2018年 次点

概要

名称RPGツクールMV Trinityhttps://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0117-CUSA08027_00-FULLGAME00000000 [外部リンク]https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000006406 [外部リンク]
ジャンルコンストラクション
対応機種PS4/NintendoSwitch
発売元株式会社角川ゲームス
開発元株式会社KADOKAWA、株式会社epics
発売日2018年11月15日
価 格7800円(税抜き価格)、パッケージ版・ダウンロード版
対象年齢CERO:A(全年齢対象)
参考XboxOne版は発売延期(2018年11月24日現在)

参考動画

PV

OPムービー

選評

選評1

RPGツクールMV Trinity
販売:角川ゲームス
開発:KADOKAWA、epics
プラットフォーム:PS4、Nintendo Switch、Xbox One
販売形態:パッケージ、ダウンロード(Xbox OneはDL専)
価格:7,800円(税抜)

三機種とも2018年11月15日発売予定として発表された後、XBoxのみDL専用であったが、発売寸前で突如延期となった。
Switch版、PS4版は発売日にリリース。

●ゲーム概要
公式上のジャンルはコンストラクション。
名前の通りRPGの製作が可能な、ゲームを作るゲーム。
プログラムが分からなくても、初心者でも手軽にゲームがツクれる事が売り。
公式より抜粋すると…
「RPGツクール」は、
「プログラムを覚えないでゲームを作りたい」
「誰もが簡単にゲームを作ることはできないか」
そうしたユーザーの思いをかなえるために生まれた、簡単にオリジナルRPGを作ることができるソフトです。
との事。
家庭用(以下CS版)やPC版含め、新作も定期的に発売される比較的有名なシリーズである。
今作のコンセプトは【PC版の「RPGツクールMV」を家庭用に移植する】というもの。
「RPGツクールMV」とは2015年に発売されたPC版ツクールの最新作であり、国内外共にプレイヤーからの評価も安定している良ツールである。
CS版前作に引き続きの要素として、専用サーバへ完成したゲームをアップロードする事で他者がツクったゲームをプレイが可能。(PS4←→switch & Xboxでの互換性は無し)
またプレイ専用のプレイヤーも配信され、ゲームソフト本体が無くても遊ぶだけなら無料で可能。
(但し発売日と同時配信予定であったが急遽延期。配信日は11月20日現在未定)

●低評価点
問題になるのは大きく分けて下記の三点。
1.ロードが長くてやる気がツヅーカナイ。
2.UIに対する操作方法がお粗末で誤操作連発ツカーレル。
3.バグ満載でゲームがツクーレナイ。

まず1.であるが、まずデータベースを開くのに10秒、イベント一つ作る為のメニューを開くのに8秒。
テストプレイの起動にも10秒、その他何かと確定させるのに5秒程度と、とにかくロードでの待機が多い。
中でもイベント作成のロード時間は特に致命的で、たとえば村人一人置きたいと思ったらまず8秒。
中身をツクり、テストプレイ起動に10秒。
そして手直ししたいと思ったら、村人の編集画面開くのにまた8秒。
村人の設置位置を移動させたいと思ってもまた編集メニューに8秒。しかもイベントの移動というコマンドは無く、カット&ペーストを行う為、また移動先で貼りつけの為にメニューを開くのに8秒。
ちなみにツクールのプレイ時間とは製作ゲームのボリュームにもよるが作業時間は100時間はくだらないのが当たり前の世界である。
参考までに、CS版前作「RPGツクールフェス」のコンテスト受賞作品等は、どれも300~500時間、果ては999時間越え(カンスト)というものがズラリと並んでいた。
勿論、その中でイベントの作成時間が占める割合も多く、また思った通りに動かすには何度も何度も手直しをする事になるのが常である。
その大事かつ頻発する操作に、毎回8秒。
皆のやる気がツヅカナイのは想像に難くない。

次に2.ついてだが、まずツール系に求められるのは素早いゲーム制作の為の快適な操作方法である。
しかし今作は、画面毎に最適化されず形式的に同じ操作を手抜き導入したとしか思えない、快適さの欠片すら感じない操作方法が実装されている。
どの画面も中項目→小項目と決定ボタンで下項目へ潜っていきそして具体的な項目入力へ進む。
(大項目のみ別操作)
逆に上項目へあがる場合は、キャンセルボタンで移動しなければならない。
それだけなら画面デザイン次第では問題ないのだが、中項目上にフォーカスがあるのか小項目までフォーカスが潜っているのか、画面上では判断が非常に難しい点が、この操作を実に厄介な仕様に仕上げている。
この「画面上で中項目にいるのか小項目にいるのか判断が難しい」のにフォーカスの移動にキャンセルボタンを使用する為、「小項目にいるつもりでキャンセルを押したら、実は中項目だったのでそのまま画面が閉じた」という事が頻発するのである。
またフォーカスの移動も一癖もあり、各編集画面全体を確定するOKボタンやキャンセルボタンと、小項目の一つ一つが同じ階層で並んでいる為、不意の操作で意図せずOKボタンを押下してしまう事も多々発生。
(万が一イベント画面を誤操作で閉じたりすると、それでまた8秒のメニュー表示時間がセットでついてくるわけである)
しかもキャンセル系のボタンにも「保存されませんが閉じてもよいですか?」と言った確認ダイアログが出る事もなく、無慈悲に画面遷移する事が更に作業の巻き戻しに拍車をかける始末。
ボタンは有り余っているのに、ほぼ全てを決定とキャンセルだけで操作させようという手抜きっぷりが透けて見えるこの操作方法も、特にツール系のこのゲームでは致命的と言えるのではないだろうか。

そして3.についてだが、大小合わせると途方もない数のバグがありもはや列挙は不可能というレベル。
大きなところでだけでも、作業中に容赦なく襲い掛かる突然のフリーズ、果てはそしてハード側からのエラーメッセージと共に強制終了が頻発する悲惨さ。
その他、各機能面でも「回避した時」メッセージを設定しても、なぜか「反撃した時」のメッセージで上書きされたり、変数名を確定させても画面に反映されない。
特定の移動コマンドを使うと再度編集しようとしても設定変更ができなかったり、毎日誰かが何かのバグを発見しスレや某SNSで報告が上がる惨状である。
中でもお手軽に体験可能なフリーズバグに、所轄ぬるぽと思われるエラーがある。
データベースに登録した主人公やアイテム、タイルセットを、例えばイベント作成の中身で使用する。
その後、その使用したものをデータベースから削除し、使用したイベントを開こうとするとあら不思議、ぬるぽエラーの出来上がりというわけである。勿論フリーズ事になる。
(ぬるぽ…要約すると、使用しているものが見つからない為、「Null Pointer」参照先がありませんというプログラミングする上でよくありがちなエラー)
つまり、まるでリレーショナルデータベース内のデータを直接いじっているかのような、現役の技術者でもやらないスーパープレイを要求されるのである。
またセーブデータの破壊も見逃せない要素である。
ある日突然、ツクっていたゲームをロードしようとすると「データが破損している」旨のメッセージと共にロード不能に陥るというもの。
ゲームをツクるゲームをやっていたら、ある日ツクったゲームをゲームに破壊されるのである。
しかも別スロットへバックアップしデータを二重にしていても、セーブしたタイミングが同じなら次のロード時にはどちらも同じようにバグが起こるようで、ゲーム内のバックアップのみではほぼ対策不能。
またそのセーブデータ破壊バグは、現状条件不明であり、しかも度々発現し唐突に襲われるという代物で、全国のツクラーを震え上がらせた。
今作は「最後までゲームを完成させる。」もはやこれすらも保証されていないのである。

●高評価点
BGMの収録数は非常に多く、また内容も悪くない。(音質とループ設定が雑という問題付きではある)
素材数も種類豊富。(人外系のグラフィックの種類難あり等、完璧とはいいがたい)
DLCも予定されており素材の幅は広がる可能性が高い。
完成ゲームのプレイそのものは(今の所)目立った問題点は無し。
(ただし、そもそもゲームを誰もツクれないので誰も遊べていないだけで潜在的なバグは存在しているかもしれないのが現状)

●総評
ツール系のゲームにも関わらず意図不明のログインボーナス機能(一日一回素材入手する、最初に揃っているべき素材を出し渋る意味も分からなければ、入手した素材がどこにも追加されていないバグもあり)
アイテムの説明欄等明らかに改行可能な部分で改行できない不具合らしきものを、公式で「仕様」と言いきる。
他人の作品をDLすると自分の作品データに干渉してくるといったバグも存在し細かい謎や不満点も後を絶たない。
UIの操作性のクソさ、多大なロード時間、バグの嵐…。
これで大半の初心者ツクラーの夢を打ち砕き、これらを掻い潜ってゲームをツクろうとする猛者ツクラーすらもセーブデータ破壊バグで無に帰す。
ここで公式の謳い文句をもう一度確認しよう。
「RPGツクール」は、
「プログラムを覚えないでゲームを作りたい」
「誰もが簡単にゲームを作ることはできないか」
そうしたユーザーの思いをかなえるために生まれた、簡単にオリジナルRPGを作ることができるソフトです。
もはやこの物体は一体なんなのだろうか。何のために生まれたのか。
その答えは少なくとも私には見つかりそうもない。


選評2

RPGツクールMV Trinity【追加選評】

●概要

「ロード地獄・クソUI・バグ」というトリニティをひっさげ登場したRPGツクーレンMVT

今回の追加選評では…
「ストロングスタイルな部分の追記」「初回ではやや抽象的だった部分への加筆」「アプデ後の現状」
これらについて、筆者が約130時間Switch版で製作をしてみて体験した事を交え改めてまとめます。

そしてバグの扱いですが、とある有志の方では個人で500項目近いバグ数を上げており、実際その程度の数はくだらないとプレイしていて感じるレベルです。
バグを一つ一つ検証した上でそのバグをクソゲーの要素として語るには数が多すぎるため不可能であり、またその必要もなくクソゲーとして語れると判断し、バグについては全ての検証は行っておりません。予めご了承ください。

また重複説明で文章が伸びるのを防ぐため、前回の選評を読んでいただいた前提とします。


【アップデート履歴】
v1.0.3 12/13 アップデート1回目(本文ではアプデAする)
v1.0.4 12/27 アップデート2回目(本文ではアプデBする)

(参考)公式が現在把握しているとされるバグ等を記載したブログ
https://rpgtkoolmvtrinity.hatenablog.com/ [外部リンク]

【おまけ 予備知識】
発売前に公開された開発者へのインタビュー記事。
https://game-maniax.com/archives/detail/20512 [外部リンク]

この内容に沿った製作がされたという事が念頭があると、本ゲームの香ばしさを一層感じられる為、こちらも是非ご一読いただきたい。

(特に香ばしい点を抜粋)
「PC版『RPGツクールMV』(以下、PC版)の完全移植です。」
「(開発作業は)全体を通してそんなに大きな問題はなかった」
「標準コントローラーでの操作については、開発の早い段階で試行錯誤がありました。~慣れればかなりスピーディーに操作できると思います。」



●簡単な用語説明

データベース:ゲーム内で登場するアクター(主人公)やアイテム、魔法や敵キャラ等の設定を決める画面
ゲームタイトルや各種項目の呼び方(お金の単位をG→ギルに等)も決められる
またマップ作製に使うタイル等もまずはここで設定する
要はゲームの役者を全部決める場所

マップ:ツクるゲームの舞台。最初の村やラスダン等全てマップと呼ぶ

マップタイル:実際にマップに敷き詰めるタイル1マス分ごとの画像素材。タイル画像素材はこれは横8×縦20~30程度の数が並べられて1セットとなる

タイルセット:マップを作る前に決めるタイル画像素材の集まり。地上物タイル素材、装飾物(机やいす等)タイル素材といったものでA~Eの最大5種類を組み合わせる(簡素なマップでも最低限、地上物にAと装飾物にBくらいの設定はほぼ必須)


【場外乱闘 ゲーム開始前】

なんと、そもそも説明書がない為、隠されている操作方法が非常に多く、また個々の設定項目の意味も分からない事だらけで何をしたらいいかわからない事態に陥りがち。
(ツクールは元々そういう傾向にあるが、本作は本ゲーム内での救済が皆無な為それに拍車をかけている)

勿論、ゲーム内のヘルプもほぼない(一部1行コメント程度のヘルプが実装されているが、表示内容が「〇〇項目とは、〇〇の数値を設定します」みたいな滑稽さ。その〇〇とは何かを聞きたいのにである)

唯一(バグまみれの)チュートリアルが実装されていたが、アプデAでまさかのチュートリアル全削除という対応を強行。
最も、ロードが無限に終わらないバグやチュートリアル読込で製作中データへ上書きバグ等の凶悪なバグが多く、そもそも役立たずを通り越して触れるべからずに近いので修正不可と見るやの英断だったのかもしれない。

ちなみにアプデAで行われたチュートリアル削除に伴いYouTubeにてチュートリアル動画を順次アップするとアナウンスがあったが、次のアプデBの際に過去のアプデ履歴を公式HPから抹消。
現状(2/4時点)、チュートリアルの存在や対応履歴自体が無かったことになっており、またPS4版ではチュートリアル制覇のトロフィーが入手不能でトロコン不可という状態(トロフィーについては1月以降で修正予定アナウンスはあり)
ちなみに上がっているチュートリアル動画もわずか2動画のみ。最初に必要なチュートリアル動画が約1ヶ月1回のアップというありさま。

そしてとどめに公式HPの操作方法の説明もお粗末な上、説明していない操作方法(データベース内ではX(△)ボタンで1項目削除等)も多々。

まず使い方すら碌に説明する気がなく、特にツクール初心者はイラツクールこと請け合いである。

唯一の救いは、移植元PC版の説明記事等が公式非公式問わず全体的にある程度優秀である為、そこまで自力でたどり着けたものはMVTでも使う事が可能な情報を入手する事ができる。



1.ストロングスタイルな部分の追記

【取り扱い項目の増減・選択】

アイテム種類の総数等、データ数そのものを増やす場合、画面上の「+」マークのボタンを押下する事で1行増える
その総数だがPC版準拠の為か最大数は非常に多く500~1000近い数まで増やす事が出来る

…が、まとめて増やす機能は無く、例えばアイテムを500種類作りたいなら(デフォルト分で追加済みの行を除いても)大よそ480回程度は「+」マークを決定ボタンで連打しなければならない。
勿論長押しで連打扱いにもならない。文字通り連打である。

ちなみに本家PC版は、ダイアログから数値を入力しその数が一気に追加される仕様である。
完全移植とはなんだったのか。

そして各項目を上記の要領で増やす事でスクロールが長くなるわけだが、スクロールのページ送り機能がない。
試しにアイテムを500行追加し上から下までスクロールさせてみたが、一番下にたどり着くまで約9秒程度かかる。

各種ロードも長く操作性もお粗末な本作だが、項目の選択でも時間的な負荷をかけてくる。

ちなみに上記一例のアイテム500個という個数をそもそも使用するのか?についてだが、ドラクエのようなオールドライクなゲームであれば長編でも概ね100~200程度で収まる事が多い。
が、アイテムの錬金と言った特殊な要素を盛り込む場合等は、錬金元の素材も全て用意する必要がある為、アイテムの種類が飛躍的に増える。
つまり製作者の意図によっては現実的に使用する範疇の数字であるという事を補足しておきたいと思う。
(参考までに、実際に筆者がツクっていたゲームのアイテム総数は400個程度を予定していた)

ちなみにこれらの仕様はデータベース共通で、アイテム以外にも魔法アニメーション等の攻撃エフェクトや敵キャラクター等全ての要素について、扱う項目数が多くなればなるほど選択が非常に面倒になる。


【PC版からの刷新機能】

各スキルの与えるダメージについて計算式を入力する事が出来る。
PC版は計算式を文字として手打ちするのだが、こちらは家庭用という事もあり専用UIから項目を選んで設定する方式へ変更がなされている。
(詳しくは上述URL内のインタビューも参照)

一例をあげると([]で1項目)

[味方の][攻撃力][×][10(定数)][-][敵の][防御力][×][5(定数)]

と言った具合である。

ちなみにこの一例では9項目を使用した事になるのだが、なんとこの項目が全部で11項目までしか選べない。

上記の例は比較的単純な計算式だが、この単純な計算式でもう終わりなのである。
ここから更に素早さを参照して威力が上がったり、攻撃力と防御力の割合で威力を増減させたりと言った、凝った要素の実装はほぼ不可能。

PC版は勿論計算式を自由に変更可能で上限もほぼない。

全体的に雑いツクりの本作で、この点についてはわざわざ開発が「手間暇かけて」大幅に劣化させてきたのである。
完全移植とはなんd(ry


【プラグインありきだった要素】

例えば「会心の一撃」の威力は(恐らく3倍)で固定であり、こちらの設定項目は存在しない。
これは移植元であるPC版準拠である。

PC版ではプラグインの導入やシステムファイルを直接書き換える事で難なく対応できるので大きな問題は無い要素だが、家庭用移植に伴って配慮が欲しいところではあるが、そこは無視して完全移植を実現。
素晴らしい仕事ぶりである。


【タイルセット】

タイルセットの通行設定も非常に腹立だしい。
通行判定とは、1マス分毎にそのマス上へ主人公が乗れる(通行可)のか乗れないのか等を決める事である。

これはマップタイル一つ一つをカーソルで選択しながら決定ボタンで〇→×→☆→〇と順繰りする記号を選ぶ仕様である。

まず横8×縦20~30に敷き詰められた各タイルの上に、「〇、×、☆」と記号が表示されるのだが、記号文字が全部同じ色なので、ぱっと見で設定内容の判別がつきづらい。
上から下まで総なめしても一回では設定漏れが多々発生。

次に横8×縦20~30(=160以上)あるマップタイル全てを一つ一つ順番に設定しなければならない。
しかも上記はタイル画像素材単体の話で、タイルセットは内訳にA~Eまであるので更に最大5倍である。

要するにこの項目も十字キー及び決定ボタンの押下回数が尋常ではないのである。

作業手順イメージは、正方形の小さいマスが横8×縦20~30の数並んだ画面で、左上から「決定キーを1~2回→十字キー右→決定キー1~2回…」を延々と繰り返す。

ちなみに、はしご等特殊な設定が必要なタイルはルーチン作業を抜けて特別な設定が必要なおまけ付き。

勿論、せめてもの機能として欲しい「一括で〇(or×、☆)に変更する」も勿論無し。

自由度と引き換えの作業量ではある為、多いのは仕方がない。

が、せめて範囲選択してまとめて設定やら他のタイルセットからの一部コピペやら一括設定やらetc…、何か一つでも救済機能はあれば違うのだが、この点もPC版から完全移植で配慮無し。

理想はタイル素材ごとにデフォルトの設定が用意されている事だがこれはきっと高望みなのだろう…。


【テストプレイ】

ゲームプレイ時もそうだが、全体的に挙動が非常にもっさりしている。
処理落ちのようなラグさに常時襲われる始末で、3Dゲームだったかと錯覚するほどである。
(恐らくだが、総歩数等を内部的にカウントしている機能がデフォルトであるので、そういったものが悪さをしているものと思われる。勿論それらをOFFにして処理落ちを軽減する事もできない)

しかも誤操作一つでテストプレイ中でも確認無しでメインメニュー(ゲーム本体のタイトル)へ戻される。
つまり前回セーブしたところまで巻き戻る。
しかも本来選びたい「エディタに戻る」より選択肢が上にある罠っぷりである。

おまけに音量調整機能が機能しないなどの細かいバグもばっちり完備されておりどこもかしこも隙が無い。


【キャラクタージェネレーター】

キャラクターの歩行グラフィックや顔グラフィックを、パーツを組み合わせて自由にツクれる機能である。
潜在的な素材数が飛躍的に多くなるため、これ自体は非常に素晴らしい機能ではあるがここも物足りなかったり、巧妙な罠が仕掛けられている。

まず誰しもが一度は引っかかる罠に、「ランダム生成ボタン」がある。
このボタンの動作は、作成中のキャラクターの全パーツをランダムに入れ替える。

所謂お遊び機能であるが、なんとこのボタン確認ダイアログが出ないのである。

髪型、目、口、色、服装と言った細かいパーツを一つ一つ選ぶわけだが、それが全てランダムに置き換わる。
言い方を変えると実質作成中のキャラ削除ボタンなのである。
それなのに確認ダイアログが出ない。

しかもこのボタンの配置位置が、何故か「編集部位の選択欄」と「保存&読み込み」との間にある為、「作れた!→セーブしよう」の流れの中で必ずこのボタンの上をフォーカスが通るのである。

また、このボタンの一つ上にある「編集部位の選択欄」は、中項目小項目移動という仕様に則り、決定ボタンを押下後に小項目の髪型・目などを上下と決定ボタンで選ぶ操作となっている。

そしてこの決定ボタンを押さずに、髪型から目を選択する感覚で↓を押すとどうなるか。

「ランダム生成ボタン」にフォーカスがピタリと合うのである。

「ランダム生成」させたくて仕方がないかのような素敵なインターフェースに、もはやカーソル移動が綱渡りの様相を呈しており、筆者はこのボタンの所為で同じキャラクターを4、5回ほど作っている。
それを4キャラクターほど。

筆者の個人的な話だが、このランダムボタンに関しては流石にコントローラを叩きつけそうになった程の抜きんでたイラツクール要素であったと思う。
もう一つ余談ではあるが、公式が配信しているMVTの番組内でもキャラクタージェネレーターを使用する場面があったが、出演者も同じ誤操作でツクったキャラを吹き飛ばしていた。もはや放送事故である。


【ログインボーナス】

買い切りのCSツクールにログインボーナスを実装するという斜め下にもほどがあるこの機能だが、内容も非常に香ばしい。

ゲーム内で使える素材が一日一回、ツクールのサーバにアクセスする事でもらえるのだが、まず最初から入っていたはずの素材一覧から、後から歯抜け状に適当に抽出したとしか思えないものがラインナップされている。
(馬の立ちグラフィックや効果音は最初からあるのに、バストアップ画像はログインボーナス等)

しかも増えた素材は、各一覧の最後に追加されるのではなく間に挟まれる形で実装され、Newの表記もないので何が増えたのかわかりづらい。
しかも間に入る事で管理しているIDがズレるのか、追加された素材の下にある素材を使っていた場合、素材が一つ上のものに変わるバグまで存在。筆者はタイトル画面に使用していた画像が実際にズレた。
(要するに使用していた素材が勝手に置き換わる)

しかしこの程度の事はもはや序の口で新たに発覚した仕様に、ログイン回数に180日目までが少なくとも存在している事が確認された。
しかも最初の30日は毎日1素材であったが、それ以降は10日~30日で1素材という不毛っぷり。

使った素材が置き換わるというバグの可能性を内包し、しかも少なくとも180日間は素材が出揃わない。
「ツクらないで」という公式からの熱いメッセージなのかもしれない。



2.初回ではやや抽象的だった部分への加筆

【項目選択と決定(前選評のクソUI要素)】

前選評にて、中項目と小項目を決定(Aor〇)ボタンとキャンセル(Bor×)ボタンで行き来する操作について触れたが、もう少し具体的にクソっぷりの説明を行おうと思う。

例えばイベント製作時に使う命令の一つで、使用頻度も高い「ウェイト命令」の設定。
「〇フレームの間、画面を止める」だけの命令で設定項目は「〇フレーム」の部分のみ。

要するに「数値を入力してOKボタンを押すだけ」の内容であるが、さてMVTでこの命令の操作手順を見てみよう。
(Switch版のボタンで表記)

ウェイト命令設定画面が開いた状態からスタートしたとして…

A>A(X)>"数値入力">B>B>↓>A

最初のAで中項目から小項目へ、次のA(orX)で数値入力状態へ。
(余談だが、Xボタンと言うのは数値を手打ちする場合の画面遷移方法。100や1000と言った大きな数字を打つ時に必須の操作だがこの操作もどこにも説明や表記は無い)

そして入力後、OKボタンにフォーカスを合わせたいので↓を押下したいわけだが、ここで数値入力状態の解除と、小項目から中項目へあがる為のBボタン二回が挟まれるのである。

当然Bボタンを誤って3回押せば設定画面が閉じるので最初からやり直し。

Bボタンを押さなかったり1回だけの場合は↓を押しても無反応。

挙句の果てにフォーカスが中項目にいるのか小項目にいるのか、見た目が変化しない為さっぱりわからない。

一番設定項目の少ない「ウェイト命令」ですらこのありさまで、二つ以上の設定項目があったりするとAとBの応酬でもはや発狂ものな仕様。
少なくとも、筆者は100時間以上プレイしたが最後まで操作に慣れる事が出来なかった。


【ロード時間の増減】

前選評からロード時間の長さについては触れているが、なんとロード時間は増減する事が発覚した。
1ゲームにつき総容量というのが決まっておりその範囲内でゲームを製作するのだが、この使用容量が増えれば増えるほどロード時間が比例して延びていくのである。
(正確にはデータベース、マップ等それぞれで使用している容量が多くなると、そこへのアクセス時に時間が延びる)

特に、マップ選択時の描画は全体的に時間がかかり(ほどほどの大きさのマップでも約10秒近い初期ロードがいる)、例えばマップAとマップBを行き来しながらでのイベント製作となると、マップ選択が頻発するため尋常ではないテンポの悪さとなる。

つまり製作をはじめた頃のロード時間に耐える事を覚悟したツクラーには、更に長いロード時間に襲われる罠が眠っていたのである。



3.アプデ後の現状(バグについて)

発売から二度の弱体化が来たわけだが、結論から先に述べると本質は何一つ全く変わっていない。

アプデAに関しては「チュートリアルの完全削除」及び「1マップ毎のイベント設置数を200に制限」という、アプデではなく上方修正も混じっている。

おまけに「データ改変不可が改変(=編集の為のロードが)できていたバグ」を修正したとあったが、なんとロードできるままというありさま。
細かく説明すると、ゲームタイトル画面からのロードでは確かにできないのだが、別のゲームをロード後、そのゲーム製作画面内からのロードでは未だ改変不可もロード可能という、素人でも気付けそうな修正漏れをしているのである。

そしてアプデAは公式HPから経緯そのものが完全に消され、この件は解決したものとして闇に消えていったのである。


アプデBに関しても無限ともいえるバグの母数から、表面的ないくつかのバグを取っただけというレベルで、フリーズや無限ロードによる実質セーブデータ消失等は未だ頻発している。


ちなみに無限ロードについては現在PS4版では再現性が確認されてるようで、ロード時間の項目でも触れたゲーム製作容量が、まさかのMVT全体での使用可能数になっており、それが悪さをしている模様。

MVTでは10作品まで最大で作れるのだが、実は10作品共通での容量になっていたのである。

容量の具体的な最大値が「1,572,864」なのだが、例えばゲームAで「1,000,000」、ゲームB「600,000」を使用したとする。
これで内部的には容量オーバーとなり、この容量オーバーが発生すると次回から無限ロードに陥る。

またこのゲームBについて「データの削除」をしても、内部的には消費したままで「600,000」が戻ってこないというバグも存在。
つまり一度無限ロードに陥った場合の解決策は、PS4本体からMVTのセーブデータを丸ごと削除しなければならない。

頻発するデータ破壊からの初期の対策としてデータの二重セーブ等を行っていたがこれは誤りで、二重にすると容量を永久的に減らしていたのである。

筆者もSwitch版で試したが、現在PS4版と全く同じ症状というのは発生しておらず、複数作品で容量オーバーを作っても無限ロードには陥らない。
…ちなみにその過程で謎のフリーズは何度も遭遇した。



4.場外乱闘 RPGツクールMVプレイヤー

MVTで製作したゲームは、サーバーにアップする事で無料の専用プレイヤーでDLし遊ぶ事が出来る。
…が、このプレイヤーもかなりお粗末なので場外乱闘として語りたい。

まず香ばしいのが、この専用プレイヤーにはキーコンフィグがある。
何のキーコンフィグか。なんとゲーム制作用のものである。
特にこれは悪さをしない為被害はないが、本体から編集画面へアクセスするボタンだけ消したのでは無いかと疑りたくなるような、手抜きが透けて見える逸品なのである。

またゲームプレイデータの消去がない所為か、制作者が使ったテストプレイ用のセーブデータが残ったままという状態で、新しくゲームをDLしてもまるで中古品を買ってきたかのような汚い仕上がりとなっている。

(テストプレイデータを制作者が一度もセーブしなければ空の状態でアップの可能ではあるが製作負荷は更に上がる)

またこのプレイヤーも度々無限ロード等が発生し、恐らく本編の焼きまわしの為、同じ問題を内包していると思われるようなありさまである。



5.まとめ

筆者はSwitch版で130時間程のプレイなのでセーブデータの破壊には遭遇しなかったものの、フリーズ及び強制終了は数えていた限りで49回。
特にデータベースのアニメーション系を大量にコピペしていた時に強制終了が頻発していたが、毎回発生タイミングが違う為、詳細は不明なままに終わってしまった。

ちなみにセーブデータ破壊系(=ロード不全等含む)については、冒頭の参考にある公式ブログにも明確にフリーズ・ロード不能になるケースが記載されている為、内包済みのままである事は確定している。


無限とも思えるようなバグ群が押し寄せてくるクソ。
数少ないちゃんと動く、仕様通りな部分もクソ。
長いロード時間も伸びしろ付きというクソ。

おまけに場外乱闘もクソという、クソというクソのオンパレード。

14年ぶりの家庭用『RPGツクール』はここまで進化していた!!


『RPGツクールMV Trinity』選評者インタビュー

Q.これは何ですか? A.う〇こです。





おわり