2008年 総評案

総評案は叩き台なので、基本的には自由に加筆・修正ができます

自分が書いた総評案を編集して欲しくない場合は、その旨を書いておいてください

求められるのは『2008年のまとめ』としての総評と『明確な選定理由』です

新たな総評案を投下する際には

既存の総評案を手直ししただけのものや、各作品の選評をコピペして文章でつないだだけのものに

なっていないか注意してください

2008年クソゲーオブザイヤー 総評案2


その11 メジャー2大賞ver

2008年、前年度大賞作品の四八(仮)が秩序を崩壊させ、クソゲーオブザイヤーも戦国時代を迎えようとしていた。

最初に登場したのは『メジャーwii 投げろ!ジャイロボール!!』である。

濃縮したまま還元しないADVパート、何回もの操作説明、1試合2時間のリアルタイム野球で頭角を現した。

続いて『奈落の城 一柳和、2度目の受難』もスレを賑わす。

推理出来ない暗号、3D酔いする迷路、生ける死者の言葉「テキストがまだない」がスレ住人を驚かせた。

だが、この2作では物足りないスレ住人はさらなる英雄の到来を求めていた。

そこに舞い降りたのは、ファミ通で伝説のクソゲー『デスクリムゾン』と同等とまで言われた『大奥記』である。

貧相なグラフィック、ホバリング移動に自動ドア、多すぎるロード、無表情なキャラクター等で大奥の底知れぬ伏魔“伝”を表現した。

この時期は、『ポイズンピンク』、『メダル・オブ・オナー ヒーローズ2』、『プレイグラウンド ~公園で遊ぼう!~』、『ジャンライン』等のクソゲーが誕生したが、いづれも大奥記には及ばなかった。



そう、「この時点」までは大奥は王者と呼ばれていたのだ。

だがその影で、真の地獄の門は開き始めていた。

クソゲー道場、アイディアファクトリー最強の武将『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』が出現したのだ。

転生学園シリーズそっくりな名前のフィッシング詐欺を筆頭に、弱点の意味が無い、合体攻撃がシュールな一枚絵、ラスボスが麻痺するといった「金をドブに捨てた方がマシ」な作品であった。

同時期にファミ通最低点数と呼ばれた『プロゴルファー猿』も名乗り出る。

キャラクター6人、10分でエンディング、更にはキャラゲーなのにストーリーが存在せず、スレ住人をして「ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!」と言わしめた。

大奥、クル・ヌ・ギ・ア、猿の圧倒的クソゲーによる三国時代。

彼等の前に、魔王が立ちはだかった。

クソゲー『ダービータイム オンライン』を修復したパッチ。

だが、かつて大奥に敗北した『ジャンライン』は、そのパッチさえも吸収し、最強のクソに生まれ変わったのだ。



メニュー画面でフリーズは些細な事、点数の表示がおかしい、関係無い牌を組み合わせる「亜空カン」、他人からの勝手な横取り、何故か牌が斜めになったりワープしたりと、悪化の限りを尽くした。

更にどう見て気持ち悪いもマスコット「ジャッシー」と、ネタも十分であった。

ジャンラインの天下はもはや目前。

そこに、彼は続編となって帰って来た。

『メジャーWii パーフェクトクローザー』。

前作の長すぎる試合時間を、芸術点で2アウト、3イニング10本のホームラン、勝手に盗塁してアウト、等で改善した。

ADVパートも改善され、試合内容に関係無く延長戦や優勝など、原作ファンにも配慮している。

グラフィックでは、前作で不満だった塁審を排除することにより試合は無法化、

防具を捨てた俊足キャッチャー、超能力者や人外のバッター、挙げ句の果てにゴローの首も反転し、恐怖で審判は試合を見るのを止めた。



二大クソゲーの戦いは熾烈を極めた。

不毛な争い。その頂点に立ち大賞となった作品は……メジャーだった。

クソゲーとしては互角だったが、説明書の誤植ルビ、クソゲーマイスターのドリームファクトリー、劣化し続ける公式サイト等の豊富なバックアップで勝利を収めたのだ。

今年を振り返ると、どのゲームも「企画の段階から全力でクソを作った」という印象だ。

これは昨年のKOTYスレにあった

「脱力して出たクソより、全力で出したクソの方がいいに決まっているだろう」

というレスに対するゲーム業界からの挑戦状だったのであろうか。

もしそうならば、ふざけるな、と全員で物申したい。

最後に、2008年クソゲーオブザイヤー大賞の選考において、

次の一言をスレの総意として本年のクソゲーオブザイヤーを締め括りたいと思う。

「追 求 し た の は 、本 格 ク ソ ゲ ー」

その12 メジャー2大賞ver

2008年は不作の年だと思われた。

昨年の大賞である四八(仮)の想像を絶するクソさの前に、全てのクソゲーが霞んでしまうと思われていた。

四八(仮)で限界を見たと、さらなるクソゲーを求める心を閉ざしてしまったのである。

だが、時は流れ、あらゆるものは進化する。

一年を終えてみれば、『七英雄』とでもいうべき立派なクソゲーたちが生まれた、大豊作の年だった。



スレ住人たちの心を開いたのは、「メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!」である。

同じ試合中にもかかわらず何度も操作説明画面を表示し、1球1球の投球・打球にデモを流すなど、製作者の気合を伺うことができる。

一試合二時間以上という野球のプレイ時間までも見事に再現する男気と、プレイ時間の帳尻合わせのためか、極限までストーリーを圧縮するという暴挙に、一見お断りの玄人志向のクソさを感じられる。



「奈落の城 一柳和、2度目の受難」も、なかなかの逸品だった。

不条理な謎解きに、行方不明者を放置して脱出・クリアや、とっくに明かされた謎を解いて本気で驚くシュールさ、

死んだはずの人物より語られる『テキストがまだ無い』という衝撃の真相など、脅威のフラグ管理能力を見せ付けた。



上記2本があったとはいえ、しばらくはクソゲー氷河期といえる時期であったが、「大奥記」により春が訪れる。

ファミ通レビュー13点という朗報…もとい警報をひっさげやってきたこのゲームは、発売前日の買い取り価格200円という伝説をもたらした。

移動はホバリングで扉の開け閉めは超能力、頻繁に移動する登場人物を捜し求めて無人の部屋にひたすら出入りするという内容で

あるユーザーから『ひたすらサマルトリアの王子を探し続ける作業ゲー』と言われ、

某ゲーム雑誌で『存在しない悔しがる表情』が好評だったことから、雑誌のスタッフですらドロップアウトする圧倒的な貫禄を見せ付けた。



クソゲーはジャンルを超えて進化する。

テーブルゲームにクソゲー無しいう境界線も去年までの話である。

「ジャンライン」がそのラインを乗り越えた。

フリーゲームで存在するものを箱360で出したことからもその意気込みが伝わってくる。

フリーズバグは勿論のこと、オンオフ関係なく出てくる問題点。

麻雀素人の社員たちが喋ったような出来のボイスデータを販売し、数日後に販売中止、返金対応とDLCにもぬかりはない。

だが、『選評でクソゲーとしての面白さが伝わりにくい』という理由で次点入りも難しいと言われていた…はずだった。



クソゲーメーカーIFから届けられた核地雷、「神代学園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア」

他作のシステムをパクった割には劣化して、地味・単調・戦略性皆無と三拍子そろっている。

好感度システムが存在するのにキャラ別ENDが存在しない、プレイ時間は6時間と、小型化にも成功した兵器である。

タイトルに『學園』と謳いながらも學園は殆ど関係無い上、『幻光録』は『幻想録』などの転生學園シリーズ続編を思わせる。

ジャケ絵に同じ絵師を起用するあたり、誘導兵器としても優れている。

この兵器が爆発し、クソゲーは『加速』した。その様は、まるで

      クル・ヌ・ギ・ア

『これからが本当の地獄だ』と告げているようであった。



「大奥記」を下回る、ファミ通レビューALL3という史上初の暴挙を成し遂げたのが、「プロゴルファー猿」である。

クソゲーと呼ばれる物に欠かせない酷いバグや電波なシナリオ、不快なシステムといったものを一切持たず、

キャラ6人、存在しないシナリオ、プレイ時間10分という内容は、旧き良きクソゲーを思い出させる。

『現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重』とまで言わしめたことは、永く語られることになるだろう。

また、素晴らしいCMやPVなどにより、『ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!』との名言を生んだ事も高ポイントだ。



ここまでが11月までの英雄たちだ。どれも素晴らしいクソであるがが、クソゲーオブザイヤーはここからクライマックスを迎える。



あの「ジャンライン」がパッチを当てることで進化したのだ。

牌がちょっと斜めになる、関係の無い牌を呼び寄せる『亜空カン』、飛び飛びにしかできなくなる牌選択など、

X,Y,Z軸に加えたジャン軸(ジャンライン)を採用し、次元の壁を突破したのだ。

さらに、意図的に出せるフリーズ、ロンをしようとすると先にツモられるという先手必勝ルールなどにより、

クソゲーとしての地力もしっかり進化させたのだ。

その会心の出来は、抗議の電話に対する『覚悟しています』という返事からも伺える、

製作会社と社員の命を懸けた究極のアップデートは、パッチにより悪化した場合は再ノミネートというKOTYの新ルールを誕生させるまでに至った。



「ジャンライン」の進化により、これで決まりだろうという空気が流れたスレに、『クソにはクソを、進化には進化を』と、今年のKOTYを締めくくるために、進化した男が帰ってきた。

今年の先発を努めた、茂野吾郎の再登板、「メジャーWii パーフェクトクローザー」である。

有り得ない方向に反発するボールに、球場の壁を突き抜ける野手、勝手に盗塁して勝手にアウトになるランナーなど、クソの基本を見事抑えている。

さらに、センター前であろうと打球を追いかけてグラウンドを回るキャッチャー、

伸縮自在なバットを持つ者、後ろ向きに構え、超能力で一定の位置に打球を飛ばす者などといった究極の打者、

首が180度回ろうとも無限のスタミナでストレートを投げる吾郎、

『ジャイロキャッチ』といわれる、一回のキャッチで2アウトの、ルール超越の回転キャッチを誇る外野、

あまりの光景に、体を回し、吾郎に背を向ける審判など、『回転』にこだわった究極の演出面が光るゲームだ。

点差があろうとも突入する延長戦や、逆転サヨナラ負け優勝といった奇跡のストーリーがクソさに磨きをかける。

『三本の矢』体制のプログラマー三人が放つ、まさに魔球、といえる音速突破の剛速球だった。



さて、以上のノミネート作品から、今年のクソゲーオブザイヤー大賞を発表したい。

それは、「メジャーWii パーフェクトクローザー」である。

「ジャンライン」とかなり迷ったが、クリスマス・年末商戦と、メジャー劇場版、KOTY九回裏という究極の場面で、これほどのクソを生み出したということが決定的なポイントだった。

「投げろ!ジャイロボール!!」で子供の心を挫き、「パーフェクトクローザー」で子供の心を、クリスマス当日の親子の関係を、文字通りクローズさせたという、ゲームの中にとどまらない役割を果たした名作だ。

数知れぬクソを生み出した『タカラトミー』と『ドリームファクトリー』、この2つの融合により、キャラゲートしても野球ゲーとしても収まりきらないクソの金字塔である。



思えばこの一年は、各メーカーが全力で切磋琢磨しあってクソを生み出した一年である。

よって、以下の言葉で今年のクソゲーオブザイヤーを締めくくりたい。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」

その13 メジャー2大賞ver

『四八(仮)』の出現した2007年をジャイアントインパクトに例えるならば、2008年はカンブリア爆発と言えるだろう。

あらゆるジャンルのクソゲー達が、次世代の覇権を握ろうと跳梁跋扈したのが2008年である。

あるものは四八が示したクソゲーの概念に真っ向から立ち向かい、あるものは四八と同じ道においてそれを超えようとした。



まず、KOTY 2008の始球式から叩きつけられたデットボールは『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ネタとして楽しめる範疇でなく本気で辟易してしまうほどの玄人志向を突きつけた。



しかし、その後は不作が続いた。

行方不明者を放置して脱出し、死んだはずの人物から「テキストがまだ無い」という衝撃の真相が語られる『奈落の城 一柳和、2度目の受難』…

ソフト内にはかけらも存在しない「32人同時対戦」を売りにして大規模詐欺行為を行った『メダル・オブ・オナー ヒーローズ2 』…

いずれも例年なら燦然と名を連ねるはずのクソゲーだったが、ノミネートしないまま見送られた。

「ゲームとして成立していれば、問題ない。」住人はまだ、前年王者がもたらした『四八ショック』から立ち直ることが出来なかった。



そんな長すぎる厳冬に飢える6月、ようやく遅咲きの春が訪れた。二年の長きに渡り延期を重ねた超大作『大奥記』の上洛である。

ファミ通レビューで「デスクリムゾン」と同評価、発売前にして買取価格200円という驚異的な前評判は、やはり伊達ではなかった。

自動ドアならぬ『自動襖』、ホバリング歩行、表情は全編固定。異常に多い部屋数とロードに耐え、「サマルトリアの王子を探すだけ」と例えられる内容。

八代将軍吉宗も舌を巻くであろう倹約・改革を徹底したその姿は、まさに公式サイトの言うところの「伏魔『伝』」と称するにふさわしかった。



続いて、超時空ジャンデレラこと『ジャンライン』が華々しく戦線に躍り出た。驚いたことに、本作は麻雀ゲー、つまりテーブルゲームである。

クソ化が半ば不可能な同ジャンルにおいて、フリーズ頻発、点数計算が異常、同プレイヤー同士の連戦不可、と全てが崩壊していた。

他にも、素人ボイスをダウンロード販売するも直後に中止・返金対応したり、公式ブログを麻雀素人が書いていることをあっさり告白したりと、

新人らしい初々しさと敢闘精神に溢れていた。だが、あくまでもこの時点では中粒程度にしか見られていなかったはずだった。

                       クル・ヌ・ギア

にわかの豊作に浮き足立つKOTYに、『真の地獄はこれからだ』と言わんばかりの怪作が届けられる。

『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』……新興勢力が渦巻くKOTY 2008に、老舗・アイディアファクトリーの放った刺客である。

不快感だけを六時間に濃縮した超絶ストーリーや、敵よりもプレイヤーにダメージを与える「合体技」の迷ゼリフ、

本筋に一切影響しない好感度システムや、マヒさせてオートで済む戦闘は『動画の無いムービーゲー』とでも呼ぼうか。

パッケージに酷似タイトルの絵師を起用するという離れ業をやってのけ、クソゲー会社の基本精神である「釣り」の商魂をまざまざと見せ付けた。



息もつかせぬ波状攻撃はさらに続く。ファミ通誌上で史上初の評点オール3を成し遂げた隠れていない伏兵『プロゴルファー猿』が横殴りの奇襲を仕掛けてきた。

「現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重」──本作の偉業に対して、ファミ通編集部も賛辞を惜しまない。

このゲームは決してバグが多い訳ではない。キャラゲーなのに6人、ストーリーがない、開始10分でエンディング、飛球の方向は一定……

全てが仕様であり、ゲームとしての価値が全く無いのだ。本編より豪華なCMを揶揄して「ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!」と叫ばれたのも記憶に新しい。



かくして、KOTY 2008が飽食ムードで審議に入ろうとしていた十二月……さらなる激動が急転直下の幕を開けるとは誰も予想していなかった。



まず、『パッチ』によって再誕を果たした『ジャンライン』が再び門を叩いた。

「パッチをあてたら更にクソゲー化した」の一言に集約される異常性は、クソゲーマーにすら理解不能の域に達した。

「亜空カン」で無関係牌を喰い、牌が傾いたり選択不能になったり融合したりと、もはや「四次元麻雀」と評するほかない。

意図しようとしまいとフリーズが頻発し、ロンをしたらツモられる意味不明の現象や、手牌を奪われれば上がり不能すらありえる。

パッチ前はまともな麻雀をしていなかったが、パッチ後にはまともでない『麻雀』をすることすら不可能になったのである。

ともあれ、本作の再臨劇により、「パッチにより悪化した場合は再ノミネート」という記念すべき新ルールがKOTYに樹立された。

もはやこれで決まりだろう……突然の急襲に沸きかえったKOTYスレだったが、やがて、再びつかの間の安堵に包まれていった。



だが神はKOTYに安息を与えなかった。「クソにはクソを、進化には進化を」。九回裏のここ一番、さらなる進化を遂げた男が帰ってきたのだ。

今年の先発を努めた、茂野吾郎の再登板、『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

本作のクソゲーとしての資質は、フリーズと隣り合わせのボール球、金属バットの快音を鳴らす木製バットなど、枚挙に暇がない。

だが何より特筆すべきは『センター前キャッチャーゴロでファール』という言葉に集約される、衝撃ならぬ「笑撃」の大きさであろう。

操作不能で勝手に盗塁してアウトになる走者、タッチアップなしで本塁に生還する犠牲フライ、1キャッチで2アウトの『ジャイロキャッチ』。

点差に関わらず「原作通りに」突入する延長戦や、負けたのに勝ちルートのエンディングに突入するまさかの『逆転サヨナラ負け優勝』。

あまりの不条理さにキャッチャーはプロテクターを脱ぎ捨て、審判はピッチャーに背を向け、これまた後ろを向いたままのバッターが何もない空間から打球を飛ばす。

捕球もベースカバーもしない野手を尻目にキャッチャーがセンターまで駆け上がり、吾郎に至っては首が180度反転したまま全力投球する。



これらの信じがたいエピソードに対し「嘘だろ!?」と戦慄する住人を嘲笑うかのように、続々と画像や動画で証拠が提出される。

その評判は、KOTYスレはおろか大手ニュースサイトにまで瞬く間に飛び火し、KOTYは大混乱の様相を呈した。

公式サイトに謎のパスワードをかけたタカラトミーのウェブ担当は先見の明があったと言えよう。

なお、プレイ開始約二時間後に待つエンディングでは、開発がドリームファクトリー、プログラマーが三人という悪夢が待っていた。



さて、以上のノミネート作品から、今年のクソゲーオブザイヤー大賞を発表したい。

混迷を極めたKOTY 2008において見事大賞に輝いた作品……それは『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

『ジャンライン』とは意見が割れたが、クリスマス・年末商戦・そしてメジャー劇場版公開という子供たちの期待を一身に背負った中で

容赦なく全力でクソを投げつけた非情性、一目で理解できる「笑撃」の大きさを総合して、メジャーが一歩勝っていたと言えよう。

特に、クリスマスプレゼントに沸き立つ子供たちの心を、文字通り完全に「クローズ」させた業の深さはまさにクソゲーの鑑である。

「コンボイの謎」から続くキャラゲー地雷の老舗『タカラトミー』と、クソゲーマイスターと呼ばれた『ドリームファクトリー』……

二つの巨星の運命的な邂逅により、キャラゲーとしてもクソゲーとしても規格外の、純粋なる「クソ」の金字塔が見事誕生した瞬間であった。



思えば2008年は激動の年だった。

「四八ショック」と呼ばれる、前年王者の残した爪痕……巨大な幻影に翻弄され、クソゲーの何たるかが見失われつつある中で、様々な試みが行われた。

『猿』は「不条理」ではない純粋なる「無価値」を追究し、『ジャンライン』はパッチによって「進化」する新時代のクソゲーのあり方を示した。

そんな中で、『メジャー』が投げ込んだ「直球」がスレ住人の心をつかんだのは、それが最も力強く、クソゲーのあるべき姿を示したからであろう。

──ゲームを手にした「喜び」、クソとわかった時の「悲しみ」、理不尽な大人への「怒り」、そして、みんなで悪態をつく「笑い」──

幼い日のほろ苦い原風景が──見失ってしまった「クソゲー」の真の味わいが──本作とその周囲にはあったのだ。



そんな本作に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」


その14メジャー2簡略化ver.

 2007年、四八(仮)というパンドラの箱級の災厄(クソゲー)が世に放たれてしまった。

その悪魔の所業によりスレ住人…もとい子羊たちの目も肥えてしまい、

ちょっとやそっとの駄ゲー、ガッカリゲーではノミネート不可という高水準(低水準?)が求められるようになってしまった。

……これが世に言う四八ショックである。





 クソゲーオブザイヤー2008 「クソゲー黙示録」


 第一の御使い(みつかい)がラッパを吹き鳴らす。 その音色は『殺意』

「メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!」2008年2月7日、タカラトミーより


・ジャンルがドラマティックアクションベースボール。この時点で既に地雷臭ぷんぷん。

・何度もしつこい位に現れる操作説明画面。お節介を通りこして殺意が芽生えそうな親切設計。

・さらに、毎回の投球時にもデモが流れるという至れり尽くせり仕様。踏んだり蹴ったりとも言う。

・結果、1試合2時間以上という忍耐プレイ時間。ある意味現実と同じ本格的時間設定。

・端折りすぎで、原作知らない人お断りのストーリー展開。ファンじゃないなら買うなと言わんばかり。etc…

今年の開幕投手を見事飾ったクソゲーである。ブチ切れる前に表に出て実際に野球でもやったほうが賢明かもしれない。





 第二の御使いがラッパを吹き鳴らす。  すると死者が蘇り、歩きだした。

「 奈落の城 一柳和、2度目の受難」 2008年3月6日、日本一ソフトウェアより



・移動時の3D操作が最悪。リアルにプレイヤーが酔い止め薬を常備しなければいけない。

・フラグを立てるための総当り進行。しかも聞き込みの際に登場人物も勝手に移動しているので執拗なまでのセーブ&ロード

・ネタバレは避けるが犯人がアレ。例えるなら、シャーロック・ホームズの推理もので殺人犯が実は幽霊だった!!とかいうレベル。

…とまあここまでならフツーにガッカリゲーではあるが、このゲーム、フラグ管理に重大な穴があり、

・死んだはずのキャラが何故か館を闊歩している。

・話すと、『テキストがまだない』という明らかにミステリーを超えている不可解セリフ。

という奈落のズンドコに突き落とされそうな作品としてノミネート候補に。

ただ、恐ろしいことにこれでもまだ候補内では「小物」といわれる始末。今年のレベルの高さに畏怖する事に。







 第三の御使いがラッパを吹き鳴らす。  …哀れな子羊たちよ。汝らは紅い銃を手にした地獄の総統の名を呼ぶがよい。

「大奥記」2008年6月5日 グローバル・A・エンタテインメントより (開発はダフト)



・最下位帝王「デスクリムゾン」と同じレビュー評価、『13点』。スレ内で危惧(期待?)の声が高まる。

・大奥を舞台に女の戦いを描くというどの層を狙ったのかサッパリなゲーム。しかも開発が2年間延期。

・絢爛豪華な大奥というより、質素倹約政策の吉宗というべきグラフィック。さらに机や背景にめり込むめり込む。

・移動は『ホバリング』襖の開閉は『サイコキネシス』とまで揶揄されるほどの貧弱モーション。大奥の舞台は武士の時代です。

・ゲーム内容、クライマックスの申し開きパートもこの上なく微妙。

・「これkら」という江戸時代を時空間ワープするようなありえない誤字。ラピュタに例えれば一気に成層圏までぶっ飛ぶような禁断のワード。

大奥の発するクソゲー瘴気はゲーム内だけにとどまらず。

・開発会社のサイトでは「プログラム以外はかかわっておりませぬ」というリアル申し開き。

・発売日前にもかかわらず買取の提示金額が驚きのプライス「200円」。

という珍事の勃発。この悪女の園で6月の時点で既に大賞は決まったか?と思われた。





 第四の御使いがラッパを吹き鳴らす。  「真の地獄はこれからだ」

「神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア」2008年10月9日 アイディアファクトリーより(開発はアスミック・エース エンタテインメント)



・以前にも「転生學園幻想録」という「東京魔人學園」パクッたような作品を作った前科のある開発チーム。

・おまけに同じ絵師を起用するあたりに周到な計算を感じる。もはやフィッシング詐欺。伝説のオススメシールを超えてるかもしんない。

そもそも、IFのゲームは低水準の地雷ではあるがそこまで警戒するほどでもないだろうというのが大半の意見だった、が。

対人地雷どころか核爆弾級、メギドの火に灰も残らなかった者が続出。いわく、

・学園なのに学園ほとんど関係ない。

・麻痺させてしまえばラスボスでも簡単に屠れるという底の浅さ。

・出会った次の瞬間にすぐに恋人になってるという、次元の断層かと疑わんばかりの簡略ストーリー。

・「友情パワー」をはじめ、厨ニを通りこしてもはやカルト宗教みたいな技。(しかも表情が死んでる。)

彼らは、ゲーム開発ではなくプロの詐欺集団としてもやっていけるかもしれない。是非悔い改めやがりなさい。







 第五の御使いがラッパを吹き鳴らす。  その響きは「無価値」

「プロゴルファー猿」2008年10月23日 バンダイナムコゲームスより (開発はエイティング)



下の下には下がいた。

・ファミ通のレビューでオール3点という史上最低点をたたき出す。

当然、スレの子羊たちは大いに沸いた。が内容はクソゲーというより単に『薄い』物であった。

・選択キャラは6人。ところがエンディングも変化せず。

・そのエンディングすら10分弱で到達できる、時間のない人にやさしい仕様。

・そのくせお値打ち価格フルプライス6090円(税込)。1分あたり609円くらい。爆死!!

・CM、PVの出来はかなり良かった。が上記、内容スカスカの状況に『ワイは詐欺や、プロモーション詐欺や!!』との名言が出る。

命をかけたその一打で白いボールとともに火と燃えてしまった勇者たちに敬礼。



ここで、ノミネートされなかった作品についても少し触れておこう。

「ポイズンピンク」

・テンポが悪いくらいの凡ゲー。



「メダルオブオナーヒーローズ2」

・32人オンラインが無いことを発売直前までひた隠すなど余罪はある

・とはいえオフ内容はボリューム不足だがFPSとしては良ゲー~凡ゲー。



「公園で遊ぼう」

・クソゲーの範疇ではあるがやってるうちに気に入ってしまった。との意見もあり、インパクトに欠けた。



『ダービータイムオンライン』

・「未出走の馬が優勝」バグや、酷いオンラインモードが話題になったものの、

・その後サーバー強化、パッチによる改善、ノミネートは難しいとの結論に。

・とはいえオンゲーとパッチのあり方にノミネートの指標を示した点は大きい。







そして 第六の御使いがラッパを吹き鳴らした。 誰が其の怪獣と戦えるか?

「ジャンライン」2008年9月25日 レコムより。さらに12月4日、パッチ配信。

オンライン対応麻雀ゲーム。テーブルゲームでクソが出るなどとありえないことではあるが

・フリーズする。

・点数計算がおかしい。

・牌の一部が表示されない。

さらにはプログラムは麻雀知らない人が組んだんじゃ?との疑惑まであがり(実際社員によるブログは麻雀知らない人が書いていた)

麻雀というファミコン時代から確立されたゲームであるにもかかわらずノミネート。

……だが、これで終わりにはならなかった。むしろここからが真のカタストロフ(破滅)である。



前述の12月4日。ジャンラインのパッチが配布される。

そもそもパッチとはプログラム上の穴を埋め動作を正常にする目的の追加プログラムなのだが、

・パッチを当てたらさらにフリーズが酷くなった。

・牌が斜めになったりポンやカン時にまったく違う牌が巻き込まれる。

・ロンしようとしたら先に順番無視して相手に上がられた。

他多数、修正パッチであるにもかかわらず症状をさらに悪化するというサイバーテロを引き起こした。何考えてんだレコム。

余談だが、ダウンロードキャラのジャッシー(実はこのスレ住民が命名)という四八マンに続く第二のマスコットも誕生し、

ジャンラインの勢力を更に磐石にすると思われた。…だが。



今年の大賞を発表しよう。

 最後の御使いがラッパを鳴らす。   「ヒーローはこの世の終わりにやってくる」

「メジャーWiiパーフェクトクローザー」12月11日タカラトミーより(開発はドリームファクトリー)

年末。ついにサタンが降臨してしまった。翌日に某ニュースサイトにまで報じられてしまうほどの内容の悲惨さ。

・バッターの超絶背面打法。(バッターが逆向きになる)メジャーはいつから超人ベースボール漫画に!?

・キャッチャーの驚異的瞬発力。(バグにより捕手がセンター前まで走ってフライを捕る)こいつら人間じゃねえ。

・そして審判も逆向き(この現実から目をそむけているという説まで出てくる始末)

・さらには前作にもましてストーリー端折り過ぎ。

・にもかかわらず原作のストーリー展開上、こっちの得点が勝っていても問答無用で延長戦になってしまう。

とまあ、挙げるだけ挙げたら何十項目にもなってしまうほどの深い闇。

あげくのはてに、主人公吾郎の首が逆になっているという衝撃的映像がニコ動とようつべに配信。

やはり悪魔の化身だったか。とスレの子羊たちは深い嘆きと爆笑による腹筋崩壊におそわれる。

・開発がクソゲーメーカーとして名をはせたドリフ(ドリームファクトリー)。これにより突撃した住人が絶叫(発狂)した。

・年末になって発見された説明書誤植。『十字(じょうじ)ボタン』『決(けつ)める』

・同じく名無しキャラを作成すると発現するさらに逝っちゃったバグ。

・なぜかタカラトミーのホームページにアクセスするとPASSを要求される。

など現在進行形で出てくるネタ。



なお大賞を選ぶ際ジャンラインとメジャーはほぼ並んだ。スレの子羊たちも激しく対立。

麻雀VS野球。黙示録の怪獣VS選ばれし悪魔の投手。どちらが大賞でも遜色ないネタ&クソさではあったのだが。



・「パーフェクトクローザー」小学生が買うのを黙ってみてた。

・店員だけど「パーフェクトクローザー」を薦めて買わせた。

という『悪の手先』の活躍もあり相当の子供たちが聖なるクリスマスに『致命的な心の傷』を負っただろう事を考慮しその名を知らしめる目的で(僅差ではあるが)

「メジャーWiiパーフェクトクローザー」を大賞にえらんだ次第である。



今年を振り返るにあたり、思い当たるのはやはり「なるべくしてクソゲーになった」という因果の輪を地でいくような作品ばかり。

そんな2008年度にこの言葉を送ることで締めくくりたいと思う。





「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」








その15 W受賞ver.



2007年、あの「十年に一度」とも言われた「四八(仮)」が出現し、スレを跋扈した。

そのありえないクソさはスレ住人の目を肥やしてしまい、以後、普通ならノミネートされていたであろうソフトもスルーされていくという、

当スレ的には異常な事態を齎すに至った。



そして2008年、この「四八(仮)ショック」とも言える異常事態によりクソゲー凶作の年になるのか…とさえ言われた。

しかし、いざ蓋を開けてみればそのような危惧も杞憂でしかなかったことを、その時はまだ知る由もなかった。



まず開幕の先発投手を務めたのが「メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!」

一つの試合中に何度も見せられる一枚絵の操作説明画面や、1球1球投げる度に流れるデモ。

それ故1試合に2時間以上かかるのが普通という、ゲーム上で野球のプレイ時間の再現を見事にやってのけた。

その割にADVパートは圧縮しすぎで原作ファン以外お断りという残念な出来になっている。

まさにジャイロボールの名に恥じぬ、剛速球のクソであった。



次に、「奈落の城 一柳和、2度目の受難」

ADVであり、前作が好評だった本作たが、不条理な謎解き、フラグ管理の甘さでまさかの話題作となった。

死んだはずの人になぜか再会し、話し掛けると「テキストがまだない」と表示されるあたり、出来は推して知るべし。



これ以降、暫くの間ノミネートクラスのクソゲーも無く、スレはガス欠状態に陥るが、夏を迎える直前に『規格外のクソ』という燃料が投下され、スレも活気を取り戻した。



2年の延期の末、ファミ通のクロスレビューで13点の「大奥記」

ホバリングで移動して、襖は自動ドアならぬ自動襖という、江戸時代の時代設定と現代技術の危険なコラボレーション。

SFCどころかファミコンクラスのしょぼいグラフィックかと思いきや尻だけはHD画質。

そうでなくても不明な訴求層がますます不明になる事態を齎した。

さらに「これkら」という、江戸時代から一気に現代世界にユーザーを引き戻す誤字が用意されており、公式HPまで「『大奥記』は底知れぬ伏魔"伝"」という始末。

なお、本作は発売前日に「提示された買取価格が『200円』」という怪挙を打ち立てている。



360待望の麻雀ゲーム「ジャンライン」

クソゲーとしての標準スキルともいえるフリーズバグは勿論標準装備。

オンライン対戦においては、「部屋作成者が常に親になる先手必勝ルール」「ゲーム中に誰かが落ちたら対戦強制終了のちゃぶ卓返しルール」

「連戦不可能な一期一会ルール」といった斬新なルールを数多く採用。

社員が喋ったような出来のボイスデータを販売した上で、数日後に販売中止&返金対応。

挙句の果てに発売初日に謝罪文、さらには社員ブログ書き手が麻雀素人をカミングアウトという香ばしい公式運営。



老舗アイデアファクトリー渾身のクソ「神代学園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア」

タイトルに「學園」と謳いながらも學園とは無関係、そのくせ「幻想録」などの転生學園シリーズ続編を思わせる「幻光録」というタイトル、同じ絵師を起用したジャケ絵。

もはや詐欺でしかない。

ストーリーは一本道、キャラ別EDも存在しないのに、なぜか好感度別にイベントが存在。

戦闘は「麻痺させて後はオートバトルで放置」でラスボスですら屠ることが出来る。

この結果、プレイ時間6時間でクリアという据え置きRPGでは驚きのお手軽さを実現した。にもかかわらず、本スレで

「何度も言うが買おうか迷ってる奴は本当にやめとけ。どうしても数千円ドブに捨てたいのなら実際にドブに捨てろ。時間の浪費がないだけそっちのほうが建設的だ。」

という名言まで生まれた。

       クル・ヌ・ギ・ア

「これからが本当の地獄だ」



ファミ通評価が全員3点でスレ住人も『ドギャ』な「プロゴルファー猿」

「ドラゴンボールに例えると孫悟空、孫悟飯、ヤジロベー、サイバイマン、ビーデル、ビーデル(髪切ったver)」と例えられる微妙すぎるキャラ選択。

「ストーリーモードが無い」「ゴルフゲームだと思ったら双六ゲームだった」といった立派な詐欺ぶり。

発売前のPVの出来が良く、「ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!」とのPV製作者への敬意の声が上がる。





これ以外にも、『ポイズンピンク』『メダルオブオナーヒーローズ2』『プレイグラウンド ~公園で遊ぼう!~』

といった2006年までならノミネートクラスのクソも散見されたが、乱世の中に掻き消された印象がある。

『ダービータイムオンライン』は、「未出走の馬が優勝」などのバグなどで話題になったものの、その後サーバーの強化やパッチ適用で改善され、KOTYの第一線からは姿を消した。





時は流れ、年末を迎えた。だが、年末には魔物が待っているという言葉は2008年も例外ではなかった。

ただ、これまでとは決定的に異なる点があった。それは、今回これまでノミネートされたソフトがさらなる「進化」を遂げ、再びKOTYの表舞台に立った点にある。

「ジャンライン」は修正パッチによりさらなるクソを進化させ、真「ジャンライン」として生まれ変わった。

一方、2008年開幕先発を務めた「メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!」も果てしないクソな進化を遂げ、「メジャーWii パーフェクトクローザー」として帰ってきた。

そして、両者相譲らぬ激しいせめぎ合いを繰り広げることとなる。





では、2008年のクソゲーオブザイヤー大賞を発表しよう。

今回は、特にこれまでにないハイレベルな戦いが繰り広げられ、大賞の選考も大きく2つに意見が分かれた。

そしてついに、除夜の鐘を以てしても雌雄を決することは不可能だった。よって栄誉ある2008年度大賞は2つ



 「ジャンライン」(パッチ対応済)

 「メジャーWii パーフェクトクローザー」



まず、両者に共通することとして、「運営・公式の対応がクソ」「バグまみれで既にゲームとして成立すらしていない」

が挙げられるが、寧ろ、これらは今日のクソゲーには必須条件なのかもしれない。



まずは、「真『ジャンライン』」こと「ジャンライン」(パッチ対応済)から。



「たとえ不良品であっても、修正パッチを当てれば多少はまともになるだろう」と考えるのが世の常だろう。

しかし、「ジャンライン」はその「常識」が単なる「幻想」でしかないことを思い知らせたのである。

そう、ジャンライン製作会社のレコムが送り出したパッチの内容は、「修正」というよりも「改悪」、もしそうでなければ何かの呪いとしか思えないものであり、
いわば怪我をして病院に行ったら医療ミスどころか得体の知れぬ怪獣に改造されて戻ってきた、そういう惨状であった。



「カン」や「ポン」をしたら何故か関係ない牌が巻き込まれ、あまつさえ多牌や少牌になるのは日常茶飯事。

さらに、麻雀業界震撼モノの新ルール「先ヅモ」システムの搭載をもやってのけた。

「ロンしようと思ったら先にツモられていた。何を言っているのかわからねーと思うが(以下AA略)」

さらに、「牌がちょっと斜めになった」「手牌が突然ワープ」「まだ切ってもいない牌で上がられた」

「牌の選択が飛び飛びにしか出来なくなった」、といった現象が当スレに逐次報告された。

このように、卓上の時間と空間が歪んでいるとしか思えない数々の現象を目の当たりにし、スレでは

「卓上にx,y,z軸の三次元にジャン軸(ライン)を加えた四次元空間が現れている」という声も上がった。

そう、「宇宙麻雀」を超越した「四次元麻雀」がここに現れたのだ。



それだけではない。「パッチ配信直後に公式ブログと掲示板が閉鎖」「メールに対するコピペ丸出しの返信」といった運営の対応も香ばしさ満点で、スレを沸かせた。

中でも、「抗議の電話に対する『覚悟しています』という悲壮な返事」は、スレ住人に会社の悲惨な状態を垣間見せるのに十分すぎるものだった。



そのクソさは、四八マンに次ぐ当スレマスコット『ジャッシー』を生み出し、「麻雀ゲームのようなもの」という新ジャンルを打ち立てた。



また、今後あらゆるソフトに「パッチを当てるべきか否か」という、パッチに対する不信感を否応なく植え付けたという点においても本作の功績は大きい。





次に、「メジャー2」こと「メジャーWii パーフェクトクローザー」。



1作目がクソゲーだった上、2作目を年末に照準を合わせて出すだけに「次こそは期待」いう甘い期待も持ちたくなるが、この「メジャー2」は、そんな期待も全く意に介さないクソだった。



まず、投げる球はストレートしかなく、しかも必ずストライクになる。その上投げてもスタミナが減らないという点が何とも男らしい。

ボール球を投げる方法はあるが、いざ投げるとかなりの確率でフリーズ。相手よりも自分との駆け引きが熱いボール球というのはあっただろうか。

そして、「1アウトのはずが2アウトになる、通称『ジャイロキャッチ』」はスレ住人の度肝を抜いた。

「明らかにエラーなのにアウトになる謎判定」「壁をすり抜けて場外へと走り去るライト」、

さらにはどこに転がっているボールでも俊足キャッチャーが拾いに行く「センター前キャッチャーゴロ」等といった現象は枚挙に暇がなく、

「センター前キャッチャーゴロでファール」という訳の解らない事態まで発生した。

そして、「バッターと審判が後ろ向きになった」「ゴローの首までもが180度回転した」「サヨナラ負けになったのに優勝した」といった珍現象の報告が、

今なお当スレに上がってきている。



こうした艱難辛苦を乗り越え、いざスタッフロールを見るとそこには「ドリームファクトリー」の文字が。

さらに「プログラマー三人体制」という衝撃の事実、ついには公式サイトにパスワードをかけるという公式サイドの香ばしい対応ににスレは沸き立った。



「コンボイの謎」から連綿と受け継がれたキャラ地雷魂を持つ『タカラトミー』、クソゲーマイスター魂を存分に見せ付ける『ドリームファクトリー』、

まさに『最凶』と言ってもいいバッテリーが生み出したものは、それこそ「野球ゲームのようなもの」としか言いようがない新ジャンルだった。

いつしか「十字(じょうじ)ボタン」「決(けっ)める」といった取説の誤植をもじった『ジョージ・ケツメル』という名前が審判のあだ名になっていたことも付け加えておこう。



本作は、Xmas・年末商戦、劇場版公開といった子供の期待をまさしく「パーフェクト」に「クローズ」したという点において、タイトルの名に恥じないものとなった。







2008年は、年初の予想とは裏腹に、終わってみればクソゲー大豊作の年だったと言える。

とりわけ、「メジャー2」、真「ジャンライン」といった時空の歪みすらをも有したクソゲーを前にしては、

かの「十年に一度」という言葉さえも霞んでしまった。

2007年のKOTYスレにあった「脱力して出たクソより、全力で出したクソの方がいいに決まっているだろう」

という言葉を身をもって体現した、そういう規格外のクソゲーに恵まれた年だったとも言えよう。



以下の言葉をもって2008年のクソゲーオブザイヤーを締め括りたいと思う。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」







その16 猿受賞ver.

突如現れた二対の巨塔の出現により、今年度の選考はこれまでも見たこともないほどに難航していた。

大方の予想通り、当初のKOTYは、究極改造を遂げて復活した「ジャンライン」と、それを追って現れた最強最後の超魔球「メジャー」との一騎打ちであった。

だが、ここで悲劇が起きる……

議論の詰めにおいて、両陣営の支持者が空虚な論争を続けていくうちに、それぞれの看過できない欠点が浮き彫りになってしまったのだ。



まずジャンラインはジャンルの性質上、ゲームと言うより「麻雀再現ソフト」の範疇であり、「PC上で散々見慣れた、ただの粗悪ソフト」に過ぎないと批判された。

また、凶悪パッチやジャッシーが出た当時の雰囲気が伝わりにくく、麻雀のルールに疎い住人も多かったので、熱狂者や被害者以外の支持を得られなかった。

他方、やや優勢であったメジャーは、バグが起こらなかった場合、ルールは破綻しているが擬似的な野球としては辛うじて遊べる代物であった。

それに加えて、多くのバグが再現性不明確な「反転バグ」の副産物であり、核地雷を期待して買った住人から失意と同情の混じった声が多く寄せられた。

稀代の両雄は、一方は「クソ『ゲー』」ですらない真正の「ゴミ」であり、もう一方はネット全盛の情報爆発によって作り上げられた「偶像」であった。

残念ながら両者ともKOTYとは言い難い……そこで、この二つの逸品はいつまでもKOTYの歴史に残すべく、創立以来初の「失格」とすることでその栄誉を讃えたい。



さて、以上の二つを除いた全ノミネート作品から、今年のクソゲーオブザイヤー大賞を発表したい。

最後まで混迷を極めたKOTY 2008の覇者……それは『プロゴルファー猿』である。

『大奥記』から幕を開けた群雄割拠のクソゲー戦国時代において、KOTYは「クソゲーが何たるか」という根本的な命題に苦悶しつづけた。

そんな中で、『プロゴルファー猿』は、いついかなる時に誰が見ても「ゲームであり、クソゲーである」と自信を持って言える質の高さを持っていた。

それも、フリーズやバグなどの「不条理」なしに、ゲームとして完璧な「合理性」を満たしながらもクソゲーたり得るという高度な逆説を我々に提示したのである。

本作の登場を以って、クソゲー界のコペルニクス的転回が起きたと言えよう。



思えば2008年は激動の年だった。

「四八ショック」と呼ばれる、前年王者の残した爪痕……巨大な幻影に翻弄され、クソゲーの何たるかが見失われつつある中で、様々な試みが行われた。

中でも、パッチによって「進化」する新時代のクソゲーのあり方を示した『ジャンライン』と、奇跡のバグによって「笑いの神」からの寵愛を証明した『メジャー』……

冬枯れの中で我々の心を灯した二つの大輪の花は、栄華を極めるKOTYの輝かしい歴史の中でも、いつまでも色褪せることなく咲き続けるだろう。

そんな中、颯爽と登場した『猿』は到来を予感させるクソゲー新世紀にふさわしい「原点回帰」と言われるものであったと思う。

高容量のDVDの中に詰まっていたのは、幼いころ、低容量のファミコンカセットの中に置き忘れた夢ではなかったか。

──大好きなキャラクターの描かれたゲームソフト。歓喜と共に電源を入れて‥…すぐに裏切られ、心に浮かぶ焦りと寂しさを必死に否定していた──

「キャラゲーは絶対に買ってはいけない」……あの日涙とともに飲み込んだはずの塩辛い教訓を、猿は再び教えてくれたのだ。



そんな本作に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。



「ワ イ は 詐 欺 や ! プ ロ モ ー シ ョ ン 詐 欺 や !! 」


その17 メジャー受賞、ジャンライン失格ver.

四八(仮)』の出現した2007年をジャイアントインパクトに例えるならば、2008年はカンブリア爆発と言えるだろう。

あらゆるジャンルのクソゲー達が、次世代の覇権を握ろうと跳梁跋扈したのが2008年である。

あるものは四八が示したクソゲーの概念に真っ向から立ち向かい、あるものは四八と同じ道においてそれを超えようとした。



まず、KOTY 2008の始球式から叩きつけられたデットボールは『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ネタとして楽しめる範疇でなく本気で辟易してしまうほどの玄人志向を突きつけた。



しかし、その後は不作が続いた。

行方不明者を放置して脱出し、死んだはずの人物から「テキストがまだ無い」という衝撃の真相が語られる『奈落の城 一柳和、2度目の受難』…

ソフト内にはかけらも存在しない「32人同時対戦」を売りにして大規模詐欺行為を行った『メダル・オブ・オナー ヒーローズ2 』…

いずれも例年なら燦然と名を連ねるはずのクソゲーだったが、ノミネートしないまま見送られた。

「ゲームとして成立していれば、問題ない。」住人はまだ、前年王者がもたらした『四八ショック』から立ち直ることが出来なかった。



そんな長すぎる厳冬に飢える6月、ようやく遅咲きの春が訪れた。二年の長きに渡り延期を重ねた超大作『大奥記』の上洛である。

ファミ通レビューで「デスクリムゾン」と同評価、発売前にして買取価格200円という驚異的な前評判は、やはり伊達ではなかった。

自動ドアならぬ『自動襖』、ホバリング歩行、表情は全編固定。異常に多い部屋数とロードに耐え、「サマルトリアの王子を探すだけ」と例えられる内容。

八代将軍吉宗も舌を巻くであろう倹約・改革を徹底したその姿は、まさに公式サイトの言うところの「伏魔『伝』」と称するにふさわしかった。



続いて、超時空ジャンデレラこと『ジャンライン』が華々しく戦線に躍り出た。驚いたことに、本作は麻雀ゲー、つまりテーブルゲームである。

クソ化が半ば不可能な同ジャンルにおいて、フリーズ頻発、点数計算が異常、同プレイヤー同士の連戦不可、と全てが崩壊していた。

他にも、素人ボイスをダウンロード販売するも直後に中止・返金対応したり、公式ブログを麻雀素人が書いていることをあっさり告白したりと、

新人らしい初々しさと敢闘精神に溢れていた。だが、あくまでもこの時点では中粒程度にしか見られていなかったはずだった。

                           クル・ヌ・ギア

にわかの豊作に浮き足立つKOTYに、『これからが本当の地獄だ』と言わんばかりの怪作が届けられる。

『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』……新興勢力が渦巻くKOTY 2008に、老舗・アイディアファクトリーの放った刺客である。

不快感だけを六時間に濃縮した超絶ストーリーや、敵よりもプレイヤーにダメージを与える「合体技」の迷ゼリフ、

本筋に一切影響しない好感度システムや、マヒさせてオートで済む戦闘は『動画の無いムービーゲー』とでも呼ぼうか。

パッケージに酷似タイトルの絵師を起用するという離れ業をやってのけ、クソゲー会社の基本精神である「釣り」の商魂をまざまざと見せ付けた。



息もつかせぬ波状攻撃はさらに続く。ファミ通誌上で史上初の評点オール3を成し遂げた隠れていない伏兵『プロゴルファー猿』が横殴りの奇襲を仕掛けてきた。

「現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重」──本作の偉業に対して、ファミ通編集部も賛辞を惜しまない。

このゲームは決してバグが多い訳ではない。キャラゲーなのに6人、ストーリーがない、開始10分でエンディング、飛球の方向は一定……

全てが仕様であり、ゲームとしての価値が全く無いのだ。本編より豪華なCMを揶揄して「ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!」と叫ばれたのも記憶に新しい。



かくして、KOTY 2008が飽食ムードで審議に入ろうとしていた十二月……さらなる激動が急転直下の幕を開けるとは誰も予想していなかった。



まず、『パッチ』によって再誕を果たした『ジャンライン』が再び門を叩いた。

「パッチをあてたら更にクソゲー化した」の一言に集約される異常性は、クソゲーマーにすら理解不能の域に達した。

「亜空カン」で無関係牌を喰い、牌が傾いたり選択不能になったり融合したりと、もはや「四次元麻雀」と評するほかない。

意図しようとしまいとフリーズが頻発し、ロンをしたらツモられる意味不明の現象や、手牌を奪われれば上がり不能すらありえる。

パッチ前はまともな麻雀をしていなかったが、パッチ後にはまともでない『麻雀』をすることすら不可能になったのである。

ともあれ、本作の再臨劇により、「パッチにより悪化した場合は再ノミネート」という記念すべき新ルールがKOTYに樹立された。

もはやこれで決まりだろう……突然の急襲に沸きかえったKOTYスレだったが、やがて、再びつかの間の安堵に包まれていった。



だが神はKOTYに安息を与えなかった。「クソにはクソを、進化には進化を」。九回裏のここ一番、さらなる進化を遂げた男が帰ってきたのだ。

今年の先発を努めた、茂野吾郎の再登板、『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

本作のクソゲーとしての資質は、操作不能で勝手に盗塁してアウトになる走者、金属バットの快音を鳴らす木製バットなど、前作を着実に上回っている。

だが、審判と打者がピッチャーに背を向け、キャッチャーがセンター前ヒットを追いかけるという「本格野球ゲーム」を、一体誰が予想できただろうか。

戦慄する住人をよそに動画や画像によって続々と証拠が提出され、その評判は瞬く間に大手ニュースサイトに飛び火し、KOTYは大混乱の様相を呈した。

公式サイトに謎のパスワードをかけたタカラトミーのウェブ担当は先見の明があったと言えよう。

なお、プレイ開始約二時間後に待つエンディングに、開発がドリームファクトリー、プログラマーが三人という悪夢が鎮座していたことも特記せねばなるまい。



「年末には魔物が潜んでいる」とはよく言ったものだが、なぜ神は二本の英雄を同じ時期に産み落としたのであろうか。

究極改造を遂げて復活した「ジャンライン」、最強最後の超魔球「メジャー」。突如現れた二基の巨塔を前に、KOTY 2008の選考は難航の一途を辿っていた。

いずれ劣らぬ両雄であるが、その頭上に輝く王冠の数はたった一つしかない。優勢なのはメジャーであったが、ジャンラインも一歩も譲らなかった。

議論がさらなる議論を呼び、紛糾に紛糾を重ねる。クソゲーとは何か、KOTYとは何なのか。……果たしてこの空虚な闘争に終着点はあるのか。

もはやKOTYそのものの存続が危ぶまれ始めたその時、住人たちはある一つの決定に意見の一致を見出した。

   ジャンライン

「その 一線 を越えることなかれ」



再臨した『ジャンライン』は、もはや「ゲーム」でも「クソゲー」でもなかった。「商品未満」、「ただのゴミ」などという罵倒すらも生易しいものだった。

言うなればそれは天に滅するべき「存在自体の誤り」であったのだ。苦渋の末、我々は本作をKOTY史上初の「 失 格 」と処することに決定した。

稀代の新星により、ここにまた新たな歴史が刻まれた。二度と悲劇を繰り返さぬために、そして何より、その栄誉を後世に伝えてゆくために──



それでは、以上の一本を除く全ノミネート作品の中から今年のクソゲーオブザイヤーを発表したいと思う。

未曾有の激戦となったKOTY 2008を勝ち上がり、見事大賞に輝いた作品……それは『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

まず第一に、クリスマス・年末商戦・そしてメジャー劇場版公開という、子供たちの期待に応えて容赦なく全力でクソを投げつけた非情性が評価された。

特に、クリスマスプレゼントに沸き立つ子供たちの心を、文字通り完全に「クローズ」させた業の深さはまさにクソゲーの鑑であると言えよう。

だが何より決め手となったのは「笑いの神」から寵愛されているとしか考えられない無数のバグの衝撃、いや「笑撃」の大きさであろう。

ベンチに投げ込まれた暴投をその場で瞬時にミットに収める一塁手、球場の壁を突き抜けて消失する外野手、1キャッチで2アウトの「ジャイロキャッチ」。

点差に関わらず「原作通りに」突入する延長戦や、優勝決定戦で負けたのに勝ちルートのエンディングに突入するまさかの「逆転サヨナラ負け優勝」。

後ろ向きのバッターが何もない空間からセンターに向けて正確無比な打球を飛ばし、捕球もベースカバーもしない野手を尻目にキャッチャーが駆け上がる。

この惨状には、吾郎の首が180度反転したり、説明書の誤植から「ジョージ・ケツメル(十字・決める)」と名付けられた球審が背を向けるのも無理は無い。

「コンボイの謎」から続くキャラゲー地雷の老舗『タカラトミー』と、クソゲーマイスターと呼ばれた『ドリームファクトリー』……

二つの巨星の運命的な邂逅により、キャラゲーとしてもクソゲーとしても規格外の、純粋なる「クソ」の金字塔が見事誕生した瞬間であった。



思えば2008年は激動の年だった。

「四八ショック」と呼ばれる、前年王者の残した爪痕……巨大な幻影に翻弄され、クソゲーの何たるかが見失われつつある中で、様々な試みが行われた。

『猿』は「不条理」ではない純粋なる「無価値」を追究し、『ジャンライン』はパッチによって「進化」する新時代のクソゲーのあり方を示した。

そんな中で、『メジャー』が投げ込んだ「直球」がスレ住人の心をつかんだのは、それが最も力強く、クソゲーのあるべき姿を示したからであろう。

──ゲームを手にした「喜び」、クソとわかった時の「悲しみ」、理不尽な大人への「怒り」、そして、みんなで画面に罵声を浴びせる「笑い」──

幼い日のほろ苦い原風景が──見失ってしまった「クソゲー」の真の味わいが──本作とその周囲にはあったのだ。



そんな本作に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」





その18 ジャンライン大賞Ver(暫定的に欠番)






その19 メジャー受賞、ジャンライン失格ver.(その17 失格項目改編)

『四八(仮)』の出現した2007年をジャイアントインパクトに例えるならば、2008年はカンブリア爆発と言えるだろう。

あらゆるジャンルのクソゲー達が、次世代の覇権を握ろうと跳梁跋扈したのが2008年である。

あるものは四八が示したクソゲーの概念に真っ向から立ち向かい、あるものは四八と同じ道においてそれを超えようとした。



まず、KOTY 2008の始球式から叩きつけられたデットボールは『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ネタとして楽しめる範疇でなく本気で辟易してしまうほどの玄人志向を突きつけた。



しかし、その後のKOTYは未曾有の「心理的不作状態」が続く。

行方不明者を放置して脱出し、死んだはずの人物から「テキストがまだ無い」という衝撃の真相が語られる『奈落の城 一柳和、2度目の受難』

ソフト内にはかけらも存在しない「32人同時対戦」を売りにして大規模詐欺行為を行った『メダル・オブ・オナー ヒーローズ2 』

いずれも例年なら燦然と名を連ねるはずのクソゲーだったが、ノミネートしないまま見送られた。

KOTY住人はまだ前年王者がもたらした「四八ショック」から立ち直れていなかったのである。



そんな長すぎる厳冬に飢える6月、ようやく遅咲きの春が訪れた。二年の長きに渡り延期を重ねた超大作『大奥記』の上洛である。

ファミ通レビューで「デスクリムゾン」と同評価、発売前にして買取価格200円という驚異的な前評判は、やはり伊達ではなかった。

自動ドアならぬ「自動襖」、ホバリング歩行、表情は全編固定。異常に多い部屋数とロードに耐え、「サマルトリアの王子を探すだけ」と例えられる内容。

八代将軍吉宗も舌を巻くであろう倹約・改革を徹底したその姿は、まさに公式サイトの言うところの「伏魔"伝"」と称するにふさわしかった。



続いて、超時空ジャンデレラこと『ジャンライン』が華々しく戦線に躍り出す。驚いたことに、本作は麻雀ゲー、つまりテーブルゲームである。

クソ化が半ば不可能な同ジャンルにおいて、フリーズ頻発、点数計算が異常、同プレイヤー同士の連戦不可、と全てが崩壊していた。

他にも、素人ボイスをダウンロード販売するも直後に中止・返金対応したり、公式ブログを麻雀素人が書いていることをあっさり告白したりと、

新人らしい初々しさと敢闘精神に溢れていた。だが、あくまでもこの時点では中粒程度にしか見られていなかったはずだった。

                                 クル・ヌ・ギア

にわかの豊作に浮き足立つKOTYに、「これからが本当の地獄だ」と言わんばかりの怪作が届けられる。

『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』新興勢力が渦巻くKOTY 2008に、老舗・アイディアファクトリーの放った刺客である。

不快感だけを六時間に濃縮した超絶ストーリーや、敵よりもプレイヤーにダメージを与える「合体技」の迷ゼリフ、

本筋に一切影響しない好感度システムや、マヒさせてオートで済む戦闘は「動画の無いムービーゲー」とでも呼ぼうか。

パッケージに酷似タイトルの絵師を起用するという離れ業をやってのけ、クソゲー会社の基本精神である「釣り」の商魂をまざまざと見せ付けた。



息もつかせぬ波状攻撃はさらに続く。ファミ通誌上で史上初の評点オール3を成し遂げた隠れていない伏兵『プロゴルファー猿』が横殴りの奇襲を仕掛けてきた。

「現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重」──本作の偉業に対して、ファミ通編集部も賛辞を惜しまない。

このゲームは決してバグが多い訳ではない。キャラゲーなのに6人、ストーリーがない、開始10分でエンディング、飛球の方向は一定、

等々全てが仕様であり、ゲームとしての価値が全く無いのだ。本編より豪華なCMを揶揄して「ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!」と叫ばれたのも記憶に新しい。



そして十二月、想定外の飽食ムードの中で審議に入ろうとしていたKOTYに予想を遥かに超えた2作品が投入された。



まず、パッチによって再誕を果たした『ジャンライン』が再び門を叩いた。

パッチによる改善でKOTY候補から消えたゲームもある中で「パッチをあてたら更にクソゲー化した」報告の異常性はクソゲーマーにすら理解不能の域に達していた。

「亜空カン」で無関係牌を喰い、牌が傾いたり選択不能になったり融合したりと、もはや「四次元麻雀」と評するほかない。

意図しようとしまいとフリーズが頻発し、ロンをしたらツモられる意味不明の現象や、手牌を奪われれば上がり不能すらありえる。

パッチ前はまともな「麻雀」をしていなかったが、パッチ後には「まともでない麻雀」をすることすら不可能になったのである。

ともあれ、本作の再誕劇により、「パッチにより悪化した場合は再ノミネート」という記念すべき新ルールがKOTYに樹立された。

そしてこの時、我々は想像を超えた新機軸を前に「もはやこれ以上の糞は出ない」と考えていたのである。

しかし僅か一週間後、もう一つの激震がKOTYを襲うこととなる。



神はKOTYに安息を与えなかった。「クソにはクソを、進化には進化を」。九回裏のここ一番、さらなる進化を遂げた男が帰ってきたのだ。

今年の先発を努めた、茂野吾郎の再登板、『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

本作のクソゲーとしての資質は、操作不能で勝手に盗塁してアウトになる走者、金属バットの快音を鳴らす木製バットなど、前作を着実に上回っていた。

だが、審判と打者がピッチャーに背を向け、キャッチャーがセンター前ヒットを追いかけるという「本格野球ゲーム」を、一体誰が予想できただろうか。

戦慄する住人をよそに動画や画像によって続々と証拠が提出され、その評判は瞬く間に大手ニュースサイトに飛び火し、KOTYは大混乱の様相を呈した。

公式サイトに謎のパスワードをかけたタカラトミーのウェブ担当は先見の明があったと言えよう。

なお、プレイ開始約二時間後に待つエンディングに、開発がドリームファクトリー、プログラマーが三人という悪夢が鎮座していたことも特記せねばなるまい。





以上が本年のノミネート作品である。年初には「四八ショック」による不作が心配されたKOTY2008だが、結果的にはこれだけの良糞作品がそろった事をうれしく思う。

しかしながら我々はKOTY2008大賞発表を前に一つの悲しい報告をせねばならない。



『ジャンライン』をKOTY史上初の「 失 格 」とする。



再誕した『ジャンライン』は誰もが認める糞さを持ったソフトである。しかしながら『ジャンライン』はその糞さのあまり事実上プレイ不可能となった。

この惨状に対し発売元のレコムはサポートを実質放棄しており、ゲームとしての器に留まろうとする努力を何ら見せていない。

かの『四八(仮)』でさえ斜め上対応とは言え製品交換やバグ回避手段のアナウンスを行っていた事を思い出して頂きたいのだ。



クソゲーオブザイヤーとは素晴らしい糞さを持つゲームを称え、その年の最も優れた「クソゲー」に贈られる賞である。

当然審査対象は対象期間内に発売された「ゲーム」であり、「ゲーム」で無いものは審査対象とはならない。

我々はプレイ不可能なソフトを「ゲーム」として認めるわけにはいかなかった、この方向を突き詰めると「起動、即フリーズ」や「起動すら不可能」の様な荒野しか残されない。

それは我々が求める「クソゲー」では無い、故に『ジャンライン』をもはやKOTY審査対象「ゲーム」では無いと判断した。

    ジャンライン

「その 一線 を越えることなかれ」





それでは、上記一本を除くノミネート作品の中から今年のクソゲーオブザイヤーを発表する。

未曾有の激戦となったKOTY 2008を勝ち上がり、見事大賞に輝いた作品。

それは『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。



まず第一に、クリスマス・年末商戦・そしてメジャー劇場版公開という、子供たちの期待に応えて容赦なく全力でクソを投げつけた非情性が評価された。

特に、クリスマスプレゼントに沸き立つ子供たちの心を、文字通り完全に「クローズ」させた業の深さはまさにクソゲーの鑑であると言えよう。

だが何より決め手となったのは「笑いの神」から寵愛されているとしか考えられない無数のバグの衝撃、いや「笑撃」の大きさであろう。

ベンチに投げ込まれた暴投をその場で瞬時にミットに収める一塁手、球場の壁を突き抜けて消失する外野手、1キャッチで2アウトの「ジャイロキャッチ」。

点差に関わらず「原作通りに」突入する延長戦や、優勝決定戦で負けたのに勝ちルートのエンディングに突入するまさかの「逆転サヨナラ負け優勝」。

後ろ向きのバッターが何もない空間からセンターに向けて正確無比な打球を飛ばし、捕球もベースカバーもしない野手を尻目にキャッチャーが駆け上がる。

この惨状には、吾郎の首が180度反転したり、説明書の誤植から「ジョージ・ケツメル(十字・決める)」と名付けられた球審が背を向けるのも無理は無い。

「コンボイの謎」から続くキャラゲー地雷の老舗「タカラトミー」と、クソゲーマイスターと呼ばれた「ドリームファクトリー」……

二つの巨星の運命的な邂逅により、キャラゲーとしてもクソゲーとしても規格外の、純粋なる「クソ」の金字塔が見事誕生した瞬間であった。



思えば2008年は激動の年だった。

「四八ショック」と呼ばれる、前年王者の残した爪痕……巨大な幻影に翻弄され、クソゲーの何たるかが見失われつつある中で、様々な試みが行われた。

『猿』は「不条理」ではない純粋なる「無価値」を追究し、『ジャンライン』はパッチによって「進化」する新時代のクソゲーのあり方を示した。

そんな中で、『メジャー』が投げ込んだ「直球」がスレ住人の心をつかんだのは、それが最も力強く、クソゲーのあるべき姿を示したからであろう。

──ゲームを手にした「喜び」、クソとわかった時の「悲しみ」、理不尽な大人への「怒り」、そして、みんなで画面に罵声を浴びせる「笑い」──

幼い日のほろ苦い原風景が──見失ってしまった「クソゲー」の真の味わいが──本作とその周囲にはあったのだ。



そんな本作に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」






その20 メジャー受賞ver.(その19 失格項目改編)

『四八(仮)』の出現した2007年をジャイアントインパクトに例えるならば、2008年はカンブリア爆発と言えるだろう。

あらゆるジャンルのクソゲー達が、次世代の覇権を握ろうと跳梁跋扈したのが2008年である。

あるものは四八が示したクソゲーの概念に真っ向から立ち向かい、あるものは四八と同じ道においてそれを超えようとした。



まず、KOTY 2008の始球式から叩きつけられたデットボールは『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ネタとして楽しめる範疇でなく本気で辟易してしまうほどの玄人志向を突きつけた。



しかし、その後は不作が続いた。

行方不明者を放置して脱出し、死んだはずの人物から「テキストがまだ無い」という衝撃の真相が語られる『奈落の城 一柳和、2度目の受難』

ソフト内にはかけらも存在しない「32人同時対戦」を売りにして大規模詐欺行為を行った『メダル・オブ・オナー ヒーローズ2 』

いずれも例年なら燦然と名を連ねるはずのクソゲーだったが、ノミネートしないまま見送られた。

住人はまだ、前年王者がもたらした『四八ショック』から立ち直れていなかったのだ。



そんな長すぎる厳冬に飢える6月、ようやく遅咲きの春が訪れた。二年の長きに渡り延期を重ねた超大作『大奥記』の上洛である。

ファミ通レビューで「デスクリムゾン」と同評価、発売前にして買取価格200円という驚異的な前評判は、やはり伊達ではなかった。

自動ドアならぬ『自動襖』、ホバリング歩行、表情は全編固定。異常に多い部屋数とロードに耐え、「サマルトリアの王子を探すだけ」と例えられる内容。

八代将軍吉宗も舌を巻くであろう倹約・改革を徹底したその姿は、まさに公式サイトの言うところの「伏魔『伝』」と称するにふさわしかった。



続いて、超時空ジャンデレラこと『ジャンライン』が華々しく戦線に躍り出す。驚いたことに、本作は麻雀ゲー、つまりテーブルゲームである。

クソ化が半ば不可能な同ジャンルにおいて、フリーズ頻発、点数計算が異常、同プレイヤー同士の連戦不可、と全てが崩壊していた。

他にも、素人ボイスをダウンロード販売するも直後に中止・返金対応したり、公式ブログを麻雀素人が書いていることをあっさり告白したりと、

新人らしい初々しさと敢闘精神に溢れていた。だが、あくまでもこの時点では中粒程度にしか見られていなかったはずだった。



                                 クル・ヌ・ギア

にわかの豊作に浮き足立つKOTYに、『これからが本当の地獄だ』と言わんばかりの怪作が届けられる。

『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』新興勢力が渦巻くKOTY 2008に、老舗・アイディアファクトリーの放った刺客である。

不快感だけを六時間に濃縮した超絶ストーリーや、敵よりもプレイヤーにダメージを与える「合体技」の迷ゼリフ、

本筋に一切影響しない好感度システムや、マヒさせてオートで済む戦闘は『動画の無いムービーゲー』とでも呼ぼうか。

パッケージに酷似タイトルの絵師を起用するという離れ業をやってのけ、クソゲー会社の基本精神である「釣り」の商魂をまざまざと見せ付けた。



息もつかせぬ波状攻撃はさらに続く。ファミ通誌上で史上初の評点オール3を成し遂げた隠れていない伏兵『プロゴルファー猿』が横殴りの奇襲を仕掛けてきた。

「現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重」──本作の偉業に対して、ファミ通編集部も賛辞を惜しまない。

このゲームは決してバグが多い訳ではない。キャラゲーなのに6人、ストーリーがない、開始10分でエンディング、飛球の方向は一定、

等々全てが仕様であり、ゲームとしての価値が全く無いのだ。本編より豪華なCMを揶揄して「ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!」と叫ばれたのも記憶に新しい。



かくして十二月、想定外の飽食ムードの中で審議に入ろうとしていたKOTYに予想を遥かに超えた2作品が投入された。



まず、『パッチ』によって再誕を果たした『ジャンライン』が再び門を叩いた。

「パッチをあてたら更にクソゲー化した」の一言に集約される異常性は、クソゲーマーにすら理解不能の域に達していた。

「亜空カン」で無関係牌を喰い、牌が傾いたり選択不能になったり融合したりと、もはや「四次元麻雀」と評するほかない。

意図しようとしまいとフリーズが頻発し、ロンをしたらツモられる意味不明の現象や、手牌を奪われれば上がり不能すらありえる。

パッチ前はまともな『麻雀』をしていなかったが、パッチ後には『まともでない麻雀』をすることすら不可能になったのである。



本作によって、2007年、「ゴーストリコン アドバンストウォーファイター2(360版)」が、「年内にパッチにより改善された場合は除外」というルールを確立したのとは正反対に、
「パッチにより悪化した場合は再ノミネート」という記念すべき新ルールがKOTYに樹立された。

この時、我々は想像を超えた新機軸を前に「もはやこれ以上の糞は出ない」と考えていたのである。

しかし僅か一週間後、もう一つの激震がKOTYを襲うこととなった。



神はKOTYに安息を与えなかった。「クソにはクソを、進化には進化を」。九回裏のここ一番、さらなる進化を遂げた男が帰ってきたのだ。

今年の先発を努めた、茂野吾郎の再登板、『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

本作のクソゲーとしての資質は、操作不能で勝手に盗塁してアウトになる走者、金属バットの快音を鳴らす木製バットなど、前作を着実に上回っていた。

だが、審判と打者がピッチャーに背を向け、キャッチャーがセンター前ヒットを追いかけるという「本格野球ゲーム」を、一体誰が予想できただろうか。

戦慄する住人をよそに動画や画像によって続々と証拠が提出され、その評判は瞬く間に大手ニュースサイトに飛び火し、KOTYは大混乱の様相を呈した。

公式サイトに謎のパスワードをかけたタカラトミーのウェブ担当は先見の明があったと言えよう。

なお、プレイ開始約二時間後に待つエンディングに、開発がドリームファクトリー、プログラマーが三人という悪夢が鎮座していたことも特記せねばなるまい。





以上が本年のノミネート作品である。

究極改造を遂げて復活した「ジャンライン」、最強最後の超魔球「メジャー」。奇しくも同時期に聳え立った二つの巨塔を前に

KOTY 2008の選考は難航の一途を辿っていた。

議論がさらなる議論を呼び、紛糾に紛糾を重ねる。クソゲーとは何か、KOTYとは何なのか。



  ジャンライン

「その 一線 を越えることなかれ」



最終的にその闇と暗を分けたのは、この言葉であった。

再臨した『ジャンライン』は、もはや「クソゲー」でさえなかった。

「商品未満」、「ただのゴミ」などという罵倒すらも生易しいものだった。

言うなればそれは天に滅するべき「存在自体の誤り」であったのだ。



瓦解する塔の天辺から睥睨する荒野の中には、卓を囲み牌を積み上げる賽の河原が見える。

ジャンラインは「ゲーム」としての三途の河を越えてしまっていたのだ。



そしてKOTYには、ダイヤモンドに背を向けた一人の選手だけが残った。

未曾有の激戦となったKOTY 2008を勝ち上がり、見事大賞に輝いた作品。

それは『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。



まず第一に、クリスマス・年末商戦・そしてメジャー劇場版公開という、子供たちの期待に応えて容赦なく全力でクソを投げつけた非情性が評価された。

特に、クリスマスプレゼントに沸き立つ子供たちの心を、文字通り完全に「クローズ」させた業の深さはまさにクソゲーの鑑であると言えよう。

だが何より決め手となったのは「笑いの神」から寵愛されているとしか考えられない無数のバグの衝撃、いや「笑撃」の大きさであろう。

ベンチに投げ込まれた暴投をその場で瞬時にミットに収める一塁手、球場の壁を突き抜けて消失する外野手、1キャッチで2アウトの「ジャイロキャッチ」。

点差に関わらず「原作通りに」突入する延長戦や、優勝決定戦で負けたのに勝ちルートのエンディングに突入するまさかの「逆転サヨナラ負け優勝」。

後ろ向きのバッターが何もない空間からセンターに向けて正確無比な打球を飛ばし、捕球もベースカバーもしない野手を尻目にキャッチャーが駆け上がる。

この惨状には、吾郎の首が180度反転したり、説明書の誤植から「ジョージ・ケツメル(十字・決める)」と名付けられた球審が背を向けるのも無理は無い。

「コンボイの謎」から続くキャラゲー地雷の老舗『タカラトミー』と、クソゲーマイスターと呼ばれた『ドリームファクトリー』……

二つの巨星の運命的な邂逅により、キャラゲーとしてもクソゲーとしても規格外の、純粋なる「クソ」の金字塔が見事誕生した瞬間であった。



思えば2008年は激動の年だった。

「四八ショック」と呼ばれる、前年王者の残した爪痕……巨大な幻影に翻弄され、クソゲーの何たるかが見失われつつある中で、様々な試みが行われた。

『猿』は「不条理」ではない純粋なる「無価値」を追究し、『ジャンライン』はパッチによって「進化」する新時代のクソゲーのあり方を示した。

そんな中で、『メジャー』が投げ込んだ「直球」がスレ住人の心をつかんだのは、それが最も力強く、クソゲーのあるべき姿を示したからであろう。

──ゲームを手にした「喜び」、クソとわかった時の「悲しみ」、理不尽な大人への「怒り」、そして、みんなで画面に罵声を浴びせる「笑い」──

幼い日のほろ苦い原風景が──見失ってしまった「クソゲー」の真の味わいが──本作とその周囲にはあったのだ。



そんな本作に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」