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選評

遊戯王シリーズ初の『OCG(オフィシャルカードゲーム)をベースとした』据え置き機用ソフト。

事前に発表されたソフトの内容は、PSPで発売された

「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE(以下、TF)」のベタ移植ということだったが、

元ソフト自体の評価は高く、PSPを所持していない層がTFのためにPSPを買いに走るほどの

名作だったため、非難よりも歓迎の声の方が多かった。



また、使用できるカードが2400枚から2800枚と増加し、PSP用ソフト「TF2」との連動特典も

あるということで、TFをプレイしたか否かを問わず、多くの遊戯王OCGプレイヤーたちをwktkさせていた。



膨らむ期待感の中には、携帯機から据え置き機への昇格によって、様々な面でのパワーアップが

望める点があった。スレッドにはキャラボイスの充実、AIの強化、原作音楽の再現などなど、

強化されるであろう要素を予想し合う書き込みが相次いだ。





こうして迎えた発売日……の前日、フラゲ組が顔を真っ青にして報告を書き込んだ。



「こ、これは詐欺だ!」



・PSPにはあったキャラボイスがまさかの『全 削 除』+無意味に動く口パク(アニメ原作でこれは寂しい)

・制限リスト(デッキ内に入れられるカード枚数の制限)が2年前のTF発売当時のもので、近年猛威を

 振るいはじめたカードをデッキに入れ放題(ゲームバランス崩壊)

・演出面やAIの強化など……一切無し!

・TFまたはTF2からのデッキの引継ぎ……無し!

・ストーリーの追加要素……予想通り、一切無し!



近年、据え置き機から携帯機への劣化移植されるゲームが多くなってきてはいるが、その間逆である

「携帯機から据え置き機への劣化移植」は前代未聞と言っても過言ではないだろう。





まさかそんな離れ技をやられると思っていなかったプレイヤーたちは、そんなフラゲ組の報告を

「つ、釣られないぞ!」と頑なに信じようとしなかったが、発売日直後には完全にお通夜状態に。

告別式を済ませたあと、遊戯王フリークたちは何事もなかったかのように、「TF2」や「TFE」の2週間前に

発売されたDS用ソフト「遊戯王デュエルモンスターズ World~Championship~2008」の話をはじめるのであった。



元々「神ゲー」級と言われていただけに、上記の問題点を無視すれば普通に楽しめる代物。

内容面に致命傷なバグでもあれば、現皇帝・四八に迫れるものがあったかもしれないが、残念ながら

そういうものは現在確認されていない。



だが覚えておいて欲しい。

「携帯機から据え置き機への劣化移植」という、クソゲーにおける新たな時代の風が吹いたことを。