲーを決める2011年クソゲーオブザイヤー
業界中から選びぬかれた七つのクソゲーが、ようやく出走を迎えます

2011年で一番つまらないのは一体どのゲームか、世界中の被害者が固唾を飲んで見守っています
それではノミネート作品、発売日順で紹介です

1番、亡霊(ウィザードリィ 囚われし亡霊の街)
ウィザードリィからまさかの刺客
フトコロの深いシリーズからノミネートできるクソゲーの実力は如何ほどか
パブリッシャーは携帯の強豪・アクワイア、据え置きでは初めての登場です

2番、pアフォ(Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜)
修羅の国でガッカリゲーと噂の誰得移植
あのSSα<アルファ>が改心した後、後継は我であると言わんばかりのノミネート
ディベロッパーはカクテルソフト、携帯と合わせての二冠を狙わんと気焔を上げています

3番、誤当地(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)
残暑の残る防災日、人生ゲームがやってきた
鞍上はやはりお前かタカラトミー、性懲りもなくフルプライスでのノミネート

4番、C_18 (code_18)
伝説を彷彿とさせるネーミングに、悪夢を思い出させる同ジャンル
父親はご存知infinityシリーズ、でも兄弟のエバーセブンティーンとは赤の他人です
騎手は心臓発作を起こしたKIDSから代わってサイバーフロント、ここも赤の他人です

5番、剣投資 (グラディエーターバーサス)
ファミ通で貫禄の低得点を付けられた人気作品
ドッジやパリィと共に爽快感が無くなった最新作
騎手は亡霊も作ったアクワイアの一人二役、二作目のノミノートです

6番、待ing(街ingメーカー4)
シリーズ独自の要素を排除して、同人クオリティを実現させた二番人気
開発は新顔のメディアファクトリー、忍耐深く勝機をまっちんぐさせます

7番、UB(ドラゴンボール アルティメットブラスト)
沸点の高いキャラゲーから、QTEを引っさげてのノミノート
開発はまさかの株式会社スパイク、定評があるのにどうしてこうなった

(パーンパカパンパンパン〜)
一番人気は現金搾取DLC・剣投資
二番人気は手抜き虚無ゲー・待ing
誤字脱字の完備したC_18も注目されています

各作品ゲートインから選評順にスタートしました

まず飛び出したのはC_18、プロデューサーはツイッター非公開済み
続いて剣投資一番人気、味方から魔法で攻撃されている
更に二番人気待ing、プレイヤーが暇潰しの出来る悪ポジション
中央一UBには海外の怨嗟が届いている
一歩遅れて亡霊、完全版商法で現金を搾取中
大きく遅れてpアフォ、何時の間にかヒロインが孕んでいた
最後尾にはお馴染み誤当地人生ゲーム、六年連続ダカラゴミー

さあ、最終コーナー
先頭C_18、二番手内側から剣闘士、外から二番人気待ing

その間を狙ってUBが運任せの戦闘で切り込んだ
QTEだけの幼児退化!あいこの無いジャンケンゲーム!
鞍上が必殺のボタン連打!謎のチョイスでキャラ激減!
戦闘パターンが同じで子供が泣いている!

剣投資動いた、出た必殺のアクドイワフォーム!
容姿の組み合わせ数がPVから遥かに少ない!実際の仕様が説明書と違う!
一週間でオンラインが過疎に!あげくに開発スタッフがプレイヤーフルボッコ!
クソ仕様で有料DLC!ウィルスバスターが公式サイトに反応した!

剣投資強い!しかし待ingが食らいつく
街にひしめくマネキン達!削除された施設の群れ!
フルプライスで有料DLC!誰得特典でドリームクラブ!

更にC_18も並んでいる
明るい教室でお化け屋敷!学園祭で制服コスプレ!
出た伝家の宝刀浅草寺<スカイタワー>、感動シーンがぶち壊された!
電車の音が止まらない!周回固定でヒロイン攻略!

おっと、UBずるずると後退、やはりグラフィックが綺麗なのは褒める所か!

代わりに亡霊が上がってきた!
まだ許容できる前半シナリオから高難易度シナリオで差し込んでくる!
何をやっても全滅する!まともにやると数百時間!
しかしUBよろしく後退してゆく、やはりクソが三分の一なのが響いたか!?

誤当地も上がるが届きそうにない!
やはりユーザーを舐め切った企業姿勢だけでトップは狙えない!

そして何時の間にか大外からpアフォが上がってきた
選評が届いてる!同じADVのC_18を追っての猛烈な追い込み!
攻略キャラが削られた!エロを抜いた所に追加がないので辻褄が合ってない!
SLGパートに意味がない!その子誰の子オーナーの子!?

さあ、残り四作
先頭の三作が上がって行きます

先頭剣投資、出たお約束の改悪パッチ!
強化された味方魔法がプレイヤーの尻を焼く!
しかし待ingも動く
ゲーム性がない!施設がない!
おっと騎手もいない!鞍もない!なにもかも捨て去った身軽さで剣投資と併せ馬!
C18も食い下がるが劣悪シナリオだけでは届かない!

おーっと!大外から一気にpアフォ!大外から一気にpアフォ!
背景が酷い!馬場がサバンナと化している!
キャラが酷い!本スレすら悲鳴を上げている!
意味不明の新設定!お約束のバグ地獄!
更にプレイ手記が届いている!急速に正気を失っている!
pアフォ強い!苦痛が強い!狂気と涙のサバンナストライク!
130キロ恋活<バイト>の怨念を受けてpアフォ、金っ、時間っ、返せええええ―――――――!

――修羅の国のガッカリゲー、色々抜いたら阿鼻叫喚
追加したらバグだけで、地雷踏んだら寝取られゲー

確定しました、一着pアフォ、二着剣投資が入ります
2011年クソゲーオブザイヤーでした、また来年にお会いしましょう
エロで抜いてエロは抜かないように。さようなら。

総評案13 (Wizardry 囚われし亡霊の街)

年始から「ラストリベリオン」が圧倒的な単調さによって不動の門番の座を死守し続け、
果てはそのまま大賞に輝いた昨年のKOTY。
異例の展開を見た昨年から一転、2011年はそのような門番の出現も無く、
スレには長い「日照り」――いや、平和と雑談の時が訪れていた。
だが、そのうららかさの陰でスレ住人は焦っていた。
「このままでは、大賞どころか、次点作さえ出ないのではないか」
「既にゲーム界はクソゲーすら出ぬ、不毛の荒野と化したのではないか」と――


2011年も残り少ない10月、それが杞憂に過ぎないということを知らしめる暗雲がスレに忍び寄った。
その暗雲の名は「code_18」(Xbox360・サイバーフロント)である。
恋愛アドベンチャーゲーム(ADV)の金字塔と讃えられる「Ever17」を生んだ
「infinity」シリーズの最新作だが、本作は蓋を開けてみれば
「手抜きと小バグの宝石箱」とでも評したいような出来映えであった。

クソADVの基本とでもいうべき誤表記一つ取ってみても、単なる誤字脱字のみには留まらない。
「天候が回復したと言いながら背景は大雨」
「夕暮れのスカイタワーと言いつつ背景には浅草寺」
など、背景とのズレでプレイヤーの冷笑を誘うトラップが随所に設置されている。

ADVにとって最大の肝であるシナリオも、
恋愛ゲームでありながらなんと周回数で攻略ヒロインが固定されており、
5周前提の筋書きでありつつも4週目までは話がろくに進まない。
タイトルでもある「code=未来からのメッセージ」に至っては
一体どれがcodeなのかも判然としないお粗末さで、プレイヤーを悄然とさせるばかり。
しかも同時発売のPSP版には搭載されている「クイックセーブ&ロード」「ショートカット」
機能が何故か本作では削除されているため、途中で選択をミスした場合
セーブデータが残っていなければ1週目からやり直しである。
この悪テンポとイライラを、上記のような誤表記・ボイスと文章の不一致・
効果音の再生バグ等、音声面の不備が後方から煽り立てるのだ。

この水も漏らさぬクソの布陣で、本作は2011年初の本格的クソゲーとして
KOTYスレを一気に沸き立たせた。


続いて姿を現したのは、「街ingメーカー4」(PS3/Xbox360・D3 PUBLISHER)であった。
街作りと住民とのコミュニケーションがリンクしたシミュレーションゲーム(SLG)、
「街ingメーカー」シリーズの最新作だ。

過去シリーズで好評を博した「住民とのコミュニケーション」をほぼ排除する、
という斬新すぎる仕様変更が施されており、その結果本作は

「建築用ポイントが約10分に1回もらえるのを待ち」
「交番や郵便局さえ無い町をただひたすら建造しては潰し」
「機械的・一方的に呟くだけの住民が勝手に増えるのを待つ」

という超単調ゲームに大きくゲーム性を変貌させていた。

一応、作った町を眺めることも出来なくはない。
だが、建物に入ることも出来ず、春夏秋冬の区別も経年による変化もなく、
無機質な住民しかおらず、BGMは昼夜2パターンのみ、という箱庭をひたすら
眺めるだけで楽しめるのは、悟りを開いた禅僧くらいのものであろう。
故に大半のユーザーにとっては、建築用ポイントを待つ10分間は読書なりネットなりで
隙を潰しつつ「待つ」以外にはすべきことがない。
クリアまで5〜6時間の薄さでありながら、その大半がこの「待ち」であるということから
本作にはいつしか「待ing」という称号が奉られ、以後スレ住人に親しまれることとなってゆく。


これ以後、10月までの「日照り」がまるで幻だったかのように、
KOTYスレには冷たい時雨が降り続くこととなる。

まずは「待ing」と奇しくも同日発売の「グラディエーターバーサス」(PS3・アクワイア)の到来である。

格闘アクション「グラディエーター(剣闘士)」シリーズの4作目である本作だが、
剣闘士たちの戦いに何故か場違いにも「魔法」が導入され、
その代償か過去作で熱戦を生んだ「ドッジ(回避)」や「パリィ(弾き)」などがすっぱりと削除されている。
それどころかダッシュやジャンプすら存在せず
大方は連打ゴリ押しのみで済んでしまう安直な造りとなっているために、
プレイヤーの腕や工夫を見せる余地や必要性がほとんど見いだせない。
それでは追加された「魔法」はどうかと言えば、如何せん威力が低すぎ、
味方NPCが背後から誤射して来る時に辛うじて存在感を確認できる、という体たらくであった。

またフルプライス(パッケージ版は6279円)でありながら有料ダウンロードコンテンツ(DLC)を
売らん哉の意図を微塵も隠さない、アクワイアの逞しい商魂も話題となった。
少ないキャラ作成パターン、2枠のみのキャラ枠、宝石1つで1枠埋まるアイテム箱……等々、
ゲーム中の不満を解消するための要素が、総じてDLCで追加販売されているのである。
DLCの中でも、特筆すべきは装備強化用のアイテムである宝石だ。
収拾・強化に大層な手間とゲーム内通貨が必要となるこの宝石が
「手間を省けるよ」とばかりにDLCとして販売されているのだが、
中身は種類もランクもランダム、しかも一部は出現率が低いというネトゲ廃人御用達仕様。
これではスレ内で「剣『投資』」の呼び名が定着したのも無理からぬことと言えよう。

発売初日から本スレが葬式状態というだけあり、
既にこれだけでもその戦闘力は刮目に値するものであった。
しかし、本作はまだまだ大いなるポテンシャルを秘めていた。
発売1カ月後に行われたアップデートによって、謎の方向へ進化を遂げたのだ。

何故か敵のAIばかりが賢くなり、あの「魔法」は大幅に威力が向上。
相変わらずアホAIのままの味方NPCが、相変わらずプレイヤーの背後をつけ狙う。
ここに本作は、強敵と背後の味方の二つの恐怖に震えるという、
奇抜なスリルを楽しめるゲームに生まれ変わったのである。
さらにフレンド機能なども強化されたが、オンラインプレイは発売1週間で既に過疎化しており、
この奇抜な世界観や対戦を楽しめる猛者が既に少数となっていたことが何とも惜しまれる。
本作はこの後も、公式ブログの微妙対応・発売1ヶ月後にまさかの無料体験版、
などのホットな話題をスレに提供し続けた。


続いて現れたのは、「ドラゴンボールアルティメットブラスト(以下UB)」
(PS3/Xbox360・バンダイナムコゲームス)であった。
かつては微妙ゲーを生み出していた「ドラゴンボール」のゲーム化作品も、
偉大な原作の安定した人気に支えられ、近年では堅実な出来のシリーズ作が続いていた。
そのためUBも期待感をもってファンに迎えられていたのだが……

美しいグラフィック、派手なエフェクト、
ストーリーモードの見事なアニメーションは確かに期待に添っていた。
だがその外見の美しさを以てしても、
あまりの内容の無さを糊塗することは出来ていなかったのである。

戦闘時の攻撃、移動、必殺技、つまりはほぼ全てのタイミングでムービー付きの
クイックタイムイベント(QTE)が挿入され、そのため戦闘はひどく冗長な展開となる。
更に苦痛なのはこのQTEのほとんどが単に運任せの「二択」であり、
対戦アクションゲームらしい技術や駆け引きなどありはしない、ということだ。
たまに他の要素があるとしても、それは単なるボタン連打に過ぎない。
二択と連打で戦法は3種――これでようやくジャンケン並になるという驚異の「ゲー無」性である。
いかにキャラゲーとはいえ、21世紀も10年が過ぎた2011年のゲームで、
今更ジャンケン程度のことを行う必要があるのだろうか?

自作キャラをドラゴンボール世界で動かせる「アバターモード」も存在するが、
せっかくのアバターも人種はサイヤ人のみ、体型は3種のみ、性別は男のみ、
という自由度の低さで、これもまた薄さを感じさせる造りだ。
その上アバターにスキルを覚えさせたいなら、あの冗長な戦闘を気が遠くなるほど
繰り返さねばならないという、「修行」ならぬ「無を悟る苦行」が待っている。

キャラゲーの命であるキャラ要素も非常に薄い。
シリーズ過去作では100体以上ものプレイ可能キャラが登場したが、
「UB」の登場キャラ数は各キャラの変身形態を含めても64体に過ぎない。
メンバーの選出も微妙で、青年悟飯や少年トランクス、悟天などの
有名・主要キャラが存在せず、ストーリーも歯抜けになってしまっている一方、
妙なマイナーキャラはしっかり登場していたりする。
また、パンチ・キック等の基本動作だけは再現度が高いものの、
ピッコロの腕が伸びる、などのキャラの個性を生かせる演出はない。
やたらに見るはめになる上述のQTE演出に至っては、全キャラ共通の使いまわしである。

「キャラゲー=クソ」の図式には慣れきっているために
当初は本作のクソ戦闘力に疑念を差し挟まないでもなかったKOTYスレ住人だったが、
選評・報告が次々届き、この「錦で包んだ空き箱」の実態が知れ渡るにつれ、
次第に「UB=クソ」の評価は揺るぎないものとなっていった。


そして年末迫るクリスマス。漸くスレに訪れた影は――
30年の歴史を持つ古典RPG「ウィザードリィ(Wiz)」の新作、その名も
「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街(以下wiz亡霊)」(PS3・ダウンロード販売/アクワイア)である。
1月の発売以来、11ヶ月間陰に潜み続けて来たその姿はまさしく「亡霊」であった。

本作がかくも長い間潜伏してきた最大の理由は、
「最終シナリオ(シナリオ3)でのバランス完全崩壊」である。
そもそも高難度で知られるWizの世界では、即死や多少の理不尽要素は肯定的にさえ見られている。
また歴史が長い分だけ、深刻な不具合を抱え込んだ過去作も多い。
プレイヤー側もそんな殺伐とした世界に鍛え上げられた猛者が多いためか、
シナリオ1・2の間は劣悪なバランス、セーブ不能バグ、命中率0化バグ等(一部はパッチで修正)
の重大な問題は数々あったものの、そのクソさが表面化しなかったのだ。

――しかし、キャラのレベル制限が取り払われたシナリオ3後半の戦闘バランスは、
そんな歴戦のプレイヤーをも震撼させた。
プレイヤー側キャラの能力値は「種族基本値+10」で早々に頭打ちとなり、
どんなに鍛えてもそれ以外に目に見えて上がるものはHP程度であるのに対し、
敵側の能力はレベル上昇と共にずんずん上昇していく。
つまりは高レベルになればなるほど、彼我の能力差は絶望的に大きくなるのである。
行動順も敵側ばかりが速くなってゆくため、結局は不条理なまでの超火力・特殊攻撃・即死魔法等を
兼備した敵が集団で、ほぼ必ず先手を取って襲いかかってくることになる。
その結果本作の戦場には、エンカウント即全滅が当たり前、敵行動後に6人パーティ中
1人か2人が生存しているなら僥倖、といった地獄絵図が累々と繰り広げられていた。

200程度の適正レベルに達するか、または数千のHPがあれば
「絶望のみ」の状況を脱し「まあ勝てなくはない」域に到達可能とされるが、
そこまで正攻法(戦闘)でキャラを成長させるとなると数百時間を要してしまう。
そのためゲーム内通貨で経験値を買えるシステムを利用し、
「金稼ぎの裏技をキャラ1人につき十数時間行ってレベルを上げる」もしくは
「イベントでひたすらHPを上げる」といった方法が本スレでは提唱されている。
戦闘とレベリングが醍醐味とされるハック&スラッシュ型RPGであるにも関わらず、
鍛え上げられた本スレ住人からさえ「金でレベル上げしろ」「戦闘は非効率」
という発想が出てくることそれ自体が、本作の常軌を逸した理不尽さを体現していると言えよう。

ちなみにシナリオクリア自体は、逃走とセーブ&ロードで戦闘を回避するなり、
有料DLCや特定の敵から入手できる「敵出現阻止アイテム」を
利用するなりすれば容易に達成できる。
辺りを徘徊する異常な強さの雑魚に対し、シナリオボスは格段に弱いからだ。
戦闘主体のゲームでありながらクリアのためには「非戦」の提唱もやむなしとされる
その仕様の本末転倒な不可思議さは、流石は人ならぬ「亡霊」であったと
KOTYスレ住民を頷かせるに足るものであった。


年の瀬も押し迫ったその3日後、KOTYスレに猛然と大雪を降らせたのは
「Piaキャロットへようこそ!! 4 〜夏の恋活〜」(Xbox360・PIACCI)である。
ファミレスが舞台の有名18禁AVD+SLG「Piaキャロットへようこそ!!」シリーズの移植版だが、
本作もまた「亡霊」同様、2月に発売されながら長期間見出だされなかった伏兵であった。
しかし、その潜伏の理由は「亡霊」とは大きく異なっていた。

コンシューマゲーム界では想像もつかぬ低品質ゲームに溢れた18禁PCゲーム界
(通称「修羅の国」)ですら駄ゲー、クソゲーとの呼び声高かった原作から
18禁要素を取り除いて移植した本作は、
手を伸ばす者が誰も居ない典型的な「誰得作品」「見えている地雷」だったのである。

内容も「地雷」の名に恥じぬ爆発力だ。
まずはグラフィック面だが、KOTYスレ住人をも唖然とさせた
「サバンナにしか見えない運動競技場」「空間が歪んだ部屋」をはじめ、
この種のゲームにとっては最重要のキャラグラフィックまでが軒並み低品質で、
購入者をして「キャラの半分はできるだけテキストウィンドウから上を見たくない」
とまで言わしめる代物であった。

システム面でも処理落ち・フリーズ・不安定なスキップ機能、セーブ数の増大で
発生する謎の読み込み遅延など、クソADVには欠かせぬ不具合類は無論完備。
エンディング分岐のパラメータ調整用に設けられているSLG部分は
ほぼ適当プレイで構わない退屈な構造であり、
そもそもパラメータの多くはゲームに大した影響をもたらさない。
このためゲームの半ばを占めるSLG部分の存在意義が非常に希薄であり、
その薄さが「このゲームはゲームデザインが根幹から間違っている」
という事実をひしひしとプレイヤーに実感させてくれる。

ではシナリオ面はどうか。
「シナリオが弱い18禁ゲーからエロを抜く」「攻略キャラを1人まるまる削除」
という大すぎる穴が開いているにもかかわらず、
その穴を埋めるシナリオ調整が全くと言ってよいほど行われていない。
結果として、半分以上のルートでは特筆すべき事態が何も起きぬ
という空虚がプレイヤーを出迎え、挙げ句の果てには
プレイヤーも気づかぬうちに主人公とヒロインが恋人同士になっていたり、
ヒロインが妊娠していたりする超展開が待っている。
そのくせ主人公はバッドエンドに陥ろうものなら「仕事以外思い出がない(要約)」とほざく始末。
こうしたシナリオ上の穴がベトコンばりの落とし穴戦術となって、
プレイヤーの士気を根こそぎ奪いに来るのである。

この地雷原兼落とし穴地帯に特攻し、A4用紙89枚にものぼる地獄の戦場記録を
書きつづった勇者も現れ、その雄姿にはスレ住人から惜しみない賞賛の声と拍手が贈られた。


波乱の2011年も幕を閉じ、KOTYもいよいよ本格的選考に入るかと思われた2012年1月初め、
何と2011年作品最後の、冬の霹靂がスレに轟いた。
「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(Wii・タカラトミー)
――そう、09・10年の二年に渡ってKOTYに名を馳せた、あの「人生」の再来である。

前作「ハッピーファミリー」は、辛うじて人生ゲームの体を為している体験版(1000円)
に毛が生えた程度の内容でフルプライス、という驚愕のぼったくり商品であったが、
クソゲーの老舗タカラトミーはその消費者軽視の姿勢を堅実に守り抜き、
我々の前に三たび「ゲー無」を送り出してきたのである。

キャラメイクも無く、ろくな幼年時代も小中学時代も無く、
スリルを高める「仕返しマス」も存在せず、ミニゲームも存在しない。
マスコットキャラであるはずの天使と悪魔さえも存在しない。
イベントで送られるサブマップは無内容ゆえに「流刑地」と呼ばれ、
特定のプレイヤーばかりが同じようなハプニングに巻き込まれ続ける。
そんな単調な毎日の中、数少ないイベントが幾度と無く繰り返されるのを見ながら、
時折各地の名物・グルメ情報を見るだけの「人生」など、誰が望むのであろうか。
味気ない毎日に最後まで耐えきったとしても、プレイヤーを待っているのは
ローリスクハイリターンすぎるギャンブルによってそれまでのプレイ結果が
あっさりと覆される、あまりに呆気ない幕切れである。

前作の根本的なゲーム性の無さを何一つ解消せぬままに、誇張や嘘すら含む
微妙なご当地ネタを足しただけで再びフルプライス(6,090円)で発売された本作は、
「また人生か!」という半ば驚嘆、半ば諦めの声をもってスレに受け入れられた。


クソゲーオブザイヤー2011。
秋の気配深まる頃までスレを包んでいた平穏は、今はいずこへ消え去ったのであろうか。
僅か2ヶ月強の間に、数えてみれば7作ものクソゲーがスレに闇をもたらしていた。
そして、見渡してみればその全てが
「一定の評価を受けていたシリーズ」の続編であるという事実。
それは最早シリーズ作にすら安定を求められぬという、ゲーム界の衰弱と絶望の深さを如実に示していた。

それでは、その絶望の最も深い淵に沈む作品――
2011年クソゲーオブザイヤー大賞作を発表しよう。


「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」である。


いずれ劣らぬ悪夢の7雄の中でも、その絶望度は抜きんでていた。

美しいグラフィックも、重厚なシナリオも、魅力的なキャラも、よく練られた世界観も、
凡そ他ゲームにおいて要求されるような要素などハナから求められていないのがWizの世界である。
冒険者たちが求めるのはただ自己を錬磨するダンジョンと、
打ち倒すべき敵と勝利、そして戦利品のみだ。

しかし「wiz亡霊」が提供するのは――

処理落ちや画面暗転・セーブ不能等、種々の不安がちらつく中での探索を余儀なくされる上、
胸躍らせる仕掛けも謎も関門もろくに無く、不自然に宙に浮くスイッチを探しては
ゲートを開けるだけ、が延々繰り返される退屈極まるダンジョン。

最大HPの数倍のオーバーキルを仕掛けてくる雑魚が最序盤から徘徊し、
シナリオ1後半で既に無理ゲーもしくは運ゲーに片足を突っ込んでいる戦闘。
それはダメージと敵能力のハイパーインフレだけで組み立てられており、
プレイヤーが技術や知識で打開できる余地や快適なプレイへの配慮が完全に欠如した
「手抜き仕事」でしかない。
ただでさえ「バランス」「難易度」などと言うのもおこがましいこの劣悪な戦闘システムが、
レベル上昇につれ更に崩壊してゆくのである。
苦痛を感じる感覚が麻痺しきっている歴戦の冒険者にさえ「戦闘は非効率」と
言わしめるそれは、既に戦闘ではなく単なる拷問と化していた。
しかも、それに耐え抜こうとすればキャラの種族・職業・戦法もほぼ固定化されざるを得ず、
自由にキャラを育成する楽しみまでもが奪われている。

そして、拷問の果てに手に出来るはずの一縷の光明・戦利品集めの快感をすらも奪いとる、
「アイテムリストに入手不能のものが混入し、アイテムコンプリート不能」という仕様。
どんなに強力な武具もインフレ戦闘の中では死亡率を僅かに引き下げる程度の役にしか立たないこと、
最強レベルの武具が商店やDLCであっさり販売されていることも相まって、
冒険者のアイテムへの意欲はがりがりと削がれてゆくのである。

他の作品よりも遙かに要求のハードルが低く、遙かに寛容なユーザー達の僅かな期待を
尽く裏切り絶望させていったその姿は、「まともなゲーム」の死から生まれた
「亡霊」そのものであると言っても過言ではなかった。

また本作は、「制作レベルの低さ」についても群を抜いていた。
Wizは要求される要素が少なく、完成された先行作が居並ぶシリーズである。
一からシステムを組む手間など掛けずとも、それらを踏襲しさえすれば一定の評価が得られる。
だが本作は、実際に先行作品のソースコードを流用しているにも関わらず、
考え無しに数値のみをインフレさせ、不具合を増やし、全体を劣化させることしか出来ていない。
手抜きの猿真似すらもろくに出来ていないのだ。

加えて、まともにキャラ育成を行えば数百時間は掛かってしまい、
極度の手抜きと内容の無さに付き合いきれず裏技に手を出しても、
それだけで60時間以上をドブに捨てるハメになるという
「時間を浪費させる能力」の高さも、大賞として申し分ないクソであった。
戦闘を回避し続けてだだっ広いダンジョンを歩き回るだけでも相当の時間を要し、
コンプリート不能という情報を知らずアイテムを求め続けた場合には、
冒険者は文字通りの無間地獄を永遠に彷徨う「亡霊」と化すしかない。

このどうにもならぬ「ゲームのようなもの」に対し、
発売元の **A*C*Q*U*I*R*E** ……もとい、アクワイアはこれ以上の手直しを放棄。
あまつさえ直前まで割引販売を行った上で、新ダンジョンを含んだ完全版を
発売するという厚顔ぶりまでも見せつけたのである。

本年、「剣投資」「亡霊」の二大クソを生みだし、
図抜けた商魂で見事クソゲーマイスターの地位を確立した同社には、
古き良きウィザードリィから、あの銭ゲバ寺院の迷文句を借りて一言を贈りたい。

――「楽しいゲーム」という、すでに廃れてしまったのかもしれない古き神の一信奉者として。


「 このはいきょうしゃめ (ゲームかいから) でていけ! 」

総評案14 (ドラゴンボール アルティメットブラスト)

 2010年、クソゲーオブザイヤースレを襲ったのは、未だかつて無い門番による蹂躙劇だった。
 クソゲーにセオリーなど通用しない。そのことをまざまざと見せ付けられたKOTY。
 果たして2011年は、どのようなクソゲーが現れ、どのように我々を襲ってくるのだろうか……
 そのような不安を抱えながら、2011年KOTY据置は発進した。

 しかし、そんな住民達を待ち受けていたのは、かつて無い規模の大飢饉だった。
 すっかり目の肥えてしまった住民達に対し、持ち込まれてくるゲームはどれもクソゲーと言うには首をかしげるようなものばかり。
 いつしか冬が終わり、春が過ぎ、夏は暮れていった。
「ひょっとして、今年はもうクソゲーは現れないのではないか?」
 住民達は希望に胸を躍らせた。たまにはクソゲーのない平和な年があってもいいじゃない。
 秋の瀬に差し掛かった頃、スレにはそのような意見が散見され始めるようになる。
 しかし、住民達は知らなかった。
 すでに世に解き放たれたクソゲー達が、すでに自分達を蝕んでいるということに……

 10ヶ月に渡る長い沈黙を破り、スレにとあるゲームの選評が届いた。
 9月29日、サイバーフロントより発売されたそのゲームの名は、『code_18』。通称「C18(しーじゅうはち)」である。
 神ゲーとして名高い『Ever17』の流れを汲むAVG(アドベンチャーゲーム)、『infinity』シリーズの最新作だ。
 AVGというジャンルは、大雑把に言えばシナリオをその他の要素で盛り上げるゲーム、という一言に集約される。
 よって、シナリオがよければある程度の評価は約束されているし、シナリオがクソであっても挽回は十分に可能になっている。
 つまり、AVGは「クソゲーが出にくいジャンル」なのである。
 だが、この『code_18』というゲームは一味違った。
 その他の要素がシナリオを盛り上げるどころか、足を引っ張ってくるのである。
 付随してくる文章と明らかに齟齬のある「絵」。
 ヒロインごとにルートが独立しておらず一本道で、バッドエンドを迎えるとセーブした場所によってはプロローグからやり直しになる「システム」。
 電車の音がその後のシーンに跨って延々と流れ続ける「SE」。
 コスプレ喫茶という話なのにコスプレしていない「立ち絵」。
 スカイタワーにいるはずの場面で突然浅草寺にワープする「背景」など、ただでさえ出来の良くないシナリオの足をこれでもかと引っ張ってくれる。
 「スタッフロールにデバッグ担当の名前があるのが信じられない」という本作を検証した住民の言葉が、このゲームのすべてを物語っていると言えよう。

 このC18を皮切りに、多種多様なクソゲーが我々の前に立ちはだかることになる。

 奇しくも同じ11月23日、同じ日に生まれ出た双子のクソゲーがスレに降臨した。
 双子の片割れは、D3PUBLISHERより発売された、『街ing(まっちんぐ)メーカー4』。
 自分でキャラを操作して、自分の作った街を自由に歩き回る事が出来る街づくりSLG『街ingメーカー』シリーズの4作目である。
 『街ingメーカー』シリーズといえば、一人ひとりの住民と会話や買い物をすることによって街が発展してゆく、というシステムが好評だったシリーズである。
 しかしこの『街ingメーカー4』は、それらの要素はほぼ削除されており、住民達は建物の名前を呟く程度の実にどうでもいい定型文を繰り返すマネキンとなっている。
 その結果、このゲームはゲーム内時間24時間(現実時間にして10分)ごとに貰えるポイントを使って建物を建て、あるいは建物を潰し、その様子を眺める「だけ」という、凄まじい内容に纏まっている。
 一応、ゲーム内にはポイントをゲットするためのイベントもあるのだが、貰えるポイントはごく微量なので、存在する意味がない。
 待ち時間の間にできることと言えば、黄色いオッサンを操作して町を眺めることだけである。
 建物のクオリティが高ければまだマシだったのかもしれないが、本作のグラフィックは次世代機にしてPS2並。
 テナントの種類も少なく、老朽化や発展もせず、建てられる建物の種類も物足りない。
 おまけに操作性が悪い、ロードが長い、プレイ中に聞けるBGMが朝と夜の2つしかないなどの細かなクソ仕様が上記に加わり、非常にイライラさせられる。
 クリアまでの5時間のほとんどが「待ち時間」である本作は、「待ingメーカー」と呼ばれ、「虚無ゲー」としての地位をスレの中で確立していった。

 双子のクソゲーのもう片方は、KOTYというコロッセオに降り立った剣闘士、アクワイアより発売された『グラディエーターバーサス』である。
 古代ローマの剣奴をテーマにした対戦アクションゲーム、『グラディエーター』シリーズの4作目だ。
 が、今作からは「魔法」の概念を取り入れ、世界観も一新。古代ローマの剣奴ではなく、ファンタジー世界における傭兵にテーマを変更している。
 その影響で、前回まで好評だった「ドッジ」「パリィ」といった要素は削除された。
 では、そうして路線変更を測った当ゲームがどのようなものなのか、見てみよう。
 まずは公式に「組み合わせは10000種類以上」と表記されるキャラクターメイキングが始まる……が、その種類は種族3×顔3×頭3×声3×髪型6で、486通りしかない。
 一応水増し要素の刺青18を入れれば8748通りにはなるが、それでも10000通りには届かず、のっけから宣伝詐欺というジャブを入れてくる。
 キャラクターメイキングが終わると、ゲーム本編が開始される。ゲームは難易度ごとにミッションを選択し、ストーリーを進めていくスタイルである。
 しかし、ミッションはどれもこれも3vs3を何度か繰り返すだけで、非常に単調である。
 ステージは24面あるが、背景も使い回しが多く、ミッション選択時に非常に読みにくい文字で表示されているストーリーが進んでいるのかどうかもよくわからない。
 戦闘はできることが少なく基本的にゴリ押しで、同じ攻撃をひたすら連打することになる。
 モーションも地味でエフェクトも少なく、爽快感など微塵も無い。
 それに加え、味方のAIがとても残念なことになっており、高い頻度で魔法を誤射してきてコンボを中断させてきたり、敵を引き連れて1vs3にしてきたりするなど、ストレスに苛まされることになる。
 またミッションクリアで報酬が得られるのだが、ミッションクリアによる報酬が少ないのに、装備を強化するためや、敵が落としたアイテムを手に入れるのにゲーム内通貨を使う。
 そのため、装備の強化には非常に苦労させられる。
 武器防具の強化のために必要な宝石のドロップも異常に悪く、報酬場面でも非常にストレスフルである。
 オンラインプレイに活路を見出そうにも、発売後一週間でオンラインは過疎化したので、協力プレイも対戦プレイもほとんどすることができず、検証すらままならない。
 また、このゲームを語る上で外すことができない要素がある。
 ダウンロード・コンテンツ(DLC)である。ネット上でリアルマネーを払うことで、そのゲームに関する特典を購入することができる、というシステムだ。
 本作のDLCでは、アイテムボックスの拡張、キャラスロットの拡張などの要素に加え、入手できるものがランダムの「装備強化用の宝石セット」というものが売ってある。
 このガチャガチャ、どうも確率が弄ってあるらしく、一番重要な宝石が非常に出にくい。
 先述の通り、ミッションでの宝石のドロップ率は極めて悪い。メーカーの欲望が透けて見えるどころか、最早丸出し状態と言って差し支えはないだろう。
 ウィルスバスターに「オンライン詐欺に関係している可能性があります」と警告されるその逞しすぎる商魂を称えて、スレではこのゲームを『剣投資』と尊称するに至ったのだった。

 この双子のクソゲーの登場にスレが恐怖してから間もない12月8日、意外すぎるタイトルが溶けた氷の中から現れた。
 バンダイナムコゲームスより発売された、『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(以下UB)。『ドラゴンボール』シリーズの、次世代機に入ってからの4作目である。
 まずは、『UB』の褒めるところを褒めておこう。
 まず、映像が綺麗で迫力がある。圧倒的なグラフィックは今までのどのドラゴンボールシリーズをも上回り、新規アニメなどを交えたド迫力の戦闘を我々の前に見せてくれる。
 以上である。
 このゲームでは、少しコンボを繋げるとクイックタイムイベント(以下QTE)と呼ばれるショートムービーが挿入される。
 これが通常技、必殺技、果ては移動をするたびに何度も何度も発生し、戦闘のテンポを非常に悪いものにしている。
 そのQTE内部のコマンド入力だが、基本的には2択のじゃんけんである。
 つまり『UB』における戦闘というのは、ひたすらにこのQTEの繰り返し、すなわち「2択じゃんけんの繰り返し」ということになる。
 当然、そこに「対戦アクションゲーム」としての駆け引きなどない。
 対戦とは何だったのか、アクションとは何だったのか、という哲学的な問いかけを思い浮かべずにはいられない。
 通常戦闘以外にも問題点は山積みである。
 『UB』の登場キャラクターは64人。対戦ゲームとしてはかなり多いのではないか、と思うかもしれないが、ぶっちゃけるとこれらのキャラの中身は同じである。
 ほとんどのモーションが使いまわしであり、QTEでの攻撃には常に既見感に苛まされる。
 「力を入れた」とスタッフが称するストーリーモードでは、主要キャラクターが何故か抜け落ちており、原作ストーリーを全く追えていないぶつ切りストーリーが展開される。
 自らの分身を操ってドラゴンボール世界を満喫できる「アバターモード」は、キャラクター構成パーツが著しく少ない、修行の内容が苦行でしかない、やることは単調な上記の戦闘を繰り返すことのみ、と非常に残念な出来栄えである。
 『剣投資』と同じくオンライン対戦に活路を見出そうとしても、エラーが頻繁に発生し、切断が起こりまくるくせに切断が起これば双方に切断ペナルティが科せられるなど、まったく救いがない。
 どうしようもないクソゲーという表現がよく似合う、まさに正統派のクソゲーと言えよう。

 クソゲー達による怒涛の進撃は留まることを知らない。
 続けて現れたのは、アクワイアより1月に発売されていた『ウィザードリィ 囚われし亡霊』(以下、亡霊)である。
 『ウィザードリィ』シリーズといえば、ゲーム好きの間で知らぬ者はいない、ダンジョン探索型ゲームの金字塔とも言える存在である。
 本作は発売日の当初はセーブバグで若干の論議はあったものの、パッチでおおかた修正され、たいしたクソゲーではなかったと判断されていた。
 しかし12月に入り、当初ではわかり得なかったこのゲームのクソ仕様が、選評者によってもたらされたのである。
 本作はシナリオ1からシナリオ3までが順次ダウンロード販売されており、シナリオ1からすでにおかしい戦闘バランスを指摘され始めていたが、訓練されたwiz民を屈服させるほどの出来ではなかった。
 異変はシナリオ3という場面に入ったところで起きる。
 シナリオ3に入ると同時にレベルキャップが開放されるのだが、味方の能力がそれまでのキャップに到達するまでもなくHPと耐性以外は最高値に達するのに対し、敵の強さはそんなことはお構いなしにモリモリと上がってゆく。
 結果、終盤になってくるとバランスは完全崩壊。エンカウントしたが最後、味方よりも圧倒的に早い敵の先制攻撃で、成す術も無く全滅してゆくしかない。
 この状況をなんとかするためには、500時間以上という膨大な時間、あるいは裏技によってレベルを上げるか、DLCやレアモンスター狩りを行って手に入るエンカウント回避アイテムを使う、敵に会わないように数歩歩いてセーブを繰り返す、といった手順を踏まなければならない。
 wizにおける目的であるはずのアイテム収集も、絶対に入手できないアイテムが混入しているためにコンプリート不可能という事態に陥っている。
 ついでにレアアイテムもだいたいDLCで売りに出されている。
 また、キャラグラフィックと異なる音声が再生されたり、ダンジョン内で意味不明の処理落ちが起きたりするなどの細かいバグも完備。
 小ネタでプレイヤーの精神をじわじわ削ることにも余念がない。
 このぶっ壊れた戦闘バランスとアイテムコンプ不可能という仕様は、訓練されたwiz民でさえ「我々の業界でも拷問です」とばかりに匙を投げるしかなかった。
 一般ゲーマーに比べて沸点の遥かに高いwizプレイヤーに匙を投げさせるという現実は、このゲームがいかに筆舌に尽くしがたいクソであるかということを如実に表していると言える。

 選評が出揃い、総評の作成に取り掛かろうとしていたスレに、大晦日を狙ったかのように襲撃をしてきたクソゲーがあった。
 PIACCIより2月24日に発売された『piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜』(通称pia4)。知る人ぞ知る『piaキャロット』シリーズのナンバリングタイトル4作目である。
 C18の時にも持ち出したが、AVGというゲームは「シナリオをその他の要素で盛り上げる」という一言に集約される。
 しかし本作は、あの修羅の国において「エロ以外に評価できる点がない」と評されるほどのものであり、AVGの中枢たるべきシナリオが恐ろしい出来になっていた。
 新しく出てきては忘れ去られて全く触れられなくなる設定。
 バッドエンドを迎えると妹と一線を越えていようが「何も思い出を残すことはできなかった」とほざく主人公。
 幼女が溺れていたから助けたら惚れられた。
 といった、頭を抱えたくなる展開がプレイヤーへと押し寄せる。
 さらに問題なのは、カットしたシーンへの対処である。
 本作はコンシューマへの移植に際し、××な場面をカットしてお贈りしている。
 コンシューマ化に際して避けては通れない道だが、pia4では××な場面を含むイベントを全カットするという、実にシンプルな方法が取られている。
 これにより、元より薄いシナリオがさらなるカオスを生み出した。
 格ゲーをしていたらいつの間にか男女の仲になり、いつの間にかヒロインが妊娠している。
 事件を他人に解決してもらったら、何故かヒロインが妊娠している。
 一緒に走っていたら次の日にはヒロインと一線を越えている。
 深刻そう話をしたら次の日には妹と一線を越えている。
 といった、『UB』も真っ青のぶつ切りシナリオがプレイヤーを熱烈に歓迎してくれる。
 シナリオ以外の要素も「ひどい」の一言である。
 本作にはAVGパートとSLGパートがあり、SLGパートで主人公のステータスを上げることができるが、このステータスはエンディング分岐以外に何一つ影響しない。
 エンディングに際してステータスが足りなければバッドエンドとなるだけである。邪魔以外の何者でもない。
 セーブファイルの数は増えるとセーブ・ロードの挙動が一気に重くなり、たまにフリーズするようになる。
 バックログが一つ前のメッセージを順繰りに表示するという凄まじく使いにくい仕様で、前の会話を確認することもままならない。
 これら以外にもクソ要素は満載で、挙げていけばまさにキリがない。
 ごらんの有様の本作であるが、このゲームは過去にもあった「負の吸引力」のようなものを持ち合わせていたのか、数多の勇者が突撃を敢行し、爆死していったことも追記しておこう。

 悪夢のような年が明け、総評が投下されてゆく季節となった。
 しかし、クソゲーはそのような平穏な時間を狙って来訪してきたのである。
 遅れてきたそのクソゲーの名は……タカラトミーより9月1日に発売された『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。
 思わず「またお前か」と叫びたくなるほどの、KOTY常連の『人生』シリーズ最新作。このゲームの内容が記されたその選評には、恐るべき人生ゲームの系譜が書き記されていた。
 まず、2010年KOTY次点にノミネートされた前作『人生ゲーム ハッピーファミリー』からまるで成長していない姿が目に飛び込んでくる。
 名前も見た目も変更できない10種類のプレイヤー。
 全1種類のマップ。
 極小の「職業」「恋愛」要素。
 「ミニゲーム」「カード」「学校」などの復活もなし。
 シリーズお馴染みの天使の復活もなし。
 旧世代機種でできていたことも悉く実装せず。
 一周目からネタ切れを起こすイベント。
 これらの要素は前作の選評でも判明していたことであるが、今作は有志による突撃により、さらに検証が進むこととなった。その結果……
 CPUが優先的に行こうとするミニマップのイベントが数種類しかない。
 「おじゃましマス」による他プレイヤーへの攻撃が一定のプレイヤーに偏る。
 それどころかルーレットの数字すら偏っている。
 さらに「最後のギャンブル」ですべて逆転可能なので人生ゲームの核であるはずのお金稼ぎがほぼ無意味。
 などのクソ要素が次々と発掘されることとなった。
 唯一の希望、追加要素の「ご当地ネタ」は、「○○では△△っていう食べ物が有名なんだ! おいし〜♪」といったスイーツ(笑)以下のものである。
 「マイナス50点のものに1点の追加要素を加えてもマイナス49点なんだよ!」とはスレ住民の声であるが、このご当地イベントによって元々あった数少ないイベントが潰れているので、「この追加要素はマイナスなのではないか」という議論すら沸き起こる始末である。
 こうして、KOTY常連、強豪タカラトミーが、今回も危なげなくKOTYに名を連ねることとなった。

 以上、7本のクソゲーが出揃ったところで、今回の大賞を発表するとしよう。
 史上稀に見る激戦となった、今回のKOTYを制した作品……それは『ドラゴンボール アルティメットブラスト』である。
 「七つの大罪」とも評された今回の7本のノミネート作は、そのどれもが突き抜けたクソゲーであり、その実力は全くの互角であると言えた。
 クソ要素としてはどの作品も横並びであり、決め手に欠ける中、『UB』を選んだ理由は、「いかにゲームとしてクソか」という点での審査を行った結果である。
 『UB』は「対戦ゲーム」と銘を打っておきながら、その中身は二択のじゃんけん勝負である。
 古今東西、他人と競い合いをする「対戦ゲーム」と呼べるものは星の数ほど存在するが、これほどまでに駆け引き要素のない「対戦ゲーム」がかつて存在しただろうか。
 コインを投げて裏表を当てるゲームですら、『UB』よりも駆け引き要素はあると言える。
 いかに美麗なグラフィックでごまかそうが、対戦ゲームである限り、グラフィックはあくまで外見であり、中身を伴ってこその存在である。
 つまり『UB』は、「ゲーム」としての加点要素が「理論上の最低値」に限りなく近いのである。これは他のノミネート作にはない『UB』のみが持つ大きなクソ要素と言える。
 よって、『UB』は、これらノミネート作の中で最もクソであると判断し、ここに2011年度版KOTYを与えることとする。

かつて無い規模での戦いとなった2011年KOTY。
 ゲーム業界そのものが危ぶまれていた時期もあったが、振り返ってみれば、名作と呼べるものからオブザイヤー級のクソまで、多種多様なゲームに恵まれた年となった。
 まだまだ据置も捨てたものではない。そう思わせてくれる一年だったと言えよう。
 それでは締めの一言として、大賞となった『UB』に向け、偉大なる原作『ドラゴンボール』よりベジータ王子の言葉を借りて、2011年KOTYを終わらせたいと思う。

「動かせない格ゲーなど必要ない! 死ね!」

〜KOTY2011 (完)〜

総評案15 (Piaキャロットへようこそ!!4)

司会:ただいまより「究極のクソゲー」VS「至高のクソゲー」の対決を行います。
この対決は「2011年でもっともクソであったゲーム」を提供した側の勝ちとなります。
それではまず、究極のクソゲー側から発表をお願いします。

栗田:まず私たちは究極のクソゲーを追究した結果、四八と同じADVゴミ「CODE18」を生み出しました。
これは誤字や脱字は当たり前、シナリオとボイスが違うという手抜きもしっかり完備いたしました。
審査員S:ふむ。誤字脱字はクソゲーの基本だからな。
栗田:しかしそれだけでは究極のクソゲーとは言えません。このC18は、文章と表示される画像を意図的に狂わせているのです。
山岡:これを見て下さい。雨が上がったと表示されても背景は雨が降ったまま、感動のメガネっ子との眼鏡を外したはずのキスの画像は眼鏡をつけたまま。
挙句の果てにスカイタワーの夕陽は謎の暗転をさせて浅草寺を表示させる。
審査員K:これは酷いクソゲーや。ちゃんとテストプレイをしたのか聞いてあきれるわ。

山岡:このゲームではBADENDルートで間違ってセーブした場合には、最終章直前であろうとニューゲームからやり直さないとダメな拷問システムも搭載しました。
これではどんなプレイヤーでもディスクを本体ごと叩き壊すこと間違いないでしょう。
審査員T:ふむ。さすがに、制作プロデューサーが発売日に自身のツイッターを非公開にしただけはあるわい。
社員B:すばらしいわ! まさに四八の流れを汲む最低のADVクソゲーじゃないかしら。

司会:では一本目の紹介が終わったところで、二本目の紹介に移ります。至高のクソゲー側、お願いします。
海原:よかろう。だが至高のクソゲー側の発表をする前に、一つ究極のクソゲー側に一つ言っておきたいことがある。
山岡:・・・なんだ・・・!!
海原:士郎、お前はC18がクソゲーたる所以を画像やシステムに求めているようだが、C18、いや他のクソゲーと呼ばれるもの全てがなぜクソゲー足りえるかという本質をまるで掴んでいない。
山岡:なんだとっ! お前にはそれが分かるとでも言うのか!

海原:クソゲーがクソゲーたる所以、それは表面的な画像や文章ではなく、作品全体に流れるクソゲーとしての存在そのもの、救われないほど終わっているオーラそのものだ。お前のような与太者には一生理解できんだろうがな。
山岡:くっ・・・ただのハッタリだろ・・・!
海原:ハッタリかどうか、実際にそれを今から皆さんにもお見せしよう。至高のクソゲーとして制作したのはこの「待ingメーカー4」だ。
審査員I:おお、あの良ゲーと言われた街づくりゲームがついにクソゲー化か。
海原:建てられる建物が全部で82種類と極端に少なく、BGMは昼と夜の2種類だけ、地形に至っては1種類だけという手抜きぶりだ。
前作まで好評だった住人との接触も極端に縮小した。住人の意思など完全に無視した一方的な作業感満載のプレイが売りである。
こんなファミリーベーシックでも作れるようなプログラムを、現代においてフルプライスで臆面もなく販売する。これが至高のクソゲーの在り方だ。
社員N:まあ! とてもSLGの体を成していない代物なのね!

海原:そして、このゲームが至高のクソゲーだと断言できるのは、ある大きな理由があるのだ。
栗田:何かしら・・・とても嫌な予感がするわ・・・。
山岡:まさか・・・さては「待ち」か!
海原:このゲームは驚くことに、ひたすら待つしかやることがない。何しろコントローラーを握っているよりも床に置いているほうが長いという有様だ。
建物を作ったらあとは待つことしか選択肢がない。次に作ることができるのは現実時間の10分後だ。それまで他のクソゲーでもしているがよかろう。
審査員T:おお、なんという香ばしい香り!
審査員E:この待つ時間の退屈さが哀愁を誘いますな!!
栗田:や、山岡さん・・・!
山岡:・・・やられたっ・・・まさかゲームすらさせないことでクソゲーを表現するとは・・・

司会:審査員の方々のストレスもかなり高まってきたようです。それでは究極のクソゲー側、三本目の紹介をお願いします。
栗田:私たちが次に紹介するのは格闘アクション「グラディエーターバーサス」です。
ファンも多いグラディエーターシリーズですが、余すところなくダメ要素・ゴミ仕様を散りばめることで、究極のクソゲーに仕上げてあります。
まずは実際にプレイしていただくことでその酷さを体験していただけると思います。
審査員M:こ、これはっ!! 酷すぎる!
社長O:回避や崩しといった好評だった行動を全て排除、ひたすらムカつくもっさり感がどこまでも付き纏うな!
役員K:それだけではありません。味方NPCがプレイヤーに対して嫌がらせのように魔法の誤射をして戦闘の邪魔をしてきます!
海原:・・・む・・・確かに酷いがこのゲーム、それだけではないな・・・
栗田:このゲームが究極のクソゲーである理由はメーカー側の悪質な課金搾取体制です。
フルプライスゲームであるにも関わらず、アイテムボックス拡張権、キャラクタースロットの拡張権、水増し容姿の追加DLCなど、その種類は多岐に渡ります。

社員A:そうよ! 剣投資なんて呼ばれ方をするのはプレイヤーの怨嗟の叫びなのよ!
山岡:特に力を入れたのは、ステータスを上昇させるための宝石をガチャガチャ販売して買い煽りをしたことです。
宝石を付けるために必要な宝石は極端に出にくくして、よりプレイヤーの出費が嵩むように設定するなど、その悪質ぶりはオンゲでも裸足で逃げ出すほどです。
審査員H:やはり、発売前にこのゲームの公式サイトに対し、ウィルスバスターが詐欺を警告したのは伊達ではなかったんだな・・・
栗田:あまりにも酷い搾取体制のため、発売後1週間でオンラインの過疎化させることに成功しました。
山岡:さらに一ヶ月後には製品版とほとんど変わらない体験版を無料配布し、ダメ押しに年末にはさらに超クソゲーに進化するアップデートも行いました。
おかげで現在では既存ユーザーも新規ユーザーも誰もいなくなり、本スレも葬式さながらの状態です。

社長M:か、海原先生っ! これは、非常にまずいクソぶりなのでは!?
海原:・・・確かに酷いクソゲーだと言えよう・・・しかし安心されたい。
私も糞下倶楽部の海原である。次のクソゲーでそれを凌駕してみせよう。

司会:いよいよ皆様のSAN値も削られて参りました。次は至高のクソゲー側の紹介です。お願いします。
海原:・・・さて、ここで皆さんに一つ問いたいことがある。皆さんは最初から見えた地雷であるクソゲーと、ラストに差し掛かってから一気にクソゲー化する本格終盤地雷ゲー。
どちらをより終わったクソゲーだと感じられるだろうか。
栗田:まさに究極の選択だわ・・・いったい海原雄山はどんなクソゲーを作ったというのかしら・・・
海原:至高のクソゲーとしてそれら二つの命題をプレイヤーに突きつける2本の作品を皆さんに見ていただこうと思う。一本目は「ドラゴンボール・アルティメットブラスト」
審査員D:ただでさえ地雷の多いキャラゲーか・・・

審査員T:ふむ。キャラゲーはKOTYには難しい。ただでさえ版権の問題でクソゲーが標準じゃからな。
海原:このゲームのクソぶりは、プレイすれば1分とたたず理解できる。まずは実際に体験していただこう。
審査員A:おほっ! 格闘アクションなのにひたすら止まってばかりいる!
審査員M:止まるだけでテンポが悪いのに、その間にコマンドを入れるだけっちゅーんが、何とも。
社長O:これじゃあ格闘ではなく、ただのじゃんけんだ!
T井副部長:社長〜、こりゃひどすぎますね〜。こんなの幼児でも楽しめませんよ〜。
海原:格闘ゲームなのにじゃんけんと連打しかない、極めて格闘クソゲーの基本に忠実なゴミゲーだ。
そしてそのクソの余韻を忘れない頭のまま、次はこのゲームをプレイしていただく。その名は「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」
審査員H:ほお・・・あの名作3Dも今や至高のクソゲーか。
海原:このゲームの序盤はクソゲーであると見極めるのは非常に難しい。しかし冒頭で述べたようにこのゲームは終盤になってから一気にクソゲーへと成長する。

栗田:何かしら・・・海原雄山が自分のプレイデータをロードしはじめたわ。
山岡:なんてことだ・・・雄山の奴・・・wizを400時間もプレイしやがっていたのか・・・!
海原:これはシナリオ3に入ってからの私のセーブデータだが、このキャラクターで敵とエンカウントを行う。その様子をご覧いただきたい。
栗田:あっ!
山岡:ああっ!!
審査員T:おい! ザコ敵とエンカウントした瞬間、何もできずに全滅したぞ!
審査員D:これはひどい! こんなゲームまともにプレイできるものではない!!
海原:ご覧の通りだ。キャラクターの能力はLVは99で頭打ちになるのに対し、敵のステータスは問題なく伸びる。
このためラストになればなるほど能力値の開きが尋常ではなくなり、このようなエンカウント即全滅の戦闘が度々起こるのだ。
山岡:いや・・・それだけじゃない・・・400時間プレイした雄山でさえアイテムリストがコンプリートされていない。
あれはコンプリートしないんじゃない、そもそもできない仕様なんだ・・・!
栗田:まるで四八を思い出させるような悪夢だわ・・・!

海原:このようにプレイヤーを理不尽に苦しめた挙句、ようやく到達したラスボスは驚くほど弱く設定した。最後の最後までクソゲーである基本に則っていると言えよう。
最初からクソゲーと分かるドラゴンボール、終盤に入っていきなりクソゲー化するウィザードリィ。どちらがよりクソゲーなのか。
それは審査員の皆様の判断に委ねさせていただく。

司会:皆さんの顔を見ると、怒りに震えている様子がよく分かります。それでは究極のクソゲー側の最後の紹介をお願いいたします。
山岡:・・・・・・俺は正直、今までクソゲーというものをナメていました。
栗田:山岡さん・・・突然何を言い出すの・・・!?
山岡:俺はそこに座っている男に、幼い時からクソゲーばかりプレイさせられ、発売日に定価で買い、その後捨て値となったソフトをワゴンで見る。そんな少年時代をずっと過ごしてきました。
社長O:山岡・・・
山岡:そこで俺は思いました。『クソゲーハンターになど俺はなりたくない! こんな家は飛び出してクソゲーなどとは縁を切ったゲーム生活を送ろうと』
海原:・・・・・・。

山岡:俺は家のクソゲーの山をハンマーでメチャクチャに叩き割って飛び出し、ハードもSSからPSへ、PS3からWiiへと勝ち組のゲーム機へと乗り換えた。
ところが、その勝ち組のはずのWiiでも連続して掴んでしまったクソゲーがある。それがこの「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」です。
審査員D:KOTY3年連続出場の猛者か。
審査員T:掴むも何も、当然の結末のようにも思うが・・・。
山岡:この作品の酷さは、「ゲー無」と言われた初代Wii ware1000円DL版からほとんど何も変わっていないことです。
一応おまけというにはささやかすぎるご当地ネタを増量してはいますが、これはゲームの進行に全く関係がありません。
つまりゲームがクソであることを完全に放置したまま、些細なマイナーチェンジでフルプライス販売をしているのです。
審査員M:さすがタカラゴミーや。やることがえげつないで。
山岡:俺がこのゲームを究極のクソゲーと位置づけるのは、そういったメーカー側の凝りも反省もしない態度ももちろんあります。

しかし何より酷いと思うのが、このゲームがファミリーやカップル向けに作られているにも関わらず、それらのユーザーに円満どころか、逆に亀裂をもたらしているという事実です。
社員A:あるレビューサイトでは、このゲームを夫婦でプレイして大ゲンカになったらしいわ。
社員H:まあ! ひどいわ!
山岡:究極のクソゲーとは単につまらない、むかつく、面白くないというだけではありません。
時には人生を狂わせ、人間関係を破壊してしまう。
それこそKOTYとして許さざるべき真のクソゲー、究極のクソゲーの姿なのではないだろうかと思う次第です。
海原:・・・・・・。

司会:いよいよ最後の紹介になりました。皆さんもうぐうの音も出ないほどやられておられるようですが、がんばってもう一本だけお付き合いください。
それでは最後の至高のクソゲーの作品をお願いいたします。

海原:・・・ここにおられる全ての方に問いたい。そもそも、クソゲーとは何であろうか。
栗田:今度は海原雄山まで・・・一体どうしちゃったのかしら・・・
海原:私はその問いに応える至高のクソゲーを追究し生きてきた。あるときはデスクリムゾン、またあるときは四八(仮)と、あらゆるクソゲーをプレイし、地雷を踏んできた。
そこにいる男が幼い頃、私がセガサターンのフタに接着剤をしこたまつけ、デスクリムゾンしかプレイできないようにさせたのはそんな思いからだ。
山岡:・・・・・・。
海原:そして私の求める至高のクソゲーがとうとう本年に現れた。そのゲームは「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活(バイト)〜」だ。
審査員T:修羅の国からの殴りこみがまたしても来たか。
審査員D:しかし18禁ゲームの移植はバグ姫を始め地雷がデフォルトです。よほどの作品でない限りは大賞は・・・。
海原:そもそも薄っぺらで何もないシナリオから、エロシーンだけごっそり抜き出して、ストーリーの補完はまったくせず、余計なバグだけは追加しておいた。

この作品はオリジナルからしてクソエロゲーと呼ばれている。この単語から単純にエロを抜けば何が残るのか、一目瞭然であろう。
栗田:確かに・・・単純でありながらそれでいて答えははっきりしている。極めて明快な結果だわ・・・!
このクソさは一言では表現できない。キャラ絵、背景絵、システム。どれを取っても一級品のクソゲーだ。
特にシステムは酷い。女の子とどれだけ仲良くなり、接吻、性交等が行われても、パラメータが少しでも足りなければそれだけでバッドエンドに突入だ。
その際主人公が「何も思い出を残す事はできなかった。この店で過ごした一ヶ月間は何だったんだ。」などとほざくが、女の子を妊娠までさせておいてこれでは、プレイヤーの脱力感はただならぬものがあるだろう。
もちろんフリーズバグや、既読スキップモードバグも完備で、どこをどう切ろうと真性クソゲーという、言わば完成形のクソゲーとも言える。
山岡:・・・待て雄山!!
栗田:山岡さんっ!!

海原:士郎。おまえは私がどんな思いでこのゲームをプレイしたのか理解できているのか?
山岡:な、なに・・・?
海原:これを見るがいい。ここに私がこのゲームをプレイした際につけていた記録がある。この中には、プレイ中に私が何を思ったのか、詳細に記されている。
審査員F:凄い! テキストファイルなのに133kbもある!
社員A:400字詰め原稿用紙、170枚分の内容よ!
栗田:しかもこれを読むと、あの海原雄山が、プレイ後半に行くにしたがって精神崩壊している・・・!
山岡:ば、ばかな・・・っ!! そんなものが大賞の理由になるか!
海原:何も私はこのレビューをもって、pia4を大賞にせよと言っているわけではない。
Pia4が真の意味で至高のクソゲーだと主張するのは、「真剣にプレイした者ほど精神に異常きたす」というゲームだからだ。

山岡:・・・・・・!!
海原:お前も気付いただろう。最初から地雷上等としてかかったゲームは、ネタとして楽しもうという一面が強くなる。
それがバグであろうと、ネタであろうと、それらを嘲笑うために楽しむということが主目的になる。
よってそこにこれといった負の燃料がない場合は、ただ全体を流して「単につまらなかった」という評を下してしまいがちだ。
審査員M:たしかにわては、四八プレイの時にメシジマを笑いのネタにしていたわ・・・。
海原:そういう意味ではこのpia4はその期待にすら応えない。
むしろマジメに主人公やヒロインの心情に感情移入、自己投影をすればするほど精神的におかしくなる。
なぜなら製作者が最初からシナリオを始め、ゲーム自体をどうでもよいと思って作っているからだ。
真面目にやればやるほどおかしくなる。主人公になったつもりで読むほど心が壊れる。
これを至高のクソゲーと言わずして、何をクソゲーと言おうか。
山岡:・・・・・・。

司会:それでは今回の勝負の結果を発表いたします。
今回は究極・至高のどちらのクソゲーも最低最悪であり、非常に甲乙、もとい丁戊つけがたい酷い出来でありました。
ですが至高のクソゲー側Piaキャロット4の「クソゲーとして楽しめるネタも皆無である上に、かといって真面目にやればやるほど精神崩壊を引き起こす」という腐敗した点は非常に類稀なものであり、これを勝者とすることに決定いたしました。
TT新聞役員側:おーっ! 勝ったぞ!
TZ新聞役員側:うううっ、負けてしまったか・・・
栗田:山岡さん・・・
山岡:・・・・・・

【試合後】

栗田「それにしても山岡さん、みんなの前で子供の頃の話をするなんて、珍しいですね」
山岡「ふん! 知ったこっちゃないね。あいつの悪行をお偉方にぶちまけてやりたかっただけさ!」
栗田「あ・・・海原先生」
山岡「・・・!!」
海原「・・・士郎。今回の勝負の結果は結果だ」
山岡「けっ・・・!」
海原「だが、2011年究極と至高の7作品、全て噂に違わぬ選りすぐりのクソゲーだった」
山岡「・・・・・・」
栗田「まぁ、海原先生にクソさを認めていただいたわ!」
海原「あとはお前の人生が、せめてクソゲーよりも面白くなるように生きるだけだ。まあ人生ゲームよりつまらない人生だろうがな。ふははははは・・・バタン・・・ブウン」
山岡「雄山の野郎!」
栗田「まぁまぁ山岡さん。ああ見えて海原さん、山岡さんがクソゲーハンターを続けていることを心底喜んでいらっしゃるのよ。それを分かってあげて」
山岡「・・・あいつのデスクリムゾン専用機、実はまだ持ってるんだ」

総評案16 (街ingメーカー4)

2010年、KOTYは『ラストリベリオン』というゲームと言う名の娯楽から逸脱した反逆者によりスレ住民は駆逐され、見事門番からクソゲーの王へと躍進した『ラストリベリオン』が大賞と言う名の王座に着いてしまった。
スレ住民は度重なるクソゲー達の侵略に恐怖した・・・ だが心の奥に、無意識にクソゲーを待ちわびる邪な想いが消える事は無かったのであった。

2011年のKOTYを振り返るとまさに待ちの一年であった。2010年の大賞が決定し、冬を越え、春を迎え、夏が過ぎ、秋に入ってもKOTY住民を唸らせるクソゲーは出なかったのである。
「もしやもうクソゲーは出ないのではないか?」「初の大賞無しもありうるか?」と、だがここから我々はクソゲー達の圧倒的な物量に蹂躙される事となる。



まずはサイバーフロント社から恋愛ADV『code_18』通称c18(しーじゅうはち)が10月中頃にして遂に今年度初のKOTY話題作となって襲い掛かって来たのだ。
本作は良ゲーとして名高い『Ever17』等の「infinity」シリーズの最新作であり、クソゲーが出ずただの雑談(鮫)スレと化していた本スレを沸き立たせた作品である。

恋愛ADVと言えば取りあえず見た目の良い自分好みのキャラから攻略して行きたいものだが
このゲームは周回によって攻略キャラが決まっており好きなヒロインを始めから選んで攻略することが出来なくなっている。
BADエンドに突入しセーブデータを上書きしようものなら問答無用で最初の一人目から攻略していかなくてはならない。
そして本作を語る上で欠かせないのがADVゲームで重視されるシーンと演出の酷すぎるミスである。

「台風が止んだのに背景は大雨」
「文化祭のコスプレ喫茶なのに制服姿のまま」
「お化け屋敷なのに背景は明るい教室」

などなど、上記以外にもかなりのミスマッチが見受けられせっかくのイベントも台無しである。その中でも一際話題をさらっていったのが
スカイツリーを意識したと思われる「スカイタワー」でヒロインと夕日を眺めるシーンの背景が何故か「浅草寺」になっているシーンで、「浅草寺と書いてスカイタワーと呼ぶ」
など住民はポルナレフ状態。誤字脱字や脱文も完備し、電車を降りたのにその後も延々と鳴り続ける電車の音などのSEミスも見逃せない。

肝心のシナリオも賛否両論で、俗に言うタイムパラドックスネタなのだがこの手のシナリオは扱いが難しく
シナリオの矛盾や複線回収も不十分と散々な出来であり、タイトルにもなっている
code(未来からのメッセージ)も説明がないままゲームは終了してしまう。『c18(しじゅうはち)』と
どこぞの伝説級クソゲーの名前と類似しており新たなるマスコット「C十八マン」が作られたのが唯一の功績かもしれない。

余談だがプロデューサーは発売日にツイッターを非公開にしている。


C18の議論も落ち着き季節はもうすぐ冬、このまま終わりを迎え・・・られるはずもなく
新たな戦士がKOTYの扉を叩いたのである。その名もアクワイアからの刺客『グラディエーターバーサス』(剣投資)である。

本作は古代ローマを舞台にした対戦格闘アクションゲームであり根強いファンを持つ「剣闘士」シリーズの最新作である。
本作は世界観ぶち壊しの魔法が追加され前作で好評だった「パリィ・ドッジ(弾く・回避)」を何故か削除し、ダッシュやジャンプ等のアクションも無く
ただひたすら攻撃を連打するゲームとなっておりプレイヤーは次々に剣闘士から狂戦士へと変貌していった(怒りと絶望的な意味で)。

システム上このゲームは「3vs3」で戦う事になるのだが
プレイヤー以外の2名はNPCとして共に戦う戦士としては余りにもお粗末な思考ルーチンであり
「プレイヤーに魔法を誤射」・「コンボ途中での割り込み」・「1vs1で戦っていたら敵を引き連れて戻ってきて乱戦に」と
全く役に立たない上に非常にイライラさせられる要因の1つとなっている。だがこれを回避する手段が1つだけあり
オンライン上で仲間を集い共に戦うというものである。だが初週売り上げが3000本にも満たず、発売して1週間で過疎るという事態に。

周りに頼れないのであれば自己強化するしかないと息巻いてみてもキャラを強化するため
にはお金と宝石が必須となっており同じようなミッションを何度も繰り返す事になるのだが
レアな宝石の出る確率は低くミッション時のムービーもスキップ不可なので更にイライラが募るばかり。
そんなプレイヤーを察してか、公式からのDLC(ダウンロードコンテンツ)で宝石が買えるようになり
公式サイトに「装備強化でライバルに差をつけろ!」と直々に激励してくれる。ちなみに100円と200円の2セットある。

しかしこの宝石販売が曲者で、宝石にはいくつか種類がありレア度も変わってくるのだがなんとこのDLC
ガチャガチャシステムであり購入してみないと何の宝石かはわからないのだ。数千円つぎ込んでも目当ての宝石が出ないとの報告もあり
アイテム欄拡張などの様々なDLCも続々追加され、ゲーム名はいつしか『剣闘士』から『剣投資』に定着し
社名の『アクワイア』を『アクドイワ』と呼ぶ者も出てきた。

流石発売前に公式サイトへ行くとウィルスバスターが作動して「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」と警告されるだけはある。


後にアップデートが行われたがクソ要素は改善されず余計に悪化(魔法強化による誤射のダメージ増加など)。
ジャンラインを彷彿とさせる逆パッチにスレは恐怖と笑いに包まれたのであった。


そして何たる偶然か『剣投資』と同じ発売日に発売されたもう一本のゲームがKOTYに参戦することとなった。
その名もドリームクラブ等で有名なD3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(待)である。

簡単に内容を説明すると様々な建物を建てていき自分だけの街を作るというゲームであるが
このシリーズの特徴として街に住む住人と対話をしていき色々な問題を解決し親睦を深めて街を発展させていくというシステムが支持される理由の一つになっており
シリーズ初のHD機のゲームということでシリーズファンからも期待されていたのだが・・・その期待は脆くも崩れてしまうことになる。

今作は好評だった住人とのイベントは削除され、話しかけてもどうでもいい事しか喋らず生の息吹を感じないだたの人形状態。
建てられる物件も大幅に激減し地形もなんと1種類しかない。建物を建てるにはポイントが必要なのだが10分程待てば勝手にポイントが入ってくるので
物件を建てる→10分程待つ→建物を建てる→10(ryを延々と繰り返しだいたい5〜6時間でゲームは終わってしまうが
その大半はポイントが振り込まれるのを待つ待ち時間であり本作が『待』と呼ばれる所以でもある。
BGMも昼と夜の2つしかなく待ち時間は更に長く感じてしまうだろう、待ち時間に洗濯物を畳んだり、ちょっとした家事をこなせるのは良いところかもしれない。

操作性も悪くロードも若干長め、HDのはずがPS2並のグラフィックと全くやる気の感じられないゲームに仕上がっている。
そしてこの内容で7140円、DLCも有料でとてもこのゲーム内容では値段に釣り合うものではないだろう。


立て続けに現れた2本のクソゲーの侵略により疲弊したスレ住人だがその隙をクソゲーは見逃してはくれなかった。
そのクソゲーはスレ住人の予想を裏切る名前で飛来したのだ。その名も『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(UB)
バンダイナムコゲームスが地球に送り込んだ意外すぎるゲームである。

ドラゴンボールといえば説明不要の国民的作品であり昔から数々のゲームを世に送り出したキャラゲーの申し子である。
「キャラゲー=微妙ゲー」は暗黙の了解であり購入者もわかりきった上で購入する者が多く、確かに微妙だがクソでもないというゲームが渦巻くジャンルである。
だがこのシリーズは着々と徐々にだが粗を改善していきファンから愛され、ゲームとしても良質のものになっていったシリーズである。
そんなゲームがKOTYに宣戦布告とは誰が予想出来ただろうか?

このゲームは3D対戦アクションゲームと銘打っているがつまりは格闘ゲームである。
だがUBは格闘ゲームの姿をした別のゲームとなっていた。攻撃を当てていくと突如画面が切り替わりQTE(クイックタイムイベント)に突入し
プレイヤーと相手にボタンの2択を要求してくる。この2択に勝つと攻めを継続、負けるとコンボが中断されるという内容だ。このQTEの頻度がとても多く
何をするにも要求されとても戦闘のテンポが悪いのである。間合いを取るとQTE、気功弾を撃つとQTE、必殺技を使うとQTE,とにかく何をするにもQTEが始まるのである。
基本的に格闘ゲームは練習の積み重ねにより腕前が上がりプレイヤーが強くなっていくはずなのだがこのUBにはそれがほとんど無い。
何をするにも2択を迫られるので結局は運がいい方が勝つというシステムは格闘ゲームとしてはとても底が浅く満足出来るものではない。

これは格闘ゲームとしては致命的であり他にもボタンを連打をする場面もあるのだが、ゲームが強いほうが勝つのではなく連打が強いほうが勝つのである。
つまりこのゲームで勝つのはじゃんけん以下の戦略も糞もない2択に勝つ運と必殺技の撃ち合いに勝つための連打力があれば他の格闘ゲームの上級者だろうが
初心者でも勝利出来る可能性があるのだ。

しかもこのQTE,なんとモーションが全キャラ共通で最初はかっこよく見えるがすぐに飽きてしまう、ピッコロが腕を伸ばす等のアクションもないので
キャラゲーとしてキャラの個性さえ潰している始末、キャラクターの数も前作より減少し、人選も微妙でキュイ(ナメック星でベジータと戦った汚い花火)がいるのに青年悟飯や悟天、少年トランクスに餃子などの主要なZ戦士は出てこない。そのせいかストーリーモードもぶつ切りな場面も多い。

映像は綺麗だし必殺技はカッコイイのだがそれならDVDを借りて家でアニメを見たほうがいいだろう。


秋まで出なかったクソゲーも振り返ると4作品、もうすぐ今年も終わりかと感慨にふけっていた住民達だったが
この時すでに背後から忍び寄る亡霊がいると誰が気づいたであろう。
そう、その亡霊こそ1月27日から密かに潜伏していたアクワイア渾身の2発目
『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街(亡霊)』である。

ウィザードリィと言えばゲーム好きなら知らぬ者はいない程の有名シリーズである。発売してすぐにセーブが出来ないバグで話題にはなったのだが
アップデートにより問題なく遊べるようになりスルーされていたのだ。本作がまた日の目を見る原因となったのが「圧倒的なバランスの崩壊」であった。
亡霊はシナリオが1・2・3と分かれているのだがその崩壊はシナリオ3から始まる。レベルキャップが開放され更に育成が可能となるのだが
味方側は体力ぐらいしかまともに上がらず敵側はステータスが均等に上がっていくので終盤になるとエンカウント=全滅が当たり前になってしまう。

最初の街を出たらベヒーモスが出てきたぐらいのバランス崩壊ゲームをクリアするには
数百時間に及ぶ地道なレベル上げをするか、お金を経験地に変える裏技的な作業に勤しむか
敵がドロップorDLCで購入できるエンカウント阻止アイテムを使う、もしくは数歩歩いてセーブの繰り返しなどの
苦行をしなければクリアは絶望的である(ラスボスは弱い)。またアイテム収集が楽しみの一つであるゲームなのに
コンプリート不可や最強クラスの武器を購入できたり、DLCでアイテムを有料配信するなど
『wiz』の楽しみの一つである収集を完全に潰している。
またシナリオ3ばかりピックアップされるがシナリオ1と2もバランスは悪く、褒められた出来ではない。


襲い掛かる圧倒的な年末の魔物の群れ、止めとばかりに修羅の国から最後の刺客がやってきた。
その名も『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜 (pia4)』である。

本作は修羅の国のゲームでも結構な歴史を持つ人気シリーズの4作目にあたりCSへの移植作である。
だが修羅の国からの評判は散々でエロしか良い所がないと言われる作品であった。そんなエロしか取り柄のないゲームが
CS移植にあたってエロを抜いたらどうなるのか?分かりきった答えに誰も見えている地雷に突撃せず発売から10ヶ月も潜伏していたのだった。

まず本作はSLG要素と恋愛ADV要素の二つを持っている。まずはSLG要素を説明しよう。
主人公には体力や学力、容姿などのパラメーターがあるのだが、そのパラメーターはエンディング分岐にのみ関係があり
どのパラメーターを上げてもイベントなどは発生しない。しかも仕事の「デリバリー」だけを選んでおけば中盤頃には全ステータスは最大になるので
なんの面白みもない。同じようなシステムで有名なのはときめきメモリアルシリーズだろうが、ときメモは運動を上げれば体育祭で活躍できたり
文系・理系などのステータスを上げることで期末テストなどで上位になり、高感度が増えるといった様々な遊び要素があるが、本作pia4にはそんなもののひと欠片もなく
プレイヤーを楽しませたいといったものが何一つ伝わらず、SLG要素は無価値であると言える。

だが本作を語る上で外せないのは恋愛ADV要素の陳腐なシナリオだろう。
本来えっちな要素のあるゲームは移植にさいしてエロシーンが抜けるぶんシナリオを補完したりするものだが
pia4はエロシーンだけ抜き去りその後はプレイヤーに何の説明もないまま・・・

・「気づいたら妊娠していたヒロイン」
・「気づいたら実妹と一線を越えている」
・「同僚と格ゲーしてたら付き合ってた」
・「川で溺れていた子を助けたら付き合ってた」

プレイヤーはポカーンとしたまま現状を理解出来ないだろう。
BADエンドに入ると主人公が「何も思い出を残す事は出来なかった」と発言するのだが
実妹と一線を越えようが誰かを孕ませようが「何も思い出を残す事は出来なかった」とほざく主人公には頭が痛くなる。
ゴムは着用するのがマナーである。処理落ちやフリーズ、オートモードなのに操作を要求されたりスキップが機能しないなども完備。
それとエロゲーをCSに移植の際はだいたい追加キャラや追加シナリオを入れてくるものだが逆に攻略キャラが一人削除されているなど
何故移植したのかと小一時間問いただしたい。エロがあるぶんPC版を購入したほうが絶対に得である。


新年を向かえ総評作りに取り掛かっていたにもかかわらずアイツが帰ってきた。
誰からも望まれず帰ってきたアイツこそ『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。
強豪タカラトミーよりなんと人生ゲームが3年連続でノミネートをするという快挙を成し遂げて帰ってきた。

肝心の内容は・・・特に記載することもない例年通りの人生ゲームである。
前作『ハッピーファミリー』とほとんどゲーム性は変わらず一般ユーザーを毎年食い物にするダカラゴミーには頭が下がる思いである。
新要素のご当地ネタとは各県のどうでもいい情報を紹介するだけ。本作の詳細が知りたい方は2010年の総評を見ていただきたい。   

あれだけクソゲーが出ないと騒いでいた秋から一転、気づけば7本ものクソゲーが発見・発掘された。
クソゲーなんて出ないほうが一番いい・・・そんな願いも空しく今宵伝説となる7本ものクソゲーが集結した。

では2011年クソゲーオブザイヤー大賞を発表しよう。





大賞は『街ingメーカー4』である。


2011年は7つものクソゲーが集結し、どれも皆違う様々な方向性を持った質の高いクソのオーラを身にまとい、どれが大賞でも不思議ではなかった。
ではなぜ『街ingメーカー4』(「待」)なのか?

ゲームとは娯楽の一つであり、娯楽といっても様々でゲームもその娯楽の中の一つでしかない。

では何故、多種多様な娯楽がある中で我々はゲームを選んだのだろうか?
単なる暇つぶし、という人もいるだろう。だがゲームとは日常世界で体験出来ないことを我々に与えてくれる。
リアルでは体験出来ないことも疑似体験できるのだ。

・小説のような物語を楽しんだり
・コロシアムで戦ったり
・ド派手な戦闘を楽しめたり
・謎のダンジョンに潜ったり
・一生出来ないような不思議な恋愛をしてみたり
・人生(ゲーム)の在り方を考えさせられるし
と様々な物を我らに与えてくれる、リアルではどれも体験出来ない事だ。
そういったものに惹かれて我々はゲームで遊ぶのではないだろうか?

そんな中、7つのうちの一つに異端児が存在する。

それが『街ingメーカー4』だ。

自分の好きな街を作る、これは体験出来ない物なのかもしれないが少し待って欲しい。本当にこのゲームで自分の思い通りの街が作れるだろうか?無理である。
前作に比べ大幅に建てられる物件が減少(工場の種類激減・漁場・農場・郵便局・交番・歯科・内科や外科病院・学校は総合学園1種類など)し地形も1つしかない。
そして好評だった街の人々とのイベントを削除までしてゲームの大半が待ち時間だ。
それなら常に思考し動きながらレゴブロックで自分好みの街を作るほうがまだ建設的ではないだろうか?

むしろ家で待たずに外へ出てぶらり途中下車するなり、モヤモヤスポットへ探検に出かけたり、休暇をとって旅行に行き、知らない街を探索し、美味しいものを食べ、地元の方々と交流を深める事によってその街を好きになるのではないだろうか?それは外に出て初めて得られる娯楽であり、『街ingメーカー4』では決して得られない『街』の魅力ではなかろうか?

つまり『街ingメーカー4』は娯楽としても街作りゲームとしてもやる価値のない娯楽とは程遠い、ゲームカテゴリーに分類されるゲーム商品だがゲームみたいな“何か”なのだ。
以上が大賞の理由である。

振り返ると7本ものクソゲーが現れ、その全てがシリーズ物という悲しい結果になってしまった。
その全ての作品がユーザーの求めるものとはかけ離れたものでありゲーム会社の方々にはもう一度
ユーザーが求めているものを真摯に受け止め考えて頂きたい。最後に全てのゲームを愛する方々を代弁し、この一文で〆ようと思う。


「ゲームが好きだから、我々は素晴らしいゲームを“待ち”続ける!」 (クソゲーも)

総評案17 (グラディエーターバーサス)

2007年の四八ショックから続くクソゲームーブメント。
KOTYスレを焦土としてきた凄惨なバトルロワイヤルの中で、
2011年は非常に印象的な年であったと言えるだろう。

様々な佳作・傑作・話題作が発売された2011年上半期…
しかし、スレ住人を唸らせるようなクソゲーは影も形も見えなかった。
その光景は「平成のクソゲー大飢饉」と呼ぶに相応しく、
予想外に長い干ばつでクソゲハンターたちは悩まされることとなったのである…

駄作を選外に送るどころか、審議すべき候補作すら上がらない有様。
ゲーム業界の生存競争の中では、クソゲーも事業仕分けされてしまう運命なのだろうか?
スレ全体がそんな平穏もとい悲哀に包まれていく中、
KOTYの競技場に遅すぎる報せが辿り届いたのは、秋も半ばの10月のことだった…

過去からの侵略を始めたタイムトラベラー…
学園恋愛ADV 『code_18』(通称 C18)の登場である。

本作は過去に『Ever17』や『Remenber11』といった話題作を輩出したinfinityシリーズの続編で、
倒産したKIDから引き継ぐ形で「6年ぶりのシリーズ再始動」と銘打って開発された意欲作でもあった。
しかし、発売日にシリーズファンが目にしたものは、
サイバーフロントによって魔改造された生ける屍だったと言えよう…

本作のストーリーは所謂「ループもの」であり、
各ヒロインを攻略しつつ、全体の真相を明らかにしていくという進行形式である。

その精神をシステムに反映し、5人もいるヒロインは攻略順が「完全固定」。
同じヒロインを周回し直すこともできず、セーブポイントを間違えたら最初からやり直しである。
タイトルにもなっている「未来からの18の暗号」を終盤までほとんど登場させず、
ほぼ同じ展開のシナリオを見せられ続けるという展開には、「ループを強いられているんだ!」と唸らざるを得ない。

さらにはループする世界への違和感を、シナリオだけでなく「演出ミス」という斬新な手法で再現。
盛り上がる場面で立ち絵・効果音・背景・CGといった肝心の部分が食い違い、
そのミスマッチはもはや「次元歪曲」というレベルだった。
「スカイタワーで夕日を眺める男女が浅草寺にいる」という珍妙奇天烈な光景には、
ループのし過ぎで崩れ行く世界の哀愁を感じずにいられないだろう…

選評者をして「クラスター爆弾」と言わしめたニューカマーは、
コードネーム「C18(しーじゅうはち)」という何処か懐かしい響きもあって、スレ住人に暖かく迎えられた。
しかし、例年と比べて今ひとつインパクトに欠けるルーキーに疑問符をつける者も多く、
スレはしばらくの間、C18マンの特訓場と化していた…

「残された日数は少ない、今年はこれで決まりか…」

スレ住人が半ば諦めかけていた11月後半。
クソゲー闘技場のリングに天から2体の魔物が降り立った。
そう、年末商戦によって駆り立てられた魔物たちが威風堂々乗り込んできたのである…

1体の名は『街ingメーカー4』(通称 待ing)。
都市を自分の思うままに作り上げ、発展させていく都市運営SLGのシリーズ最新作だ。

注目を集めたのはゲー無の系譜を思わせるその「薄さ」である。
本作では、前作で好評だった住人とのコミュニケーション要素を削除。
都市に生きる住人は無意味なセリフを吐くだけのMobと化し、
あとは1日に1回もらえる建設ポイントを消費して建設するしかやることがない。

建設ポイントも消費量と吊り合っておらず、
ゲームを進めれば進めるほど、プレイ以外の待ち時間だけが増えていく。
都市の不満を解消することでポイントが貰えるボーナスはあるが、それも雀の涙である。

建物の種類も前作から大幅に削減され、交番や郵便局といった生活のインフラは存在しない。
建物の内部に入ることもできず、
ボーナスポイントのためにビルの外壁を多段ジャンプで登るという非現実な光景が繰り返される。
BGMは昼・夜の違いしかなく、グラフィックも前時代的。
操作面でもアナログスティックしか使えないため、細かい動きができずイライラがつのっていく。

クリアまでの所要時間は5〜6時間。
大半が「眺めているだけ」の待ち時間というのだから驚愕である。

もう1体の魔物はKOTYというコロシアムに相応しい風格を持っていた…
コアなファンを持つ対戦格闘アクション、「剣闘士」シリーズの最新作
『グラディエーターバーサス』(通称 剣投資)がまさかの参戦を果たしたのである。

古代ローマの剣闘士をモチーフにした従来のシリーズから一線を画し、
魔法やエルフといったファンタジー要素を採用するという冒険にでたアクワイア。
この新たな挑戦に対して、
電撃Playstationのバイヤーズガイドも滅多に見れない「評価D」という賞賛を贈っている。

まず、開発陣が「10000通り以上」と豪語したキャラクターメイキングは、
種族の違い以外はほとんどが水増し要素。
実際はどう計算しても10000に届かない上、兜を被ってしまうのでそもそも意味を成さない。

そしてメインの戦闘では前作まであったパリィ、ドッジといった駆け引き要素を削除。
結果、スキルの少ない序盤はひたすら相手の防具を破壊するための連打ゲーと化し、
途方も無い作業感を強いられる。

しかし、スキルが整ったとしてもプレイヤーを待ち受けているのはさらなる苦行だ。
味方AIが味方の動きを一切考慮しておらず、
魔法の誤射やコンボへの割り込みといったお邪魔行為を頻発してくるのである。
味方のスキルを設定することもできず、最後までプレイヤーは孤独な戦いをしなければならない。
「オンラインで協力プレイすればいいじゃない?」 …と思うかもしれないが
初週売上2700本、1週間で過疎化したオンラインには何も期待できるものが無かった…

こうした苦行ミッションを打開するべく、公式サイトがDLCを展開しているものの、
そこでプレイヤーが目にするのは基本無料の課金ゲームと見紛う貧相な品揃えである。
わざわざゲーム内で手に入る強化アイテムをランダムセットで発売し、
「ライバルに差をつけろ」と購入を煽る商魂たくましい重課金体制には、
ウィルスバスターが「詐欺サイト」と太鼓判を押すほどであった。

「課金させるためにわざと糞なゲームを売りだしたのではないか?」
と思わせる力強さは、正に現代に蘇った剣闘士… いや、『剣投資』と呼ぶに相応しい風格であろう。

「偽」りだらけの剣投資
「飾」って眺めるだけの待ing
「誤」ちだらけのC18

10ヶ月の沈黙を破って続々入場してきた猛者達によるクソゲー三國志が開演か!? 
誰もがそう思った時、強者の臭いを嗅ぎつけた意外な挑戦者がリングに乱入してきた。

その名は『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称 UB)。
まさかの国民的人気作の登場にスレ住人は目を疑った。
開発陣が「史上最高のドラゴンボールゲーム」と太鼓判を押す本作、
しかし、その実態は精神と時の部屋のごとき、超作業ゲーだったのである。

本作の特徴となっているのは戦闘システムの徹底的な「簡略化」だ。
前作「レイジングブラスト2」の難易度が高かったことを反省し、
戦闘システムをボタン連打とクイックタイムイベント(QTE)に大幅変更。
結果として「連打をしては2択のあっち向いてホイをくりかえす」という壮絶な運ゲーと化し、
頻繁に挟まれるQTEのために非常にテンポが悪い戦闘が続けられることになった。

駆け引き要素として「気力ゲージ」と、「必殺技ゲージ」が設定されているが、
防御用の気力ゲージは攻撃を受けるとガリガリ減り、肝心の防御につかえないという本末転倒ぶり。
プレイヤーは相手の必殺技を前に、
負け惜しみを言っては吹っ飛ばされるキャラクターの姿を何度も見ることになる。

参戦キャラについても前作からの大幅にリストラ。
マイナーキャラがいるのに主要キャラは削るという万人が首を傾げる人選で、
ストーリーモードも肝心のところがぶつ切りとなった。
オリジナルキャラを作れるアバターモードもあるものの、
作成できるパターンが少ない上、そもそも「戦闘システムが苦痛で育てる気がしない」と言われる始末である。

唯一褒められる点は綺麗なグラフィックぐらいだが、
QTEや必殺技の演出は基本的に「全キャラ一緒の動き」であり、むしろ作業感を加速させている。

一体、誰がこのゲームで徳をするのかと誰もが疑問に思う中、
公式PVが「地球のみんな、おらに現金わけてくれ!」と献金を迫るがめつさを見せつけ、
サイヤ人の力がクソゲー界でも十分通用することをスレに知らしめてくれた…

4大パワー超決戦がスレを焼き尽くす中、地中深く眠りについていた悪霊が目を覚ます。
選評が届かないために埋もれていた戦士たちが黄泉から帰還したのである…

「剣投資」を送り込んだアクワイアという闇から、
『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(通称 亡霊)が蘇ってきた。

ウィザードリィ(Wiz)といえばダンジョンRPGの古典的名作であり、
単純ながらも完成されたシステムと難易度の高さから、
コアなファンを獲得してきたシリーズである。
しかし、「いしのなか」にいても動じないはずのWizプレイヤー達が匙を投げる地雷が、
このゲームには仕組まれていた。
それは細かいバグの存在を忘れるほど鬼畜な「戦闘バランス」である。

繰り返すが、Wizシリーズはもともと難易度の高いゲームであり、
「ダンジョンで強敵に遭遇 → 全滅」が珍しくないゲームなのだ。
だが、このゲームをシナリオ3まで進めたプレイヤーが遭遇するものは、
もはや戦闘と呼べるものではなかった…

「プレイヤー側は能力値がLv99以降でほぼ頭打ち」になるのに対して、「雑魚敵はそのLvに応じて、全能力値が上昇」する。
他ゲームから流用されたこの仕様の結果、
通常戦闘で「圧倒的な速さで雑魚の群れが先制をかけ、これまた圧倒的な攻撃力と魔法でパーティを瞬殺」していく光景が日常と化した。
もはや戦闘というよりも暇を持て余した神々の遊びである。
争いは同じレベルの者同士でしか発生しないのだ。

プレイヤー側で上がる能力はHPくらいであるため、レベル上げも根本的な解決にはならない。
生き残るためには何歩か歩いて細目のセーブを心がけるか、
敵の落とすエンカウントなしのアイテムでゲーム自体を否定するのかないのだ。
シナリオ2までは比較的まともに遊べる点が唯一の救いと言われたものの、
気がついたら「*くそげーのなかにいる*」というトラップは、いかなベテラン冒険者でも回避不能であろう…

そしてこの亡霊の声に呼応するように、
修羅の国から遅れて到着する戦士の姿があった。

『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(通称 Pia4)が
その実力を証明する選評とともに、リングに上がってきたのである。

本作はSLGと恋愛ADVをかけ合わせたシステムで根強いファンを持つエロゲの移植作。
しかし、移植元からして「エロシーンぐらいしか取り柄がない」と叩かれた所謂ガッカリゲーであった。
その全貌が明らかになるにつれて、スレ住人は改めて修羅の国の脅威を感じることになる…

まず、「Piアフォ」と揶揄されるシナリオだ。
この手の移植でよくある「エロシーンの代わりイベントを追加」
…などという余計なことは一切しない。
内容が薄い上に、「格ゲーしてたら彼女できた」というレベルの超展開が続き、
エロシーンが省略されたことでぶつ切り感がさらに加速する。
「気がついたら彼女を妊娠させていた」という怖ろしい結末には、某スタンド使いも戦慄であろう。

もう一対のSLGパートに至っては、ただ無駄なだけ。
各種パラメーターはバッドエンドの分岐にしか使用されておらず、
デリバリーだけで簡単に達成できてしまう。

イベントは必ずしも全部を見なくてもグッドエンド可能で、、
全て見ていてもパラメーターが足りなければ共通バッドエンドという簡易設計。
相手を妊娠させてもバッドエンドにいけば全て無かったことになる驚愕の展開が待っている。

グラフィック・背景といった視覚的な部分も不満が多く、
特に背景についてはサバンナのような陸上競技場、カオスすぎる妹の部屋など
じわじわとプレイヤーのSAN値を削ってくる演出でシナリオとあわせてプレイヤーを追い詰めた。

シナリオ・ゲームシステム・グラフィックとあらゆる面でダメだしを受け、
購入者をして「チャンピオンREDいちごでコミカライズされたマンガを買ったほうがマシ」
と言わせしめたその実力は、修羅の脅威が今後も我々を脅かすことの警告なのかもしれない…

さて、思いもよらぬクソゲー続出で盛況な年末年始を迎えたKOTYスレ…
どの作品が今年のKOTYに相応しいか熱い議論が交わされる中、
とあるゲームの選評が年をまたいでひっそりと届けられた。

2009年、2010年と虚無的なクソゲーを送り出した信頼のブランドが、
全く反省の色を見せずにまた「あのゲーム」で勝負をしかけていたのである。
タカラトミーから3年連続の出場、ゲー無の系譜の正統後継者。
『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(通称 誤当地)の登場だ。

本作は2010年の『人生ゲーム ハッピーファミリー』に
全国各地の「ご当地ネタ」を組み込んでみたというものであるが、
ゲーム部分の増量は全くと言っていいほど無い。

キャラの少なさ、ミニゲームや特殊マスの不在、
天使や悪魔といった定番要素の排除、圧倒的なまでのイベント不足、
ゲームのルールを理解してないAI等々… 前作で不満だった要素は完全続投。
あまりの反省の無さに、「増量する部分を履き違えているのでは?」とスレ住人から総ツッコミを受けた。

その増量要素として取り扱われる「ご当地ネタ」は単なる豆知識紹介に留まっており、
肝心のゲームの進行にはほとんど関係がない有様。
仮にこれが+要素だとしてもゲーム全体がクソであるという事実は変わっておらず、
「一体どこを増量したのか?」という疑問をタカラトミーに抱かずにはいられない。

安定の薄さと、驚愕のフルプライス(\6090)。
このゲームをやって唯一良かったと思える点は、
「これなら俺の人生の方がまだ面白い」と自信を持てることだろうか…

さて、以上7本の出場者たちの紹介が終わったところで、
いよいよ今年の大賞を発表に移りたい。

2011年は奇しくも、シリーズ物の最新作が名を連ねた。
いずれも過去にはブランドとして名声と信頼を欲しいままにしてきた名作…
そこから産み落とされた闇の落し子達は、ゲーム業界の抱える闇を反映しているようである。
例年のようにズバ抜けた力をもつ魔物は居なかったものの、
各ジャンルでそれぞれ違ったクソさを見せつける戦士達の実力は甲乙つけがたく、
飢餓で荒れ果てていた荒野は、いつの間にか彩り豊かな百鬼夜行となっていた。
その中で他の猛者を押しのけて2011年の頂点に輝いたクソゲー、それは…


『グラディエーターバーサス』である。

本作が他作品に勝った理由は、
その純粋なまでの「クソさの追求」にある。

シリーズもののクソゲーは、手抜きやクリエイターの力不足といった要因によって
いわば本来あるべき原型から劣化したケースが多い。
しかし本作は「最初から闇の世界を目指して全力で作った」としか思えない… 一種の「潔さ」を持っていたのである。
新しく挑戦した要素がプレイヤーにあらゆる面でストレスを強いてくるという豪胆さ、
それは単純な劣化ゲーというよりも、突然変異で生まれたミュータントに近かった。
キャラ作成、戦闘、育成と全方位で救いがなく、もはや「クソゲーを作りたいから作った」としか思えない立派な出来栄えである。

そして誰がどう見てもクソゲーとしか思えないのに全力でプッシュしていく、強気なアクワイアの姿勢も高く評価したい。
フルプライスのクソゲーにクソ課金を合わせるという前代未聞の誰得商法には、
「開発陣はこのゲームを本当に楽しんでいるのではないか?」とすら思わされる。
キャンペーンでは運営自らが一般プレイヤーを狩り殺しまくったのも、
12月のアップデートでは不満点を全て残した上で改悪パッチを作り上げたのも、
クソゲーマイスターとしての「誇り」とクソゲーへの「愛」からなのかもしれない。
その自らの傷口に塩をすり込むが如き真摯な姿勢には、改めて大きな拍手を贈るべきだろう。

振り返って見れば、2011年は本当に波乱に満ちた年であった。
10ヶ月にも及ぶ大飢饉にスレ住人は飢え、ゲーム業界の衰退を感じずにはいられなかった…
しかし、その危機に呼応するように様々なジャンルから集い、
「ゲームがあるかぎり、クソゲーは不滅だ!」という危害もとい気概を見せてくれた7本のクソゲーたちがいた。

『C18』 『待ing』 『剣投資』 『UB』 『亡霊』 『pia4』 『誤当地』

互いにライバルでありながら、クソゲー全体の底力を見せつけたその勇姿は、
あの伝説的ヒーロー達のように、「栄光の7大クソゲー」として後世に語り継がれるだろう。

最後に、
同年公開のヒーロー映画『レッツゴー仮面ライダー』のキャッチコピーを借りて、
2011年のKOTYを締めくくるとともに、ヒーローたちへのエールとしたい。



『 世界よ、これが日本のクソゲーだ!! 』

総評案18 (Wizardry 囚われし亡霊の街)

KОTY2011 総評
様々な動乱が起こり日本列島を揺るがした2011年。
KОTYも例外ではなくクソゲーという名の災禍の槍に貫かれる事になるのだが、この年のノミネート作品はことごとく「ある罪」を背負っていた。
では早速だが、流れを振り返りながら9ヶ月もの潜伏期間を経て一気に噴出した7本
…いや7つの大罪達を紹介しよう。

年始から続く枯渇状態に喘いでいたスレに最初の災禍が降り注いだのは、9月も末の29日。
株)サイバーフロントより、『code_18』。(スレ呼称C18)が降臨した。
本作は不朽の名作と謳われる『EVER17』に連なる「infinity」シリーズの第四作である。
クソAVGのたしなみとして「合図」を「相図」、「どうしても」を「どしても」といった誤字脱字を多数配備。
他にも表示されるテキストと再生される音声の食い違いや、脱字どころか台詞がまるまる抜けている脱文(テキストは表示されないが音声が再生されるため分かる)
など細かくも地道にストレスを蓄積させてくれる仕掛けを連動させてボディーブローのように効かせてくる。

しかし、最大の問題点は上記のような些事ではない。
本作をKОTYレベルと言わしめたもの、それは「演出ミス」である。
「天候が回復した」と言っておきながら表示される豪雨のシーン。
「眼鏡をはずしてキスをした」と描写しておきながらヒロインの顔には眼鏡。
(元々が眼鏡on眼鏡の状態だったのなら間違いではないのだろうが)
果てはスカイタワーでヒロインと二人、沈む夕日を眺めるシーンで突然の暗転から表示される浅草寺など「なんじゃあこりゃあ!?」
と、思わず往年の刑事ドラマのような台詞を吐いてしまう程の不手際が感動的なシーン毎に襲い掛かってはプレイヤーのやる気を削いでゆく。

またAVG単体としてのシステムにも難があり、周回によって攻略ヒロインが完全に固定されているため自分の意思では選べない。
さらに、例えば3週目のヒロインでBADENDを出してセーブしてしまった場合
もう一度1週目ヒロインからニューゲームでやり直し、という苦行が待っている。
前述の演出ミスに加え、この不本意なノルマというコンビネーションでプレイヤーの意欲をバッサリ刈り取ろうとする手練は見事と言えるだろう。

このC18の出現により10ヶ月ぶりに健全な活気を取り戻すKОTYスレ。
しかし10月を迎えながらようやくノミネート1本というこの状態に寂しさを感じる住民も少なくはなく、残りの期間から見ても今年はこのまま不作で終わるのではと憂慮する書き込みが散見された。
…もっとも、そんなものは杞憂どころか極度に平和ボケした挙句の妄言であった事がすぐさま証明されたわけだが。

C18の検証もあらかた落ち着いた11月の23日、終息ムード漂うスレにふたつの災いが同時に降臨した。
ひとつめの災いは3D PUBLISHERの「街ingメーカー4」(スレ呼称 待ing)。
タイトルからも分かる通り、本作は箱庭ゲーとして人気を博してきた街ingシリーズの4作目にあたる。
街ingシリーズの特色と言えばやはり、個々の住民に名前や感情がありプレイヤーが都市開発者として彼らと親交を深めつつ街を開発してゆくゲームシステムだろう。
しかし本作は好評だった上記システムを見事に形骸化させ、「家に帰ります」「寿司に行きます」等のどうでもいい定型文を話すマネキンを眺めながら人口の水増しのみを目標とするゲームになってしまっていた。

それでもせめてHD機で箱庭遊びが楽しめれば…という希望はあっさり打ち砕かれる。
そもそもグラフィックはPS2レベルで、建てられる施設も何故か前作より減少。
ただ減っているというだけならまだしも、郵便局も霊園も交番も存在しない街をどんな風に発展させろと言うのか首を傾げてしまう有り様である。

また施設の建設にはポイントが必要になるのだが住民の要望に応えて得られるポイントは雀の涙ほどであり、結局は時間経過による充填を待たなければならない。
ひとつ建てては10分待ち、ふたつ建てては10分待ちを繰り返し、クリアまでの5〜6時間の大部分が「待ち時間」になってしまう様子はいつしか「待ing」と表現されるようになりクソゲーとしての地位を確立していった。

二つ目の災いは、アクワイアの「グラディエーターバーサス」(スレ呼称 剣投資)。
本作は一見地味だがスピーディーな戦闘の中にドッジ(寸前回避)やパリィ(攻撃はじき)といった戦略性を織り交ぜ高い評価を得ていた玄人好みの対戦アクション「剣闘士」シリーズの3作目である。
だが、いよいよHD機で剣闘士をと胸躍らせていたファンに浴びせられたのはローマの剣奴も頭を抱えるようなクソゲーの一撃であった。
まず公式PVにおいて10000通り以上と謳われていたキャラクターメイキングだが
実際には3×3×6×18の2916通りと3分の1にも満たない。
さらに言えば水増しパーツとも思える刺青を除いた場合、驚きの162通りとまさに桁違いである。
これはこれで問題だが、まぁゲーム部分さえしっかりしていれば…という思いはやはり裏切られる。

前述のドッジ&パリィが廃止された事でシリーズのウリであった戦略性が壊滅。
一気に連打系ゴリ押しゲーへと変貌を遂げてしまった。
進行に関しても一応ミッションクリア形式で進められはするが、内容はどれをとっても「3on3で敵を殴り殺せ」という一行に集約されるためにゴリ押し感が加速する。
またこの3on3というのがなかなかの曲者で、プレイヤー側のNPCは好んで本作から追加されたファンタジックな要素「魔法」を使う。
これだけなら好みの問題として喜ぶ人間も居そうなものだが、問題はこのNPC達の頭の中身だ。
積極的且つ頻繁にプレイヤーに向けて魔法を誤射、コンボを行っている最中に割り込んでは妨害、せっかく分断した所にわざわざ敵を引っ張って来て乱戦にした上でやっぱり誤射等、もうやりたい放題である。

さて、ここまでで十分ストレスフルな状況は理解していただけたと思うが実はもう一押しある。
剣投資は公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」との煽り文句を提示しており
おそらく発売後1週間を待たずして過疎化したオンラインでの課金合戦を想定したものだと思われるが、この内容がよろしくない。
狭隘なアイテムボックスの拡張、キャラクターメイクのパーツ増加はまだ良いとしても
装備品を強化するための消費アイテムがガチャガチャ形式で売られているのだ。
1回あたりのお値段こそ8個入り200円とお手ごろだがガチャガチャだけに当然欲しい物が出るとは限らず、6000円突っ込んでも望みのものが来なかったという涙と怒りを誘う報告も聞かれるあたり出現率の調整にも抜かりが無いのだろう。
この苛烈な守銭奴根性を見せつける事で、ついに「剣闘士」は「剣投資」の異名を勝ち取りスレにその存在を知らしめたのである。

思いがけず二重に降り注いだ災禍の中混乱なのかお祭り騒ぎなのかよく分からない様相を呈するKOTYスレだったが、12月8日さらなる追撃の刃が振り下ろされる。
バンダイナムコゲームスの「ドラゴンボールアルティメットブラスト」(スレ呼称 UB)だ。
本作は言わずと知れた国民的アニメ「ドラゴンボール」のゲーム化作品であり対戦格闘ゲーム「レイジングブラスト」シリーズ事実上の3作目である。
しかしキャラゲーとしても格闘ゲームとしても扱いに困るその出来には、多くの購入者が首をひねって考え込んでしまった。
本作の内容を一言で表現するなら、それは「ジャンケン」だと言えるだろう。
攻撃、移動、必殺技と、あらゆるタイミングでQTE(ボタン入力を求められるムービー)
が挿入されるのだがそのQTEの中身が「あいこの無い二択ジャンケン」なのだ。
当然勝敗は運に左右され、そこにプレイヤーのテクニックが介在する余地はほとんど無い。
格闘ゲームとして腕を磨こうにも、これではお手上げである。

ではキャラゲーとしてどうなのかと言えば、流れるムービーや演出自体は非常に美しい。
しかしこれもマズい事にサイバイマンでもゴジータでも全く同じモーションという具合でキャラゲーとして重視すべき個性が完全に死んでいる。
またキャラクターのラインナップもどういう経緯を経たのか前作より大幅減の64キャラ、しかもキュイは居るのに青年期ゴハンは居ないなど摩訶不思議な陳列状態を晒している。
一日あたり5分10分という単位でなら眺める楽しみを味わうゲームとして機能しなくもないが、対戦格闘アクションとしては完全にお釈迦と言って差し支え無いだろう。

ここまで短期間に怒涛のごとく押し寄せたクソゲー達の検証に、いよいよおおわらわになるスレ住民達。
しかし災禍の拡大はとどまるところを知らずUBの来襲も記憶に新しい聖夜、1月27日の発売以来地底に眠り続けてきた悪霊が目を覚ました。
アクワイアの「Wizardry 囚われし亡霊の街」(スレ呼称 亡霊)の出現である。
本作は30年の歴史を持つ3DダンジョンRPGの老舗タイトルWizardryの最新作であり
シリーズの人気再興を掲げたWizardryRenaissanceプロジェクトの作品でもある。
元来Wizardryシリーズの魅力と言えば、シンプルだが完成されたシステムと、よく調整されたシビアな戦闘と罠のバランス、そして中毒性の高いアイテム収集といった
派手さは無いもののハマると止まらなくなる、ご飯のお供のような味わいだと言えよう。
しかしながら本作では、このシリーズ伝統の「潜る→戦闘(収集)→帰還」というサイクルが見事に破壊されていたのだ。
戦闘バランスの崩壊という一事によって。

その様子が最も顕著になるのは3部作である本作のラスト、シナリオ3においてである。
本作では追加シナリオが配信されるごとにLvキャップの解放が行われてきたのだが、当然プレイヤー側の上限が上がると同時にモンスター側のLvも上昇する。
しかしWizardryというゲームの性質上プレイヤー側はどれだけLvが上がろうとHP以外のステータスは基本値+10までしか伸びず、装備品も加味した強さがシナリオ2程度でほぼ頭打ちになる。
対してモンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇してゆくため、終盤に至っては絶望的な能力差が生じてしまうのだ。
その結果どうなるのかと言えば…
エンカウントした瞬間に即死あるいはステータス異常魔法で全滅
エンカウントした瞬間にパーティーが消し飛ぶ威力の物理攻撃で蒸発
といった先制→全滅の嵐が雑魚戦ごとに吹き荒れてしまうのである。
もちろん100%全滅というわけではなく1ターン経過した時点で6人中1〜2人生き残っている可能性もあるが、全滅と3/4壊にどれほどの差があるだろうか?
少なくとも3ターン目が拝めないという点では同じだろう。

一応適正Lvと思われる200程度にまでLvを上げれば1ターン即壊滅という事態だけは避けられるようになるものの、そこまでの経験値を真っ当に稼ぐには数百時間のレベル上げ作業が必要になる。
さすがにこれは厳しく、亡霊本スレ及びwikiにおいてもゲーム内で通貨を経験値に変換する施設と資金増殖の裏技を併用するLvアップ方法が研究されてきた。
しかしそれも1キャラあたり10時間程度(1パーティー6キャラで60時間)を要するものであり、そんな工程を経てようやくスタートラインという状況がまともかどうかは論を待たないだろう。

尚こんな状況の中クリアを目指すのであれば「特定のモンスターがドロップ」あるいは「DLCで購入」できるエンカウント抑止アイテムを使用して雑魚戦を回避し、ラスボス(弱い)のみ倒せばОKである。
だがストーリーが添え物に過ぎず戦闘とアイテム収集を楽しむWizardryにおいて戦闘とそれに付随するアイテム収集を否定するという選択は作品の魂を抜き取るに等しく、その様子はまさに「亡霊」と呼ぶにふさわしいものであった。

急なノミネートの連続に次第に混迷を深めてゆくスレだったが、誘爆を始めたクソゲーという名の災禍はもはや止まるところを知らなかった。
PIACCIより「Piaキャロットへようそこ!!4〜夏の恋活〜」(スレ呼称 Pia4)
いいかげんに終わりかと思われていた年の瀬になっての急襲である。
本作はタイトルからも分かる通りPCエロゲ繁栄期より続く「Piaキャロットへようこそ!!」シリーズの4作目から18禁要素を取り除いてコンシューマ向けに移植した作品である。
通常こういった移植作の場合18禁シーンをカットする代わりに新規イベントを追加するなどしてストーリーの欠けた部分を補完するものなのだが、Pia4は一味違っていた。
セクシーなシーンにさしかかると画面が暗転し、事が済むまでの間がスッパリ切り取られるのみで何ら追加描写が存在しないのだ。
当然プレイヤーは暗転中に何がどうなっているのか知る由も無いので、気づかぬうちに男女の仲になっていたり、身に覚えが無いのに彼女が妊娠していたりという椿事が発生する。
ゲームの楽しみの大部分がシナリオに依存するAVGにおいてこれは重傷と言えるだろう。

またPia4には選択肢を選びながらテキストを読み進めるAVGパートの他にファミレスでのアルバイトを SLG風に仕立てたパートが有るのだが、これにも問題がある。
結論から言えば、ほとんど意味が無いのだ。
SLGパートでは仕事内容によって8種のステータスが増減するのだが、このステータスが役に立つのはGOOD or BADのエンディング分岐のみで他には一切影響しない。
と言うかエンディングの分岐判定はこのステータスのみによって行われるらしく、仮に判定時に要求水準に達していなければそこまでのシナリオ展開に関わらず強制BAD。
「何しに来たかわからん一ヶ月だった。働いてた事しか記憶にねぇや」
という定型文を、ルートによっては肉体関係を結んだ実妹に向けてほざく様子はある意味潔くすらあった。
こうなると、仕事内容は「デリバリー」のみ選んでおけば全ステータスが上昇するため考えて選択する必要が無いというのが救済措置にも思えてくるのだが、それなら最初から実装する意味が有ったのか甚だ疑問である。

これらの点に加えて謎の処理落ち、フリーズ、観客席が見当たらない陸上競技場など色々な所で練りこみの甘さを見せるPia4は、その全体の質の低さをもって突出した部分が無くとも十分にクソゲー足りえるという事実をスレに知らしめた。


当初不作と言われていた2011年だが、気づいてみれば年越し間際に滑り込んでまで6本もの災禍が大挙して押し寄せる大盛況へと姿を変えていた。
そして、ようやく年越しを迎えたスレでは慌しく検証と総評執筆の作業が行われようとしていたのだが…悪夢はまだ終わってはいなかった。

1月8日。2009、2010両年にわたって虚無ゲーの異名を欲しいままにした怪物の後継者
タカラトミーの「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(スレ呼称 誤当地)9月1日の発売日より3ヶ月を待っての降誕である。
本作はwii版人生ゲームシリーズ通算6作目の作品であり、基本設計は2010年度ノミネートの「人生ゲーム ハッピーファミリー」に準じるものである。
もうこれだけでおおよそ伝わってしまったかもしれないが、一応言っておこう。
そう、ゲー無だ。
マップの種類は全1種。
プレイヤーキャラは設定変更不能の10人、
看板キャラクターであるはずの天使と悪魔は引き続き不在、
1週目で枯渇し何度も同じものを見るはめになるイベント
そして肝心のご当地ネタは…
○○県「○○(←名産らしきもの)おいし?♪」概ねこんな感じだ。
この突撃者をして「マイナス50点のものに5点足してもマイナス45点なんだよ」
という秀逸な表現をさせる作品が6090円とは、さすがタカラトミーと言わざるを得ない

さて、以上7つのノミネート作品を紹介し終えたところで大賞発表の前にひとつ語らなければならない事がある。
冒頭でお話した本年度のノミネート作品がことごとく背負っている「ある罪」についてだ。
もうお気づきの方も多いかもしれないが、2011年度ノミネート作品は奇しくもその全てが「シリーズ物」なのだ。
それも過去において水準以上の高い評価を勝ち得ていたシリーズの。
改めて言おう、本年度のノミネート作品が背負っている罪とは
「名誉と伝統あるシリーズの名を地に落とした事」である。
空前の不況とゲーム機の進化に合わせて膨らみ続ける開発費の中、ただでさえ冒険的な新規タイトルは打ちだしにくい昨今。
売る側買う側双方にとって半分安牌である事が約束されたようなシリーズ物、その信頼を地に落とした罪の重さは計り知れないだろう。

では、ゲーム業界の発展に暗い影を落とした7つの大罪の中から本年度の大賞を発表しよう。
いずれ劣らぬ剛の者達の中、頂点の座に君臨したのは…
「Wizardry 囚われし亡霊の街」である。
本作が大賞に輝いた理由には
「そもそもまじめに作ろうとしたとは到底思えない」というものが挙げられるだろう。
作品紹介の部分でも簡単に触れたが、亡霊も含めWizardryシリーズに受け継がれている根幹のシステムというのは「キャラメイク、ダンジョン歩き、戦闘」のみを行うための至極単純なものであり、かつ完成されて久しい物である。
具体的にどんなものかと言うと、3Dダンジョンに潜って戦闘してアイテムハントをくり返すハック&スラッシュ型のゲームだ。

シナリオは基本的に添え物(例・悪い魔法使いが地下に居るからやっつけてきて)
フィールドは存在せず、一枚絵の街とダンジョンのみが存在する。
プレイヤーキャラクターは自分で種族やら職業やらを決めた6人で1パーティー。
肝心の戦闘バランスは確かに高難易度と表現する事もできるが、より正確に言うなら
「乗り越える快感を主とし、十分に力がついた後も適度な緊張感が保たれる」
といったところだ。
決して最大HPの数倍のダメージで叩かれて喜ぶゲームではない。

少々乱暴な言い方をすると、アイテム、モンスター、ダンジョンマップ、の3種のデータを作ったら、後は適当にばらまいて戦闘のバランスだけ取っていれば「そこそこの良作に仕上がってしまう」物なのだ。
加えて出来上がった物を受け止めるのは、一般をはるかに超えて寛容な多少のデスバランスには動じないWizardryユーザーである。
それを押して「この有り様」というのがどれ程のものかは未経験者であっても想像に難くはないだろう。

でもそうは言ってもWizardryって元々難しいゲームで、全滅も当たり前なんじゃないの?
という疑問はもっともだし、嘘というわけでもない。
だが旧作Wizardryの戦闘は厳しくともプレイヤーのやる気をへし折らないバランスがしっかり保たれていた。
前述の通りプレイヤーのステータスは基本値+10までしか伸びずHP以外の数値は早々に頭打ちになるが、攻撃回数・特殊攻撃耐性・補助魔法の効果などがLv上昇に応じてしっかり補強強化される。
戦闘中の行動順も原則的にパーティーの方が先に動きやすいように調整されている。
なので初見の段階では歯が立たず全滅必至だったモンスターもLvを上げて装備を整えればほぼ無傷で倒せるようになるのが通例だった。

またクリアに必要なLvがせいぜい20程度であった初期作品では
万一、死亡→蘇生失敗→キャラクター消失の憂き目に遭ったとしても新たなキャラを育てる手間も知れているためリカバリは比較的容易だった。
一見シビアに見えるデスペナルティも、そのダメージの大半はアクシデント発生時の精神的ショックが占めていたのだ。

Wizardry5以降の要求Lvやモンスターの強さがはね上がる作品では
・ 魔法やブレスを無効化するバリア魔法 ・モンスターの魔法無効化率を下げる魔法
・ 強力な状態異常魔法 ・罠回避、敵先制回避魔法
等が実装され、前述の魔法効果や能力のLv補正もきちんと機能している。
モンスターが強力になろうとプレイヤーがさらにその上を行けるようにしっかり設計されていたのだ。

亡霊にはこのような防御面における工夫が一切無い。
と言うか今「工夫」と呼んだこれらは既に過去において実装され成功を収めている物であり、新たに自分達で考えなくても猿真似すればそれで良かったのだ。
しかし亡霊の実際がどんなものかと言えば…
? モンスターのLvが上がるほどモンスターの行動順が早くなる
→終盤にあってはプレイヤー側最速種族の素早さが最大値であろうと先手を取れない。

? 先制攻撃を回避する手段が無い

?バリア魔法が存在せず、プレイヤー側の状態異常魔法はほぼ通らない
 →先手を取られて即死or状態異常魔法を撃たれて全滅

? 敵の攻撃が超火力過ぎて防具の防御力が意味を成さない
→当たると死ぬので仕方なく回避性能の高い防具を装備するが当たる時は当たるor状態異常魔法で回避できなくなった所を殴り殺される

? 戦闘中に味方全体の防御や回避率を上げるドラクエのスクルト的な魔法が無い
→スカラに相当する単体版は有るが超火力が一気に味方全体に襲い掛かるので全然間に合わず、かかったキャラも効いてるんだか分からないくらいあっさり死ぬ

? 君主という職業が味方をかばえるが、前述の理由で死ぬ順番が君主からになるだけ

?司祭という職業が全ての攻撃を受け止めるバリアを張れるがマッハで割れる
 →1ターンあたり何十発(1発が致死量)の攻撃判定の最初の1〜2発を防いで何になるだろう

ざっとこんな有り様で、敵の攻撃に対抗する手段がほぼ存在せず超火力で殴られるのを見越して回復魔法を選択していようと唱える前に瞬殺されるのが日常である。

攻撃面に関しても調整が投げやり、と言うかまじめに調整しようとした気配が無い。
敵も味方もハイパーインフレ、と言えば伝わりやすいだろうか。
3部作最初のシナリオ1中盤HP400程度の頃から数百に及ぶダメージ、終盤に至っては4桁ダメージが珍しくない。
つまりこの時点でもうシナリオ3の癌である「当たると死ぬ」の戦闘バランスが顔を覗かせているのだが、まだプレイヤー側が先に動けるので誤魔化せているだけなのだ。
もっとも、駆け引きも何もない先に撃った方が勝つというだけの戦闘が面白いわけもないのだが。

他にも
ダンジョン内で「ここに病院を建てよう」「かゆ、うま」などため息が出るようなメッセージがちょこちょこはさまれる
全編通してレバーを引いて扉を開けるしか仕掛けが無い
同一シリーズの装備品で装備できる職業がバラバラ
(ドラクエに例えると、はがねの剣を装備できるのは戦士 はがねの鎧を装備できるのは武道家、はがねの兜を装備できるのは勇者、のような状態)
HPの上昇率が種族毎に大きく異なり、低いものは事実上死に種族
等など、あらゆる所で「ちょっとまじめに作る気があれば…」と思わせるものだらけだ。

ハスクラゲーなのに戦闘がダメ
トレハンゲーなのに武器を除くアイテムの価値が低い
ダンジョンゲーなのにダンジョンが手抜き
キャラ作成&妄想ゲーなのに選択の自由は奪われる
と、長所を満遍なく否定された挙句実態が無いために叩き割る事もできず完全に死に体となった亡霊は心底人を消沈させるクソゲーとして歴史にその名を刻む事となった。
では最後に、伝統と栄光のWizardryシリーズより絶望感とインパクトを伴う一文を引用KОTY流に改変して結びと変えさせていただきたい。

「2011年、ユーザーは くそげーのなかにいる」

総評案19 (人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)

ラストリベリオンが初の先行逃げ切り大賞に輝いた2010年という時代は、このスレにとって一つの大きな節目だったのかもしれない。
2007年「四八ショック」から始まる3年間、KOTYは毎年現れるおぞましい「魔物」達に蹂躙され続けてきた。
歴戦のクソゲーハンターたちの予測をもはるかに超える彼らは、その強大過ぎる力を激突させスレを度々焦土に変えた。

しかし2010年、ついに「魔物」は現れずノミネートも過去最少となる4本まで減少。
それにも関わらずもたらされた「適度に日照らず続く平和」は、優秀な「門番」ラストリベリオンによる鉄壁ディフェンスの賜物であろう。
一年を通じて挑戦者を物理で撃破し続けたこの守護者は一種の頼もしささえ感じさせ、最終的には過去に例がないほど平和的に大賞に選ばれることとなった。
動乱の時代は終わったかに見えた。「魔物」や「英雄」、「王」が主役を担う神話の時代は、偉大な反逆者の出現によって一旦幕を下ろしたのである。

歴代最高にして最強の「門番」スベリオンがもたらした束の間の平和を謳歌しながら、スレ住人達は新たな不安を抱え2011年のスタートをきることになった。
「偉大なる(便利な)門番はもういない。ゲーム業界自体が活気を失う中、クソゲーが今年も都合よく現れてくれるのだろうか…」

悲しむべきことに、毎年杞憂に終わるこの「スレ住人たちの不安」は、ついに的中する事となった。
3月に発生した大震災により日本全体が停滞と自粛ムードに包まれた。
KOTYもその例外ではなく、門番どころか話題となるクソゲー自体がゼロのまま時ばかりが過ぎて行った。

門番不在のためスレにはクソゲー未満たちが跳梁跋扈し、届くのは度重なる発売延期の報せばかり。この長い長い冬は約7カ月もの間続くことになる。


荒涼としたスレに一条の光が差し込んだのは後半10月。
サイバーフロントによるADV『code_18』(通称「c18」)の登場でスレはにわかにいろめきたった。

名作ADVとして名高いinfinityシリーズの最新作として登場した本作であったが、
まさか同ジャンルにおける伝説の魔物『四八(仮)』と被る部分が
値段(7140円)と呪われた略称(しーじゅうはち)だけでなく、
クソ要素までに及ぶと誰が予想できたであろうか。

誤字脱字などは当然の如く完備、
セーブポイント間違いによる強制やり直しなどの理不尽仕様・フリーズ・バグなども標準搭載で、
さらに表示画像や効果音と文章の不一致も満載。
シナリオはもちろん矛盾や超展開のオンパレード、果てはタイトルのcodeの意味も最後まで有耶無耶のまま終わってしまうなど、
ADVクソゲーとしての基礎をきちんと押さえているあたり、本当に四八をリスペクトしたんじゃないかという程のクオリティの低さを見せつけた。

特に話題をさらったのはその演出ミスの酷さである。
「真っ暗なお化け屋敷」なのに昼間の明るい教室、「夜の浅草」なのに昼の仲見世が表示され、
「天候は回復した」のに雨が降り続いたり、電車から降りたはずなのに電車の効果音が続きっぱなしだったりするのは序の口。

ヒロインが眼鏡を外してキスするシーンなのに眼鏡をかけたままだったり、
スカイタワーでヒロインとデートするシーンなのに背景が夕暮れの浅草寺だったりする等、
魅せ場における強烈な盛り下げっぷりはもはや芸術の域である。

発売当日から本スレを阿鼻叫喚に陥れ、プロデューサーが雲隠れする事態にまでに発展させたその実力は伊達ではなく、
c18は四八(仮)の良き後輩として迎え入れられ、沈み込んでいたスレを大いに沸かせたのだった。


ようやく訪れた一粒の収穫を喜び安堵するスレ住人たちであったが、この時はまだ知る由もなかった。
それが大いなる災いと罪の一つに過ぎなかったことを。

年末の惨劇第一幕は11月末に同日に発売した2体の怪物によってもたらされた。
その一つがD3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(通称「待」「待ing」)である。 「個性ある街の住人たちと触れ合いながら街づくりを行い発展させていく」という独特の街づくりSLGとして人気の「街ingメーカー」シリーズ最新作。
だが、シリーズファン・新規を問わず購入したプレイヤーを待っていたのは、ガッカリ感や損失感を超越した虚無感であった。
今回プレイヤーは建物の中に入れてもらえず、出来るのは基本的には「建てる」「潰す」「眺める」ことのみ。
「地形」は一種、「BGM」は2種(スタート画面含めて3種)ととにかく少ない。
「物件数」は多い少ないを語る以前の問題で、郵便局や交番といった普通の街なら必要最低限のインフラさえ存在しない。
しかし、老朽化・天候・電力供給等の概念も無いため特に問題も起こらず、「幼児が積み木で作ったかのような街」の如きリアリティの無さがプレイヤーの心を冷めさせる。
売りであったはずの個性的な住人たちも、本作では古のRPGからの移民ではないかと思うくらいどうでもいいセリフしか喋らず、無機質な雰囲気を漂わせている。
おまけにゲームの進行は凄まじく遅く、街を開発するために必要となる「ポイント」は中盤以降すぐに尽きるにもかかわらず、ゲーム内時間で一昼夜経過するまでポイントは振り込まれない。ところが、早送りやスキップといった概念は一切存在しないため、プレイヤーはその間ひたすら待ち続けなければならず、気がつけばクリアまでの大半がほぼ待ち時間で空費させられているという恐るべきゲーム性の薄さを味わう事になる。
楽しむ要素どころか作業さえ用意されず、操作不要で待つしかないその斬新すぎる在り方は、「ゲームとはプレイヤーにプレイされる物」というゲームの常識そのものへのアンチテーゼとなって我々に突きつけられた。
いつしか略称は「街」から「待」に変わり、あまりのゲーム性の無さ・時間浪費の虚無さからその価値は「モバゲー未満」、「積み木以下」、「ゲー無並」と評価されるまでに暴落した。



もう一体の怪物の名は、アクワイアより発売された『グラディエーターバーザス』(通称「剣投資」)。
これまた多数のファンを抱える「剣闘士」シリーズの最新作である。
が、その実態はファンを詐欺と搾取で虐殺する狂戦士であったと誰が予想できたであろうか。

「容姿の組み合わせは10000通り以上」と謳われているキャラクターメイキングは水増しにも程がある代り映えのなさな上、
ゲーム中は兜を被るのでそもそも顔は見えないという素敵な仕様。
肝心のゲーム内容は「3vs3」の対戦格闘型アクションであるが、
前作からの人気システム「パリィ」「ドッジ」は削除され、代わりに追加された「魔法」によって根幹から変貌している。

この「魔法」、なんと味方にもヒットしてしまうため、非常に頭の悪いNPCによる誤射誤爆が後を絶たない。
そもそも、古代ローマの剣奴をモチーフにしたシリーズに何故急にファンタジー要素を入れたのかもファンとしては首を傾げたくなる所である。

また、NPCの問題はこの誤射だけに止まらず、コンボの最中に割り込んで中断させたり、
一対一で戦っているところに他の敵を連れてきて窮地に陥らせたりと悪意さえ感じさせる低能さをいかんなく発揮。
かといって連れて行かずに1対3では勝負にならず、またスキルカスタマイズなどは無いため魔法を撃たないようにすることさえ出来ない。
唯一の回避方法はオンラインで他人と組むことなのだが、オンラインは深刻な過疎化が進行している有様でとても期待できない。
ならば自己強化するしかないのだが、そのために必要なお金と宝石、特に宝石はなかなか手に入らない。
そこで簡易入手のため登場するのがこのゲームの暗黒面の象徴とも言うべきDLC(ダウンロードコンテンツ)課金である。
恐怖の「ガチャガチャ」方式による宝石販売は、入手出来る物がランダムなため数千円突っ込んでも欲しい宝石が手に入らないこともざらな無限収奪システムと化している。
さらに、「キャラ枠」、「アイテムボックス拡張」、「容姿追加」など、
フルプライスならばゲーム内で無料で入っていて当たり前の物がカタログにずらりと並び、
メーカー側も公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」と課金合戦を煽る始末。
いつしか略称は「剣闘士」から「剣投資」へと変わっていった。
過疎を憂慮したメーカーは発売一ヶ月後に無料体験版を配信したり、
アップデートを行うことでどうにか人口増加を計ったが、
「体験版だけやれば製品版は不要」といわれるほど差のない体験版だったためむしろ逆効果、
アップデートに至っては敵のAIばかりが強化され、NPCは馬鹿のまま「魔法」の威力を大幅に向上させたため誤爆の恐怖が激増、
完全に逆進化し、かつて2008年を沸かせた魔物「ジャンライン」と同じ道を辿ることとなる。

ホットな話題は止まるところを知らず、ウィルスバスターは発売前から公式サイトを「オンライン詐欺に関係している兆候があります」とその本質を見抜いた警鐘を鳴らしていたが、
その低クオリティと強欲搾取体制により、発売初週からオンラインは過疎状態、本スレでは売却報告が相次ぎ、電撃PSでは『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得するまでに至った。


二体の同時襲撃を受けて息も絶え絶えなスレに、トドメの一撃とばかりに巨大な気を纏って超戦士が襲来したのは12月。
バンダイナムコゲームスの3D対戦アクションゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称:UB)である。
日本が誇る名作「ドラゴンボール」のキャラゲーで、ファンからも定評のある「レイジングブラスト」シリーズの最新作。
本来ここのようなゲーム界最底辺の天下一を決める舞台に上がることなどありえない、エリート中のエリート戦士…のはずだったのだが。
クソゲーへと転落した最大の原因は、簡略化しすぎてしまったその戦闘システム。
UBには昨今の格ゲーのようにプレイヤーに技術を要求する部分がほぼ無く、かわりに頻繁に発動するQTE(クイックタイムイベント)が存在。
これはようするにボタン入力が必要な「2択のあいこなしじゃんけん」である。
キャラゲーにあるまじきほぼ全キャラ共通演出な上、テンポも非常に悪いのだが、通常攻撃、必殺技、受け身、間合い変更などあらゆる局面でこのQTEは発生。その成否を分けるのは技量でも戦略性でも無く二択に勝つ純粋な運のみ。
このため、対戦ゲーム本来の味である読み合いやテクニック要素などが完全喪失。
せっかく大迫力の演出や高評価のムービーがあるのに、ゲームとしての根幹が深みもコクもない「2択のあいこなしじゃんけん」なので格ゲーとしては楽しみ様がない。
格ゲーとしてダメならファンアイテムとしてどうか、とファンのみをターゲットとしたキャラゲーとしての面で希望が残るが、そちらはもっとダメである。
何を思ったかキャラゲーなのに肝心のキャラを大幅削減。
しかも、何故か原作でも出番の少なかったキャラ(登場後すぐに瞬殺された汚い花火等)は居るのに、準レギュラークラスの主要戦士達(悟天、、餃子、青年悟飯等)は大量リストラという謎の人選。
そのためかシナリオも歯抜け状態で、むしろファンの方がガッカリする仕上がりになっている。

これでようやく年末の襲撃がやんだかとスレ住人たちが安堵したのも束の間、年末に現れた魔物たちのもたらす熱気(邪気)は、震災の混乱で上半期に眠ったままであった悪鬼たちをも呼び覚ました。長期間潜伏していた恐るべきクソゲー達の選評が次々に届き、スレはさらなる混沌へと突入する。
最初に目覚めた悪鬼は、1月27日にアクワイアより発売されていた3DダンジョンRPG『ウィザードリィ囚われし亡霊の街』(通称「亡霊」)。
30年の歴史を持つダンジョンRPG「ウィザードリィ」の再興を目指して始まった「ルネサンス」シリーズの最新作で、3つのシナリオから構成されている。
発売直後からセーブが出来ないバグが発覚し話題になっていたのだが、アップデートにより改善。
グラと異なる音声、イベントマス上で何も起きない、ダンジョン内部が描画されない、稀にセーブ出来なくなって詰む等の不具合は残ったが、進行に致命的な支障が出る程のバグは消えたので問題なく遊べると思われ埋もれてしまっていた。
まさか仕様そのものが進行に支障をきたす凶悪さだと気付かされる年末のその時までは。
特にそれが顕著に表れるのはシナリオ3(シナリオ1、2もかなりの極悪理不尽度だが3に比べればまだマシ)。
プレイヤーのレベルは後半HP程度しか上がるものが無いのに、敵は全能力が上昇。
さらにほとんど確実に先制されるため、エンカウントしたら何もできないまま全滅する確率がほぼ100%という、難易度以前の超絶理不尽が牙をむく。
一応お金でレベルを上げることも出来るが、どの道敵を倒してお金を稼げないのでお金の無限増殖バグを使い数十時間、バグを使わずならば数百時間をかけてようやくレベル限界というクリアのスタートラインに立てる。
また、もう一つの手段としてエンカウント回避アイテムがあり、これを使えばラスボスまで辿り着く事が可能(ラスボスは弱いので普通に勝てる)。
しかし、このアイテム自体が敵の落とすドロップアイテムなので、「エンカウント=死」のこのゲームでは通常経路での入手は困難を極める。
しかしそこは商魂逞しいアクワイア、ちゃんとDLCで有料販売してくれているのでそこで購入すれば一応ラスボスへたどり着ける。
この他にも様々なレアアイテム等を販売しており、金さえ積めば大概の事は解決できる素晴らしい仕様になっている。
生真面目にプレイなんかしてアイテムを収集するより買え、というのがこのゲームの一番の攻略法なのかもしれない。
そもそも前作のイベントでのみ入手できるアイテムをリスト内に混入させているため最初から仕様で「アイテムコンプ不能」という、この手のゲームにとっては重大なミスを放置しているあたり、ゲーム内でコンプ目指してアイテム収集するような楽しみ方をさせる気は微塵もないようである。

乱世の風雲に乗じ、ついに修羅の国も動き出す。
月下旬発売ながら売上数が確認できぬほどのステルス性を持ち、大晦日にまで潜伏し続けていた核機雷搭載の大型原潜が突如浮上を開始。
PIACCIのファミレス恋活ADV+SLG『Piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜』(通称「Pia4」タイトルの恋活はバイトと読む。また通常版らしいが限定版は存在しない)
「Piaキャロ」シリーズといえば、かつて一世を風靡した人気の伝統ブランドであり、根強いファンも多い。
いつも据置KOTYを荒らしまわる修羅の国移植ゲームとは格が違う名門中の名門…のはずだったのだが

その性能は、処理落ち・フリーズバグ・湾曲空間背景などは修羅の基本装備だと言わんばかりに全搭載、
サバンナにしか見えない陸上競技場、移植なのにキャラを追加するどころか削除、ただの作業でしかないSLG部分等、
細かい部分をあげたらきりがないほどの劣化ぶりを見せつけプレイヤーを驚愕させた。
しかし所詮これらはこのゲームにおいて些事でしかない。真のクソ要素はシナリオそのものにこそある。

移植前ですらユーザーからはエロ以外は壊滅的評価しか得られなかった物体から、移植のため不自然にエロ部分を全削除してしまった結果、
修羅の国版「ゲー無」とも言うべき中身の無さと整合性の無さを持つ怪物が誕生。超展開を超えたカオスがプレイヤーを待ち受ける。
「格ゲーしていただけなのに、いつの間にか付き合っていた」
「いつの間にか従姉を妊娠させていた」
「いつの間にか実妹と一線を越えていた」
などはもはやサイコ物かスタンド攻撃の類。

おまけに、SLG部分のパラメータが足りなければ一線を越えていようが妊娠させようが
「この一ヶ月はなんだったんだろう。働いてたことしか記憶にない」と国会答弁並のオトボケ発言を炸裂させ実家に帰ってしまう。
ほとんど陵辱鬼畜ゲーのヤリ捨てエンドと大差ない外道ぶりである。
プレイヤーを狂わせやり込むほどに苦痛が増すという、この恐怖と狂気に満ちたシナリオの全貌をここで詳細に語ることは出来ないが、
無謀にもその一端を知ろうと求めるならば、当スレに届けられたある勇者の怨念とも言うべき手記をご覧頂きたい。


怒濤の年末ラッシュで半死半生の住人たち。だが年末の惨劇を乗り越えて迎えた年始に待っていたのは平穏ではなく、
6連撃によってもたらされた2011年最後の地雷の誘爆であった。
発売から潜伏期間三ヶ月以上を経て、年始に選評が届けられるなり異例の速度でノミネートを果たした最後の魔物。
KOTY5年連続ノミネートの強豪タカラトミーから発売の
『人生ゲーム ハッピーファミリー 御当地ネタ増量仕上げ』(通称「誤当地」「人生3」)。

もはや常連過ぎて説明不要かもしれないが、
人生ゲームブランドの安全神話を崩壊させた「人生ゲーム」シリーズの最新作で、
KOTY2009において四天王の一角を担った「ゲー無」の最終形態である。
何故か人生ゲーム要素ではなく地方ネタイベントを追加しており、
完全に増量するところを間違えているところから「誤当地」とも呼ばれる。

実体を得た代わりに値段は初代の約6倍に跳ね上がり、プレイ時間も1ゴールまで数時間かかるが、
道中は相変わらずの投げやり感溢れるイベントを何度も被らせるなどして苦行度を大幅増加。
「何も無いが安くて短く苦痛も少ない」という初代の数少ない弱点(長所)を完全に克服した仕上がりになっている。

完全版でありながら前作人生2の欠点は全て引き継いでいる・・・というか何も変わっていないので詳しくは過去の総評をご覧頂きたいが、
相変わらず一つしかないマップ上にはミニゲームもカードも仕返しマスすらなく、10人しかいない上に変化の無いプレイヤーキャラや、
肝心のルールを理解してないCPUがはびこる、天使も悪魔も見放した不毛な世界が広がっている。
当初はプラスに働くと思われた追加の御当地ネタも、人生ゲームに何の脈絡もなく割り込んでは観光案内ネタを発動させる為、むしろ人生ゲーム要素をさらに薄める方向に作用。

おまけに、「長野ではカラオケに行くと必ず県歌を歌う」等、県民も首をかしげるような偏見や誤情報も混入して、
本当に「誤当地」を体現してしまう始末である。
また、手抜きによる演出の酷さも凄まじい。
キャラが少なすぎる為日本各地にそっくりさんが大量に出現、
しかも年齢と容姿が人外設定でもない限りあり得ないようなミスマッチでも堂々と表示されており、
地元のおじさんから百歳越えの老人なども全て若いサラリーマン風の男性姿で統一されていたりする。

背景も各県にほぼ二つ程度なので、
石川県では能登半島に行ったはずなのに背景が兼六園に、
香川県では町中のうどん屋の前で瀬戸内海の風を感じたりする。
こうして、増量したのは苦痛だけかと言いたくなるほどの圧倒的虚無さと無価値さを見せつけ、
タカラトミーは今年も連続ノミネート記録を更新。もはや殿堂入りにすべきかとさえ議論される事態となった。

以上、七つのノミネート作品の紹介を終えたところで、今年の大賞を発表しよう。
奇しくも7作品全てが名作シリーズ物の最新作となったこの2011年KOTYの大賞に輝いたのは・・・

 『人生ゲームハッピーファミリー 御当地ネタ増量仕上げ』である。

今回の審議は非常に難航した。7作品全ての実力が拮抗しており、さらにほとんどの選評が年末に一斉に押し寄せた為、
情報が圧倒的に不足していたのである。これに対し、当スレの勇敢なる検証班(クソゲーハンター)が出撃、数多の犠牲の果てに審議は進められた。
そのような中でこの誤当地が大賞に輝いた決め手は、その圧倒的な「手抜き」と「無」がもたらす致命的な盛り下げ力にある。

当初この誤当地はパーティゲームとして多人数プレイとして用いれば多少マシだろうと推測されていた。
ところが実際多人数プレイした結果「つまらなすぎて途中で相方が寝てしまった」
「人間関係にヒビが入った」等という予想外の報告が内外からもたらされたのである。
友情破壊自体はこの種のパーティゲームの宿命ともいえよう。
だがこの誤当地のもたらす険悪ムードは、通常の「ゲームを白熱させすぎた結果」ではなく、むしろその逆なのであった。

イベントもただつまらないだけでなく数も少ない為すぐに底が見えてしまい、
何度も何度も同じ話をみるだけのうんざりするような道中が続き、
自然と沈黙に陥りやすい状況がスタートからゴールまで常に付きまとう。
さらに子育て等による非常なテンポの悪さも特筆すべきもので、
マスに止まってポコポコ子供が生まれる度にイライラの種が激増、
「ガキ作るんじゃねえよめんどくせえ!」と思わず叫びたくなる後半には、
もはや「ハッピーファミリー」要素はどこにもなく育児ノイローゼがプレイヤー間に蔓延する。

さらに気の遠くなるような検証の結果、ルーレットの出目が明らかに異常な偏りを見せている事が発覚。
低い目、特に3が非常に出やすく、逆に7は非常に出にくくなっている。
意図した物なのか調整ミスなのかは不明だが、
ただでさえテンポの悪いゲーム進行をさらに遅らせることに寄与していることだけは確かである。
しかもここまで長引かせておきながら勝敗を分かつのは終盤のギャンブルイベントの一発勝負。
勝っても負けてもこれまでの人生は何だったんだと言いたくなる結末が待っている。
その他、初代人生ですらあった最終資産の表示を削除し虚無さを増した順位発表、
おじゃましマスによって何故か特定の順番のプレイヤーに集中攻撃が起こる最悪の調整ミス等、
とにかく負の方向に人間関係を悪化させる要素が大量にちりばめられている。

多人数プレイ用のパーティゲームでありながら、高速かつ高確率で雰囲気をぶち壊し、無理に続行などしようものならパーティムードもろとも友情を粉砕しかねない破壊力を秘めたこの誤当地、その危険度は自分一人が耐えればよい他のクソゲーの比ではない。
小学校教師のお小言のようなかたい事は言いたくないが、このゲームについてだけはたしかに、こっくりさん等と同じ方向性で「危険な遊び」と言わざるを得ない。
惜しくも大賞を逃した他6つのゲームもこの誤当地にクソさで決して劣るわけではない。
それぞれの個性的なクソ要素のうち、誤当地の持つクソ要素がその「人生ゲーム」というジャンルと相性が良すぎた(悪すぎた)、ただそれだけの差かもしれない。
また今年度は「待」「Pia4」のように「薄さ」、「無価値さ」にクソさの比重を置くゲームが多かったが、こと「無い」ことにかけては「人生シリーズ」は他の追随を許さない。
こうしたクソ要素の相性にも恵まれ、辛くも誤当地がこの接戦を制する事となった。

2011年、日本は未曾有の大災害によって日本全体が活気を失った。
その結果なのか、もたらされた今年の7作品は全てかつて好評を博したシリーズ物の堕ちた最新作たちであり、冒険心を失い過去の栄華にすがるゲーム界の暗黒面を象徴するかのような存在であった。
先人達の遺産とも言うべきシリーズを食い潰し、そのブランドへの信頼を完全に失墜させたこれらは「七つの大罪」と呼ばれ、歴史にその名を刻んだ。
また終わってみればノミネート作7つの大豊作であったものの、前述したとおりKOTYでは前半から中盤まで、混迷を極める業界を象徴するかのように、クソゲーとは言い難いゲーム達が持ち込まれては消えてを繰り返す大飢饉に陥っていた。
その消えていった者達の中には、あろうことか自分の人生をノミネートさせようとする者まで存在し、優しい住人が「今年発売じゃないからダメだろ…」とやんわりと説得し退場させるという、普段と違ってせつなすぎる選外送りが幾度か行われた。

「人生はクソゲー」と信じて疑わない方はその悲観的な結論を下す前に、一つでもいいので今年のノミネート作を手に取っていただき、それでもなお己の人生が本当にクソゲーと呼ぶに足るほどのものかご再考願いたい。
最後にスレ住人一同、二度と己の人生をKOTYに持ち込もうとする者が現れぬよう願いをこめて、この苦難の時代を生きる全ての人へこの言葉を贈りたい。


「大丈夫、俺たちの人生はタカラトミー製じゃない」