このページは、2013年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。
2012年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)。
その年は史上初の日米クソゲー大戦が勃発した忌念の年であった。
スレ住人たちはまさにクソゲー界に産み落とされた戦場カメラマン。
様々なクソの銃弾が飛び交う中、多くのクソを暴いていった。
そんな中、前年王者『嵐』は敵国はおろか、味方、そして中立的立場であるはずの
戦場カメラマンですら霧の中に消す最終兵器であった。
煩雑なUIの弾幕、不条理なゲーム性の砲撃。
KOTYの選評システムを嘲笑うような、語ることさえ封じる力を持った『嵐』を見て住民は思う。
「選評システムそのものを否定するこのゲームの後にクソゲーなんて出てくるのか?」
そう思えるほど何かが破綻した『嵐』の勝利は、長い平和をもたらすものに思えた。
しかし平和は長く続きはしない。
第一次世界大戦の後に第二次世界大戦が勃発したように。
四八ショックの後に七英雄が誕生したように。
人は学ばず、同じ過ちを繰り返す。
十年目の過ち、クソゲーを決める祭典…KOTY2013が始まる。
2012年の総評完成直後、それはKOTYに奇襲をかけてきた。
しかし、そのシルエットは奇襲と言うにはどこか見覚えがあった。
その正体はXbox36/PS3ソフト、『ヘビーファイア シャッタードスピア』(通称「HFS」)である。
『ヘビーファイア アフガニスタン』の続編にして日本ローカライズ版が
申し訳程度の改善と大きな改悪をひっさげてリベンジに舞い戻った。
今作は前作と同じく、ダメージ後の無敵判定などなく、
ダメージ時に画面が大きく揺れるので
複数の敵によってたかって撃たれる戦場そのものを表現している。
ならば隠れればいいと思って隠れても撃たれる、
敵の目の前に出るなどの理不尽さが襲い掛かる。
そもそも仕様で移動がオート化されており、
隠れられないことも多いとダメージを受けることが前提のようなシステムになっている。
連続ダメージで傷つき、リトライしても、ダメージが微量回復するだけで、
それ以外はチェックポイントを通過した時のままの戦いを強いられる。
どころかリトライ直後に相手が先んじて攻撃をしかけてくることもあるので、
リトライすることがそもそも無駄となる。
回復アイテムも非常に見辛く、取得したことすらよくわからないと言った状態でプレイヤーは思う。
「プレイ自体をシャットアウトしたい」と。
いくら操作性が悪くともストーリーが面白ければやりがいもあるのだが、
本作のストーリーは非常に淡白でつまらないものだ。
「米レンジャー部隊がイランで核兵器を確保しようとしたら発射され、国際問題になる前に国内で自爆させる」
という過激な舞台設定にもかかわらず、劇的な話も魅力的な敵も何もかもない。
ミッション前にナレーションがストーリーを長々と語るのだが、
本来ゲームで描写すべき点すらもそこで説明し、
しかもなんのビジュアルもないため、話に入りきれない。
そのミッションも「20以上」とパッケージに語られているが、
実際は12ステージを難易度で水増してあるだけだ。
そこの点は、『ヘビーファイア アフガニスタン』から何一つ変わっていないのである。
また、本作では「グラフィックと演出の向上」をかかげているが、
人物は徹頭徹尾無表情、ロープに引っ張られていると形容される敵のヘリコプター、
重力を無視したジープなどなど、本当に向上したのかと疑われるような出来である。
そして前作同様の電車ごっこ式マルチプレイ、ランキング機能のみと化したオンライン、
照準調整のための設定も見辛いと別の方面でも隙のないクソっぷりを発揮している。
前作よりクソっぷりが向上しているのにもかかわらず前作同様フルプライス。
値段を釣り上げられるのよりはマシだが、
そもそも前作すらフルプライスなのがおかしいレベルだったので、
やはりぼったくる気マンマンである。
2013年が始まって早々『HFS』という門番が出たことによってスレは活気づいた。
しかし去年の次点作、そのマイナーチェンジ版という強大な門番は去年『嵐』と争った面々と同じレベルでなければ
話題作入りすることすら不可能なことを示していた。
そしてその通りに数か月間、スレ住人を満足させる選評が届くことはなかった。
だが来る9月、バンダイナムコゲームスから発売された『ビビッドレッド・オペレーション-Hyper Intimate Power-』(通称「HIP」)の選評が届いてからはその様子が一変した。
本作は2013年の1月から3月に放映された『ビビッドレッド・オペレーション』のキャラゲーであり、発売当初は話題になったものの、
「どうせいつものキャラゲー(ガッカリゲー)だろう」と軽視されていた。
しかしそこにはガッカリゲーを超える何かがあった。
まず本編アニメの話だが、4人のメインキャラが変身して戦い、
主人公のあかねが他三人と合体することで強力な必殺を使えるようになり、
そして敵と激しい空中戦を広げるという作品である。
とにかく原作アニメは「尻」を魅せることに拘りぬいた作品であり、
ゲームも確かにいろんな意味で拘りぬいていた。
まず本作にもキャラゲーによくあるストーリーモードが当然搭載されている。
本作のストーリーモードはADV形式で勧めるもの。
が、そのストーリーモードは本編の中盤までしか再現されない。
発売はアニメ放映後数か月後なのにもかかわらずである。
そのせいで本編未視聴者意味不明な内容になっており、数々の謎は明かされないまま打ち切りエンドを迎える。
一応本作オリジナルエピソードがあるが、あまりにも無価値すぎてファンですら価値を見いだせないほど寂しいものだ。
また、ADV部分がフルボイスであるという利点はあるが、
ADV自体が5分程度で終わることを考えればあまりいい点とも思えない。
そのADVの合間には本作のジャンルにもされている「空翔けるビビッド・アクションゲーム」のパートがある。
アニメ本編はキレのある空中戦が見どころだったが、本作の空中戦は非常につまらないものだ。
まずキャラゲーにもかかわらず操作できるのは主人公のあかねのみ。
公式画像や説明書には残り三人も描かれているというのに、ゲームではボイスだけの出演である。
キャラの省き方といい声だけ出演といい、あの2011年の次点作品を思い出させる。
また本編の見どころである変身シーンと合体シーンは削られていて、キャラゲーとしての最低基準すら満たされていない。
それだけでもノーサンキューなのに、肝心のアクションも異常だった。
まず、本作のゲームパートは空中戦にもかかわらず、垂直方向への移動ができない。
そのくせ敵は自由自在に三次元を飛び回るのだから、文字通り次元が違う。
移動も非常に理不尽な仕様で、「その場から動くな!」というミッションのくせに動かず方向転換ができないことがあったり、
攻撃しつつ移動する手段がないなど、敵が三次元機動をすることも相まってストレスは溜まっていく。
そして攻撃であるが、主人公のあかねの武器は巨大なブーメランなのに、近接武器としてしか使えない。投げるのは必殺技のみである。
友情ゲージが最大のときに使える合体を行えば多少マシになる…と思えばそうでもなく、
必殺技の範囲が少し増える程度でただの回復手段と化している。
何より前述のように合体シーンもないので正直合体するメリットは体力回復だけである。
インターフェイスの貧弱さを引きずるように敵も総じて弱く、二種類しかいない。
しかし先述の通り移動や攻撃が理不尽なので無駄にダメージは負う。
キャラゲーとしてダメでもせめて無双する快感を!
という一縷の希望すらブーメランのように空の彼方へと飛んで行ってしまうのだ。ただし、帰ってくることはない。
本作を「ケツからクソが出た」と言った者がいたが、本質を示していると言って過言ではない。
因みにこのソフトには『ビビッドレッド・オペレーション あかねとマヨっとオペレーション!』という販促ゲームが発売前に300円で配布されていたが、
こちらの方は食べ物にマヨネーズをかけていくというただそれだけの虚無ゲーで、
購入者をして「怒りどころか何の感情も湧いてこない」と言われた。
このゲーム(?)をもっていると「HIP」が500円引きで購入する権利とネタ武器が手に入るが、
値引きも9月24日までと今では販促ゲームとしてすら価値がなくなった点について触れておく。
また、このゲームと「HIP」を合わせて「ケツマヨ」というマスコットAAが作られたことも
この作品がいかにスレで愛されているかがわかるだろう。
なお、原作アニメは賛否あるもののゲームと違ってクソではないので誤解なきよう。
『HFS』と『HIP』が登場し、去年のような日米クソゲー大戦が繰り広げられる中、アメリカから新たな刺客が送られてきた。
ベトナム戦争を舞台としたユービーアイソフトの『エア コンクリフト ベトナム』(通称「エアコンV」)である。
公式PVで「ベトナム戦争で初めて実戦投入された戦闘用ヘリの威力を完璧に再現」と称されるこのゲームは確かにすさまじい威力を放っていた。
まず肝心のヘリと戦闘機の操作はそれぞれ別になっていて、ヘリの場合△と□で上昇下降、左スティックで旋回と機首の上下、右スティックで平行移動と前進後退。
逆に戦闘機の場合は△と□で加速減速、左スティックで機体の操作、右スティックでカメラ操作…と同じようなジャンルのゲームとしては劣悪な操作性になっている。
やり辛いだけならまだしも、普通のゲームならできてあたりまえのオプションによる操作方法の変更もできず、自由自在に空を動き回れない。
かと思えば縦ローリング可能な爆撃機やどんな体勢からも水平飛行に戻せるなどやりたい放題。
ヘリや戦闘機の3Dモデルはリアルで出来がいいのに、まったくリアリティのない機動である。
そんなリアリティのなさは機動に全部持っていかれたのかストーリーは超が付くほどリアルだ。
主人公はパイロットとしてベトナムに送られた妻子がいるアメリカ兵なのだが、
戦地にいる間、その妻子から容赦ない言葉を浴びせられる。
手紙で罵倒され、離婚届を送りつけられ、「人殺し」呼ばわりされ…最初は二人とも主人公がパイロットに選ばれて喜んでいたことを考えると報われない。
(一応世が反戦ムードになったという理由はあるが)
そんな主人公の弟も主人公や亡くなった軍人の父に憧れて軍に志願するものの、
途中で鬱になりいつのまにやら戦死してしまい、
それによって主人公は母から遠回しに罵倒されるハメになる。
最後は元帥までなるが、家族は離散し1993年に癌で孤独死するという悲惨な目に。
PVで「ベトナム戦争の真実(リアル)がここにある」と言われていたが、
ゲームでここまでやる必要はあったのだろうか。
そのことで選評者には「wikipediaの同項目を熟読した方がよほど有意義」と言われてしまった。
こんな悲惨な結末を見るには苦痛の戦闘をする必要がある。
操作の煩雑さは前述のとおりで、さらにお荷物がついてくる。
本作の目玉とも言われている部隊戦だが、その時はいつでも部隊の別機体の操縦をできる。
しかし操作していない機体は集中砲火を受けようがなにがあろうがその場を旋回するだけで何もしない。
プレイヤーが操作している機体についてくれればまだいいのに随伴すらしないため、
全ての機体を目的地に運ぼうと思うと何度も何度も別機体で同じルートを進む必要がある。
また、味方機が撃墜された場合、パイロットの生存能力が高ければ救出ミッションが開始されるが
パイロットが死のうが行方不明になろうが替えはいくらでもいるためやる必要がない。
オンラインにも対応しているが、そもそも人がいないのでマッチングできない。
しかもオンラインプレイ関連の実績解除が5つもあり、実績解除コンプは無理とまで言われている。
他にもヘリのレーダーが無意味になったり、目的ポイントや敵がエリア外に出たりするなど恐ろしい事実はいくつかあるが、
何より恐ろしいのが死を繰り返す無限ループが存在することだ。
本作はチェックポイントの管理が甘く、壁と激突した直後にチェックポイントに戻ると壁に激突する瞬間に戻されて、死ぬ。もう一度戻っても死ぬ。
敵に撃墜されたからとチェックポイントに戻ると、敵に撃墜される直後に戻され、敵と激突して死ぬ。もちろんまたチェックポイントに戻っても死ぬ。
これ以外にも突如搭載した武器が消失する、切り替えができなくなると言った怪現象すら起きる。
このゲームのジャンルはエアコンバットであって、ホラーゲームではないのだが…。
低い空で、狭い大地で、あるときは時間の牢獄に閉じ込められて不自由に飛ぶ。
これのどこに公式HPで謳われる「史実を元にしたリアルな空中戦」があるのだろうか…。
こうして、『エアコンV』も『HFS』と『HIP』のあとに続いてKOTYに参戦することになった。
そして『エアコンV』と同時に出現した『ダブルドラゴン? ワンダーオブザドラゴン』(通称「DD2」)の存在も忘れてはならない。
本作は同じ名前の名作横スクロールアクションゲーム、そのリメイク版であるが、
その中身はリメイクどころかリテイクしろと言いたくなるようなものだった。
まずリメイク前は前後の二方向に攻撃ができるが、本作は攻撃する方向が八方向に増えている。
一見問題ないように見えるが、それは裏を返せばリメイク前は前後の二つにだけ気を配っていれば良かったのに対し、
本作は八方向全てから敵が押し寄せてきてプレイヤーをタコ殴りにしてくるということだ。
一方を殴っていると、瞬く間に他の方向から攻撃され、
距離をとっても逃げてもすぐに近づかれては殴られる。
ガード機能もあるにはあるが、向いている方向にしか機能しないので、リンチされるのには変わりない。
また本作に攻撃・防御・ジャンプをすると消費するスタミナゲージがあるため、
仮にガードし続けてられていてもいつかは破られる。
某キャラクターが「戦いは数だよ兄貴!」と言っていたがまさにそれを体現するようなシステムである。
そんな理不尽な雑魚戦をなんとかいなし、ボスのところにたどり着くとそこもまた地獄であった。
ボスは一部のステージで出てくる最後の関門であるが、攻撃力が高く、怯まない。
それだけならまだいいのに、雑魚も召喚してボスを交えたリンチが行われるのだからさあ大変。
「ボスに攻撃⇒雑魚に殴られダウン⇒起きあがった直後にボスの攻撃⇒ダウン⇒起きあが(ry」という無限ループが行われる。
しかしこんなに酷いリンチでもなんとか抜けられる方法はある。
それを使うには特殊な条件を必要とするが…
本作は初期状態でコイン(残機)が20枚あって、HP0のときそれを使うことで復帰できる。
そう、特殊な条件とはコンテニュー時。コンテニューした瞬間、自機の周りに放つ波動…
それこそが切迫した状況をひっくり返す通称「コンテニュー拳」。
範囲は広くないものの威力は高く一気に敵を蹴散らせる。
こちらを袋にするボスですら、コンテニュー拳を多用することで嘘のように簡単に倒せるのだ。
これのほかに四種類の必殺技を使うことができるが、
一つ除いて全部使い勝手が悪く、わざわざ使う価値が見当たらない。
他にもPS1にすら劣ると形容されるグラフィックに10秒程度の旧作リミックスが延々と流される様、
しょっぱい効果音など枚挙に上げればきりがない。
しかしながら、体験版でこの作品のクソさはだいたい伝わる上に、
ユーザー評価が著しく低いため(5段階評価のうち1.5)、
事前に避けられるという点はまだマシと言えるだろう。
また『DD2』に前後してWiiUで発売された『ARC STYLE:野球!!SP』(通称「悪球」)が一時期スレを騒がせた。
本作は2012年に3DSで発売されたものの移植版であるが、移植前にできたオンライン対戦ができなくなっているという劣化移植という点や、
トーナメントモードの敵が貧弱すぎる点、隠しチームが異常に強い点などなど問題はあるものの、
800円という値段や一応野球ゲームとして成立していることから、惜しまれつつも選外へといくことになった。
そして激動の9月が終わってからは特にこれと言ったゲームも出ず、すでに話題作入りした作品の検証を行う日々が続いた。
しかしそいつはそろそろ総評を書こうというムードになっていた元旦に、待ったと言わんばかりに滑り込んできた。
ユビキタスエンターテインメント作品、WiiU専用ソフト『ガイアブレイカー』(通称「ガイア」)である。
12月25日のクリスマスにDL販売開始された今回の年末の魔物である。
わざわざクリスマスに販売してくるあたり、「家にいる家族みんなで楽しんでほしい」というユビキタスエンターテインメントからのプレゼントなのだろう。
しかしそのクリスマスプレゼントはゲームを楽しむことに支障をきたすものだった。
それでは長いロードと「Miiverse」表示関連しか項目のない充実したオプションから始まるこのゲームを見ていこう。
本作はいわゆる縦スクロールシューティングと言われるジャンルのゲームだ。
縦シューティングと言えば、『怒首領蜂』や『レイシリーズ』といった名作が多くあるジャンルで古くから親しまれてきた一つの文化だ。
そんな古き良きシューティングを見習ったのか本作は斜め移動はおろか上下移動すら封じ、左右移動限定というインベーダー仕様である。
アイテムやパワーアップ、ボムといった昨今のシューティングならあってあたりまえのものをあえてなくすあたり、インベーダーへの本気のリスペクトがうかがえる。
その一方でリスペクトばかりではなく、本作独自の機能が輝く。
まずプレイヤーの分身として共に戦う自機は通常弾とレーザーの二種類しか撃てない。
用意されているグラフィックも最小限で、使いまわしばかりの敵とあわせてアーケード時代のシューティングを思い出させる。
また、左右移動しかできない本作であるが、プレイしているうちにその移動すらなぜか働く慣性や謎の遅延、処理落ちに悩まされる。
ストレスフルな移動を行いたどり着いた4面以降は「自機狙い弾」の増加と真横からくる「追尾レーザー」によってミスを強要される。
結果として左右移動しかできないのに左右移動では回避できない状況が生まれる。
「背景と同化していて見えづらい」と報告される弾幕すらある始末だ。
それらを超えても待ち受けるのは残機MAXでも勝つことが運ゲーと称されるラスボス。
運ゲーの果てにクリアしても待ち受けるのはスコアとタイトル画面のみ。
後の検証で、クリア時にスコアが500万点以上ならスタッフロールが流れるということがわかったが、
クリアするのがそもそも運ゲーだというのに、さらに条件を提示して何人がスタッフロールを見られるというのか。
当然だが、スタッフロールというものは普通にあってしかるべきのものである。
また、SE、BGMや背景をはじめとするグラフィックもお粗末なもので、クソゲーはBGMだけはいいという法則すら成り立ってない。
まるでスマホアプリのようだ、と言われても仕方ない出来であるが、本作はもともとスマホアプリを移植したものだ。
しかし600円のアプリを1890円に増やしたうえで追加した機能は「Miiverse」への対応のみ。
この出来でWiiUダウンロードソフト最高額なことを考えればeショップで23人連続☆1評価という記録を叩きだすのも納得である。
検証が続き一時期は選外とも言われていた本作であったが、
そのあまりにも手抜きな内容と開発者の香ばしい発言によって最後までスレを賑やかせ、
年末の魔物が最後に参加表明を出していったのであった。
以上、ノミネート5作品の紹介を終えたところで、今年の大賞を発表しよう。
KOTYが10周年を迎え、今までの大賞・次点作品が見守る中、10番目の大賞を勝ち取った作品は…
『ビビッドレッド・オペレーション-Hyper Intimate Power-』である。
理由は本作が「クソゲーオブザイヤー」を象徴する作品であるからだ。
まずはKOTYという祭典が開始されたときのことを思い出してほしい。
最初のKOTYは期待度が高かったが微妙だったゲーム、つまりガッカリゲーの哀しみを笑い飛ばすスレだった。
大作、期待作、キャラゲー…それらのガッカリを笑っていたあの日々。
次にあの日、四八(仮)という魔神が生み出されてしまった日、
あの日からKOTYは真のクソゲーを決める祭典へと進化した。
来る日も来る日も押し寄せてくる質の違うクソに笑うしかなかった日々。
四八ショックの前後どちらも含めてのKOTYの10年だ。
それを踏まえて『HIP』を見てほしい。
『HIP』は「尻さえ拝めれば後はどうでもいい」というファンの希望すら満足に叶えなかった。
限定版「ビビっとテンコ盛りパック」も発売されていたが、本作がDL限定販売ということもあり、
設定資料集やサントラはPS3本体にしかその身を置けず、従来のファングッズとは違い自由に取り出すことができない。
しかも2013年9月下旬までの限定販売であったため、今はファンアイテムとしての価値はないと言っていい。
また変身シーンなどの見せ場を悉く削っており、キャラゲーとしてあるべきものが何もかも欠けていた。
『HIP』は間違いなく、ファンのささやかな願いを踏みにじり弄んだ「ガッカリゲー」だ。
しかし、それだけではない。
垂直移動もできず、移動中に攻撃はできない、移動せず方向転換ができない、できないこと尽くしの操作性。
それを嘲笑うかのように自由に動き回るザコ、そして安地を徘徊するラスボス。
見辛い背景と狭い視界、少なすぎる攻撃手段。
簡単なのに理不尽にダメージを喰らい、それすら合体で回復することができる。
原作未見ですら楽しめない究極の虚無。「ゲームとして成立してない」様がここにあった。
つまり『HIP』はガッカリゲーとクソゲー、どちらの要素も持ち合わせたハイブリッドクソゲー。
四八前というケツと、四八後というケツの間から出てきたクソ、それこそが『HIP』なのである。
それは10周年を迎えるKOTYそのものを示してると言って過言ではないだろう。
2013年のKOTYは例年以上に荒れた年であったように思える。
前年王者『嵐』の暴風、PS3版『大戦略PERFECT』の延期…。
選評が上がったものの、選評者自身が取り下げを行うという未曽有の事態も起きた。
少ない情報で議論され、話題作と選外を行き来する作品もあった。
しかし、そんな凄まじいうねりの中で、『HFS』『HIP』『エアコンV』『DD2』『ガイア』といった趣の違う鈍色の個性を放つゲームが出てこれたのは
ソーシャルゲーが発展してる今日においては僥倖と言えるだろう。
特に前作から引き続き参戦した『HFS』はKOTYのこれからを感じさせる作品であり、
『HIP』はKOTYの10年の歴史、クソゲーオブザディケイドを物語り、四八(仮)の座を引き継ぐクソゲー界の破壊者なのかもしれない。
最後に同じ10周年記念作品である『仮面ライダーディケイド』のキャッチコピーを借りてKOTY2013を終えるとする。
「クソゲーの破壊者『HIP』。いくつものクソゲーを退け、そのケツは何を出す?」
2012年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)は、かつて無い苦難の旅路だった。
にわかに本格化した洋ゲーの侵攻、世界を股にかけた調査の日々、
そして最後に待っていた、『太平洋の嵐』をめぐる60日の航海……。
荒れ狂う海、出口のない霧に飲まれ、どれほど多くの仲間が散っていったことだろう。
だが、死闘の果てに手にした勝利に、スレ住人は一つの確信を新たにしていた。
「ペンは剣よりも強し」。
クソゲーを掴んだ無念は、必ず、言葉によって晴らすことができる。
だからこそ、ここに集い、肩を寄せ合い語らおうではないか。
まだスレ全体が霧に包まれていた1月末、
太平洋沿岸に、極秘裏に上陸した特殊部隊の姿があった。
PS3/XBox 360両機種対応レールシューティング、
『ヘビーファイア シャッタードスピア』(通称「HFS」)。
昨年の携帯機KOTYを制するも、据置機では惜しくも敗れた『ヘビーファイア』シリーズから、
イランでの紛争を描いた最新作の捲土重来である。
前作『アフガン』のかたきを討つべく、負の方向へパワーアップしたその姿はさながら、
進化する妖銃「デスクリムゾン」を彷彿させるものであった。
まずは、前作のおさらいから入ろう。
昼と夜とでステージ数を水増し表記、リトライ・即・死亡の無限ループ、設定項目が皆無な「充実のオプション」。
コスト削減の魂胆が目に見えるモノクロ5Pの説明書に、ろくすっぽ追加要素もなく北米版の3倍に引き上げられた価格。
これらは全て前作のクソ要素であるが、続編である今作でも、あますところなく健在だ。
先代からの伝統を尊重する一方で、新鋭らしく、よりアグレッシブにアレンジされた点も多々ある。
『アフガン』では物陰に隠れても容赦なく射殺されるシーンが問題になったが、『HFS』で修正されるどころか頻度が激増。
加えて敵側の命中率も底上げされており、プレイヤーは心身ともに蜂の巣にされることとなる。
敵の擬態も相変わらずで、今度は回復アイテムまでもが背景に溶け込んでいるのだからたまらない。
むろん、改善した点もないではないが、「もう少し頑張って欲しかった」というのがプレイヤーの本音だろう。
たとえば演出面。全体的に強化されたものの、アクションシーンを失敗したり、人質を誤射したりするとその場でゲームオーバー。
戦車同士で戦う場面も追加されたが、ご丁寧にこれも、一発でも撃たれると即死である。
直前のモノローグで主人公が「戦車の強力な装甲は安心させてくれる」などと述べており、脱力感もひとしおだ。
ストーリーも申し訳程度に拡充されたが、むしろ無かった方がマシ、というレベルである。
ヘリに乗り込む場面があったかと思えば、その直後に「運が悪かった」とモノローグが入り、いきなり墜落。
ラストステージでは「核ミサイルを発射されたけど、自爆ボタンでなんとかなりました」という超展開。
今作では日本語音声もついているが、戦場においてもなぜか朗読風のセリフであり、茶番っぷりを強調している。
ともあれ、条約破りの大返しにより、KOTYのヘッドクォーターは一瞬で陥落した。
2013年の「門番」が誕生した瞬間である。
それに続けと4月5日、花見の宴もたけなわの頃、
かの地より送り込まれし龍の双子が、春雷とばかりに気高く吠えた。
XBox 360ライブアーケード作品、『ダブルドラゴン? - ワンダーオブザドラゴン』(通称「DD2」)。
80年代の名作『ダブルドラゴン? ザ・リベンジ』を北米向けに3Dリメイクし、日本に逆輸入した作品だ。
『ダブルドラゴン』シリーズは、テクノス社の『熱血硬派くにおくん』の兄弟作であり、
カプコンの『ファイナルファイト』でお馴染み、「ベルトスクロール」系ゲームの元祖でもある。
このとおり、やんごとなき血筋を受け継いだ本作であったが、
その運命は壮絶なハードモードであった。
本作を一言で言い表すと、真正の「マゾゲー」だ。
高難度のゲームを指してマゾゲーと言うことはよくあるが、これは性癖的な意味での「マゾヒスト向けゲーム」。
ふつうベルトスクロールと言えば、敵を一箇所に丸め込んで一方的にタコ殴る爽快感が醍醐味であるが
本作はそれとは全く逆に、敵からいいように丸め込まれて、一方的に殴る蹴るの暴行を受けるゲームなのである。
かつて名作の舞台となった街並みも、今作ではヨハネスブルグのガイドラインを地で行く魔界都市。
3D化したことで文字通り全方向から暴力が襲ってくるようになり、往く先々で凄惨なリンチが待っている。
「殴られるごとにスタミナが減る」という、ある意味でリアルすぎる仕様も追加され、袋叩きからの脱出は困難だ。
反撃とばかりにパンチや必殺技を繰り出しても、相手の体力は一向に減らず、
コンティニューの際に発動する謎技(通称「地団駄」)が最強威力であることも無常観に拍車をかけている。
起き上がりざまに地団駄を踏むその姿は、あたかもユーザーのやるせない怒りを代弁するかのようである。
このように、本作はいじめられっ子の気持ちを追体験できる点で、極めて社会派で、心温まるゲームであると言えるだろう。
高邁な理念のもとでは、ゲームとしての基本要素が疎かであっても瑣末なことだ。
十秒程度のワンコーラスを延々と繰り返すBGMも、どことなく『バーチャル飛龍の拳』っぽいビジュアルも問題ではあるまい。
社会の闇に切り込んだ本作に対し、海外の各メディアも最大級の賛辞を惜しまない。
「新たなチャンピオンに道をあけよう。これを超えるには世界が終わるほどの酷さが必要になるはずだ」、
「過敏性腸症候群のインタラクティブ版。史上最も奇妙な駄作の一つである」、など、
言葉の意味はよくわからないが、とにかく尋常ならざる畏敬の念を払っていることは感じて取れる。
ライブアーケード公式ページでのユーザー評価も見事、5段階中の1.5という昇順でダントツ1位のスコアを記録し、
世に出ると同時にしめやかに葬儀が行われることとなったのであった。
かくして人獣入り乱れる戦火に呑まれ、なすすべもなく翻弄される日本であったが、
6月20日の雨空の下、決死の覚悟の少女隊が立ち上がる。
PS3向け、ダウンロード販売専用ソフト、
『ビビッドレッド・オペレーション -Hyper Intimate Power-』(通称「HIP」)。
2013年初頭に放映された、同名の深夜アニメをゲーム化したものである。
原作について簡単に説明すると、「ホットパンツと"尻"の描写にひたすらこだわった、空中バトル活劇」といったところだろうか。
地球を狙う侵略者に対して4人の美少女戦隊が立ち上がり、友情パワーで「合体(ドッキング)」することで勝利をつかんでいく。
しかしながら、それらの要素を混ぜあわせたはずのゲーム版は、合体事故と言わざるを得ない惨状と化していた。
第一に、《ゲームシステム》の話をしよう。
本作のジャンルはメーカー曰く「空かける、ビビッドアクション」であるが、それはただの妄言であり、
実際には「空みたいなとこを浮遊する、雑魚狩りアクション」である。
それが証拠にまず、このゲームには上下移動が存在しない。
地を這うように平面上を滑るのみであり、空かける躍動感や疾走感は欠片もないのである。
雑魚敵も全ステージ共通で2種類しかおらず、ウニっぽい奴とボールを潰して回るだけの潮干狩りが延々と続く。
背景はほぼ空一色で、ビビッドどころか「精神と時の部屋」ばりの殺風景。全編トレーニングモードのごとき内容と見事に調和している。
離乳食よりも歯ごたえの無い難易度の一方で、操作性は最悪であることも補足しておこう。
ロックオンすると明後日の方向を見定め、敵と向きあおうとしても後ろにすり抜ける。
それでいて処理落ちは特盛りであり、制限時間3分のミッションが実測で9分かかるという光景には感動すら覚えるほどだ。
かような有様では、2,3時間でクリアできる極薄ボリュームでさえも「不幸中の幸い」と言えよう。
次に、《ストーリー》についても述べる。
全12回のアニメ本編を計1時間のADVパートに収めるという無理難題に対して、本作の導き出した答えは実に興味深い。
まずはじめに、原作の最も重要なコンセプトである「友情」を大胆にも削ることで大幅な容量削減に成功している。
4人の美少女戦隊のうち、本作で操作できるのは主人公1人だけ。他の3人は戦場に姿を見せず、「合体」時に蒸着されるだけの存在だ。
原作のウリだった変身シーン・合体シーンも全カット。無用なバンクで水増しをしないという意識の高さを評価したい。
加えて、難解な設定をあえて放棄するという英断も見逃せない。
敵方のヒロインである黒騎れいは、故郷を救うために人知れず悪に手を染めているのだが、本作ではそんな事情などガン無視である。
鍵をなくしたと謎ギレ、シャワールームで意味不明な独り言、など、あくまでも周囲から見たありのままの姿で描かれている。
この勢いはクライマックスでもとどまることを知らない。
「れいちゃんどこにいるんだろ?」
「あそこにいる」
「あ、本当だ! お〜い! れいちゃ〜ん!」
という台詞と共に突如始まるスタッフロールは、歴戦のスレ住人をも驚愕させることとなった。
ロケットで突き抜けたスタッフの皆様におかれては、ぜひそのまま太陽系から出て行っていただきたいところだ。
だが、これらにまして最終的に『HIP』の地位を不動のものとしたのは
本作のテコ入れとして作られた《販促ソフト》の存在であろう。
その名も、『ビビッドレッド・オペレーション あかねとマヨっとオペレーション』(通称「マヨ」)。
スレ住人の度肝を抜いた『マヨ』のゲーム内容は、
「ビビオペの主人公・一色あかねが、料理にマヨネーズをかける」。
以上で全てだ。
大事なことなのでもう一度繰り返すが、本作の制作スタッフは、
「絵の中の食べ物に、マヨネーズをかけるだけ」の権利をゲームと称して、300円で売っているのである。
かつて味の素が放った問題作『もと子ちゃんのワンダーキッチン』ではマヨネーズを使ったレシピが紹介されていたが、
本作では、チョコクッキーに一本丸ごとマヨネーズ、あんころもちに一本丸ごとマヨネーズなど、ただのグロ画像しか登場しない。
一応、『マヨ』を先に買えば『HIP』本編が割引になるという特典はあり、クリアするたびに『HIP』の販促CMが入るものの、
この出来映えで本編に惹かれるとは到底思えず、むしろ最悪な印象しか抱かないであろうことは火を見るより明らかである。
近年激戦区と化した「ゲー無」業界であるが、よもやこれほどの核弾頭が投下されるとは誰が予想できただろうか。
『HIP』および『マヨ』はスレ住人から熱狂的に受け入れられ、数々のAAが作られたのであった。
争いの火は夏を越してなお消えない。9月中旬、秋めく空の彼方から、亜音速の刺客が飛来した。
PS3/Xbox 360向けソフト、『エア コンフリクト ベトナム』(通称「エアコン」)。
ベトナム戦争を舞台に、戦闘機や戦闘ヘリコプターによる空戦を描く「エアコンバット・シューティング」だ。
主人公は当時のアメリカ軍に所属し、ベトナムの共産主義陣営と戦うこととなる。
「エアコンバット」とは何かと言うと、本作に関しては「フライト(航空)シミュレーション」に近い。
ジャンルにふさわしく、各機体のグラフィックは手放しで褒められるクォリティだ……が、
肝心の操縦感は、おもちゃの国から迷い込んできたかのようだった。
「仏作って魂入れず」とはよくある話だが、本作の場合は別の何かを入れてしまったらしく、
軽快に縦ローリングを果たすロートル機や、墜落直前でもボタンひとつで水平飛行に戻る爆撃機、
スズメバチを思わせる俊敏な腰振りをするヘリコプターなど、コミカルな所作の数々に噴飯せざるを得ない。
また、操作方法にも一工夫あり、「コントローラーの右側を両手で持つ」というロックなプレイスタイルを提案している。
世界観もユニークだ。俗に「箱庭ゲー」という言葉があるが、このゲームの場合、フィールドの狭さがマジモンの箱庭であり、
ほんの数秒で自機がエリア外に突き抜けるその光景は「自由度」という概念に真っ向から異を唱えていると言えよう。
システム面でも痒いところに手が届かず、リトライの際、運が悪いと、どうあがいても墜落確定な地点から再開。
『ヘビーファイア』シリーズのお株を奪う、死の無限ループがプレイヤーを苦しめる。
と、いった具合に、ある意味で非常に秀逸な出来の本作であるが、
何よりも、「制作者が何を伝えたいのか全くわからない」という点が最大のポイントであろう。
ストーリーは陰惨そのものであり、
自分が従軍している間に娘は反戦思想に染まり、妻からもボロクソに罵られて一方的に三行半、
自分を慕っていた弟は鬱病になって死亡、自分はガンで孤独死、と鬱展開のフルコース。
かと思えば、ミッション中はずっと脳天気なBGMが流れており、本当にどんな顔をすればいいかわからない。
ゲームの最後、とってつけたように
「この作品をベトナム戦争で亡くなった全てのひとに捧ぐ」などと表示するが、
こんなクソゲーを押し付けられては戦没者の方々もたまったものではないだろう。
やがて戦火が収まり始め、年の終わりが近づくと、スレ住人は安堵し始めていた。
今年もまた、なんとか生きのびることができた。願わくは、残されたわずかな日々をつつがなく過ごせることを。
だがその時、スレ住人はまだ知る由もなかった。
願いむなしく、「黒いクリスマス」がすぐそこまで迫っていたことを……。
12月25日、街は一瞬にして血に染まった。
『ガイアブレイカー』(通称「ガイア」)。
年末の魔物、満を持しての登場である。
本作はSTGであるが、プラットフォームはなんとWii U。つまりはKOTY初、第8世代機からの参戦だ。
公式DLページのレーティングで23人中23人が☆1をつけるという驚異的な記録を樹立した本作、
分類としては携帯機KOTY 2010覇者『鬼帝』と同じく、行きすぎた「難ゲー」に当たる。
一口に言えば、インベーダーゲームの自機で弾幕シューティングをプレイする光景を想像してもらいたい。
すなわち、STGとしては珍しく左右方向にしか移動できない仕様で、武装は貧弱、
それでいてホーミング弾にレーザーが雨あられと降り注ぐ。
たったこれだけの食い合わせでストレスフルな無理ゲーを作ったのだから、スタッフの奇才や恐るべしである。
インタビューによれば「ふつうすぎるゲームを作ってしまった」と言うが、それが謙遜であることは誰の目にも明らかだ。
凡百のSTGの慣例をよしとせず、アイテムやパワーアップなどといった「甘え」の要素をバッサリと切り捨て。
コンティニューすら実装しないという潔さには、近年話題となっている「断捨離」の精神も見て取れる。
操作感も独自の世界観に一役買っている。
戦闘機パイロットにかかる過酷なG(重力)を表現したのか、本作の移動には常に慣性がかかる。
画面端に行くと機体の動作がままならないが、これは、岩壁にぶつかることを怖れるパイロットの本能を再現したものだろう。
難度調整も、制作者の「悪意」が取り沙汰された『鬼帝』とはまた毛色が違う。
というのも、本作の制作者にとって、プレイヤーは「どこまで死なずに進めるか」という実験の対象でしかない。
彼らの弾幕には何の感情も込められておらず、モルモットが死ぬまで淡々と負荷を強めているだけなのである。
そのほか、ノイズ混じりのBGMに、原因不明のハングアップ、ステージクリア後のブラックアウトなど、
別の意味でクリア難度を高めるオプションサービスも盛り沢山だ。
また、このゲームでは何をするにも処理落ちがつきまとい、ロードしても敵を倒しても弾幕が増えても画面が一瞬止まる。
限られた上級STGプレイヤーには時間が止まって見える無我の境地(シューターズ・ハイ)が存在すると言うが、
大胆にもそれをゲーム性に取り入れてしまった制作スタッフの野心には舌を巻くばかりだ。
きわめつきに、この壮大な苦行をやっとの思いで踏破しても、通常プレイではスタッフロールはおろかEDも拝めない。
どうやらスコアアタックに興じろということらしいが、これも永久パターンのおかげで根本から破綻している始末である。
ある熟練のプレイヤーは、クリア後、おもむろに公式DLページのレーティングに☆1をつけていたが、
敢えて言うならこれこそが真のEDと言えるだろう。
さて、これで本年の全てのノミネート作を紹介し終えた。
一族最強の男『HFS』、Xbox 360史上最凶のレーティング『DD2』、
決定版クソキャラゲー『HIP』、悲しき帰還兵『エアコン』、
そして、新機種からの彗星『ガイア』……。
以上の5作品の中から、大賞を発表しよう。
和洋の強者が再び相まみえ、奇しくも第二次世界大戦とでも言うべきリベンジマッチとなった今回。
太陽は暗く、大地は海に沈み、煌めく星は天から落ちる。
煙と火は猛威をふるい、火焔は天を舐める。
全てを滅ぼす最終戦争を見事生き延び、炎の剣を空高く衝き上げたのは……
『ビビッドレッド・オペレーション -Hyper Intimate Power-』である。
本作の勝利を決定づけたもの……
それは、一流のクソゲーだけが持ち合わせる「独創性」である。
独創性というものはゲームに限らず、よろず、ものづくりにおける永遠の課題だと言えよう。
かの三谷幸喜氏はかつて、自身のものづくりにかける姿勢についてこんなことを述べている。
「期待に応えて、予想を裏切る」。
すなわち、「ここまではやってほしいな」という期待に沿うのは当然のこと、
プロならば、「せいぜいこんなものだろう」という予想に対して、鼻をあかしてやらなければならない。
それこそが良い作品を生み出す秘訣であり、独創性の源だと言うのだ。
さて、クソゲーについてもこれと全く同じことが言えるのではなかろうか。
本年の作品を見ると、どれも一定の水準をクリアしており、見事「期待」に応えてくれたと言えよう。
一方で、「予想」を裏切るということは本当に難しい。
ジャンルというものが存在する以上、あらかじめクソさの方向性が定まってしまうことは避けられないのだ。
例えば、ベルトスクロールの『DD2』であればバランス崩壊、フライトシムに近い『エアコン』であればリアリティの欠如など、
KOTYスレの門を叩いた段階で、ある程度の推測はできてしまっていた。
だがその点、『HIP』の存在は異質であった。
本作は、「ビビオペ」の原作をゲーム化したらこんな感じになるだろうと言う我々の予想を、
鮮やかに、いとも簡単に裏切ってくれたのである。
4人の美少女戦隊によるド派手な空中バトルを、主人公1人で延々と孤軍奮闘する謎の罰ゲームに作り替え、
同じ設定を使用しながらも、ほんの少し切り口を変えただけで意味不明な電波ストーリーを作り出す。
そして、そこにきて最後にとどめを刺すのが、おまけゲームである『マヨ』の存在だ。
これほどまでに出し抜かれては、スレ住人も完敗を認めざるを得まい。
以上の通り、原作やジャンルにとらわれることなく新境地を切り拓いた『HIP』はまさに独創的であり、
2013年を通じて我々を最もときめかせてくれた作品であった。
そして同時に、本作の制作スタッフは「クソゲーのプロフェッショナル」として見事大役を果たしたと言えよう。
なぜならば、わずか四半期でめまぐるしく輪廻を繰り返す深夜アニメ業界の中で、
『HIP』は、「ビビオペ」の生きた証をしっかと歴史に刻み込んだのだから。
2013年はひとつの記念すべき年であった。
2ちゃんねるの片隅では人知れずKOTYが10周年を迎え、
一方で、ゲーム業界全体では、次世代機であるWii U・PS4・Xbox Oneの三国志が幕開けした。
ゲームのあり方そのものが激しくうつろうこの時勢に、変わることのないゲームの本質とは一体何だろう。
そんなことを考えるとき、クソゲーの存在は一つのヒントになるかもしれない。
太古の昔、ゲームの表現力は稚拙だった。
ひらがなだらけのテキストに、絵の具で塗りつぶしたような画面。
美しいパッケージに惹かれ、似ても似つかない画面上のキャラクターに落胆した記憶は誰にでもあるだろう。
だが、そんな中でもプレイヤーは、懸命に楽しんでいた。
足りない分を想像力で補い、自分なりに遊び方を作り上げ、ゲームの限界を超克していたのだ。
そして、ゲームがじゅうぶんな表現力を得た今でも、その本質は変わらないはずだ。
クソゲーハンターは現代でも、クソゲーを徹底的にプレイし、何が何でも楽しもうとしているのだから。
プレイヤーが頑張れば、ゲームはきっと輝ける。
これからも、つまらないゲーム、不出来なゲーム、失望させるゲームが世に出ることはままあるだろう。
そんなゲームに対しても、評判や醜聞だけをあげつらうことなく、
いつまでも、真摯に向き合える我々でありたい。
最後に、大賞を獲得した『HIP』の原作である「ビビオペ」第10話から、
食べ物を大事にする主人公・一色あかね女史の台詞を借りることで2013年KOTYの幕を下ろそう。
「ちゃんとプレイして! そうしないとゲームが可哀想だよ☆」