2009年 次点

概要

名称戦国天下統一
ジャンルシミュレーション
対応機種プレイステーション2
発売・企画元システムソフト・アルファー
発売日2009年3月26日
価格6800円/5800円
対象年齢CERO:A(全年齢対象)

公式サイト [外部リンク]

歴史SLGとして数々のトンデモ仕様(バグ)が注目を浴びている。

マイナータイトルのためかやや遅れて話題に。

プレイステーション・ポータブルでも同時発売され、内容もほぼ同じ。

要点

選評

選評案その1

2009年3月、コーエーの無双シリーズが焼きまわしで発売する中、
同じような形で発売されるゲームがあった。
昨年発売され不評だったPC版最新作「天下統一?」移植した、
システムソフト・アルファーのPS2&PSP歴史SLG「戦国天下統一」である。

発売年を疑いたくなるレベルのグラフィック、BGM。
なのに、どのコマンドを選択するにもロードが入る為非常にストレスが溜まる。
複雑なゲームなのにチュートリアルは大雑把。あとはコマンドのヘルプを見るのだが、
見るとカーソルが初期位置に戻される。新規プレーヤーに対して優しいのか厳しいのか。
パッケージ裏にも書かれている武将3500人以上のうち、まともな顔グラを与えられたのは数名、
有名武将以外は兜飾りの形、鎧の色が違うだけで全く同じ顔である。そしてその顔も憎たらしい。
プレイヤー自身で少ないパターンから変更こそ可能だが、デフォルトの状態だと、
家臣の殆どが白い歯むき出しで睨んでいる光景は、管理する側の気力を削ぐこと請け合い。
管理自体も非常に不便で、コマンドを実行する際に城の情報が表示されないので、
わざわざ全体マップで確認してから内政や戦争を行う必要がある。
さらに全体マップも不便で、城が600もある為密集しすぎて目当ての城が一発で調べられないと、
多重に仕組まれた謎仕様によって、前記のロードも重なりテンポもかなり悪い。

肝心のゲーム部分も問題だらけである。
全国の敵国にもフェイズ毎に思考時間が入るため、個々は短くとも自軍フェイズまでが非常に長い。
仕官した瞬間出奔する武将、組んだばかりの同盟を即効で裏切る他国大名、
俸禄(給料みたいなもの)を少なすぎならともかく、上げすぎても不満を言う部下達、
新しい武将を引き抜こうにも条件がわからず、敵城を攻略しても殆ど仲間は増えない等、とにかく登場人物が信用ならない。
どれだけ城を強化しても一瞬で落とされる、沢山攻め込んだもん勝ちの攻城戦。
ワープの如く海を渡り遠方から押し寄せてくる海軍。
移動と攻撃が両立出来ない為長射程の鉄砲が強すぎる合戦。騎兵でも接近される前にほぼ残滅。
仮に接近出来ても一撃で倒れる事は無いので結局袋にされてしまう。

最後に、クリア条件が天下統一以外にもあるあたり、タイトルに疑問を抱かずにはいられない。
ゲーム内ではなく家庭用、携帯機両サイドでのクソゲー天下統一しそうな出来だった。

選評案その2

システムソフト・アルファーの愚行は「戦極姫」が記憶に新しいが、春先に発売された
「戦国天下統一」もまた、同社のクソゲーの系譜に名を連ねるにふさわしいクソゲーだった。

そもそも「天下統一」シリーズは、オリジナルのPC版からして由緒あるクソゲー・バグゲーのシリーズである。
PC-9801向けに発売された「1」「2」までは城単位での侵攻や兵農分離などの真新しい
システムと堅実さが評価されたのだが、プラットホームをWindowsに移行して急激な転落が始まる。
新システムを搭載すれば人気が出ると勘違いしてみたところ、フリーズや強制終了は当たり前、
パッチも焼け石に水で「Windows?ナニソレ」と言いたげな小難しい操作性の「3」。
攻撃や防御などの判定バランス調整が殆どされずに運ゲーと化していたと思ったら、
開発者側がCPU側思考フラグを立て忘れて敵が一切攻め込んで来ず、発売から2日後に
パッチ配布という快挙を為し得た「4」。
そして、本作のベースとなった……というかほぼそのものが移植された「5」だ。

まずは、ゲームの顔となるグラフィックから紹介していこう。
従来の天下統一シリーズは顔グラフィックも無く、また戦闘シーンも簡素で「硬派」と謳われていた。
しかし、本作では妙に濃かったりアニメ調だったりする顔グラフィックが搭載され、
しかも統一感が無いものだから浮いた存在になってしまっている。さらには戦国時代に数少なかったはずの
"姫武将"の顔グラフィックを武将用・姫用と多数のパターンを用意しているあたり、
制作陣の勘違いが伺える。その上、戦闘シーンでは主要ユニットが拡大して表示されるのだが、
本当にただ拡大しただけで地形も兵士もディザだらけ。何世代前のゲームだとやる気を削がれる
仕様となっている。特に攻城戦などは城のミニチュアと兵士グラフィックがただ配置され、
そこにショボイ火のエフェクトが入るだけと脱力することこの上ない。
何もかもをただビジュアル化すれば良いわけでないという反面教師となるだろう。

システムのほうも、枚挙にいとまがない。
コマンドごとにディスクアクセスは当たり前。CPU大名のターンでも長時間待ちは当たり前。
何をするにもとにかく時間がかかり、ストレスが溜まっていくことは請け合いだ。
そのストレスは内政や外交でも容赦なく溜まり、他家との同盟などはまるで紙くず。自家の武将ですら
俸禄を払ってもいつ出奔するか寝返るかわからないという恐怖に怯えなければいけない。

ではゲームの核となる移動・合戦はというと、こちらも海を渡ればどんな遠い所でも一瞬で
目的地へと移動出来るという中国大返しもビックリな侵攻が可能になったり、オン・オフが
可能にはなっているものの何を血迷ったのか戦国時代で殆ど行われなかったはずの一騎打ちが
カードバトルで搭載されていたりと、どれもこれも足を引っ張るばかり。

合戦では前出の貧相すぎるグラフィックが出てくるばかりで、闘う意欲をこれでもかと削がれてしまう。
武将の能力値も従来のゲーム以上に「史実?ナニソレ」状態な上、容易に変化していくため、
戦略を組む楽しみも無い。同メーカーの体質は「3」の頃から何もかも変わっていないというわけだ。

「天下統一」シリーズだけで三度だけでなく四度までもユーザーという主家を裏切り、
その後同系統のPS2版「戦極姫」でも五度目の謀反。戦国の大逆人・松永久秀も尻尾を
巻いて逃げ出すような仕打ちは、出来ればこれ以上しでかして欲しくないものだ。