総評案 その1(ラストリベリオン)

2009年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)は、5人の「四天王」が争う戦乱の時代であった。
なかでも、その戦を制したPCゲーム界からの刺客『戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜』は、
スレ住人たちの知らない異国から訪れた黒船であったといえるだろう。

クソゲー戦国時代が終わりを告げた1月26日、
久々に訪れた平穏に、スレ住民はいつしかこのような思いを抱いていた。

「さすがに、今年は四天王のように酷いクソゲーは出ないだろう」

だがそんな予感は、2009年の総評が決定した2日後、1月28日に早々と裏切られることになる。
本来であれば2009年末に発売され、年末の魔物として争うはずであった
日本一ソフトウェアのソフト『ラストリべリオン』(通称『ラスリべ』)の到来である。
タイトル通りRPGの基本に真っ向から反逆している『ラスリべ』は、発売前からどう見てもPSP以下のグラフィック、
面白そうに見えない物語、手抜きにしか見えないPVなどの不安要素によって本スレが過疎化、
購入者は勇者と呼ばれるほどという、いわゆる「見えている地雷」であった。
RPGとして重要な戦闘システムは、斬新だが無意味。
物理攻撃を当てつつ、多彩な魔法(火、水、銅、ミスリル、アダマン属性など多彩すぎて意味不明な属性も多い)を
当てていくという本来の仕様は、レベルアップによってパラメータが劇的に上がるため意味を成さない。
10か所近い部位を総当たりしながら弱点を探すといういやがらせのようなシステムも、物理攻撃で力押しをすればいい。
結局、攻略法は「レベルを上げて物理で殴ればいい」に集約されるのである。
あまりの理不尽さから「ランダム式シンボルエンカウント」と評されたシンボルエンカウントは、
どんなに距離があっても最短距離で追いかけてくるため、すぐに捕まってしまう。
しかも、戦闘に入るとこちらのレベルが高くない限りほぼ逃げられず、
苦労して倒しても復活時間がランダムのため、その場で復活して再戦闘に突入するなど油断がならない。
もちろん、戦闘後や逃亡後の無敵時間もない。
モンスターは色違いの使い回しが多く、ダンジョンの奥にいるボスもほとんどが色違いである。
後半のダンジョンに至っては、色違いすら放棄し、大きさも色も同じだが名前だけ違うモンスターまで平気で出てくる。
8体いるという隠しボスは、「プリニー」と「みかん」という2体の日本一のコラボキャラの名前違いでしかない。
「プリニー?」から「プリニー?」までがランダムで会話もなく出現するという手抜きっぷりには頭が下がる思いである。

最後の希望であるシナリオは、町も店も宿も無い世界で、棒読み英語音声で喋る10人以下の登場人物が、
世界の危機を救う起承転結無視&打ち切りENDの物語という、感情移入もクソもない中身であった。
しかも、RPGなのに10時間程度で終わるという短さである。

その酷さに攻略Wikiでは発売日直後から「他のゲームを買った方がいい」と呼ばれ、
海外レビューでは「存在自体が不要」とまで言われた『ラスリべ』。
年明け早々現れた魔物によって、その後もさまざまなガッカリゲーが物理で打ち払われた。
そのため、このソフトは「門番」と呼ばれてスレ住民に恐れられた。

そして、4月28日。2体目の魔物が現れた。
乙女ゲーという未知の国からやってきた『ラブルートゼロ Kisskiss☆ラビリンス』である。
これは、ケータイ雑誌マンガwakkerに掲載された、無料ケータイコミック「ラブルートゼロ」を題材にしたAVG。
主人公含めて魅力皆無のキャラクター、簡単すぎるキャラクター攻略、まったく必要のないRPG風の戦闘など、
やっぱり見えている地雷と言われていた。
AVGなのに、スキップ速度も遅くクイックセーブもないなど、10年以上前のシステムは、
整合性の取れていないシナリオと同人以下の絵と文章により、やる気を奪う。
敵は1体ずつ、かつ1種類。ラスボスも雑魚の豪華版という適当なRPG部分は、
序盤でダメージがカンストするため「ひっさつわざ」を見ることもできない。
また、探索部分はランダムでイベントが発生するため、セーブ&ロード必須という不親切さである。
フラグ立てもおかしく、システムのせいで豪華な声優陣も台無しになっている。

なお、攻略対象キャラの一人である物理教師「西岡 輝政」が万能すぎるため、
ゲーム中の事件は彼によってすべて解決する。ほかのキャラに存在意義はない。
ちなみに、13か月にわたって、5回の延期を繰り返した本作は、ゲーム自体の出来もさることながら
製作元のディンプルが発売後に倒産したため、ゲーム制作どころではなかったのではないかと噂されている。

こうして出現した2体目の魔物と『ラスリべ』は、仁王像のごとく次々とガッカリゲーを門前払いしていった。
それに対抗すべく、前年度の覇者の続編『戦極姫2』と『人生ゲームハッピーファミリー』が登場したが、力及ばず門番の前に敗れ去る。

気がつけば、2010年は『ラスリべ』と『ラブルート』の一騎打ちとなっていた。
そして、一騎打ちを制したのは、……年明けから門番として活躍を続けた『ラスリべ』である。
受賞理由としては、バグなどのないストロングスタイルであったこと、
情報が出れば出るほどクソ要素が発覚し、ジャブのようにプレイヤーの心を打つという
ただ遊んでいてつまらない、すべてがかみ合わないクソゲーであったことが大きい。
ちなみに、日本一アメリカの社長は、、本ソフトを発売したこと自体が申し訳ない、
とインタビューに答えていたことも付け加えよう。

終わってみれば、今年はゲーム業界の主戦場が携帯ゲームに移行したことを示す穏やかな年であった。
そのなかでも、頭角を現した二強は、どんな時代でもクソゲーはなくならないということを示す結果であろう。
最後に『ラストリべリオン』を制作し、日本一を困らせた制作会社ヒットメーカーに一言添えたい。

ヒットメーカーってメーカー(日本一)をヒットするって意味じゃないですよね。

総評案 その2(ラストリベリオン)

2009年のKOTYは、修羅の国、PCゲーム界からやってきた黒船、「戦極姫」が見事大賞を獲得した。
その他にも個性的かつ非道な4作品がノミネートされ、大いに盛り上がりを見せた。
そして総評が決まった1月末、スレ住人には危惧していたものがあった。

「今年、五人揃って四天王をすべて打ち破るようなゲームは果たして現れるのか・・・」

その期待と不安は、総評決定の2日後、早くも実現することとなる。

1月28日。この日は大作ゲームが次々と発売され、ゲーム業界は賑わいを見せていた。
そんな日に、KOTYスレも思わぬ賑わいを見せることとなる。
制作ヒットメーカー、販売元日本一ソフトウェアが放り込んだPS3「ラストリベリオン」(通称ラスリベ)である。
あまりにも地雷臭がするため、本スレは完全に過疎っていたが、その予想は見事的中する。

まずシナリオ面。
この作品は話が全編英語で展開される。ただ、その英語音声が日本語のRPGらしい字幕と見事に噛み合わず、不協和音を醸し出している。
しかもシナリオの内容も非常に薄く、町も1つ(それも町とは呼べないようなもの)しかなく、週刊誌の漫画の打ち切りENDのような終わり方をする。
普通にプレイするとクリアまで13時間程度。打ち切りENDにふさわしい時間だ。

次にシステム面。
装備はアクセサリーとして「耳」「指」「腕」があるが、能力上昇はわずか。非常に空気である。
町にある家には入れず、街人への聞き込みもまったく必要ない。非常に空気である。
画面右上のエリアマップも非常に分かりづらい。むしろ不要である。

最後に戦闘面。
エンカウントはシンボル式だが、逃げることはまず不可能で、実質ランダムエンカウントと変わらない。無敵時間もなく、非常に不便である。
戦闘は非常に多様かつ複雑なシステムであるが、非常に空気である。
「レベルを上げて物理で殴ればいい」この一言で片付いてしまうのだから。
ちなみに、このゲームはレベル上昇時のステータスアップがインフレしており、HPは1レベルにつき1割増える設計だ。なお、ステータスは参照できない。

このようにゲーム業界に字の如く反逆を仕掛けてきたラストリベリオン。
これがKOTY2010の始まりであり終わりであることは、まだスレ住人の誰も知るはずがなかった。


丸3ヶ月後の4月28日。
乙女ゲーム業界からの新たなる刺客、PS2「ラブルートゼロ kisskiss☆ラビリンス」(通称√)が放たれる。
このゲームは13ヶ月、計5回にも渡る延期を繰り返し発売されたゲームである。
しかし、制作の延期は必ずしもゲームの出来に結びつかない、それを大きく証明してくれた。

まずいい所。
声優が豪華。以上。

悪いところは多々あるが、シナリオもキャラも凡以下、システムは10年前仕様である、と肝心のADV部分も散々な出来。
それ以上に酷いのが戦闘。
「なぜ入れたんだ、文章で済ませればいいじゃないか」とも思われるこの戦闘、敵の種類はなんと1種類。
色違いですらなく、ラスボスも全く同じである。
先述のラストリベリオンや昨年の黄金の絆はボスと雑魚を色を変え使いまわしていたが、これは全てひっくるめて使いまわしている。
また、このゲームの戦闘も物理で殴ればよく、レベル上げの必要すらない。序盤からダメージカンスト(999)が起こるほど。
麻痺の状態異常があるが、これ自体バグっており、普通拝めないが、拝むときはリセットをすることになるだろう。


このように2本続けて「薄い、つまらない」クソゲーが飛び出した2010年。
これ以降、この2本は門番として恐れられることになる。

そんな中6月24日、昨年のKOTY大賞受賞作の続編が、満を持して登場する。
Xbox360「戦極姫2〜葉隠の乙女、風雲に乗ず〜」(通称姫2)である。
昨年乗り込んできた戦極姫(PS2版)は、KOTYを阿鼻叫喚の地獄へと陥れた。
そのせいか、今作のハードルはものすごく上がっていたが、それに恥じないクソっぷりであった。

前作から改善されたのは挙動の改善くらいであり、長いロード時間やバグは健在である。
前作と全く一緒な軍資金がいきなりMAXになるバグを始め、
攻撃力が上がったと表示されたのに防御力が上がっていたり、立ち絵の背後に表示される人間が増殖したり、
立ち絵すらなく、白い壁が出現することまである。
また恐怖のブラックホール城も確率は下がったが健在であり、発現すればリセット確定である。

このように前作から中途半端な改善状態のまま送られた戦極姫2。
改善されたとはいえ商品以下から商品になっただけであり、クソさは健在であった。
ちなみに、開発したシステムソフト・アルファーは2月、6月と携帯機で2本のクソゲーを輩出している。
いったい、この会社からクソゲーは出ない日はいつになるのだろうか。

なお、12月に発売されたPSP版とPS2版は、バグも殆ど治っており、普通の出来に(ようやく)なったことを追記しておく。
PC版を含めると、足掛け3年でのバグ解消であった。


ここからKOTYスレは長い長い日照りを迎えることとなる。
5ヶ月もの音沙汰無い期間を過ごすこととなり、11月、住人が危惧していたのは、「年末の魔物の出現」である。

そんなことを言っていた11月11日。昨年の門番が、今年は製品版となって襲いかかる。
タカラトミーが発売した、Wii「人生ゲーム ハッピーファミリー」(通称人生)である。
この1ヶ月前、10月12日に昨年のKOTY次点「人生ゲーム」の配信終了と入れ替わりに「人生ゲーム ハッピーステップ」が同値段で配信された。
こちらは人生ゲームとしての体を(何とか)成しており、1000ポイントという低価格から選外となった。

しかしこの6090円で発売された本作、Wiiウェア版と殆ど差がないのだ。
当然時間設定、ミニゲームやカードはない。MAPも1種類で、学校もない。なんか昨年のデジャヴだ。
職業と恋愛はかろうじてあるが、大幅に縮小されており、殆どあってないようなものとなっている。
追加された家族システム、ハピネスモードも、前者はイベントの少なさ、後者はお金が幸福度に変わっただけでなぜ存在するかすら不明である。
目玉としてMiiが使える、というものがあるが、これも最初は隠されている。むしろこれが唯一と言ってもいい隠し要素だ。
このあってないような追加要素を込めて値段は5090円上昇している本作。
この値段設定は、薄さがより際立つものとなってしまった。


今年はラスリベ、√、姫2、人生と、個性的な4作品がノミネートされた。
例年より数は少ないものの、内3作品は「薄い」という作品。今年を象徴させるものとなった。
また、いわゆる「年末の魔物」、というものが殆ど無かった今年。
来年も、どうか魔物が来ないように祈りたいところだ。


それでは今年の大賞を発表しよう。
大賞は、「ラストリベリオン」である。
受賞理由はとにかく「やってて面白いところが全く無く、苦痛である」という点だ。
このゲームの良いところはトロフィーが早く溜まる、という1点のみで、とにかくどこをとってもいいところが見つからないのだ。
無と無を掛けあわせ、つまらないを超えて苦痛となる作品が出来上がったのだ。
バグが殆ど無い、それにもかかわらずつまらない、という、今後のクソゲー界に不安を与えるようなゲームであった。
ちなみに、米日本一ソフトウェア社長は、「このゲームを発売したこと自体が申し訳ない」、とインタビューで答えている。
それほどまでに、「なぜ出したのか」、この言葉がしっくり来るクソゲーであった。


今年は1月に発売されたラスリベが、今年の作品を全て蹴落し、大賞に輝く形となった。
最後は門番2名、ラスリベと√による一騎打ちとなったが、
手抜きとすら言えないような圧倒的なつまらなさに苦痛を掛けあわせたラスリベが、辛くも勝利した形になった。
当然√もつまらなさでは群を抜いていたのだが、何もかもに蛇足感があったラスリベには惜しくも敵わなかった。
また、2008年「ジャンライン」以来の次世代HD機でのクソゲー、そして「つまらないを極限まで追求した」クソゲーの登場は、今後のクソゲー界への不安要素を与える形となった。
クソゲーも、次世代へ移行するという兆しなのだろうか。
しかし、√という乙女ゲーム界からのクソゲーの登場も見逃せないものである。
もう、異国船は要らない。来年は来ないことを祈りたい。

では最後に、「ラストリベリオン」を制作したヒットメーカーに言葉を贈って、今年のKOTYを締めくくることとする。

「こんなクソゲー、お蔵入りにして、世に出さなければいい」

総評案 その3(ラストリベリオン)

2009年のKOTYは修羅の国ことPCゲーム業界からやってきた「戦極姫」が見事大賞を獲得した。
有料αテストを家庭用ゲーム機で堂々とやってのけたその様は2009年のクソゲー界を代表する出来事だったであろう。
その他にも実体のないクソゲー「人生ゲーム」、製作サイドの奇行が目立つ「黄金の絆」、
滑ったバカゲー「Let’s 全力ヒッチハイク!!!!!!!!!」、KOTY住人達ですら検証に戸惑った「戦国天下統一」など
多彩なタイプのクソゲーがノミネートした。

そんな2009年の総評がまとまり2日後の1月28日、油断していたKOTYスレを奇襲するかのごとく、いきなりクソゲーが現れる。
本来ならば2009年末に発売される予定であった日本一ソフトウェア、PS3「ラストリベリオン」(通称ラスリベ)の到来である。
この日には大作ソフトの発売が多く本スレも過疎だった上に、PVなどの前情報から最初から見えている地雷と言われ続けていたが、その予想は的中した。
まずRPGにおいて最も重要な戦闘システム、レベル上昇時のステータスアップの調整が明らかにおかしく
体力は1レベルにつき1割増える、そもそもほとんどのステータスは確認することが出来ない。
魔法はかなりたくさんの種類と属性があるがほぼすべてが役に立たず、
後半になるほどバランスは崩れるので戦闘の攻略は「レベルを上げて物理で殴ればいい」の一言ですべて解決する。

次にシステム面、見にくく迷うばかりのミニマップ、ほぼ逃げることは出来ず無敵時間も無いシンボルエンカウント、
長いロード時間など微妙にストレスのたまる要素が次々とプレイヤーを襲う。
その他にも数え切れないほどの出来の悪いシステムが少しづつプレイヤーを苦しめる。
唯一いいところといえばトロフィーが取りやすいところくらいだが
そのトロフィーまで持っていると恥ずかしいと言われてしまう始末であった。

最後にシナリオ面、このゲームは日本製だが日本語字幕+英語音声フルボイスで、
女の子の「パパ」とか言うセリフが「Oh Daddy!」など違和感全開の仕様であり、その上ボイスは棒読みである。
ストーリーは世界を救うシナリオであるにもかかわらず町も店も宿も無く、登場人物も10人以下のためスケール感が非常に小さい。
しかも打ち切りエンドの終わり方でRPGなのにエンディングまで10時間程度という薄さである

いきなり強力なクソゲーが1月に現れ、その後さまざまなノミネート候補のゲームがラストリベリオンによって倒されていった。

ラスリベ登場から3ヵ月後の4月28日
去年の黒船来航に刺激されたのか乙女の国からもPS2「ラブルートゼロ kisskiss☆ラビリンス」(通称√)が放たれる。
13ヶ月、計5回にも渡る延期を繰り返し発売され、魅力の無いキャラクター、
どう考えても必要の無いRPG戦闘などこれもまた見えている地雷と呼ばれるものであった。

まずはおそらく主要な購入層が一番気にするであろうシナリオ面。
主人公は空気であり、塗り忘れもある同人以下の絵、魅力の無いキャラクターと文章、
誰でも簡単に予想できそうな話の展開などにより、唯一まともと思われる豪華な声優を味わうために買った人ですら攻略を投げてしまう。その上ストーリーで重要な終盤の部分は物理教師の西岡先生という人物がすべて一人で完結、主人公とプレイヤーなんていらなかったと言わんばかりである。
AVGなのに、スキップ速度も遅くクイックセーブもなく、説明書に書かれている情報画面の要素ですら未実装など、
10年以上前でも時代遅れ扱いされそうなシステムである。
敵は「ゼロ」という敵が1体ずつ、かつ1種類、巨大化や色違いといった違いも無い。
ラスボスも雑魚の豪華版という適当なRPG部分は、序盤でダメージがカンストするため戦闘はひたすらボタンを連打するだけの作業である。
技も存在するのだが普通にプレイしていると絶対に見れないため防御などを使い意識して出すようにしなければ出せない。
もちろん必殺技の演出も酷い。
また、探索部分はランダムでイベントが発生するため、セーブ&ロード必須という不親切さである。余談だが√を作った開発元であるディンプルは今年で業務を終了している。経営状態が悪化しているからこそ、よりゲームが駄目になったとも考えられる。

6月24日、2本の強力なクソゲーにより次々とガッカリゲーが選外送りになり、「物理」というキーワードでスレが沸く中KOTYに再びあいつが現れた。

Xbox360「戦極姫2〜葉隠の乙女、風雲に乗ず〜」(通称姫2)である。
2009年KOTYの大賞「戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜」のバグ地獄は記憶に新しく、
PC版からの移植の早さに前作の再来を期待するものは多かったがその結果を裏切らないのは
さすが去年の覇者システムソフト・アルファーといったところか。

まず戦国SLGとしてはどうだろうか?
0になるとなぜか増えてしまう軍資金、城に入ったが最後、二度と出られない「ブラックホール城」など前作のバグも当たり前のように搭載。
ブラックホール城に飲み込まれればリセット必須なところまで再現している。
その他にはステータス画面がバグって文字化けしたり、「攻撃力が上がった」と出るのに実際には防御力が上がっていたりともはや表示されている画面すら信用できない。
その上、プレイ時間が長いわりにAIはもっさりとしていて内部処理に費やす時間をたっぷりと味わうことになる。

では恋愛ADVとして見てみるとどうだろう?
つまらないシナリオと細かい誤字脱字はもちろん、女武将の後ろに立つ侍や、同じ女武将が後ろに増殖する、
立ち絵が表示されず「謎の白い壁」が現れたりこちらも前作を思い出させる出来になっている。

XBOX360というハードの影響なのかカーソルの動作は軽く、
バグも前作より少しは減っているがそれでもこのゲームを単体で見れば酷いという事実に変わりはない。

10月12日、去年発売のWiiware版「人生ゲーム」の配信終了と入れ替わりに「人生ゲーム ハッピーステップ」が
製品版の規模縮小版として同価格の1000Wiiポイント(1000円)で発売された。
お馴染みのマスとミニゲーム、カード、学校システムはすべて削除、職業システムと恋愛は規模縮小。
キャラの成長要素はかろうじて入っているものの年代別の要素は無く、イベントの数自体も少なくとにかく被る。
マップも一種類でとにかく同じことの繰り返しである。
このゲーム自体は人生ゲームとしての形を維持しており、ぎりぎり我慢できるレベルとして選外扱いになった。

しかし問題になったのは製品版である11月11日発売のWii「人生ゲーム ハッピーファミリー」(通称人生)である。
このゲームの重大な欠陥、それは規模縮小版である「人生ゲーム ハッピーステップ」とほぼ同じ内容なのにもかかわらず
値段は6090円で発売されてしまったということだ。
上記の問題はもちろん放置したままである。
変わった内容は5つ、マスの種類の追加、少ないイベントのせいで楽しくない家族システム、
幸福度で競うがCPUは思考の変わらないハピネスモード、隠し要素のMii、トロフィーの追加だけだ。
たったこれだけの追加要素で値段は6090円、タカラトミー自ら薄い人生ゲームをさらに薄めてしまう結果となった。

以上、4作の候補作を挙げたところで、今年度のKOTYを発表しよう
「ラストリベリオン」である。
受賞理由としては「とにかくやっていて面白くない」ということの一つであろう。
シナリオ・演出・ユーザビリティ・グラフィック・マップデザイン・戦闘システム・ゲームバランスと
すべての要素でバグも無くただひたすらにつまらないというのはクソゲーの王道要素を極めたといってもいいだろう。

また、ラスリベの駄目な要素はあまりにも多すぎて言葉ですべて伝えきるのは難しい、
ただ間違いなくつまらないのでぜひ購入してその駄目な部分を味わって欲しい。
攻略wikiがネタwikiとなってしまっていることや、米日本一ソフトウェア社長が、
「このゲームを発売したこと自体が申し訳ない」、とインタビューで答えているなど
プレイヤー、関係者共に投げやりになってしまっている点も付け加えておくべきだろう。

今年は「ラスリベ」と「√」による一騎打ちとなったが、結果はより純粋につまらないラスリベが勝利する形になった。
特に「ラスリベ」、「√」、「人生」と今年は近年多かった「バグが多くてさらにつまらない」ではなく
「薄くて残りの要素もつまらない」が一つのテーマだったといえるだろう
増えてきたHD機のソフトと共に開発費の高い機種から出てくるクソゲーや、乙女ゲームやPCゲームからのクソゲー、
そして配信ゲームからのクソゲーなど今年は次世代のクソゲーが今後多く現れるであろう予兆を感じる年であった。
最後にラスリベ攻略wikiから購入者の怒りを表すかのような言葉を借りてKOTY2010を締めくくりたい

「この糞ゲーを作ったのは誰だあっ!!」

総評案 その4(ラブルートゼロ kisskiss☆ラビリンス)

2009年。
七英雄の台頭で焦土と化したKOTYスレに、突如現れた修羅の国から来た刺客「戦極姫」は、
バグと言う名の弾丸で住民達の心を射抜き見事天下を統一。
黒船と呼ばれた年末の魔物がオブザイヤーに選ばれた。

総評の決定から2日後、1月28日。
据え置きから携帯機に大小を問わず30作以上のゲームが発売されたその日。
決定に気を緩めていたKOTYスレであったが、その余韻を楽しむ暇もなく、
新たな魔物がスレへと投入された。
日本一ソフトウェア「ラストリベリオン」(通称スベリオン)である。

PS3で発売されたRPGタイトルあるが、PS2レベルのグラフィック、
紙芝居でのストーリ進行なのにキャラボイスは英語、
たまに鳴らない戦闘BGMなどは瑣末な問題でしかない。

まずは肝心要の戦闘システムだが、逆鱗なる新機軸のシステムを採用している。
簡単に説明すると、10箇所以上ある敵の部位を通常攻撃で順番に正しい殴ってボーナスを稼ごう!
と言うシステムなのだが、特定の部位を間違った順番で攻撃すると、
モンスターの怒りにふれ、より強力な攻撃を受けと言うものである。

しかし、部位に攻撃をしたところで、その部位を破壊することはできず、
モンスターごとに指定された攻撃順を見つけるまで、総当りでの攻撃を余儀なくされる。
また、このゲームにも魔法が存在するのだが、十数種類存在する攻撃魔法属性とは裏腹に、
物理攻撃を当てた部位にしか攻撃することができないばかりか、
通常攻撃によって発生する経験値等のボーナスも得られないため、無理に使う必要はない。

レベルアップによるステータス変化も大味で、その変化たるやHPはレベル1で必ず1割上がり、
攻撃の威力も急上昇するため「レベルを上げて物理で殴れ」ですべて解決する始末。
一桁%の能力UP装備など空気に等しい。
また、ダンジョンではシンボルエンカウント方式を採用しているのだが、
等速で追いかけてくる敵を回避することは困難で、ひとたび戦闘に入れば逃走はほぼ不可能。
仮に成功しても逃走後の無敵時間がない為またすぐに、戦闘へと突入してしまう。
某ハンターも真っ青の追跡能力である。

ストーリーもさんざんたる物で、壮大なわりに内輪もめの域をでず、
国を漫遊する内容のはずが町はひとつ、店どころか通貨すらない。
物語に関係ない人間は一切出てこず、挙句に果てに打ち切りマンガのようなエンディングを向かえる。
13時間でクリアできるこのゲームに、隠しダンジョンはおろか2週目の引継ぎなどもないのだから驚きだ。
恐らく企画書どおりにできているにも関わらず全方位にわたって「クソ」というこのゲームは、
住民からは「門番」、海外レビューでは「存在自体が不要」と呼ばれ、
後続のガッカリゲーを次々と駆逐していった。


「スベリオン」が3ヶ月の間、門番として力を蓄える中、
「戦極姫」に続けと13ヶ月、計5回の延期を繰り返した作品が満を持して登場しする。
乙女ゲーからの刺客、PS2「ラブルートゼロ kisskiss☆ラビリンス」(通称√)である。
AVGとは思えない劣悪な操作性は、プレイヤーの心を着々と蝕み、
スキップ速度は遅くクイックセーブすらないこのゲームは10年以上前のシステムを完全再現している。

乙女ゲーで大半の購入者が気にするであろうシナリオは、稚拙な文章と強引な展開で、
魅力のないキャラクターたちは、豪華な声優陣以外みる所がない。
その声すら、キャラによっては音量調節がいい加減で、
プレイヤーがしっかり調整しないとかなり聞き取りづらい。
肝心のゲーム内イラストにいたっても、塗り忘れやト書きと異なるなど、
キャラ萌えなど許さないと言わんばかりの内容で、同人以下と揶揄されている。

さて、このゲームは、ラビリンスと言う異世界に迷い込んだ主人公達が
「ゼロ」と言うモンスターを倒しながら脱出方法を探すと言うもので、
アドベンチャーパートとは別に探索パートが用意されている。
脱出法を探すための探索パートでは、ラビリンス野の中を移動できるようになるのだが、
探索に使用するマップはリンクがわかりづらく、目的の箇所に移動するのも一苦労だ。
また、マップ画面では説明書に記載されているステータス画面の呼び出しすらできない。

敵である「ゼロ」とはドラクエ風の戦闘があるのだが、敵は1戦闘につき1体。
ゲーム全体を通して、色や大きさの違う敵すら出てこず、
ラスボスすら雑魚の豪華版という適当さは、まさに圧巻である。
この内容にもかかわらず、序盤でダメージがカンストするため戦闘はボタンを連打する作業でしかない。
ゲージをためて発動する必殺技も、ほぼ1ターンで終わる戦闘でお目にかかることは事は難しく、
防御などを使い意識して出すようにしなければならない。
もちろん必殺技の演出も酷いもので、通常攻撃より弱いと言うおまけつきだ。
また、麻痺の状態異常も存在するが、これ自体バグっており、
普通は拝めないのだが、ひとたび発症するとリセットを余儀なくされる。

探索パートではイベントが発生する事があるのだが、ランダム。
任意選択イベントはアイテムが必要で、入手はこちらもランダム。
すべてのイベントをみようとするならセーブ&ロードは必須である。
プレイヤーはこの面倒極まりないラビリンスの探索を余儀なくされるが、
探索パートは時間経過で終了するため、同じマップを選び続ければよく、無意味。
主人公たちが直面する幾つかの事件も、攻略キャラ「西岡 輝政」が万能で、
ほぼすべて一人で解決してしまうため、その他キャラクターは存在意義が問われる。

異世界の理不尽さと行動の無意味さを演出する事に成功したこのゲームだが、
我々は「ラブルートゼロ」のタイトルを見た時点で、内容を理解するべきだったのかもしれない。

この他にも前年覇者の続編「戦極姫2」「人生ゲーム」「バスフィッシングwii」などがKOTY奪取に燃えたが、
「スベリオン」と「ラブルート」の前にあえなく選外になっていった。

そして、見事2010年KOTYの覇権を手にしたのは……
「ラブルートゼロ kisskiss☆ラビリンス」である。
「スベリオン」と「ラブルート」どちらも優劣のつけがたい作品ではあるが、
新しいゲーム作ろうとしたスベリオンの心意気に比べ、声優さえ豪華なら売れるというラブルートの浅ましさ。
苦痛でしかない探索パートを入れることに力を注いだせいか、
本題のアドベンチャーパートが疎かになっており、
アドベンチャーゲームという比較的クソゲーになりづらいジャンルで、
これだけの物を作り上げたディンプルには頭の下がる想いである。
まさに2010年据え置き機を代表するクソゲーといえよう。

ゲーム自体の出来もさることながら製作元のディンプルが発売後に倒産し、
公式ページも現在では見れなくなってることを付け加えておく。

2010年のKOTYを振り返ってみると、これまでのような群雄割拠の激戦ではなく、
抜きん出た二強が互いに好機を伺う、さながら冷戦のような展開であった。
この結果はゲーム業界の主戦場が携帯機へとシフトしている事を示しているのかもしれない。
最後に、我々にどんな時代でも必ずクソゲーは生まれてくると言う教訓を残し、
長期にわたる延期の末、見事大賞を受賞した「ラブルートゼロ」に敬意を表すと共に、
次の言葉を贈ることで、総評を締めくくりたい。

「販売☆NG!?その恋(ゲーム)は延期から始まる…」

総評案 その5(ラストリベリオン)

2010/01/28 01:00

もう少しの間身動きが取れません

当面の課題

・ラスリベの記述で「当たり前」と思われてしまうかもしれない箇所を再検討

・大賞理由発表部を改編

・物理ネタの検討

2007年の「四八ショック」、2008年の「七英雄」……
神話の時代に遡ったかのような大災厄を立て続けに受けたKOTY(クソゲーオブザイヤー)スレを2009年に待っていたのは
「修羅の国」から来た黒船『戦極姫』による身の毛もよだつ掠奪であった。
苦行と称されるゲーム性、尽きることのないバグの嵐、残虐非道なメーカー対応……
終わりのない苦しみや絶望という暗黒面において、前年王者もまた最強の名に相応しい猛者であったと言えよう。

「クソゲーなんて1本も出ないのが一番良い」

とある勇者が遺したこの言葉を、これほど実感させるゲームはかつて無かったかも知れない。

しかし、そんな平穏を祈る思いは早くも打ち砕かれることとなる。
総評完成からわずか2日後の1月28日、突如吹き荒れた季節外れの熱風がKOTYの門を破ったのである。
日本一ソフトウェア渾身のPS3専用RPG『ラストリベリオン』(通称「スベリオン」)。
邦訳で「最後の反逆」というタイトルに恥じない果敢なチャレンジ精神は、一部のマニアに絶賛された。
まずHPの成長はレベルが上がるごとに前代未聞の指数関数曲線を描き、
物理攻撃にいたっては「レベルを3上げたらダメージが3倍になる」というサイヤ人仕様。
むろん、このインフレの前では、メーカーが謳う斬新な戦闘システムや
「火、氷、風、(中略)、銀、銅、アダマン」等の多彩(過ぎて理解不能な)な属性魔法も全く意味をなさない。
己の肉体によほど自信があるのか、「指」「耳」「腕」以外の装備欄がそもそも存在しないことも付け加えておこう。
そこにあるのは、レベルが足りなければ惨敗し、足りていれば圧勝するという強者の論理のみであり、
ほとんどの攻略質問が「レベルを上げて物理で殴ればいい」の一言で解決する異常事態となった。
戦闘はシンボルエンカウントであるが、超高速で追尾される上に当たり判定が理不尽であり、回避はまず不可能。
総当たり式で調べるしかない攻撃順補正や、見にくく迷うばかりのミニマップは同社の『奈落の城』へのリスペクトだろうか。
参考までに、本作の平均クリア時間はRPGとしては異例の13時間だが、そのうち3時間は迷子タイムとして計上されている。
会話場面はフル音声であるが、なぜか全編英語であり、日本語化対応は字幕のみ。
紙芝居のごとく動かないイラストに乗せて、リスニング教材のような三文芝居を延々と聞かされる。
BGMが蚊の鳴くような極小音量に設定されているのも、「学習に集中できるように」という温かい心配りであろう。
肝心のシナリオ内容は「登場人物をどう数えても10人前後にしかならない」という驚異的なスケールの小ささであり、
何やら国家存亡の危機が起こっているらしいが、それを実感できるものは何一つ存在しない。
「街」と名のつくものは一つしか登場せず、加えてそこに人間は一人もいないという徹底した反逆ぶりであり、
にも関わらず裏設定と思しき国名や人名が会話文に跋扈する様は「中学生の妄想ノート」と形容された。
なお、日本のユーザーを切り捨てたものの、海外大手レビューサイトでは「存在する必要がまるでない」とこき下ろされ、
日本一ソフトウェア米国法人の社長は「発売してしまって本当に申し訳ない」という声明まで出す始末。
「反逆」の行方はあえなく玉砕と相成ったと見るべきだろう。

4月末、爽やかな初夏の香りとともに一枚の若葉が舞い込んできた。
PS2ソフト『ラブルートゼロ KissKiss☆ラビリンス』(通称「√」)。
本作は「異世界に飛ばされた女子高生が、脱出するまでの約1ヶ月を8人の美男子と協力して過ごす」という
いわゆる「乙女ゲー」であり、同ジャンルとしてはKOTY史上初めてのノミネートとなる。
完成前から「見えている地雷」と評されながらも、計13ヶ月・5度の延期を経て発売に漕ぎ着けたその晴れ姿は、
2008年にKOTYスレを震え上がらせた女傑『大奥記』を彷彿させるものがあった。
「長所は声優が豪華なことだけ」とまで断言されたそのクォリティは凄まじく、
一例を上げると、RPGパートでは敵がたった1種類の「ゼロ」という黒蛇しか登場しない。
ダメージ表現すら実装せず、静止画1枚で押し通す倹約ぶりには潔さすら感じられる。
キャラによってはアイテム未装備の初期状態でも900以上のダメージを出したり(上限は999)、
状態異常の「麻痺」をくらうと治癒⇔麻痺の無限ループに陥るなど、世紀末的な戦闘バランスも哀愁を誘う。
探索パートでは合間に意中の男子と会話ができるが、わずか5日で会話の内容が出尽くす上、
戦闘に連れていくことで簡単に好感度が上限に達するため、そもそも攻略という概念が存在しない。
どう見てもアスペクト比の狂った画面や「同人ゲーム以下の塗り」と揶揄されたCGで感情移入できるかという別問題もある。
また、本作はケータイコミック原作のゲーム化であるが、オリジナルのストーリーを大幅に端折っており、
そのしわ寄せとして、登場人物の一人である物理教師・西岡輝政がジェバンニも真っ青なご都合キャラと化している。
何をどう計算したのか分からない「数式」を用いて異世界脱出のための手筈を一人で整え、
物語最後では「誰かが犠牲にならなければいけない」はずの世界存亡の危機を謎の「薬品」であっさり解決する超人ぶりには
スベリオンの一件と合わせて「物理とは一体何であるのか」という根源的な疑問を抱かされる。
なお、各キャラに基本ルート・性格反転ルートが存在するが、
誰と恋愛したところで最後はこの「西岡無双」で終わるため周回プレイの意義がまるでない。
開発元のディンプルは本作の発売からわずか3ヶ月後に業務終了、原作を描いた漫画家は本作の惨状について陳謝しており、
「このゲームが世に出ることで一体誰が得をしたのだろうか」と考え始めると落涙を禁じえない。

こうして二本の「門番」が出揃ったKOTYスレに再び緊張が走ったのは6月末。
大荒れの海から見覚えのある大きな影がやってくるのをスレ住人は見逃さなかった。
システムソフトアルファーの『戦極姫2〜葉隠の乙女、風雲に乗ず〜』(通称「姫2」)。
前年王者『戦極姫』がPCに移植されたのち、わずか三ヶ月足らずでXbox360への再移植を果たしたのである。
一縷の希望とともに検証が行われたが、残念ながら前回猛威を振るったバグは今回も健在であった。
前回同様お金やコマンド実行ポイントは0を下回るといきなりMAXになり、特定の操作をすると100%フリーズ。
悪名高い「ブラックホール城」の再現性はやや低くなったが、その代わりに
武将との会話画面に謎の白枠が出現するようになり、『四八(仮)』の悪夢をフラッシュバックさせる。
その他、もっさりしたUIと敵側AIの長考は次世代機の処理速度を全く感じさせず、クリアまでの時間は優に200時間を超える。
数多の有料デバッガー達の尊い犠牲のもと、前年見せた圧倒的な破壊力は鳴りをひそめていたものの、
「例え-100点が-20点まで持ち直したところでマイナスであることには変わりない」ということで、貫禄のノミネートと相成った。

11月。『姫2』に遅れること半年、数奇な縁を思わせる訪問者がKOTYの門を叩いた。
Wiiソフト『人生ゲーム ハッピーファミリー』(以下「人生2」)、
2009年KOTYで惜しくも『姫』に敗れたあの「ゲー無」の後継者である。
前年の『人生』はパッケージ版から機能を削りすぎたことが問題となったが、
この『人生2』では逆に、「6000円のフルプライス版であるにも関わらず
約1000円で先行販売された機能制限版とあまりにも差がない」ことが一躍注目を浴びた。
主人公は名前固定の10人のキャラから選ばせ、NPCと子どもはそのパーツを流用してオカマやクローンを量産。
前作に引き続きマップは全1種類で、「職業」「恋愛」要素は大幅に縮小、
「ミニゲーム」「カード」「学校」に到っては削除するなど、旧世代機種で出来ていたことを徹底的に排除。
シリーズお馴染みの「天使」すら躊躇なくリストラする姿勢は「手間を省きたい」という強い意志を感じさせる。
使えて当然のMii機能すら隠し要素にする辺り、もはや末期感が漂っていると言えるだろう。
二週目プレイ前提のゲームバランスにする一方、イベント数は極限まで減らされ、一周目で大半を見ることができる。
新たに実装された家族システムも例外ではなく、単調な毎日の繰り返しによって育児ノイローゼを体験できる親切仕様。
ともあれ、3年連続でノミネートを続ける古豪タカラトミーが2010年も危なげなく名を連ねることとなった。

さて、以上4つのノミネート作品を紹介し終えたところで大賞の発表に移ろう。
2010年。00年代を終えた、この節目の年に見事KOTYを勝ち取ったゲーム……
それは『ラストリベリオン』である。
受賞理由としては他のノミネート作が順当に「低予算」と「やる気の無さ」を感じさせるのに対し、
『スベリオン』は「全力で取り組んだはずなのに失敗してしまった」感が強く出ていることが挙げられる。
公式ページを見るとイラストレーター陣を初めとして豪華なゲストが前面に押し出されており、
各々がこのプロジェクトにかけていた「本気」が伝わるが、完成品には全く反映できていない。
中でも、影山ヒロノブが提供した主題歌は入魂の出来だが、作中での使われ方は
「クラシックコンサートに乱入させられたロック歌手」に例えられるほど無惨なものであり、
調理一つでこれほどまでに素材を台無しにできるのかと逆に感心させられる。
また、意気揚々と作り込んだと思しき専門用語の数々とは裏腹に、
物語の結末や全体のバランス調整には打ち切り漫画のようなやけくそ感が漂っており
例えるならば「子どもの頃、途中で飽きて投げてしまったRPGツクール作品」のような懐かしい味わい深さがある。
高度に専門化された現代のゲーム作りの現場においても童心を忘れていない稀有な事例であると言えよう。
なお、開発会社の「ヒットメーカー」は『ドラグナーズアリア』で2007年携帯機部門KOTYにもノミネートを果たしており、
今回の受賞によって社名に恥じない「安打製造機」としての地位を確立したと言えるだろう(クソゲー的な意味で)。

2010年のKOTYにはいわゆる「年末の魔物」は現れなかった。
冒頭にも書いたようにクソゲーが減ること自体は、もちろんゲーム愛好家として素直に喜ぶべきことである。
しかしながらその背景には、据え置き機ゲームの開発費が高騰し、各メーカーが冒険を控えているという事情があり、
「玉石混淆」の賑わいが失われつつあることに一抹の淋しさを感じざるを得ない。
敢えて言うならばクソゲーはゲーム業界全体の持つ活力の、一つのバロメーターでは無かっただろうか。

そんな中、全力のスベりっぷりと全方面に渡るクソさで門番としての存在感を持ち続けた『スベリオン』と、
それまで遠い異国のような存在でしかなかった「女性向けゲーム」の脅威を知らしめた『√』は
2010年の年間を通じてKOTYスレを盛り上げた功労者であると言えよう。
また、不死鳥のごとく転生を遂げた『姫2』と、それを追うようにして現れた『人生2』には
「オメガ」と「しんりゅう」にも似た奇妙な宿命を感じずにはいられない。

最後に、大賞を受賞した『スベリオン』の販売元である「日本一ソフトウェア」と開発元の「ヒットメーカー」に向けて、
スレ住人一同から次回作へのエールを送ることで2010年KOTYの結びと代えたい。

──例えこの先どんな困難が待ち受けていようとも、
あるいは、先の見えない苦境に立たされようとも、
それを打開するための答えは、ただ一つ。

「レ ベ ル を 上 げ て 物 理 で 殴 れ ば い い」

総評案 その6(ラストリベリオン)

1/25改訂
残っているようなので少し改訂してみました
駄々滑りだった「ストロングスタイル」を全面削除してみました

2009年のKOTYは新時代を予感させる、そんな戦いであった。
wiiウェアにおいて一般ユーザーに多大な被害をもたらした人生、製作が奇行に走り続けた黄金の絆、バカゲーをバカにしたヒッチ、SLGという偉大なジャンルを地獄に陥れた天下、そしてシナリオ・バグ・メーカー対応で徹底的に全てを叩き潰した戦極姫の破壊力は記憶に新しい事と思う。

そんな阿鼻叫喚を巻き起こした09年の戦いにようやく決着がついた2日後の1/28、それはやってきた。日本一ソフトウェア企画の「ラストリベリオン(通称:スベリオン)」である。発売前から既に「見えている地雷」と評されていたこのゲームは「リベリオン(=反逆)」の意味の通り、そんな次元を遥かに通り越していた。
まず本来のRPGにおいて存在する『物理攻撃』と『特殊攻撃≒魔法』の住み分け、つまり「この敵は剣が効かないから魔法を使おう」だとか「この敵はこの属性の魔法を吸収するから別の属性を使おう」といった戦略的要素は、このゲームに一切ない。主人公達がレベルアップする際のステータス上昇量が尋常では無い値となっており、レベルを上げれば全ての能力がねずみ算のように膨れ上がる。しかも『通常攻撃なら一回の行動で何回も敵を殴る事が出来る』戦闘システムも合わさり、結果として「物理で殴るだけの作業」となっている。
フィールドに現れる敵シンボルに触れると戦闘となるシンボルエンカウントシステムは、敵の方が足が速い・倒した瞬間にその敵が復活した・一度見つかれば永久に追いかけてくる等全てが破綻しており、総プレイ約13時間で構成されるストーリーに味も無ければ一般的な華やかな街も登場しない、トドメに教材レベルで語られる英語ボイスの中身はキャラ設定を崩壊させる代物と拷問級のゲームになってしまっている。バグが全く存在しないのが唯一の良点と言うが『そもそもバランスがバグっている』とスレ住人から総突っ込みされていた。
このゲームの強さたるや試しに今年の門番兵として置いてみた所、ここから3ヶ月もの間日照り(=選評外の嵐)を起こしその後も別の年であればまだ対抗できた後続クソゲーを見事に薙ぎ倒した。

その強烈な日照りを止めたゲームも中々の強敵だった。何度も発売延期を行った挙句にディンプルの遺作となってしまった「ラブルートゼロ kiss・kiss☆ラビリンス(通称:√)」である。恋愛ADV、前年の覇者である戦極姫宜しくかなり異色なジャンルの作品が現れたとスレ住人も困惑を隠せない状態が続いたこのゲームは、そんな事お構い無しに強烈な存在感を放っていた。
ADVではあるのだが、スキップ速度が遅い・クイックセーブが無い・未実装の機能の存在など『文章を読ませるゲーム』としての最低ラインにも到達せず、何故か挿入されている戦闘パートの敵は1種類、しかも殴っていれば勝てるうえに味方が状態異常になった瞬間にバグが発生するという存在意義を問われる代物。
肝心のシナリオも「誰もが読める展開」に「超展開」を重ねた御粗末なものであり、何の推理もないままにユーザーを放置して勝手に終わらせるという愚行。トドメにキャラ攻略しようにもイラストは同人作家にも失礼な出来と散々であった。恋愛ゲー歴十年のゲーマー曰く「このゲームの存在意義は特典CD」と、ブ○ッコリー社が去年発売した某携帯ゲームに付いてくるおまけカードを髣髴とさせる惨状が全てを物語っており、果たしてこのゲームがどのようにして計5回13ヶ月の発売延期となったのか未だ理由は不明である。

しかし、ここからまた長い日照りが続いた。据え置きゲームの量自体が減少している事、07年の四八ショック・08年の7英雄・そして09年の四天王の影響もあったが、それ以上に今年は初頭に出たスベリオンと√の圧倒的なパワーにより厳しい査定が続いていた。

必死に耐える事4ヶ月、状況がようやく動いたのは9月になる。
2009年のKOTYスレを盛大に荒らし回った黒船こと「戦極姫」の続編が、6月にXBOX360で降臨していた件(通称:箱姫2)である。前年覇者がまさかの半年復帰という事もあり誰もが地雷を確信し触れることに恐怖した結果、選評が届いたのは発売3ヵ月後と酷い有様であった。
そして中身もやはり酷かった。
所持金バグ・ブラックホール城といった前年のバグシリーズは多少弱体化されていたものの、今バージョンには「能力値参照を間違える」バグが追加で搭載されていた。目に見える数字が信用できない時点でSLGとしての根底すら成り立たない今作は、グラフィックに関しても「武将の画像が重なっている」「画像を読み込めない武将の部分に白い壁が出る」など、もはや乙女ゲーとして出すよりはホラーゲームとして売り出した方が正しいのではと疑問を感じる出来であった。当時の選評者をして『これでまだマシって、前年どんだけ酷かったんだよ!』と罵られる辺りさすが前年の覇者だと、改めて2009年の恐怖を再確認するに至った。

そしてもう一つ動いたものがある。同じく2009年においてwiiウェアとして販売し、長きに渡って一般ユーザーに地獄を見せた『人生』がまた新しくやってきた件(通称:人生2)である。10月に新規で出されたwiiウェア版(1000円)は依然として内容が薄いものの、金額の点・製品版に対する体験版という事でこんなものだろうと選外となった。
問題になったのは11月に発売された肝心の製品版(フルプライス:6090円)である。
体験版の時点では「ミニゲーム・カード・学校を含む年代イベントが無い」「職業と恋愛要素が簡略化」とかなり単調な出来だったが、製品版はこれと全く同じ内容になっている。もう一度言うがフルプライス(6090円)で体験版と同じ内容である。これはもう詐欺と言っていいレベルではないだろうか。今までの歴史において大ブランドとして確立していた人生シリーズがまさか2度も裏切るような事があっていいのだろうか。今後、目が離せない状況である。


ここまで来た所で、今年の大賞を決めようと思う。
今年の最終決戦はスベリオンと√の2択であった。おそらく別の年に生まれていればどちらも大賞を狙えたかもしれないこの戦い。
それを勝ち抜いた2010年クソゲーオブザイヤーは「ラストリベリオン」である。
受賞理由として挙げるならば、徹底された「無」だろうか。味のないシナリオ・意味を成さないシステム・無調整にも程があるバランス、何処を切っても最悪な破壊力でありながらもバグは全く無いという正統なクソゲー、それが1月に出現して以降最後まで戦い抜いた力は正に最強の一言に尽きた。動画サイト等でゲーム画面を眺めるだけならば何処がクソゲー?と思わざるを得ないのだが、そう思った方は一度プレイしてみてほしい。時間の大切さを思い知らせてくれる事であろう。
しかしラブルートも負けてはいなかった。本スレは発売直後から葬式状態・声の為なら突撃する声優ファン層すらも購入を戸惑わせたその威力は、こちらも見事な出来であった。だが恋愛ADVという一般的なジャンルとは少々離れた作品でもあり、選評も中々届く事が無く非常に対応に困った点が大きな敗因と言えるかもしれない。この点は2008年の最終決戦(メジャー2VSジャンライン)に多少なりとも似ていたかもしれない。

今年はまさかの先行逃げ切りのレース展開であった。
ゲーム業界の市場競争が据置から携帯に移り変わろうとしている、そんな世間の吹聴を見事に現した一年とも言えるだろう。特に11年に3DSの発売もあり活気に満ちる携帯市場に対して、据置ゲームの市場は弱くなりつつある。
しかしその据置世代であっても、年の後半に優秀なクソゲーが現れていた。この先見えないゲーム業界ではあるが、それは人生と似ているかもしれない。先が見えない世の中だからこそユーザーは希望を持ってクソゲーと戦って欲しい、そしてゲーム業界もクソゲー出しながらも名作をドンドン作っていって欲しいと思う。

最後にラストリベリオンを発売後、一時期とんでもない所まで株価が暴落した日本一ソフトウェアに対して一言添えて2010年を締め括りたいと思う。

「世間に反逆するのもラストにしないと、世間からリベリオンされますよ」