名称 | テトリス アルティメット | |
ジャンル | パズル | |
対応機種 | PS4/Xbox One | |
発売元 | ユービーアイソフト | |
開発元 | ユービーアイソフト | |
発売日 | PS4:2015年6月10日/Xbox One:2015年6月13日 | |
価格 | 2400円(税別) | |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
PV
テトリスアルティメット(1)の一人用モード(4)は大して悪い印象ではない。
少しコンフィグが複雑で、いろいろな項目が設定しにくく、設定を変更するのが面倒なくらい。
BGMも悪くはないが、メニュー用とメインゲーム用の2曲しかなく、ずっと聞いていると飽きる。
次世代機なのに、先に発売した3DS版(海外のみ)(2)(3)と比較しても劣る部分が多々ある。
すぐに分かる点では、
1.一人用のタイムアタックモード(スプリント)の記録が秒単位(3DS版はコンマ3桁まで)
2.フレンド同士での対戦が不可能
3.対戦人数の設定が不可能
4.コンフィグでの設定項目が少ない、もしくは設定できない
が挙げられる。
全体的な不満点としては、
1.起動してすぐに回転するファンの騒音を感じる。この騒音のおかげかプレイ頻度が極端に下がった。
2.翻訳が意味不明。例えばゲームプレイで中断し、メニューに戻る部分のメッセージが「やめる」と「キャンセル」で、どちらを選べばよいのかすぐには判断できない。
3.日本語とアルファベット混じりのフォントがとてもダサい。「T-Spinミニ」の表示がゲームのフォントと合っておらず、SF風の雰囲気を壊している。
また一人用モードの欠点を挙げるなら、
1.ライン消去時のエフェクトがあまりにも壮大すぎるため、PS4が壮大さに耐えられず処理落ちし、次に出現するブロックの操作に影響が出てしまうために
エンドレスモードの後半レベルでは難易度が極端に上がってしまうこと
2.BGMが全体で2曲(メニュー用とゲームプレイ用)しかなく(4)、両方がコロブチカのアレンジであるところ
3.操作に関してブロックが横滑りしてしまうことが多く、意図した場所に置くには慣れが必要なこと
くらいだろうか。
ところで、PS4のコントローラにはLEDライトがついていることをご存知だろうか?
このゲームではそれを上手に使い、コントローラがブロックの色に点灯する。
これは裏を返せば、素早くブロックを積み上げると色の変化も素早くなるわけで、特に暗室でのプレイ時には気をつけたい点だ。
暗室でプレイすれば、そのうざさにすぐに気がつくだろう。
次に複数人(またはコンピュータ)とのプレイの説明に移るが、
相手がラインを消去するときの処理落ちが自分にも降りかかり、すでに入力したはずの操作が反映されなかったり(6)、
ハンディキャップ欄があるにもかかわらず、コンピュータのハンディキャップを設定できなかったり、
コンピュータが自滅しやすく3分間のタイムアタックモード(ウルトラ)で最後までプレイすることが少なかったりなど、
オンラインモードに比べれば些細なものばかりである。
最後のオンラインモードの説明をする前に、バッチやランキングなど、ゲームのモチベーションの維持に役立つ機能を紹介する。
タイムアタックモード(スプリント)で1分を切ると取得できるバッチなど一部のバッチは、正常にゲームの結果が反映されず、バッチを取得できないことがあり、
自分より上位ランクのプレイヤーを倒すと取得できるバッチなど一部のバッチは、自分が最上位ランクになってしまうなどの条件を満たすと取得できない。
また、タイムアタックモードのランキングは、0秒や1秒など通常ではありえない記録で埋め尽くされており、正常にプレイしてもタイムが記録されないだけでなく、
不正なスコアは平然と登録されている点も、ユーザからの不満になっている。
そして、公式サイトでも最もアピールされているオンラインモードだが、これが過去最低のクオリティだと断言できる。
1.数秒ごとにゲーム進行が止まり、操作ができなくなる親切設計
2.特に他プレイヤーのライン消去のエフェクトがちかちかと点滅する電飾(エレクトロニック・イルミネーション)
3.一見するとフィールドが埋まり、死んでいるように見えるプレイヤーがブロックを積み続け、外の空気を吸いに行ったと表現される白タオル(もちろん同期ずれが原因)
4.アイテムモードでは「雨あられ」というアイテムがあるが、同期がずれている時にこれを使うと、大音量のギーという音が流れ、ゲームの進行が止まってしまう
など、問題が山積みである。
しかもこれらはまれに起こる程度ではなく、「よく」発生する。
それはユービーアイソフトの公式ニコ生を視聴すれば(7)、火を見るより明らかだろう。
これが、アルティメット、つまり「究極」を体現したゲームだというのは、お分かりいただけただろうか?
脚注
(1) 2015年6月11日の日本バージョンをもとに作成。
(2) 海外版はスケジュールが遅れ2014年夏発売予定だったのが、実際には2015年春の発売だった。日本版は2015年6月10日にリリース。
(3) 3DS版はPS4,XB1より後の発売だと発表されたが、実際にはスケジュールがずれたため先に発売された。
(4) 海外版ではタイトル前のクレジットの音量が大きすぎたため音が割れていた。2015年6月10日のパッチで修正。
(4) このゲームでは一部のモードでオンラインを介した対戦、協力プレイ、協力対戦が可能(5)。
(5) 海外版ではリリース時はすべてのモードで対戦、協力プレイ、協力対戦が可能だった。(1)のパッチでラインが揃っても消えない、ひとつのブロックを一時的に保存するホールドに2つのブロックを保存する、
... ブロックが地形を乗り越えて落下するなどの大きな不具合のあったバトル、バトルアルティメットモードの協力プレイ、チーム対戦が削除された。
(6) コンピュータ3つとスプリントなどで対戦し、○ボタンと×ボタンを交互に連打すれば容易に確認できる。
(7) lv227294261 現在はタイムシフト期間終了のため視聴不可。
テトリスアルティメットについて感じたことを一言で言うと、
「非常に操作感が悪いエセ本格派志向テトリス」です。
本作は、テトリス総本山(ザ・テトリスカンパニーおよびその親会社のBPS)の
ライセンス提供を受けた「公認テトリス」の一つです。
テトリス総本山が定めている公式ガイドライン(ワールドルール)では
プログラムそのものに近い仕様があらかじめ定義されており、本作もそれに倣っています。
したがって、本作の基本的な挙動やルールに瑕疵は見当たりませんが、
それは当然のことであり、プラス評価にはつながらないと考えます。
テトリスには耐久系・早解き系・バトル系などのモードがありますが、
ここでは、テトリスのオーソドックスな遊び方は耐久系のモード
(徐々に上がる速度(レベル)に対応し続けるモード)であると想定します。
これは、公式ガイドラインで「マラソン」モード、「エンドレス」などと言われているものです。
こういったモードでプレイしていると、
本作は非常にプレイしにくく、頓死することも多く、ストレスが溜まります。
比較のためにぷよテトを購入してプレイし始めてからは、本作のおかしさについて確信を得るようになりましたが、
なかなか言葉で伝えることができませんでした。
60fpsで録画して両者を比較することで初めて原因の一端が分かったので、以下に報告をまとめます。
◎耐久系モードの問題点1:エフェクトによるプレイ感覚の攪乱
本作の最大の不満点が、エフェクトが異様に壮大であることで攪乱され、
操作の切れ目が非常に分かりづらい・テンポが悪いことです。
まず前提として、本作をプレイした際の「実感」をお伝えします。
本作をプレイしていると、
Lv12~Lv13以降はライン消失エフェクトが短くなって、
エフェクト中にテトリスの落下がめり込んでいるように感じます。
(実際、この報告の初稿ではそのように書いていました)
しかし、実際にビデオ検証したところ、次のことが分かりました。
・「ライン消失」の時間自体はLv上昇に関係なく、
「ライン消失24フレーム」+「ブロックが落ちるまでの6フレーム」で固定である。
・「ライン消失エフェクト」は50フレーム以上あり、
ブロックが消えた後も光の粒子が発生して長々と画面に居座っている。
そういうわけで、本作においては
ラインの消失と、次のブロックが落ち始めるタイミングと、ライン消失エフェクトの終わるタイミングが
てんでバラバラです。
これにより、低レベルから高レベルまで通しでプレイしていると、
体感的にはあたかも落下がライン消失に追いついたように、
あるいはライン消失エフェクト中の操作猶予が妙に短くなったように攪乱されて感じるわけです。
また、レベルが上がったりブロックが積み上がったりした状態では
エフェクト真っ盛りの30~40フレームでライン周辺が激しく光っているところに
ブロックが落ちており、非常に見づらく感じていた理由が分かりました。
なお、ラインをそろえてから次のブロックの落下が30フレームと言うのはぷよテトと比べると2/3であり、短めです。
これ自体が問題なのではありませんが、一見壮大なエフェクトに見えて実は時間は短いというミスマッチがあるので
プレイ感覚が変なことになっています。
本作は、エンドレスモードであればマラソンモードの上限レベルを超えてどんどんレベルが上昇していきます。
しかしながら、上記の問題からライン消失と次のブロック落下のテンポがつかみづらく、
ラインをそろえて一呼吸ついたところで次のブロックが既に落下し終わっている、という状況が発生しやすくなります。
テトアルの本スレで
> 11 :なまえをいれてください:2014/12/21(日) 13:30:04.02 ID:D9qWOI8g
> 時々ラインを揃えたときの消去演出と次のブロックが降り始めるまでの猶予がなくなることがあるよな
> レベルが上がると発生しやすくなる
> エンドレスは大体これで殺される
という書き込みがありましたが、個人的見解ではこれはバグではなく、
上記の仕様によって引き起こされる体感なのではないかと思います。
(初期段階でそういったバグがあった可能性もあります)
◎耐久系モードの問題点2:操作性の悪さ
もう一つの問題点として、本作の操作性は非常に悪いと感じます。
真っ先にわかることとしては、カーソル移動がものすごく遅いです。
ビデオ検証したところ、具体的な数値が判明しました。
ぷよテトがカーソル入れっぱなしで2フレームで1マス移動するのに対して、
本作は1マス移動するのに8フレームかかります。
つまり、ぷよテトと比べて移動が4倍遅いといえます。
十字キー連打で移動すると多少速くなりますが、それでも平均6フレームかかっていました。
ちなみに、ワールドルールのLv15の落下速度は縦方向1フレーム約2.3マスですので、
テトアルの横移動速度に比べて18倍の差があります。
また、高難度のテトリスをプレイ可能にするためには、操作性に工夫が必要です。
よく知られているものとしてはアリカのテトリス ザ・グランドマスター(TGM)シリーズにおける
「テトリミノ出現前に回転ができるシステム(IRS)」などがあり、
一見無茶にしか思えない難度は練り込まれた操作性の上に立脚しています。
参考: https://www.youtube.com/watch?v=YWZHhjQQtxQ
それに対してテトアルの場合、操作性の工夫はほとんど見られません。
初期設定ではテトリミノのNEXTボックスは一つしか表示されませんし、
(公認テトリスでは普通NEXTボックスは複数表示される。本作の場合、4人対戦向けUIの制限と思われる)
テトリミノ出現前に回転させておく機能などは存在しません。
上述の通り異様にカーソルの動きが遅い問題もありますし、
さらに、操作が暴発しやすいのかバグなのか、着地後の操作猶予時間が不安定な印象も受けます。
したがって、高難度になればなるほどストレスが溜まっていきます。
上述のようなエフェクトの攪乱問題や操作性の悪さがどの程度から問題になるかについてですが、
「マラソン」モード(10段につきLvが1上がるゲームをLv15の10段目まで続ける)の
最後の方(Lv12,13くらいから先)では既に問題になっていると考えます。
というのも、マラソンモードをぷよテトと本作でビデオ検証した結果、
フレーム単位で落下速度が同じであることが確認できましたが、
明らかに本作の方が難度が高いのです。(窒息はしないものの、不定期にミスドロップが起き、それをリカバーしにくい)
◎音楽について
音楽については、選評者さんはあまり大きく取り上げていないのですが、
個人的にはかなりの悪印象を受けました。
まず、BGMはモードにつき固定であり、選択できません。
長時間プレイ前提のマラソン・エンドレスモードのBGMが不安感を煽る陰鬱なものであり、
他サイトでも少なからず同じ批判が散見されます。
SEについては何かあるたびにいちいち反響全開でビィーン・ピィーンと響き、非常に耳障りであると感じました。
それと、個人的な意見ですが、
ちょっと積み上がると心拍音を模したSEでドックン・ドックンと煽ってくるのも悪趣味に感じます。
BGMと相まって耐久系モードはホラーゲームのような雰囲気になっており、演出意図が全くわかりませんが、
少なくとも耐久モードで長時間プレイするにあたって適切であるとは思えませんでした。
◎オン機能について(Xbox One版)
オンに関して評価を加えようと思いましたが、
このゲーム、そもそもオンが一切繋がらなかったです。
プレイヤー人口が少ないなどの問題も考えましたが、
自分としてはそれよりもマッチングのアルゴリズムに疑問があります。
(24時間近い待機を命じられることも多々あり、また、進捗表示が1秒進んで1秒戻るのを瞬間的に繰り返す)
これのためにルーターを買い替えたり、無線と有線を両方試したりしましたが、
てんでダメです。他ゲーでの通信は問題ありません。
以上から、本作側に問題があると結論させていただきます。
なお、マッチングに関わる設定をこちらで指定することはできません。
PS4版は選評者さんの情報によるとバグが頻発するとあり、
Xbox One版は当方の検証では全くつながらず、
本作のオンは死んでいると言えるのではないでしょうか。
◎耐久系以外のゲームモードの問題点
ここまでで耐久系のモードを中心に見解を述べてきましたが、
耐久系以外のモードについても説明します。
まず、このゲームには6つのモード(マラソン・エンドレス・スプリント・ウルトラ・バトル・バトルアルティメット)があり、
それぞれでオンとオフの切り替えができるようになっていますが、
上記の通りオンは死んでいるので、
ざっくり言えばゲーム内容の半分は死んでいるといえます。
耐久系以外のモードをオフでプレイするとどうなるのかと言うと、端的に言って面白みがないです。
複数人でプレイするモードに関しては、CPUに「強さ」のみが設定されていて個性がないので
4人プレイしても自分と互角に戦ってくれるCPU一人以外は空気です。
自分が強すぎて全員相手にならない場合は対戦する意味が全くありません。
また、アルティメットバトルは突然10段近く積みあがったりして不可解な負け方をすることがあり、
対人でやいのやいの言いながらプレイするパーティプレイならともかく、
無機物相手にやっているとフラストレーションのみが溜まります
なお、バトル系や早解き系のモードをやるに当たっては操作を早める必要がありますが、
上で述べた操作性の悪さが致命的になっているように感じました。
◎総括
以上から、本作についての当方の意見をまとめます。
まず、テトリスの根幹をなす耐久系のモードに関しては
本格派っぽく高難度志向で作られているものの、
それに見合った操作性やプレイ感覚が考慮されていない、あべこべなゲームに思えました。
これにより、
初心者~中級者にとっては妙に操作が重く、グラフィックやサウンドによる不快感も重なる駄ゲーで、
上級者にとっては、高難度に挑戦すると操作性の悪さで半強制的にゲームオーバーになるクソゲーである、
といえるのではないでしょうか。
帯に短したすきに長しで、どの層からも歓迎されないのではないでしょうか。
一方で、耐久系以外のモード(早解き系・バトル系)については、
操作性の悪さ、オンの死にっぷり、CPU戦の退屈さが複合しており、プラス評価の材料にはならないと考えます。
一応、ゲームの一部分に限定すれば遊べなくはないのですが、
ブロック崩しの「鬼帝」でも初期ステージは遊べると言われていたように、
それを短所を覆すような評価点にするのは違うかなぁと思います。
また、本作のエンドレスモードでは鬼帝と違って「クリア」の概念がないので憔悴させられることはないかもしれませんが
誤操作にイラつかされる点や、最終的に無理ゲーの壁にぶち当たる点は
少し似ていると思いました。
(もっとも、鬼帝の場合は死にゲーを狙って作ったようなうすら寒さが悪評の重点を占めていましたが)
以上から、当方としては、本作はクソゲーとしての閾値を超えていると感じました。
クソゲーではあるとして、
それよりも肝心なのは2015年のオブザイヤーの俎上に載せるかどうかについてですが、
もともとアジトよりもこちらの方が先に話題作入りしているはずですし、
何よりPS4版のオンのカオスさにはきらめくものがあるので、
土俵入りさせてもよいのではないかと思いました。
以上で報告を終わります。お読みいただきありがとうございました。