戦極姫~戦乱に舞う乙女達~鰀

概要

名称戦極姫~戦乱に舞う乙女達~http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002FB7LE0/ [外部リンク]
ジャンル本格戦国シミュレーション恋愛アドベンチャー
対応機種PS2
発売・開発元システムソフト・アルファー
(販売元:イエティ)
発売日2009年11月12日
価格通常版:7,140円、限定版:9,240円(ともに税込)
対象年齢CERO:C(15才以上対象)

公式サイト [外部リンク]

要点

固有シナリオを除き、PSP版 [外部リンク]もほぼ同一のため、こちらでまとめています。

ちなみに固有シナリオの評価は PSP>>越えられない壁>>PS2 だが、ささいなことであろう。

PCエロゲーの移植だが、城に配置していたキャラが消滅したり、所持金がおかしくなったりとバグ満載。質・量ともに近年稀に見るレベルといえる(ジャンライン・カルドに勝るとも劣らない)。

12月半ばを過ぎても、新たなバグが発見され続けており、全く底が見えない。総評執筆段階でも発見され続けるのではと懸念されている。

以下、バグとか不具合とか。攻略wiki [外部リンク]の情報も参考に。

決定稿

11月、半年間の日照りで兵糧の尽きかけたKOTYスレに、「黒船」は唐突に現れた。
『戦極姫~戦乱に舞う乙女達~』(通称『姫』)。
萌えキャラ化した戦国武将達と恋愛しながら天下統一を目指す
「本格戦国シミュレーション恋愛アドベンチャー」である。
本作品は、もともと昨年エロゲー板のKOTYにノミネートされた問題作であり、
PS2,PSPへの同時移植は、修羅の国であるエロゲー業界から
コンシューマ業界のKOTYに侵攻が開始された歴史的瞬間であった。
思いも寄らぬ来訪者にKOTYスレは戦慄したが、「魔物」を渇望していたことも事実である。
発売と同時に多くの勇者達が特攻し、想像を遥かに越える全貌を瞬く間に明らかにしていった。
まず《歴史SLG》としてはどうだろうか。
メーカー自身が本作の魅力として「奥深い戦略」を豪語するだけあって、
0を下回ると上限値65535に化ける「軍資金」や、
兵数が欠けて鉄砲が余るとなぜか無敵の部隊が誕生する「軍備フェイズ」、
一度でも行うと住民感情が一揆寸前まで悪化しかねない「徴兵」コマンドなど、
確かに常人には理解できない概念が多い。
メーカーは認めていないが、何者かの怨念の仕業としか思えない怪奇現象が数多く存在するのも特徴である。
武将が増殖・合体したり、見覚えのない武将がいつの間にか自軍に紛れ込んだりするのは瑣末なことに過ぎず、
「敵軍の武将を説得で引き抜いたが、次のターンには居場所がどこにも見当たらない地縛霊と化していた」
「敵の城を攻め落としたら、倒した直後に敵が復活して、ガラ空きになった自陣に攻めてきた」
「自陣のど真ん中の城にどこからともなく独立勢力が攻めてきて、勝手に全滅していった」
などの報告が『姫』本スレに相次いだ。
また、いつの間にか自陣の城に見知らぬ武将が住み着いていることがあるが、
そのような城は入ったが最後、もう二度と外に出ることはできない「ブラックホール城」と化しており、
全国各地で知らぬ間に味方武将が巻き込まれているという悲劇が発生する。
続いて《恋愛AVG》としての評価を紹介しよう。
シナリオは移植に際して(大人の都合で)大幅にカットされており、
プレイヤーにろくな説明もないまま、主人公とヒロインがいつの間にか男女の仲になっている。
フラグ管理も随所で破綻しており、新たに追加された萌え武将を仲間にする方法が未だに見つかっていない。
ヒロインである戦国武将達は原画家の変更によって魅力を増したが、美しい花にはトゲがつきものである。
「イベント中にいきなり全く違うキャラの絵になってしまった」
「台詞が文字化けしていて何を言っているのか分からない」
「顔の上にバグった顔が重なっていて、ズレた部分がヅラにしか見えない」
「ブラックホール城に飲み込まれていたのに気付かず、セーブしてしまった」
など、嫌がらせのような現象が多発し、プレイヤーのやる気を根こそぎ奪い去っていく。
なお、これらのバグに加えてゲームバランスも崩壊しており、乱数調整と数百回のセーブ&ロードなしではクリアすら難しい。

以上、候補作を紹介し終えたところで、今年度のKOTYを発表することとしよう。
混戦を制し、見事栄冠を勝ち取ったソフト……それは『戦極姫~戦乱に舞う乙女達~』である。
受賞理由としては完成度の低さはもちろんのこと、強烈に記憶に残る悪夢のようなバグの数々が挙げられる。
だが、発売元であるSSαの極悪非道な搾取体制も付け加えておかねばなるまい。
次々と明らかにされていくバグについて、サポートや釈明を一切行おうとしないメーカー側の良識が問われる中、
SSαは本作のバージョンアップ版と見られる『戦極姫2』をエロゲーとして発売することを突如発表し、
かたや製品未満のβ版、否、α版とでも言うべきコンシューマ版を掴まされた購入者達からは断末魔の悲鳴が上がった。
また、データ解析で見つかった不適切な音声や未使用CGは、「完全版」の発売が既定路線だった可能性を示唆していた。
これには、それまで仏のように寛大な心で「有料デバッグ」に取り組んでいた『姫』スレ住人達もついに堪忍袋の緒が切れ、
KOTYスレもまた、最後まで残っていた健気なファンすら平然と踏みにじったSSαのやり方に驚愕させられた。
なお、時を同じくして携帯ゲーム機版KOTYでは、並みいる強敵を抑えてPSP版『戦極姫』が大賞に決定しており、
ここに、姉妹作によるKOTY二部門制覇という偉業が達成されたことを特記しておく。
両機種合わせて初週のみで1万人以上も生まれたとされる本作の被害者には合掌せざるを得ない。

選評

選評案1

年末には魔物が現れるという。それはここ数年で常識となりつつある。
その先駆けとなるは、システムソフト・アルファーが放つ「戦極姫~戦乱に舞う乙女達~」なのであろうか?

この作品はPC版からこちらへと渡り歩いてきた豪の者である。
すでにPC版でも数え切れぬ武名(バグ、クソゲー評価)を欲しいままにし、
なおかつそれをこの世に再び送り出すのは、あのシステムソフト・アルファーである。
ならばこの戦極姫、魔物へと成り果て、ユーザーに襲い掛かる事は必然なのか?

このゲームはかつてこの日本で、己の信念、野望のために戦いを繰り返した戦国時代を舞台にしている。
その名立たる戦国武将を女性へと置き換えた、いわゆるギャルゲー、キャラゲーなどという部類に属する。
だが、国を富ませ兵を強くし領土を広げていく、いわゆる戦略SLGという側面も持ち合わせている。
いうなれば、表の顔がギャルゲー、裏の顔が戦略SLGといったところだろうか。

まずは表の顔、ギャルゲーとしての面である。
このゲームの一番の売りである萌えキャラ、CGなどはそれぞれ好みがあるだろうが、概ね好評価である。
移植にあたり、主題歌のFullバージョン収録、PS2版PSP版でそれぞれ新キャラを追加し、
新キャラ、それにより追加されたシナリオ共に一定の評価を受けている。
システム面の話になるが、PC版では出来なかった、いらない武将の解雇が出来るようになったことも小さな進歩だ。

安心して欲しい、ここまでだ。もうここまでだ。ここから先はない。見えない。見えないのだ、光が。これ以上。
ここから先の闇は到底人間一人の手に余る。すべての闇を見渡すことは不可能である。
ごく一部の発見された暗闇の一部、極々一部しか語れないことを、まず謝罪させてもらいたい。

システムインターフェースの不便さ、セーブ、ロードの遅さ、セーブ中に画面が突然上下に揺れる、
SLGパートの文字、数字が読みづらい、軍資金が突然増える、軍備フェイズを飛び越えていきなり政略フェイズに入る
オートモードにするとボイスが無くなる、兵士を51人以上にしようとすると兵士増えないのに金と住民感情とCPが減る
これらはほんの暗がりである。本当の暗闇はまだ、先に。

●反逆の住民
戦国時代ものの戦略SLGでは、ほぼデフォルトになっているであろう徴兵すると治安、住民感情などが低下するというシステム。
大体この徴兵制度は、徴兵する兵の数に応じて住民感情が減少する。徴兵数が少なければ変動は少なく、多ければ変動も多い。
当然のごとくこの作品でも使っている、おそらくバグというアレンジを加えて。
このゲームでの徴兵は、その変動幅というものの定石に一石を投じている。

簡単に言おう、最低数の徴兵をしただけで、住民感情が50-60台から『1』に変動したりする。当然住民の一揆という名の反逆が始まる。
だが考えてみて欲しい、このゲームの徴兵はある意味利にかなっているのだ。
千人のゴロツキが戦に持ってかれた時と、百人の心優しく有能な働き手が無理やり家族から奪われていった時の事を。
このゲームの住人は泣き寝入りなどしないのだ。従えなければ反抗するのである。即座に。
人間の価値は平等ではない。その事を忘れてはいけない。

●真・釣り野伏
釣り野伏という戦国時代の作戦をご存知であろうか?
九州の戦国大名島津義久が使ったとされている戦法であり、戦国物の戦略SLGでは結構お目にかかるものである。
野戦で軍を三隊に分け、そのうち二隊をあらかじめ左右に伏せさせ、まず中央の部隊のみが敵に正面から当たり、敗走を装いながら後退する。
これが「釣り」であり、敵が追撃するために前進すると、左右両側から伏兵に襲わせる。
これが「野伏せ」であり、このとき敗走を装っていた中央の部隊が反転し逆襲に転じることで三面包囲が完成する。
これを約400年後にバグを加え完成したのが真・釣り野伏である。
しかも釣り野伏が野戦であるのに対し真・釣り野伏はなんとそれを城で行う。
こちらがまず敵城を攻める、激戦の後、多くの損害を出しながらも、敵武将が退却して落城する。
だか、安心してはならない、勝利に酔いしれるとこができるのはほんのつかの間の事だ。
何故かその落城した城にいた武将が即座ににそっくりそのまま自軍側に侵攻してくる。
直前の合戦でかなり減らした兵力は、全員の武将がこちらが侵攻する前の兵数へとすでに整え直されている。
かくして、主力が出払った自軍の城はあっけなく落とされ、激戦によって疲弊した我が軍の主力部隊はやがて壊滅するであろう。

これは、どんな被害を受けていても部隊が壊滅する前に退却すれば兵数が元に戻るというバグを利用した高等戦術である。素人にはお勧めできない。
だが、敵側にしか出来ないと思っていたが、そんなことはなかったぜ。こちらもやろうと思えば出来る。
「肉を切らせて骨を断つ」を実践してくるのだ、こちらはそれに答えて、骨を切らせてでも相手を仕留めなくてはならない。
なんと、武士らしい戦いであろう事か。感動すら覚える。

●死の先にあるもの
戦国時代と武士に付き物なのは切腹だ。
当然のごとく落城したりすれば敵は腹を切る。なんと潔い散り際であろうか。

否。そうではない。それはあきらめた負け犬達の戯言でしかない。
本当に貫きたい信念があるのならば、死すら何事でもあるものか。
心強き者は死してなお蘇る。何故か自領土に。イベントに。

だが、ここから先は暗闇が深すぎる。全てを理解するのにはまだ時間が足りない。現段階では一例を上げるのみとしておこう。

曰く、死んだはずの武将が元配下を従え復活した。
曰く、切腹した敵武将が統一祝いのためにわざわざ城まで駆けつけてくれました。

まだまだこれは氷山の一角でしかないだろう、これからさらに事実が解明されることへの恐れを抱くことは当然だろう。
まさかこの作品は、人が死の先について想像すること自体が間違っているとでもいいたいのだろうか?怖い。

この選評を書くにあたり戦極姫スレの住人の様子をのぞいて見ました。

「ただ、いっさいは過ぎていきます。」

これは、太宰治の人間失格の中の一文です。その言葉が思い浮かびました。
騒ぐでもなくただ事実を踏まえ、淡々とバグについて話す人、どうということはなしと受け流す人、
バグについて騒ぐ人、荒らし、それら全てを内包し、ただ、そこにいました。
彼らは人間失格です。もはや菩薩です。
彼らのようになれば、このなんともいえない心の内は静まるのでしょうか?それはわかりません。
わかっているのは、この作品が何か賞を貰おうが貰うまいが特に彼らは気にしない事でしょう。
そんな強い心を持ちたいと願いながらこの選評を終わらせたいと思います。

選評案2

ついに年末の魔物が動き出した。
十八禁PC版からの移植作、「戦極姫~戦乱に舞う乙女達~」。
見た目は女体化した戦国武将たちとキャッキャウフフしながら天下を取る軟派なADV&SLG。
しかしその本質は、普通の戦略SLGではまず味わえない天下統一の苦しみを教えてくれるソフトであった。

・徴兵
徴兵を行えば住民感情が下がるという、どの戦国系SLGでもありがちなこのシステムは当然戦極姫にも搭載されている。
だがその桁が違う。兵数の最小単位である100人徴兵しただけで住民度が20以上急落。
ちょっと多めに徴兵した日には住民感情は1になりあっという間に一揆連発国と成り果ててしまう。
この問題は国の石高が一定値を越えると発生する。
このため地域の石高が自動的に大上昇する豊作イベントが発生すると途端に数カ国での徴兵が不可能となってしまい、
ラッキーイベントであるはずの豊作を恐れなければならない事態となっている。

なおCPUは一揆など知ったこっちゃないとばかりに毎ターンかなりの数の徴兵をする。
苦労して減らした敵兵を瞬間回復された時のやるせなさは言葉に現しがたい。

・お家再興
滅ぼされた大名の残党が復活の機会を狙うのは戦国の習い。戦極姫の世界にもそれはあった。
自分の領土内で突如としてかつて滅ぼした大名の家臣が現れ、大名家を復活させるのだ。
しかも「全国情報だと敵勢力になっているのに攻め込めない」「復活した城に味方武将がいると行動不能になる」
といったおまけつきである。
滅ぼされた大名の怨念がこのようなバグを発生させているのだろうか。

もっとも復活した大名家はそれで満足したのか、何をすることもなく城に居座り続けるだけなのだが。

・後方奇襲
敵城を落とした、といって安心してはならない。
「勝って兜の緒を締めよ」とばかりに、落とした城にいた敵軍が味方の後方の城に攻めてくることがあるのだ。
しかも直前の戦闘で減らしたはずの兵力を全回復して。
攻められる城はたいてい味方が出払った直後なため、あっけなく落とされ逆にこっちが敵国で孤立してしまうことが多い。
三国の諸葛孔明もびっくりな奇襲という名の理不尽バグである。

・引き抜き
敵武将を味方にする「引き抜き」は、クリアに欠かせないコマンドである。
普通にプレイしていると中盤以降、敵がこっちの倍以上の兵力で攻めてくることがざらにある。
まともに正面からやり合うと大打撃を受けてあっという間にジリ貧になってしまうため、
敵主力武将を上手く引き抜かなければはっきり言ってクリアは不可能という難易度である。
この引き抜きの成否は乱数によって決まるため、一度成功する乱数調整を行ってしまえば、
シナリオ内で忠義を称えられている本田忠勝だろうが誰だろうが一発で引き抜けてしまう。
逆に言うなら、調整失敗すれば忠義が1の武将でも引き抜けない。
何度も何度も同じデータをロードし乱数調整を行っていると、
竹中半兵衛を味方にするため雨の日も風の日も口説き続けた木下藤吉郎の気持がしみじみと実感できるものだ。

・鉄砲
戦国時代最新の武器である火縄銃。その性能は本ソフトでも存分に発揮されている。
武将に配備した兵数以上の鉄砲を与えると、攻城戦でどれだけ固い敵城も一撃で落城させてしまうことができるのだ。

また野戦になった場合でも上記のバグにより徴兵がしにくいため、
なるべく損害を減らそうと自分の兵数も減る「突撃」は行わず離れたところから鉄砲だけを撃つことが多い。
CPUも基本的に鉄砲を撃つだけなので「両軍が延々鉄砲を撃ち合って終わり」という超射撃戦が大半となる。
まさに戦の中心にいる兵器と呼ぶにふさわしい。

・イベント
かくも苦難の道に溢れる天下統一の道。
「やたらと長いセーブ時間」「上下に揺れるセーブ画面」「突然大増加する資金」
「イベントシーンで文字化け」「武将の立ち絵が一瞬別キャラになる」
「最上家で同じイベントが二回発生する」「切腹したはずの信玄が次のターンのイベントに出現」
といった不便な仕様やちょっとプレイしただけで発見できる細かいバグには事欠かない。
もはや女の子に萌えるのが目的だったのか、有料デバッグやるのが目的だったのか分からなくなってくる。

まさに「クソゲー界の天下を取らん!」と言わんばかりの問題作である。

選評案3(12月6日改訂)

2009年、昨年の豊作の反動か、KOTY的に不作の年かと思われていた。
しかしそれは甘い目算、いや儚い願いだったと思い知らされる事となった。
11月12日、知る人ぞ知るクソゲーファクトリー「システムソフトα」の麒麟児
「戦極姫 縲恊嵭垂ノ舞う乙女達縲怐vが世に解き放たれたのである。

この戦極姫は元々は往年の名作「天下統一」のSLGをベースに有名武将を美少女化し18禁シーンを搭載したエロゲーとして昨年発売されたもので、
昨年発売当初もいいシーンで美少女光秀の背後に爺丹羽が脈絡もなく出現する「ニワスタンド」等のバグで一躍その名を轟かせたが、
元々バグが付き物でユーザーの耐性も高いPCゲームとしては突き抜け切れておらず、
さらにSLGパートも若干のバグはあったものの名作ほぼそのままだったということもあり、
一介のエロゲーとして忘れ去られていくはずだった。

しかし、奴は帰ってきた。対象年齢を全年齢化(CERO:C)し、
プラットフォームをPS2とPSPに移し、正に天下を獲りに来たのである。

前置きが長くなったが本題に入りたいと思う。メーカーが銘打ったこのゲームのジャンルは
「本格戦国シミュレーション恋愛アドベンチャー」でSLGとADVの2つのパートで構成されている。
移植の際にADVパートではキャラ増加、担当絵師の変更、シナリオ有勢力の追加を、
SLGパートではPC版では除外されていた「天災」を再実装し緊張感を増し後半の作業ゲー化の緩和が為される等、
真っ当な手段で天下を獲りに来ているはずだった。そう、はずだったのだ。

バグがあったのだ。
元々PC版の時点でもバグがあったため多少のバグはあるとわかっていた者がほとんどだったが、
その予測を吹き飛ばすほどのバグが大量にあったのだ。購入者にデバッグ作業を強いるその様は、
正に戦国時代にバグで完全武装を施した黒船が来襲したような惨劇であった。
ちなみにゲーム内にもペリーなるキャラが登場しているが、
普通に考えれば幕末のアメリカ人よりも江戸時代の剣豪でも登場させるべきだと思うが黒船来襲の前には些末な問題である。

さて、敵の主戦力であるバグ黒船の解説に移る前に、
このゲームの実力がバグのみではないことを知ってもらうためにまずは敵の尖兵について解説しよう。
つまり仕様としてのクソな部分についてである。

まずADVパートについてだが、ADVの要であるシナリオ部分が
基本的に前作にあたるPC版から18禁シーンを抜いた構成になっているため、
全体的に薄く、いつの間にやら仲が進展していてプレイヤー置いてけぼりとなることが少なくない。

さらにシナリオに関してもライターの好みが如実に現れており、
PS2用新シナリオの伊達家では当主でありメインヒロインのはずの政宗より片倉景綱が目立つ状態で、
さらには武士としての覚悟を表した百足の兜を愛用していた伊達成実を「兜が嫌いで」という理由で空気のように扱う始末である。
また全体的にSLGパートとADVパートの整合性がとれておらず、
殺した相手から手紙が届いたりイベントに出てきてくれるのは当たり前、
ADVパートでは家臣として登場するのにSLGパートでは敵な奴までいるのだ(当然殺しても出てくる)。
普通のゲームならこの段階でバグとして扱われるべきなのだが、戦極姫に限ってはバグ未満の問題に過ぎない。
この程度の存在をバグとして扱うことはバグに対して失礼と言わざるを得ないのだ。
またシステムに関してもセーブするたびに画面がゆれる愛嬌(バグではない)や
セーブ箇所が少ないという誰得な仕様など、
黒船に辿り着く前にも、そして黒船との決戦の最中にもこれらの尖兵達と戦い続けねばならない過酷な世界が待っているのだ。

ではいよいよ敵の主力であるバグ黒船について解説しよう。しかしその前に一つ断っておかなければならない事がある。
「未だに全容が解明出来ていない」ことである。今更だがそのような状況で選評を書いている事をまずは詫びたい。
しかしながら全容解明を待っていてはいつまで経っても選評など書けない現実がここにはあるのだ。
ではバグについて解説を始めるがあまりにも多いので極力まとめてお送りしたい。

・自軍主力を巻き込んで発生する可能性がある「一門登場バグ」や「家中掌握バグ」
・領地を拡大しても下手に石高上昇開発が出来ない「住民感情激減バグ」
・SLGとしては致命的と言わざるを得ない「所持金激増バグ」

等のこれら本来ならゲーム進行に多大な影響を及ぼすバグでも、
有志のデバッガー達により原因解明と回避方法が確立されたものや

・出現地によっては一発で詰みになる「ブラックホール城出現バグ」
・ある意味究極かもしれない「軍備フェイズスキップバグ」
・触るな危険のNULL武将が突如出現する「幽霊武将出現バグ」
・自軍武将がNULL化する「幽霊化バグ」
・何故か引き抜き対象に出来ない「忠臣化バグ」
・合戦時に敵味方の配置が見えなくなる「ソナー無し潜水艦化バグ」
・敵武将を自軍にではなくあの世へ引き抜く「人数フル拠点からの引き抜きバグ」
・やられたはずの軍が全回復して背後の城を襲撃する「亜空間侵略バグ」

といった原因や回避方法の確立が済んでいないものまであるのだ。
また上記のSLGバグの他にもADV、とりわけキャラに関してのバグもあるが
会話中に立ち絵が別人のものに変わるだとか関東で発生するはずのイベントが土佐で発生するといった程度であり
更にデータ解析した猛者から発生するはずのイベントが発生しないフラグ管理ミスの指摘もあるが、
ぶっちゃけバグなのか仕様なのかわからない状態である。
このバグ黒船の恐ろしい点は既にこれだけの戦力が明らかになっているにも関わらず、
未だにその底が見えないことである。
信じられない事実と言うか、もはや悪魔だって信じたくない悪夢としか言い様がない状態である。

しかしながら悪夢は終わらない。
データ解析を行った猛者から既知のバグをはるかに上回る破壊力を秘めた決戦兵器が眠っていることが報告されたのだ。
前置きで書いたようにこのゲームは元々エロゲーだった。つまりイロイロな事をしちゃうわけでイロイロな音が収録されていたのだが、
なんと、その音データがそのまま残っているというのだ。
効果音の「挿入音」「射精音」(敢えて伏せない)、
セリフの「また交ぐわいましょう」「またHな事しようね」といった音声データの存在が報告されている。
現時点では爆発したという報告はないが、これらが爆発した時の破壊力が既知のバグ達のそれの比ではないことや、
黒船内部にあるこれらの爆弾がいつ爆発してもおかしくないことは言うまでもないことだろう。

ここまでのバグが明らかになったのはバグを笑顔で乗り越える猛者達が
「しょうがねぇなぁ、デバッグしてやんよ」とデバッグ作業を行ってくれたからであるが、
そんな彼らが遂にデバッグ作業を放り投げる出来事が起きた。
メーカーによる「戦極姫2(PC用18禁)」発売の発表である。当然CS版のバグについての説明は皆無で。
CS版の発売からわずか2ヶ月後にPC版「2」の発売ということはCS版と平行作業でPC用2の制作を行っていたということであり、
その状況で発売されたCS版がバグ完全武装状態だったことを鑑みるとガチでデバッグ作業をしないまま発売した可能性が高い。
これには自虐的に「有償デバッグ」と言っていた猛者達もブチギレ。そりゃそうである。本当に有償デバッグ(それも無駄な)だったんだもの。

またCS版のデータ上にCSでは発生しないイベント用のCGがあったり前述したエロ音爆弾が搭載されていた点を考えると、
「未完成の2のデータをPC1のシステムに乗せて製品にした」という可能性さえ出てくる状態である。
この有償デバッグ宣言でデバッグ作業を行っていた猛者達が遂に作業を投げたため、
今後新たなバグが発見されることはないと思われる(というか思いたい)が、
有償デバッグ作業を行った猛者達が発見し解明したバグの山を見る度に彼らの存在を思い出してやってほしい。

最後に、このゲームを評する言葉を書きたいが、
前述したように未だに底が見えない。そのような状況ではゲーム全体を評する言葉を選ぶ事は出来ないので
PC版でその力の片鱗を垣間見せCSへと進出してきたこのゲームの状況と、これから出てくるであろう猛者達が溜めに溜めていた不満や軽微な不具合、
「知る人ぞ知るクソゲーファクトリー」だったSSαの知名度が上がってきた事を評して、
大人の都合でモブキャラ降格した石田○成のPC版のセリフから引用して締めの言葉としたい。

「わたくしの才覚に気がつきましたかぁ?」

選評案4

システムソフト・アルファーという会社をご存知でしょうか?
昔のSLGプレイヤーならばこう言うでしょう「良作SLGメーカー」と。
今の私達ならばこう言えるでしょう「クソゲー量産メーカー」と。
クソゲーを待ち望む者達へ、福音をもたらすかのようにそこから届けられたゲームがある。
それが、「戦極姫~戦乱に舞う乙女達~」である。
この作品はシステムソフト・アルファーが今年3月に発売した、「戦国天下統一」と血を同じくする正統なる後継者の一員である。
後継者といっても普通はまったく同じとは限らない、それぞれに個性というものがある。
だが戦極姫は受け継いでしまったのだ、バグという遺伝子を、色濃く、さらに鮮やかに。

ここでそのバグや使用の一例を紹介させていただきたい。
ちなみに一例としてあるのは、まだ新しいバグがこれからも発見され続けるであろうからだ。それと正直全部は多すぎて書き記せないよ。

●気分屋の住人
住民から徴兵をし兵数を増やす、戦国SLGでは当たり前の行為だがこのゲームではそれすら油断できない。
徴兵に伴い住民に悪影響をもたらすことになり、それ相当のリスクを背負うのが当たり前だ。
だが、このゲームの住人は石高が自分の好きな数字をオーバーすると即キレる。即一揆開始。
石高が25万、51万、76万の辺りに何かこだわりがあるのだろうか、その数値を超えた後、徴兵をすると住人が激怒する。
最低限の徴兵をしただけで一気に住民感情が激減する。事前の住民との打ち合わせは綿密にということなのだろう。

●乱数システム
これはバグとはいえないかもしれないのだが、このゲームを構成する重要部分なので記そう。
このゲームでは乱数が非常に大きな意味を持っている。セーブ、ロードよりもある意味重要な役目を担っている。
単純に言うと乱数を変えなければ何度データロードを繰り返しても、同じ事がまったく同じに起こるのだ。
敵は同じところを確実に攻めるし、季節イベントも同じところに同じものが起こる、
在野武将も同じところに同じ人がやってくる、城などが受けるダメージさえ同じメンバーで乱数を変動させなければ同じだ。
これを応用すると敵の引き抜きが成功する乱数にさえ調整してやれば、引き抜き不可能のキャラ以外は引き抜ける。ほぼ確実に。
もしかしたらこれは、数パーセントの確率に我々が四苦八苦しないようにとの優しい心遣いなのだろうか。

●ブラックホール城
弱い国を滅ぼすのは強い国である。最後まで抵抗した大名は降伏するかそれが不服なら腹を切る。
降伏した滅亡大名の当主(滅亡当時)を仲間にしていると、何を勘違いしたのか既に滅ぼしたはずの大名家から
本来登場しないはずの一門・跡継ぎ武将がわいて出てくることがある。
それと同様に大名当主を降伏させた直後のターンの更新フェイズに偶然(同じ城へ)在野武将が登場すると、
仕えようとした大名家がもう無いことが理解できないのであろう、勝手に滅んだ大名家を掌握してしまうことがある。
そうすると城に異変が起き、ブラックホールへと変貌する。その城に移動した者は二度と出てこれない、そんな素敵なお城だ。
当主や主人公、重要武将が誤って踏み込んでしまうとイベントを完遂できなくなる可能性がある。呪いというには強すぎる。

●幽霊
顔なしステータスオール0の幽霊武将がたまに上のブラックホール城らしきところにいるけど引き抜きをかけるとフリーズするよ。
配下(特定)武将のコマンド実行時、経験値を取得してLvアップすると幽霊化するかもだって。怖いね。

●地縛霊
武将が上限の6人スタックしているのに、なぜか引き抜きを実行できる場合がある。
その引き抜きが成功したら、その武将はどこの城にも存在しない地縛霊のようになり、移動等の操作が出来なくなるよ。怖いね。

●鉄砲?
兵数=鉄砲とした小部隊で計略を掛けると兵数が減少するので兵数<鉄砲状態になり、バグり超強化される。
(例)兵力300鉄砲500の武将が兵力5000の武将を一撃撃破。城を一撃で落とす。数千の兵の攻撃から城を防衛。
このバグはPC版からもあるそうなので、ある意味兵を増やせないプレイヤーの為の救済措置になっています。すごいね鉄砲?。

●攻城カウンター
敵武将がいる城(6人フルスタックの場合のみ?)を攻めて落城させたとき、なぜか敵部隊が後方へ退却せず、
同じ合戦フェイズ中に逆に自軍の出陣した城へカウンターで攻めかかってくることがある。
もし敵に後方の自城を落とされるといきなり前線に孤立することがあり、孤立したのがメインキャラだと直ゲームオーバーへと繋がりかねない。

●その他
イベントが発生しない、イベント途中に武将の立ち絵が脈絡なく入れ替わる、レベルアップが止まらない(表示のみ)、
キャラが死んでいるのにイベントが発生、強制的軍備フェイズスキップ、キャラクターの分裂、軍資金マイナスから逆に最大値に、
むしろバグの無い所を探すほうが難しいよね。

なんだろう、もうなにがなんだかわからない。本当にこれはゲームなのだろうか?
色々なことがわからなくなりそうな不安定さを感じる、まあ、ぶっちゃけこれで完成してるとか言われたら怒られるだろう。
最後にゲーム中のイベントで大変驚く台詞を目にしてしまった。
まるでPC版からこうなることを予想していたかのようなその台詞を紹介して終わりとさせていただきたい。
「俺(兄)はおまえ(妹)のために生まれてきたんだ。」
イベントの内容と照らし合わせるとそれなりにいい台詞のように聞こえるのだが、私にはこう聞こえてしまった。
「俺(戦国天下統一)はおまえ(戦極姫)のために生まれてきたんだ。」
二人とも生まれてきてくれなくてもよかったのだが。

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