名称 | ドラゴンボール アルティメットブラスト |
ジャンル | 3D対戦アクション |
対応機種 | PlayStation3 / Xbox360 |
発売元 | バンダイナムコゲームス |
開発元 | 株式会社スパイク |
発売日 | 2011年12月8日 |
価格 | 7,330円(税込) |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
漫画及びそれを原作とするアニメ『ドラゴンボール』をゲーム化した作品で、次世代機4作目。スパイク製DBは、バトルシステムの自由度に定評がある。
最高のDBゲームを作るとの触れ込みで誕生したが、前作「レイジングブラスト2」での敷居を低くしてほしいとのユーザーの要望を受け、大幅にシステムを単純化。
その結果、幼児でも難なく扱えてしまうような、申し訳程度のゲーム性しかない作品に変貌し、格闘ゲームとしては完全に失格の烙印を押されてしまった。
キャラゲーとしてもいまいち疑問が残る人選で、主要キャラまでリストラした反動でストーリーがスカスカ、演出の使い回しでキャラ毎の個性も薄いとダブルKO。
KOTYスレでの呼称は、「ドラゴンボール」「アルブラ」「UB」などタイトルの略称が多い。
12月、KOTYスレに今まで名前が上がることの無いはずだったシリーズの名前が上がった。
「ドラゴンボールアルティメットブラスト」
今作はお馴染みドラゴンボールのゲームシリーズの最新作であり、今までの次世代機ドラゴンボールシリーズはどれも完璧とは言えないが出る度に進化を遂げていた。
今作は至上最高のドラゴンボールゲーム、を目標に作られていた。その為ファンの期待は大きかった。
しかし、ファンに待ち受けていたのは、進化しすぎたことによって生まれた大幅退化であった。
まず、今作では大幅に戦闘システムが変えられている。
例えば、従来のシリーズでは、ボタンを駆使したコンボが基本のシステムであったが、今作では連打をすると、読み合いシステム(いわゆるジャンケン)に突入する。
これにより、コンボで一方的に殴られることは無くなったが、逆にコンボを確実に繋げる事は不可能となってしまった。
つまり、初心者だろうが熟練者であろうがジャンケンが強かったらコンボが繋がるのである。
そのジャンケンの頻度も非常に多く、15秒に一度はジャンケンをしなければならない。また、ジャンケンの度にカットインが入る為、戦闘のテンポがかなり悪い。
次に必殺技である。前作までは気力ゲージを敵に攻撃したり、自分で自由に貯めたりでき、貯まると必殺技が打てるのだが、今作での気力ゲージは必殺技を避けたり、迎え打つ為の別の物となっており、別に必殺技ゲージという物が存在する。
必殺技ゲージは自分では貯められず、相手を殴らないと貯められないのである。その為、必殺技を打つには長ったらしい読み合いシステムのあるコンボを決めないとならない。
ちなみに、前作まででは必殺技は上昇下降などの操作で除けられたのだが、今作では必殺技を打つとそのまま気力によるコマンド勝負などに入る為操作による回避は不可能となった。
また、気力をたくさん貯められた状態で必殺技を打つと連打勝負になる。つまり連打が強ければ必殺技は確実に当たるのである。
この二つのシステムを組み合わせると、素晴らしいシステムとなるのだ。
それはコンボ→必殺技の繰り返しであり、コンボ、必殺技の度に一々カットインに入る為、凄まじくテンポの悪い戦闘になり、初心者だろうが熟練者であろうがボタン連打とジャンケンが強い方が勝つ、と言うシステムになる。
つまり、対戦ゲームであるのにかかわらず、運と連打力で勝敗が決まるのである。それが故に、10分プレイした人でも、10時間以上プレイしてる人に勝つことは大いに可能だろう。
また、カメラワークが横になったなどの変更が挙げられる。これにより広大な3Dワールドを活かしきれてないという声も上がっている。
これらの点は全て、実質的な前作のレイジングブラスト2で挙げられた、戦闘が難しいと言う点を改善すべく変更されたのだが、全作の良かった点をほとんど殺し、テンポが悪い運ゲーになってしまった。
改善どころか、格闘ゲームだったドラゴンボールをジャンケンゲームのドラゴンボールにしてしまったのである。
次にキャラクター数である、毎回シリーズに新作が出る度にキャラクターが増えるのが定番であったが今作では仕分けがあったかの如くキャラクター数が大幅減っている。
その数は変身形態を除いて約30体と決して少なくは無いのだが、一時期は100体近くまでキャラクターが登場したのに、10年近く前に出た作品とほぼキャラクター数が同等になったことを考えるとこれはかなり少ないキャラクター数なのである。
そのキャラクター選考も謎で、数話しか活躍しなかったキュイというマイナーキャラは出るのに、ゴテンや少年トランクスやチャオズなどのお馴染みのZ戦士は出ないという始末である。
新規キャラクターは3体。しかし2体は原作ではないGTのキャラクターで後の一体が悟空に憑依したギニューである。
ちなみに公式HPにはキャラクター紹介のページが無い。
ストーリーも細かい部分がカットされたりダイジェストになっている。例えば、フリーザに元気玉を当てた後、原作ではピッコロが撃たれるなどの過程があるのだが、カットされクリリンがいきなり爆発される。
些細なことでは、BGMが減ったことも挙げられるのだが、今作のBGMは殆ど前作からの使いまわしである。何故全て使いまわしをしなかったのか?
オンラインラグも酷い、モーションが前作の使い回しなど、とことん粗雑な部分が目立つ。
さらに新モードとしてアバターモードがあるのだが、キャラメイクの幅が隠し要素を含めても少ないことや、女性キャラは作れないなど、不満要素が多い。
戦闘要素のせいで、育てるのが苦痛という意見も多く出ている。
悪い点だけでなく良い点もある。それはグラフィックが前作よりさらに綺麗になったことだ。
アバターモードも追加も、試みだけは評価しても良いだろう。
またキャラクターがバトル中にアピール出来るようになったのも特徴だ。(ただし使い所はほぼない)
しかし、これらの点は全てメインであるストーリーモードや戦闘シーンには全く関係ないものである。
誰でも遊べるゲーム目指したらジャンケンゲームになった。確かに合ってるかもしれない。
このゲームは多くのシリーズのファンにアルティメットブラスト-究極の一撃-を与えたことだろう。
おわり
戦闘システム。
今回はレンジシステムというシステムを売りに出しており、明確に近距離戦、遠距離戦の2つを設定する事で純粋な格闘戦と射撃戦を楽しめる、それをスピーディに切り替えて闘うと行ったシステムだ。
またストライクムーブと言うシステムも導入された。
これは誰でもお手軽にど派手なコンボが出来るシステムで、通常の弱攻撃と強攻撃を上手く活用してコンボの起点を作り、上手く発動させると相手の気力を大きく削りながら大ダメージを与えれるコンボになったり、必殺技を使うスピリットゲージが溜まるコンボが発動する。
それとドラゴンボールで欠かせないのは必殺技の応戦、防御や回避だけでなく打ち合い、また必殺技以外にもコンボ中に瞬間移動して解するといった防御面のシステムだろう。
これもDRアクションと命名されたシステムで完備されている。この説明だけではクソゲー所か、良ゲー的な面白さへの期待が高まっていた。
しかし、蓋を上げてみると、思いもしなかった穴があちこちに空いていた…。
まず最初に書かなければ行けない事がある。
このゲーム、何かしらの行動の成功判定の殆どが二択の選択肢から選ぶという手法をとっている。
最初に紹介したレンジシステムもそうだ。例えば近距離戦で分が悪くなり遠距離に逃げようとする。
そうするとカットが入って逃げる側が気弾を打ちながら上空に上がっていくのだがこのときに二択が発生する。
選択肢は右に気弾を打つか、左に気弾を打つかというもので当たれば相手の追撃を止められ、外れればダメージを位近距離戦続行となる。ちなみに画面に表示されている情報からは、相手がどちらを選ぶかと行った事を予想できない事を付け加えておこう。
またこのレンジシステムもいつでも出せるわけではない、簡単に溜められるとはいえ気力を要する。
この気力システムも実は問題で、ダメージを与える事で僅かに溜まり、気力溜めによって大きく溜められる、
そしてダメージを受ける事や気力を要するアクションを行う事で減っていく。
この気力は殆どの特殊防御動作を使うのに必須となっており、これが溜まっていなかったらDRアクションと呼ばれるディフェンススは一切使えなく、
一度ハマったコンボも途中で抜け出す事は出来ないという使用になっている。
問題はコンボを食らったときの気力の減りが馬鹿にならず、折角必殺技対策で溜めていてもコンボ一発で気力が削られ、
続けて必殺技を打たれると防御が一切出来ないと行った自体が起こり、
その後改めて力を溜めない限りコンボを食らっても逃れる術はないという状態となっている。
折角強力な攻撃に対しての防御を備えてもそれを使う前に消失してしまうと言う本末転倒の仕様なのだ。
次にコンボシステム。このゲームにおいて弱攻撃や強攻撃はコンボの起点でしか無く、単体ではたいしたダメージを得る事ができない。
これは遠距離戦でも同じで、いかにコンボの起点となる弱3段目の攻撃を当てるかだけに焦点が当てられる事になる。
しかし、この起点を争うという重要なポイントでありながらやれる事は少なく、
弱による3連撃、強攻撃による崩し、防御、あと加えるなら間合い取りぐらいである。
ここでは折角気力を溜めても割り込んでのDRディフェンスは存在しない。
しかし、本当の問題は次にある。
いざ3段目のコンボを当てたとしても、本番のコンボを仕掛ける為には二択のジャンケンに勝つ必要がある。
しかし、これはジャンケンといっても純粋なジャンケンの勝負ではない。
出す札は二つで、その札自体に違う意味が課せられているからである。
基本的にこれから仕掛けるダメージ+気力削りのコンボを仕掛けるか、ダメージ+スピリットゲージを溜める攻撃を仕掛けるかといったものである。
この点に関しては評価も出来るのだが、次の部分でその魅力を損なっており、メリットがデメリットになっている部分がある。
CPUはある程度ロジックが決まっておりパターンさえ分かれば逆をつけばいいだけで、その駆け引きの意味が薄れてしまう。
対人では自分と相手の気力、スピリットゲージから何を出していくか予想する駆け引きがあるモノの所見の人間に深い心理戦が出来るわけもなく、上手くかみ合わない。
といった感じである。
そのせいで評価も出来るはずのシステムが、逆に批判の対象となってしまっている
最後に必殺技について。
これはコンボを重ねていく事で溜まるスピリットゲージを消費して行う。
必殺技は必殺技毎に消費ゲージが決まっており、威力は大概消費に比例している。
このシステムに関してゲージ溜めに批判が集まっているが実際の問題はそこではなく、DRディフェンスにあると言える。
前途に記載したとおりDRディフェンスは、気力を溜めて行うモノであり、
相手が必殺技を使えるという状況は相手がコンボを決めていてこちらの気力ゲージが削られている事となる。
普通に対戦していたら、必殺技を打たれるときは一切の部魚が出来ず直撃を受ける事となる。
なんとか気力為を駆使して気力を一定以上に保ってDRディフェンスを発動したとしても、じつはここでももう一つの問題が発生する。
気力の1/3を使って防御しダメ−ジと食らった後の硬直を減らす。これは良い。
しかい、気力の2/3を使って回避をする防御、これが大いに問題があり、回避はこのゲームのお約束左右の二択、傾向はあってもヒント無しで、更に失敗すると食らうダメージが増えるという仕様。
いくら成功すればダメージが0になるといっても大量の気力を消費する上にリスクが多く、とても使う気にならない。
また気力の全てを使い相手の必殺技を打ち合い逆に反撃する防御は、連打による勝負で勝てばダメージ0、相手にも大ダメージを与えられるのだが以下せん必要気力が高く、
これだけためるなら全気力を消費して攻防のステータスアップとスパアマとジャンケン無視の効果がつくストライクブーストを発動させた方がよっぽど特という仕様になっている。
以上の事が問題点である。
だがしかしよく問題転移されているジャンケン要素は、失敗したときのリカバリーに関する気力システムが有効に働かない事や、
ジャンケン時の選択を決める情報の提示が少なすぎるせいでうまく機能していないだけで、これらがかみ合えばライト層への取り組みとして意欲的な部分もあり一概に批判だけをするシステムではないとも言える。
またこのゲームが抱える問題として旧シリーズとの差別化が計れなかったことが大きいと思われる。
中途半端な旧作との類似点がまさにそうで、長い間続くシリーズで古参のファンも多い事から一層の反発を受けたモノと思われる。
完成度の差はあれ、エースコンバットAHをはじめ近年長く続いたシリーズの転換作にも言える問題であり、ゲーム業界全体に関わる事のようにも感じられる。
ストーリーモードではドラゴンボールを集める事で、神龍、ポルンガから願い事を叶えてもらえる。
全ての願い事を叶えるためには、合計で28個のドラゴンボールを集める必要があり、願い事の数は12個である。
ドラゴンボールを集める方法は、マップ画面でドラゴンボールが配置されている場所に行くことである。
ドラゴンボールはドラゴンレーダーに表示される。
ドラゴンレーダーにマップが表示されて、そこにドラゴンボールの位置も表示されるわけだ。
ただし、ドラゴンレーダーに表示されるマップは一部分で、マップ全体が表示されるわけではない。
なので、ある程度マップを移動して、ドラゴンボールがあるのか、ないのか自分で確認しないといけない。
セレクトボタンを押せば全体マップが表示されるのだが、ここではドラゴンボールの位置が表示されない。
非常に不便である。
キャラクターによってはドラゴンレーダーがない場合がある。
その場合、R1ボタンを押してスカウターでドラゴンボールの場所を調べるわけだが、近くまでいかないとスカウターに表示されない為、かなりめんどうである。
マップ移動→R1→スカウターに表示されなければマップ移動→R1。
この繰り返しなのである。
ドラゴンボールがある場所でボタンを押せば、ドラゴンボールを入手できるのだが、調べるだけで入手できる場合と、敵と戦って勝利すれば入手できる場合がある。
後者の場合、栽培マンなどに勝利すればドラゴンボールが手に入る。
天下一武道会にドラゴンボールがある場合、天下一武道会で優勝しなければ入手できない。
3回勝利しないと優勝できない為、天下一武道会にあるドラゴンボールを入手するには、イベントも何もない無駄なじゃんけん戦闘を繰り返さなければならない。
ちなみに、ストーリーモードの数は50個近くある。
どのストーリーに何個ドラゴンボールがあるのかは表示されない。
ない場合もあるし、1個〜2個ある場合もある。
なので、マップ画面に来たらあるのかないのか分からないドラゴンボールを探さなければいけない。
ドラゴンレーダーがあれば、集めるのは多少楽だが、前述のようにレーダーがないキャラクターの場合、あるのかないのか分からないドラゴンボールの為に、スカウターでマップを移動しながら探さないといけない。
エンディング後にドラゴンボールが集まらなかった場合、もう一度1からストーリーを初めて、ドラゴンボールを探しにいかないといけない。
どこにドラゴンボールがあるのかは分からない為、50近くあるストーリーを一つ一つ探さないといけない。
願い事にはキャラクターの隠しコスチュームと、隠しステージがある。
もちろん願い事でしか解禁できない要素である。
隠し要素を全て出したい方には必須な作業です。
普通のゲームは
声優A「俺はギニューとく(○ボタンで次の会話)→声優B「へえー、おまえがギ(○ボタンで)」
アルブラ
声優A「俺はギニュー(スタートボタンでスキップメニューを出す、○を押す)」
↓
声優Bへーおまえがギ(スタートボタンで)」
のように会話スキップも中途半端の為、さらにドラゴンボール集めが苦行になってしまう。
せめて、どのストーリーに何個ドラゴンボールがあるのか、表示されるだけでも違ったのだが‥。
肝心のストーリーモードとはいうと、いまいちである。
グルド、トランクス(格闘)、悟天、トランクス(幼年期)、悟飯(青年期)、ダーブラ、魔人ブウ(ゴテンクス吸収)などがいない為、どのストーリーも中途半端感がする。
これらのキャラクターはここ数年で発売されたほとんどのドラゴンボールゲームにいる。
その為、どうしてもキャラクター数に不満を感じてしまうだろう。
悟天、トランクス(幼年期)などはストーリーモード自体にも一切出てこない。
魔人ベジータ自爆シーンで、トランクス(幼年期)を抱きしめる名シーンがあるが、トランクス(幼年期)は声出演のみである。
キャラクターグラフィックを用意していない為、このような仕様になったのであろう。
ダーブラはおろか、悟飯(青年期)がいない為、悟飯VSダーブラなどのストーリーや、ブウ誕生シーンなどは丸々カットである。
魔人ブウ(ゴテンクス吸収)もいない為、ゴテンクス吸収シーンをカットし、いきなり悟飯を吸収してしまうなど、ストーリーはどれも中途半端な感じがしてしまう。
ギニュー特戦隊のなかでグルドのみがいないなど、ここら辺にも不満が残るだろう。
鳥山明氏による漫画『ドラゴンボール』(以降『DB』表記)は国民的な人気を持ち、それ故数多くのゲームが作られている。
特に2002年頃から起きた再ブームからは毎年最低一本は発売され、
ファンやゲーム関係者にとってはもはや風物詩のようなものである。
その乱発は「金を稼ぐための姑息な手段だ」と批判されることもあるが、
作を重ねるごとに演出やシステムが洗練されるため、そして「年に一度のお祭り」的な雰囲気のために概ね受け入れられている。
だが、着実に洗練されてきたはずのDBゲーム最新作が、
よもやクソゲー界の風物詩「年末の魔物」と化す日が来ようとは……。
ドラゴンボール アルティメットブラスト(バンダイナムコゲームス)/PS3/Xbox360/7330円
以降「UB」とする。ちなみに正式な題名は全てアルファベット表記である。
このゲームのジャンルは「3D対戦アクション」。
原作やアニメに出てきたキャラを自分で操作し、まるでアニメさながらの大迫力の戦いを繰り広げることができる。
空を裂き地を砕くエネルギー波、超スピードで叩き込まれる打撃は見る者の胸を熱くするだろう。
そしてストーリーモードでは、新たに描きおこされた『Z』のリメイクアニメが流れる。
OPも新規アニメで、DBの世界を2Dでも味わうことができる。
さらに「アバターモード」というものがある。俗に言うキャラクリエイトで、
アバターを使ったIFストーリーまで用意してある。
以上、良かったところ終わり。
大雑把に見れば良点ばかりだ。しかし、ズームインするとその欠点が見えてくる。
「アニメさながらの大迫力バトル」……確かにその通り。
演出的な面では、DBゲームで一、二を争うくらい力が入っている。
しかし、ゲーム性までアニメと同レベルにしてしまうのはどうだろうか。
攻撃には連続で出せる「ラッシュ」と、出が遅いがガードを崩せる「スマッシュ」の二種類がある。
ラッシュ攻撃を三回当てると時間が停止し、QTE「ストライクムーブ」が発生する。
ストライクムーブ発生中、ボタンを押すとさらにダメージを与えられる。
この時、やられてる側もボタンを押せる。相手と同じボタンを押せば、追撃を回避し逆にダメージを与えられる。
要するにジャンケンである。手は二択だが。
この二択ジャンケンに攻撃側が勝利した場合、さらに追撃QTEが発生。
勝利した手によって攻撃手段が変わるので駆け引きポイントになっている。
……この追撃QTEの演出、凝ったのが災いしてイチイチ長い。
しかも「ストライクムーブを出さない」という選択肢はなく、ラッシュを三回当てたら必ずQTEに突入。
追撃QTEを出さないことはできるが、ダメージ効率が悪すぎてプレイ時間がいたずらに伸びるだけだろう。
一応、QTEであるため三回ほどボタン入力を求められるが、特にシビアでもなく出来て当たり前の難易度。
そのためただコントローラーを持ってるだけの時間が長く頻繁に起きるのである。
UBのQTEはこれだけではない。
キャラ間が一定の距離になると、間合いを離すための(詰めるための)QTEが発生する。
これまた二択ジャンケン。しかも追撃QTEのような駆け引き要素も無く、本当にただの二択である。
当然長い演出と共に操作不能時間が生まれる。
発生が任意であることが救いだが、間合いを調節するためだけに小芝居を見せられるのはなかなか辛い。
まだある。
吹っ飛ばされた後、ボタンを連打することで地面に激突する前に復帰することができる。
復帰に成功するとまたもやQTE。
表示されるボタンをタイミング良く押すと、追撃して来た相手にカウンターをお見舞いできる。
これは頻度が少ない。そもそも復帰できることが少ない。
まだあるんだな、これが。
必殺技でもQTEに突入する。
攻撃側が必殺技を撃った後、防御側は防御、回避、撃ち返しの三種の行動を選べる。
防御の場合、無条件でダメージ減少。
回避の場合、タイミングを合わせてボタン押しに成功すればダメージ0だが、失敗すると増加する。
撃ち返しの場合、こちらも必殺技で反撃する。DBで良くある技と技がぶつかり合う状態になり、
ボタン連打QTEに突入。勝った方は通常よりも高いダメージを与えられる。
御覧の通り、戦闘要素の殆どがQTEに繋がっている。
攻撃したらQTE、喰らったらQTE、距離詰めようとしたらQTE……。
何かをしようとする度に長い演出が入り操作が中断され、非常にテンポが悪い。
まるでゲーム画面でなくアニメを見てるかのような気さえしてくる。
過去、DBゲームは幾度となく「アニメのような」を謳い文句にしてきたが、
これほどまでにアニメに近づけたゲームはUBが初めてだろう。勿論悪い意味で。
ここまで読んだ方の中には、操作不能時間が長くても演出が良かったら……と思った方もいるだろう。
安心してほしい。全然そんなことはない。
何故なら「QTE演出は全キャラ共通」だからである。
悟空も、べジータも、ピッコロも、フリーザも、参戦キャラ中最弱である栽培マンも、最強の超4ゴジータも、
みんな同じように動いてくれる。
そのためプレイヤーは似たような映像を何回も何回も見せられることになり、
どんなに凝った演出でもすぐに飽きてしまう。
一応追撃QTEは数パターン用意されているが、本当に数パターンだけ。
ハッキリ言って焼け石に水だ。
テンポと飽き以外のQTEの弊害についても書こう。
まず、上述のように演出が共通であること。
キャラゲーにおいて「そのキャラらしい個性」は、多少ゲームがお粗末でも
それさえ出来てれば称賛される場合もあるほど重要な要素だ。
UBはそれが全然出来ていない。
演出が共通なので誰を使っても同じ、そのキャラへの愛着が湧いてこない。
「殴りあってビームを撃つだけの漫画」と揶揄されることもあるDBだが、
何故完全にその通りのゲームにしてしまったのだろうか。
原作やアニメでは、戦い方や得意技の傾向などでしっかり個性が出ていたと言うのに。
ピッコロの腕が伸びるなど特殊なモーションも無いし、戦闘はQTE以外やることないし……。
遠距離で発生するストライクムーブと近距離で発生するストライクムーブが同じというのも個性の無さに拍車をかけている。
どういうことかと言うと、遠距離でストライクムーブが発生するといきなり敵の目の前に瞬間移動して殴り合いを始めるのだ。
これにより、「このキャラは原作ではエネルギー弾が得意だったから遠距離で戦おう」などという
プレイヤー側の涙ぐましい努力すら許されない。
キャラの個性と言えるものは、各キャラ数種類ある必殺技とパンチやキックなどの細かいモーション、
攻撃力などの数値、そしてアピールである。が、何度も繰り返されるQTEの前には焼け石に水二号でしかない。
大きな個性である必殺技も、違うのは演出だけで威力や消費以外の性能差など無い。
かめはめ波などの光線技はその演出さえも似たり寄ったりで、余計に既視感が煽られる。焼け石に水三号。
また、QTEの大半がジャンケンであることも問題。
結局は運が物を言うのだ。
強敵に勝てても「運が良かった」から。
腕を磨く楽しさや、相手との駆け引きなどとは無縁である。
追撃QTEは「攻撃手段が変わるので駆け引きポイントになっている」と書いたが、
結局ジャンケンはジャンケンでしかない。焼け石に水四号。
知り合い同士ならともかく、顔の見えない他人との「俺次チョキ出すぜ」に一体どれほどの効果があるのか……。
初心者としては常に勝てる可能性があるのは良いかもしれない。
QTEを抜きにしたゲームバランスも悪い。
「気力ゲージ」というものがあり、一部の行動はこれを消費する。
気力は任意でチャージできる他に、被ダメージで下がり与ダメージで上がる。
さらに必殺技を撃つためのゲージが別にあり、こちらも与ダメージで上がる。
つまり攻撃を当てた方はゲージがガンガン増えて、喰らった方は減る。結果かなりの格差ができてしまうのだ。
しかも気力が無いと一部の行動ができないため、吹っ飛ばされた後の復帰ができない、
必殺技を防御も出来ず無防備に喰らってしまうなど体力的な格差も加速していく。
試合開始後、ジャンケンに一回勝っただけで殆ど勝負が決まってしまった……というのも珍しくない。
ジャンケンという公平で一発逆転的なイメージがありながら、
その実態は「有利な方が有利なまま終わる」という格差社会の象徴のようなバランスなのだった。
おまけに一度喰らったら死ぬまで喰らい続けるハメ技もいくつか確認されている。
「演出が凝っている」と何度か書いたが、その演出も首を傾げる部分がある。
追撃QTEや必殺技で地面が大きく破壊されたのに、ムービーが終わるとなんともない、
試合開始前のイントロ動作も全キャラ共通で高速移動しながら殴り合うだけ、
栽培マンの自爆で地球規模の爆発が起きる、など。
真ん中と下はネタとして面白いと見る向きもある。
戦闘以外でも糞要素はある。
まず、登場キャラクターについて。
総数は34キャラ(変身形態除く)で、数字だけ見れば少なくはない。
しかし、DBという遠大な物語においてはまだまだ足りないと言わざるを得ない。
そして登場キャラがサイヤ人編〜人造人間編に明らかに偏っている。
フリーザ編で中ボス的存在だったギニュー特戦隊が四人(グルドがいない)、数話しか出てないキュイ、
人造人間が16〜20号まで全部、やられ役の栽培マンやセルジュニア。
微妙にマニアックなキャラがいる一方で、
ブウ編からは魔人ブウ(善、悪、純粋で実質三体)とゴテンクスとベジットだけだったり
GTからは超一星龍と超4ゴジータのみだったりと、極端に人数が少ない編があるのはいただけない。
微妙な人選の弊害はストーリーモードにも出ている。
前述の通りブウ編からはブウと合体キャラだけ。悟天や少年トランクスは出てこない。
この二人を筆頭に、ブウ編が初登場でブウ編を語るうえで欠かせないキャラの大半が非参戦。
それらの重要キャラが登場するはずの場面は大胆に端折られ、かなりブツ切りのストーリーになってしまっている。
GTに至ってはラスボスと主人公最強形態のみ。ストーリーもへったくれもない。
誰を使っても同じなゲームシステムではあるが、ストーリーのためにせめて人数だけは揃えて欲しかった。
他にもクウラやベビーがストーリー限定の巨大キャラだけなど、どうにも片手落ち感が否めない。
ストーリーと言えば、要所要所で流れるリメイクアニメも売りの一つ。
これのクオリティ自体は良く、評判は上々。
しかし名場面でしか流れないため、ストーリーのブツ切り感を加速してしまっている。
アニメ以外の作りはお粗末の一言。
ポリゴンデモであるが、殆ど棒立ちで会話するだけ。カメラワークの工夫も殆ど無い。
キャラがいないブウ編などは勿論、キャラが揃っている他編でもブツ切りのダイジェストで済まされる。
フリーザ編を例に上げると、悟空が元気玉を放ったあと即フリーザが復活するなど。
原作では倒したと思って油断するシーンがあったのだが……。
細かい台詞も結構端折られている。まあ、全部収録してたらキリが無いのは分かるが。
また、システムを戦闘と共用してるため、敵の必殺技から仲間を庇うシーンなどでは
キャラAとBの交代演出が行われてしまい、気分が台無しになってしまう。
そして会話シーンは戦闘中に唐突に挿入され、操作不能時間がさらに増加してテンポが悪い。
しかもスキップの仕様が不親切で、スタートボタンを押す→○を押すの二手順が必要。
それだけならまだしも、なんと全スキップが不可能なのだ。
キャラAの台詞をスキップするとキャラBの台詞が始まる、といった具合。
このスキップの仕様もテンポを悪くしイライラを募らせる要因になっている。
ストーリーモード限定で巨大キャラとの戦いがある。
これも売りの一つらしいが、相変わらずQTEばかりで微妙な出来である。
攻撃チャンスがさらに限定されるので、やらされてる感が非常に強い。
しかも太陽拳を何度も喰らう大猿べジータなど妙な部分がある。
さらに目玉要素として、アバターがある。
パーツを組み合わせて自分好みのキャラを作成し、IFストーリーを楽しむ……というもの。
これだけなら非常に面白そうなのだが、自由度の低さが足を引っ張ってしまった。
人種はサイヤ人固定、選べる体型が軽量、標準、重量の三種類しかない、女性は作れないなどの不満がある。
一応服や声などは十個前後のパターンがあるが、それでも少ないとの声が多い。
IFストーリーも名前だけでストーリーらしいものは無く、ほぼ戦闘を繰り返すだけの単調なものであった。
長くなったので、今一度箇条書きで纏めよう。
・何をするにもQTEに引っ掛かり、操作が中断されるのでテンポが悪い
・そのQTEも大半がジャンケンで運要素が強すぎ。上手くなる楽しみが無い
・有利な方が有利なまま終わる劣悪なゲームバランス
・演出が良くても、全キャラ同じ演出だからすぐに飽きる
・全キャラ同じ演出なのでキャラの個性が無い
・それなのにキャラ数すら揃ってない
・そのせいでストーリーがブツ切りダイジェスト
・ストーリーモードの質自体も低い
・アバターモードは自由度が低すぎて楽しめない
UBについて、関係者は「前作が難しいという声があったので簡単操作にした」と語った。
そして「キャラになりきる」こともこのゲームの売りの一つである。
「簡単操作」と「キャラのなりきり」、その交差点で生まれたUBだが。
簡単操作が優先されすぎたようで、QTEの連発により「なりきり」が阻害されている。
基本的に画面の指示通りにボタンを押せば良いのだから、「やってる」と言うより「やらされてる」のだ。
ずっと上の方で「アニメに近いゲーム」と書いたが、
所々ボタンを押さなければならないせいで、アニメと同じには見れない。
例えるなら「チャプターが終わるごとに再生ナビに戻るDVDを観賞してる」ようなものだろうか。
ゲームにもなりきれず、アニメにもなりきれない。
そのせいでキャラにもなりきれない。
「なりきり」が売りのゲームでありながら、いや、そうであるからこそか、
UBは何物にもなれなかったのである。
それでは、UBのPVの最後を飾った台詞でこのテキストの最後も締めようと思う。
「地球のみんな! オラに現金わけてくれ!!」