改編用ページ?

27改編 ver1



・・・・四八ショック・・・・

10年に一度のクソゲー

四八(仮)がKOTYの概念を覆す

その時、全てのクソゲーの地位が失われる



アクションもRPGもADVも

テーブルゲームでさえも

その運命を逃れることは

出来ない







だが

一つのクソゲーが生き残った…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クソゲーオブザイヤー【2008】



2007年の覇者『四八(仮)』がKOTYに与えたショックは大きかった。

物語、システム、バグ、メーカー対応、制作者の香ばしさなど全方位に渡ってクソ。

クソゲーが出にくいADVというジャンルの不利を物ともせぬ十年に一つの逸材の出現に人々は恐怖した。

「四八(仮)の前ではどんなクソゲーも霞んで見え、以前の様に楽しむ事は出来ないのでは」と。





そんな中、2008年の開幕投手を務めたのが『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』だ。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ゲーム自体を「投げろ!」と言わんばかりの玄人志向を突きつけた。



続いて現れたのが、『奈落の城 一柳和、2度目の受難』。

本格推理ADVを謳うものの推理の余地がなく総当りしかない捜査、迷って酔うばかりの3D移動、解読不能な暗号、

死んだばかりの人間が平気で屋敷内を歩き回り、自身の死について尋ねると「テキストがまだ無い」と語る衝撃の展開は

どんな名探偵にも推理できなかっただろう。



だが、スレ住人の飢えは満たされなかった。

四八(仮)の存在が、未だ住人の心に影を落としていたのだ。



そんな長すぎる旱魃に耐える6月、旱天の慈雨がもたらされた。

二年の長きに渡り延期を重ねた超大作、ファミ通で13点を叩きだしたデスクリムゾンの再来『大奥記』の上洛である。

歩行はホバリングで襖は自動ドア、キャラは終始無表情と、二年も時間をかけたのは尻のポリゴンだけなのかと思える質素さ。

膨大な空き部屋とロードに耐えつつ聞き込みをする様は「延々サマルトリアの王子を探す」ゲームと人々に言わしめた。



今年はこれで決まりかと皆が思い始めていた。だが……



ADV以上にクソゲーが出にくいとされるテーブルゲームから、『ジャンライン』が不気味な牌音を響かせて、背後に忍びよっていた。

麻雀というありふれたゲームでありながら、フリーズ頻発、点数計算の表示異常、同プレイヤー同士での連戦不可、発売日に謝罪文を出し、

素人ボイスのダウンロード販売、あげくDLC販売ミスで返金対応という、想像以上の和了役に360の雀士達の多くが静かに牌を伏せた。

しかも「公式ブログは麻雀素人が書いてました」とカミングアウトしてしまう「裏ドラ」まで乗ってしまっては飛んでしまうのも仕方ないだろう。



そして、クソゲーの老舗・アイディアファクトリーも、満を持してKOTYに名乗りを上げた。

常に低水準ながら一線を越えず、ファン層すら存在した同社だが、『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』は

そんな菩薩のようなファン達にすら「買って金をドブに捨てたいのなら、実際にドブに捨てる方が建設的」と発言させる程の瘴気を放っていた。

転生學園シリーズの絵師を起用しタイトルも類似しているが、転生學園と関係ないだけでなく、学園物ですらない。

出会った瞬間に恋人になるスピーディーな展開で、クリアまでたったの6時間。ラスボス戦でもマヒさえさせれば後はトイレに行ってても勝てる戦闘。

一枚絵の合体技での「友情パワー」「魅惑的殺人(チャーミングマーダー)」など、敵よりプレイヤーにダメージを与える痛いセリフ。おまけに音声はズレている。

どこを切ってもクソ要素という隙のなさはさすが老舗、円熟の技と言えよう。





以降、「真の地獄(クル・ヌ・ギ・ア)はこれからだ」との言葉が囁かれるようになる。

だが、まさにその通りとなるとは誰もが知る由も無かった。



名作ゴルフ漫画が原作の『プロゴルファー猿』が、ファミ通レビュー史上初のオール3点の快挙を成し遂げたのだ。

原作物ながらストーリーモードなし。使用キャラがたった6人の上にしょっぱい顔ぶれ。
肝心のゴルフも打てるポイントが数ヶ所しかなく、

誰が打っても全く同じ場所に玉が落ちる事がしばしばの、双六のようなゲーム性。

その結果クル・ヌ・ギ・アを遥かに超越した、クリアまで10分という前代未聞の記録を打ち立てた。ジャンルが「ゴルフ」でなく「なりきりゲーム」というのも頷ける。

そんな内容を想像させないPVの素晴らしいクオリティーを讃え「ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!」の名言も生まれた。



しかし、それすらまだ「真の地獄」には程遠かった。

「年末には魔物が潜む」、この言葉は今年も正しかったのだ。



魔物の一体は『ジャンライン』。あのジャンラインがパッチと言う新たな力を得て猛威を振るったのだ。

パッチはゲームを改善するための物で、その為、通常はノミネートから外れても可笑しくはない。

実際『ダービータイムオンライン』は出走していない馬が優勝する、0着が存在、レースで同じ馬だらけと、

どれ1つ取っても競馬の概念を覆すクソゲーでありながら、改善されたためにノミネートを逃している。

しかしジャンラインは違った。パッチを当てた結果、以前とベクトルの違うクソさを発揮するという信じられない変貌を遂げたのだ。

麻雀は牌を集めて役を作るゲームだが、同種の牌を集めようとしたら勝手に違う牌が混ざったり、他人の牌を奪ってしまい数がおかしくなり二人とも勝てなくなったり、

並んでる牌が1つおきにしか選べなくなったり、選択肢に「はい」だけが3つ並んでいたり……

それは「進化するクソゲー」という、新たなクソゲーの可能性であった。



もう一体の魔物は『メジャーWii パーフェクトクローザー』。

あの2008年クソゲーの開幕投手を務めたメジャーが、携帯ゲームで1作中継ぎを経て(これもクソゲーだった)、タイトル通りKOTYのクローザーとして降臨したのだ。

1作目から開発会社を変えるにあたり、わざわざクソゲーマイスターの「ドリームファクトリー」を採用するところにタカラトミーの本気さが伺える。

ドリフ側もプログラマーを3人しか投入しないという万全の体制でこれに応え「追求したのは本格野球ゲーム」と世に放ったが、そこには我々の知らない野球の姿があった。

バッターは後ろ向きに構え、ピッチャーは首が180度反転し、内外野手は回転しながらのジャイロキャッチで一度に2アウトをとる。

微動だにしない他の野手を尻目にセンター前ゴロを取るキャッチャーの縦横無尽の活躍ぶり。

走守はオートにも関わらず、ランナーは勝手に走塁してはアウトになるなど酷いAI仕様である。

大きく逸れた悪送球がいつの間にかナイスキャッチされてたり、大量リードしていたのに延長戦に突入するなど、因果律さえ通用しないのだ。



実力者揃いの2008年であったが、年末の魔物の前に一人また一人と力尽きていき、KOTYは2体の一騎打ちとなった。

……しかしメジャーの、バッターや審判が揃って尻を向け、主人公吾郎の首が反転する、それらの画像のインパクトはあまりにも強力だった。

また映画とのタイアップで多くの子供のクリスマスを台無しにした事や、公式サイトがアクセス不能になり

大晦日にもバグが報告されるなどの不断の燃料投下が、人々の心に熱い物をたぎらせた。

そして――戦いは決した。この激しい鍔迫り合いを制して、晴れて2008年のKOTYに輝いたソフトは、『メジャーWii パーフェクトクローザー』。

関連作も含めれば、年に3度もファンに煮え湯を飲ませたその鬼畜っぷりは、85年阪神の3連続ホームランのように、長く人々の記憶に残ることだろう。



ジャンラインは実力で決して劣るものではなかったが、麻雀はルールを知らぬ者も多くクソさが伝わりにくい事があり、

また「これはアプリの不具合に近く、クソゲーとは違うんじゃないか?」という意見も出た。

それらはテーブルゲームというジャンルに根を張る問題であり、接戦のためジャンルの不利が勝負を決める結果となった。

だがメジャーがいなければジャンラインが栄冠を得たであろう事は間違いなくその異形、…いや偉業は忘れてはならない。

KOTY史に残る名勝負に、「神はなぜ同じ時代にこの2つのゲームを送り出したのか」と人々は(とりわけ購入者は)涙したという。





振り返れば2008年は年頭の不安とは裏腹に、クソゲー七英雄と呼ばれるほどの多くのクソゲーを輩出した実りの多い年となった。

最後に見事大賞に輝いた『メジャーWii パーフェクトクローザー』に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。



「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」


27改編 ver2



2007年の覇者『四八(仮)』がKOTYに与えたショックは大きかった。

物語、システム、バグ、メーカー対応、制作者の香ばしさなど全方位に渡ってクソ。

クソゲーが出にくいADVというジャンルの不利を物ともせぬ十年に一つの逸材を体験し、人々は恐怖した。

「我々は以前のようにクソゲーを楽しむ事は出来ないのでは」

「四八に比べれば、どんなクソが来ても色あせて見えてしまうのでは」と。





そんな冷え切った空気の中、2008年の開幕投手を務めたのが『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』だ。

 野球ゲームは熟成され手本たる作品も多いことからクソゲー土壌としては不適ながら、逆にクソの育ちやすい原作つきキャラゲーと同化した事で、如何様な化学反応が起こるかとの注目を集めた。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ネタとして楽しめる範疇でなく本気で辟易してしまうほどの玄人志向を突きつけた。

”ひょっとすると、2008年も何かが「来る」かも知れぬ”と、KOTY住人たちはその滑り出しに意外な満足感を禁じえなかったのは言うまでもない。



続いて現れたのが、『奈落の城 一柳和、2度目の受難』。

本格推理ADVを自称しているが、推理の余地もなく総当りしかない捜査、見にくく迷って酔うばかりの3D移動、解読不能な暗号、

真犯人の正体や動機が推理小説の原則を無視しているなど、「本格」の前に「新」の字を入れ忘れたとしか思えない。

さっき死んだばかりの人が平気で屋敷内を歩いており、自身の死について聞き込みすると「テキストがまだ無い」と語る衝撃の展開が来ようとは、

どんな名探偵にも推理できなかっただろう。



だが、スレ住人は手放しで喜ぶ事は出来なかった。

こんなものではない。KOTYとなるクソゲーがこの程度であるはずがない。

四八の存在が、まだ人々の心に影を落としていたのだ。



そんな長すぎる厳冬に飢える6月、ようやく遅咲きの春が訪れた。二年の長きに渡り延期を重ねた超大作『大奥記』の上洛である。

大奥での女の争いという誰が喜ぶんだという題材。膨大な空き部屋とロードに耐えつつ聞き込みをする「延々サマルトリアの王子を探すだけ」なゲーム内容。

歩行はホバリングで襖は自動ドア、キャラは終始無表情と、二年も時間をかけたのは尻のポリゴンだけなのかと思える質素さ。

そしてプレイヤーを一気に現実世界に引き戻す「これkら」という誤字。

さすがファミ通レビューであの伝説クソゲー『デスクリムゾン』に並ぶ13点を叩き出しただけの事はある。

ゲームのクライマックスは問い詰められての申し開きなのだが、あまりのクソさに開発会社が香ばしきリアル申し開きを始める事態まで引き起こした。



上半期の作品ながら、今年はこれで決まりかと皆が思い始めていた。……が、クソゲーはそんな底の浅い物ではなかったのだ。

テーブルゲームというADV以上にクソが出にくいジャンルから、『ジャンライン』が颯爽と現れた。

フリーズ頻発、点数計算の表示が異常、同プレイヤー同士の連戦不可、発売日に公式HPに謝罪文掲載、DLCコンテンツの販売ミスで返金騒動など、様々な要素で360の麻雀好きたちの気持ちを逆撫でする一方、DLCの素人ボイスや公式ブログでの麻雀素人カミングアウトなどがスレを賑わせた。



クソゲーをコンスタントに輩出する老舗・アイディアファクトリーも、満を持してKOTYに名乗りを上げた。

常に低水準ながら一線を越えず、ファン層すら存在した同社だが、『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』はそんなファンたちも

「買って金をドブに捨てたいのなら、実際にドブに捨てる方が時間の浪費が無いぶん建設的」と発言するほどの瘴気を放っていた。

転生學園シリーズの絵師を起用しタイトルも似せているが、シリーズ関係ないどころか学園物ですらない。

出会った瞬間に恋人になるスピーディーな展開で、クリアまでたったの6時間。ラスボス戦でもマヒさえさせれば後はトイレに行ってても勝てる戦闘。

15秒1フレームの1枚絵が挿入される合体技での「友情パワー」「魅惑的殺人(チャーミングマーダー)」など、敵よりプレイヤーにダメージを与える痛いセリフ。

どこを切ってもクソ要素という隙のなさはさすが老舗、円熟の技と言えよう。



ところで「クル・ヌ・ギ・ア」とは平たく言えば地獄の事。

以降、「真の地獄(クル・ヌ・ギ・ア)はこれからだ」とのフレーズが囁かれたが、まさにKOTYはその通りの展開となった。



名作ゴルフ漫画が原作の『プロゴルファー猿』が、ファミ通レビュー史上初のオール3点を成し遂げたのだ。

原作物ながらストーリーモードなし。使用キャラがたった6人の上にしょっぱい顔ぶれ。

肝心のゴルフも打てるポイントが数ヶ所しかなく、誰が打っても全く同じ場所に玉が落ちる事がしばしばの、双六のようなゲーム性。

その結果クル・ヌ・ギ・アを遥かに超越した、クリアまで10分という前代未聞の記録を打ち立てた。ジャンルが「ゴルフ」でなく「なりきりゲーム」というのも頷ける。

そんな内容を想像させないPVの素晴らしいクオリティーを讃え「ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!」の名言も生まれた。

機種の人気に乗じた粗製乱造をクソゲーの起源・根底とするならば、この作品は《純然たる無価値》すなわち本来のクソゲーの有り様を我々に提示した佳作に他ならない。



しかし、である。それすらまだ「真の地獄」には程遠かった。ここまでクソゲーが並び、12月を迎えたというのに、今までは前座に過ぎなかったのだ。

「年末には魔物が潜む」、この言葉は今年も正しかった。



魔物の一体は『ジャンライン』。あのジャンラインがパッチと言う新たな力を得て猛威を振るったのだ。

元来パッチとはゲームの不具合を改善・バランスを調整・要素を追加するための物であり、通常は改善後ノミネートから外されてもおかしくは無い。

実際『ダービータイムオンライン』は出走していない馬が優勝する、「0着」が存在、レースで同じ馬だらけと、

どれ1つ取っても競馬の概念を覆すクソゲーでありながら、改善されたためにノミネートを逃している。

しかしジャンラインは違った。パッチを当てた結果、以前とベクトルの違うクソさを発揮するという信じられない変貌を遂げたのだ。

麻雀は同じ色・柄や数字の牌を集めて役を作るゲームだが、同種の牌を集めようとしたら勝手に違う牌が混ざる、他人の牌が手元に吸われて数がおかしくなり二人とも勝てなくなる、

やっと役が完成し勝利した瞬間何故か順番外のプレイヤーが勝ってしまう、捨て牌が1つおきにしか選べなくなるなど、

シンプルだが完成されたゲーム性で高度成長期の日本を支え、TVゲーム創成期から存在してきた親しみ深いジャンルが題材とは思えぬ、インターフェースの破綻ぶりが続々と報告された。

それに呼応してメーカー側は公式掲示板とブログを閉鎖。異彩を放つDLCキャラ通称『ジャッシー』の投下、選択肢に「はい」だけを3つ並べるなどのお茶目放銃も鎮火には至らなかった。

安易なパッチ頼み・デバッグ費用削減が横行する昨今のゲーム開発事情が我々に見せつけたものは、

「進化するクソゲー」という新たなクソゲーの地平であった。



もう一体の魔物は『メジャーWii パーフェクトクローザー』。

 あの2008年クソゲーの開幕投手を務めたメジャーが、携帯ゲームで1作中継ぎを経て(これもクソゲーだった)、そしてタイトル通りにKOTYのクローザーとしてトリプルヘッダーを成し遂げたのだ!

 1作目から開発会社を変えるにあたり、敢えてクソゲーマイスターとして定評のある「ドリームファクトリー」を採用するところにタカラトミーの本気さが伺える。~
 ドリフ側もプログラマーを3人しか投入しないという万全の体制でこれに応え「追求したのは本格野球ゲーム」と豪語した上で世に放った。

 さりとて、いくら年内に続編を投下しようとも同種のクソならセットで受賞などという生易しい選評は行わぬと、かえってKOTY住人たちは構えの視線でこれを吟味した。その色眼鏡を易々とへし折る「我々の知らない本格野球」、その走・攻・守にわたる詳細なクソ報告例が末広がりの様相を呈そうとは、誰も知る由がなかった…。



 まずは《走》。せっかく走者を出してもクソAI管理によってリードもなしに盗塁しアウトを取られてしまう不条理さは、元々ベンチに監督はじめ誰もいないので目を瞑るとしても、犠牲フライ時タッチアップを無視して得点可能(イチローでも刺すのは無理)などルール的な処理の間違いも目立つ。

 続いて《攻》。なんと、一旦ファールになった打球がフェンスで跳ね返り、グラウンドに還ってくるとヒットになるエアホッケーのようなゲーム性。塁審がいないのだから仕方が無い。また、3バント失敗でアウトにならず延々バントを続けることも可能。

打球の物理演算は極端で、鉄球並みに転がらないゴロと3イニング10発程度のホームランが同居する有様だ。

 極めつけは《守》。変化球を投げた時のみスタミナが減少する仕様のせいでストレート一択で最後までプレー可能なため、主人公が投手なのに無味乾燥な投球の作業感が尋常ではない。

クソAI管理で自律行動する野手の存在も見逃せない。フェンスで跳ね返ったボールに対応できずフェンスを突き抜け右往左往、打球を後逸すればそれ以上ボールを追わずに棒立ちするなど怠慢な行動ルーチンだ。

一方、1キャッチで2アウトを取る驚異のジャイロキャッチ、悪送球やエラー確実の打球をアウトにできるザンギ並みの吸い込み性能など、憎みきれない一面も持ち合わせている。



 その他、ここに列挙しきれぬ大小様々のクソ要素報告が止まらない中、発生条件が不明ながらも印象的な、「審判・バッター・キャッチャーが後ろ向き」「ゴローの首が180°反転」という衝撃のバグが動画と共に続々報告された。

中でもキャッチャーが反転した場合、全ての打球を球より足の速いキャッチャーが処理するという珍事も併せて、クソゲー化が半ば常識とされるキャラゲーであるという前置きを差し引いても、他を圧倒するクソさがここに箔付けられたと言えよう。



11月までのクソゲーもいずれ劣らぬ猛者ではあったが、この2匹の魔物の前に一人また一人と力尽きていき、最終的にKOTYはこれらの一騎打ちとなった。

……しかしメジャーの、バッターや審判が揃って尻を向け、主人公吾郎の首が反転する、それらの画像のインパクトはあまりにも強力だった。

また映画とのタイアップで多くの子供のクリスマスを台無しにした事や、公式サイトがアクセス不能になり大晦日にもバグが報告されるなどの不断の燃料投下、

果ては説明書の[十字(じょうじ)][決(けっ)める]などの誤ルビから派生したキャラクター《ジョージ・ケツメル》の登場などワンポイントの話題性に事欠くことはなくKOTY住人の心に熱い物をたぎらせた。

そして――戦いは決した。この激しい鍔迫り合いを制して、晴れて2008年のKOTYに輝いたソフトは、『メジャーWii パーフェクトクローザー』。

関連作も含めれば、年に3度もファンに煮え湯を飲ませたその鬼畜っぷりは、長く人々の記憶に残るところとなるだろう。



ジャンラインは実力で決して劣るものではなかったが、麻雀はルールを知らぬ者も多くクソさが伝わりにくい事情があり、

また「これはアプリの不具合に近く、クソゲーとは違うんじゃないか?」という意見も出た。

それらはテーブルゲームというジャンルに根を張る問題であり、接戦のためジャンルの不利が勝負を決める結果となった、と言う事が出来よう。

だがメジャー2がいなければジャンラインが栄冠を勝ち得たであろう事は間違いなく、その異形…いや偉業は忘れてはならない。

KOTY史に残る名勝負に、「神はなぜ同じ時代にこの2つのゲームを送り出したのか」と人々は(とりわけ購入者は)涙したという。





振り返れば2008年は年頭の不安とは裏腹に、クソゲー七英雄と呼ばれるほどの多くのクソゲーを輩出した実りの多い年となった。

最後に、見事大賞に輝いたメジャー2に対し、ソフト発売週の原作MAJORからセリフを借りてこの言葉を送りたいと思う。



「メーカーをタカラトミーに、開発をドリフにされたら・・・ゲームにならねーんだよ!」

27改編 ver3



2007年の覇者『四八(仮)』がKOTYに与えたショックは大きかった。

物語、システム、バグ、メーカー対応、制作者の香ばしさ等突破口なき難攻不落の糞の要塞たる本作は

クソゲーが出難いADVというジャンルの不利を物ともせぬ十年に一つの逸材として住人を震撼させた。

「我々は以前のようにクソゲーを楽しむ事は出来ないのでは」

「四八に比べれば、どんなクソが来ても色あせて見えてしまうのでは」と。





そんな冷え切った空気の中、2008年の開幕投手を務めたのが『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』だ。

 野球ゲームは熟成され手本たる作品も多いことからクソゲー土壌としては不適ながら、逆にクソの育ちやすい原作つきキャラゲーと同化した事で、如何様な化学反応が起こるかとの注目を集めた。

投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。

一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ネタとして楽しめる範疇でなく本気で辟易してしまうほどの玄人志向を突きつけた。

”ひょっとすると、2008年も何かが「来る」かも知れぬ”と、KOTY住人たちはその滑り出しに意外な満足感を禁じえなかったのは言うまでもない。



続いて現れたのが、『奈落の城 一柳和、2度目の受難』。

本格推理ADVを自称しているが、推理の余地もなく総当りしかない捜査、見にくく迷って酔うばかりの3D移動、解読不能な暗号、

真犯人の正体や動機が推理小説の原則を無視しているなど、「本格」の前に「新」の字を入れ忘れたとしか思えない。

さっき死んだ筈の人が平気で屋敷内を歩いており、自身の死について聞き込みすると

「テキストがまだ無い」と語る衝撃の展開が来ようとは、どんな名探偵にも推理できまい。



だが、スレ住人は「大賞作がこの程度ではあるまい」と手放しで喜ぶ事は出来なかった。

四八の存在が、まだ彼等の心に影を落としていたのだ。



そんな長すぎる厳冬に飢える6月、ようやく遅咲きの春が訪れた。二年の長きに渡り延期を重ねた超大作『大奥記』の上洛である。

大奥での女の争いという誰得な題材。膨大な空き部屋とロードに耐えつつ聞き込みをする「延々サマルトリアの王子を探すだけ」なゲーム内容。

歩行はホバリングで襖は自動ドア、キャラは終始無表情と、二年も時間をかけたのは尻のポリゴンだけなのかと思える質素さ。

そしてプレイヤーを一気に現実世界に引き戻す「これkら」という誤字。

さすがファミ通レビューであの伝説クソゲー『デスクリムゾン』に並ぶ13点を叩き出しただけの事はある。

ゲームのクライマックスは問い詰められての申し開きなのだが、あまりのクソさに開発会社が香ばしきリアル申し開きを始める事態まで引き起こした。



上半期の作品ながら、今年はこれで決まりかと皆が思い始めていた。……が、クソゲーはそんな底の浅い物ではなかった。

テーブルゲームというADV以上にクソが出にくいジャンルから、『ジャンライン』が颯爽と現れた。

フリーズ頻発、点数計算の表示が異常、同プレイヤー同士の連戦不可、発売日に公式HPに謝罪文掲載、DLCコンテンツの販売ミスで返金騒動等、

様々な要素で360の麻雀フリークの気持ちを逆撫でする一方、DLCの素人ボイスや公式ブログでの麻雀素人カミングアウトなどがスレを賑わせた。



クソゲーをコンスタントに輩出する老舗・アイディアファクトリーも、満を持してKOTYに名乗りを上げた。

常に低水準ながら一線を越えず、ファン層すら存在した同社だが、『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』はそんなファンたちも

「買って金をドブに捨てたいのなら、実際にドブに捨てる方が時間の浪費が無いぶん建設的」と発言するほどの瘴気を放っていた。

転生學園シリーズの絵師を起用しタイトルも似せているが、シリーズ関係ないどころか学園物ですらない。

出会った瞬間に恋人になるスピーディーな展開で、クリアまで僅か6時間。ラスボス戦でもマヒさえさせれば後はトイレに行ってても勝てる戦闘。

15秒1フレームの1枚絵が挿入される合体技での「友情パワー」「魅惑的殺人(チャーミングマーダー)」など、敵よりプレイヤーにダメージを与える痛い台詞。

どこを切ってもクソ要素という隙のなさはさすが老舗、円熟の技と言えよう。



ところで「クル・ヌ・ギ・ア」とは平たく言えば地獄の事だが、後に本当に「クル・ヌ・ギ・ア(真の地獄)」が訪れることとなる。



名作ゴルフ漫画が原作の『プロゴルファー猿』が、ファミ通レビュー史上初のオール3点を成し遂げたのだ。

原作物ながらストーリーモードなし。使用キャラがたった6人の上にしょっぱい顔ぶれ。

肝心のゴルフも打てるポイントが数ヶ所しかなく、誰が打っても全く同じ場所に玉が落ちる事がしばしばの、双六のようなゲーム性。

その結果クル・ヌ・ギ・アを遥かに超越した、クリアまで10分という前代未聞の記録を打ち立てた。ジャンルが「ゴルフ」でなく「なりきりゲーム」というのも頷ける。

そんな内容を想像させないPVの素晴らしいクオリティーを讃え「ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!」の名言も生まれた。

機種の人気に乗じた粗製乱造をクソゲーの起源・根底とするならば、この作品は《純然たる無価値》すなわち本来のクソゲーの有り様を我々に提示した佳作に他ならない。



そしてここまで並んだクソゲーを前座たらしめるほど凶悪な真の地獄が顕現した。二匹の「年末の魔物」である。

魔物の一体は『ジャンライン』。パッチと言う新たな力を得て猛威を振るったのだ。

元来パッチとはゲームの不具合を改善・バランスを調整・要素を追加するための物であり、通常は改善後ノミネートから外されてもおかしくは無い。

実際『ダービータイムオンライン』は出走していない馬が優勝する、「0着」が存在、レースで同じ馬だらけと、

どれ1つ取っても競馬の概念を覆すクソゲーでありながら、改善されたためにノミネートを逃している。

しかしジャンラインは違った。パッチを当てた結果、以前と別ベクトルのクソさを発揮するという信じられぬ変貌を遂げたのだ。

麻雀は同じ色・柄や数字の牌を集めて役を作るゲームだが、同種の牌を集めようとしたら勝手に違う牌が混ざる、他人の牌が手元に吸われて数がおかしくなり二人とも勝てなくなる、

やっと役が完成し勝利した瞬間何故か順番外のプレイヤーが勝ってしまう、捨て牌が1つおきにしか選べなくなるなど、

シンプルだが完成されたゲーム性で高度成長期の日本を支え、TVゲーム創成期から存在してきた親しみ深いジャンルが題材とは思えぬ、インターフェースの破綻ぶりが続々と報告された。

それに呼応してメーカー側は公式掲示板とブログを閉鎖。異彩を放つDLCキャラ通称『ジャッシー』の投下、選択肢に「はい」だけを3つ並べるなどのお茶目放銃も鎮火には至らなかった。

安易なパッチ頼み・デバッグ費用削減が横行する昨今のゲーム開発事情が我々に見せつけた物は、

「進化するクソゲー」という新たなクソゲーの地平であった。



もう一体の魔物はタイトル通りにKOTYのクローザーの座を狙う『メジャーWii パーフェクトクローザー』。

 本年の開幕投手を務めたメジャーが、携帯ゲームで1作中継ぎを経て(これもクソだった)トリプルヘッダーを成し遂げたのだ。

 1作目から開発会社を変えるにあたり、敢えてクソゲーマイスターとして定評のある「ドリームファクトリー」を採用するところにタカラトミーの本気が伺える。

 ドリフ側もプログラマーを3人しか投入しないという万全の体制でこれに応え「追求したのは本格野球ゲーム」と豪語した上で世に放った。

 さりとて、いくら年内に続編を投下しようとも同種のクソならセットで受賞などという生易しい選評は行わぬと、かえってKOTY住人たちは構えの視線でこれを吟味した。

その色眼鏡を易々とへし折る「未知の本格野球」、その走・攻・守にわたる詳細なクソ報告例が末広がりの様相を呈そうとは、誰も知る由がなかった…。



 まずは《走》。せっかく走者を出してもクソAI管理によってリードもなしに盗塁しアウトを取られてしまう不条理さは、元々ベンチに監督はじめ誰もいないので目を瞑るとしても、犠牲フライ時タッチアップを無視して得点可能(イチローでも刺すのは無理)などルール的な処理の間違いも目立つ。

 続いて《攻》。何と一旦ファールになった打球がフェンスで跳ね返り、グラウンドに還ってくるとヒットになるエアホッケーのようなゲーム性。塁審がいないのならやむなしだが。また、3バント失敗でアウトにならず延々バントを続けることも可能。

打球の物理演算は極端で、鉄球並みに転がらないゴロと3イニング10発程度のホームランが同居する有様だ。

 極めつけは《守》。変化球を投げた時のみスタミナが減少する仕様のせいでストレート一択で最後までプレー可能なため、主人公が投手なのに無味乾燥な投球の作業感が尋常ではない。

クソAI管理で自律行動する野手の存在も見逃せない。フェンスで跳ね返ったボールに対応できずフェンスを突き抜け右往左往、打球を後逸すればそれ以上ボールを追わずに棒立ちするなど怠慢な行動ルーチンだ。

一方、1キャッチで2アウトを取る驚異のジャイロキャッチ、悪送球やエラー確実の打球をアウトにできるザンギ並みの吸い込み性能など、憎みきれない一面も持ち合わせている。



 その他、ここに列挙しきれぬ大小様々のクソ要素報告が止まらない中、発生条件が不明ながらも印象的な、「審判・バッターが後ろ向き」「ゴローの首が180°反転」という衝撃のバグが動画と共に続々報告された。

中でもキャッチャーが反転した場合、全ての打球を球より足の速いキャッチャーが処理するという珍事も併せて、半ば低水準が常識とされるキャラゲーという前置きを差し引いても、他を圧倒するクソさがここに箔付けられたと言える。



11月までのクソゲーもいずれ劣らぬ猛者揃いだったが、この2匹の魔物の前に一人また一人と力尽きていき、

皮肉にも違う年に生まれていれば共に栄冠を勝ち得たであろう彼等の一騎打ちとなった。

この運命の悪戯が齎したKOTY史に残る名勝負を制し大賞に輝いたソフト――それが『メジャーWii パーフェクトクローザー』である。

揃って尻を向ける打者や審判、主人公吾郎の首の反転といった画像のあまりに強烈なインパクト、

映画とのタイアップで多くの子供のクリスマスを台無しにした事や、公式サイトがアクセス不能になり大晦日にも報告されるバグ、

果ては説明書の[十字(じょうじ)][決(けっ)める]などの誤ルビから派生したキャラクター《ジョージ・ケツメル》の登場等

不断の燃料投下でワンポイントの話題性に事欠くことはなくKOTY住人の心に熱い物を滾らせ続けた。

関連作も含め年に3度もファン、何より原作者に耐え難い失望を与えたであろう鬼畜ぶりは長く人々の記憶に刻まれる事だろう。

ジャンラインも実力で決して劣る物ではなく、その異形、いや偉業を忘れてはならないことは事実である。

だが「これはアプリの不具合に近く、クソゲー以前の問題では」といった意見がなされた他、

麻雀はルールを知らぬ者も多くクソさが伝わりにくい事情もあった。

それらテーブルゲームというジャンルに根を張る問題が、接戦故に浮き彫りとなったジャンルの有利不利として勝負の決定打になったと言えよう。

今年を振り返れば年頭の不安とは裏腹に、クソゲー七英雄と呼ばれるほどの多くのクソゲーを輩出した実りの多い年となった。

最後に見事大賞に輝いたメジャー2に対し、ソフト発売週の原作からセリフを拝借した言葉を送りKOTY2008を締めくくりたい。

「メーカーをタカラトミーに、開発をドリフにされたら・・・ゲームにならねーんだよ!」