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このページは、2011年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。
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//*総評案xx (大賞ソフト名) ←総評案の番号と大賞になるソフトを記載してください
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*総評案20 (code_18)
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「クソゲーは 忘れた頃に やってくる」

クソゲーオブザイヤー2011。
昨年9月下旬から事実上始まった2011据え置きKOTYの3ヶ月+αの死闘を、ここに記す。

11月23日。
D3パブリッシャー制作、PS3/Xbox360「街ingメーカー4」というソフトが発売された。
街を開発していく本作、しかし建てた建物は眺めることしか出来ず、住民とはろくな会話も出来ない。
BGMも2種類であり、10分に1度入るポイントを使って建物を建て、あとは待つ・・・という、異常に虚無感あふれるゲームスタイルである。
クリアーまで6時間程度、その内の殆どは待ち時間だ。
虚無、という言葉が似合う、ゲームなのかも疑わしい、限りなく無に近いクソゲーである。

同日。
アクワイア制作、PS3「グラディエーターバーサス」というソフトも発売された。
真の敵は敵ではなく、魔法を誤射してくる味方NPCであることの時点で、まず方向性が違う気すら感じ取れる。
ちなみに魔法はアップデートで大幅強化され、事実上NPCは味方ですらなくなった。なおAIはアプデで改善されていない。
ただし戦闘はゴリ押しで大概解決する。味方に気をつければ。
また武器強化のための宝石は出現率が低く、DLCもあるものの中身はランダムという、まさかのガチャガチャ方式。
そしてキャラ枠拡張やアイテム枠拡張にもDLCという、何故削ったとしか言いようがない課金要素も搭載している。
アクション性のクソさにDLCを加え、現代のゲーム事情を見事に反映したクソゲーとなった。

12月8日。
バンダイナムコゲームス制作、PS3/Xbox360「ドラゴンボール アルティメットブラスト」が発売される。
アニメーションは綺麗だ。しかし、褒めるべきはそこしか存在しない。
ムービー付きのクイックタイムイベントの存在により、戦闘は非常に冗長になり、
更にそのイベントには完全運任せの2択選択肢が常に付きまとう。
その場面以外の戦闘シーンでは基本ボタン連打。アクション性が聞いて呆れる。
微妙なキャラ人選とそれに依る歯抜けストーリーも、クソの要因となっている。
アクションゲームにアクション要素を撤廃させた、潔いキャラゲーのクソゲーであった。

これらが話題になって少し後。
1月27日発売、アクワイア制作、PS3(PSN専売)「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」が話題に上った。
特筆すべきは最終シナリオ3の理不尽さ。ほぼ能力が頭打ちになったプレイヤー陣の前に、能力が伸び続け恐ろしく強くなったモンスターがお出迎えする。
プレイヤーたちは能力もほぼ打ちとめになっており、死なないためにはお金で経験値を買えることを利用し、一撃で死なない程度にHPを高めるくらいしか対処法がない。
とはいえこれで、敵に勝てるようになるためには途方もない時間を要する。裏技未使用でも使用時でも。
しかしラスボスは何故か弱く、エンカウント回避アイテムを手に入れるかDLCで買うかすればエンディングは可能である。
ただここまで本末転倒な仕様となっているゲームを、クソゲーと呼ばずして何と呼べようか。

そして話題になったもう一つの作品。
9月1日発売、タカラトミー制作、Wii「人生ゲームハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」である。
昨年一昨年とノミネートされたWiiの人生ゲーム。それらと基本のクソ仕様は殆ど変わらない。
ご当地イベントが増えたとはいえ、それもほぼ無内容のイベントが増えたようなもの。
通常イベントも種類が異様に少なく、1プレイだけで数度同じイベントを堪能できる。
これのどこにフルプライスで発売できる要素があるのだろうか。
昨年とクソさは左程変わらぬものの、変わらないことが問題視される、クソゲーであった。


残りは2本の恋愛アドベンチャーゲーム。
まずは上記の5本と同じく、次点となる2月24日発売、PIACCI制作、Xbox360「Piaキャロットへようこそ!!4 夏の恋活」を紹介する。
そもそも原作でもエロしか取り柄がない、とこき下ろされた作品である。それにエロを抜いたらどうなるか。結果は見えたようなものである。
基本設定は場当たり的、特に事件性のないイベントの連続、そしてエロシーンは取り除かれ、その間にある関係の進展も飛ばされる。
盛り上がりもしないシナリオにシーンカットという超展開を組み合わせれば、誰得というシナリオが誕生する。
SLGパートもあるものの、BAD判定にしか利用されないステータスを、適当に上げるだけ、というイベントも何もない適当仕様。こちらも誰得。
処理落ち、フリーズも前触れ無く発生。セーブを増やすと極端に重くなる、バックログが不便、スキップも挙動が悪いなど、システム面もまともにできていない。
これこそ誰得要素を積み重ねて創り上げた、誰も得しないクソゲーである。


そしてもう一本、9月29日に発売された、サイバーフロント制作、Xbox360(、PSP)「code_18」を紹介する。
こちらはタイムリープものADVであり、シナリオは5人分、固定で進行する。
ちなみにルートマップやクイックセーブなどはなく(PSP版にはなぜかある)、最悪やり直しも困難にさせる。BADENDが唐突に訪れるのも影響している。
しかし1〜4人目までには、数個の伏線を除き、ストーリー中核はほとんど進展を見せない。進展してもそれは謎な理論を展開する主人公を見れるだけだが。
しかも最終シナリオの選択肢は3回、「聞く」「聞かない」のみである(全て前者を選ばないとBAD)。もはや選択の必要すらない選択肢である。
システム面は誤字脱字、名前欄に謎の@マーク、画像とシナリオ文の不整合など、ADVの基本中の基本もできていない。
誰が学校の学園祭のコスプレ喫茶で制服を着るのだろう。何でスカイタワーにいる筈の2人の背景は淺草寺なのだろう。
テキスト上はメガネを外してキスをするのに画像では外れていない。天候が回復したのに雨。
大して盛り上がりもしないシナリオに、これらのミスが水をさして最低なADVと化している。
シナリオをゲームの基本で台無しにさせた、基本以下のクソゲーである。


そして今年のクソゲーオブザイヤー2011、大賞はこの「code_18」である。
そもそも微妙なシナリオを基本的なミスでその微妙すらも台無しにさせ、苦笑も生まないゲームに創り上げたことは、ある意味尊敬できる。
「絶対にやってはいけないミス」を平然とやってのける姿勢にも感服する。
ストーリーの酷さ、というと主観が入ってしまうことが多いが、これに関しては不具合とバグをあわせて、客観的に見てもクソシナリオを作り出した。
その点、いつかの伝説、四八(仮)に通じるものもあるのかもしれない。
ADVの根幹、ADVの命とも言えるシナリオをこういった形で完全に崩壊させ、見事大賞に輝く次第となった。


今年は7本のクソゲーが9月29日、このゲームの発売以降次々と話題に上がり、混戦模様となった今年のKOTY。
大賞決定作業も非常に難航することとなった。
来年はどんなクソゲーが生まれるのであろうか。期待をせずに、待っておくとしよう。


それでは最後、code_18の主人公が冒頭で放つ一言をお借りして、今年のKOTY、締めくくらせていただく。

「C18がKOTY大賞を獲得した。よし、次は四-八だ!」
}}

*総評案21 (Wizardry 囚われし亡霊の街) [#pc6c54e1]
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・・ ・・七英雄の伝説・・ ・・

数多くのクソゲーマーを倒し、小売も殺し、その後ワゴンへ消えた……

『メジャー』『奈落』『大奥記』『ジャンライン』『ヌギャー』『猿』『メジャー2』

いつの日か、彼らは戻ってきて再びスレ住人を絶望させるのだという……
スレが乱れる度に、人々は伝説を語り、恐れ慄いた。
しかし平穏が訪れると伝説は忘れられていった……

クソゲーの興亡は繰り返す。
2008年の七英雄が見せた圧倒的な力の時代が終わり、分裂と闘争の時代が始まった。

2009年は「修羅の国」と呼ばれ恐れられた、エロゲー業界からの使者
『戦極姫』の圧倒的なバグの奔流によってスレは蹂躙される。

2010年は褒める要素がまったくないといわれた圧倒的な力で年頭より君臨した
『ラストリベリオン』の超ストロングスタイルによりスレは屈服した。

そして2011年、スレは未曾有の大飢饉に襲われていた。

約10ヶ月

選外作品やガッカリゲーで飢えを凌ぎ、やっと来た賛否両論作もパッチによって改善された。

七英雄の名は再び語られ始めた


そ し て、彼 ら は 来 た

……だが


――ここに過去最大の密度で激戦となった、2011年据え置き版KOTYの総評を記す。



平和に慣れたスレ住人を襲った黒い影
秋も深まり、冬の色が見え始めた10月中旬、スレに一つの選評が闖入してきた。
晴天の霹靂とはこの事か、突然振って湧いた選評にスレは大荒れとなる。

その傲慢たる闖入者の名は、
「サイバーフロント」の「恋愛アドベンチャー」

『code_18』(スレ内呼称:C18)だ。

本作は名作ADVとしてその名在りと謳われた『Ever17』をはじめとする「infinity」シリーズの最新作である。
しかし、過去作のスタッフが関わっていない、過去作とは違い恋愛メインの学園物になっている、という不満点以前の
そこいらのAVGと比較すらもできないお粗末な出来でファンを阿鼻叫喚に陥れた災厄であった。

まず誤字脱字脱文や、背景・立ち絵指定ミス、更にはボイス・効果音の設定ミスを完備、致命的な演出ミスも多く発生し、
「電車から降りても電車の音が鳴り止まず、ヒロインの回想シーンになっても、部室に帰っても鳴っている」
「センパイの胸、でかいな…と平均サイズの先輩にのたまうロリ巨乳」
「スカイタワーにいたのに浅草寺にワープ、しかしココはスカイタワーだと言い張る」
「天候が回復したのに雨が降り続いている」
「あるルートのENDシーンの一枚絵がサブリミナル効果」
などといった珍現象が多発する。
しかも、これらの珍現象はシナリオのクライマックスに重点的に配置されプレイヤーを苦しめる。

さらに、システム部分も稚拙極まりない代物へと昇華。
ルート分岐が無く、辛うじてある分岐も正解かBADENDしかない。
一本道で周回数で攻略するヒロインが固定、さらに度し難い事に一度分岐を間違えると
何の説明も無く、一周目からやり直しになってしまうのだ!
シナリオは無残の一言。不整合の山で矛盾点がポロポロ出てくる有様。
物語の根幹を占める「code」(未来からのメール)も、最終周で滑り込み気味に押し込めた挙句、結局うやむやになってしまう。
キャラの魅力で攻めようにも、登場人物がいずれもツッコミ待ちのあからさまな問題点を抱えている。
ちなみに発売後に、本作のプロデューサーは行方をくらませたという。

クオリティの低さ、不具合、制作陣のごたごた、と全方位にクソなこの作品は、プレイヤーの魂を吸い取る破壊力を見せた。
こうして『code_18』は伝説のクソゲーである『四八(仮)』(しじゅうはち)の後継者としてスレ住人に認められ、
『C18』(しーじゅうはち)と呼ばれるようになった。


さて、『C18』による流し斬りが完全にはいったKOTYスレであったが、スレ住人は意外に平気な顔をしていた。
なにしろ12月になろうとしているのに、話題作が未だに一つきりなのだ。
「今年はこれで決まりかな?」などとスレ住人たちは笑いあっていた。

そして地獄の12月に突入する。
KOTYにおいて使い古されている言葉ではあるが
「年末には魔物が潜む」
今年に至っては「潜んでいた」どころではなかった、
数多のクソゲーたちが百鬼夜行の如く顕れ出たのだ。

まず、現れたのがSIMPLEシリーズで有名な「D3 PUBLISHER」から発売された「街づくりシミュレーション」

『街ingメーカー4』(スレ内呼称:待、待ing)である。

自分の街を作るsim系箱庭ゲームの中でも、「自分のキャラでその街を歩き回り、住人と交流できる」という長所が売りの
「街ingメーカー」シリーズの最新作だ。
しかしその実態は、シリーズの売りであったはずの「住人と交流できる」要素を大胆にカット
BGMも大幅にカット!、建てられる施設も大幅にカット!!
そして、ゲームの目的を「住人を呼び込むことで人口を増やす事」のみにカット!!!
街の住人たちは定型メッセージをしゃべるだけのお人形と化し、ゲーム中の音楽は昼と夜の2種類のみとなり、
工場の種類は激減し、漁場や農場は存在すらも消えてしまった。郵便局やお墓、交番も建てれず、歯科や外科・内科病院も
建てることができない。学校はというと小中高大の差は無く「総合学園」のみ。
作る事ができる施設に関しても、色、バリエーションに違いが無くなり、結果街には同じ色と形の建物が整然と立ち並ぶ事になる、
というSIMPLEシリーズ以下とさえ思わせる出来のゲームだった。

そして、このゲームの白眉とされているのが「待ち」システムである。
本作は建物を建てるにはポイントが必要であり、ポイントはゲーム内で一日毎(リアル10分程度)に貰える仕組みだ。
前作ではポイントがもらえるまでの時間で住人と交流していたのだが、本作では大幅な要素のカットにより
「やる事がなくなってしまった」のである。
プレイヤーはこうなると、ゲームを放置してポイントが溜まるまで「待つ」か別の事をやるしか無くなるのである。
このゲームはクリアまでわずか5〜6時間(しかも殆どが待ち時間)という「ゲー無」の要素を持ち、スレ住人を虚無に送っていった…


スレ住人に休む間も与えずKOTYの闘技場《コロセウム》に名乗りを上げたのは、「アクワイア」の「マルチ対戦格闘アクション」

『グラディエーターバーサス』(スレ内呼称:剣投資)だ。

古代ローマ帝国の剣闘士奴隷をモチーフにした「剣闘士」シリーズの最新作である。
電撃Playstationのバイヤーズガイドが滅多に見れない「評価D」という賞賛を贈っており、入場前から圧倒的な闘気を放っていた
本作であるが、その実力は如何に?

まずはシステム面である。
シリーズのキモである「パリィ(攻撃はじき)」「ドッジ(寸前回避)」の操作体系を削除し、作品名を無視して
舞台設定を古代ローマ帝国から中世風の剣と魔法のファンタジーに変更し、「魔法」という要素を追加したのだ。
この時点で何がグラディエーターなのか分からなくなっている。
戦闘は基本的に「3vs3」で進行するのだが、その仲間が
「ぽこぽこ味方に魔法を誤射する」
「コンボの最中に割り込んできて、コンボを中断させる」
「1対1で戦っているところに他の敵を連れてくる味方」
と大不評。
オンラインで人間と一緒にやろうとしても、発売当初から過疎になっておりマトモにプレイできない。
結果、オフラインでのストレスフルなごり押しゲーになりがちになってしまう。

次にキャラクリエイト。
公式PVで謳われている「10000種類以上の容姿」は、実際には種族以外は、首から上のパーツが数種類ずつ選べるだけ。
どんな計算をしても10000には遠く及ばない。
…そもそもキャラクターメイキングできるゲームで10000通りしかバリエーションが無いといっている時点で
失笑されるレベルではある。

そしてこの作品の最大の魅力である、極悪なDLC(有料ダウンロードコンテンツ)での搾取体制だ。
2人より多く自キャラを持ちたければ課金が必要、
異様に小さいアイテム保持数を拡張するには課金が必要、
デフォルト3種類以外の顔パーツを使いたければ課金が必要、
ステータスやスキルの再設定もDLC扱いで、課金が必要、
武器の強化に必要な宝石を楽に手に入れたければ課金が必要……
公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」などと課金合戦を煽っているが、あまりに熱心すぎてウィルスバスターが
本作発売前の公式サイトに対して「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と反応してしまった。
これらは本来どれも「無料で出来て当たり前」のことである。
その所業は「100年早いわー!!」と大喝されるべきものであろう。

「偽」りだらけの『剣投資』
「飾」って眺めるだけの『待』
「誤」ちだらけの『C18』
すわ、2011年はクソゲーたちによる三国志演義の開演か!?と色めきたつスレ住人。
しかし、集まったクソゲーたちの闘気に誘われ、また1つのクソゲーが武闘場へ足を踏み入れた。
しかも同一の作品の選評が3つ立て続けにやってきたのだ。
スレ住人は金色に輝く圧倒的なオーラを感じたであろう。
「バンダイナムコゲームス」の「3D対戦アクション」

その名を『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(スレ内呼称:UB)という。

説明不要、鳥山明による超人気コミック「ドラゴンボール」のゲーム化作品である。偉大な原作の人気に支えられ、
近年では堅実な出来のゲーム化作品が続いていた。
美しいグラフィック、派手なエフェクト、ストーリーモードの見事なアニメーションはファンを期待させた。 
だがその外見の美しさを以てしても、あまりの内容の無さを糊塗することは出来ていなかったのである。 
本格的な原作再現で人気を集める「レイジングブラスト」シリーズの流れを汲む本作であるが何と今回、大幅に
システムを単純化させてしまったのだ。
『UB』には昨今の格ゲーのようにプレイヤーに技術を要求する部分がほぼ無く、「QTE(クイックタイムイベント)」が
その代わりを務めた。
しかしこの「QTE」、ほとんどが単に運任せの「二択」で勝敗を決めるもので、戦闘時の攻撃、移動、必殺技、つまりは
ほぼ全てのタイミングで発生する。

つまり、どういうことになるのか?
ユーザーは延々とムービー付きじゃんけんを見せられるハメになるのだ。非常にストレスが溜まる作りである。
そしてプレイヤーの介入できる部分が極端に少ないので、駆け引きや腕を磨くといった格闘ゲームの楽しさを味わう
事ができなくなってしまった。
しかも演出、モーションは全キャラ共通で「キャラの個性」も何もあったものではない。
「ストーリーモード」は退屈極まりなく、主要キャラの一部がリストラされ、シナリオがひどくスカスカの歯抜け状態
になってしまっている。 
自作キャラを作成し活躍させられる「アバターモード」も存在するが、キャラクリエーションの自由度が非常に低く
体型は3種のみ、性別は男のみという有様。修行の内容が苦行でしかない、やることといえば単調な上記の戦闘を
繰り返すことのみ、と非常に残念な出来栄えである。
オンライン対戦も可能だが、ラグや回線切断が頻繁に発生してマトモにプレイできない、といったダメっぷりである。


そして年末、クリスマス。
1月に発売されてからほぼ1年、深き闇に沈潜せし巨凶がついに覚醒した。
「アクワイア」の「3DダンジョンRPG」

『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(スレ内呼称:亡霊)である。

「ウィザードリィ(Wizardry)」といえば30年の歴史を持ち、「ウルティマ(Ultima)」や「ローグ(Rogue)」と
並んでコンピュータRPGの原点、古典と言われ、後のゲームに多大な影響を与えた傑作である。
本作はシリーズ再興を掲げた「Wizardry Renaissance」というプロジェクトの最新作である。
当初、注目されていた「レベル99を超えると命中値がオーバーフローして0になる」不具合やセーブ不能バグ等は
パッチによって緩和されたのだが、選評によってとんでもない伏兵であった事が明らかとなったのだ。

それは「圧 倒 的 な バ ラ ン ス 崩 壊」である。

本作はシナリオ1、2、3に分かれているのが特徴だが、序盤といえるシナリオ1からすでに腐臭を放っていた。
「とにかく先にダメージを浴びせられるかどうかだけが勝負の決め手」と評されるバランスで
訓練された旧作ファンも苦笑いするレベルだった。
そして亡霊が大きくその顎を開くのは、ゲームのクライマックスであるシナリオ3に入ってからである。
「殺らせていただきます」とばかりにプレイヤーを全力で殺しにくるのは、何と通常エンカウントの雑魚敵だ。

「戦闘に突入したが何もできずに全滅させられてしまった」
ほぼ確実に、出会い頭の魔法、または状態異常を伴った通常攻撃によって全滅させられてしまうのだ。

最終シナリオに突入する事により、敵味方共にレベルが100以上に上昇するようになるのだが、
プレイヤーキャラクターの能力がレベル99までに頭打ちになるのに対し、モンスターの能力は信じ難いほどに
上昇してしまう。
その結果、最大限に育った冒険者達すら圧倒的な能力値を得た敵キャラ達に易々と先制を許してしまう。
そして苦楽を共にしてきたキャラ達が次々に惨殺されていくのを見る事しかできないのだ。
なぜこんなことになってしまったのか?
実はこのゲーム、同社のレベル99までしかないゲームのデータを流用しているらしいのだ。
「レベルを上げて物理で殴ればいい」とはあの『ラストリベリオン』のプレイヤーが生み出した金言であるが、
まさかプレイヤー側が殴られる側になろうとは…


クソゲーたちの暴虐はまだ終わらない。
年の瀬迫る12月28日、閉じられようとしていたKOTYの門をこじ開けた修羅の国よりの来訪者がいた。

「PIACCI」が放つ「ファミレス恋活ADV+SLG」

『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(スレ内呼称:pia4、Pアフォ)だ。
ちなみに「恋活」と書いて「バイト」と読む。

ファミリーレストランを舞台に同僚の女の子と仲良くなる「Piaキャロットへようこそ!!」シリーズの最新作だ。
元々、18禁PCゲームで移植元の評価も「エロ以外壊滅的」と評される代物だったが移植に伴い、
売りであったエロ部分を抜いてしまった。正に誰も望んでいない作品である。
しかも抜かれていたのはそれだけではなく、一部ヒロインの攻略ルートも廃止となっていた。
追加されたものといえば、何の前触れもなく発生する処理落ち、フリーズバグくらいのものであろう。
当初駄ゲー止まりという声も聞かれたが、選評者による血を吐くような手記が発表されるとたちまち再評価された。
まさに「汚名挽回」である。
手記には130KB、およそ小説一巻分に及ぶ文が認められており、各ヒロインルートの放つ強烈な毒電波と
まったく感情移入できない主人公により、次第に心壊れていく選評者の様子が鮮明に描かれていた。
(余談ではあるが、この総評の容量は約20KBである)
メインヒロインルート「毎日走ってたら最後は全力で走れるようになった。それだけ。隠しヒロインのおまけ。」
ヒロインAルート「頭が残念な従姉が大騒ぎしていたら、いつの間にか妊娠させていたでござる。」
ヒロインBルート「格ゲーしてたら彼女できた。何を言ってるかわからねーと思うが…。」
ヒロインCルート「男嫌いの女をストーカーしてたら、なんか相手が彼女になった。」
ヒロインDルート「趣味を理解してやったら彼女になった、それだけ。おまけで父親助けた。」
ヒロインEルート「ストーカーが落ち込んでるヒロインの心に付け込んで彼女にしてしまう。」
実妹ルート「実妹喧嘩したけど、仲直りしたら愛情が芽生えたので肉体関係をもちました。」
隠しヒロインルート「自分の夢の元となった少女と再会した、また夢に向かって頑張ろう。」
そう、このゲームは削除した18禁シーンの変わりになるシーンをまったく入れていないのだ。
その為シナリオには穴が開き、意味不明なシーンが多発。さらに主人公の奇行もプレイヤーを苦しめる。

ゲームの一日は
朝SLG:勉強・鍛錬・休養の他、女の子に会いに行く事ができる。
仕事SLG:ただの育成。
仕事帰り会話イベント:その日出勤している女の子に話しかける事ができる。
夜SLG:勉強・鍛錬・休養の他、女の子に会いに行く事ができる。
という流れになっている。
しかし、育成部分のパラメータ上げは盛大な徒労で、パラメータによって変わるものは各ヒロインルートの
エンディング成否判定のみなのだ。
この成否判定に失敗してしまったら、いくらヒロインとイチャコラしてもまったくの無駄になり
問答無用で全ルートで同一のBADENDに突入してしまう…

主人公「お前、この一ヶ月どうだった?」
妹「バイト楽しかったよ。私も成長できたし。」
主人公「ふーん。ほんとこの一ヶ月はなんだったんだろ。よくわかんね。」
妹「またこようね!」
主人公「そうだな、またバイトしにくるかぁ!」

ヒロインとどんな事をしようとも、たとえ目の前にいる実妹とHしていても、主人公はこう言い放つのである。
もはやプレイヤーは「主人公…ハエのようにウルサイ奴め。」と思うしかなくなるであろう。


1月、総評の作成に取り掛かろうとしていたスレに、1つのクソゲーが姿を現した。
実は9月に発売されていたのだが、英雄《ヒーロー》は遅れてやってくる。
2007年より5年連続でユーザーにクソを投げつけた、強豪「タカラトミー」の「わいわいボードゲーム」

『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(スレ内呼称:誤当地)
人生ゲームとしては3年連続の登場だ。

本作は前年のノミネート作、『人生ゲーム ハッピーファミリー』のマイナーチェンジ版である。
「基本MAPやBGMの種類は全1種」
「ミニゲームや特殊マスが無い」
「看板キャラ、天使と悪魔が不在」
「プレイヤーキャラは設定変更不能の10人」
「投げやり感溢れる+種類が少なすぎるイベント」
「行動が支離滅裂で、ルールを理解するどころではないAI」
と、前作の不満要素はもちろん完備。不可解な事に、人生ゲームの要素ではなく地方ネタイベントを追加して
おり、完全に増量するところを間違えている事、また追加されたイベントもいいかげんなものがほとんどの為、
「誤当地」と呼ばれるようになった。

○○県「○○(←名産らしきもの)おいしい」
△△県「△△ではカラオケに行くと必ず県歌を歌う」
××県「新幹線に乗ってきたからあっという間についた!」
といった具合である。すごく、投げやりです。

選評が来た当初は、「酷いとはいえ、イベントが増えている」という評価が多かったが、
検証者によって実際に多人数プレイされた結果が報告が届くと、その評価はとんでもない誤解だとわかった。
新事実として「ルーレットの出目が偏っている」という情報が浮かび上がってきたのだ。
その後、統計をとった結果「3」が多く(20%)、「7」が少ない(6%)となった。
また「おじゃましマス」の被害に遭うプレイヤーの確率が偏りも明らかにされる。
3人目か4人目が被害に遭う確率が7割、逆に一人目の回避率は異常と言っていいレベルだ。
明らかに調整ミスである。そして、
「ご当地ネタが何の脈絡もなく割り込んできて苦痛」
「ステータス1種変化するごとにアニメーションが入る、非常にテンポが悪い」
「つまらなすぎて途中で相方が寝てしまった」
ついには「人間関係にヒビが入った」という報告まで寄せられた。
友情破壊自体はこの種のパーティゲームの宿命ともいえるが『誤当地』の場合、「ゲームが白熱した結果」
ではなく、罪深い事に「ゲームを凍りつかせる要素が多発した結果」なのだ。
前述の全ての要素が絡み合い、プレイヤーを不快にさせるのだ。
前々作『人生ゲーム(Wiiware版)』のように「15ターン目に強制的にゲーム終了」という「救済措置」も無い。
「人生ゲームへようこそ! ここまでは楽しんでいただけたかな?」と言われても「もう帰る」とは言えず、
テンポが悪く、種類が少ない、ひたすらつまらないイベントを気が遠くなるほどこなしていくしかないのだ。


以上、7本のクソゲーがノミネートされた。
今年のKOTY選出は困難を極めた。例年は荒れる事があっても二強、多くてもせいぜい三つ巴であった。
しかし今年は7作全てが大賞となるポテンシャルをもち実力は拮抗、いずれも一歩も引かなかった。
しかも12月に選評が大量に来たこともあり、検証作業も難航した。1月は検証作業の月だったといってもよい。
当スレの勇敢なる検証班(クソゲーハンター)が出撃、数多の犠牲の果てに審議は進められた。
ある作品で評価点が見つかったと思えば、またある作品でクソ要素が新たに発掘され再評価されるという
具合で紆余曲折、有力作品は二転三転、議論は丁々発止となった。
そんな中、「動かざることクソゲーの如し」とそのゲー無性ゆえに常に不動であった『待』の存在は
特筆に値する。

それでは2011年据え置き版KOTY大賞を発表しよう。

『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』である。

前述の通り、今年の七英雄はいずれ劣らぬ猛者ばかりであった。しかも、様々なクソ要素をもった彩り豊かな
作品が揃った。単純なクソ要素の比べあいでは埒があかなくなっていた。
そこで重要となってきたのが「クソゲーとは何なのか?」という視点である。
本来、クソゲーとは「本来面白いモノがつまらなくされてしまったモノ」なのだ。
このゲームが本来もっていたはずの面白さとは何なのか? なぜ、それが潰されてしまったのか?
これが今年のKOTYを決めた視点である。

『C18』は演出で駄目になっているとはいえ、感動できるシーンは一応用意されている。
ボロボロとはいえ伏線も一応張られており、謎を解く楽しさの欠片は残っている…かもしれない。

『待』はフリーモードで街づくりの楽しさを少しだけ味わえる。

『剣投資』は工夫すれば乱戦の駆け引きが再現できるとの声もあった。

『UB』はキャラゲーとしては魅力が残っているともいえる。人選は微妙で、前作よりも大幅に数が減った
とはいえ64ものキャラクターがおり、画像も綺麗という事も評価点となった。

『pia4』はメインヒロインや隠しヒロインルートは及第点と評される事もあった。

『誤当地』はパーティゲームとしての楽しさとは正反対の存在であり、隙は無いように見えたがイベント数が
増えている事を評価する声がごく少数あり、最後の最後で大賞を逃した。

そして『亡霊』である。そもそも「wiz」というゲーム、現在良く見られるいわゆる「JRPG」と呼ばれるゲーム
に要求される要素、つまり美しいグラフィックも、重厚なシナリオも、魅力的なキャラも、よく練られた世界観も、
何ももっていない。そのようなハナから求められていないのが「Wiz」である。
では「wizの楽しさ」とは何なのか? モンスターを倒して経験値や強力なレアアイテムを入手し、キャラを強化
してさらに強力なモンスターを倒すというゲームスタイル、いわゆる「ハック&スラッシュ」を体現したゲーム
なのだ。このシンプルさ故に強く根源的な楽しさで、30年もの間ユーザーを魅了してきたのだ。
しかし、『亡霊』ではそれを全て台無しにしてしまった。
最大HPの数倍のオーバーキルを仕掛けてくる雑魚が最序盤から徘徊し、後半では完全に雑魚が倒せなくなる。
そこには戦闘の楽しみも無ければ、成長の楽しみもない。歴戦の冒険者にさえ「戦闘は非効率」と言わせる始末だ。
レアアイテムも収集しようにも、そもそもアイテムリストに入手不能のものが混入し、アイテムコンプリート不能
という仕様。おまけに最強レベルの武具が商店やDLCであっさり販売されている。
プレイヤーが技術や知識で打開できる余地など欠片も無い。
このように「本来面白いモノがつまらなくされてしまった」という視点で各ノミネート作を見てみると
『亡霊』は頭1つ飛び抜けていた。

終わってみれば2011年は過去最大級の祭りとなった。気付かれた方も多いだろうが、今年のノミネート作は
全て「シリーズ物」であった。皆、ゲームの面白さが評価された作品の後継者なのだ。
今年のノミネート作は本来であれば全て、良ゲーとして名を馳せるポテンシャルをもっていたと断言する。
現在ゲーム業界では、開発費の高騰、ゲーム離れによる市場縮小といった逆風が吹いている。
力を失った製作者は冒険する余裕を無くし、携帯機やモバイルゲームといった安価な制作環境や、すでに評価を
受けている作品の続編タイトルに目を向けている。
しかし、どのような作品を作るにしても、先人が積み上げてきたノウハウを疎かにしたものが素晴らしい作品
になる道理が無い。継承するにしても、打破するにしても、自分たちが乗り越えなければならないモノをしっかり
見据えねば先には進めないのだ。
七英雄はそんなゲーム業界の闇を表す嚆矢であったのかもしれない。
願わくばこの闇を払い、全てのゲームに携わる人々に平安が訪れますように…

最後に今年、特大のクソを2度もユーザーに投げつけた「アクワイア」に対し、あらん限りの呪詛を込めた
一言をもって2011年据え置き版KOTYの締めの言葉としたい。

「あくわ…あくどいわ、…逃がさん…お前だけは…」

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*総評案22(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)[#s7394e8f]
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前年王者『ラストリベリオン』は、KOTY(クソゲーオブザイヤー)に新たな歴史を刻んだ。
据え置き機ゲーム業界を「重厚長大主義」が支配し、意欲作が生まれにくくなっていた閉塞感……
そんな中で、颯爽と現れた次世代機の新星は、
「物理」の力で挑戦者を全て打ち祓い、KOTY史上初めての先行逃げ切りを達成する。
次々と門前払いを続けるその雄姿は頼もしくもあり、
一方で、ある種の不安をスレ住人達に植えつけていった。

「クソゲーが来なくなった時、我々はどうなるのだろうか」

果たして、その予感は現実となった。

2011年3月11日、日本を未曾有の大震災が襲った。
幾人のゲームを愛する者達が、同志が、志半ばに命を落としたことだろう。

日本中が喪に服し、「自粛」ムードが広がる中で、
ゲーム業界もまた、本来の輝きを失っていた。
クソゲーとはゲーム業界の暗部……
すなわち、光あってこそ濃やかに現れる闇である。
長い長い停滞が、KOTYスレに訪れることとなった。

雲間から光が差し込み、ようやく稲穂が実り始めたのは、実に10月のことである。
サイバーフロントによる恋愛ADV『code_18』(「c18」)。
神ゲーとして名高い『Ever17』を擁する「infinity」シリーズの最新作である。
だが、「c18(しーじゅうはち)」という不吉な略称ゆえに呪われる運命にあったのか、
発売当日に本スレでは購入者の悲鳴がこだまし、それを尻目にプロデューサーは雲隠れした。
本作の悪評を決定づけた最大の原因は、各場面を台無しにする演出ミスにある。
ひとたび電車に乗るとヒロインの家の中に移動しても轟音が鳴り続けたり、
感動の場面でキャラの顔が見切れているのはまだ序の口。
脱力モノの誤字脱字脱文のオンパレードに加えて、テキストとCGの不一致すら放置されており、
「真っ暗なお化け屋敷」は昼間の明るい教室で、
「文化祭のメイドコスプレ喫茶」の衣装はどう見ても普段の学校制服。
挙句の果てに、「スカイタワー」の展望台で展開されるクライマックスシーンでは、
何の脈絡もなく背景だけが「浅草寺」になり、呆気に取られるプレイヤーを置いてそのまま進行する。
シナリオの大筋を解説すると、作中で時間が循環している設定の「ループもの」である。
しかし、あろうことか周回ごとに攻略対象を完全固定しており、さかのぼっての攻略は不可。
BADエンドの分岐に気づかず上書きセーブした場合、問答無用で1周目からやり直しである。
プロデューサーは以前、「code_18はInfinityシリーズの入門編」と発言していたが、
よもや彼ら自身の(ゲーム制作における)入門編を指していたとは誰が予想できただろうか。

こうしてひと粒の収穫を分かち合うスレ住人たちであったが、この時はまだ誰も知る由もなかった。
立ち込める冬枯れの銀杏の香りに紛れて、
去年姿を見せなかった「年末の魔物」どもがこちらの様子を伺っていたことを……。

12月も近づこうとした時、突如KOTYスレを襲う黒い影が現れた。
D3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(「待」)である。
「街ingメーカー」は、本作で4作目となる人気シリーズ。
その特徴は何と言っても、「街の人々と会話して、意見を取り入れながら街を発展させていく」
という独自のジャンルを開拓したことにある。
だが本作は、前作まで各建物に入れたはずの主人公がなぜか出入禁止状態になっており、
街の人々は揃いも揃って「家に帰る」「仕事に行く」など、心底どうでもいい内容しか喋らない。
肝心の街づくりパートも、7140円のフルプライスを微塵も感じさせない仕上がりである。
ゲーム本編のBGMは昼と夜の2種類しかなく、建築可能な物件の種類も前作から激減。
学校は小中高大のどれでもない謎の「総合学園」と有料DLCの「伝統ある学園」のみで、
郵便局や交番など、最低限の社会インフラを司る施設すら存在しない。
街を開発するには「ポイント」が必要であるが、中盤以降は一、二個の物件を建てるだけで枯渇。
ゲーム内時間で一昼夜、実時間で10分が経過するまでポイントは振り込まれず、その間じっと待たなければいけない。
クリアまではたった6時間であるが、その大半は上記の「待ち」時間であり、空虚を極めることとなる。
いつしか本作は「街」づくりゲームではなく、『待』と呼ばれる何かとして扱われるようになった。

それと同日、コロッセオに殴り込んできた狂戦士がいた。
アクワイアの『グラディエーターバーサス』(「剣投資」)。
対戦格闘アクション「剣闘士」シリーズの最新作である。
電撃プレイステーションで『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得した本作であるが、
まずプレイヤーが目の当たりにするのは、キャラクター作成機能の前代未聞のショボさである。
公式PVが謳う「10000種類以上の容姿」は、実際には、種族ごとに首から上のパーツが数種類ずつ選べるだけ。
それもゲーム中は完全に兜に隠れるため、実質的なバリエーションはわずか3通り(「種族」)と肌の色しかない。
ゲームの内容はミッションクリア形式の乱戦バトルだが、
ステージの使い回し感が激しく、ラスト二回にいたってはほぼ同じ。
旧作で人気の操作体系を完全削除したため、
序盤は連打しかすることがなく、中盤以降もゴリ押しで同じ行動の繰り返しである。
一緒に闘うことになる味方NPCは三歳児並の知能であり、隙あらばパーティアタックやコンボ妨害を仕掛けてくるが、
敵CPUも頭が弱く、壁際に追い込むとほぼ無抵抗で一方的に殴ることが可能であり、イジメのような光景が延々と続く。
オンラインでの協力プレイや対人戦に楽しみを見出そうにも、発売数日後から絶賛過疎状態という有様である。
また、本作を彩る最大の特徴は、あこぎな有料DLC(ダウンロードコンテンツ)である。
2人より多く自キャラを持ちたければ課金が必要、
異様に小さいアイテム保持数を拡張するには課金が必要、
デフォルト3種類以外の顔パーツを使いたければ課金が必要……
公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」などと課金合戦を煽っているが、どれも「出来て当然」のことである。
アイテム強化のDLCは今流行りの「ガチャ方式」であり、パチンコのごとく射幸心を煽ることにも余念がない。
ともあれ、その商魂を讃えて、本作は誰からともなく『剣投資』と呼ばれるようになる。
かのウィルスバスターは本作の公式サイトを
「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と喝破したが、とんだ慧眼であったと言えよう。

こうして温まってきた武舞台に、凄まじい「気」と共に飛来する存在があった。
バンダイナムコの格闘ゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(「UB」)である。
本格的な原作再現で人気を集める「レイジングブラスト」シリーズの流れを汲む本作であるが、
何を思ったか、キャラゲーの核であるキャラ数を40人近く大幅削減。
悟飯(青年版)の代わりにキュイがいるなど、無駄にこだわった人選にも疑問符が付く。
大量リストラのしわ寄せはストーリーモードにも如実に現れており、
ベジータが死ぬ名場面では息子(トランクス)が声のみの友情出演という惨状。
人手不足を見かねたか、フリーザ戦で悟空が一人二役する奇妙なバグまで発見されることとなった。
さて、本作の肝を平たく言うと、「ムービー(QTE)中に二択のボタンでジャンケン勝負」である。
一見してわかる通り、格ゲーではなくただの「運ゲー」でしかない要素であるが、本作ではこの頻度が異常に高く、
通常攻撃、受け身、間合いの変更、必殺技……と、あらゆる局面でジャンケン、ジャンケン、ボタン連打の嵐。
演出もまた全キャラほぼ共通であり、キャラの少なさと相まってプレイヤーを瞬時に飽きさせる。
オンライン対戦も異常なまでにエラーが多発し、最後まで闘えるのは体感で5割以下である。
オリジナルキャラが作れるアバターモードは、そもそも選べるパーツが異様に少なく、
必殺技を覚えるための長時間の「修行」プログラムにも大量のスカが混入している「心折設計」。
その修行の中身も大半がジャンケンであり、フルコンプには単純計算で80時間の耐久ジャンケンを強いられる。
ともあれ、本作は幼児すら満足しかねる稚拙なゲーム性と苦行仕様で、偉大なるDBゲーム史に泥を塗ったのであった。

「魔物」たちの熱線に当てられたか、上半期の不発弾も突如誘爆を起こした。
PS3向けDL販売専用ソフト、『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(「亡霊」)。
古典RPGの金字塔である「ウィザードリィ(Wiz)」の再興を期して制作された作品である。
「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたい」
製作者たちがそう語った各要素について、以下に紹介していこう。
まず《緊張感》である。
Wizの魅力を端的に言えば「隣り合わせの灰と青春」。
全滅やキャラ消滅の恐怖と戦いながら、探索や宝探しを続けていくスリルである。
だが、本作で新たに「プレイ中に一切セーブ不能になるバグ」の恐怖が追加されるとは一体誰が予想できただろうか。
次に《悲壮感》。
発売数ヶ月後の新章配信と同時に、本スレには断末魔の叫びが一斉に響くこととなる。
そこではゲームバランスを無視してモンスターの能力だけが単純に倍加されており、
エンカウント・即・全滅の罰ゲーム状態となっていたのである。
クリアする方法自体は、「無いわけではない」。
普通にやれば適正レベル到達に数百時間かかるが、バグで増やした金で経験値を買う作業に徹すれば10時間。
エンカウント回避のDLCを購入したり、数歩ごとにセーブ&ロードを繰り返してひたすら敵を避けても良い。
だがこの一件で、制作会社がろくにテストプレイすらしていないという疑惑が決定的となり、
不出来なシステム、お使いだらけの単調なシナリオに耐えてきたプレイヤーもついに心折れる事態となった。
そして最後に《高揚》……であるが、
本作は少なくとも、ここにいる一部の好事家たちには熱狂的に歓迎されたと言えよう。
発売元はアクワイア。『剣投資』に続き、本年2作目のノミネートである。

そして、とどめとばかりに修羅の国の猛者も群雄割拠の風雲に乗じた。
『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活(バイト)〜』(「Pia4」)。
F&Cから出た同名のアダルトPCゲームを、PIACCIがXbox 360に移植したものである。
「Piaキャロ」シリーズと言えば過去に映画化も果たした一大ブランドであるが、
本作及び原作を一言で言えば「没落貴族」。
ヒラメ顔と化した旧作ヒロインや、サバンナにしか見えない「陸上競技場」の背景など、
中韓丸投げアニメのごとく崩壊しきった作画が哀愁を誘う。
不定期に起きるフリーズや、既読スキップ周りの不具合もある。
だが、本作の一番の問題点はシナリオである。
もともとエロの「つなぎ」でしかなかった代物から18禁部分を強引に削り取った結果、
ほぼ全てのキャラのシナリオが意味不明な超展開になってしまったのである。
その混沌ぶりたるや、「行間を読め」などという言葉で片付けられるものではなく、
「格ゲーをしていただけなのに、気付いたら彼女ヅラされていた」
「気付いたら従姉を妊娠させていた」
「気付いたら実妹と一線を越えていた」
と、身に覚えのない事実を次々と突きつけられるサイコホラーと化している。
素のシナリオはと言うと、主人公である「羽瀬川太一」が極めて不快指数の高い人物であり、
嫌がるヒロインの自宅のチャイムを毎日鳴らし続けるストーカー行為や、
一旦諦めた陸上をまた再開したいと言いながら一向に走らない「走る走る詐欺」に延々と付き合わされる。
また、恋愛ADVパートと並行して育成SLGパートもあるが、異様にシビアなバランスの割に、
セーブ&ロード画面の開閉で数十秒固まるもっさり感がプレイヤーを苦しめる。
パラメータはシナリオ本編に何の変化も与えないが、最後の最後で1つでも不足していると唐突に共通BADエンド。
その内容にも絶句せざるを得ない。
「この一ヶ月はなんだったんだろう(要約)」と、主人公が妹に吐き捨てて帰るのであるが、
たとえヒロイン(目の前にいる実妹含む)を攻略完了していようが完全放置であり、要するに「ヤリ捨て」である。
前述のストーカー行為も合わせて、主人公のクズっぷりは伊藤誠氏や鳴海孝之氏に肉薄していると言えよう。
より詳しくは、本作に特攻した勇者による130キロ恋活(バイト)に及ぶ渾身のプレイ手記を、ぜひ参照して頂きたい。

さて、役者が揃ったところで審議に入ろうという時に、一通の意外な選評がKOTYスレに訪れることとなる。
それによれば2008年KOTYの覇者であり、KOTYの常連でもある古豪「タカラトミー」が、
前年の審議に対する「申し開き」とも取れるソフトを発売していたのだという。
KOTYに対する再審議要求と言えば『四八(仮)』に対する支離滅裂な擁護で知られる「党首」が思い起こされるが、
一度決めた大賞は決して覆されることはなく、また、議論され尽くした結果に対して生半な反論は何の意味もなさない。
だが、タカラトミーのやり方は一味違った。
なんと、前回ノミネートの「人生2」のマイナーチェンジ版を、そのまま2011年KOTYに送ってきたのである。

それが『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(「誤当地」)である。
本作で5年目に突入したタカラトミーの連続ノミネート記録に敬意を表し、全力で検証が行うこととしよう。
まず本作は、申し訳程度の「ご当地」ネタが追加された以外に前作からの変更点が絶無である。
すなわち、プレイヤーが使えるのは基本的に、容姿と名前が固定された男女計10人のキャラだけであり、
生まれる子どもは男親の顔に女親の髪型を混ぜただけのオカマや、全く同じ組み合わせのクローンを量産。
イベント数は相変わらず極少のままであり、同じ子どもが麻疹にかかる様子を1プレイで何度も何度も見ることとなる。
また、新たな検証の結果、前回解き明かされなかったクソ要素がいくつも日の目を見ることになった。
ゴール付近では一発逆転のギャンブルがあるが、「とりあえず賭ければ当たる」上に「それだけで全て決まる」代物。
そもそもゴールしても総資産の発表など存在せず、何のためにゲームをしてきたのか全くわからない。
では今回新たに追加された分のご当地ネタはと言うと、クソである。
「長野県民はカラオケで必ず県歌を歌う」、「熊野筆はくしゃみを出すのに便利」など、地元民激怒の内容を混入。
日本各地の地元住人についても、2,3種類の汎用アバターを全力で使い回して横着しており、
鹿児島に出てくる「100歳超えのおじいさん」はどう見ても若いサラリーマンである。
こうして、クソゲーにさらなるクソ要素を盛り付けて、なおかつフルプライスで再販売するという前代未聞の蛮行……
もとい前人未到の偉業はスレ住民を震撼させ、本作は見事に再評価を勝ち取ったのであった。

以上、ノミネート7作品の紹介を終えたところで、大賞の審議に移ろう。
翻って見るに、今回の7作品は、それぞれが自らの得意分野において一撃必殺級の個性を持っていたと言える。
『Pia4』は歴戦のスレ住人たちをして「真面目にプレイした際の苦痛度では『四八』より上」とまで評せしめ、
クソ課金ゲーの地平を開いた『剣投資』、史上稀に見るクソ死にゲーである『亡霊』もまた威圧感を放っていた。
だが、それぞれのベクトルが違いすぎるゆえに、全てを同じ土俵に置こうとすれば不公平が生まれてしまう。
そこで今回は敢えて状況を限定せず、
「各々が個性を最大限に発揮した時、どれが最もクソゲーであるか」を競うこととしよう。
すなわち、ルール無制限の最強決定戦である。

各々が最強の武器を持った作品群が各々の武器で殴り合い、血煙舞う戦場と化した2011年。
最後まで生き残り、見事栄冠を手にしたのは……
『人生ゲーム ハッピーファミリー 御当地ネタ増量仕上げ』である。
なぜ前作からさほど変わらない本作が勝利したのか、疑問に思う諸氏もいることだろう。
一つには前述の通り、ご当地要素の追加とスレ住人の再検証によって評価が大きく下方修正された事情がある。
だが、それ以上の決定打となったのは、前作において見過ごされていた最大のクソ要素である。
曰く「クソゲーすぎて場が凍りついた」、「夫婦仲が険悪になった」、「友情ブレイクした」……
そう、このゲームの真価は「多人数プレイ」において発揮され、被害は自分のみならず周囲にも及ぶのである。
前作『人生2』は、虚無だった元祖『人生』に多少のゲーム内容が加わることで「改善」したと評価されていた。
だが、『誤当地』の再検証においてその考えは覆された。
本作では、パーティプレイ可能になったことで「桃鉄」などに付き物の友情破壊やイラつきの危険が生まれた一方で、
それを埋め合わせる爽快なゲーム性は一切「無」く、圧倒的な手抜き感と極少イベントのループ地獄がプレイヤーを襲う。
極めつきに、統計学的な検証によって確率処理がバグっていることが発覚し、
それまで数件報告されていた「特定の人にペナルティが集中する」という、最悪の友情破壊仕様の存在が確定した。
言うなれば、「パーティゲーム」と「ゲー無」の負のエッセンスが組み合わさることで、
どす黒い感情だけが螺旋的に高まっていく「クソのキメラ」となっていたのである。
「クソゲーとは何か」……
その答えは、時代や状況によって移ろうものであるが、今回はまさにコペルニクス的転回を見た。
これまで、クソゲープレイとは、忍耐する事と見つけられてきた。
すなわち、クソゲーハンターたるものは、孤独のうちに苦痛と闘う存在であった。
だが、『誤当地』の全てを紐解くためには一人プレイではなく、罪もない周囲の一般人を巻き込む必要がある。
そうなれば、友情や愛情をも犠牲にすることとなり、こちらの人生までもがクソゲー化してしまう。
かくして歴戦のスレ住人たちは「アキレス腱」を突かれることとなった。
「このゲームだけは決してプレイしてはいけない」
8年目を数えるKOTYスレ住人をして、そう思わせる新次元の恐怖が本作にはあったのである。

もしもクソゲーが最後まで現れなかったら……。
そんな諦念が長く尾を引いていた一年であったが、終わってみれば杞憂であった。
最初のノミネートからわずか2ヶ月半で7作品が集結する、カンブリア爆発さながらの事態である。
『c18』、『待』、『剣投資』、『UB』、『亡霊』、『Pia4』、そして『誤当地』。
これらは全てが「シリーズもの」のゲームであり、ファンを深く失望させたことから「七つの大罪」などと呼ばれた。
方針転換をしようとして完全に失敗してしまった作品、そもそも何故出したのかわからない作品もある。
だが、諸々の逆境の中でゲームの発売を断行したその勇気については、素直に讃えるべきであろう
まずゲームがなければ、それを取り巻く悲喜交々も存在しないのである。
そして、この世に生まれ落ちた全てのゲームは、それぞれ還る場所がある。
ゲームはゲーマーに、クソゲーはクソゲーハンターに……
失敗しても我々に背中を預けることで、臆せずなおいっそうの挑戦を続けて頂きたい。
願わくは、本年もゲーム業界全ての活力がますます栄えるよう、祈るばかりである。

最後に、2011年の土壇場に垣間見たクソゲー界の底力をここに讃え、この文章の結びと代えたい。

「クソゲーは滅びぬ、何度でも蘇るさ」
}}

*総評案23(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ) [#m15d3c97]
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2011年のKOTYは、ついに恐れていたものが来てしまった。
クソゲー日照りである。
長引く不景気、据え置き機の開発費高騰。そして言うまでもない3月の震災。
もはや据え置き機でKOTY級のクソゲーを出している余裕など、どこのメーカーにもなかったのだ。
今年はついに大賞なしの総評が書かれるかもしれない。
喜びと失望がないまぜの複雑な気持ちで、スレ住人たちはそんな事を思うのだった。
……勿論、それはとんでもない誤りだったわけだが。


この平穏を破る最初のクソゲーが現れたのは、もう10月に入ろうという秋の日。
サイバーフロントから発売された『code_18』は、神ゲーとして名高い『Ever17』の「infinity」シリーズ最新作だったが、過去作のスタッフはほとんど関わっていないため、シリーズファンたちはどうせ地雷だと諦めていた。
だが、それでも購入した彼らが目にしたのは、想像を遙かに超えた出来損ないゲームであった。

誤字脱字は当たり前、文章とグラフィックは全然違う、既読スキップは未読部分も飛ばす、電車の音が降りてさらに回想シーンに入っても鳴り続ける、などなど……。
「背景は部室なのにヒロインが教室の机の裏に隠れた後、会議室の机の後ろから様子を伺う」とか、もう何が何だか意味がわからない。
1つ1つは大きな粗とは言えなくても、とにかく数が多いのだ。弱いジャブでもマシンガンのごとく雨あられと浴びせられればKO級の威力になる。
こんな突っ込みどころ百連発状態では、真面目にゲームをする気も失せてしまうだろう。
それに数が多いという事は、どこにでもある、という事でもある。
そう、大事な大事なクライマックスでもこの手のミスが発生するのだ。

「障害になってた悪天候がやっと回復した! これでライブが出来る!」というシーンでは、画面で大雨が降り続いている。
タワーの上でヒロインと二人きりのシーンも、何の脈絡もなく背景が浅草寺に変わってしまう。その後タワーから沈む夕日を眺めるロマンチックな展開だというのに、背景は浅草寺のままご丁寧にも赤く染まるのだ。
これでは感動させるはずが、笑いしか浮かんでこない。
恋愛アドベンチャーというジャンルでは、シナリオと萌えさえ良質なら他がひどくても割と許されてしまうのだが、もはや物語面は絶望的である。
そもそも元々のシナリオからして「ヒロイン5人中4人は基本プロットがほぼ同じで、しかもメインシナリオにほとんど関係しない」
「高所に行く必要が出来ると、持ってる機械で飛行すれば済むのにわざわざ遠くのタワーへ向かう主人公(そこでクライマックスシーンなので、つまりクライマックスがほぼ無意味)」と、既に残念すぎる内容なのだ。
この台無しストーリーから萌えに逃げようとしたプレイヤーも、「眼鏡っ娘が眼鏡を外してキスをする」「学園祭でコスプレ喫茶」などのシチュエーションで期待させられたのに、
眼鏡かけっぱなしの一枚絵、コスプレのはずが全員制服のまま登場、と手ひどい裏切りを食らう羽目になった。
ちなみに数少ない過去作スタッフであるプロデューサーは元デバッガーである。お前はプロデュースの前にやる事があるだろう、と誰もが突っ込まずにはいられない。

攻略ヒロインが選べずゲーム周回数で完全固定なので、下手な場所でセーブしてバッドエンド突入したら1周目からやり直さなければならない仕様などもあり、さすが「C十八(しーじゅうはち)」という、どこかの伝説級クソゲーを連想させる略称は伊達ではなかったという事か。
ちなみにタイトルになったcodeと呼ばれる18通のメッセージは、プロローグに2通来た他は最終シナリオに突入しないと送られてこないし、同様のメッセージなのに何故かcode扱いでない物もあったりして、どう見ても持て余している。
終盤に9連続でcodeが届き、そのたびに実績がぽこんぽこんと連続解除されるさまはある意味一見の価値があるかもしれない。まぁ調子に乗ってボタン連打するとフリーズしてしまうのだが。

さらに11月23日には『街ingメーカー4』(インディソフト)や『グラディエーターバーサス』(アクワイア)が発売された。
気になるソフトの発売日が重なると、財布の中身がが寂しい人はさてどちらを買うべきかと大いに悩む事になるのだが。安心してほしい、どちらも文句なしのクソゲーである。

まず『街ingメーカー4』。
このシリーズは街作りシミュレーションなのだが、この手のジャンルによくある都市計画の要素を廃した代わりに、一人一人個性のある住民と親交を深めるADV要素を取り入れた差別化が好評であった。
のだが、今作ではそのADV要素をばっさりカットしてしまう。
かといって都市計画も、その他の要素も加えない。
残ったのは、建物を「建てる」「潰す」「眺める」、ただそれだけだ。

建造に必要なポイントはゲーム内の24時に支給されるが、時間の早送りが一切出来ないので実時間10分ほど待たされる。(しかも建物配置中は時間が停止する親切設計)
高レベルの建造物は1戸でほぼポイントを使い切るので、ゲーム後半は「ポイントを貰う→1戸建てる→10分待つ」だけのゲームとなる。
待ち時間に町を眺めてもいいが、昼夜以外の変化はないのですぐ飽きる。建物屋上に出現する星を7段ジャンプで取りに行けばポイントが手に入るが、24時支給の1/10以下のショボい量なのであまり意味がない。
最終的にはこの10分は、マンガタイムかテレビタイムかになるだろう。
ゲームクリアまで5〜6時間程度と短いのに、その大半は待っている時間という、待つ事こそがゲームであると言わんばかりの大胆なゲームシステム。
なるほど『待ingメーカー』とはよく名付けたものである。

『グラディエーターバーサス』はマニアックなバトルの剣闘士アクションとして知る人ぞ知る人気シリーズだったが、今作は「防具をひたすら攻撃して無効化する→防具のないそこをひたすら攻撃する」、
つまり同じ部位を延々ごり押し連打で攻撃するのが有効で、ミッションも代わり映えがしない物ばかりという、古代ローマならブーイング必至のしょっぱい戦いが延々繰り広げられる。

基本は3対3のバトルだが、味方AIが魔法をどんどん誤射してくるので、それで体勢を崩したりコンボ止められたりでやられる事もしばしば。
仲間に頼らず装備強化でパワーアップしようにも、まず敵が落とした装備を手に入れるために金を払う必要がある。
その装備から強化に使う宝石を取り外すが、それにも金を払う。
宝石をランクアップさせるには沢山の宝石と、やはり金が必要。
そうしてランクを上げた宝石を、強化したい装備に取り付けるが勿論金が(ry
金や宝石を集めるためにミッションを何度も繰り返さなければならないが、前述の通り退屈な上に、ムービースキップが出来ないので無駄に時間がかかる。
あまりのマゾさに「DLCの宝石パックを売るためにこんな仕様にしたのでは」と疑われる始末。
その宝石DLCで6000円分240個買っても最も必要なルビーの高ランク品が出なかったという報告、容姿のバリエーションが少なく「組み合わせ一万通り以上」という宣伝はどうも計算が合わない、
などの事から詐欺臭を感じたのはユーザーだけではなかったようで、公式サイトにアクセスするとウィルスバスターが「オンライン詐欺に関係している兆候があります」とメッセージを出す有様だった。

集結するクソゲーZ戦士たちを見て、オラも仲間に入れてくれとばかりに現れたのは、『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(バンダイナムコゲームス)だ。
国民的人気マンガが原作なので購買層が幅広いであろうこのシリーズ、その誰もが面白く遊べるようにと思ったのかシステムを前作より大幅に単純化。
だが勢い余って、対戦アクションゲームだったはずが2択じゃんけんゲームになり、誰もが面白くなくなってしまった。

ムービーは綺麗だが、ちょっと攻撃したり移動したり必殺技を撃ったりのたびにムービーが出て、どのボタンを押すかの2択じゃんけん。テンポが非常に悪いし、プレイヤーの操作する事も少ない。
じゃんけんなので腕を磨く部分もほとんどなく、ボタンさえ押せればチンパンジーでも勝てそうなゲーム性だ。
綺麗というムービーも、演出が全キャラ共通なのですぐに見飽きてしまう。
原作物なのにキャラごとの個性がムービーに出てないのはもちろん問題だが、そもそもキャラの人選もおかしく、主要キャラが抜けてマイナーキャラが入っていたりする。おかげでストーリーモードは歯抜け感が激しい。
いまいちなストーリーをスキップしようとしても、「スタートでメニューを出してボタンを押すと1人分のセリフをスキップ」という驚くほど面倒な仕様。

ストーリーモードでは隠し要素を開放するためのドラゴンボール探しも出来るが、ドラゴンレーダーがないキャラだとマップをしらみつぶしに探すしかない。
ドラゴンボールはマップ内に何個あるかはわからず、複数の場合も0の場合もある。
ちなみにストーリー数は50近く、ドラゴンボール入手の際に戦闘が必要な場合もあり、気が遠くなるような時間がかかる。
オリジナルキャラも作れるが、作成パターンは無限大と言いつつ、サイヤ人男限定なのでグラディエーターに匹敵するバリエーションのなさ。
必殺技やスキルを覚えさせようとするなら師匠と修行をしなければならないが、20人いるどの師匠のどの修行で覚えられるかはやってみるまでわからない、
修行の数をこなさないと師匠を変えられないので技を覚えた後も不要な修行をさせられる、とこれまた無駄に時間がかかる。
もはやこのゲームこそがプレイヤーに課せられた修行なのかと思ってしまうほどだ。
こんな超戦士を送り出しておきながら、PVで堂々と「オラたちに現金分けてくれ!」などと叫ぶのだから、さすがはまったくこりない悪びれないバンナムクオリティーである。

この活気づいた状況に、今までひっそり埋もれていた亡霊たちも目を覚ました。
『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(アクワイア)は、戦闘でレベルアップやレアアイテムを得てキャラを強くしていくハック&スラッシュの草分けとも言えるウィザードリィの新作である。
発症するとセーブが出来なくなるという、レアアイテム入手後に食らったら激痛のバグによって一時は話題になったものの、こまめなセーブをしていればダメージが少ないのでKOTYという程ではない、とされていた。
しかし3部作であるシナリオの3つ目に人々が到達する頃には、セーブバグなど序の口に過ぎなかった事が明らかになる。
それは恐ろしいまでのバランス崩壊。
元々難易度の高いシリーズではあったが、もはやそんな次元の話ではない。

シナリオ2までは99に抑えられていた敵味方のレベルがシナリオ3で開放されるのだが、プレイヤー側の能力値は上限が低いため早々に頭打ちになり、レベルを上げてもHPくらいしか上がらない。
だが敵側はレベルに応じてどんどん能力値が上がっていくため、終盤ではステータス差がとんでもない事になる。
そんな状況で敵とエンカウントしたらどうなるか。圧倒的な素早さで先制され、圧倒的な火力で1ターンキルされるのみである。
頑張ってHPを水増ししても1ターンキルが2ターンキルに変わるだけ。即死や気絶の全体魔法が飛んできたら、能力値差からかほぼ効くので、せっかくのHP増加も無意味に終わる。
もはや生き残るには、エンカウント阻止のアイテムを使うしかない。ハック&スラッシュなのに敵と戦闘してはいけないという、意味不明な事態になってしまうのだ。
金で経験値が買えるので、それを利用してレベルを極限まで上げればさすがになんとか勝負にはなるのだが、そこまでの金を稼ぐには裏技を使っても1キャラ辺り10時間はかかる。

防具が紙同然なので回避率が重要になるが、回避高い装備は女性専用なので男性の存在価値はない。
HPも素早さもない種族は当然使い物にならない。
1ターンでほとんど片がつくので、使用スキルの発動が次ターンになる職業は役立たず……とキャラメイクも楽しめない。
最強クラスの装備が早めに店売りされたりDLCでの購入が出来たりするし、アイテムリストに入手不可能な物を入れてしまいコンプ不可だったりと、アイテム集めの楽しさも妨害される。
伝統のウィザードリィブランド復活を目論んだはずが、この出来では蘇生失敗で「*はいになった*」と言わざるを得ないだろう。

『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(PIACCI)も埋もれていたクソゲーの1つだ。ちなみに「恋活」は「バイト」と読む。
1年以上前に出たエロゲーの移植で、しかも「エロ以外はクソゲー」と言われていたゲームである。
コンシューマー機に移植するからには当然エロ部分は削除するわけで、「エロ以外はクソゲー」から「エロ」を引けば……答えは明らかだろう。
こうした移植ではエロ部分を抜いた代わりにイベントを補填したり、攻略キャラを増やしたりするのが普通だが、このゲームはHシーンをただカットしただけ。
そこに親密イベントがあったとしても何もフォローがないので、PCの操作を教えるとか遊びに行ってゲームをするとかその程度の事しかしてないのに、知らない内に恋愛感情が芽生えていた事になっている。
さらには、いつの間にか肉体関係を結んだ事になってたりする。
恋愛アドベンチャーなのに恋愛部分すっ飛ばし。
しかも攻略キャラが増えるどころか、逆に減っている。
公式サイトにはコンシューマー版で使っている絵の大半が公開されている事もあり、18歳以上ならエロゲー版を選ばない理由が見当たらない。

勿論クソ移植だから即クソゲーというわけではない。先述の通り、恋愛アドベンチャーはシナリオと萌えさえ良ければ何とかなる。
が、シナリオは恋愛部分すっ飛ばしな上に、そもそも中身が薄い。
起こる出来事がちょっと喧嘩したとか皿を割ったとかその程度で盛り上がりに欠け、珍しく事件だと思えば「溺れる幼女を助けたら見直してくれた」「トラックに轢かれそうで危ない!」など既視感ありまくり。
斬新な展開と言えば、ヒロインに相談された悩みを解決したのが主人公でない別のキャラ、というくらいか。全く誰得すぎる展開だが。

グラフィックのクオリティーもいまいちで「キャラの半分はできるだけテキストウィンドウから上を見たくない」などと言われる始末。
(陸上競技場に木が茂っていてサバンナにしか見えないなど、背景もひどい)
男嫌いなどの個性があっても掘り下げられる事はなく、それどころか一瞬だけ出てきてはすぐ忘れ去られる設定ばかり、と萌えについても落第である。

このゲーム、実は主人公のパラメーターを上げるシミュレーションの要素もある。のだが、途中のシナリオには何の影響もなく、エンディングの時点でグッドかバッドか分岐するだけの存在である。
仕事によって上がる数値が違うが、どれも満遍なく上がる職種をずっと選んでいるだけでほぼ問題ない。
ただしうっかりグッドエンドの規定値を下回ると、そこまでシナリオが理想的に進んでおり、肉体関係になったヒロインが目の前にいても、
「この一ヶ月は何だったんだろう。働いた思い出くらいしかない」などと言い放つ鬼畜野郎に大変身である。

他にも、自由移動できる場所は19ヶ所もあるが半分以上はゲーム全体を通して一度もイベントが発生しないとか、
セーブファイル数が増えるとセーブ画面を開くのが異様に遅くなるがゲーム中にセーブファイルを消す手段がないとか、
アドベンチャーゲームのくせに処理落ちが発生するとか、クソ要素は盛りだくさん。
全シナリオをクリアーした者の怒りに満ちたレポートは、実に130キロ恋活(バイト)、文豪夏目漱石の「坊ちゃん」をも超える文字数だったとか。

そして最後にやってきたのがご存じタカラトミーの、これまたご存じなあのシリーズ。『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。
もうKOTY3年連続登場の常連であり、内容的には前作とほとんど同じなので説明するのも面倒くさいが、キャラが少ないマップが少ないBGMが少ないイベントが少なくてダブる上につまらない、
メインマップからミニマップに飛ぶとイベントはさらにダブるし頻繁に入る能力上昇アニメがテンポ悪くイライラ、最後のギャンブルだけで大きく稼げるので途中経過にあまり意味がない、などなど。
まぁ詳しく知りたければ2010年の選評を見てほしい。

タイトルにもある新要素のご当地ネタは、通常のイベント同様につまらないしやっぱり頻繁にダブるので、ちっとも盛り上がらない。
さらに「長野ではカラオケで県歌を必ず歌う」など誤情報が混じってるので、豆知識としても役に立たない。
つまり新要素は全くプラスになっていない。
プレイ人数が増えるほどイベントはダブりテンポも悪化、「会話がなくなった」「喧嘩になった」「寝られてしまった」などの報告が相次ぎ、パーティーゲームなのにパーティー持ち込み禁止な危険物と化している。
今年は確率も検証された結果、ルーレットで3が出る確率が際立って高い、「おじゃましマス」で3人目か4人目が被害に遭う確率が7割、など明らかに異常な偏りが検出された。
運勝負の双六ゲームなので、確率がおかしくても勝負にはあまり関係ないのだが、技術力の低さがうかがい知れる話ではある。


前半の日照り状態はどこへやら、終わってみれば候補7作と盛況だった2011年。
さて、本年度の栄えあるKOTYを発表する……その前に、候補作たちが持つ1つの共通点について話をしよう。

お気づきの方も多いだろうが、この7作は全て「シリーズ物の続編」なのである。
これは意外な事ではない。冒頭で述べたように不景気や震災で苦しいこのご時世、オリジナル新作で勝負をかけるのはなかなかに勇気が要る。
知名度があり、購買数も読みやすいシリーズ物が多くなるのは必然とも言える事だ。
だがシリーズ物は、プレイヤーが前作との比較で評価してしまいがちである。
そのゲーム単体ではクソでもないのに、前より劣化したというガッカリ要素のみでクソ呼ばわりされるゲームのなんと多い事か。
実際2011年はいくつもの大作続編がガッカリというだけでKOTYスレに持ち込まれたし、テンプレにも前作との比較を戒める言葉がある。

しかし、だ。そんなガッカリとは限りなく無縁に近いゲームが存在していたのだ。
そう、2011年のKOTYに輝いたのは、『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。

今回の7作はいずれも甲乙……いや丙丁つけがたい実力伯仲のクソゲーたちだ。
だが、ゲーム単体のクソさで吟味するとは言っても、シリーズの存在を完璧に頭から消し去れるわけではない。
前作との大きな落差で、クソさをより強く印象づけられてしまっている――そういう事がわずかながらもないのかと問われれば、100%の否定は出来ないだろう。
しかし前作と変わらない人生ゲームは、このような負のシリーズ補正が存在しない。
にも関わらず他の候補たちと互角のクソゲーっぷりを見せているという事は、真にゲーム単体のクソさが高いのは人生ゲームである、と考えるべきだろう。

また、これは脱線した想像に過ぎない話だが、ある種のロマンも感じずにはいられない。
シリーズ物のクソゲーによって、ファンの心は深く傷つけられ、ブランドは汚泥にまみれた。
だが制作者がそれを望んだわけではないはずだ。
そんな事をしても何のメリットもないし、彼らなりに新しい試みを工夫した形跡は見られる。
ただ勘違いや失敗、無能などによってうまくいかなかったのだろう。
しかして、人生ゲームはどうだろうか。
既にクソゲー歴は3年目、当然プレイヤーからの苦情はいくつも届いており、制作者も欠点を把握していて当然だ。
ご当地ネタなどを突っ込んでみても、その程度ではたいして面白くもならないし、そもそも根本的解決にはならない事も明白なはず。
それに、一体誰がこのゲームを買うのだろうか?
前2作のプレイヤーが買うなど考えられない。
買っていなくとも、検索すればKOTY以外にもクソゲー評価のレビューには事欠かない。
去年まで手を出さなかった者が、今作を急に買う可能性も低い。
つまり「今年Wiiを買い、人生ゲームに興味はあるが、事前に評価を調べない人」という非常に限定された層ぐらいしか購入者がいないのだ。
こんな生まれた瞬間から産廃のようなゲームを、不況だ震災だと大変なこの時期に堂々と出してきた、その行動には強い意志を感じざるを得ない。
世間がどうだろうと関係なく、自分はただただ自分の信じるクソゲーを作り続ける……そんな頑固一徹のクソゲー職人の姿がここにはある。

大賞なしかと一時は危ぶまれもしたが、結果を見れば近年まれに見る盛況となった2011年のKOTY。
つまりは不況があろうと災害があろうと、時代がいかに変わろうとも、クソゲーが消えてしまう事はないのだろう。
世の中にゲームがあり、人生の全てをクソゲーに捧げているようなクソゲー求道のマイスター・タカラトミーのような会社がある限りは。

では最後に、この栄えあるクソゲーを世に出したタカラトミーに次の言葉を贈る事で、2011年クソゲーオブザイヤーを締めくくりたい。

「そんな人生は、いいかげんもうやめてください」
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*総評案24 () [#l0eb0ec5]
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