2011年 総評

2011年 次点

2011年総評案2?

2011年総評案3?

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このページは、2011年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。

総評案1(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)

2010年のKOTYを制したのはラストリベリオンであった。
レベルを上げて物理で殴ればいいで解決する戦闘
イベント中にエリア移動の矢印が消えないといった演出
打ち切りエンドのストーリーなど王道のクソゲーだったと言えるだろう。
2011年はどのようなクソゲーが現れるのか…

初めて話題になったクソゲーが出たのは9月29日
据置機の大作ラッシュがもうすぐ始まろうとしている中、ひっそりと一つのゲームが発売される。
code_18(C18)である。
名作として名高い「Ever17」を代表とした「infinity」シリーズの新作ではあるが、
前3作とは打って変わって、恋愛メインのオーソドックスな学園物なっていたり、過去作のスタッフがかかわっていないなど
不安要素が多かったのだがその結果は惨憺たる物であった。

まず目に付くのはあまりにも未完成なゲーム内容だ
流し見しただけでも大量に見つかる誤字、脱字、脱文
声優の話すボイスと内容の違う文章、
これらに加えてに加えて電車から降りても電車の効果音がなり続けるなどのバグも完備である。

ゲームシステムもなぜか週回数によって攻略できるヒロインが完全固定されている
つまり3人目のヒロインを攻略したければ1人目、2人目のヒロインを攻略しなければ攻略に挑むことすらできず
3人目のストーリーをバットエンドで上書きしたり消してしまったりした場合、
もう一度1人目のヒロインからニューゲームでやりなおさなくてはならないのだ。

またグラフィックの問題点も一部を紹介する
腕が脱臼させないと実現できない方向に曲がっている
デブキャラなのにどう見てもデブではない
夜なのに昼間の背景
コスプレ喫茶のシーンなのに制服のまま…などもはや基本すらできていない
特に話題になったのが「スカイタワーの場面なのに背景が浅草寺」という状況で多くのプレイヤー達を失笑させた。

肝心のストーリーも所々矛盾がありシリーズの特徴であった「サスペンス的な閉塞空間からの脱出」も無くなっているため
「infinity」シリーズとして出す意味があったのだろうか?

なかなかクソゲーが出てこない中、このままC18で決まりだろうか?という話題でスレは持ちきりだった
…まさかここからクソゲーラッシュが始まると誰が予想できただろうか?

平穏を破るかのごとく11月23日に現れたのがグラディエーターバーサス(剣投資)である。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘アクションで、爽快感を売りにした剣闘志シリーズの最新作だ。
前作の好評要素であったドッジ、パリィが解除されて存在しない、
だれも望んでいないファンタジー要素が取り入れられて魔法の導入、などこのゲームも発売前から嫌な予感しか感じさせなかった。

本作はアクションゲームであり、基本的にAi操作の味方を連れて3VS3でゲームが進行するのだが、
この味方からの異常な妨害が目立つ
コンボの強制中断…というのはまだいいほうで何度とプレイヤーに魔法の誤射が当たりガードが崩れて
敵のどうでもいい攻撃にあたってしまう。
カスタム要素が存在しないため最大の癌である魔法をスキルから外すこともできない
とはいえいなければいないで敵からの集中砲火を浴びてしまうという不親切仕様

無駄に固い敵に加えて防具を弾くか破壊するかしないとダメージがほとんど与えられないという仕様で
序盤はただひたすらに連打する作業になる
防具を砕いても効果音すらなく中盤以降も味方の妨害を避けながらゴリ押しするだけと爽快感を全く感じさせない

装備の強化もあらゆるタイミングでゲーム内通貨を要求され敵に奪われたり破壊されたりで、プレイヤーは疑問に思うはずだが
この疑問は公式サイトを見ることでなんとなく想像がつくだろう
そう、ダウンロードコンテンツ(以下DLC)の存在である。
まずあらかじめ言っておくがDLC自体を批判しているわけではない
だかしかし剣投資のDLCはこれらを売るために各種仕様をわざと不便にしているという疑いが極めて強いのだ。
では一部のDLCを紹介しよう。
装備強化用の宝石セット(ガチャ仕様)、アイテムボックス、キャラスロットの拡張権、スキルとステータスの再設定権などである。
本来DLCはゲーム+αとして楽しめる追加要素であったはずだが剣投資のDLCは明らかにマイナスをゼロに修正しているだけなのだ。
単純なゲーム内容も発売後に発表された電撃プレイステーションのレビューで本来絶対に出ないあの「四八(仮)」と同レベルの最低得点を獲得しスレ住人達を驚愕させた。
ちなみに剣投資という略称はこのメーカーの姿勢を皮肉ってつけられたものだ。

剣投資と同日に発売され、話題になったのが街ingメーカー4(待ing)
自分の街を作り、自分のキャラでその街を歩き回れるという街ingメーカーシリーズの最新作だ。
シリーズの特徴だった「一人一人の住民に個性があり、会話や買物をしたり不満を解消してあげることで街が発展する」といったAVG要素の大半を削除、
建物の種類まで減らされてそれに代わる新要素も特になく、シリーズファンを激怒させた。

ゲーム内容は非常に薄く、「建てる」「潰す」「眺める」を繰り返すだけ
ゲームクリアまで5〜6時間ほどと言われているがそのほとんどの時間は「何もせずに待っている時間」である。
早送り機能やスキップ機能などは当然ついていない
2009年にスレで話題になった「ゲー無」を思い出す完成度である。

ミッションは人口を増やすことだけ、操作性も悪く、ロードも長いとシステム周りにもジワジワと精神力は削り取られていく

建物も少ない割に老朽化や発展といった要素がなく、学校も総合学園の一種類でまとめられてしまっている。
その他にも建物に入ることすらできない、地形は一種類、天候や季節といった概念もない、
さらに住民との交流という独自の要素は大幅に縮小
これらは前作のPS2では普通に出来ていたことである、その上グラフィックはPS2レベルどまりだ。

12月に入り、まさか!?というようなゲームの選評がスレに届いた。
12月8日発売のドラゴンボール アルティメットブラスト(UB)である。
説明不要の人気漫画「ドラゴンボール」を題材にした3D対戦アクションで1年に1本出ていた「レイジングブラスト」シリーズの3作目だ
前作の評判はそこまで悪くなく、毎年少しづつ改善を重ねているだけにあまりレビューなどを見ない人はまさか今更クソゲーにはならないだろうと思われていたゲームだろう
…発売前に公開された動画の評判の悪さからその完成度を危惧している人もいたのだが

キャラが少なくその影響でストーリーがぶつ切りになっている、セリフを飛ばす仕様がめんどくさいなど細かい不満点こそあるが、
UBが抱える最大の問題は「簡略化されすぎた戦闘」一つと言っていい。

まず通常攻撃をして何回かコンボを繋げるとQTE(クイックタイムイベント)というものが発生する。
これはじゃんけんのような2択の選択肢であり、これに勝てばコンボが繋がり、失敗すればコンボ終了…といった流れである。
ちなみに必殺技を撃つには通常攻撃をする必要があるためこのQTEは必須ということになる。
格闘ゲームの肝であるコンボが完全に運任せという時点で格闘ゲームファンはかなり不満を抱くだろうが問題はこれだけではない
通常攻撃以外にも受け身、間合いの変更、必殺技などあらゆるタイミングでQTEが発生し、
そのたびに簡単なコマンド入力やボタン連打、じゃんけんなどをいちいちやらされるため操作不能の時間が多く、非常にテンポが悪いのだ。
そのため少し慣れてくると「ボタンを連打しながらじゃんけんをするだけのゲーム」というよくわからないものになってしまう

演出も動画などを数回見ただけではわかりにくいが演出が似たり寄ったりでこちらも飽きが速い
たとえばピッコロだから腕が伸びるといったキャラ独自の演出がなかったり、
QTE演出が全キャラ同じことなどである、その上QTEは頻繁に起きるのだからもはや飽きるという次元の話ではない。
漫画原作のゲームは毎回と言っていいほど「アニメを動かしているかのようなゲーム」を目指して作られているが
UBは「悪い意味」でアニメらしさを再現してしまったと言えるだろう。

UBの検証が進む中、今まで発売されたゲームの洗い出しが始まり、スレに一つの選評が届いた。
そのゲームとは1月27日に発売されていたウィザードリィ 囚われし亡霊の街(亡霊)
古くから続く3DダンジョンRPGウィザードリィシリーズ最新作がPS3のオンライン配信で登場した。

セーブできなくなるバグなどがあり、出だしから悪い予感こそあったのだが、
アップデートで改善され、発生確率は激減
ではなぜ亡霊はクソゲーになってしまったのか?

敵が強すぎるとすでに言われてこそいたが、シリーズにはおなじみの終盤の敵の固さやちょっとした油断が死を招くゲームであるということから甘く見られていた
しかしプレイヤー達がゲームを進めていくことによって終盤のゲームバランスが異常だということが少しづつ明らかになってきたのだ。

ゲームバランスがおかしくなるのは「シナリオ3」に入り、レベルキャップが100以上に解放されてからの話になるのだが、
亡霊は明らかにレベルが99までの他のゲームのプログラムを流用しているらしく
このレベルキャップ100の解放が信じられないような結果を招いてしまった。
シナリオ2の強さでほぼ強さが頭打ちになるプレイヤー側に比べて敵の強さがどんどん上がっていき、
ゲーム終盤になると先制攻撃で一撃必殺を何度も繰り返され、どんなに頑張ってもPTが6人中4人が死亡という状況になってしまう。

こんな状況の中先に進みたいのであれば数歩歩いてセーブを繰り返しエンカウントを回避するか
数百時間のレベル上げか裏技を使って10時間程度の作業、
もしくは偶然有ったと思われるDLCで購入できるエンカウント回避アイテムを購入するしかない。
ちなみにこんな地獄を乗り越えてたどり着いたラスボスは驚くほど弱いという有様である。

さらにwizシリーズのもう一つの魅力であるアイテム収集も
入手できないアイテムがありコンプリート不可能だったり、ダンジョン内での戦利品であるはずのアイテムが
DLCでも入手可能だったりとプレイヤーの「集める気力」を削り取る。

しっかりとクリアできることもありクソゲーとして評価が低くなりがちなのだがそれは違う。
wizシリーズはそもそもストーリーなどが極限まで削り取られていてスリルなゲームバランスの戦闘や
ダンジョン内でのアイテム収集を楽しむものである。
これら2つの要素がクソの亡霊はゲームすべてを否定されていることと同じなのだ。


2011年も終わりという12月30日、滑り込むように一つの選評が届いた
そのゲームとは2月24日発売の Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜 である
ファミリーレストランを舞台に、そこで働きながら同僚の女の子と仲良くなりカップルを目指す…というシリーズの最新作だ。
修羅の国であるエロゲー業界からの移植作であり元の評価自体がエロ以外壊滅的で
その内容からエロを取り除いている時点で評価は察するべきだがその中身を一部紹介するとしよう。

まず修羅の国からの移植作としてはもうあたりまえとなりつつある
唐突にヒロインと付き合っていたり、知らないうちにヒロインを孕ませていたりする現象から始まり
驚くほど何の意味もない主人公の各種パラメータ
オートプレイにしてもボタン操作を要求されたり、謎のフリーズや処理落ちなど仕様面も不便そのものである。

一番肝心なシナリオも本家ではエロでメリハリをつけていたのだがそれが解除されているため、
「事件」といったことが何もなくただ平和なだけと退屈である。
主人公のパラメータが一定でない場合バットエンドとなるのだがいくら女の子と仲良くなっていて付き合っていても
「何も思い出を残す事はできなかった。この店で過ごした一ヶ月間は何だったんだ。」と、終わり方まで適当そのものだ。
スレ住人の一人によるレビューを超えた「怨念」とも呼べる手記によりストーリーの酷さが次々と明らかになり
スレ内での検証を活性化させた。
やりこむほどクソと言われるpia4の世界を深く楽しみたいのならぜひこの勇者の手記をご覧いただきたい。

年も明け総評作成開始直後に報告されたのがが人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げである。
このゲームは2010年に次点作としてノミネートした人生ゲーム ハッピーファミリーのバージョンアップ版として発売された。
人生ゲーム ハッピーファミリーと言えば機能制限版から差がないことを代表として
「ありえない回数被るイベント」「キャラクターが固定」などで話題になったが、
誤当地はいわゆる「完全版」であるにもかかわらずこれらの前作の欠点をすべて受け継いでいるという理由で話題になった。

まず人生ゲームに重要なキャラクター
前作同様キャラは10人の中から選ぶだけで、結婚相手はこのキャラクターの選ばれなかった相手のみ。
子供を作りゲームを進めることができるのだが、子供は両親の顔と同じになるため
自分のクローンのような子供を4〜5人連れてマップを移動するシュールな光景が広がることになる。

ゲームマップやBGMは一種類で選択肢はなく、前作からの使い回しである。
また学校も前作同様小学生や中学生といった区別すらない。

だがしかし本当の地獄はゲーム中盤からの就職イベント後になる、特に特筆するべきなのがゲームテンポの悪さだろう。
まず毎ターン発生するキャラのステータス変化のたびにアニメーションが入り無駄な時間が発生する。
各キャラでこの無駄な演出が発生する上に全員に変動があるイベントや子供の成長イベントが発生した場合
それ一回で10秒以上の待ち時間を待たされることになる。
特に毎ターン子供が成長する「子育てマップ」は地獄としか言いようがなく前作からの被りまくるイベントやクローンのような子供と合わせ
代わり映えしない状況が永遠と続くことになる。

追加要素と言えばタイトルにもある通りご当地ネタなのだが
その内容と言えば「るるぶの斜め読み」程度知識のふざけたテキストが投げやりに表示されるだけで
内容も「あの食べ物がおいしい」というネタが非常に多くすぐに飽きてしまう。
マスによって起きるイベントが同じで何のイベントが起きるのかすぐにわかってしまう上に選択肢は2択のみ。
その上嘘まで混じっているのだからどうしようもない
選評がスレに届いた当初極僅かだがプラス要素と言われていたのだが、検証が進むにつれて「マイナス要素では?」との声も挙がった。
とてもではないがゲームの追加要素として評価できるものではないだろう

こんな状況の中ゲームを進めていってもゲーム終盤の最後の賭けやアイテムの清算であっさり逆転が可能であり、
今まで積み上げてきたものは無かったことになったしまう。
こうして続いてきたゲームの最後には最終金額すら表示されない結果発表が待っており、最後までプレイヤーはがっかりさせられることになるだろう。
こんな内容もあってか今作の人生ゲームは誤当地と呼ばれることとなった。

以上、候補作の紹介を終えたところで2011年大賞を発表しよう。
人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げである。
まず今年の審議は非常に難航したと言えるだろう。近年の大賞争いでは2作品程度にまで大賞候補が絞られることが多かったが
今年は確実にクソゲーではあるものの止めを刺すような「決め手」に欠け7作品すべてが横並びの状態であった。

そんな中誤当地が大賞となった理由は「実際のプレイ環境を再現した際の悪質さ」にある。
横並びの状態が続き、各ゲームの検証が続く中誤当地は
「人生ゲームは多人数のプレイがほとんどなのだからマルチプレイで検証するべきではないか?」という意見があり
複数の住人達によってマルチプレイ時での検証が行われたのだが
検証者たちから「つまらなさすぎて最後まで検証できなかった」「友達と険悪なムードになった」という報告が挙がったのだ
そうなっている理由と言えば誤当地に「パーティを凍りつかせる要素」がいくつか入っていることが考えられる。
イベントが被る部分など前作話題になった糞要素は勿論として、
プレイヤーの人数を増やすたびに極悪としか言いようがなくなるゲームテンポや
おじゃましマスによって特定のプレイヤーに集中攻撃が起きるという調整ミス
ゲーム中盤以降に入ることにより恐ろしい回数同じイベントを見せられるなどの演出により
パーティゲームなのに人数が増えるほどクソになるという意味不明な状況が起こってしまう。
これらはプレイヤー人数を減らすことにより僅かに軽減できるのだが、上記の通り人生ゲームは実際に遊ばれる場合
ほとんどマルチプレイであることが想定される。こういった状況下での実力こそが誤当地の本来の実力と言えるのではないだろうか?

また、今年のクソゲーの話題の一つであった売り方の悪質さも「クソゲーを1年でほぼそのままの形でフルプライスで再発売」
というタカラトミーにしかできないであろう手法で実現しており、そういった意味でも今年のクソゲーの代表としてふさわしいと言えるだろう。

だがしかし他のゲーム達の実力が誤当地と比べて実力に大きな差がないのも忘れてはならない事実である。
特にpia4はスレ内でも非常に話題になったのだが「一部の鍛えられたギャルゲーマー」が
キャラ萌えという楽しみを極僅かだが見出していることもあった。
住人達を満足させるような「決め手」さえあれば他のゲーム達にも大賞のチャンスは十分あったと言えるだろう。


今年の上半期にはクソゲーが全く話題にならず、クソゲーが出ないのではないかという話が出たこともあった。
そんな中、2010年に年末の魔物がいなかったことを取り戻すかのような勢いで下半期に7本のゲームがノミネートされた。
震災によりゲーム業界も強く影響を受け、3月から長い間発売中止や発売延期が目立った割には実りの多い年だったと言えるだろう。

もう気づいている方は多いと思うが今年のクソゲーの特徴はすべてが続編であり、自らの長所を潰しての受賞という点だろう。
独自の要素をなかったことにしたり、明らかにテストプレイしていなかったりととにかく愛の無い内容が多かったと言える。
「たくさんのファンがいてこそ続編は作ることができる」そんな当たり前の基本を今年の受賞作と未来の続編ゲーム達へ送りたい

最後にこれで5年連続受賞となるタカラトミーにスレ住人達から一言送ることでKOTY2011を締めくくろう

「もう殿堂入りでもいいですか?」

総評案2(20で再提出)

総評案3(グラディエーターバーサス)

2010年、毎年立て続けにスレを襲い続けた年末の魔物達は凶悪な門番「スベリオン」によって悉く退けられ、そのまま大賞を持っていくという異例の事態となった。
トップバッターが大賞という例年に無い展開により、スレ住人は『クソゲーはいつ売られようとクソゲーであり、どれも大賞を受賞するだけの実力を秘めている』
という現実を再認識させられたといえよう。

ところが2011年、そんな昨年の出来事など無かったかのように、スレには半年以上選評が届かないという別の意味で異例の事態が発生。
いつか誰かが言った「クソゲーなんて1本も出ないのが良い」の言葉通り、スレには長い長い平和が訪れたのであった。

そんな平和が打ち破られたのは10月のこと。サイバーフロントから発売された恋愛ADV「code_18」の登場に、スレは俄かにざわつき始める。
よほどの異物でない限りクソ認定が難しい恋愛ADV、かつ人気作として知られる「infinity」シリーズの最新作である本作は、
ジャブの乱打によって購入者をKOした事例として報告され「バグと手抜きの積み重ねだけでここまで酷くなる」とも表現された。
昨今のクソゲーには必須ともいえる誤字・脱字・脱文は当たり前、ボイスと異なる文章を表示するなどの変則ジャブも完備。
演出部分も文章に引けを取らない出来で、天候が回復したと言ってる割に大雨が降っている背景、メガネを外したはずなのに外れてないキスシーン、
スカイタワーでデート中に突然浅草寺にワープするなど雰囲気台無し。演出が文章の良い部分を打ち消す見事な連携プレーを見せる。
乗っていた電車の音が降車後、部室内、回想中まで延々流れ続ける不具合もあり、視覚だけでなく聴覚を攻めることも忘れていない。
そのほか、主人公の電波発言を筆頭とする微妙シナリオ、攻略ヒロインが周回数で固定、PSP版にあるクイックセーブ&ロードが箱版で削除など、全体的な仕上がりも申し分ない。
なお、4周目まではシナリオ本筋はほとんど進まない上、バッドエンドを出した場合は1周目からやり直しである。

本作は例年の大賞と比較するとどうしても押しが弱く思えるが、長い平和を乱したヒーローとして一気にスレの話題を掻っ攫い、
住人達はあのクソゲーを連想させるC十八(しーじゅうはち)という呼び名で称えたのであった。
しかしこの後、C十八と肩を並べるヒーローたちが続々と名乗りを上げてくることを、彼らはまだ知る由も無かった・・・。



C十八に続き、スレを救うヒーローとして登場したのは、街づくりゲーム「街ingメーカー」シリーズの最新作「街ingメーカー4」。
はじめにこのゲームの内容を要約すると、建物を「建てる」「潰す」「眺める」。これだけである。
建てるといっても、建造のためにはゲーム内で1日(こちらの世界では10分程)毎にもらえるポイントを消費しなければならず、自由に建造物を置くことはできない。
建物の種類自体も少なく、どんな田舎町でも大抵存在するはずの郵便局、交番、お墓、歯医者に至ってはそもそも建てることすら不可能。
建てた後の建物を眺めるという利点もあるが、建物には老朽化や季節変化といった概念も無いので、眺めるのもすぐに飽きがきてしまう。
だが何より特筆すべきは、「住民一人ひとりに個性があり、彼らと会話しながら親密になっていく」という、
過去シリーズにおいて最も評価されていた要素がなぜか削除され、ゲームの根幹部分が崩壊してしまった点である。
これにより、かつての特長は全て消え去り、「建造物を置いて1回貰える建造ポイントを待つ」を繰り返す作業ゲーと化してしまった
(実際は作業してないので、作業ゲーというより虚無ゲーの方が正しい)。
街ingメーカーを買ったつもりが中身は待ingでした、というまさかのオチにシリーズファンはもちろん初見プレイヤーも大激怒。
ゲーム中でありながら暇つぶしを要求する本作によって、我々に「テレビゲーム」の存在意義を考えるきっかけができたのではないだろうか。



虚無ゲー「待ing」と同時に現れた、新たなる戦士の気配をスレ住人は見逃さなかった。
アクワイアより発売された「グラディエーターバーサス」が、KOTYのコロッセオに堂々入場である。
ファンも多い対戦アクションゲーム「剣闘士」シリーズの入場に観客席からは歓声が上がるが、発売当日に本スレを葬式状態に追い込んだその実力は伊達ではなかった。
元々は古代ローマの剣奴をモチーフとしたシリーズだったはずだが、本作では世界観が変わり「魔法」が追加。
剣闘士が魔法を使うという時点で意味不明な上、威力が弱いため使いどころがないなど突っ込みどころ満載な存在であるにも関わらず、
この魔法追加に伴い前作まで好評だった「ドッジ(寸前回避+反撃)」や「パリィ(攻撃を弾きスキを作らせる)」といったアクションを削除。
ゲーム中のミッションも「敵を倒す」が殆どで代わり映えせず、全体的に作業感極まりないごり押し&連打ゲーへと変貌してしまった。
また、プレイヤーの味方をするNPCのAIは単なる馬鹿よりもタチが悪く、プレイヤーに向かって魔法を誤射してきたり、コンボ中に横から割り込んで中断させたりとやりたい放題。
そのうえ1対1で闘っている最中にどこからか敵を連れてきて、1vs3に状況を悪化させてくる(しかもその状態で魔法を誤射してくる)ため、敵よりも味方を処分したくなる衝動に駆られる。
これらの要素は発売1カ月後に行われたアップデートによってなぜかパワーアップ。
味方AIがほったらかしの割に敵のAIが強化され、味方が誤射する魔法の威力が上昇されている等、誰得補強でクソ度を助長する結果となった。
その他、「容姿の組み合わせ10000通り以上」と謳いながら、実際は僅かなパーツとやたら水増し要因の多いキャラメイク、
オンラインプレイが発売後1週間で過疎化、「コメント募集!」と言いつつ都合の悪い投稿コメントをガン無視する開発者ブログなど、
全方位に渡ってそつの無いクソっぷりを披露し、「剣闘士」はその名をクソゲー界に轟かせたのだった。



次々と名乗りを上げるヒーロー達を目の当たりにし、スレはさらに盛り上がりを見せる。
続いて現れたのは、バンダイナムコから送られたZ戦士「ドラゴンボールアルティメットブラスト」。
お馴染み「ドラゴンボール」のゲームシリーズ最新作であり、出るたびに確実に進化を遂げてきたシリーズであったことから安牌と認識されていた本作だが、
その出来栄えは進化どころか初期化されたと思われても仕方ないものだった。
対戦中はQTE(クイックタイムイベント)があちこちに挿入されるため、対戦のテンポが悪くなっており、爽快感もゼロ。
QTE中に行われる読み合い要素は、読み合いというより「2択じゃんけん」と言った方がしっくりくるほど底の浅い運ゲーで、駆け引きや腕を磨くといった概念も無いに等しい。
しかもそのQTEの演出は全キャラ共通の使いまわしで個性もへったくれも無く、そのくせキャラ数は前作から大幅に削られた64キャラと、
「メテオ」時代の161キャラと比べると事業仕分けもびっくりの削減ぶりである。
登場キャラは抽選で決めたかのような面々で、キュイはいるのに青年悟飯や少年トランクス、悟天などの主要キャラは存在すらしておらず、
その弊害でストーリーモードはブツ切りダイジェストになっており、どうにも擁護のしようがない。
開発陣は前作の敷居の高さを反省したらしいが、「難易度を下げる」は「手抜きをする」とは違う、と誰も気づかなかったのだろうか。



続々と現れる年末の英雄達に触発されたのか、発売されながらも話題に上らなかったゲームもその姿を見せた。
30年の歴史を持つ「ウィザードリィ」の最新作「ウィザードリィ囚われし亡霊の街」が11カ月の時を経てついに登場である。
「選評が全く来ない」「配信ソフトのため実体が存在しない」などの亡霊要素をネタにされることが多い本作だが、
内容は亡霊どころか悪霊としか言いようがなく、それには鍛えられた本スレ住人すらも動揺を隠せなかった。
このゲームの糞ポイント、それは「バランス崩壊」の1点に集約される。
シナリオ1、2までは特に問題ないのだが、シナリオ3でLvキャップが解放されるとバランスは完全崩壊。
ゲームの仕様上の問題でこちら側はいくらLvを上げようと変わるのはHPくらいなのに対し、モンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇するので、
こちらが用意できる最高のキャラクターをパーティーに加えていようと悠々と先制、超威力の攻撃や即死呪文でプレイヤーを殲滅していく。
先人の知恵を借り、「レベルを上げて物理で・・・」と考える者もいるかもしれないが、このゲームは普通にレベル上げした場合、
適正値になるのに数百時間、たとえバグ技を駆使しても10時間は掛るため、敵を倒して進むのは悟りでも啓かない限りまず不可能である。
そのためこのシナリオ3を進むには、現在提唱されている「エンカ阻止アイテムを使って進む」か「敵に遭わないよう祈って進んでセーブ」という方法を取らざるを得ない。
「敵を倒すのを楽しむゲーム」で「敵を避けて進む」というその斬新な内容には、本スレ住人が次々に亡霊と化したのも納得といえる。
年末にやっと話題作として取り上げられ、浮かばれなかった本作「亡霊」も少しは成仏できたのではないだろうか。

こうしてKOTYスレには、気づけばC十八、待ing、剣闘士、Z戦士、亡霊、5人のヒーローがずらり参上。その様相はまるでスレを盛り上げるクソゲー戦隊である。



さて、年も明け、例年なら大賞を選考・・・となるはずだったが、そこに「待った」の声がかかる。
新年を迎えたこのタイミングで、打倒ヒーローを掲げて新たに怪物が立ちはだかったのだ。その数、2体。
1体目の怪物は、毎年名の上がる常連タカラトミーより発売の「人生ゲーム ハッピーファミリーご当地ネタ増量仕上げ」。
その名の通り、簡易版からの不当な値上げで批判を呼んだクソ詐欺ゲー「人生ゲーム ハッピーファミリー」のバージョンアップ版で、
前作と比べると、ゲーム中に聞かされるご当地ネタ紹介が増えている。が、なんと変更はそのたった1点で、
それ以外はシステムから値段に至るまでなんの改善もなしというまさにタイトル通りの逸品であった。
1種類のマップ、種類の少ないマスやイベントをはじめ、ルールを理解できてないCPU、リストラされた天使や悪魔、なぜか隠し要素のMiiなど、
前々から指摘されていた問題点は全て放置されており、1年前から冷凍保存されていたのかと思わずにはいられない。
クソゲーを焼き直し新作として売りつけるタカラトミーには、「出しゃ売れるだろ」が招いたアタリショックの惨劇を一度思い出していただきたいものである。



ヒーロー達に挑む2体目の名は、「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜」。恋愛ADVにSLGが合わさった、修羅の国から来た怪物である。
移植前が既に「戦極姫と同等」とこき下ろされていながら、そこからさらに18禁要素を除いての劣化移植という見え見えの地雷ゲーだったため、
発売2月に対して存在が確認されたのは年末。いつまでも本質が掴めないUMAのようなゲームだったが、
特攻した犠牲者の130キロバイトに及ぶ観察記録が公表されたことで、その恐るべき実態が遂に明らかとなった。
背景やキャラグラはまさに作画崩壊といった出来で、購入者をして「キャラの半分はできるだけテキストウィンドウから上を見たくない」といわれる有様。
キャラの顔がカレンダーの裏に隠れたり、画面からはみ出したりするのは、その散々な出来を隠すためのせめてもの抵抗なのだろうか。
原因不明の処理落ち&フリーズバグ、機能しないスキップ機能など、システム面の酷さも筆舌に尽くし難い。
しかしこのゲーム最大の問題は、恋愛ADVの肝とも言えるシナリオにある。
シナリオは移植に伴い18禁要素を根こそぎカットされているのだが、当然の如く削除の穴埋めが一切されていない。
そのため前後の整合性が取れていない場面や、プレイヤー放置のトンデモ展開が大量に存在する。
気づいたら恋人同士になっていた、なんていうのは易しいほうで、気づいたら相手が妊娠していたなんて展開もある。
また、SLGパートの存在が、シナリオの不整合さに拍車をかける。
主人公には「学力」「体調」などのパラメータがあるが、これはエンディング分岐以外には何の影響も及ぼさないため、
「体調」がMAXなのにシナリオの都合で具合が悪くなる主人公を目の当たりにできたりする。
その一方、パラメータの数値が悪い場合、意中の女の子とどんなに仲良くなろうと必ずバッドエンドに突入してしまう。
さんざんイチャイチャした挙句、エンディングで「何も思い出を残すことはできなかった。この店で過ごした1か月はなんだったんだ」
と言われてしまう超展開には、もはや反論する気すら起きない。
こうしてPia4は「このゲームに費やした時間と金はなんだったんだ」と誰もが思うであろう内容を武器に、他のゲームと互角に渡り合う怪物ぶりを見せたのだった。



新たに現れた「誤当地」「Pia4」という年始の怪物が加わったことで、当初のヒーロー役の5人に怪物役2人の大所帯となった2011年は、
当初の寒さなど嘘のように大いに盛り上がったのであった。
では戦隊ショーの役者も揃ったところで、今年度の大賞を発表しよう。それは・・・




「グラディエーターバーサス」である。
クソ度でいえば他の役者たちも全く引けをとらないのも事実だが、この「剣闘士」は他にはない最大のクソポイントを持っていることが決め手となった。
その点とは、「DLCを売るためあえてクソにしたと思われる点が多い」ことである。
上では紹介していないが、このゲームの本編ではアイテムボックスがキツくなりやすいよう作られているほか、
装備強化用の宝石入手のために異様に面倒な手順を踏まねばならないなど、いちいちストレスの溜まる構造が随所に見られる。
だが、そうして心の折れたプレイヤーが現れるのを見越しているかのように、上記のアイテムボックス・キャラスロットなどの拡張権、
宝石などがDLCとして販売されており、MMOのような搾取が行われている実態がある。
その上宝石はランダム封入のガチャガチャ仕様で、出てくる宝石の種類や質が偏っている事例も報告されている。
公式DLC紹介ページで「ライバルに差をつけろ」とプレイヤーの課金合戦を煽っている辺り、ゲーム作りの手を抜いた割に小金を稼ぐのには全力を尽くしているようだ。
公式サイトで「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」とウィルスバスターが反応した椿事からも、その執念が伝わってくる。
近年生まれるクソゲーの多くが「技術や時間の不足」といった事情を抱える中、「ユーザーから金を毟るため、意図的にクソを生み出す」というその姿勢に対しては、
販売元に「アクワイア」よりも「アクドイワ」、ゲームに「剣闘士」よりも「剣投資」の名を贈るべきであろう。



今年は選評が全く届かず、「本当に1本もこないのでは」と平和な毎日を過ごすスレ住人たちであったが、終わってみれば7タイトルノミネートというまさかの大逆転劇であった。
しかもその全てが年末に現れたタイトルであり、昨年門番に敗れた魔物の名誉挽回、といったところだろう。
しかし、ノミネートされた7本すべてが続編・シリーズ物であるという点も見逃すことはできない。
クソになった原因に差異はあれど、今まで積み上げられたノウハウ、確立されたシステム、何より支えてきたファンを踏みにじったその責任の重大さは計り知れない。
最後に、クソゲー戦隊の隊長を務めることとなった「剣投資」をはじめ、各々の続編ゲームの歴史に汚点を残したこの戦隊ショー御一行に対し
ヒーローインタビューを行い、KOTY2011を締めくくろうと思う。




「続編まだですか?」


「「「「「「「お前が作れよ」」」」」」」

総評案4(Piaキャロットへようこそ!!4)

「レベルを上げて物理で殴ればいい」
このフレーズとともに2010年のKOTYを制したラストリベリオン。
しかし一方でクソゲーの日照りという現象は2011年も尾を引いたのであった…

2011年のKOTYは長き停滞の中にあった。クソゲーの日照りはなお続いていたのである。
時折新作の話題が持ち込まれたが選外となりKOTYスレは雑談スレに変貌していた。


そんな状況に楔を打ち込んだのは9/29発売のADV「code_18」(C18)である。
ADVの金字塔の「Ever17」「Remenber11」等の「infinity」シリーズの新作として発表されるが、
過去作品に携わったスタッフ不在という不安要素が見事に的中した。

まず、ADVの重要要素であるテキストであるが、
大量の誤字、脱字、脱文に加えキャラのボイスと食い違う文章も完備している。
加えてグラフィックに目を向けるとテキストとの食い違いがあちこちに存在する。
天候が回復したのに降っている雨、真っ暗なお化け屋敷なのに明るい教室、
コスプレ喫茶なのに制服のヒロイン、スカイタワーにいるはずが浅草寺の夕暮れ…
これではプレイしていてもシーンを堪能することはできないだろう。

ゲームシステムも褒められたものではない。
プレイしている周回数によって自動的にヒロインが決定している一本道仕様な上、
各周回でBADENDになってしまうとセーブデータを残していない限り、
1人目のヒロインからやり直しという面倒さだ。

一番重要なシナリオはどのヒロインも似たような展開であり、
シナリオの核心に迫る最後の周回になって本筋が怒涛の進行を見せる。
その中身も矛盾が散見されるなど全体的に低品質である。

クソゲーの日照りに降り注いだ一滴の露にスレは沸き立ち
今年はこれで決まりかという空気も流れたが、そうは問屋が卸さなかった。


11/23にKOTYというコロッセオに降り立ったゲームがあった。
その名も「グラディエーターバーサス」(剣投資)である。
古代ローマの剣闘士を題材にしたアクションゲームであり、剣闘士シリーズ最新作であったが、
好評要素のドッジ、パリイが削除された上に誰得のファンタジー要素である魔法が導入されるなど
きな臭さを漂わせていた。

このゲームは基本的に3VS3の戦闘で、プレイヤー以外の味方はAI操作である。
しかし、このAIがお粗末であった。
援護しているつもりが援誤になっている魔法、プレイヤーのコンボに割り込んで中断させる、
うろちょろして他の敵を連れてくるなどお邪魔キャラかと見まごうばかり。
かといって連れていないと敵からフルボッコにされるので
連れて行かざるを得ない不親切な作りであることも述べておく。

戦闘のミッション内容は作業感や使いまわし感が目に付き、
アクションの内容も爽快感に欠けている。
敵の防具を破壊しないとダメージが通らないが、
破壊するには同じ部位を叩き続けなければならないので、
結局ごり押ししかないのである。

また、このゲームの特筆すべき点としてダウンロードコンテンツ(DLC)の存在が挙げられる。
DLCといえばゲームをさらに楽しむための追加要素というイメージがあるが、
剣投資はそんなことはどこ吹く風である。
装備強化のための素材である「宝石」を入手するために、
アイテムボックス拡張やステータスの再設定のために、キャラクタースロットの拡張のためにと、
とにかくリアルマネーを要するのである。
俗称の剣投資はこのDLCの様相から名付けられたのだ。


上記の剣投資と同日に発売された話題作がもう1つある。
それは「街ingメーカー4」(待ing)だ。
自分の街を作り、自分のキャラで自由に歩き回ることのできる街ingメーカーシリーズ最新作である。
シリーズの醍醐味である
「一人一人の住民に個性があり、会話や買物をしたり不満を解消してあげることで街が発展する」
という要素を廃し、建物の種類を削減し、新要素は皆無とシリーズファンは大激怒した。

ゲーム内容は薄く、建物を「建てる」「潰す」「眺める」の無限ループ。
クリアまで5〜6時間程度だが、その大半は建物を建てるためのポイントを得るために眺めているだけである。
早送りやスキップ機能などなく、このゲームをプレイしながら他のことができるだろう。

操作性が悪い、ロードが長い、BGMが2つしかないなど細かなクソ要素も完備し、
メインの建物にしても、老朽化や発展などはなくいつまでもそのままであったり、
郵便局や交番などあって当然の建物はなく、学校は区分けのない「統合学園」のみ。
天候、季節はなく、地形は1つのみ。
先述したシリーズの醍醐味もなく、グラフィックは前作のPS2と同レベルである。

本編クリア後には一切の制約のない状態で街づくりができるフリーモードがあるが、
「建てて、眺める」だけなのでよっぽどでない限りすぐに飽きてしまうだろう。
醍醐味を削除して、粗大ゴミにしたメーカーには頭が下がる思いである。


12月に入り、意外なゲームがKOTYのドアを叩いた。
12/8発売の「ドラゴンボール アルティメットブラスト」(UB)である。
説明不要の漫画「ドラゴンボール」を題材にした3D対戦アクションの
「レイジングブラスト」シリーズ3作目である。
前作の評判も上々であり、少しずつ改善を重ねていることなどもあり
スレでも名前が挙がるとは思われなかった伏兵である。

キャラゲーとしての重要要素である使用可能キャラ数が削減され、
原作の展開をなぞろうにもブツ切りになり、
キャラのセリフを飛ばす仕様が面倒といった点もあるが、
ゲームの核となる戦闘に大問題があった。

それはクイックタイムイベント(QTE)というシステムである。
戦闘で何回かコンボをつなげると発生し、プレイヤーに2択を迫るものである。
成功すればコンボがつながり、失敗すればコンボ中断という流れである。
必殺技を撃つためには通常攻撃が必要なのでQTEは戦う上では必須であることも述べておく。
通常攻撃以外にも、間合い変更、必殺技、受身などさまざまなタイミングでQTEは発生する。
要するにジャンケンしながら戦うようなものである。

QTE自体の演出は全キャラ同じであり、ピッコロだから腕が伸びるなんてこともなく、
頻繁に発生しテンポを乱していることも欠点である。
キャラのモーションの再現度が高いことや映像自体は美麗であるのがせめてもの救い…かもしれない。


UBがスレの審議にかけられている中、過去からの銃弾(クソゲー)がKOTYを射抜いた。
そのゲームは1/27発売の「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」(亡霊)である。
古くから続く3DダンジョンRPGのシリーズ最新作がPS3オンライン配信で販売された。

登場当初はセーブできなくなるバグを中心に話題になっていた本作であるが、
パッチによって修正されそのまま選外かと思われた。
しかし、亡霊はこれで終わらなかった。

亡霊が本気を出したのはゲームの「シナリオ3」に入ってからである。
シナリオ3では敵味方のレベル上限が100を超えているのだが、
亡霊はレベル99が上限の他のゲームのプログラムを流用しているらしく、
レベル100を超えて想定外の動作をしてしまったのだ。
味方がシナリオ3の時点で強さが頭打ちであるにもかかわらず、敵はもりもり強くなっていき、
終盤はエンカウント⇒敵の先制攻撃⇒パーティ壊滅(最悪全滅)というのがお約束になってしまう。
対処方法は、少し歩いてセーブを繰り返すことでエンカウント回避をするか
地道にレベル上げをするか、エンカウント回避アイテムをDLCで購入するかである。
ちなみにラスボスは弱いため、エンカウント回避を行っても大丈夫である。

ゲームの楽しみの1つであるアイテム収集についても、
入手できないアイテムが存在する、ダンジョンでの戦利品のはずがDLCで買えるなど不備がある。
ダンジョン探索、アイテム収集というこのゲームの根幹にクソ要素が混入し、
このゲームの存在意義すら危うくしていると言えるだろう。


2011年も僅かとなった12/30に滑り込むように選評がKOTYに届いた。
2/24発売の「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜」である。
ファミレスを舞台に同僚の女の子とカップルを目指す恋愛ADVシリーズの最新作である。
もとはエロゲーとして発売されたものの移植版であり、
コンシューマへの移植のお約束としてエロが削除されているのだが、
元の作品の評価はエロ以外壊滅的であるためおおよそ察しがついてしまうだろう。

全年齢対応にするためのシーンカットによって
唐突にヒロインと付き合ったり孕ませているなど整合性を無視したり、
エロによってメリハリをつけていたシナリオが平和と退屈を享受するだけの内容になっている。
しかも攻略キャラ8人すべてがこの調子で陳腐で場当たり的である。
さらにはイベントで唐突にキャラの新設定が語られるが、
活用されるのはそのイベント限りという使い捨てっぷりも持ち合わせている。

また、このゲームには主人公のパラメータを変化させるSLGパートがあるのだが、
殆ど意味を持っていない。役割といえば一定値に達していないとBADENDになるぐらいである。
それまでのゲームの進行やシナリオには一切影響しないのだ。
(ちなみに、いくら女の子と仲良くなってもパラメータが達してないとBADENDである。)
パラメータを上げるのも全項目を上げるコマンドを選んでさえいれば
中盤にはMAXになる大味バランスであることも述べておこう。

システムの不備、バグも兼ね備えている。
原因不明の処理落ちやフリーズバグを搭載し、見ていないCGがCGモードに登録されたり、
クイックセーブがない、オートプレイ中でもボタン操作を要求などといった具合である。
実績をとるのが簡単程度しか褒めるところがなく、誰得という言葉がふさわしい作品であろう。

年が明けてもKOTYに安寧は訪れなかった。
タカラトミーからの刺客「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(人生3)の選評が
遅れに遅れて参上したのだ。
09年、10年と連続でノミネートされた「人生ゲーム」の最新版である。

かつて「ゲー無」とも称され、内容の薄さには定評のあったこのシリーズ、
今回もそれは例外ではなかった。使用可能キャラクターは男5人に女5人のみ、
名前も顔も服装もすべて固定である。
マップも薄く1種類のみである。マスに止まった時のイベントも種類が少なく、
パーティゲームを彩る「仕返しマス」などは存在しない。

新たに追加された要素である「ご当地ネタ」は各都道府県の名産や名所を紹介してくれるものであるが、
単なる豆知識の紹介に留まり、ゲームの進行には関与しない有様である。
るるぶを斜め読みするほうがおそらくマシだろう。

確かに09年から比べればいくらかは厚みをつけてきてはいるのだろう。
しかし、その厚みは殆ど誤差といってもいい。それくらい薄いのだ。
おまけにこのゲームはこの薄さで6090円で発売された。
タカラトミーの厚顔無恥が如実に現れているといえるだろう。

さて、2011年のKOTYを彩る作品を紹介し終えたところで本年の大賞を発表しよう。
2011年のKOTY大賞は「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜」とする。

本年のノミネート作を見ればわかるようにすべて続編、移植作であり、
際立つクソさは過去の作品と比較してのクソさが中心である。
KOTYが求める「そのゲーム単体としてのクソさ」を持ち合わせたものは少ないと言っていいだろう。
待ingや人生3は単体で見れば退屈でも遊べないことはない。
UBは格闘ゲーム初心者にも遊びやすいようにとの配慮とも言え、バグも存在しない。
亡霊は強敵回避方法が確立され、ラスボスも容易に倒せる。
C18はADVとして致命的な破綻もなく遊べる内容であるし、
pia4と比べればシナリオに対するイライラ感も少ない。
剣投資は続編としての要素削減があっても遊べるという点がある。
加えて阿漕なDLCの商法はゲームとしてのクソさとは別であろう。

上記のような状況の中、
pia4は1回しか使われないパラメータや、
オートプレイにも関わらず操作要求などのシステム、
エロ削除の煽りによるブツ切りと陳腐さ、
その場限りの唐突な設定など読み応えのない苦痛だけのシナリオ、
フリーズや処理落ちバグも完備と隙のない構成である。
特にシナリオに関してはスレに全シナリオを網羅した修羅が降臨し、
その怒りと絶望を130kbに及ぶテキストで纏め上げるという偉業が達成された。
(ちなみに130kbは400字詰め原稿用紙170枚ほどになる)
人にこれほどまでに突き動かすクソゲーとしてKOTY大賞は相応しいと言えるだろう。

2011年はいびつな流れの1年であったといえるだろう。
長きに渡る日照りとその後の怒涛のクソゲーの雨が降り続くという異常気象を思わせる展開があった。
結果的にはクソゲーレインボウとも言うべき7本がノミネートというクソゲーラッシュとなったが
これを幸か不幸か論ずるのはこの総評を読んでいる各自に委ねたいと思う。

最後に、クソゲーレインボウの前に涙を流した購入者たちのために
虹にまつわる名言でKOTY2011を締めくくりたい。

「雨が降ったあと、空に虹がかかるように、涙を流したあとは、いいことがあるものだ。」
ヘーゼルデン財団 「今日一日」のヒント より

総評案5(Piaキャロットへようこそ!!4)

・・・七英雄の伝説・・・
数多くの住人を倒しスレを壊し、その後いずこかへ消えた・・・
メジャー 奈落 大奥記 ジャンライン
ヌギャー 猿 メジャー2
いつの日か、彼らは戻ってきて再び住人を襲うのだという・・・
スレが乱れる度に人々は伝説を語り、救いを願った
しかし、2011年の平和が訪れると・・・ 伝説は忘れられた(忘れたかった)・・・
クソゲーの興亡は繰り返す、
上半期にノミネートが1本も出ない平和な時代が終わり、分裂と闘争の時代が始まった
七英雄の名は再び語られ始めた そして彼らは来た
だが、やっぱり・・・

第一の英雄 CODE18(サイバーフロント)
必殺技:浅草寺スカイタワーキック

神ゲーとして名高い『Ever17』を系譜に持つ「infinity」シリーズの新作であったが、これが実にお粗末な手抜き調整によりスーパークソゲーと相成った。
まずはシナリオと描写されるCGがバラバラで、本来は感動のシーンになるはずの場面が台無しになるという事象の連続がプレイヤーの心を精神崩壊に導く。
例えば文章中では夜なのに背景絵は昼間、天候が回復したと書いてあるのにバック絵は雨、メガネを外してキスという感動のシーンでもCGは眼鏡をつけたまま。
挙句はスカイタワーから夕陽を眺めている場面なのに、突然画面が暗転して夕暮れの浅草寺の背景が表示されるという有様。
これでは、タイムマシンを起動させるのになぜか「スカイタワーから飛び降りようとする主人公の奇行」と合わせて、「浅草寺スカイタワーキック」というAAネタでスレ住人に揶揄されるのも仕方ならぬことだろう。

またこの本作はどういうわけか、選択肢で好きな女の子を選べるのではなく、攻略キャラが周回ごとに完全固定されているという謎仕様で、セーブしたポイントによっては最終章直前であってもニューゲームからやり直すハメに陥るという拷問システムを採用している。
同ゲームのプロデューサーが本作の発売日に「自身のツイッターを非公開設定にした事件」と合わせ、七英雄の先駆けとしてのポテンシャルはかなりのものであると言えよう。

この突然の英雄の来訪に、スレ住人も「今年はこれで決まりか?」といったような空気が流れ出した。
まさかこの後に、六英雄が続くなどとは誰にも知りようがなかったからである。
そして第二第三の英雄が同日に現れた。その手に強烈な必殺技を携えて。


第二の英雄 クラディエーターバーサス(アクワイア)
必殺技:課金搾取DLCソード

ファンも多い対戦格闘アクション「剣闘士」シリーズの最新作であり、期待される向きも多い作品であったが、これが実に酷いクソゲーに進化(退化)して現れた。
前作で好評だった回避や崩しの爽快アクションが削除された一方で、「一部キャラは兜が脱げたときにハゲる」などという謎の誰得仕様は追加しており、一体どのファン層を狙ったのか開発陣の真意を問いたくなる。
また味方NPCの挙動もお粗末で、援護の攻撃魔法をなぜかプレイヤーに向かって誤射(狙っているのかもしれない)、
そのせいで敵キャラから打撃をモロに食らう、コンボ途中に割り込んで邪魔をするなどの嫌がらせも満載。初代ファミコンのドラクエ4以下のAIぶりでプレイヤーを萎えさせる。
ただ本作が本物のクソゲーであるとされる所以は「悪質で執拗な課金搾取体制」だ。

フルプライス6279円であるにも関わらず、アイテムボックス拡張権の販売、スキル・ステータスの再設定権の販売、
キャラクタースロットの拡張権の販売、敵の顔パーツ使いまわしの追加容姿の販売などその種類は多岐に渡る。
挙句はプレイヤーステータスを上昇させるアイテム「宝石」をガチャガチャ形式で販売し、宝石を装備するのに必要な宝石は意図的に入手確率を大幅に下げるなどの極悪設定を行った。
さすがは発売日前、公式サイトにアクセスするとウィルスバスターが反応し、「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」と表示されると言う椿事を引き起こしただけはある。
これらの詐欺まがいの行為の連発によりオンライン対戦は発売後1週間で過疎化。焦ったメーカー側は、1ヶ月後に製品版とあまり変わらない無料体験版を配布、
年末にはクソ仕様がスーパークソ仕様に悪化するアップデートパッチを施すなど、某四次元マージャンを彷彿とさせる迷走を演じた。
この制作メーカー「アクワイア」は「アクドイワ」との二つ名で呼ばれることとなり、七英雄伝説の一翼を担った。


第三の英雄 街ingメーカー4(D3PUBLISHER)
必殺技:待ち街(まちがい)

人気街づくりSLG「街ingメーカー(まっちんぐめーかー)」シリーズの最新作であるが、その内容は「街づくり」ではなく「待ちづくり」である。
シリーズの特長であった「一人一人の住民に個性があり、会話や買物をしたり不満を解消してあげることで街が発展する」といった、AVG要素の大半を削除。
テナントの種類も激減したのにも関わらず追加されたコンテンツはほとんどないなど、同シリーズファンの怒りを盛大に買った。
しかしそれ以上にこのゲームをクソゲー英雄たらしめているのは、前述の「待ち」システムの劣悪さである。
ゲームクリアまで5〜6時間、長くても10時間程度というゲー無ぶりであるが、その大半はプレイせずにただ待っているだけの時間だ。
建物を建てるためにすることは、単に待つことで貯まるポイントを消費して建てるだけ。

ポイントが振り込まれるのは、ゲーム内時間の24時なのだが、使い切ったら、また24時が来るまで10分間程度待たなければいけない。
この間スキップ・早送りなどは一切出来ない一方、建物の配置中はゲーム内の時間が停止するという、余計に待たなくてはいけないシステムだけはしっかり搭載されている。
つまり建物を建てたらあとはテレビチャンネルに切り替えたり、雑誌を読んだり、他のクソゲーをやって過ごしたりするしかないのだ。
他にも電力の概念がないので無意味な置物「有料DLC・風車」や、coming soonのまま放置しっぱなしの追加コンテンツなど、メーカー側のいい加減ぶりが全開で、
そのゲー無ぶり、虚無ゲーぶりにはよく訓練されたベテラン住人をして「街づくりをゲームにする前に、まともなゲームを作ってください」と言われるに至った。


第四の英雄 ドラゴンボール アルティメットブラスト(バンダイナムコゲームス)
必殺技:ガチンコ二択【じゃんけん】バトル

第四の英雄はご存知国民的人気マンガ「ドラゴンボール」をタイアップしたキャラゲーである。
キャラゲーは版権の関係からゲーム部分が疎かになりがちで、ゲーム部分については多少のマイナス点には目をつぶるのが慣例となってはいるが、本作はその慣例をもってしてもKOTYにノミネートされてしまった逸材だ。
まずゲームの核となるバトル部分だが、とにかく何かするたびにクイックタイムイベント(コマンド入力を求められるムービー、以下QTE)が発生するのでバトルのテンポが悪く、アクションゲームでは必須の爽快感・疾走間がまるでない(失踪感はある)。
ラッシュ攻撃を3回当てると必ずQTE、間合いを詰めたり離したりするのもQTE、地面に激突する回避もQTE、必殺技でも(ry
そのQTEの時間も無駄に長く冗長で、しかも複雑な操作を要求されるわけでもなんでもなく、できなきゃゲーム自体やめた方がいいようなレベルのコマンドを入力するのだが、その勝負の結果は単なる「あいこのないじゃんけん勝負」である。

つまり腕を磨いて成長するようなのびしろは一切なく、単なる運勝負のウルトラクソゲーなのだ。
ストーリーモードも散々で、悟天、トランクス(幼年期)、悟飯(青年期)、ダーブラ、魔人ブウ(ゴテンクス吸収)などのキャラが存在しないために、シナリオがひどくスカスカの歯抜け状態になってしまっている。
残りのキャラで攻略するにも、キャラによってはドラゴンボールを集めるのにドラゴンレーダーがなく、総当りで虱潰しに探索をしなければならないなど不親切設計満点だ。

このゲームをプレイした人の頭の中には、孫悟空の「地球のみんな! オラに現金をわけてくれ!!」という声がこだましているに違いない。


第五の英雄 ウィザードリィ囚われし亡霊の街(アクワイア)
必殺技:ハイパーインフレ無理ゲー

ウィザードリィといえば、難ゲーで知られる名作中の名作、30年に渡る歴史を持つ一大RPGタイトルであるが、今回現れた英雄は「難ゲーを遥かに飛び越えた無理ゲー」としてKOTYにその名を残すことになった。
このゲームは発売当初からセーブができなくなる深刻なバグが発覚し、当初からきな臭いスタートだったのだが、そのバグが修正されて後に残ったのはハイパーインフレとも揶揄されるような理不尽仕様ゲーであった。
主人公のレベルが99までは難しいなりに「難ゲーの範囲内」でプレイできるのだが、どうやら他のゲームのシステムを手抜きで流用したらしく、LV99を超えると某ドラクエよろしくキャラクターのステータス成長がHP以外頭打ちになってしまう。
一方どういうわけか敵のステータスだけは99を越えても伸び続けるので、敵と味方の能力差が著しく開いてしまい、その結果「敵とエンカウトした瞬間何もせずに先制されて全滅」「運がよければ6人中2人ぐらいは残る(こともある)」などということが頻発。

このためクリアするには数百時間超のLV上げ、バグ技を使用してのLV上げ(それでも10時間はかかる)、有料DLCのエンカウント回避アイテムを購入して戦闘そのものを回避するなど、とてもまともなゲームとは思えない対処法で対抗するしかない。
やっとの思いでたどり着いたラスボスは、ザコ敵と比べると「気が抜けるほど弱い」という脱力仕様もクソゲーとして高い評価ポイントと言えるだろう。
また当ゲームの楽しみの一つであるアイテムコンプリートも、なぜか本作中に登場しないモノがアイテムリストに混入しており、某アドベンチャーゲーム(仮)と同様「コンプリートできないのは仕様」というしょうもない一面も持っている。
これらの出来栄えにウィザードリィファンからは「亡霊としてなかったことにしよう」という扱いにされてしまったことは、今更言うまでもないだろう。


第六の英雄 人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ(タカラトミー)
必殺技:安心と信頼のぼったくりゲー無

年が明けてKOTYが総評を作り始めてから、「ちょっと待ったー!!」と言わんばかりに乱入してきた英雄の姿がそこにあった。
KOTYに関わるものなら誰しもがその名を知っているかの強豪「人生ゲーム」シリーズの新作である。
人生ゲームのノミネートはこれで3年連続3回目。思わず「どこの甲子園だよ!!」と突っ込みを入れたくなるような優秀(底辺)な実績だ。
このシリーズは「人生ゲームから【人生】と【ゲーム】を取り除いた」という感想が示唆する通り、中身内容はスカスカで底が浅く、同じイベントを何度も見せる、そのイベントも投げやり感満載(ハンバーグが焦げて3000万円没収等)など、評価できる点は全くない。
片手で数えられる程度の種類のイベントを、両手で足りないくらい見せられると言われるゲーム内容は伊達ではない。

1000円で販売したWiiウェア版でさえ評価は散々だったのに、たった5つの要素を加えただけで+5000円のフルプライスで発売したというぼったくりぶりも相俟って、一昨年・昨年とKOTYに着実に名を連ねてきた本作。
本年もノミネートされた大きな理由は、「クソゲー無だった作品を、ぼったくりゲーとして進化させた作品にし、さらにそれをほとんど何も変えず、またしてもフルプライスお値段据え置きで売り出した」ことである。
今回は「ご当地ネタ増量仕上げ」と銘打ってる通り、一応ご当地ネタもあるにはある。
各都道府県の名産品やら、名所やら、遺産やらを紹介してくれるのがそれであるが、そのこととゲーム進行自体は「まったく」関係がない。
つまりゲー無であることは何も変わっておらず、イベントの少なさも、ミニゲームがないのも、天使が存在しないのも、そのままである。

僅かなマイナーチェンジを施しただけでビタ一文も安くせずに、堂々とゲー無を売り出すタカラトミーの姿勢には頭を抱えずにいられない。
本作の選評を書いたプレイヤーが「これなら俺の人生の方がまだ面白いのでは、と再確認できた事だけは良かった(完)」と語っているのがせめてもの救いである。


それでは2011年、KOTY大賞に輝いた英雄を紹介しよう。
七英雄最期のヒーローこそが、本年の最高峰に君臨した作品である。
その名は・・・

第七の英雄 Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜(PIACCI)
必殺技:誰得クソゲーの真髄

本作はファミリーレストランを舞台に、そこで働きながら同僚の女の子と仲良くなりカップルを目指すゲーム、『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズの最新作である。
オリジナルは18禁ゲームであり、修羅の世界からの殴りこみが大賞を受賞するのは2009年のバグ姫に続いて2作目となった。
移植前からエロしか取り柄がないと言われた「クソエロゲー」だったのだが、そこから「エロ」を取り除けば何が残るのかは一目瞭然である。

本作は「できればテキストより上は見たくない」と言わしめるキャラ絵、サバンナにしか見えないグラウンドなどの謎背景、既読スキップモードなのに時折止まる、
そうかと思ったらスキップモードが解除できない等の不安定なシステム、処理落ちやフリーズバグの搭載、本編に全く関係のないSLG要素や、エンディング分岐にしか必要のない謎の主人公パラメータなど問題は山ほどある。
しかしそれらは他の六英雄と比べてもそれほど大それたレベルではなく(それでも相当なものではあるが)、本作品を大賞たらしめたその魅力、もといクソさは何と言ってもそのシナリオ内容に尽きる。

そもそも本作はコンシューマである以上、大人の事情からギシアンシーンは大幅にカットしなければならないのであるが、それは他の修羅の国を起源としたギャルゲーにおいても同様だ。
ところがこの作品は元のクソなシナリオからエロシーンをそのまま抜いた「だけ」で、その中で交わされたやりとりやセリフについては何もなかったことにしてシナリオを進行させるので、読み手側が( ゚Д゚)ポカーンとすることが多発する。

例えば、何の前触れもなくいきなり「一緒に花火を見よう」と言われ、何の前触れもなくいきなり「好きよ」と言われ、何の脈絡もなくいきなり恋人同士になる、なんてのはまだいいほう。
曰く、A美というヒロインの場合「A美と主人公がよく分からないけどカップルになった→A美が仕事で失敗した→A美が仕事を辞めると言い出した→オーナーが何とかした→主人公がバイト辞めた後、何故か彼女が妊娠した(完)」
曰く、Y子というキャラの場合「ゲーセンに行ったらバイト先のY子がいて気があった→Y子の家に行ってゲームで対戦した→デートした→彼女になった→妊娠させた(完)」

とただでさえ薄いシナリオがよりうすうすになって描写されるので虚無感が半端ない。
さらに最終的にグッドエンドルートに至るかどうかは主人公のパラメータ次第なので、女の子とどんなに深いお付き合い、キス、Hなどの経緯があったとしてもパラメータが不足しているとバッドエンドに突入してしまい、
主人公は「何も思い出を残す事はできなかった。この店で過ごした一ヶ月間は何だったんだ。」などとほざく。お前は認知症か何かなのかと言いたくなる有様だ。

さて、ここまで読んだ方は、こう思われるかもしれない。「pia4は確かにひどいけれど、大賞と言えるほどひどいものだろうか」と。
確かにスレ住人も最初そのように感じ、実際に大賞選びの議論は紛糾し、なかなかこれといった一本を選出できなかったのは事実である。

このpia4が大賞を受賞するに至ったのには、実はとある一人の勇者のレビューがきっかけになっているのだ。
彼はこのゲームに突入し、その詳細と感想を書いた手記を公開したのだが、そのテキストファイルのボリュームは133kb、400字詰め原稿用紙170枚分という驚きの長さのレビューは、ひたすら彼の苦悩と忍耐の連続を綴った記録である。

その一部を抜粋すると。。。

( д )  ゚  ゚
いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!
なんだこれ、気付いたら彼女になってて気付いたら妊娠してただと!?ふざけてんのか!!

ああああああもう主人公の「うぐっ」って口癖超うぜえええええええええええ!!!!!!!

ドン引きされてるじゃねーか!!つーか俺も引くわ!!!

このゲームもうやめたいんだけど、後4人も攻略キャラいるのか…。

        _
       /匚\
  ∧_∧ 匚   ‖ ガシャーン
  (∩・ω∩ |  匚/
  (ノ  ノ 匚_/
 ⊂_)_) 彡

いよいよ隠しキャラでこのゲームはコンプリートである。長かった…涙が出そうだ…

などと後半にいくに従って精神崩壊(こころこわれる)姿が刻銘に記されているのだ。
そして最期に彼は力尽きたかのように最期にこう述べている。

俺もpia4はさっさと投げ出したかった。
まぁ…なんというか……本当に、本当にどうしようもないゲームだった。
正直な話、四八(仮)をプレイしていた時よりも辛かった。
もちろんクソゲー度(というかネタ度)はヨンパチの方が高いが、苦行・苦痛度はこちらの方に軍配が上がる。
何しろあのゲームの場合メシジマを憎めばいいだけだが、こっちのゲームはプレイヤーの分身である主人公を憎まねばならないのだ。

スレ住人もこれには深く心を動かされた。
これほど人間の精神を侵食し、絶望と悲しみをもたらすものこそ、真のクソゲーと言えるのではないだろうか。
単なるネタやバグで面白いというだけではなく、ストイックに「今年いちばんつまらないゲーム」と言われるに相応しいモノではないだろうか、と。

そして、皆がそのことに賛同し始めたとき、このPiaキャロット4は、七英雄の筆頭としてKOTY2011の頭上に燦然と輝いたのである。


2011年を振り返ると、震災の影響や、それに伴うゲーム発売の延期や中止で、クソゲーどころではない一年であった。
それを象徴するかのように上半期はまったく選評もレビューもなかったのだが、終わってみれば2008年以来の七英雄の到来と、大豊作の年と相成った。

七英雄の到来が三たびあるのかどうか。それを知る術は誰にもない。

とりあえずはこの激動の2011年。
全て続編ばかりという七英雄と、それを送り出したメーカーに対して、KOTYスレから次の一言を述べることで〆とさせていただきたい。

「英雄は続けなくていいですから、まともな続編を続けてください」

総評案6(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)

……七英雄の伝説……
数多くの善良なゲーマーを騙し
小売も殺し、その後
ワゴンへと消えた……
いつの日か、彼らは戻ってきて
再びゲーマーを地獄へ叩き落すのだという……
しかし、平和が訪れると……
伝説は忘れられた……

2007年の四八ショックを皮切りに、KOTYスレは荒れた。
特に翌2008年においては大賞となった「メジャーWii パーフェクトクローザー」を筆頭に
実に七本ものクソゲーがノミネートされ、
これらは往年の名作RPGをなぞらえ「七英雄」と呼ばれ、多くのゲーマーを畏怖せしめた。
しかし翌2009年では大賞「戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜」をはじめ、質こそ前年に劣らぬが
ノミネートは五本に減少。
さらに翌2010年には一月に降臨して門番と呼ばれた「ラストリベリオン」がそのまま逃げ切って大賞を受賞した、などの事情もあるが、ノミネートは四本に減少。
上記のようにクソゲーの減少傾向が少なからず見受けられていた。
もっとも量は減少すれど、クソゲーとしての質はまったく下がっていないので悪夢には違いはなかったのだが……

そして2011年。
KOTYスレは長い平和を貪っていた。
無論、世間では東日本大震災を筆頭に、数多くの災厄が訪れ、日本は揺れに揺れた。
しかし皮肉にもその世相に反するように、KOTYスレには平穏が訪れていた。
いくつものゲームが話題に上がりこそすれ、わずかな検証の後には「ただのガッカリゲーに過ぎない」という結論に達し、
ノミネートに足ると人々を納得させ、悪夢を見させるようなゲームはなかなか登場しなかったのだ。
その平和は、実に九ヶ月にものぼる。
それが偽りの平和であったことを、この時、人々は気づいていなかった。

今年最初の悪夢を人々が見出したのは9月29日だった。
XBOX360「code_18」(サイバーフロント)の発売である。
今作はギャルゲーでありながら名作SFとして名高い「Ever17」を筆頭に、
多くのユーザーの支持を得ていたノベルタイプのADV「infinityシリーズ」の、実に七年半ぶりとなる新作である。
しかしながら長い空白には当然、意味があった。
絶賛されたシナリオを書いたライターはもちろんのこと、今作にはかつてのシリーズスタッフがほとんど関係していないのだ。
唯一の関係者であるディレクターがかつて関わっていたときの役職は、デバッガーである。つまりほとんど無関係と言ってもいい。
発売前にこの情報を仕入れていたシリーズファンたちの頭上には早くも暗雲が立ち込めていたが、
彼らが実際に浴びせられたのは予想を遥かに上回る雷霆であった。
嵐のような誤字脱字は基本として、文章自体が消滅しているという脱文。さらに文章と音声がずれるという事態が多発。
のみならずCGがストーリーと合っていないという演出ミスまでもが頻発する。
「真っ暗なお化け屋敷」のCGが非常に明るく、
「台風が止んで野外ライブ」の背後ではまさに台風が吹き荒れ、
「コスプレ喫茶」ではいつもと変わらぬ学制服姿のヒロインが立っており、
「メガネを外してキス」するシーンではしっかりメガネをつけたヒロインが待ち、
果ては「スカイタワーでデート」するシーンに夕暮れの浅草寺が映されるなど、
あらゆるストーリー展開を台無しにする演出ミスが
まさに雷のごとく次から次へとプレイヤーの前に降りそそいでくる。

ストーリーが台無しと言ったが、そのストーリー自体もいままでのシリーズ作のようなクオリティは望むべくもなく
ご都合主義の連続と伏線の未回収、そして矛盾ばかりが目立つ。
例えば今作は未来から送られてくるメール「code」の謎がストーリー全体を牽引しているのだが
終盤までほとんど送られてこないうえに、18通くるはずのcodeの18通目が最後まで届かない。
最終ルートである五周目まで話がほとんど展開せず、四周目までは体育祭で各ヒロインといちゃいちゃしているだけ。
イチャイチャといっても目新しい展開があるわけでもないうえ、上記の演出ミスにより恋愛ゲームとしても盛り上がりはない。
攻略順は周回数で固定されているため選ぶ楽しみはなく、分岐も極端に少ないためゲーム性は限りなく低い。


またシステムに関しても同日発売であるPSP版には存在するクイックセーブ・ロードがなぜか廃されていたり、
終盤のあるシーンでは実績が連続で解除されすぎてフリーズを誘発したりなど、
細かいところでイライラさせてくる出来である。
特にバッドエンドを迎えた場合、セーブした場所に戻ることしかできないため、
うっかりバッドエンド確定後のデータしか残っていない場合は一周目の最初からやりなおすしかない。
プレイヤーの自己責任ということもできるが、現代とは思えない凶悪な仕様である。
ちなみにPSP版は失敗しても各周回ごとのはじめからやり直せるためダメージは低い。
また他にもPSP版との差異としては、PSP版ではしっかりと画面におさまっているキャラがXBOX360版では見切れていたりなど
こまかい部分でもいちいち劣化してくれるからたまらない。
据え置き機と携帯機で同日発売され、据え置き機版が大幅劣化だったという事態は前代未聞としかいいようがないだろう。
クソゲーの存在はハードの性能差など関係ないのだということを見せ付けてくれた。
物語を楽しむというADVの至上目的をここまで阻害してくれるゲームも珍しい。
発売日にプロデューサーがツイッターアカウントを消滅させ、ユーザーの前から姿を消したことも印象深く、
略称であるC18(しーじゅうはち)が伝説のゲーム四八(しじゅうはち)を連想させることもまたなにかの運命を感じさせる、見事なクソゲーの降臨となった。

C18の登場によりにわかに活気付いたKOTYスレであったが、また再び二ヶ月近い沈黙に陥った。
このままC18が大賞か、という声も多く、今年はクソゲーの少ない平和な一年であった、という気持ちすら生まれていた。
だがこの二ヶ月弱が、最後の安らぎの時であった。

阿鼻叫喚は11月23日、二本の怪物の産声とともにはじまる。
怪物の片割れはPS3/XBOX360「街ingメーカー4」(D3パブリッシャー)。
街を作り、その街を歩き、街の住人と話し、住人の不満をなくしながら街を発展させるのが売りの、「街ingメーカー」シリーズ最新作である。
今作はHD機ならではのグラフィックを売りにしながら、グラフィックはPS2レベルである。
しかしこれはさして問題ではなかった。問題は内容のほうだ。
今作において、シリーズの特色はすべて失われている。
住人との会話は無内容なテンプレだけであり街づくりの参考になどならず、
プレイヤーはただ適当に建物を建て、人口を増やすだけ。ただそれだけしかすることがない。
その建物の種類も極端に少なく、前作までにあったような施設は軒並みつくれない。
例えば前作では小・中・高・大と種類わけされていた学校が、今作では総合学園というよくわからぬ施設にまとめられてしまっている。
他の施設も似たようなもので、前作では存在した交番や郵便局、各種病院などの基本的な施設すらも存在しないのだからたまらない。
プレイヤーに課せられるノルマもただ人口のみであり、その人口の増減は建物の建築で単純に増えるだけである。
イベントもなにもなく、区画整理や建物の組み合わせの妙などもない。
シリーズは言うに及ばず、シム系ゲームに比類するものなき無内容である。
そして建物を建てるのに必要なポイントは、現実時間で約10分に一度手に入る。それ以外に方法はない。
よって、建物を作ったら10分放置。新しい建物を作ったらまた10分放置。
他の要素も、当然のように操作性はわるく、何度も繰り返されるつまらないムービーをスキップすることはできず、BGMも二種類しかないなど、退屈さにみがきをかけるのに余念がない。
そして当然のように定価はフルプライス7140円。
クリアまではおよそ6時間だが、その八割が放置して待っているだけの時間であり、
その様から「街ing」ならぬ「待ing」と呼ばれた。
今作は「なにかできないことがあるからクソ」ではなく「なにもできないからクソ」という正統派のゲーム、
いや、ゲー無であり、遊ぶこと自体が困難な代物なのだ。
かつて幾たびかKOTYに現われた「ゲー無」、その究極の形態がついに誕生してしまったのだ。

怪物のもう片割れはPS3「グラディエーターバーサス」(アクワイア)である。
グラディエーターシリーズは剣奴の世界を舞台に、ただひたすらに戦いつづけるアクションゲームである。
ただ戦うというシンプルなルールながら、
さまざまなスキルを駆使する爽快アクションと奥深い育成要素でもって、高いゲーム性が支持されるシリーズであった。
本作はそのグラディエーターシリーズが「剣と魔法の戦いをリアルに突き詰めるとどうなるのか?」をコンセプトに、
ファンタジーの世界観を取り入れた意欲作である。

その意欲の結果、どうなったかいうと……
いままでのような駆け引きはすべて消滅し、ただ連打してごり押しするゲームとなったのである。
前作で好評だったドッジ(寸前回避)やパリィ(弾き返し)などの操作は廃止され、
スキルも大幅に減少したため、とにかくやれることが少ないのだ。
それでいてそれぞれの操作には爽快感などというものはまるでなく、
プレイヤーにできることはただ黙々とボタンを連打してもっさりとやったりやられたりするだけである。

また3VS3のチームバトル制を取り入れているのだが、AIの出来が驚くほど劣悪なのも見逃せない。
コンボに割り込んで途切れさせる、タイマンで戦っているところに別の敵をわざわざ連れてくるなど
邪魔をしているとしか思えない行動ばかりをとる。
のみならず、背後からプレイヤーに魔法をぶちあててくるという、援護ならぬ援誤までも頻繁にしてくれる。
主人公がどれだけ仲間に嫌われているのか不安にならざるを得ない。
「剣と魔法の戦いをリアルに突き詰めるとどうなるのか?」
その答えは「背後から味方に撃たれまくる」であったようだ。

この状態をさすがにメーカーも看過できなかったのであろう。
発売より一ヵ月後、アップデートが行われて事態は変わった。
主人公が嫌いでしょうがない味方のAIはそのままに、敵のAIを強化。さらに魔法の威力が大幅強化された。
これにより、手ごわくなった敵と戦っているときに背後から援誤されて殺される、という素敵な状況が生み出されたのだ。
「剣と魔法の戦いをリアルに突き詰めるとどうなるのか?」
その本当の答えは「背後から味方に撃たれて殺される」であった。

要のアクション&育成要素の無内容さだけで十分にクソな本作であるが、もちろん他のクソ要素も完備している。
例えばキャラメイキングは「容姿の組み合わせ10000通り以上」と謳っているが、実際は3×3×3×6×29=4698通りしかない。
それでも十分多いじゃないかというかもしれないが、メイキング要素のほとんどは頭部に関する些細な変化であり
しかも普段のプレイ中は兜をかぶっているため顔などほとんど見えない。普通にプレイしていて確認できる差異は肌の色三種類だけであろう。
また今世代機ならではのオンラインプレイが可能で、最大六人同時での協力・対戦を喧伝しているが、
どういう仕組みなのか、まったくもってマッチングしない不可解な仕様になっている。
単純に売れていないから人がいないだけでなく、示し合わせて同時にマッチングした人間同士でもつながらないほどであり、
マルチプレイならば楽しめるかもしれないという希望までもキッチリと刈り取っていく。

そして最大のポイントは銭ゲバの如きDLC課金制度であろう。
やたらアイテム所持数が少なく設定されており、増やしたければ課金するしかない。
キャラが二人しか作成できず、増やしたければ課金するしかない。
ステータスやスキルの再設定したい場合も課金するしかない。
上記のような、本来ならはじめからあって当然の要素が課金制にされているのだ。
極めつけはステータス上昇アイテム「宝石」における課金方法だ。
宝石は数種類あるが課金してどれが手に入るかは完全にランダムという、いわゆるガチャ方式を採用している。そして一番肝心な宝石の入手確率が極端に低い。
とにかく金を搾取しようという意図をまったく隠す気がないのだ。
公式サイトをしてウイルスバスターに「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と言わしめたのだから、その程度がしれよう。
もはや「剣闘士」ではなく「剣投資」、「アクワイア」ではなく「アクドイワ」だと呼ばれたのも自然なことであった。
本来、DLCは「おまけであり本編の評価には関係ない」という意見の多いKOTYスレであったが、
「こればっかりは言及せざるを得ない」と、DLCというものに対する認識を新たにさせた、
まさに新時代の幕開けを感じさせるクソゲーである。

早くも生まれた二匹の年末の魔物に続き、12月に入るとすかさず次の魔物はあらわれた。
12月8日、PS3/Xbox360「ドラゴンボール アルティメットブラスト」(バンダイナムコ)の誕生である。
本作は同シリーズの多くとおなじように対戦アクションゲームだ。
太古の時代はともかく、近年のドラゴンボールゲームの評価は総じて高い。
ポリゴンによって再現されたドラゴンボールキャラのクオリティが非常に高いだけで、キャラゲーとしては及第点と言えるだろう。本来ならば、だ。

たしかに、本作のグラフィックのクオリティは高い。キャラゲーとしては最高級品質と言っても良いだろう。
だが、そのゲーム性はおよそゲームと呼ぶのもはばかられる代物であった。
攻撃、必殺技、移動、なにかアクションをとるたびにコマンド入力つきムービーに移行し、
そのムービーで入力するコマンドは完全に運に頼るしかない二択である。
つまりはあいこのないジャンケンだ。あとはせいぜい連打合戦があるくらいである。
駆け引きと操作が重要な格闘ゲームにおいて、そのどちらもが不要となった今作は、
果たしてゲームと呼べるものなのだろうか?ムービー鑑賞ソフトと呼ぶのが正しいのかもしれない。
もっとも、そのムービーにしたところで全キャラ演出が共通であるため、すぐに飽きることになる。

またポリゴンムービーによる原作再現もシリーズの魅力の一つであるが、今作はキャラ数が前作に比べて減少しているうえ、
登場しないキャラのいるシーンをはしょっているため、原作再現率も低い。
そしてキャラの選出も、主役級である青年悟飯や準レギュラーであるトランクスを削っていたりなど、かなり疑問の残るものとなっている。
ゲームとしてのみならず、ファングッズとしての存在価値も疑わねばなるまい。

一人プレイ用として、オリジナルキャラをクリエイトして育てるアバターモードというものも存在しているが
クリエイト素材は「グラディエイターバーサス」にも輪をかけて極端に少なく、性別にいたっては男しか選べない。
育てる修行の内容も上記のような二択ジャンケン戦闘を繰り返すのみという単純さで、
ただでさえワンパターンな演出はあっという間に見飽きてうんざりすることになる。
それでいてフルコンプリートを目指すと数十時間はかかるという、修行というより苦行としかいいようのないモードとなっている。

格闘ゲームは、極めたもの同士の間では高度なジャンケンになる、とはよく言う。
だが極めようが初心者だろうがジャンケンにしかならない本作は、果たしてゲームと呼べるのだろうか?
いっそドラゴンボールのアニメを流しながらジャンケンしていればそれでいいのではないだろうか?
ある意味、格闘ゲームの極限を示してしまった本作は「アルティメット」ではあるかもしれない。

これら年末の魔物に呼応するかのように、潜んでいた年始の亡霊も姿をあらわした。
PS3のNetwork配信専用ソフト「Wizardry 囚われし亡霊の街」(アクワイア)である。
Wizardryとは説明するまでもなく、コンピューターRPGの起源の一つともいわれる三十年の歴史を誇る名作シリーズだ。
ダンジョンの最奥層にいるボスを目指すシンプルな目的と、キャラの消滅すらありえるシビアなゲームデザインのもと、
ひたすらキャラを育て豊富なアイテムをコレクションするという、シンプルゆえに高い中毒性を誇るシリーズである。

そのシリーズ最新作である本作は、1月27日に配信を開始されながら、その特殊性によってだろうか、詳細が届いたのは12月になってからになる。
その特殊性とは、クソ要素が後半に詰まっていることだ。
具体的に言うと、今作は追加でシナリオ2、シナリオ3と購入していくことになるのだが、シナリオ3が問題なのだ。
いや、正確に言えばシナリオ2までも決して褒められたものではない。
最序盤から雑魚がオーバーキルを連発してくる雑すぎるゲームバランスはひどいものだし、
店売り武器が最強でレアアイテムがDLCで買うことができ、さらにどうがんばってもアイテムコンプリートはできない仕様はアイテム収集欲を著しく減退させる。
今はパッチにより改善されたので敢えて深くは追求しないが、
発売当初は一部ステータスが高くなりすぎると0にもどってしまったり突然セーブ不能になってしまったりなどのバグを完備していたことも見逃せない。
シンプルなWizのゲーム性を満喫させてくれない仕上がりはまちがいなく駄作である。
しかしWizの歴史は長く、その複雑な版権事情はシリーズ展開を錯綜とさせていた。
ゆえにWizは多くの名作と同時に多くの迷作・駄作をも生み出しており、
恐ろしいことにファンたちはその事態に慣れてしまっていた。
ゆえにこの劣悪な出来をもってしても、文句を言いながらも「まあWizだから」とプレイし続けていたのだ。
そう、シナリオ3までは。

ではシナリオ3でなにが起こったか?
答えはWiz同様にシンプルなものである。
「ゲームバランスの崩壊」だ。
本作はシナリオ3においてレベル制限が外されて100を越えて育てることができるようになるのだが、
システムの都合上、レベルをあげたところで自キャラはHPくらいしか育つものがない。
にも関わらず、敵は全ステータスを上昇させて襲いかかってくるのだ。
必然的に、敵のステータスはこちらの育ちきったパーティーよりも遥かに高いのが当たり前になる。
これによって敵と出会ったら最後、ほぼ確実に先制をとられて高確率で全滅、
よくてパーティー半壊という憂き目にあう。ほぼすべての雑魚戦でだ。
こちらがどんなに最速ステータスのキャラクターを用意していようと、これを防ぐことはできない。
エンカウント=死なのだ。

だがクリアする方法はないわけではない。
まず単純に「レベルをあげてHPをひたすら上げて敵の攻撃に耐える」。
しかし敵の攻撃に耐えるには通常のレベル上げでは数百時間、裏技を使って効率よくやったとしても1キャラ10時間以上はかかる。現実的とはいえないだろう。
もう一つは「エンカウント完全防止アイテムを使う」
これを用いることによって敵と一切戦うことなくラスボスまでたどり着ける。ちなみにラスボスは弱いので問題なく倒せる。
このアイテムを手に入れるには特定の敵が確率で落とすのを期待するのが普通だが、
DLCでこれみよがしに100円で販売されているので金さえ出せば簡単に手に入れることも出来る。
最後の一つはどこでもセーブができることを利用し「少し歩いてセーブ、敵と出会ったらロードを繰り返す」だ。
かぎりなく面倒くさいが、これでも雑魚と戦うことなくラスボスにたどりつくことはできる。

たしかにクリアはできる。
しかしおまけ程度にしかストーリーのないWizにおいて、ただクリアすることになんの意味があろうか?
Wizの楽しみの多くは戦闘とアイテム収集だ。
ただでさえ上述の理由によりアイテム収集の楽しみ極端に少ない本作から、
さらに戦闘までも奪ってしまったらなにが残るというのだろう?
クソゲーだからと投げ出そうにも、シナリオ3に到達時点で100時間以上経っていることも珍しくない本作のボリュームゆえに、
いままでの苦労を思ってなかなか投げ出せないことも悲劇を加速させている。
三十年の長きにわたり訓練され、数々の駄作に耐えたRPG界最強の古参兵とすら言えるWizユーザーたちに
こぞって悲鳴をあげさせたというだけでも、そのクソさには疑う余地がないだろう。
「亡霊」という呼び名すら生ぬるい、三十年の歴史が産み落としたおぞましき悪霊である。

年始の亡霊に呼応するかのように、年の瀬にもう一つの魔物も目を覚ました。
2/24発売XBOX360「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜」(PIACCI) である。
恋愛ADV&育成SLGとして、根強い人気を誇るシリーズの最新作となる今作は、
2009年に発売されたPCの18禁ゲームの移植作である。
当然、エロ要素は抜かれているのだが、その抜き方が問題なのだ。
そもそも本作は移植前の時点で「凡作」「微妙ゲー」「エロしか存在意義がない」と言われる程度の出来であった。
「エロしか存在意義がないゲーム」からエロを抜いたらなにが残るのか……
言うまでもなく「存在意義がないゲーム」である。

ではいかに本作に存在意義がないのか?
まず育成SLGパートに存在意義がない。
本作では育成パートで仕事を選択することによってステータスをあげていくのだが、
これがストーリーに反映されるのはエンディングの分岐のみである。
特定の仕事をしないと見れないイベントなどはほとんどない。
しかも全ステータスがあがる「デリバリー」を選んでいれば中盤にはすべてMAXになるため、なにも悩む必要はない。
ご丁寧に、唯一仕事がトリガーとなっている隠しキャラの出現条件が「デリバリー」を選ぶことなので、
本当にまったくもって「デリバリー」以外の仕事を選ぶ理由がない。
よって、単調なアニメーションをスキップさせることも出来ず何十回も見せられるだけの
無駄な手間と時間をかけるためだけにある、まさしく「存在意義がない」パートになっているのだ。

では恋愛ADVとしてはどうかと云えば、これもひどいとしかいいようがない。
まず一部原画に有名エロ漫画家を迎えながら魅力を台無しにするようなCGの数々がひどく、
それに輪をかけて背景のクオリティがひどい。
廊下の歪んだパースは騙し絵のようにみる者を不安にさせるし、
妹の部屋に吊るされた着ぐるみは首吊りを思わせる不穏さを漂わせ、
広大すぎる上になぜか場内にポツンと木の生えた陸上競技場はサバンナ以外のなにものでもない。
残りの女性キャラのCGは無難な出来とはいえ、全体としては褒めることはとうていできない。

だがシナリオの酷さはさらに別格である。
もともとが薄く陳腐で見所のない、まったく盛り上がることのないストーリーであったため、
18禁版の時点で「凡作」と呼ばれていたシナリオである。
それを移植するにあたり改善はおろか、ただ単にエロシーンを抜いたのだ。
それも前後の大事なやりとり、例えば告白シーンなど含めてスッパリ綺麗に抜き去って、間を埋めるようなフォローはまったくなしなのだ。
これによって、一緒にゲームで遊んでいた女がいつのまにか彼女になっていたり、
仲の良い従兄弟をいつの間にか妊娠させていたり、
喧嘩していた実妹と仲直りしたと思ったらいつの間にか一線を越えていたりと、
ありとあらゆる場所で時間を吹き飛ばした超展開が巻き起こり、すべてのプレイヤーを置き去りにしてくれる。
さらにストーリー的にどんなにラブラブだろうがヒロインが妊娠してようが、ステータスが足りていなければバッドエンドに突入、
主人公が「この店で過ごした一ヶ月間は何だったんだ」とのたまって終わることになる。
さんざんやりまくった実妹を前に「何も思い出を残す事はできなかった」などとほざく主人公の姿は完全にサイコである。
この点のみでなく、全体的にこの主人公の言動はおっさん臭くおちゃらけていて不愉快であり、
ギャルゲーのお約束の域を超えかねないレベルでストーカーじみていることも追記しておこう。

システム面も当然ひどく、オート進行にしてもボタン操作が必要になったり、
既読スキップで未読が飛ばされたり、逆に既読が飛ばせなかったり、とにかく動作が不安定極まりない。
当然のようにフリーズもあり、セーブが増えると処理もどんどん重くなるという隙ないつくりになっている。
このシステムとシナリオが合わさることにより、狂気的とすら言えるとてつもない不快感を生み出しているのだ。
今年もまた、修羅の国からの刺客は凶悪であった。
その情け容赦のないクソゲー加減は「waitress」ではなく、まさに「waitless(待ったなし)」と言えよう。

なお、今回のKOTYにおいてMVPともいうべき膨大な選評を書いたのが今作の選者であり
特筆すべきは選評そのものよりも、そのために書かれた手記の量であろう。
その量はなんと四百字詰め原稿用紙約170枚にも及ぶ。
参考までに、夏目漱石の名作「坊ちゃん」は原稿用紙約150枚である。
このことからも、彼をそこまで駆り立てた今作の狂気が窺い知れるだろう。

以上六作品でノミネートが出揃ったかと思われたが、年も明けてから新たな作品が発掘された。
9/1発売、Wii「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(タカラトミー)である。
09年、10年と連続ノミネートされた人生ゲームがまさかの三年連続ノミネートとなる。
安価ながら、なにもすることがないゲー無として名を馳せた人生1。
その人生1よりイベントは増量したが、根本の問題はなにも解消せずに六倍もの値段で発売された人生2。
その人生2にほんのわずかなマイナーチェンジを加えただけで同値段で発売されたこの人生3が、まともなゲームになっているはずがないのだ。

具体的には、相変わらず一枚しかないマップ。
ただルーレットを回すというそれだけの行為がすさまじくテンポが悪く無駄に時間がかかるという、
今作の抱える最大の難点も人生1からまったく改善されていない。
さらにルーレットを回す際にはリモコンを振ることが必須なため、無駄に疲れる。
曲はわずか二種類で、しかも片方のBGMは単調すぎて苦痛と評判だった人生1の使いまわしという恐怖の手抜きぶりを見せつける。
そしてもう一方のBGMも当然のように単調で苦痛である。
ステータスの変動のたびに単調なアニメーションがもっさり入るため、ただでさえ悪いテンポはさらに悪くなり
子供が増えるなどによって後半になればなるほどアニメーションはどんどん長くなってという凶悪さ。
またルーレットの出目は3が極端に多く7が極端に少ないという偏りを見せ、
おじゃましマスというランダム損害イベントで被害に遭うのが極端に三人目四人目に偏るなど
公平感をまったく欠いた仕様は一緒にプレイした人間の関係を破壊しようとしているとしか思えないほどだ。

ゲーム性としても後半で極端にインフレするため前半の展開がまったく無意味であったり、
株を購入しても金額がほぼ変動しないため意味がないなどの小技も搭載し、
なにより最後で誰でも絶対に参加できるギャンブルでの勝率が五割近いうえ、収入がそれまでと比べても破格になっているため
それまでの展開は無意味に等しいものになっている。
さらにゴールしても順位発表だけで最終資産が発表されないなど、安価な人生1ですらできていたことがなくなっていたりと悪い方へいたれり尽くせりである。
さらにキャラメイクもできず、用意されているキャラはたったの十体。
しかも敵から恋人から子供までがそのキャラの流用であり、あまりにも狭い世界を実感できる。
さらに幸福度により勝敗が決するという新ルールを採用しながら、
そのルールでプレイしてもCPUはひたすら金を集めるだけというお粗末すぎるAI。
その姿は「金さえあれば幸福も買える!」というメーカーの主張が見えるようだ。

そして肝心のイベントはあいも変わらずくだらないうえに極端に数が少なく、一回のプレイですべて見尽くせるはおろか、何回もループする始末。
それを緩和するためにであろう、今作にはタイトル通り日本全国のご当地ネタが採用されているのだが、それをもってすら完全に焼け石に水。
それでもご当地ネタが増えているだけ前作よりはマシなのだろう、と思われるだろうが
このご当地ネタがかつて「るるぶ斜め読み」と揶揄された伝説のクソゲー「四八(仮)」を凌駕するほどのいいかげんぶりであるのも見逃せない。
具体的にいうとほとんどが名物を食べて「おいし〜」というだけの適当な内容であり、
しかも「長野県ではカラオケに行くと必ず県歌を歌う」などの誤謬や誇張が散見され、
広島の熊野筆をくしゃみを出すのに使ったり、加賀友禅の小物入れを入れ歯いれにしたりなど
郷土の名産品をおちょくっているような内容も多いため、
プラスどころかマイナス要素にすらなりかねないものになっている。
「ご当地」ならぬ「誤当地」であるとまで揶揄された出来栄えは逆の意味で見事というほかはない。

パーティーゲームの宿命として当然一人でプレイしても退屈だが、
その凶悪なテンポの悪さとイベントの少なさゆえプレイ人数が増えれば増えるほどテンポが悪化し同じイベントがループしまくり苦痛が増す。
一人でもクソ、みんなで遊ぶともっとすごいクソという作りは
すごろくという単純明快な娯楽を考えうる限りもっともつまらなくした究極の形態とすら思わせる。


かくしてここに七つのタイトルが出揃った。
奇しくも今回のKOTYにはシリーズ物ばかりが集まった。
それも一部を除いては名作・良作として知られた作品ばかりである。
「ロマンシングSA・GA2」に登場した七英雄は、かつての英雄が力を追い求め禍々しき姿へと変貌したものだ。
それを考えると今回の七タイトルはまさに08年の七英雄の再来、いや真の七英雄の襲来とすら言えるかもしれない。
それでは発表しよう。
いずれも劣らぬ個性豊かな七英雄の頂点を極めるもの。
KOTY2011年大賞。
それは……


「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」である。


今回のノミネート作品はいずれも方向性の異なるクソさを備えており、審議は難航を極めた。
いずれも致命的なクソではあるが、敢えてむりやり良いところを捜した時にわずかな差異が存在し、それが決め手となった。
C18には終盤の盛り上がりを評価する声が少数ながらもあった。
(しかしその盛り上がりすら台無しにする演出ミスとインターフェイスの凶悪さは見逃せない)
剣投資はごり押しプレイを自分で縛ればそれなりの戦術性を見出せなくもない。
(ユーザー側の配慮をゲームの楽しさに入れていいのか?)
アルティメットブラストはムービーを見るゲームと割り切ればグラフィックは素晴らしいし、幼児同士が適当にボタンを押していても対戦が成り立つ配慮という見方もできなくもない。
(いくら子供でもジャンケン以下のものをやり続けるわけがないだろう)
亡霊はシナリオ3以外は苦行ながらプレイすることができるし、シナリオ2まででもボリュームは十分にある。
(プレイ時間が多いからこそ終盤でのゲーム崩壊がひどいのではないか?)
Pia4はごく一部では陳腐ながらもまともなシナリオもあり、ギャルゲーゆえにキャラやCGを見て楽しむということもできる。
(公式サイトにほとんどのCGが載っているのだから劣悪システムで陳腐なシナリオ読むよりは、CGだけ見て妄想していた方がまだマシなのでは?)

上記の五作はカッコ内のような疑問・反論を呼ぶ余地はあるが、まだ良い点を探し出すことがまったく不可能ではなかった。
しかし待ingと誤当地には語るようなゲーム内容がそもそも存在しない。
ゲームをプレイする目的は文字通り「遊ぶ」ことにある。
そういう意味で遊ぶ内容がない「ゲー無」である待ingと誤当地こそが
購入者にとってもっとも忌むべき存在であると言えるだろう。
その点で見ると両者は甲乙つけがたく無内容なゲー無ではあるが、
待ingには「好きなように街を作って眺める」という要素がおかろうじて存在している。
クリア後にはそれを思う存分満喫できるフリーモードが存在することも大きい。
つまり、テレビゲームとしての存在意義は絶無に等しいが、
積み木がわりとしてならなんとか存在意義が見出せるのではないか?というのが待ingの唯一の優位点となった。
無論、だったら積み木を買ったほうがいいのは事実だが、積み木だってタダではないのだ。
まあ、普通の積み木は待ingほどは高くないだろうが。

その点、誤当地にはイベントの極端に少ない退屈すぎるテンポの異常に悪いすごろく以外の存在意義がない。
すごろく自体がそれなりに楽しいだろう、という意見もあるやもしれぬが、
だったら紙と鉛筆を用意して自分で適当にすごろくを作った方がよっぽど楽しめるだろう。
子供ですら「学食を食べた。安いし最高 +200万円」「カラオケでサイフを落とした −4000万円」などのイベントよりはまともなすごろくを作れるだろうからだ。
子供が自力でも作れるすごろく。自力で作るのは難しい積み木。
明暗を分けたのはこの一点に過ぎない。
同種のライバルをも制した究極の「ゲー無」として、誤当地を堂々の大賞と認めたい。

だが三年連続ノミネートともなるとインパクトがなくなり、なぜいまさら大賞かという声もあるだろう。
前年、前々年と次点にとどまった作品が大賞ということは今年のノミネート作はマシだったのかという誤解も免れない。
だが待って欲しい。
元々09年においても人生1は大賞であってもおかしくないクソゲーと評されながら、
安価ゲームであることと、内容がなさすぎて評が書きにくいという点に救われて次点にとどまったにすぎない。
また人生2に関しては「次点だった人生1よりはマシになっているんだろう」という思いから、
誠に遺憾ながら十分な検証がなされずに次点にとどまっていたという節があり、
本年度の再検証の結果が「強制的に15ターンで終わっていた人生1の方が苦痛が少ない分まだマシだったのではないか?」なのである。
今年ほどまともに検証されていたら、前年の大賞「ラストリベリオン」を凌駕するとは言えないまでも、
昨年の大賞争いがもっと熾烈なものとなっていたことは想像に難くない。

またゲームの出来そのものに関することではないため大賞選考の理由からは除外したが、
誤当地にはダメ押しともいうべき凶悪さも存在する。
一つはパーティーゲームという性質のもつ凶悪さだ。
たいていのゲームならば多人数プレイをすれば多少の不出来は盛り上がりでカバーできるが
誤当地はそのあまりの内容のなさとテンポの悪さのため、むしろ場の空気が悪くなる可能性が高いのだ。
たった一本のクソゲーでありながら、1プレイで最大四人の人間に苦痛を味わわせることができ、
最悪、人間関係すらも気まずくさせかねない本作は、地雷というよりはもはや戦術核兵器のごとき存在であろう。

もう一つは、先にも述べたとおり、同シリーズにおいて三年連続KOTYノミネートを達成したという偉業、もとい異形である。
2009年の大賞「戦極姫」ですら一作ごとにわずかずつではあるが改善されているのに対して
まったく懲りない悪びれないこのシリーズの負の安定性は特筆にあたいする。
さらに会社としてはタカラトミーは五年連続ノミネートという前人未踏の記録を打ち立てており、
クソゲーメーカーとして完全に他社とは一線を画した存在である。
さらにメイン客層が子供を中心としたファミリー層であることを考えると怒りを禁じえない。
KOTYのそもそもの根本が「クソゲーをつかんでしまったことへの怒り」であることを考えると
この凶悪極まりない人生ゲームシリーズが大賞の不名誉を受けることは当然であり、
むしろ三年連続ノミネートの末では遅きに失したくらいであったかもしれない。
08年の伝説の激戦を制した「メジャーWii パーフェクトクローザー」での受賞につづき、
KOTY初の同メーカーによる二度目の大賞を、謹んで受け取っていただきたい。

2011年はKOTYスレとしても反省の多い年であった。
「ノミネートに足るクソゲーがない」と九ヶ月あまりも安穏と過ごし、
年始に発売されていた亡霊やPia4の恐ろしさに年末まで気づかないばかりか、
人生ゲームにいたっては一年以上もその真の恐ろしさを放置していたことになる。
凡庸な作品を騒ぎ立てる輩に対し「ガッカリゲーに過ぎない」と追い返すうちに
どこかで我々はクソゲーに対して傲慢になっていたのかもしれない。
クソゲーはいつだってどこかに潜んでいる。
どこかで誰かがその毒牙の餌食となっているのだ。
それを見つけ出し、検証という名の戦いを続けることが我々の存在意義であり被害者たちへの鎮魂であろう。
来年以降への決意もあらたに、2011年のKOTYを終えるものとする。
この波乱と苦悩の一年に、もはやクソゲーとの関わりを断ちたいと思ったものも多いかもしれない。
だが諦めて欲しい。七英雄と出会ったしまった以上、もはやどこにも逃げ場はない。
背を向けたその瞬間に、クソゲーたちの声が我らをとらえるのだから……


「 ・・逃さん・・・・
 ・・・・お前だけは・・・・」


総評案7(Piaキャロットへようこそ!!4)

2011年。
3月11日の東日本大震災の影響あってか、
今年は9月下旬まで目立ったクソゲーが登場しないという、KOTY始まって以来の枯渇状態となった。
「もはや今年はクソゲーは現れないのではないのか」
そんな発言すらも見られたほどである。
「クソゲーなんて1本も出ないのが一番良い」
そんな事は誰もが理解しながらも、
突きつけられかけたその現実にはどことなく寂しさを感じていた。
しかしながら、そんな平和な日々はこれより訪れるクソゲーたちにより粉々に打ち砕かれることとなる。

先陣を切ったのはサイバーフロントより発売された、Xbox360「code_18」である。
人気ADVであるinfinityシリーズの作品として発売されたこのゲームだが、
それまでのシリーズスタッフは殆ど関わっいないという点より、ファンの心には不吉なものがよぎっていた。
蓋を開けてみれば立ち込めていた黒雲が雷鳴と暴風雨を一度に吐き散らかしたような出来であった。
まず誤字脱字は当たり前、CVとテキストの不一致も多数存在する。
さらには天候が回復したはずなのに背景では大雨が降り続けていたり、
電車の音が場面転換しても延々と流れ続けるなど、本来ADVを盛り上げるための演出の多大なミスが
事あるごとにプレイヤーを冷めさせることになっている。

この演出ミスのその最たる例が
「スカイタワーに居るはずの主人公たちの背景に夕暮れの浅草寺が表示される」というものである。
ここまで豪快な演出ミスをされてしまえば、
プレイヤーは怒りや悲しみを感じるより先に、ただただ理解に苦しむことだろう。
こんな状況で「まるで恋人みたいだな」なんて会話を交わされたところで、
プレイヤーとしては「まるでクソゲーみたいだな」といった感想を抱くしかないことに疑う余地はない。

また、このゲームには昨今のADVにはあって当然とも言えるクイックセーブ・クイックロードが存在しない。
さらには既読スキップ機能で読んでいない文章までスキップする場合があったりと、
システム面のクソ要素も完備されている。
さらに、このゲームは週回数によってヒロインが固定されており、
もしBANENDに分岐した事に気付かないままデータを上書きしてしまえば最初からやり直すしかないのである。
手抜きとバグに溢れたストーリーを初めからやり直す羽目になったプレイヤーの苦痛を察するのは、想像に難くないことだろう。


次に名乗りを上げたのはアクワイア制作の「グラディエーターバーサス」である。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘アクション、「剣闘士」シリーズの最新作であるこのゲームは、
今作よりファンタジー要素が加わり、「剣闘」というタイトルに真っ向から反逆した「魔法」を取り入れている。
このゲームは公式PVで「10000種類以上の容姿」と謳っているのだが、
実際には顔のパーツをわずかに選択できるだけであり
その顔も兜を装備すれば隠れてしまうという、半ば詐欺のような内容であった。

そして肝心のゲーム自体についてだが、やはりこちらも問題だらけであった。
まず魔法についてだが、味方のAIに問題があり、やたらとプレイヤーに対して魔法を誤射してくる。
敵との交戦中に誤射によりコンボを中断させられる。さらにはその隙に敵の攻撃を受ける。
そもそもこの魔法の威力が非常に高く、ラスボスに至っては兜が外れた状態で受けると一撃死する程の威力である。
確認するまでもないがこのゲームのタイトルは「剣闘士」であって「魔術師」ではない。
しかしながら「剣闘」に目を向けてみても、こちらも粗末なものであった。
旧作品で好評であったドッジ、パリィといったアクションが削除されており、
駆け引きや爽快感の存在しないゴリ押しだけの戦闘となっているのである。

「ただ敵を倒すだけ」という代わり映えのしないミッションをこなし、
ただ黙々とボタンを連打して敵を倒し、装備を強化し、また敵を倒す。
その単調さは「人のいないネトゲやってるみたいだ」と評されるほどであった。
人がいてこそ面白いネットゲームから人を取ってしまえば、その評価がどうなるかは一目瞭然だろう。
一応ダウンロードコンテンツはネットゲームの課金要素に匹敵するほど充実しているのだが、
肝心のゲーム自体がこの体たらくでは、その点についても完全に空回りである。


さらに同日発売のD3パブリッシャー制作「街ingメーカー4」も負けてはいない。
このゲームは自分の作った街を自由に歩き回る事が出来る、街づくりSLG「街ingメーカー(まっちんぐめーかー)」シリーズの最新作なのだが、
シリーズの特徴であった「一人一人の住民に個性があり、
会話や買物をしたり不満を解消してあげることで街が発展する」といった、AVG要素の大半が削除されている。
さらには設置できる建物の種類も激減、それに代わるような良いシステムも追加されていない。

それでは、このゲームは何ができるのか。「建てる」「潰す」「眺める」これだけである。
その「建てる」行為のためには時間経過などで貯まるポイントを消費するのだが、
このポイントが不足しがちであり、ポイントが振り込まれるまでの「待つ」という行為が強要される。
ゲームクリアまでに必要な時間は約6時間、
さらにそのうちの大半が待つだけの時間である、と言えばこのゲームがいかにボリューム不足であるかが理解できるだろう。
「ディスクという実体を伴った人生」と呼ばれたこのゲームは「待ing」と言う名を与えられ、
メーカーに対し「街づくりをゲームにする前に、まともなゲームを作ってください」という言葉が飛ぶに至るほどであった。


そして12月、意外なゲームが飛来した。
12月8日に発売されたバンダイナムコゲームス制作、「ドラゴンボール アルティメットブラスト」である。
お馴染み「ドラゴンボール」のゲームシリーズ最新作である今作は、
低俗なサル野郎にもプレイできるように気遣ってくれたのか大幅にシステムを単純化している。
その最たる例がQTE(クイックタイムイベント)であり、これは主に全キャラ共通の演出を見せられながら
「時間内に指定されたコマンドを入力する」「あいこの無い2択のジャンケンをする」といったものなのだが、
このQTEが何かにつけて発生するため、肝心のアクションゲーム部分が非常に薄くなっている。
当然だがジャンケンには必勝法など無く、完全に運任せ。これでは戦闘を楽しむどころではない。
「対戦アクション」から「アクション」を取ってしまえば残るのは「対戦」だけだが、
ジャンケンで対戦がしたいのならばわざわざこんなゲームを買う必要も無いのは言うまでもないだろう。

一応グラフィックが向上していると言う長所はあるものの、これも大きなプラスであるとは言いがたい。
と言うのも、キャラクターがシリーズ前作よりも大幅に減少しているのである。
その弊害はシナリオにも如実に現れており、べジータが死ぬシーンに至っては「トランクスが声のみ出演」という失笑ものの状態。
そのため、単純にムービーを見ながらシナリオを楽しめば・・・という希望も断たれてしまう。
キャラの口パクが台詞と合っていない、会話中はキャラがあまり動かないと言った点も、それに拍車を掛ける。
その結果この作品は「アニメより劣化したムービーを見ながらボタンを連打するだけのゲーム」と評され、
格闘ゲームとしてもキャラゲーとしても失格の烙印を押されることとなった。


以上4つのクソゲーによって盛り上がるスレの活気によってか、眠れる亡霊が目を覚ました。
その正体は1月27日発売、アクワイア制作の「Wizardry 囚われし亡霊の街」である。
シリーズ復活を掲げた「Wizardry Renaissance」というプロジェクトの最新作として登場したこのゲームであるが、
その実体は復活どころかプレイヤーをも黄泉の国へと引きずり込むようなものであった。
このゲームの問題点は「バランス崩壊」の一言に尽きる。
と言うのも、問題と言われているシナリオ3の後半においては
「どれだけレベルを上げ、装備・パーティを吟味して敵に挑んでも、相手に先制されて魔法やら攻撃やらでパーティが1ターンで半壊〜壊滅させられる」
という、とんでもないバランスなのである。

一応シナリオクリアのみできればよい、と言うのならば「エンカウント阻止」アイテムを使用するという方法が存在する。
ラスボスは一般の敵と比べてとても弱いため、シナリオのクリアのみならばそう異常なバランスでもない。
とは言え、モンスター狩りやアイテム収集が目的のゲームにおいて、
敵もアイテムも無視してシナリオだけをクリアしたところで一体何になると言うのだろうか。
もしも「ポケモン」がピカチュウ1体でのゲームクリアを強要されるゲームであったとすれば、
それを名作と呼ぶ人間は存在しなかったことだろう。


こうして5つのクソゲーが出揃った年末。
一体どれが大賞を受賞するかと浮き立つスレに、滑り込むように現れた一つのクソゲーがあった。
それがPIACCI制作、Xbox360「Piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜」である。
この物体は2009年に発売された18禁ゲームを約2年の時を経てXbox360に移植したものなのだが、
移植元からしてエロ以外は壊滅的とされていた作品からエロを除外し、
一部キャラのルートを廃止した上にバグを付け足したと言う誰得商品の鑑のような物体である。
ではその内容はと言うと、これがまた劣悪そのものであった。
あらかじめ書いておくと、この物体は「ファミレス恋活ADV+SLG」と銘打たれている。

まずADVとしてどうかと言うと、
「一番マシなものでも凡作」と言われる程度のシナリオ、
セーブデータが増えるとセーブ画面を開く度に発生する10数秒から最長30秒程度の読み込み、
オートプレイにしてもボタン操作を要求するシステム、
「サバンナ」と評された陸上競技場などの低レベルなグラフィック等、
叩けば叩くほど埃が出てくるどころか、ただの埃の塊のような出来である。
さらにはCS移植の際のエロシーンのカットに当たっての代替シナリオが一切存在せず、
「単にシーンの前後を暗転させてカットするだけ」といういい加減な処理がされているため、
不自然なブツ切りに疑問を感じていると、いつの間にか恋人になっていたり、ヒロインが唐突に妊娠したりする。

ではSLG部分を見てみよう。
こちらは大きく分けると「ステータスを上げる」「女の子と会話をする」の二つの行動が存在する。
女の子との会話を楽しみつつ自分を磨いていく、と言えば真っ当なゲームのように見えるのだが、
何とこのゲーム、ステータスによって発生するイベントが存在しない。
既存のイベントの内容が変化することも無い。
ヒロインの攻略に特定のステータスが必要と言った要素も一切無い。
しかし、ステータスの合計が一定値に達していないと、強制的にバッドエンドに直行させられてしまう。
付き合っていようが、キスしていようが、Hまでしようが、ステータスが足りていなければ
「何しに来たかわからん一ヶ月だった。働いてた事しか記憶にねぇや」
といった旨の言葉を主人公が吐き捨てて終わってしまうのである。
そのため、上げたところでストーリーに何の変化もないくせに、ステータス上げを強要される事となる。
ではステータスだけを上げていればいいのか?と言うと、全くそんなことはない。
と言うのも、会話イベントの中に「見なければバッドエンド確定」なものが突然発生するためである。
このイベントがいつ発生するかは選んでみるまでわからない。
かと言って、会話ばかりを選んでいるとステータスが足りなくなり、バッドエンドに直行してしまう。
よって、プレイヤーはセーブ&ロードを繰り返して重要なイベントかどうかを確認しなければならない。
ただでさえ単調な作業であるのに、前述の「セーブ画面を開く度に発生する読み込み時間」がここに追い討ちをかけてくる。
「SLG部分は不要どころか邪魔。無い方がずっとマシ」と評されるのも頷ける話である。


ようやく大賞を決定するかと思われた頃、年も明けてからKOTYの戸を叩いた恥知らずが存在した。
その名はご存知タカラトミーの「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ 」である。
パッケージ裏に「前作のバージョンアップ版です」という免罪符のような一言の書かれた本作、
前作に毛を生やした程度のご当地ネタを追加したのみでの再発売というとんでもない代物である。
相変わらずミニゲームや仕返しマスなどは存在せず、天使も悪魔もいないどころかオプションすら存在しない。

何よりも目立つのはテンポの悪さだろう。
資金・能力が増減する際には全員の資金・能力一覧が表示され、変動対象が1つずつ変動するのだが、
1つの変化に1秒ほどのアニメーションが入るため非常にテンポが悪い。
子供が産まれるとさらにこのアニメーションが入る機会が増加するため、
子供が生まれるたびに「ガキ作んなよめんどくせぇ」という気持ちになるという、
ハッピーファミリーどころかDVファミリーと呼ばれる程であった。

さらには「絶対数の少なさからイベントがかぶりまくる」「終盤のギャンブルで簡単に逆転が可能である」といったクソ要素に加え、
「『おじゃましマス』の被害に遭うプレイヤーの確率が偏っている」「ルーレットの出目も偏っている」
といった点までが後の検証により明らかになり、もはやボードゲームとしても完全に破綻していることが判明。
結果、「これなら俺の人生の方がまだ面白い」と評されるほどの清々しいまでのクソであった。
このゲームは一周をクリアすることで隠し要素としてMiiの使用が解禁されるが、
そもそもこのゲームを2週もしたいと思う人がいるのだろうか甚だ疑問である。



以上7作品を発表し終えたところで、2011年の大賞を発表しよう。
それは、「Piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜」である。

このゲームが大賞を受賞する事となった最大の決め手は、
「楽しもうとすればするほど苦痛を味わうことになるため」である。
本来ゲームとは、自分から楽しもうとせずとも楽しめるものである。
ではもし、そうして楽しめないゲームを掴まされてしまったら?
多くの人は、自分から楽しめるところを探そうとするだろう。
その状況において、この「pia4」のクソさは群を抜いていた。
まずはADVなのだから、シナリオを楽しもうとするだろう。
しかし、そのシナリオがそもそも陳腐な出来であるのに加え、それでも楽しもうとしたところで、次は粗雑なエロシーンのカットが邪魔をする。
代替イベントが無いどころか前後の告白などの場面すらカットされており、特に酷いキャラクターの場合では
「格闘ゲームで一緒に遊んでた。(暗転)彼女になった。(暗転)妊娠した」という、キング・クリムゾンも真っ青の内容と化している。
「女の子と仲良くなる」ことが目的であるのに、その「仲良くなる過程」をカットされてはADVとして成立しないのは言うまでもないだろう。

エロを目的としたエロゲーであれば、シナリオについても多少は目を瞑れる部分もあるかもしれない。
しかしながら、エロを除外されたこの作品において、シナリオを読まないのならば一体何をしろというのだろうか。
SLG部分で遊べば、と言いたいところだが、これは本編中のイベントに一切関係しない上
その内容はセーブ&ロードを繰り返すだけの作業であり、もはや楽しむとかそういった問題ですらない。
作中で主人公の友人が「もっとも昨今は、動いているだけでアニメと呼べんほどの質のものも乱立しているがな。」
と発言するが、製作者はこの作品がゲームと呼べる質ではないと気付かなかったのだろうか。

最悪キャラクターさえ見られればいい、と考えるのならば、PC版の公式サイトに行けばいい。
そこには作中の約7〜8割に相当するCGが閲覧可能であり、さらには移植に当たって削除された18禁CGの閲覧も可能である。
それでもまだ残りのCGが見たいと思うのなら、PC版を買えばいい。
エロシーンが存在するため、ストーリーの内容自体はともかくブツ切りになることは無く、
セーブ画面を開く度に起こる長い読み込みのようなシステムの不備も少ない。
まさか「XBOX360は持ってるけどパソコンは持っていない」という家庭はまず存在しないことだろう。
移植元に対する優位点が何一つ存在しないこの作品、無理にでも探せば「18歳未満でもプレイできる」事があるが、
18歳未満で移植元のプレイできない子供にわざわざプレイさせたいゲームでないことは言うまでもない。

ADVとしてもSLGとしても楽しめる部分が一つとして存在しないこの物体は
自ら楽しもうといかに努力しても、どこを切っても金太郎飴のようにクソを吐き出し続けた。
その凄惨たる有様は「真面目にプレイした際の苦痛の大きさでは四八(仮)ですらも上回るのでは」とさえ噂されるほどであった。


振り返ってみれば、不作と思われたこの2011年だが、結果として7本ものクソゲーが集まる年となった。
それも全てがシリーズ物の最新作である。
七英雄の再来、七つの大罪、そんな言葉で彩られ輝き続けるクソゲーたちであるが、
一方で、シリーズの名に泥を塗られたファンたちの存在を、その心を、我々は忘れてはならないことだろう。
「クソゲーなんて1本も出ないのが一番良い」
そんな言葉について、そしてクソゲーと言う存在について、この2011年は深く考えさせられる年であった。
最後に、2011年の大賞である「Piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜」について、
スレッド内からの言葉を借り、この総評を締め括らせて頂きたい。

「エロ以外クソと言われたゲームからエロを抜けば、もはや何も残らない」

「おい、クソが残ってるぞ」

総評案8(Wizardry 囚われし亡霊の街)

Enter to Kusogame Of The Year.

2010年の王者「ラストリベリオン」は、1年間の長きに渡って「門番」としてスレに話題を提供してきた功労者でもあった。
この作品に受賞が決定し、スレ住民に束の間の平穏が訪れる。
年度は変わり2011年4月、クソゲーを待つKOTYスレにささやかな報告が舞い込んだ。
「そんなにクソゲーが見たいなら、Wizardryのスレを見てこいよ」
1月27日発売のオンライン配信専用RPG「Wizardry 囚われし亡霊の街」の登場である。(通称「亡霊」)
が、この時点では「楽しい部分もあるしバグの発生頻度も少ない」と特に話題にならず一旦その姿を消す。

* こうしていると まるで せんそうじに いるみたいだな *

2011年10月、十箇月に渡る長い平穏に、KOTYスレには「今年は大賞なしもありうるのでは…?」と安堵の声を漏らすものも少なくなかった。
しかしながら、平和を願う祈りが天に届くことは無く、一つのクソゲーが姿を表す。
9月29日発売の恋愛アドベンチャー「code_18」の降臨である。(通称「c18・しーじゅうはち」)
伝説の過去受賞作を彷彿とさせる呼び名を持った本作に、スレ住民は戦慄した。

大量の誤字・脱字・脱文は基本として、テキストと異なるキャラボイスが再生される、未読の文章がスキップされるなどの不具合も当然のごとく完備。
グラフィックも、なぜか見切れた立ち絵、作画の崩壊したイベントCG、コンプリートできないCGギャラリー等とお粗末。
システム面においても、クイックセーブ機能がない、そもそも攻略対象を選べず決まった順番でヒロインを攻略しなければならない等、不親切な仕様が目立つ。
ちなみにタイトルにある「コード」は主人公が受け取る謎のメッセージだが、特に解明されないままストーリーは完結してしまう。
全体的に未成熟な部分が目立ち、ノンプロ劇団の演劇や専門学校の卒業制作に近いかもしれない。

最大の問題点は、これらの要素が重なり合って「致命的な演出の失敗」を生み出している点である。
コスプレ喫茶で制服を着通すヒロイン。食う寝る時もバッグを離さないヒロイン。眼鏡を外してキスするはずが外れていないヒロイン。
電車から降りても延々と響き続ける効果音、夜の話なのに背景は昼。晴れたはずなのに背景は雨。鳴り止まない電車の走行音。
…テキスト、グラフィック、サウンドといったノベル形式のADVにおいて重要な要素に、ことごとくミスマッチを兼ね備えている。
特筆すべきは「主人公達がスカイタワーに居るはずなのだが、突如浅草寺の背景が表示され、その後の流れで浅草寺の背景のまま夕暮れになる」という、
もはやウケを狙っているのではないかと思われるほどの演出ミスの存在が挙げられる。

またこの頃、大量の致命的バグを持った「dead island」(通称「死島」)の選評が届くが、後日パッチにより修正されたため「選外」となった。

* きほんゆうりょう アイテムかきん *

2011年11月、c18の検証に余念がないスレ住民たちの前に一人の勇者が現れる。役に立たない二人の仲間を引き連れて…。
11月23日発売のマルチ対戦格闘アクションゲーム「グラディエーターバーサス」推参である。(通称「剣投資」)

本作はオンライン対戦に主眼が置かれており、プレイヤー達は3人のチームを組み、武器や魔法を駆使して相手チームと戦う。
…のであるが、マッチングの不具合(人が居るはずなのに居ない様に表示される)によってこのオンライン対戦が成立する事は非常に稀である。
というかそもそもプレイヤーの絶対数が少なく、本スレで募集をかけて初めてオンライン対戦をした、という微笑ましい事例もある。
一応オフラインモードは搭載しているものの、味方NPCのAIが非常に貧弱であり、魔法を誤射する、敵の増援を引き連れてくる等、ことあるごとにプレイヤーの足を引っ張る。

以上のような多くの不満点があるが、本作の最大の問題点はダウンロードコンテンツ(DLC)にある。
DLCによってキャラクタースロットの増加、アイテムボックスの拡張、武器強化アイテムの購入(但し種類はランダム)等が可能になるのだ。
公式HPにおいて「装備強化でライバルに差をつけろ!」と煽っているあたり、販売元の強欲さが見て取れる。
その他にも、なぜか後日になって体験版が配布される、修正パッチによって魔法と敵のAIのみが強化されるなど、常にスレに話題を提供し続けた。

* おまちください *

同日、また異なるベクトルを持ったクソゲーが発売されていた。
街づくりシミュレーション「街ingメーカー4」竣工である。(通称「待・まち」)
本作の目的は、一日に一定量補充される建造ポイントを消費して建物を置き、住人を呼び込むことで人口を増やし、街を発展させる事である。
住人たちが発信する「〇〇を建ててほしい」といった要望に従うことで、マップ上に「星」が現れ、その「星」を取ることでも建造ポイントを得ることができる。
またプレイヤーキャラを操作して街を散策することもでき、鉄道を引くことで電車等から街を見渡せるなど、箱庭的要素も強い。

…しかし、本作には致命的な仕様が二つある。一つはアナログスティックしか使用できない事と視点移動が見難いことによる操作性の悪さである。
特に夜は視界が悪く、建物が思った場所に置けないために操作を控えることになる。ちなみに昼夜はあるが季節はない。
もう一つは、前述した住人たちについてであるが、彼らの要望を聞いても特に意味がない、という点である。
マップ上のどこに「星」が発生するかはランダムで、さらに得られる建造ポイントも多くはなく、「星」を探して動き回るより一日待ったほうが効率的であることに気づかされるのである。
この二つの仕様により、プレイヤーは「建物を置き、一日待ち、補充された建造ポイントで建物を置き、また一日待つ」だけの、ゲームプレイと呼ぶにはあまりに冗長な時間を過ごすことになる。

* おめえのでばん ねえから ごはん! *

さらに追い打ちをかけるように、溶けた氷の中から一匹の恐竜が生まれた。
12月8日発売の3D対戦アクションゲーム「ドラゴンボールアルティメットブラスト」の爆誕である。(通称「UB」)
もはや説明不要の国民的少年アニメを原作とする本作であるが、特筆すべきはその原作再現度である。
64体ものキャラクターが、ド派手アクションで激戦を繰り広げる様はまるでテレビアニメそのもの。

…ではあるが、原作アニメの悪い点である「冗長な戦闘描写」まで再現してしまったのが本作の悲劇である。
本作の戦闘では、攻撃、移動、必殺技において、凄まじい頻度で「二択ジャンケン」が発生し、これに勝利した側が有利になり、ひいては戦闘に勝利する。
無論、このような「二択ジャンケン」に駆け引きは存在しない。(本作は「対戦アクション」である)
さらに発覚したのは、この冗長な「二択ジャンケン」の演出において、殆どのキャラクターがモーションを使い回されている点である。
この二点に気づいた時、プレイヤーは途方もない「飽き」に襲われ、クソゲーをつかんでしまった自身への怒りから超サイヤ人へと変身することだろう。

また、オンライン対戦に対応しているが、タイムラグと回線切断が頻発するために機能していない点も見逃せないクソ要素である。
さらには日本国外でも発売されているため、被害が全世界規模に及んでいる事実も付け加えておく。

これらクソゲー電撃隊の参戦によってスレは阿鼻叫喚の様相を呈し、「大賞なし」というKOTYスレの悲願は脆くも崩れさったのであった。

* レベルをあげて ぶつりで なぐれというのか *

2011年12月、奴が帰ってきた。「Wizardry 囚われし亡霊の街」の復活である。
そもそも当初「亡霊」のクソ要素は「セーブ画面でフリーズする」等のいくつかのバグのみとされていた。
これらバグは4月末の時点でなされたアップデートにより改善され、それゆえにクソゲーではないと判断されたのである。
しかし、発売後11箇月にして投下された選評を通して垣間見えたのは、クソゲーという名のダンジョンに巣食う果てしない闇だった。
「敵が強すぎる…これ、テストプレイしたのか?」
追加された最後のシナリオで、その事態は発生した。引き金となったのはレベルキャップ(上限)の解放である。
最終シナリオに突入する事により敵味方共にレベルが100以上に上昇するようになるのだが、プレイヤーキャラクターの能力がレベル99までに頭打ちになるのに対し、モンスターの能力は信じがたいほどに上昇してしまうのだ。
その結果、最大限に育った冒険者達は圧倒的パワー、スピードを得たモンスター達に易々と先制を許してしまう。

すなわち、出会い頭の魔法または状態異常を伴った通常攻撃による全滅…戦闘バランスの完全崩壊である。
彼我の圧倒的な戦力差に絶望しかけた冒険者達であったが、これも宿命とばかりに攻略法が模索された。
その結果として確立された攻略法は、一つは「パーティメンバーの職業の固定化」である。
キャラクターの職業はそれぞれ固有のスキルを持っているが、残念ながらその効果に強弱の格差がありバランスが悪い。
戦闘に勝利するためには強いスキルを持った職業を複数採用しなければならなくなり、どのプレイヤーでも最終的なパーティ構成は同じになる。
そしてもう一つは「資金無限増殖の裏技」と「お布施による経験値増加」、あるいは「連射コントローラーによる自動放置プレイ」によるレベルアップ・ドーピング…「裏技」である。

この作業を10時間ほど行うことが強要されるが、通常の戦闘で同じ程度レベルを上げるには500時間ほどが必要であると言われている。
「レベルを上げて物理で殴ればいい」奇しくも2010年受賞作を彷彿とさせる結論に、KOTYスレ住人も驚きを禁じ得ない。
とはいえその内実は未だ苦しいもので、キャラクターの職業を最適化(選択の自由は失われる)し、装備品を揃えても(最強武器は店やDLCで売っている)、パーティが全滅すべきのところを半壊に食い止めるのが精一杯という有様。
この状況の周知が徹底されて以降、本スレという冒険者の酒場には文句を言う者すら現れなかった。
ちなみにラスボスは弱く、エンカウント回避アイテムを装備することでクリア自体は可能である。

* そんなものにきょうみはありませんよ *

そして同12月、「亡霊」が開いた黄泉比良坂から這い出でてきた水蛭子があった。
2月24日発売のファミレス恋活アドベンチャー+シミュレーション「Piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜」である。(通称「Pアフォ」、恋活はバイトと読む)

本作はアダルトPCゲームの移植作品であるが、移植に際し家庭用ゲーム機にあっては問題のあるセクシャルなシーンを丸ごと、即ちグラフィックは勿論シナリオまで削除してのローカライズが施されている。
攻略対象キャラも一人減っており、クイックセーブ機能まで削除されている。
元々「主人公がアルバイト先の女の子と出会ってチョメチョメしてカップルになる」というストーリーであるが、「チョメチョメ」部分をオミットし、抜け落ちた文脈は何らフォローしていない。
何となしにアルバイトしていたらいつの間にか彼女ができた。起承転結の崩壊とドラマツルギーの欠如である。
そうでなくとも移植前のストーリーがそもそも出来が悪く、読み飛ばすだけの代物であるという見方があった。
これはアダルトゲームに多く見られる事であるが、本作にアダルト要素はない。

また、シミュレーション部分は主人公の能力値を上昇させるだけで、攻略キャラによってクリア時に必要とされる能力値が異なる。
どの能力値も簡単に最大になるので作業感が強いうえに、シナリオスキップ機能を使用してもこのパートで足止めされるため、周回し難い仕様であると言える。
余談だがファミレスの経営状況には何ら影響は無く、あくまで「恋愛シミュレーション」という意味合いなので注意が必要かもしれない。
フラグとなるイベント自体は能力値に関係なく発生し、ヒロイン達と思い出(イベントCG)を積み重ねてもバッドエンドとなり得る。
その場合「何も思い出を残すことはできなかった」と呟くのみ。例え実妹と男女の関係を持ってもこの呟きで終わる。
前述した周回し難い仕様と相まって、このバッドエンドはなるべくなら回避したいところであり、自然とセーブ数は増えるのだが、そこにも落とし穴がある。
セーブ数が増えると、なぜか動作が重くなり、フリーズに至る。セーブデータの消去は出来ないため、復旧は難しい。

* おおっと! すべりこみ! *

年は明けて2012年1月、今年も宜しくとばかりに「常連」が来訪してきた。
2011年9月1日発売のわいわいボードゲーム「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」の帰還である。(通称「誤当地」)
マップは一種類のみ、イベントの種類も10数種類しか無いため、4〜5時間のゲームプレイでほぼ全ての要素を堪能できる。
とはいえカードや対戦ミニゲームが存在しないため、ひたすらルーレットを降るだけで時間が過ぎることになる。
しかし、そのルーレットも出目に偏りがあったり、さらに同一のイベントが何度も発生する現象が頻発するなど、
どうやら乱数要素に調整が加えられているようであるが、少なくともゲームを盛り上げる方向に働いてはいない。

増量されたと思しき「ご当地ネタ」の内容はと言えば、各都道府県の名所名品、史跡等を紹介してくれるのだが、真偽の怪しい情報も散見される。
…やはり「c18」と同様に、伝説の過去作品との共通項が見出されるのは、奇妙な偶然であろうか。
余談だが「ご当地ゲー」の元祖とも言える「桃太郎電鉄」は本年度発売の予定があったが、東日本大震災の被災者に配慮し発売を中止している。

ここに新たな「遅刻組」三作が合流し…奇しくも2008年度と同数である…7本のクソゲーが集結したのであった。

* タッカラプト ポッポルンガ プピリットパロ! *

これら7本はいずれも方向性が異なるものの、その実力が拮抗しており、受賞作決定において近年稀に見るマッチレースを繰り広げた。
検証作業及び総評作成は困難を極め、2012年〇月になって漸く総評完成に至ったほどである。
さて、その中で最もクソたる、クソゲーオブザイヤーの栄光に輝くのはどのタイトルだろうか。

「c18」は継ぎ接ぎだらけであっても一応テキストアドベンチャーの体は成しており、ストーリーそのものは評価できる。
「剣投資」は装備品を含むキャラクターの育成と、仲間NPCを駆使しての立ち回りに楽しさを見いだせる。
「街」はクリア後のフリーモードに救いがあるし、「UB」は3DCGアニメーションによるリメイクと思えばそのクオリティは高い。

以上の理由から「亡霊」「Pアフォ」「誤当地」の3つに絞られるものとする。
そのうえで大賞を選ぶとするならば、受賞作は…

* いのり ささやき えいしょう ねんじろ! *

「Wizardry 囚われし亡霊の街」である。

次点となる他作品と一線を画するのは、作品本来が持つゲーム性が、プレイの途中で180度転換してしまう点である。
受賞作は本来、プレイヤーが自由に編成したパーティで冒険を進めるゲーム性を持つが、前述の通り最終シナリオにおいて有効な編成・戦法が完全に固定化される。
それまでに育てたキャラクターの個性は否定され、ゲーマーとしての矜持は「裏技」の強要によって破壊されるのである。
そもそも、最終シナリオが取り上げられがちだが、実は序盤からあまりバランスが宜しくなく、徹頭徹尾してクソであるとの評も少なくない。

すなわち本作は、前年度受賞作同様に「褒める点が1つもない」のである。ダンジョンにはBGMすらない。

「Pアフォ」は隠しヒロインルートは及第点であり、「誤当地」は対戦プレイそのものは機能している点で「UB」と同列に並ぶ部分がある。
いずれもジャンル固有とも言えるわずかな評価点ではあるが、本年度はそれほどの接戦であったことを理解頂きたい。

* うしなわれた *

振り返ってみると、当初は本命不在と思われた2011年もまた、クソゲー達が跳梁跋扈する「大クソゲー時代」であった。
現実社会における不景気や社会不安、そうした暗い世相からでもクソゲーは生まれ続ける。
その事実は、翻って我々に勇気と生きる希望を与えてくれたのかもしれない。
「浅草寺スカイタワーには腹抱えて笑った」
「誤当地と比べたら、俺の人生は良ゲーだわ」
「7本全部買ったった」
クソゲーは無いほうが良い。しかし、クソゲーすら存在できないゲーム市場は不健全であるとも言える。
今はただ、この激動の年に集った7つの奇跡に感嘆するのみである。

さて、従来のクソゲーオブザイヤー受賞作であれば「売る」「割る」「犬に与える」などの「副賞」が与えられるものである。
が、今作は実体を持たないダウンロード配信専用の「亡霊」であるため、上記のような措置は相応しくない。
何時までもスレをさ迷うことのないよう、偉大なるシリーズ他作品からの名文句をもって「のろいをとく」こととしたい。

* まいそうされました *

総評案9(Piaキャロットへようこそ!!4)

2011年。
KOTYは未曾有の大飢饉に襲われた。
冬が終わり、春が来て、夏が終わり、秋にさしかかろうかと言うのに関わらず、たった一本の選評すら届かなかった。
発売予定のゲームは発売中止になり、期待作は延期になり、あらゆるクソゲーマイスターは絶滅したかに見えた。
だが、クソゲーは死滅していなかった!!

9月も終わりスレ住人達は、
「クソゲーの無い平和な世の中だ」
「大賞無しの凄く短い総評考えたぜ」
「このスレもういらなくね?」
このように平和な生活を満喫していたのだが、ついに一本の選評が届いてしまったのである。
2010年11月から実に11ヶ月ぶりの選評に、スレ住人達は牛に群がるピラニアの如く全力で食いついたのであった。

物悲しいと言われる秋の最中10月半ば。秋以上に物悲しいスレに枯れ落ちる花の如く一本の選評が舞い降りた。
9月29日に{サイバーフロント}から発売された【Xbox360】専用ソフト『Code_18』(以下C18)の選評である。
この作品は恋愛ADVの人気作Infinityシリーズの4作目である。
今作は過去作のスタッフが関わってないとは言え、ノベルゲーはそうそうクソゲーになるものではない。
しかし選評を読み進めていくうちに立派なクソゲーと判明したのである。

まずは目に付く誤字・脱字・脱文の多さ。適当に流すプレイスタイルでも相当数を発見出来るだろう。
足りないだけではなく、名前の後ろに謎の[?]や[@]が付加されていたりもする。

目だけではなく耳にもストレスを与える事を忘れない。
電車から降りてると言うのに電車の音が流れ続ける。
それも駅のホームではなく、ヒロインの家から科学部部室、果てはヒロインの回想シーンでも鳴っていると言う始末。

シナリオも細かい説明不足が多々有り、プレイヤーに推理力を要求してくる。
その中には据置スレ住人が幾百ものレスを使って議論し、最終的に答えの出ない物もあった。

グラフィック面でも突っ込みどころが多く、
キャラが分身する。夜の会話なのにCGが昼。
雨が降ってるテキストなのに画面では降っていない。逆に雨では無いのに雨が降っている。
出かけた先であろうと寝る直前であろうと、とあるヒロインは常にカバンを持っている。
主人公が手を振り上げたシーンのテキストなのに、何故かヒロインに平手打ちを食らっている。
コスプレ喫茶でヒロインが働いているテキストなのにコスプレをしていない。
メガネを外してのキスシーンなのにメガネが外れていない。
果てはスカイタワーでムードたっぷりにヒロインと会話している、と思ったら何故か浅草寺にワープしていた、と思ったらスカイタワーに戻っていた。
プレイヤーがニヤニヤと笑みを浮かべるシーンだというのに、これでは苦笑いしか浮かばないであろう。

他にも列挙するとキリがないが、一つ一つは細かいクソ要素である。
しかしポイントを重ねるプロボクサーの様に、多数の小さいクソが積み重なった立派なクソゲーと言えよう。
意図したものかは不明だが、製作者が発売日にTwitterを非公開にしたことを追記しておく。


C18の選評を皮切りに、続々と英雄が集まろうとは誰が予想しただろうか。
ここから年末の魔物、いや魔物「達」がやってきたのである。


C18の議論を一通り終え、落ち着きを取り戻した12月初頭に新たな選評がやってきた。
11月23日に発売された【PS3/Xbox360】『街ingメーカー4』である。
SIMPELシリーズで有名な{D3パブリッシャー}から発売された。
このシリーズは道路や住宅やビル、「TSUTAYA」や「ユニクロ」「吉野家」等実名企業を含む建物を建てて「街作り」を楽しむゲームである。
前作までは住人との会話が楽しめたり、様々なイベントがあるなど評価されていた作品であった。
しかし今作での目標は「街づくりは数だよ!」と言わんばかりに人口増加のみである。

人口を増やすには建物を建てる必要があり、建物を建てるにはポイントが必要である。
ポイントはゲーム内で一日(リアル10分程度)毎に10000〜13000ほど貰えるのでポイントが無くなって詰む心配は無い。
序盤は建物一つに対し数百ポイントで済むのに対し、ゲームが進むにつれ建物一つに対し数千ポイントが必要になる。
数百ポイントの建物のみだと人口が頭打ちになり、中盤の効率がいい建物でも3840ポイント。
最終的に8640ポイントを必要とする建物が複数必要になる。

お分かりいただけるだろうか。中盤ですら建物を2〜3つ建てる→10分待つと言うプロセスが必要な事を。
この事からスレ内では『街』ではなく『待』の愛称で親しまれた。

実はこの作品には、待つ意外にポイントを入手する方法がある。
建物の住人から「○○の建物が欲しい」と言う不満を訴えてくるので、それを解消すると不満元の建物の上に☆が出てくる。
それを「○○に行きます」等のどうでもいいセリフしか無い街を歩く住人や、高速道路から街にやってきてそのまま何処にも寄らず高速道路に戻る車を尻目に、
HD画質だがPS2レベルのグラフィックで、種類が少なく買い物どころか中にすら入れない店舗を横切り、
バスはおろか電車すら凌駕するスピードで街中を走り回って、忍者顔負けの最大7段ジャンプを繰り出して取りに行くことが出来る

それなりの苦労をして☆を取ると、たった1000ポイントぽっちをゲット出来る。
☆は一定時間で消えてしまい、取りのがすこともある。
取りに言ってもしょぼくれた報酬であり、取るのもめんどくさい。
そもそも10分待てば、苦労しても取れるか解らない☆の10倍以上のポイントを入手できる。
最終的に殆どのプレイヤーが「待ち時間>>(越えられない壁)>>プレイ時間」になるであろう。

プレイ時間の殆どを待ち時間に費やした後、クリア後にご褒美がある。
好きな建物をポイント消費無しで幾らでも建てられると言うものである。
しかしそれは☆を取ると言う唯一のイベントすら無く、建てて、眺めて、潰す。と言う豪華な積み木遊びであった。


2本目の選評に活き活きとしながら吟味していたスレに、追加オーダーとばかりにまたもや選評が届いたのである。
【PS3】専用ソフト『グラディエーターバーサス』である。
ととモノ等でも有名な{アクワイア}から剣闘士のシリーズである。
前作までは地味ながらも強くなっていく過程が楽しいと言われる良作であった。
しかし今作は剣闘士の如く激しいクソゲーだとは誰が予想しただろうか。

オンラインに対応しており対戦アクションゲームと銘打った今作は、基本的に3VS3の戦闘を行うゲームである
乱戦になっても味方に対して打撃攻撃は当たらないので安心して欲しい。
と言いたい所だが魔法は何故か味方に当たる。
そのお陰でプレイヤーが敵を打撃で攻撃していると、味方NPCが魔法で邪魔してきて非常に鬱陶しい。
逆にプレイヤーが魔法で攻撃すると、味方NPCが壁になりストレスフルになること受け合いである。
オンラインで同士を募ろうにも、発売から30日も経たずに過疎化が進んでおりCPUとプレイせざるを得ない。

まともに殴れる状況になったとしても、今度は硬すぎてダメージが通らない。
ダメージを与えるには防具を弾く、もしくは壊さねばならないのだ。
△ボタンなら頭という風に対応した箇所を攻撃すればいい。
しかし防具が非常に固くプレイヤーはひたすら連打をするハメになる。
早く弾かないと戦闘の予感を嗅ぎつけた味方に邪魔をされると言うのに!
ちなみにダッシュなんて物はないので、味方とそれなりの距離さえ取っていればマシではある。
味方NPCさえ強くなればもっと楽しくなったのかも知れない。
しかしカスタマイズなんて物はなく、どこまでもブレないNPCとプレイする事を余儀なくされる。

12月半ばには待望のアップデートパッチが出た。
導入すると敵AIの強化がされるが、味方は馬鹿のままであった。
プレイヤー側にも強化された部分がある。なんと魔法が強化された。これにより味方NPCへのストレスも大幅に強化されたのである。

NPCに頼らずPCを強化しようと思ったとしても、ステータスに振ることの出来るポイントは初期ポイントの10ポイントのみ。
他にはスキルか4種類ある宝石を使った強化で上げるしかない。
しかし宝石を集めようにもミッションで高ランクの宝石は中々出ないのである。
アクワイア「種類がランダムでランクもランダムの宝石セットが、3個セットで100円、8個セットなら200円と大変お買い得となっております^^」
某プレイヤー「6000円突っ込んでも他のSとS+は出るのに一番必要なルビーのC+以上が出ないぞおい」
剣闘士から剣投資と呼ばれ始めたきっかけである。
発売日前の公式サイトにアクセスすると、ウイルスバスターがオンライン詐欺の警告を出してきたのも頷けるであろう。
公式HPのDLC紹介ページには「ライバルに差をつけろ」
前述したが既に過疎化が進んでおり、競いあうライバルが見つかるかは不明である。


度重なるクソゲーの襲来にスレは活気を取り戻してしまった。年末はこれで戦えると皆が思っていた。
しかし天皇誕生日である12月23日。翌日の天皇誕生日後夜祭である12月24日。立て続けに3本もの選評が投下された。
これらは全て老舗である{バンダイナムコゲームス}から発売されたタイトルのものとは誰が予想しただろうか。
【PS3/Xbox360】の『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(以下UB)である。
前作レイジングブラスト2はかなりの高評価で、格闘ゲームとしてもそれなりの評価であった。
しかし海外での先行発売後の評価は散々で、ジャンルも「3D対戦アクション」と格闘部分が抜け落ちてしまっていたのである。

基本的にタイマンで戦っていく作品なのだが、ジャンルが格闘ではない点に注目していただきたい。
じゃあどうやって対戦するのか? QTEと言う名のじゃんけんである。
しかもじゃんけんなら三択だが、このゲームに至っては二択とじゃんけん以下であった。

一応読み合いや立ち回りを要求されるのだが、やはり最終的には二択である。
むしろ立ち回りの時点でQTEが発生するので常に運の良さを要求される。
どれだけ頑張って練習して時間を費やして戦術を練ったとしても、二択が読まれてしまえばそれまでであり腕前を磨く気も無くなるだろう。
二択に勝ったとしても条件によっては連打勝負が発生する。連打の腕だけは磨いた方が勝率は上がるであろう。

QTEが発生したら微妙に長いが美麗な演出も発生する。
しかし攻撃どころか移動しただけでも発生するので鬱陶しいことこの上ない。
ちなみに攻撃モーションは使い回しばかりで、どのキャラを使っても同じようなモーションしかない。
原作では腕が伸びるキャラも居るのだが、このゲームに至ってはそこらのキャラと同じモーションである。

対戦部分ではなくドラゴンボールのストーリーを追うモードも存在する。
しかしストーリー部分も主要キャラが居なかったりするので、ぶつ切り感が漂っており中途半端である。
主要キャラと言えるであろう、チャオズや悟天に青年悟飯、少年トランクス等のキャラが居ないのである。
キュイやサイバイマン、セルジュニアでは代わりを務めるのは不可能であろう。
要所ではリメイクアニメが流れるが、それ以外は棒立ちキャラが会話するだけである。
ちなみにストーリーモードでは巨大な敵との戦闘が何度かある。それも勿論QTEであり戦略性は薄い。

単調な戦闘とぶつ切りなシナリオのストーリーモードは50近いステージがある。
ステージ内にドラゴンボールと言う隠し要素が存在する場合がある。しかし探すのが非常に面倒くさい。
どのステージに何個あるのか解らない上に、落ちてない場合もある。一部ステージはしらみ潰しに探さなければいけない。
集まらなかったらまた一から探し直しである。その場合は50近いステージをもう一度楽しむ事も可能。

アバターモードと言うオリジナルキャラを作ってIFストーリーを楽しむモードも存在する。
しかし作れるキャラのパターンは少なく女性も居ない。
ストーリー性も皆無と言ってよく、QTEと言う名のじゃんけん戦闘を繰り返すだけであった。


スレ住人の気力が搾り取られた翌日。数多の怨念が世界に渦巻く12月25日に亡霊が現れた。
剣投資でスレに名を馳せた{アクワイア}から【PS3】オンライン配信専用ソフト『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(以下亡霊)である。
11ヶ月も前の1月27日に発売されていたのだが、亡霊の如くここまで身を潜めていたのであろう。
ウィザードリィシリーズ(以下Wiz)と言えば3DダンジョンRPGの金字塔と言える作品であり、クソゲーとは縁遠いと思われた。
複雑なダンジョン、高い難易度、コレクターが諦めたくなる程のコレクション要素。
不親切であったり理不尽な仕様も「Wizだから」と一蹴されていたのである。

シナリオが1〜3まであり、シナリオ1.2は高難易度で不親切でいやらしく理不尽であり、Wizらしくあった。
シナリオ2までは普通にと言うより、人を選ぶが面白いゲームなのである。
後にパッチで改善されたのだが、稀にセーブが出来ないと言うバグがあった。Wizなので許せるであろう。
キャラと違う音声が再生されるバグや、ダンジョンが描画されずダンジョンに入った瞬間真っ暗になるバグも存在する。
チートをしない限り絶対に取れないアイテムがアイテムリストに存在する。これらもWizなら仕方ないであろう。

シナリオ3におけるラスボスはあまり強くなく、ラスボスの周辺に出てくる敵の方が強い。
これもWizならいつもの事であるのだが、シナリオ3の敵が強すぎた。
シナリオ2までは味方の最大レベルが99だったのだが、シナリオ3に突入すると最大レベルが299まで引き上げられる。
しかしベースとなっているWizでは、レベルを上げてもプレイヤーのステータスはすぐに頭打ちになり、HPしか上がらなくなる。
亡霊でも似たようなシステムを採用しており、レベルキャップは開放されたがHPしか上がらないのである。

しかし敵のステータスはレベルに比例して無尽蔵に上がっていく。つまりどういう事が起こるのかを説明しよう。

戦闘に突入する→行動を選んでターンを開始する→何を選ぼうと圧倒的な素早さと火力で一方的に皆殺しにされる

つまり「エンカウント=死」の図式が成り立ってしまうのである。
レベルを最大の299近くまで上げればなんとか耐えられる場合もあるのだが、これがまた非常に辛いドM仕様なのも見過ごせない。
数百時間プレイしているディープなプレイヤーが「最大レベルまで真っ当な方法で上げるのは精神的に無理」と投げ出す始末。
資金を経験値に変換する施設と資金増殖バグを10時間以上使い、ようやく1人がカンストに届かずとも戦えるレベルまで上げられるのである。
ちなみに最大6人パーティーなので、60時間以上レベル上げだけに費やせば中々の高レベルになる。
とりあえず1人だけでもレベルを上げると「一方的に皆殺し」ではなく「一方的に6人中4人殺し」程度に緩和される。
ちなみに麻痺や睡眠等の行動不能になる特殊効果を持つ敵が現れた場合は、どれだけレベルを上げようと無意味である。

クリアだけなら数歩進んでセーブすればエンカウントは回避出来る。他にもエンカウントを完全に回避するレアアイテムもある。
アクワイア「ゲーム内では手に入りにくいエンカウント回避アイテムがなんと100円。ワンコインと大変お買い得になっております^^」


僅か2ヶ月の間に5タイトル、9本もの選評が採用されたスレは冬の寒さが感じられないほど熱気だっていた。
平和だった頃を懐かしむ声はクソゲーをプレイした者の断末魔にかき消された。
世間は大掃除でゴミを捨て、総評者は出来上がっていた総評をゴミ箱に捨て、クソゲーを掴んだものは時間をドブに捨てていた。


新年差し迫る12月30日。新たな年を迎えようとしていたスレに、記念すべき10本目になろうかと言う選評が届いてしまったのである。
10ヶ月以上前の2月24日に{PIACCI}より発売されていた【Xbox360】専用ソフト『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜 』(以下Pia4)である。
「夏の恋活」と表記して「夏のバイト」と発音する。夏らしくタイトルまでキラキラしているのである。
Piaキャロットへようこそシリーズは18禁男性向けPCゲームとして1996年から続いているADVである。
旧作でも他機種への移植や、OVAではあるがアニメ化もされており人気作であると言えよう。
「「「また修羅の国か!」」」
住人が声を揃えて叫んだのも無理はない。PC版はシリーズファンからも酷評を受けている作品だったからである。
ノベルゲーはクソゲーになりにくいし何かの間違いだろう。実際にPCからの移植作で高評価を受けている作品もある。
しかしこの作品は一味違った。単純なノベルゲーではなくSLG要素があったのである。

SLG要素として「容姿・優しさ・根性・仕事・体力・学力・不評・体調」と言う8種類のパラメータを管理する必要がある。
不評を上げないようにして残りのポイントを上げる必要があるのだ。

しかしステータスを上げる事によって起こる事は、エンディングの違いだけである。
少なければバッドエンドに、必要十分であるならグッドエンドにと言う具合である。
2回フルコンプした選評者の攻略法を明記すると、ゲーム序盤に「休養」を2回選択すれば体調に困ることは無くなる。
その上で他の項目は「デリバリー」を選択しているだけで中盤までには全て最大になる。

SLG要素は邪魔だと言う事が判明したが、ADVとしてプレイすれば面白いのではないか?
勿論そんな事はなく、ADVやノベルゲーとしてプレイした場合も非常に苦痛であった。
起承転結から承と転を抜いたようなシナリオである。
とあるヒロインは格ゲーしてたら何時の間にかラブラブになっており、
とあるヒロインは走ってるだけでラブラブになり、
とあるヒロインはプレイヤーが気づかないうちにラブラブになっている。と言う具合である。

移植に際し18禁に当たるシーンを削ったのは理解出来よう。
しかし削ったシナリオに対し補填しているシナリオが無いので、どのような経緯があったのか解らないのである。
しかもヒロインによっては、会うだけでステータスの体調が削られたり謎の設定があったりと枚挙に暇がない。
大食い選手権に出て優勝したが以降大食い設定は出ない。資格を100持ってるが資格を絡めたシーンは無い。
主人公はアキレス腱を切ってしまったと言う過去があり、しかも古傷が痛むと訴えたのにも関わらず
店長ヒロイン「君は人一倍体力があるから早朝から仕事してね^^」
その後に主人公が倒れてしまうイベントがあり
店長ヒロイン「体調が悪いのに気付いていながら休ませてあげられなかった><」
現実でもそうだが話が通じないのは非常にストレスが溜まる。

主人公にも問題がありルートによっては「たはは;」「うぐっ:」「うぐぅ…」「ぐさり」「って、なぁ〜んちゃってね♪」
イケメンを許すのは女性と相場が決まっている。しかし今作は男性向けのゲームで、しかもイケメンですら許されない口調のウザさがイラつきに拍車をかけてくるのだ。
他にもとあるヒロインの大食い大会後には、ヒロインに祝勝パーティーに誘われる。
主人公「もう食べ物は見たくない…」
残念そうにその場を去るヒロインが哀愁を誘ったその直後に一言ポツリ。
主人公「あ、そういや俺、まだ飯食ってないや。パンでも買って帰ろ」
非常に申し訳ないが、筆者はこのセリフの流れに対し表現する言葉が思いつかなかった。
削除したと思われる18禁シーン等を乗り越え全てが終わりヒロインとラブラブになってさぁ帰ろう!
ここでパラメータが足りない場合は強制的にバッドエンドになるのだが、
主人公「ふーん。ほんとこの一ヶ月はなんだったんだろ。よくわかんね」
記憶障害を起こしているとしか思えない主人公であった。

18禁シーンの代わりに追加要素としてバグが追加されている。
タイトル画面からセーブ中等至る箇所で起こる謎のフリーズバグを始めとして、既読スキップが機能しない。オートプレイでもボタン操作を要求する。
フリーズバグの被害を減らすために、こまめなセーブをするとロード画面が重くなる、というおまけつきである。
いつ起こるか解らないフリーズに怯えながら、こまめな上書きセーブを余儀なくされ、ウザイ主人公に耐え、不要なSLGを要求され 、つまらないシナリオを読み進めるのは苦痛であろう。
某所には有志による130K恋活に及ぶテキスト文書が投下された事からも恨みの念が伝わってくる。

余談だがXbox Liveから切断や復帰をするとゲームがリセットされる。勿論オンライン非対応のは言うまでもない。


2011年の据置KOTYは、上半期の飢饉が幻であったと言わざるを得ない。
まさか12月30日にもなって選評が届くとは誰が予想しただろうか。
2012年に入り総評も届き始め、スレ住人が最後の力を振り絞り総評の選別を始めたまさにその時であった。


三ヶ日も終わった1月8日。{タカラトミー}が堂々の3年連続で参戦してきたのだ。
9月1日に発売された【Wii】『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。
2010年に惜しくもKOTY大賞を逃した人生ゲームハッピーファミリーの続編である。
前作は先行発売版とほぼ同じなのにお値段が6090円と言う事が評価された。
今作はご当地ネタを追加しお値段そのまま6090円となり若干お買い得である。

しかしそれ意外に関しては相変わらずの出来であり敢えて列挙することも無い。
Miiが最初から使えない。最初から使えるのは男女合わせて見た目と名前が固定された10キャラ。
マップは勿論1種類しかなく、PS時代にはあった一部マスもなく、ミニゲーム要素なんて物もない。
特定マスに止まった場合はイベントが発生するのだが、イベントの種類があまりにも少なく何度も何度も同じ物を見るハメになってしまう。
シリーズ恒例の天使も悪魔も勿論復帰していることもなく、幸福度で競うハピネスモードに至ってはCPUがルールを理解していないと言う始末。

しかし待って欲しい。ご当地ネタ増量仕上げと言うからには何か追加されているんじゃないのか?
そう今作ではなんと、プレイ中に各都道府県の名産品や名所、遺産などの豆知識を紹介してくれるのだ。
だからどうしたと言いたくなる追加要素である。いくら紹介して貰ってもゲーム内のお金や幸福度には一切影響しない。
とてつもなく的外れな追加要素から「誤当地」と呼ばれるのも無理はないであろう。

まさか前回のノミネート作品と同じ物に、心底不要な追加要素をつけてお値段は据え置き価格の6090円である。
楽して儲けたいと言うのがひしひしと伝わってくる貫禄に恥じないクソであった。
選評者が「俺の人生の方がまだ面白い」と評したが素直に頷ける出来である。


以上飢饉を乗り越え7作もの作品がノミネートされた。
クソゲーとはプレイヤーから日々の糧となる現金を奪い、時間を奪い、笑顔まで奪っていく罪深きものであろう。
七つの大罪と言うものをご存知であろうか。それ自体は罪ではなく、罪に導く7つのきっかけである。
この7本はプレイヤーにきっかけを与えるであろう。
「傲慢-UB」「嫉妬-C18」「憤怒-亡霊」「怠惰-待」「強欲-剣投資」「暴食-誤当地」「色欲-Pia4」
各々のクリエイターには罪を犯さないよう心がけていただきたい。
2011年据置KOTY。
いよいよ大賞の発表に移ろう。

大賞作品は

『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』

今年はどの作品も負けず劣らず素晴らしい出来であった。しかしPia4は夏の日差しの如く一際輝いていたのである。
UBはグラフィックが素晴らしくリメイクアニメも美麗である。
C18はシナリオにおいて盛り上げようと言うのが見受けられる。
亡霊はシナリオ2までなら人を選ぶとはいえ楽しいゲームである。
待は実名店舗が素晴らしい。
剣投資は味方NPCさえ上手く利用すれば面白いに違いない。
誤当地に至っては前作より改善している。

しかしPia4にはプレイヤーを楽しませようとする気が全く無いのである。
取って付けたようなSLGパートに、18禁シーンを削除したのに補填の無い投げっぱなしな陳腐なシナリオ。
嫌悪感を通り越し殺意を覚える主人公。話の通じないヒロイン。
セーブすらまともに出来ず、スキップやオートプレイすらまともに作動しない。
しかもゲーム内で主人公の友人が吐いたセリフがこれだ。
友人「もっとも昨今は、動いているだけでアニメと呼べんほどの質のものも乱立しているがな」


2011年度のノミネート作品は7本あるのだが、なんと共通点がある。
全てシリーズ物続編なのだ。それも軒並み4作目ばかりである。
日本には古来より「四=死」と言うオカルトがあるが、筆者はそんなものは信用していない。
バイオハザード、ファイナルファンタジー、ドラゴンクエスト、修羅の国ですらランスシリーズと言う物がある。
4作目でも素晴らしい作品は数多く存在する。しかしクソゲーも確かに存在するのだ。
これを読んだそこのあなた。もしもクソゲーを掴んでしまった場合我々スレ住人は歓迎したい。


「クソゲーオブザイヤーへようこそ!!」