2011年 総評
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2011年総評案?
2011年総評案3?
このページは、2011年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。
「あなたは、戦っている時は平和を、そして平和の中では戦いを…
そうしなければ生きていけない。あなたはいつも蜃気楼を見ているんだわ……」
(小学館『エリア88』より抜粋)
幾多もの猛者・強者が暴れ、壮絶なる戦いを繰り広げた2010年。
熾烈を極めた戦いを制したのは、PS3用ソフト『ラストリベリオン』であった。
名言「レベルを上げて物理で殴ればいい」は、その後も色々なところで見聞きする事となったのであった。
さて、そんな2010年が過ぎ、年も明け2011年となったKOTYスレに訪れたもの。
それは他のどのスレよりも、このスレに似つかわしく無いもの、“平和”であった。
据え置き機がどの機種も発売後数年を迎え、各社扱いに慣れてきた為か
はたまた天井知らずな開発費を抑えるため無難なものしか発売されない為か。
ともかく、“クソゲー”が一本も出なかったのだ。
そしてこの状態はなんと、10ヶ月もの間続くこととなる。
その間、KOTYスレにあった事といえば
「数本のクソゲー未満の選外作品」
「およそクソゲーと程遠い、良ゲーとすら言えるタイトルを挙げる、某板からのお客様」
「もはやクソゲーの話題どころかゲームの話題ですら無い、延々と続くスレ違いの雑談」
「それを諌める者との争い」
「鮫」
位なものであった。
クソゲーが出ないまま進むスレ番。もはや存在意義すら問われるスレ。
そんな中、ある者は「平和が一番」とクソゲーが出ない事を神に感謝し
ある者はこの平和に退屈しクソゲーの発売を切望し、ある者は「年末の魔物」の存在に怯え
またある者は「年末の魔物」を強く望み、ある者は遠い修羅の国に思いを馳せるのであった。
もはや今年は“大賞無し”が囁かれる中、仮初めの平和は、音を立てて崩れる事となる……
平和慣れし、もはやクソゲーの急襲など起こりうるはずも無いと、油断しきっていたKOTYスレを襲ったもの。
それはサイバーフロント製Xbox360用ソフト『code_18』(通称:c18)であった。
このタイトルは、今だ名作ADVとして根強いファンを持つ『Ever17』や『Remenber11』等、infinityシリーズの最新作として
満を持してHD機での発売となったアドベンチャーゲームである。
ADVのクソゲーとしては当たり前の要素、誤字・脱字は当然完備。本作はこれに加え
“画像とシナリオが食い違う”という新技を見せてくれるのである。
・「夜の浅草」という描写の画面は「昼の仲見世」
・「天候は回復した」と書かれる画面に降り続く雨
・「真っ暗なお化け屋敷」と書かれる画面に表示されるのは「明るい教室」
・「眼鏡を外してキスをした」彼女の顔にまだある眼鏡
・「目が覚めた」と言いつつ主人公の腕枕で寝続けるヒロイン
・「フリフリなメイドさんだかウェイトレスさんだかの衣装を着てる」と主人公が形容する学園祭のコスプレ喫茶のシーンの画面には全員学校の制服姿の女の子
そして極めつけは、このゲームを一躍スターダムに押し上げた
・ヒロインとスカイタワーからビルに沈む夕日を眺める二人……だが突然画面には夕暮れの浅草寺
である。これにおいてはスレでも発覚後大騒ぎとなり
「実は法力でワープしたのかも」
「浅草寺と書いてスカイタワーと読むんだよ!」等の仮説が立つほどであり
新キャラクター『c18マン』や新名所『浅草寺スカイタワー』
AA『タイムパラドックスダイブ』『必殺!四八浅草寺タイムパラドックスキック』が誕生するほどであった。
そしてこれらがここまで問題視された背景には
“感動的な良いシーンが致命的な演出ミスによってぶち壊されている”
という理由があったことを付け加えておこう。
更にシステム面でもプレイヤーを不快にさせてくれる要素がある。
本作は数人のヒロインが存在するが、選択肢によってヒロインが分岐する仕様ではない。
なんと“週回数によって攻略できるヒロインが完全固定されている”のである。
よって4人目のヒロインを攻略中、バッドエンドに行ってしまいやり直したい
と思った時には、最悪、最初から3周クリアしなおしというハメに陥る事となってしまう。
またシナリオ面においてもいくつかの問題点が指摘される。
「飛行ユニットを作った!よし次はタイムマシンだ!」と意味不明な目標を掲げる主人公。
4周目まではほぼ本筋が進まない為、退屈にさえ感じるシナリオ。
両親の離婚問題を解決するために奔走し、解決に導いたシナリオ。
だが後日談にて「実は仲は良くないまま」「嘘ついた」と語るヒロイン。
シナリオライターの「見所は絆」に対し、「どこが?」とつっこみたくなるとんだ結末である。
そしてシナリオのメインと言えば、物語の根幹を占めるタイトルにもなっている『code』
タイトル通り18まであるのだが、4周目まではcode02までしか発信されておらず
かと思えば5周目になり07〜15までは怒涛の9連打で発信されるという
最後の辻褄合わせに詰め込みました感がものすごい。
この際にはcode受信の実績が解除されるのだが、ここでボタンを連打すると
“フリーズを起こす”という罠も仕掛けられているので要注意だ。
なお、codeは全て妙に短い文で送られてくるのだが、それに対する説明は最後まで無い。
他にも、
・名前の後ろに意味不明の『?』や『@』が表示される
・名前が枠からはみ出て表示されている
・何故か名前も一緒にメッセージウインドウに表示される
・電車から降りたのに電車の効果音が止まらない
・背の高いキャラの顔が上で切れている
・スキップモードが未読シーンも飛ばしてしまう
等、テストプレイをしたのか?と言いたくなるような細かな不具合ゴロゴロ出てくる始末である。
なおこの本作、『infinity』シリーズの最新作として発表されたが
過去作のスタッフは殆ど“参加していない”。
プロデューサーは人気を博した過去作ではただの“デバッガー”であり
プロデューサーが発売日に“Twitterを非公開にした”や
「KIDブランドでゲーム作ってるプロデューサーです」という“紹介文を消す”
という事件があった事も明記しておこう。
「如何にバグと手抜きの積み重ねだけでここまで酷くなるものか」
「全ての要素に酷いものがあるだけで十分推薦したくなる」
とは選評製作者が序文にて強く書き記した一文である。
そしてc18の一撃により開いた城壁に押し寄せる敵兵の如く、年明けまでの約100日間
KOTYスレは誰も予想すらし得なかった怒涛の襲撃を受ける事となる。
c18よりやや間が開いて襲来した第2の刺客
それはD3 PUBLISHER製PS3/Xbox360用ソフト『街ingメーカー4』(通称:待ing・待)である。
こちらもまた多くのファンを抱える、住民との対話による街づくりがメインシステムの『街ingメーカー』シリーズの最新作である。
発展させた街の住人と自由に会話をしながら仲良くなっていき
それぞれの住人たちと親密な関係となることにより様々イベントが発生し
そのイベントによっ更に住人が増えて街が発展していくといった
アドベンチャーゲーム的な要素も備えているというのが、シリーズ一番の特徴であった。
が、その楽しさは発売日、全てが崩壊したのである。
話しかけることすら出来ず、近づくと定型メッセージをしゃべるだけの住人。
いままのシリーズでは付いていた個別の名前まで消えてしまい、もはや住人はただのマネキンの群れと化してしまった。
そして次世代機になり容量も増えたのに、削られる街の施設。
工場の種類は激減し、漁場・農場・郵便局・交番・お墓・歯科・外科・内科病院は完全に消え去った。
そしていまだ残る作れる施設においても、色やバリエーションに違いがほぼ無くなり
住宅街にはまったく同じ色と形の住宅が、ひたすら立ち並ぶ事となったのである。
「HD画質によるリアルな街づくりが可能」という謳い文句もPS2にすら劣るレベルであり
選評製作者曰く「水の描写だけはキレイ」と、褒める所を探すのに一苦労といった有様であった。
住人や街がこんな有様ではする事も無くなり、昼と夜の2つしかないBGMを聞きながら
1日経過でポイントを貰う→建てる→1日経つのをひたすら待つ→ポイントを貰う→建てる→待つ
のループを繰り返しするだけの“待つ”ゲームと化したのであった。通称「待ing」の誕生の瞬間である。
もはやプレイした者たちからは「モバゲーの方がマシ」と言う声まで上がる始末。
それほどまでにゲーム性が薄く、ただ時間を待つだけの作業ゲー。
さらにはこちらでも今世代機の呪縛なのか、DLCの魔の手が忍び寄っていた。
発売から2週間後に配信されたDLC4つのうち3つが有料であり、ただでさえ7140円も出して買ったことに後悔するプレイヤーに追い討ちをかける事となる。
「これ、SIMPLEシリーズじゃないのか?」とは選評製作者が皮肉を込めて言った言葉であるが、SIMPLEシリーズであればどれだけマシだったかと思わざるを得ない。
しかしこの日、攻めてきていたものはひとつだけではなかった。この呪われたかの様な11月23日。
働く人に感謝をと設けられた日に、労いどころか老体に鞭打つような
KOTYノミネートに値するゲームが二本も発売されていようとは……
その2本目、2011年3本目のノミネート、それはアクワイア製PS3用ソフト『グラディエーターバーサス』(通称:剣投資vs・投資)であった。
こちらもまたまた好評を博している『剣闘士』シリーズの最新作であるのだが
この投資、一言で言えば“詐欺と搾取”で出来ているゲームといえよう。
公式PVによると「容姿の組み合わせは10000通り以上」と謳われているが
実際は「種族の違い」以外は殆ど変わり映えのしないキャラしか作れない。
種族・声・頭・顔が3種類ずつ、髪型が6種類、刺青が18種類。
あとは肌と髪の色をカラーバーから選ぶだけなので、3×3×3×6×18の実質2916通り+髪と肌の色選択。
水増しである刺青を除外すると162通り…。
だがどんなに頑張ってキャラの顔を作ったところで、“兜をすれば顔は見えない”のである。
そして難易度からいって“兜をしないという選択肢はありえ無い”という仕様である。
また「所持金・所持アイテム・店の品揃えはキャラクター間で共有できます」
と説明書に書いているにもかかわらず、“実際は共有されていない”。
サポセンに電話すると「仕様です。説明書が間違ってます」という素敵な返答を貰えるようだ。
それではメインともなる「対戦格闘アクション」に目を移してみよう。
本作は基本、「3vs3」のバトルとなるのだが
・わざとやってるんじゃないのか?と疑いたくなるような、味方NPCの自分への魔法の誤射
・コンボの最中に割り込んできて、コンボを中断させる味方
・1対1で戦っているところに他の敵を連れてくる味方。そしてまたも起こる魔法誤射
とまったくもって役に立たないことこの上ない味方のだが
いなければいないでゲームにならないのが腹立たしいところである。
これを回避する手段はひとつ。“オンラインでcoopする事”なのだが
初週売り上げ2700本。夜9時を過ぎると過疎と化すオンラインにおいて、それは望むべくも無いだろう。
ならばキャラを強くすれば!となるのだが、そこで必要となってくるのが、お金。そして“宝石”である。
そしてこの宝石。入手には手間も金もかかるのだが、簡単に手に入れられる方法があるのといえばある。
それは「DLC課金」である。
さてこのDLCコンテンツ。ざっと言うと
・MMOの定番課金「ガチャガチャ」並みのランダム要素を含む「宝石販売」
・3種族あるのに初期で2つしかないキャラクタースロットを増やす「キャラ枠販売」
・アイテムを持てる数を増やす「アイテムボックス拡張販売」
・ゲーム中の敵のキャラの顔の使いまわしの「容姿の追加販売」
等、いままでの家庭用ゲームでは類を見ない
いままではゲーム内にあって当たり前なラインナップがカタログには並ぶのだが
それらをフルプライスのゲームでやってのけるというだけで、本作がどれほどクソかは分かっていただけるであろう。
公式のDLC紹介ページの宝石の欄で、「ライバルに差を付けろ」とプレイヤー同士の課金合戦を煽っている一文があるが
DLCで大儲けを目論んでいた魂胆が見え隠れするのが痛々しい。
なお発売日前、公式サイトにアクセスするとウィルスバスターが反応し
「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」と表示されると言うことがあったことも書き記しておこう。
これはもう、ウィルスバスターの先見の明にただただ感心するばかりである。
『投資』という通称も、皮肉が効いていてとても良いネーミングであるといえよう。
前作まであった「パリィ」と「ドッヂ」を削除して入れた「魔法」
そして頻発するフレンドリーファイア。
まったく爽快感の無いバトル。
課金を煽るだけの制作会社。
このゲームをやめ、中古屋に売ることを「奴隷解放」と言うそうだが
うまいこと言うものだと、賛辞を送りたいと思う。
思いもよらぬ急に湧いた豊作に、正常な流れを取り戻してゆくスレ。
だがクソゲーの神はそこで手を緩めるような優しき者では無かった。
間髪入れずに次の刺客が差し向けられる。
それは誰よりも有名で、誰よりも強い、宇宙最強の戦士であった。
そう、「オラこそが年末の魔物だッ!!!」とcv野沢雅子で再生されそうなその刺客
それはバンダイナムコゲームス製PS3/Xbox360用ソフト『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称:アルブラ・UB)である。
まず、今作では大幅に戦闘システムが変えられている。
例えば従来のシリーズでは、ボタンを駆使したコンボが基本のシステムであったが
今作では連打をすると読み合いシステム、QTE「ストライクムーブ」(いわゆるジャンケン)に突入する。
だが問題はそこだけでは無い。
その後、キャラが一定の距離になると、間合いを離す為にQTE。
吹き飛ばされ、復帰に成功するとQTE。
必殺技を使えばQTE。
攻撃したらQTE、喰らったらQTE、距離詰めようとしたらQTE……
「モウQTEダラケデ、オ兄チャン、生キテル気ガシナインダヨー!」
と古いコントネタを思い出してしまうしつこさである。
「でもQTEはアニメ演出みたいでかっこいいんでしょ?」と思う方がいるかもしれないが、ちょっと待った!
“QTEは全キャラ共通”で、すぐに飽きるのである。
最弱である栽培マンから最強の超4ゴジータまで、みんな同じ動きしかしないのだ。
しかもこの“共通モーション”のせいでピッコロは手を伸ばさないわ、誰を使っても展開が大差無いわで
個性も何もあったものではなく、クソゲーとしての一因を担っているのである。
またこのQTEは前述したとおり、いわゆるジャンケンであり、とどのつまり“運勝負”なのである。
つまり、初心者だろうが熟練者であろうがボタン連打とジャンケンが強い方が勝つ
それが今回のドラゴンボールなのだ。
それ以外にも、「一時は100人を超す程いた操作キャラクターが、本作では34に激減」や
「ぶつ切りのアニメダイジェスト」「男しか作れない上にメイキングの幅が狭いアバターモード」等
良かった所を探すのが難しい程になってしまっている。
キャラゲーでありながら立派にノミネートを果たした本作は、ファンからの擁護も得られない代物であった。
そして年の瀬も差し迫る中、またしてもスレに一本の選評が投下された。
平和であった頃、名前だけは何度か出ていたゲーム。それがついに満を辞して選評にまとめられたのである。
1月27日にすでに発売されていたそのタイトルは
アクワイア製PS3用ダウンロード専売ソフト『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(通称:亡霊)であった。
本作はいわずもがな、あの超有名シリーズ『ウィザードリィ』の続編であり
『剣と魔法と冒険モノ』で3DダンジョンRPGを何作も発売してきているアクワイアの作品である。
が、発売日すぐ、 セーブバグが出来なくなるというバグが発覚する。
幸いこれは幾度かのアップデートで事無きを得るのだが、本当の恐怖は数ヶ月先にて待ち構えていたのだった。
それはシナリオ3が発売されてしばらくの事……本スレにて書き込まれた一文
「どうも敵が強すぎる気がする」
そうなのだ。本作はシナリオ1〜2までは、幾つかの問題点こそあるものの、ほぼ問題無くプレイ出来る。
しかしシナリオ3になるとそうもいかない。どんな百戦錬磨の強者も
「エンカウントしたら即死魔法で全滅」
「エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅」
と、理不尽な敵の猛攻の前に成す術が無かったのである。
その原因はどうやらLvを100以上に出来るキャップの開放にあるようで
本作のプログラムは“Lv2桁まで”を想定して作られた『剣と魔法と冒険モノ』という作品からの流用であるらしく
その結果、プレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで
他の能力は概ねLv99上限のシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対し
モンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していくという、圧倒的な力の差を生む状況を作り出してしまったのだ。
こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら
仕様の穴を突いた裏技を使うか
特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するか
または数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い)
と、本作の問題点をまとめるならば、“テストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さ”であると言えよう。
また本作においてもDLCは猛威を振るっており、“装備品を含むゲーム内で得られるアイテム”が販売されるという
アイテム蒐集が楽しみである本作を根底から覆すような馬鹿な商売を始めたのも
さすが剣投資のアクドイワ、じゃなくアクワイアといえば納得といったところであろうか。
ところでこの本作、2011年1月に『ウィザードリィ ツインパック』が発売されたのだが
12月に全部入り+追加ダンジョン『残魂の迷宮』の入った『ウィザードリィ パーフェクトパック』が発売された。
ここで問題が発生するのだが、『残魂の迷宮』は単品販売をしていないため
これをプレイしたいなら、ツインパックを持っている者も、パーフェクトパックの購入を強いられる。
先に買った者程馬鹿を見る、立派な“完全版商法”である。
しかもアクワイアは2011年9月から10月にかけて既存シナリオの値引きセールを行っており(もちろんパーフェクトパックの存在は伏せたまま)
発売日から順に販売されるまま買っていった純粋なファンの方々には、かける言葉も無い状況である。
そして選評が来る12月までその異常性を誰にも悟られる事無く
10ヶ月もの間隠し通していた猛者がもう一人。
2011年初頭の2月24日に発売されていたそれは
PIACCI製Xbox360用ソフト『Piaキャロットへようこそ!!4 夏の恋活』(通称:pia4・pアフォ)である。
このゲームは古くは1996年のPC版にまで遡る老舗シリーズ
『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズの第4弾として2009年にPC用アダルトゲームとして発売されたものを
18禁要素を削りXbox360に移植されたものである。
このゲーム、SLG(シミュレーションゲーム)部分と、恋愛ADV部分に大きく分類できるのだが
・新入りのアルバイトが人事権を行使する謎のファミレス
・部署「デリバリー」だけを選んでいけば、問題無くパラメーターをMAXにできる謎の新設設計
・エンディング分岐“だけ”にしか関係がない、仕事には一切関係の無い8つの謎のパラメーター
・移動できる全19ヶ所中、10ヶ所は“一切何も起こらないハズレ”である、半分は攻略情報を知らない初心者に対する嫌がらせで出来ている移動選択
と、SLG部分を取ってみると「完全に不要」「一本道のノベルゲーのほうがマシ」と言われる出来である。
と、このように褒めるところのないSLG部分であるが
ではもうひとつの肝、恋愛ADV部分の方はどうであろうか。
恋愛ADV部分=シナリオということになるが…これがまたSLG部分に匹敵する香ばしさを放っていた。
全体的にキャラの感情表現があまり描写されず、メリハリも無く
たまに事件が起きたかと思えば「いつの時代の恋愛ストーリーだよ!」と言いたくなるような
陳腐かつ既視感ありまくりの事しか起こらないイベント。
だがそのたまに起こるイベントにおいても問題はあり
イベントシーンにだけ付随しイベント後は無かった事になる、突然発生するキャラクターの“新設定”。
もう一度言うが、本作は“元は18禁のPCゲーム”であり、その18禁部分を削った移植作品である。
しかしシナリオにおいてその削られた部分を違和感無き様補完するなどという事は一切無く、とられた対策といえば
Hシーン部分になったら“画面を暗転させ時間を飛ばす”、ただそれだけであった。
「本来あるHシーンの時間を丸ごと切り離し消し去る。プレイヤーはその時間を体験出来ないので記憶はもちろん無い」
という某ボスも真っ青の能力でこの難題を切り抜けた結果
プレイヤー本人が気づかぬ内にヒロインと付き合っていたり
あまつさえヒロインを孕ませていたりするという事が起こったりするのだ。
選評製作者は言う。「シナリオのつまらなさこそが、このゲーム最大の問題点」であると。
またこの作品は背景の酷さも度々話題に上がり、スレに上げられた背景絵を見ては
「なんというか…サバンナ?」「廊下の窓がなんか騙し絵みたい」「某魔法少女アニメで見た事ある光景だな……」
という、およそ現代劇の背景の感想とは無縁の言葉が飛び交う事になったのは余談ではあるが
一見の価値はあるので明記しておこう。
その他にも「未読部分まで読み飛ばすスキップ」「突如発生する原因不明のフリーズ」
「セーブ数が増えれば増えるほどロード画面の操作が鈍重になる」など多種多様なクソ要素が存在する
まったくもって見事なクソゲーっぷりである。
以上、プレイした者には「SLGパートがひどい、背景が酷い、シナリオが凄まじく酷い」と言われ
「エロゲーとはエロで抜くものであって、エロを抜くものではない」という
家庭用ゲーム板ならではの名言が生まれたのも、本作の功績であると言えよう。
そして年も明け、総評もいくつか投稿され始めた1月上旬。ついに7作目となる新たな選評が投下された。
スレ住人は「今年も7つ来たか」と、改めて2011年の豊作ぶりに驚き
誰とも無く「七英雄の再来」「七つの大罪」と呼ぶのであった
。
そんな7本目にやってきたクソゲー、それはもはやKOTY常連メーカーが9/1に発売していた
タカラトミー製Wii用ソフト『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(通称:人生・誤当地)である。
本作もまたしても人気ボードゲーム、『人生ゲーム』をゲーム化したもの。
そしてWiiで2作発売され、昨年フルプライス版なのに先の簡易版と殆ど差異がない事で
詐欺ゲーとして話題になった『人生ゲーム ハッピーファミリー』の増補改訂版であり、最新作である。
余談ではあるが、Wiiで発売された2作はそれぞれ、当年のKOTYにノミネートされており
しかもそれぞれが大賞候補と接戦を繰り広げる程の剛の者であった。
そんな親・子・孫の三代で挑むKOTY、天空の花嫁で言えば本命の勇者である今作であるが
その勇者の力の一端を説明していこうと思う。
始めてまず目に付くのが、使えるキャラクターの少なさだろう。
男5人+女5人。これだけである。
更に名前も固定で、顔も服装もデフォルトから一切変化しない。
結婚相手もこの中から選ばれるし、子供に至ってはこの10人の顔パーツを流用した子が産まれてくるというのだから
男の顔をした女の子も産まれてこようというものである。
マップの方も「ボードゲームをリアルに再現しました!」と言わんばかりに一種類しか無く
ミニゲームは存在しない、仕返しマス等の一部のマスが存在しない、天使も存在しないと
あらゆる面で本作も手を抜いてきた模様である。
ゲーム面をとってみても、圧倒的にイベントが少ない本作では
・殆どのマスは片手で数えられる程度のイベントしか発生しない
・初見の4〜5時間のプレイだけで、全く同じイベントを両手で足りないくらい見ることになる
・子供に引き継いでの2週目プレイが出来るのだが、イベントは同じ
と、「どこが増量仕上げ?」と首を傾げたくなる始末である。
本作で追加された「ご当地ネタ」であるが
各都道府県の名産品やら、名所やら、遺産やらを紹介してくれる物であるが
単なる豆知識紹介と言った感じで、“ゲームに影響する事は一切無い”。
「これなら俺の人生の方がまだ面白いのでは」とは、選評製作者の〆の一言である。
ではいよいよ2011年の大賞を発表しよう。
7つのノミネート作から選ばれた、栄えある今年のクソゲーオブザイヤー大賞は……
『code_18』(Xbox360/サイバーフロント)
である。
今年は特出した誰もが満場一致で納得できるクソゲーというものが無く
選ぶのが非常に困難極まった年であった。
どのソフトにも他に負けないクソ要素を含み
人によってはどれが大賞になってもおかしくない接戦であった。
そんな中、シナリオさえ良ければなんとかなる
クソが産まれにくいアドベンチャーというジャンルであり、更に“家庭用オリジナル”でありながら
同じADVにしてADVの本場、魑魅魍魎が蠢く国から来た元修羅のpia4と
互角以上の戦いをしてみせたその強靭さ。
シナリオの周回強制システムにして、その“周回が最も苦痛”であること。
そしてその苦痛を乗り越えた先に待ち受ける、感動のシーンを台無しにする
ADVとして絶対に“やってはいけないミス”を平然とやってのける豪胆さ。
その他、“システム面の不備”により溜まるストレス
大小さまざまな“バグ”にあからさまな“手抜き”。
前代未聞の“逃亡するプロデューサー”。
そしてスレにて誕生した愛されし“キャラクターや新造語”等
昨今のクソゲーに必要な要素が全てつまった、プレイする者から全てを吸い取る
「クソゲーの玉手箱」のような本作こそが一番にふさわしいと考え、大賞にするものとする。
蛇足になるが今回、pia4のノミネートが無ければc18の大賞は無かったかもしれない。
pia4があったからこそ、c18のクソゲーADVとしての地力が評価され
またc18があったからこそ、pia4はその本場のレベルをまざまざと見せ付ける結果となった。
よってここでもう一度、素晴らしい戦いを繰り広げた2作品に、盛大な拍手を送りたいと思う。
永遠に続くと思われた平和な日々から一転、2010年をはるかに超える魔物を迎えた2011年であった。
7つの大きな罪を背負いし作品がしのぎを削る結果となった本年であるが
今回ノミネートされたものの全てが“人気シリーズの最新作”であることは
今のゲーム業界の現状を表しているようで、いろいろ心配にもなろうというものだが
ここは無事大賞決定!ということで、2012年への期待と希望を持って
我々はこれからも楽しくゲームを選んでいきたいと思う。
ではこの方の言葉を持って、2011年のKOTYを締めくくらせていただこう。
C <安心して休め、四八マン。これからは私がこのスレを護る!
(十)
八
前年王者『ラストリベリオン』は、KOTY(クソゲーオブザイヤー)に新たな歴史を刻んだ。
据え置き機ゲーム業界を「重厚長大主義」が支配し、意欲作が生まれにくくなっていた閉塞感……
そんな中で、颯爽と現れた次世代機の新星は、
「物理」の力で挑戦者を全て打ち祓い、KOTY史上初めての先行逃げ切りを達成する。
次々と門前払いを続けるその雄姿は頼もしくもあり、
一方で、ある種の不安をスレ住人達に植えつけていった。
「クソゲーが来なくなった時、我々はどうなるのだろうか」
果たして、その予感は現実となった。
2011年3月11日、日本を未曾有の大震災が襲った。
幾人のゲームを愛する者達が、同志が、志半ばに命を落としたことだろう。
日本中が喪に服し、「自粛」ムードが広がる中で、
ゲーム業界もまた、本来の輝きを失っていた。
クソゲーとはゲーム業界の暗部……
すなわち、光あってこそ濃やかに現れる闇である。
長い長い停滞が、KOTYスレに訪れることとなった。
雲間から光が差し込み、ようやく稲穂が実り始めたのは、実に10月のことである。
サイバーフロントによる恋愛ADV『code_18』(「c18」)。
本作は、神ゲーとして名高い『Ever17』を擁する「infinity」シリーズの最新作である。
だが、「c18(しーじゅうはち)」という略称ゆえの呪いなのか、
発売当日に本スレでは購入者の悲鳴がこだまし、それを尻目にプロデューサーは雲隠れした。
本作の悪評を決定づけた最大の原因は、各場面を台無しにする演出ミスにある。
「真っ暗なお化け屋敷」が昼間の明るい教室だったり、
感動の場面でヒロインの父親の顔が見切れているのは序の口。
「スカイタワー」でヒロインと夕暮れを見つめる場面では背景が「浅草寺」であり、
製作者はデュシャンの「泉」のような前衛芸術でも目指したのかと邪推せざるを得ない。
むろん誤字脱字も完備であり、セリフの表示が丸ごと消えている「脱文」も抜かりない。
シナリオの大筋を解説すると、作中で時間が循環している設定の「ループもの」である。
しかし、あろうことか周回ごとに攻略対象を完全固定しており、さかのぼっての攻略は不可。
BADエンドの分岐に気づかず上書きセーブした場合、問答無用で1周目からやり直しである。
また、表題にもなっている18個の「code」(未来からのメッセージ)であるが、
最終周で思い出したように16個配信され、結局正体がうやむやのまま終わる。
プロデューサーは以前、「code_18はInfinityシリーズの入門編」と発言していたが、
よもや彼ら自身の(ゲーム制作における)入門編を指していたとは誰が予想できただろうか。
こうして束の間の収穫を分かち合うスレ住人たちであったが、この時はまだ誰も知る由もなかった。
立ち込める冬の銀杏の香りに紛れて、
去年姿を見せなかった「年末の魔物」どもがこちらの様子を伺っていたことを……。
12月も近づこうとした時、突如KOTYスレを襲う黒い影が現れた。
D3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(「待」)である。
「街ingメーカー」は、本作で4作目となる人気シリーズ。
その特徴は何と言っても、「街の人々と会話して意見を取り入れながら街を作っていく」
という独自のジャンルを開拓したことにある。
だが本作は、前作まで各建物に入れたはずの主人公がなぜか出入禁止状態になっており、
街の人々は揃いも揃って「家に帰る」「仕事に行く」など、心底どうでもいい内容しか喋らない。
肝心の街づくりパートも、7140円のフルプライスを微塵も感じさせない仕上がりである。
ゲーム本編のBGMは昼と夜の2種類しかなく、建築可能な物件の種類も前作から激減。
学校は小中高大ではなく「総合学園」のみで、郵便局や交番等は存在すらしない。
街を開発するには「ポイント」が必要であるが、中盤以降は一、二個の物件を建てるだけで枯渇。
ゲーム内時間で一昼夜が経過するまでポイントは振り込まれず、その間じっと待たなければいけない。
クリアまではおよそ6時間、それも、その大半は上記の「待ち」時間である。
いつしか本作は「街」づくりゲームではなく、『待』と呼ばれる何かとして扱われるようになった。
それと同日、コロッセオに殴り込んできた狂戦士がいた。
アクワイアより発売された『グラディエーターバーサス』(「剣投資」)。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘型アクション「剣闘士」シリーズの最新作である。
電撃プレイステーションで『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得した本作、
それもそのはず、シリーズの肝である「パリィ」「ドッジ(寸前回避)」の操作体系を削除し、
作品名を無視して舞台設定を中世ファンタジーに変更するなど、凄まじい迷走が見て取れる。
まずプレイヤーが目の当たりにするのは、キャラクター作成機能の前代未聞のショボさだ。
公式PVで謳われている「10000種類以上の容姿」は、実際には首から上のパーツが数種類ずつ選べるだけ。
シワ1本の違いや、左右2組×3色展開の刺青など露骨過ぎる水増しも目立つが、
さらにやるせないことに、ゲーム中は兜に隠れるため、全くと言っていいほど見えない。
実質的なバリエーションはわずか3通り(「種族」)と肌の色しかないのである。
ゲームの内容はと言うと、いわゆるミッションクリア形式であるが、
全編を通して、その場にいる敵を順次殺戮するだけの作業。
ミッション合間に流れるムービーはスキップ不可である。
味方NPCの知能は3歳児並で、ファイナルファイトばりにパーティアタックやコンボ妨害を仕掛けてくる。
また、本作を彩る最大の特徴は、あこぎなDLC(有料ダウンロードコンテンツ)である。
2人より多く自キャラを持ちたければ課金が必要、
異様に小さいアイテム保持数を拡張するには課金が必要、
デフォルト3種類以外の顔パーツを使いたければ課金が必要……
公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」などと課金合戦を煽っているが、
冷静に考えるまでもなく、どれも「出来て当たり前」のことである。
アイテム強化のDLCは今流行りの「ガチャ方式」で、パチンコのごとく射幸心を煽ることにも余念がない。
ともあれ、その商魂を讃え、本作は誰からともなく『剣投資』と呼ばれるようになる。
かのウィルスバスターは本作発売前の公式サイトを
「オンライン詐欺に関係している兆候があります」と喝破したが、とんだ慧眼であったと言えよう。
こうして温まってきた武舞台に、凄まじい「気」と共に飛来する存在があった。
バンダイナムコの格闘ゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(「UB」)である。
本格的な原作再現で人気を集める「レイジングブラスト」シリーズの流れを汲む本作であるが、
何を思ったか、キャラゲーの核であるキャラ数を40人近く大幅削減。
青年悟飯の代わりにキュイがいるなど、無駄にこだわった人選にも疑問符が付く。
だが、それにもまして一番の問題点はQTE(クイックタイムイベント)の濫用である。
QTEとは、平たく言えばボタン入力が必要なムービーであり、
本作においては主に、時間内にお互いが押した二択のボタンで「ジャンケン」勝負を行うものである。
むろんこれでは「運」だけが勝負を決し、プレイヤーの力量は何も報われない。
しかし本作ではこのQTEの頻度が異常に高く、
通常攻撃、受け身、間合いの変更、必殺技と、あらゆる局面で発生。
そのたびにジャンケン、ジャンケン、ボタン連打……と、
懐かしの『ジャンケンマン』並に退行したゲーム性がプレイヤーを退屈の渦に巻き込む。
これらの演出は全キャラほぼ共通であり、キャラの少なさと相まってプレイヤーを瞬時に飽きさせる。
昨今の格ゲーの複雑化に対する挑戦は評価できるが、この出来では幼児はおろかチンパンジーすら満足するまい。
「魔物」たちの熱線に当てられたか、上半期の不発弾も突如誘爆を起こした。
PS3向けDL販売専用ソフト、『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(「亡霊」)。
古典的RPGの金字塔「ウィザードリィ(Wiz)」の再興(ルネサンス)を期して制作された作品である。
「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたい」
製作者たちが掲げた崇高な理念について、以下に検討していこう。
まず《緊張感》である。
Wizの魅力を端的に言えば「隣り合わせの灰と青春」。
全滅やキャラ消滅の恐怖と戦いながら、探索や宝探しを続けていくスリルである。
だが本作では、配信初日から「プレイ中に一切セーブ不能になるバグ」が発見され、
歴戦のプレイヤーも泡を食うはめになった。
次に《悲壮感》。
発売数ヶ月後の新章配信と同時に、本スレには断末魔の叫びが一斉に轟くこととなる。
最終章からレベル制限が取り払われるが、どんどんインフレするモンスターの能力に対して
主人公達の能力は早々に頭打ちであり、遭遇・即・全滅の罰ゲーム状態になるのである。
クリアする方法自体は、「無いわけではない」。
普通にやれば適正レベル到達に500時間かかるが、バグで増やした金で経験値を買う作業に徹すれば10時間。
エンカウント回避のDLCを購入したり、数歩ごとにセーブアンドロードを駆使してひたすら敵を避けても良い。
だが、制作会社がテストプレイすらろくに行なっていない事実は否定しがたく、
続編を待ち続けたプレイヤーたちを深い悲しみと絶望が包むことになった。
そして最後に《高揚》……であるが、
本作は少なくとも、ここにいる一部の好事家たちには熱狂的に歓迎されたと言えよう。
発売元はアクワイア。『剣投資』に続き、2作目のノミネートである。
そして、とどめとばかりに修羅の国の猛者も名乗りを上げた。
『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(「Pia4」)。
F&Cから出た同名のアダルトゲームを、PIACCIがXbox 360に移植したものである。
「Piaキャロ」シリーズ自体は過去に映画化も果たした名門ブランドであるが、
本作及び原作を一言で言えば「没落貴族」。
「陸上競技場」の背景がサバンナにしか見えないなど、
中韓丸投げアニメのごとく崩壊しきった作画が哀愁を誘う。
不定期に起きるフリーズや、既読スキップ周りの不具合もある。
だが、本作の一番の問題点はシナリオである。
もともとエロの「つなぎ」でしかなかった代物から18禁部分を強引に削り取った結果、
ほぼ全てのキャラのシナリオが意味不明な超展開になってしまったのである。
その混沌ぶりたるや、「行間を読め」などという言葉で片付けられるものではなく、
「格ゲーをしていただけなのに、気付いたら彼女ができていた」
「気付いたら従姉を妊娠させていた」
「気付いたら実妹と一線を越えていた」
と、身に覚えのない事実が次々と語られるサイコホラーと化している。
また、恋愛ADVパートと並行して育成SLGパートもあるが、
本作の場合、エンディングの分岐のみに関係し、シナリオ本編には一切関係しない。
「体調」が万全なのに主人公が過労で倒れるなどのご都合主義もさることながら、
白眉なのはパラメータが不足していた場合の共通BADエンドであろう。
「この一ヶ月はなんだったろう」と主人公が一言嘆いて実家に帰るのであるが、
誰かを攻略完了していた場合でもまるで触れず、「ヤリ捨て」と言わざるを得ない終わり方をする。
なお本作の発売日は2月下旬なのに対し、選評が届いたのは大晦日。
それまで潜伏し続けた本作は黒船ならぬUボートである。
決死の覚悟で本作に突入した勇者の、血を吐くようなプレイ手記を、ぜひ参照して頂きたい。
さて、どんじりに控えしは『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ 増量仕上げ』(「人生3」)。
賢明な読者はご推察のことと思うが、前回ノミネートの「人生2」のマイナーチェンジ版である。
申し訳程度のご当地ネタが追加された以外の変更点は絶無であり、相変わらず手間を省きたいという強い意志を感じさせる。
もはや存在自体が紙幅の無駄であり、詳細については前年の総評・選評に譲るべきであろう。
特記事項として、タカラトミーの連続ノミネート記録が5年へと更新されたことに触れておく。
以上、ノミネート7作品の紹介を終えたところで、大賞を発表しよう。
大混戦の様相を見せた2011年、
ゴール前の直線で抜け出し、見事レースを制したのは……
『グラディエーターバーサス』である。
本作が受賞した最大の理由は、クソゲーとしての「逃げ道の無さ」である。
俗に、「捨てる神あれば拾う神あり」と言うように、
本来どれだけ酷いクソゲーであっても、一つくらいは美点を見出すことが出来たり、
あるいはツッコミを入れながら楽しむことができるものである。
本作と最後まで競った作品を見ても、『亡霊』は最終シナリオ以外は概ね遊べるものであり、
『Pia4』や『c18』にしても、少数ながらも「キャラ萌え」を楽しむプレイヤーが存在する。
しかるに『剣投資』は、最初のキャラクター作成からして3分で飽きる代物であり、
序盤は連打しかすることがなく、中盤以降もゴリ押しで同じ行動の繰り返し。
後半はステージの使い回し感が激しく、ラスト二回にいたってはミッション丸ごとほぼ流用。
オンラインでの協力プレイならあるいは……と淡い期待を抱いても、
この出来でプレイを継続する聖人君子がいるはずもなく、発売数日後から廃村状態。
このように本作はどこに活路を見出そうとしても逃げ道がなく、
言うなれば四方をクソで塞がれた「クソの迷宮(ラビリンス)」だったのである。
もしもクソゲーが最後まで現れなかったら……。
そんな諦念が長く尾を引いていた一年であったが、終わってみれば杞憂であった。
最初のノミネートからわずか2ヶ月半で7作品が集結する、カンブリア爆発さながらの事態である。
『c18』、『待』、『剣投資』、『UB』、『亡霊』、『Pia4』、『人生3』。
これらは全てが「シリーズもの」のゲームであり、
概して言えば、旧作から大幅に路線変更した結果の失敗であったと言えよう。
だが、例え今回残念な結果に終わったとしても、各メーカーには今後も奮って挑戦を続けて欲しい。
ゲームはゲーマーに、クソゲーはクソゲーハンターに……
この世に生まれ落ちた全てのゲームは、それぞれ還る場所があるのだから。
願わくは、本年もゲーム業界全ての活力がますます栄えるよう、祈るばかりである。
最後に、2011年の土壇場に垣間見たクソゲー界の底力をここに讃え、この文章の結びと代えたい。
「クソゲーは滅びぬ、何度でも蘇るさ」
(お好みの実況で再生してください)
全世界のクソゲーマーが待ちくたびれた、最低のクソゲーを決める2011年クソゲーオブザイヤー
業界中から選びぬかれた七つのクソゲーが、ようやく出走を迎えます
2011年で一番つまらないのは一体どのゲームか、世界中の被害者が固唾を飲んで見守っています
それではノミネート作品、発売日順で紹介です
1番、亡霊(ウィザードリィ 囚われし亡霊の街)
ウィザードリィからまさかの刺客
フトコロの深いシリーズからノミネートできるクソゲーの実力は如何ほどか
パブリッシャーは携帯の強豪・アクワイア、据え置きでは初めての登場です
2番、pアフォ(Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜)
修羅の国でガッカリゲーと噂の誰得移植
あのSSα<アルファ>が改心した後、後継は我であると言わんばかりのノミネート
ディベロッパーはカクテルソフト、携帯と合わせての二冠を狙わんと気焔を上げています
3番、誤当地(人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ)
残暑の残る防災日、人生ゲームがやってきた
鞍上はやはりお前かタカラトミー、性懲りもなくフルプライスでのノミネート
4番、C_18 (code_18)
伝説を彷彿とさせるネーミングに、悪夢を思い出させる同ジャンル
父親はご存知infinityシリーズ、でも兄弟のエバーセブンティーンとは赤の他人です
騎手は心臓発作を起こしたKIDSから代わってサイバーフロント、ここも赤の他人です
5番、剣投資 (グラディエーターバーサス)
ファミ通で貫禄の低得点を付けられた人気作品
ドッジやパリィと共に爽快感が無くなった最新作
騎手は亡霊も作ったアクワイアの一人二役、二作目のノミノートです
6番、待ing(街ingメーカー4)
シリーズ独自の要素を排除して、同人クオリティを実現させた二番人気
開発は新顔のメディアファクトリー、忍耐深く勝機をまっちんぐさせます
7番、UB(ドラゴンボール アルティメットブラスト)
沸点の高いキャラゲーから、QTEを引っさげてのノミノート
開発はまさかの株式会社スパイク、定評があるのにどうしてこうなった
(パーンパカパンパンパン〜)
一番人気は現金搾取DLC・剣投資
二番人気は手抜き虚無ゲー・待ing
誤字脱字の完備したC_18も注目されています
各作品ゲートインから選評順にスタートしました
まず飛び出したのはC_18、プロデューサーはツイッター非公開済み
続いて剣投資一番人気、味方から魔法で攻撃されている
更に二番人気待ing、プレイヤーが暇潰しの出来る悪ポジション
中央一UBには海外の怨嗟が届いている
一歩遅れて亡霊、完全版商法で現金を搾取中
大きく遅れてpアフォ、何時の間にかヒロインが孕んでいた
最後尾にはお馴染み誤当地人生ゲーム、六年連続ダカラゴミー
さあ、最終コーナー
先頭C_18、二番手内側から剣闘士、外から二番人気待ing
その間を狙ってUBが運任せの戦闘で切り込んだ
QTEだけの幼児退化!あいこの無いジャンケンゲーム!
鞍上が必殺のボタン連打!謎のチョイスでキャラ激減!
戦闘パターンが同じで子供が泣いている!
剣投資動いた、出た必殺のアクドイワフォーム!
容姿の組み合わせ数がPVから遥かに少ない!実際の仕様が説明書と違う!
一週間でオンラインが過疎に!あげくに開発スタッフがプレイヤーフルボッコ!
クソ仕様で有料DLC!ウィルスバスターが公式サイトに反応した!
剣投資強い!しかし待ingが食らいつく
街にひしめくマネキン達!削除された施設の群れ!
フルプライスで有料DLC!誰得特典でドリームクラブ!
更にC_18も並んでいる
明るい教室でお化け屋敷!学園祭で制服コスプレ!
出た伝家の宝刀浅草寺<スカイタワー>、感動シーンがぶち壊された!
電車の音が止まらない!周回固定でヒロイン攻略!
おっと、UBずるずると後退、やはりグラフィックが綺麗なのは褒める所か!
代わりに亡霊が上がってきた!
まだ許容できる前半シナリオから高難易度シナリオで差し込んでくる!
何をやっても全滅する!まともにやると数百時間!
しかしUBよろしく後退してゆく、やはりクソが三分の一なのが響いたか!?
誤当地も上がるが届きそうにない!
やはりユーザーを舐め切った企業姿勢だけでトップは狙えない!
そして何時の間にか大外からpアフォが上がってきた
選評が届いてる!同じADVのC_18を追っての猛烈な追い込み!
攻略キャラが削られた!エロを抜いた所に追加がないので辻褄が合ってない!
SLGパートに意味がない!その子誰の子オーナーの子!?
さあ、残り四作
先頭の三作が上がって行きます
先頭剣投資、出たお約束の改悪パッチ!
強化された味方魔法がプレイヤーの尻を焼く!
しかし待ingも動く
ゲーム性がない!施設がない!
おっと騎手もいない!鞍もない!なにもかも捨て去った身軽さで剣投資と併せ馬!
C18も食い下がるが劣悪シナリオだけでは届かない!
おーっと!大外から一気にpアフォ!大外から一気にpアフォ!
背景が酷い!馬場がサバンナと化している!
キャラが酷い!本スレすら悲鳴を上げている!
意味不明の新設定!お約束のバグ地獄!
更にプレイ手記が届いている!急速に正気を失っている!
pアフォ強い!苦痛が強い!狂気と涙のサバンナストライク!
130キロ恋活<バイト>の怨念を受けてpアフォ、金っ、時間っ、返せええええ―――――――!
――修羅の国のガッカリゲー、色々抜いたら阿鼻叫喚
追加したらバグだけで、地雷踏んだら寝取られゲー
確定しました、一着pアフォ、二着剣投資が入ります
2011年クソゲーオブザイヤーでした、また来年にお会いしましょう
エロで抜いてエロは抜かないように。さようなら。
年始から「ラストリベリオン」が圧倒的な単調さによって不動の門番の座を死守し続け、
果てはそのまま大賞に輝いた昨年のKOTY。
異例の展開を見た昨年から一転、2011年はそのような門番の出現も無く、
KOTYスレには長い「日照り」――いや、平和と雑談の時が訪れていた。
だが、そのうららかさの陰でスレ住人は焦っていた。
「このままでは、大賞どころか、次点作さえ出ないのではないか」
「既にゲーム界はクソゲーすら出ない、不毛の荒野と化したのではないか」と――
2011年も残り少ない10月、それが杞憂に過ぎないということを知らしめる暗雲がスレに忍び寄った。
その暗雲の名は「code_18(以下C18)」(Xbox360・サイバーフロント)である。
恋愛アドベンチャーゲーム(ADV)の金字塔と讃えられる「Ever17」を生んだ
「infinity」シリーズの最新作だが、本作は蓋を開けてみれば
「手抜きと小バグの宝石箱」とでも評したいような出来映えであった。
クソADVの基本とでもいうべき誤表記一つ取ってみても、単なる誤字脱字のみには留まらない。
「天候が回復したと言いながら背景は大雨」
「夕暮れのスカイタワーと言いつつ背景には浅草寺」
など、背景とのズレでプレイヤーの冷笑を誘うトラップが随所に設置されている。
ADVにとって最大の肝であるシナリオも、
恋愛ゲームでありながらなんと周回数で攻略ヒロインが固定されており、
5周前提の筋書きでありつつも4週目までは話がろくに進まない。
タイトルでもある「code=未来からのメッセージ」に至っては
結局どれがcodeなのかも判然としないお粗末さで、プレイヤーを悄然とさせるばかり。
しかも同時発売のPSP版には搭載されている「クイックセーブ&ロード」「ショートカット」
機能が何故か本作では削除されているため、途中で選択をミスした場合
セーブデータが残っていなければ1週目からやり直し。
この悪テンポとイライラを、上記のような誤表記・ボイスと文章の不一致・
効果音の再生バグ等、音声面の不備が後方から煽り立てるのだ。
この水も漏らさぬクソの布陣で、本作は2011年初の本格的クソゲーとして
スレ住人を一気に沸き立たせた。
続いてスレに姿を現したのは、「街ingメーカー4」(PS3/Xbox360・D3 PUBLISHER)であった。
街作りと住民とのコミュニケーションがリンクしたシミュレーションゲーム(SLG)、
「街ingメーカー」シリーズの最新作だ。
過去シリーズで好評を博した「住民とのコミュニケーション」をほぼ排除する、
という斬新すぎる仕様変更が施されており、その結果本作は
「建築用ポイントが約10分に1回もらえるのを待ち」
「交番や郵便局さえ無い町をただひたすら建造しては潰し」
「機械的・一方的に呟くだけの住民が勝手に増えるのを待ち」
という超単調ゲームに大きくゲーム性を変貌させていた。
一応、作った町を眺めることも出来なくはない。
だが、建物に入ることも出来ず、春夏秋冬の区別もなく、経年による変化もなく、
無機質な住民しかおらず、BGMは昼夜2パターンのみ、という箱庭をひたすら
眺めるだけで楽しめるのは、悟りを開いた禅僧くらいのものであろう。
故に大半のユーザーにとっては、建築用ポイントを待つ10分間は読書なりネットなりで
隙を潰しつつ「待つ」しかすべきことが無い。
クリアまで5〜6時間の薄さでありながら、その大半がこの「待ち」であるということから
本作にはいつしか「待ing」という称号が奉られ、以後スレ住人に親しまれることとなってゆく。
これ以後、10月までの「日照り」がまるで幻だったかのように、
KOTYスレには冷たい時雨が降り続くこととなる。
まずは「待ing」と奇しくも同日発売の「グラディエーターバーサス」(PS3・アクワイア)の到来である。
格闘アクション「グラディエーター(剣闘士)」シリーズの4作目である本作だが、
剣闘士たちの戦いに何故か場違いにも「魔法」が導入され、
その代償か過去作で熱戦を生んだ「ドッジ(回避)」や「パリィ(弾き)」などがすっぱりと削除されている。
それどころかダッシュやジャンプすら存在せず
大方は連打ゴリ押しのみで済んでしまう安直な造りとなっているため、
プレイヤーの腕や工夫を見せる余地や必要性がほとんど見いだせない。
それでは追加された「魔法」はどうなのかと言えば、如何せん威力が低すぎ、
味方NPCが背後から誤射して来る時に辛うじて存在感を確認できる、という体たらくであった。
またフルプライス(パッケージ版は6279円)でありながら有料ダウンロードコンテンツ(DLC)を
売らん哉の意図を微塵も隠さない、アクワイアの逞しい商魂も話題となった。
少ないキャラ作成パターン、2枠のみのキャラ枠、宝石1つで1枠埋まるアイテム箱……等々、
ゲーム中の不満を解消するための要素が、総じてDLCで追加販売されているのである。
DLCの中でも、特筆すべきは宝石だ。
装備を強化するためのアイテムであり、収拾・強化には大層な手間とゲーム内通貨が必要となる。
これが「手間を省けるよ」とばかりにDLCとして販売されているのだが、
中身は種類もランクもランダム、しかも一部は出現率が低いというネトゲ廃人御用達仕様。
これではスレ内で「剣『投資』」の呼び名が定着したのも無理からぬことと言えよう。
発売初日から本スレが葬式状態というだけあり、
既にこれだけでも「剣投資」の戦闘力は刮目に値するものであった。
しかし、本作はまだまだ大いなるポテンシャルを秘めていた。
発売1カ月後に行われたアップデートによって、謎の方向へ進化を遂げたのだ。
何故か敵のAIばかりが賢くなり、あの「魔法」は大幅に威力が向上。
相変わらずアホAIのままの味方NPCが、相変わらずプレイヤーの背後をつけ狙う。
ここに本作は、強敵と背後の味方の二つの恐怖に震えるという、
奇抜なスリルを楽しめるゲームに生まれ変わったのである。
さらにフレンド機能なども強化されたが、オンラインプレイは発売1週間で既に過疎化しており、
この奇抜な世界観や対戦を楽しめる猛者が既に少数となっていたことは何とも惜しまれる。
本作はこの後も、公式ブログの微妙対応・発売1ヶ月後にまさかの無料体験版、
などのホットな話題をスレに提供し続けた。
続いて現れたのは、「ドラゴンボールアルティメットブラスト(以下UB)」
(PS3/Xbox360・バンダイナムコゲームス)であった。
かつては微妙ゲーを生み出していた「ドラゴンボール」のゲーム化作品も、
偉大な原作の安定した人気に支えられ、近年では堅実な出来のシリーズ作が続いていた。
そのためUBも期待感をもってファンに迎えられていたのだが……
美しいグラフィック、派手なエフェクト、
ストーリーモードの見事なアニメーションは確かに期待に添っていた。
だがその外見の美しさを以てしても、
あまりの内容の無さを糊塗することは出来ていなかったのである。
戦闘時の攻撃、移動、必殺技、つまりはほぼ全てのタイミングでムービー付きの
クイックタイムイベント(QTE)が挿入され、そのため戦闘はひどく冗長な展開となる。
更に苦痛なのはこのQTEのほとんどが単に運任せの「二択」であり、
対戦アクションゲームらしい技術や駆け引きなどありはしない、ということだ。
たまに他の要素があるとしても、それは単なるボタン連打に過ぎない。
――二択と連打で戦法は3種。ようやくジャンケン並になる驚異の「ゲー無」性である。
いかにキャラゲーとはいえ、21世紀も10年が過ぎた2011年のゲームで、
今更ジャンケン程度のことを行う必要があるのだろうか?
自作キャラをドラゴンボール世界で活躍させられる「アバターモード」も存在するが、
せっかくのアバターの人種は一種のみ、体型は3種のみ、性別は男のみ、
という自由度の低さで、これもまた薄さを感じさせる。
その上アバターにスキルを覚えさせたいなら、あの冗長な戦闘を気が遠くなるほど
繰り返さねばならないという、「修行」ならぬ「無を悟る苦行」が待っている。
キャラゲーの命であるキャラ要素も非常に薄い。
シリーズ過去作では100体以上ものプレイ可能キャラが登場したが、
「UB」の登場キャラ数は各キャラの変身形態を含めても64体に過ぎない。
メンバーの選出も微妙で、青年悟飯や少年トランクス、悟天などの
有名・主要キャラが存在せず、ストーリーも歯抜けになってしまっている一方、
妙なマイナーキャラはしっかり登場していたりする。
また、パンチ・キック等の基本動作だけは再現度が高いものの、
ピッコロの腕が伸びる、などのキャラの個性を生かせる演出はない。
やたらに見るはめになる上述のQTE演出に至っては、全キャラ共通の使いまわしである。
「キャラゲー=クソ」の図式には慣れきっているために
当初は本作のクソ戦闘力に疑念を差し挟まないでもなかったKOTYスレ住人だったが、
選評・プレイ報告が次々届き、この「錦で包んだ空き箱」の実態が知れ渡るにつれ、
次第に「UB=クソ」の評価は揺るぎないものとなっていった。
そして年末迫るクリスマス。漸くスレに訪れた影は――
30年の歴史を持つ古典RPG「ウィザードリィ(Wiz)」の新作、その名も
「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街(以下wiz亡霊)」(PS3・ダウンロード販売/アクワイア)である。
1月の発売以来、11ヶ月間陰に潜み続けて来たその姿はまさしく「亡霊」であった。
本作がかくも長い期間潜伏してきた最大の理由は、
「シナリオ3でのバランス完全崩壊」である。
そもそも高難度で知られるWizの世界では、即死や多少の理不尽さは肯定的にさえ見られている。
また歴史が長い分だけ、深刻な不具合を抱え込んだ過去作も多い。
プレイヤー側もそんな殺伐とした世界に鍛え上げられた猛者が多いためか、
シナリオ1・2の間は劣悪なバランス、処理落ち、セーブ不能バグ等(一部はパッチで修正)
問題は数々あったものの、なかなか表面化しなかったのだ。
――しかし、キャラのレベル制限が取り払われたシナリオ3後半の戦闘バランスは、
そんな歴戦のプレイヤーをも震撼させた。
プレイヤー側のキャラの能力値は「種族基本値+10」で早々に頭打ちとなり、
どんなに鍛えてもそれ以外に目に見えて上がるものはHP程度であるのに対し、
敵側の能力はレベル上昇と共にずんずん上昇していく。
つまりは高レベルになればなるほど、彼我の能力差は絶望的に大きくなるのである。
行動順も敵側がどんどん速くなってゆくため、不条理なまでの超火力・特殊攻撃・即死魔法を
兼ね備えた敵が集団で、ほぼ必ず先手を取って襲いかかってくることになる。
エンカウント即全滅で当たり前、敵行動後に6人パーティ中1人か2人が生存しているなら僥倖、
といった地獄絵図がそこには累々と繰り広げられていた。
200程度の適正レベルに達するか、または数千のHPがあれば
「絶望しかない」状況を脱し「まあ勝てなくはない」域に到達可能とされるが、
そこまで正攻法(戦闘)でキャラを成長させるとなると数百時間を要してしまう。
そのためゲーム内通貨で経験値を買えるシステムを利用し、
「金稼ぎの裏技をキャラ1人につき十数時間行ってレベルを上げる」もしくは
「イベントでひたすらHPを上げる」といった方法が本スレでは提唱されている。
戦闘とレベリングが醍醐味とされるハック&スラッシュ型RPGであるにも関わらず、
鍛え上げられた本スレ住人からさえ「金でレベル上げしろ」「戦闘でのレベル上げは非効率」
という発想が出てくることそれ自体が、本作の常軌を逸した理不尽さを体現していると言えよう。
ちなみにシナリオクリア自体は、逃走とセーブ&ロードによって戦闘を回避するなり、
有料DLCや特定の敵から入手できる「敵出現阻止アイテム」を
利用するなりすれば容易に達成できる。
辺りを徘徊する異常な強さの雑魚に対し、シナリオボスは格段に弱いからだ。
戦闘が主軸のゲームでありながら、クリアのためには「戦闘しない」ことを
提唱せざるを得ないという仕様の本末転倒な不可思議さは、
流石は人ならぬ「亡霊」であったとKOTYスレ住民を頷かせるに足るものであった。
年の瀬も押し迫ったその3日後、KOTYスレに猛然と大雪を降らせたのは
「Piaキャロットへようこそ!! 4 〜夏の恋活〜」(Xbox360・PIACCI)であった。
ファミレスを舞台とした有名18禁AVD+SLG「Piaキャロットへようこそ!!」
シリーズのコンシューマ移植版だが、
本作もまた「亡霊」同様、2月に発売されながら長い期間見出だされなかった伏兵であった。
しかし、その潜伏の理由は「亡霊」とは大きく異なっていた。
コンシューマゲームでは想像もつかぬ低品質ゲームに溢れた18禁PCゲーム界
(通称「修羅の国」)ですら駄ゲー、クソゲーとの呼び声高かった原作から
18禁要素を取り除いて移植した本作は、
手を伸ばす者が誰も居ない典型的な「誰得作品」「見えている地雷」だったのである。
内容も「地雷」の名に恥じぬ爆発力である。
まずはグラフィック面だが、KOTYスレ住人をも唖然とさせた
「サバンナにしか見えない運動競技場」「空間が歪んだ部屋」をはじめ、
この種のゲームにとっては最重要のキャラグラフィックまでが軒並み低品質で、
購入者をして「キャラの半分はできるだけテキストウィンドウから上を見たくない」
とまで言わしめる代物であった。
システム面でも処理落ち・フリーズ・不安定なスキップ機能、セーブ数が増えると
発生する謎の読み込み遅延など、クソADVには欠かせぬ不具合類は無論完備。
エンディング分岐用のパラメータ調整のために設けられているSLG部分は
ほぼ適当プレイで構わない退屈な構造であり、
そもそもパラメータの多くはゲームに大した影響をもたらさない。
このためゲームの半ばを占めるSLG部分の存在意義が非常に希薄であり、
その薄さが「このゲームはゲームデザインが根幹から間違っている」
という事実をひしひしとプレイヤーに実感させてくれる。
ではシナリオ面はどうか。
「シナリオが弱い18禁ゲーからエロを抜く」「攻略キャラを1人まるまる削除」
という大すぎる穴が開いているにもかかわらず、
その穴を埋めるシナリオ調整が全くと言ってよいほど行われていない。
その結果として、半分以上のルートでは特筆すべき事態が
何も起きぬという空虚がプレイヤーを出迎え、
挙げ句プレイヤーも気づかぬうちに主人公とヒロインが恋人同士になっていたり、
ヒロインが妊娠していたりする超展開を迎える。
そのくせ主人公はバッドエンドに陥ろうものなら「仕事以外思い出がない(要約)」とほざく始末。
こうしたシナリオ上の穴がベトコンばりの落とし穴戦術となって、
プレイヤーの士気を根こそぎ奪いに来るのである。
この恐るべき地雷原兼落とし穴地帯に特攻し、A4用紙89枚にものぼる地獄の戦場記録を
書きつづった勇者も現れ、その雄姿にはスレ住人から惜しみない賞賛の声と拍手が贈られた。
波乱の2011年も幕を閉じ、KOTYもいよいよ選考に入るかと思われた2012年1月初め、
何と2011年作品最後の、冬の霹靂がスレに轟いた。
「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(Wii・タカラトミー)
――そう、09年・10年の二年に渡ってKOTYに名を馳せたあの「人生」の再来であった。
前作「ハッピーファミリー」は、辛うじて人生ゲームの体を為している体験版(1000円)
に毛が生えた程度の内容でフルプライス、という驚愕のぼったくり商品であったが、
クソゲーの老舗タカラトミーはその消費者軽視の姿勢を堅実に守り抜き、
我々の前に三たび「ゲー無」を送り出してきたのである。
キャラメイクも無く、ろくな幼年時代も小中学時代も無く、
スリルを高める「仕返しマス」も存在せず、ミニゲームも存在しない。
マスコットキャラであるはずの天使と悪魔さえも存在しない。
イベントで送られるサブマップは無内容ゆえに「流刑地」と呼ばれ、
特定のプレイヤーばかりが同じようなハプニングに巻き込まれ続ける。
そんな単調な毎日の中、数少ないイベントが幾度と無く繰り返されるのを見ながら、
時折各地の名物・グルメ情報を見るだけの「人生」など、誰が望むのであろうか。
味気ない毎日に最後まで耐えきったとしても、プレイヤーを待っているのは
ローリスクハイリターンすぎるギャンブルによってそれまでのプレイ結果が
あっさりひっくり返される、あまりに呆気ない幕切れである。
前作の根本的なゲーム性の無さを何一つ解消せぬままに、誇張や嘘すら含む
微妙なご当地ネタを足しただけで再びフルプライス(6,090円)で発売された本作は、
「また人生か!」という半ば驚嘆、半ば諦めの声をもってスレに受け入れられた。
クソゲーオブザイヤー2011。
秋の気配深まる頃までスレを包んでいた平穏は、今はいずこへ消え去ったのであろうか。
僅か2ヶ月強の間に、数えてみれば7作ものクソゲーがスレに闇をもたらしていた。
そして、見渡してみればその全てが
一定の評価を受けていた「シリーズ」の続編であるという事実。
それは最早シリーズ作にすら安定を求められぬという、ゲーム界の衰弱と絶望の深さを如実に示していた。
それでは、その絶望の最も深い淵に沈む作品――
2011年クソゲーオブザイヤー大賞作を発表しよう。
「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」である。
いずれ劣らぬ悪夢の7雄の中でも、その絶望度は抜きんでていた。
美しいグラフィックも、重厚なシナリオも、魅力的なキャラクターも、よく練られた世界観も、
凡そ他ゲームにおいて要求されるような要素などハナから求められていないのがWizの世界である。
冒険者たちが求めるのはただ自己を錬磨するためのダンジョンと、
打ち倒すべき敵と勝利、そして戦利品のみだ。
しかし「wiz亡霊」が提供するのは――
処理落ちや画面暗転・セーブ不能等、種々の不安がちらつく中での探索を余儀なくされる上、
胸躍らせる仕掛けも謎も関門もろくに無く、不自然に宙に浮くスイッチを探しては
ゲートを開けるだけ、が延々繰り返されるだけの退屈極まるダンジョン。
HPの数倍のオーバーキルを仕掛けてくる雑魚が最序盤からごく当たり前に徘徊し、
シナリオ1後半で既に無理ゲーもしくは運ゲーに片足を突っ込んでいる戦闘。
それはダメージと敵能力の極度のインフレだけで組み立てられており、
プレイヤーが技術や知識で打開できる余地や快適なプレイへの配慮が完全に欠如した
「手抜き仕事」でしかない。
「バランス」「難易度」などと言うのもおこがましいこの劣悪な戦闘システムが、
レベル上昇につれ更に崩壊してゆくのである。
苦痛を感じる感覚が麻痺しきっているはずの歴戦の冒険者にさえ「戦闘は非効率」と
言わしめるそれは、既に戦闘ではなく単なる拷問と化している。
しかも、その拷問に耐え抜こうとすればキャラの種族・職業・戦法もほぼ固定化されざるを得ず、
自由にキャラを育成する楽しみまでもが奪われているのだ。
そして、拷問の果てに手に出来るはずの一縷の光明・戦利品集めの快感をすらも奪いとる、
「アイテムリストの不備のため、アイテムコンプリート不能」という仕様。
どんなに強力な武具も崩壊バランスの中では死亡率を僅かに引き下げる程度の役にしか立たないこと、
最強レベルの武具が商店やDLCであっさり販売されていることも相まって、
冒険者のアイテムへの意欲はがりがりと削がれてゆくのである。
他のゲームよりも遙かに要求のハードルが低く、遙かに寛容なユーザー層が望む
僅かな期待を尽く裏切っていったその姿は、「まともなゲーム」の死から生まれた
「亡霊」そのものであると言っても過言ではなかった。
また本作は、「制作レベルの低さ」についても群を抜いていた。
Wizは要求される要素が少なく、完成された先行作が居並ぶシリーズである。
一からシステムを組む手間など掛けずとも、それらを踏襲しさえすれば一定の評価が得られる。
だが本作は、実際に先行作品のソースコードを流用しているにも関わらず、
考え無しに数値のみをインフレさせ、不具合を増やし、全体を劣化させることしか出来ていない。
手抜きの猿真似すらもろくに出来ていないのだ。
加えて、まともにキャラ育成を行えば数百時間は掛かってしまい、
手抜きで理不尽なだけの内容に付き合いきれず裏技に手を出しても、
それだけで60時間以上をドブに捨てるハメになるという
「時間を浪費させる能力」の高さも、大賞として申し分ないクソであった。
戦闘を回避し続けてだだっ広いダンジョンを歩き回るだけでも相当の時間を要し、
コンプリート不能という情報を知らずアイテムを求め続けた場合には、
冒険者は文字通りの無間地獄を永遠に彷徨う「亡霊」と化すしかない。
このどうにもならぬ「ゲームのようなもの」に対し、
発売元の **A*C*Q*U*I*R*E** ……もとい、アクワイアは、
これ以上の手直しを今に至るまで放棄しており、
あまつさえ直前まで本作の割引販売を行った上で、新ダンジョンを含んだ完全版を
発売するという厚顔ぶりまでも見せつけたのである。
本年、「剣投資」「亡霊」の二大クソを生みだし、
図抜けた商魂で見事クソゲーマイスターの地位を確立した同社には、
古き良きウィザードリィから、あの銭ゲバ寺院の迷文句を借りて一言を贈りたい。
――「楽しいゲーム」という、すでに廃れてしまったのかもしれない古き神の一信奉者として。
「 このはいきょうしゃめ (ゲームかいから) でていけ! 」
2010年、クソゲーオブザイヤースレを襲ったのは、『ラストリベリオン』による蹂躙劇だった。
「レベルを上げて物理で殴ればいい」ですべてを済ますしかないゲームバランス。
薄っぺらいとしか言いようのない、未完成のシナリオ。
買い物どころか住民との会話すらないマップ。
最高級の素材を与えられておきながら、計り知れないクソゲーへと変貌した『ラストリベリオン』。門番による無双というかつて無い展開に、住民達は戦慄を禁じ得なかった。
果たして2011年は、どのようなクソゲーが現れ、どのような展開を持って我々を襲ってくるのだろうか……
そのような不安を抱えながら、2011年KOTY据置は発進した。
しかし、その不安はなかなか実ることはなかった。住民達を待ち受けていたのは、かつて無い規模の大飢饉だったからである。
すっかり目の肥えてしまった住民達に対し、持ち込まれてくるゲームはどれもクソゲーと言うには首をかしげるようなものばかり。
いつしか冬が終わり、春が過ぎ、夏は暮れていった。
「ひょっとして、今年はもうクソゲーは現れないのではないか?」
住民達は希望に胸を躍らせた。たまにはクソゲーのない平和な年があってもいいじゃない。秋の瀬に差し掛かった頃、スレにはそのような意見が散見され始めるようになる。
しかし、住民達は知らなかった。
すでに世に解き放たれたクソゲー達が、すでに自分達を蝕んでいるということに……
10ヶ月に渡る長い沈黙を破り、スレにとあるゲームの選評が届いた。
9月29日、サイバーフロントより発売されたそのゲームの名は、『code_18』。通称「C18(しーじゅうはち)」である。
どこかの伝説級クソゲーと呼び名が似ているが、偶然である。
本作は、神ゲーと名高い『Ever17』の流れを汲むAVG(アドベンチャーゲーム)、『infinity』シリーズの4作目である。
しかし、過去作のスタッフが関わっていないということで、シリーズのファンはある程度の覚悟を持って本作に挑んだとされる。
だがその中身がその覚悟をも粉々に打ち砕くようなものだとは、誰が予想しただろうか。
AVGというジャンルのゲームは、そうそうクソゲーと呼べるほどの物体は現れないということで知られている。
AVGというジャンルは、大雑把に言えばシナリオをその他の要素で盛り上げるゲーム、という一言に集約される。よって、シナリオがよければその他の要素がクソでもある程度の評価は約束されているし、例えシナリオがクソであってもその他の要素で盛り上げることができれば、ゲームとしては及第点が取れる。
だが、この『code_18』というゲームは、その他の要素でシナリオを盛り上げるどころか、その他の要素がシナリオの足を引っ張ってくるのである。
伏線の半分くらいが説明もなされず投げっぱなしになり、練りこみ不足による不整合や矛盾点の多い「シナリオ」も褒められたものではないが、それに付随してくる文章と明らかに齟齬のある「絵」、クイックロード・セーブがなく、ループものにも関わらずヒロインごとにルートが独立しておらず一本道で、途中でバッドエンドを迎えるとセーブした場所によってはプロローグからやり直しになる「システム」。
そして特にひどいのが「演出」である。
電車の音がその後のシーンに跨って延々と流れ続けるSEを皮切りに、天候が回復したと言っておきながら背後では大雨が降っている、薄暗いお化け屋敷という話なのに背後にあるのはとても明るい教室の風景、スカイタワーから夕日を見るというシーンのはずが背景は昼間の浅草寺になっているという背景の指定ミス。
コスプレ喫茶という話なのにコスプレしていない、風呂前だろうが食事中だろうがバッグを離さない、明らかに表示すべきでないタイミングでキャラが現れるという立ち絵ミス。
さらには眠っているヒロインがテキストでは起きているのに、CGではずっと眠ったまま。眼鏡を取ったヒロインとキスをするという場面で、表示されるCGでヒロインが眼鏡を取っていないというCGのミス。
これらのクソ演出が物語の最高潮とも呼べる場面でひたすら挿入されるのである。萎えるというレベルではない。
これほどまでに各要素がひどいと、散見される中学生並みの誤字脱字や、終盤のcode連続受信によるフリーズなどはもうどうでもよくなってくる。
「エピローグにデバッグ担当の名前があるのが信じられない」という本作を検証した住民の言葉が、このゲームのすべてを物語っていると言える。
AVGの体を成していないこのゲームがクソゲーであることは疑いようが無く、住民達はついに現れたクソゲーに身震いした。
だが、これは住民達を悪夢へ誘う物語の、まさに序章に過ぎなかったのである。
奇しくも同じ11月23日、同じ日に生まれ出た双子のクソゲーがスレに降臨した。
双子の片割れは、D3PUBLISHERより発売された、『街ing(まっちんぐ)メーカー4』。
自分でキャラを操作して、自分の作った街を自由に歩き回る事が出来る街づくりSLG『街ingメーカー』シリーズの4作目である。
『街ingメーカー』シリーズといえば、一人ひとりの住民に個性があり、彼らと会話や買い物をすることによって街が発展してゆく、というシステムが好評だったシリーズである。
しかしこの『街ingメーカー4』は、それらの要素はほぼ削除されており、住民達は「ラーメンに行きます」「うどんそばに行きます」等、建物の名前を呟く程度の実にどうでもいい定型文を繰り返すマネキンとなっている。
その結果、このゲームはゲーム内時間24時間(現実時間にして10分)ごとに貰えるポイントを使って建物を建て、あるいは建物を潰し、その様子を眺めるという、凄まじい虚無ゲーと化してしまった。
一応、ゲーム内には住民の不満を解決して街に下りて星を手に入れ、建物を建てるためのポイントをゲットするというイベントがあるにはある。だが、貰えるポイントはごく微量で、クリアできるかどうかはかなり不安定なので、10分待ってポイントを貰った方が効率的で、存在する意味がない。
待ち時間の間に黄色いオッサンを操作して街を散策することも可能だが、できることはそれだけで、他の要素はほぼないと言っていい。
要するに、このゲームをクリアするためにすることは、「建物を建てた後、10分間他のことをして時間を潰す」という、自分の存在意義を問いたくなるような行為を5時間ほど繰り返すことだけなのである。もちろん、スキップ機能や早送り機能などというものはない。
建物のクオリティが高ければまだマシだったのかもしれないが、本作のグラフィックは次世代機にしてPS2並、テナントの種類も少なく、老朽化や発展もせず、建てられる建物の種類も「学校が一種類しかない」など、痒いところに手が届かない。
おまけに操作性が悪い、ロードが長い、プレイ中に聞けるBGMが朝と夜の2つしかないなどの細かなクソ仕様が上記に加わり、非常にイライラさせられる。
クリアまでの5時間のほとんどが「待ち時間」である本作は、「待ingメーカー」と呼ばれ、「虚無ゲー」としての地位をスレの中で確立していった。
双子のクソゲーのもう片方は、KOTYというコロッセオに降り立った剣闘士、アクワイアより発売された『グラディエーターバーサス』である。
古代ローマの剣奴をテーマにした対戦アクションゲーム、『グラディエーター』シリーズの4作目である。
が、今作からはファンタジー要素である「魔法」の概念を取り入れ、世界観も一新。古代ローマの剣奴ではなく、ファンタジー世界における傭兵にテーマを変更している。その影響で、前回まで好評だった寸前回避アクションの「ドッジ」、相手の攻撃を弾くアクションの「パリィ」といった要素は削除された。
では、そうして路線変更を測った当ゲームがどのようなものなのか、見てみよう。
まずは公式に「組み合わせは10000種類以上」と表記されるキャラクターメイキングが始まる……が、その種類は種族3×顔3×頭3×声3×髪型6で、486通りしかない。
一応水増し要素の刺青18を入れれば8748通りにはなるが、それでも10000通りには届かない。のっけから宣伝詐欺というジャブを入れてくるあたり、このゲームのただならぬ実力を感じさせられる。
ちなみにこのメイキング、実際のキャラは鎧兜を身につけるのでゲーム中に中身を見ることはほぼない上、兜を破壊されるなどしたら女性キャラであってもハゲになったりするが、まぁ些細なことなので気にせず次の説明に行くことにする。
キャラクターメイキングが終わると、ゲーム本編が開始される。ゲームは難易度ごとにミッションを選択し、ストーリーを進めていくスタイルである。
しかし、ミッションはどれもこれも3vs3を何度か繰り返すだけで、非常に単調である。ステージは24面あるが、背景も使い回しが多く、ミッション選択時に非常に読みにくい文字で表示されているストーリーが進んでいるのかどうかもよくわからない。
戦闘はできることが少なく基本的にゴリ押しで、スキルの無い序盤はひたすら同じ部位を攻撃し続けなければ鎧が破壊できずダメージが与えられない。そのため、同じ攻撃をひたすら連打することになる。防具破壊によるエフェクトなどないので、爽快感など微塵も無い。
にも関わらず、頭の悪い味方が非常に高い頻度で魔法を誤射してきてコンボを中断させてくる、敵を引き連れて1vs3にしてくる……否、味方は邪魔をしてくるので1vs4以上の状況に置かれるなど、味方AIの頭脳が非常に残念なことになっており、ストレスフルな戦闘となる。
一応、スタイルや攻撃部位、立ち回りの工夫など本作独特の駆け引き要素はそれなりに豊富にあることが有志による検証で判明したが、やはり大半の人間にとっては連打によるゴリ押しゲーになり、またそれで十分であることも証明されてしまった。
このように同じような使い回しミッションを延々とさせられた果てに報酬が得られるのだが、装備を強化するためや、何故か敵が落としたアイテムを手に入れるにゲーム内通貨を使う。
また、持っている武器防具も頻繁に壊れたり、武器防具の強化のために必要な宝石のドロップが異常に悪かったりして装備関係にも頭を悩ませる必要がある。
と、戦闘はおろか、報酬場面でも非常にストレスフルである。
オンラインプレイに活路を見出そうにも、発売後一週間でオンラインは過疎化したので、協力プレイも対戦プレイもほとんどすることができず、検証すらままならない。
発売直後の数少ない報告では、誰かが立てたはずの部屋に人がいなかったり、プレイが開始されても他の人はプレイ開始されていなかったり、解散するときにフリーズしたりする上、装備変更などが部屋を出ないと行えないなどの不満点が存在した。
12月に入ってパッチが当てられたようだが、人がいないのでこれらの要素がどうなったのかは不明である。
また、このゲームを語る上で外すことができない要素がある。
ダウンロード・コンテンツ(DLC)である。DLCとは、ネット上でリアルマネーを払うことで、そのゲームに関する特典を購入することができる、というシステムだ。
本作ではアイテムボックスの拡張、キャラスロットの拡張など、フルプライスゲーならば最初から入っているべきではないかという要素に加え、手に入る宝石がランダムの「装備強化用の宝石セット」というものが売ってある。いわゆる無料ネットゲーによく見られる「ガチャガチャシステム」である。これをフルプライスゲーのDLCとして出しているのだから驚きである。
しかも宝石の出現率は非常に偏って設定されているらしく、6000円つぎ込んでも一番重要な宝石が出なかったりする。
「ライバルに差をつけろ」などと公式サイトでプレイヤーを煽ってくるあたり、「DLCを売るために意図的にクソ仕様にしたのではないか?」という疑念がつきない。
ウィルスバスターに「オンライン詐欺に関係している可能性があります」と警告されるその逞しすぎる商魂を称えて、スレではこのゲームを『剣投資』と尊称するに至った。
これ以降も、12月22日にパッチがリリースされるが、敵のAIが強化されたのでごり押し中のイライラがさらに増し、魔法も強化によってフレンドリーファイアをしてくる味方への殺意が大幅にアップする、発売日から1ヵ月後に体験版を配布する、オンラインに珍しく人がいると思ったらスタッフが最強装備キャラでプレイヤーをボコボコにしている、さらにはスタッフが後日ツイッターで「この経験を今後に生かしたい」などと呟いたりするなど、とにかく盤外の部分で話題に欠かないゲームとなった。
この双子のクソゲーの登場にスレが恐怖してから間もない12月8日、意外すぎるタイトルが溶けた氷の中から現れた。
バンダイナムコゲームスより発売された、『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(以下UB)。『ドラゴンボール』シリーズの、次世代機に入ってからの4作目である。
『ドラゴンボール』といえば国内に知らない人間はほとんどいない超有名漫画であり、それを原作とするゲームも多数作られている。玉石混合という言葉の合う『ドラゴンボール』のゲーム群であったが、次世代機に入ってからの『レイジングブラスト』シリーズはまぁまぁ安定していると評判であった。
そこから突然、「私のクソ度は53万です」と言わんばかりの圧倒的クソゲーが現れるとは……
まずは、『UB』の褒めるところを褒めておこう。
まず、映像が綺麗で迫力がある。圧倒的なグラフィックは今までのどのドラゴンボールシリーズをも上回り、新規アニメなどを交えたド迫力の戦闘を我々の前に見せてくれる。
以上である。
ゲーム部分を擁護するものは一切ない。
このゲームでは、少しコンボを繋げるとクイックタイムイベント(以下QTE)と呼ばれるショートムービーが挿入される。これが通常技、必殺技、果ては移動をするたびに何度も何度も発生し、戦闘のテンポを非常に悪いものにしている。
またQTE内部のコマンド入力も問題で、基本的には2択のじゃんけんである。
じゃんけんに勝つとそのままコンボが続く、ないし必殺技を打つ、フィニッシュブローを放つなどで相手にダメージを与えることができる。
……ここまでで嫌な予感がした貴方はなかなかに鋭い感性を持っている。
そう、『UB』における戦闘というのは、ひたすらにこのQTEの繰り返し、すなわち「2択じゃんけんの繰り返し」なのである。当然、そこに「対戦アクションゲーム」としての駆け引きなどほとんどない。必殺技の打ち合いでは違う操作が加わったと思ったら、ただの連打勝負だったりする。勿論、そこに上手くなる要素など微塵もない。
対戦とは何か、アクションとは何か、このゲームはそれに当たるのか、という哲学的・法学的な問いかけを思い浮かべずにはいられない。
通常戦闘以外にも問題点は山積みである。
『UB』の登場キャラクターは64人。対戦ゲームとしてはかなり多いのではないか、と思うかもしれないが、ぶっちゃけるとこれらのキャラの中身は同じである。
ピッコロだから腕が伸びるとかいった要素は無い。使い回しではないのは通常モーションと必殺技くらいで、他のモーションはほぼ同じである。もちろんダメージにも違いはなく、原作最強の超4ゴジータも原作やられ役筆頭サイバイマンも同じようなモーションでダメージを与え、同じように吹っ飛んで同じようにダメージを受けることができる。
「力を入れた」とスタッフが称するストーリーモードでは、青年悟版や少年トランクス、悟天などの主要キャラクターが何故か抜け落ちており、原作ストーリーを全く追えていないぶつ切りストーリーが展開される。
また、原作に沿ったQTEが戦闘の途中でバリバリ挿入されるが、このQTEで求められるコマンド入力をミスすると、ダメージを受けた後同じムービーが最初から流れ直し、コマンド入力をやり直すことになる。大猿べジータが何度も太陽拳を食らって「ぐあああああー!」と叫んだりするのは「お前には学習能力はないのか?」と問いただしたくなること請け合いだ。
ちなみにQTEでフィニッシュを決めてイベントに突入すると、悟空が分裂するなどのバグが起きることも判明。ストーリーがそのまま進行するため、非常にシュールな絵面が展開される。
ストーリーモードではこの退屈極まるムービーゲーを3回ほど行わなければならない上に、ドラゴンボールを探すためにマップを虱潰しに探さなければならないキャラも存在。プレイヤーのストレスはさらに加速することになる。
目玉の巨大キャラとの対戦も、やっぱりQTE中心なので10分で飽きる。
そしてコンプリートのためには、この作業を50周ほど行う必要がある。
また、本作には新しい試みとしてプレイヤーの分身をドラゴンボールの世界に送り込むことができる「アバターモード」が存在する。自らの分身を操ってドラゴンボール世界を満喫できる、という素晴らしいアイディアなのだが、素晴らしかったのはアイディアのみで、サイヤ人しか作れない、キャラクター構成パーツが著しく少ない、女性は作れない、修行の内容が苦行でしかない、ストーリーはなくやることは単調な上記の戦闘を繰り返すことのみ、と非常に残念な出来栄えである。
『剣投資』と同じくオンライン対戦に活路を見出そうとしても、あまりの駆け引き要素のなさに勝利してもまるで勝った気分になれず、またラグが頻繁に発生し、切断が起こりまくるくせに切断が起これば双方に切断ペナルティが科せられるなど、まったく救いがない。
序盤こそムービーを鑑賞して楽しめるかもしれないが、同じムービーばかりなので30分もプレイすれば飽きる。
あまりのゲーム性の無さに「ムービー鑑賞ゲーム」とこのゲームを定義する者もいたが、そうなると今度はQTEによる操作が邪魔であるし、本作に収録されているアニメはぶつ切りなのでアニメのBDを買ったほうが遥かに有意義であるという存在否定が待っているなど、本作は「どうしようもないクソゲー」としての地位を確立するに至るのだった。
クソゲー達による怒涛の進撃は留まることを知らない。
続けて現れたのは、アクワイアより発売されていた『ウィザードリィ 囚われし亡霊』(以下、亡霊)である。1月に発売されたゲームが、長い潜伏期間を終えて年末に不意打ちを仕掛けてきたのだ。
『ウィザードリィ』シリーズといえば、ゲーム好きの間で知らぬ者はいない、ダンジョン探索型ゲームの金字塔とも言える存在である。いろいろと詳しい説明をしていると日が暮れてしまうので手短に話すが、wizの魅力は良バランスに設定された戦闘と、ダンジョンを探索しアイテムを収集するやりこみであり、JRPGほどシナリオは重視されない。
そのため、少し難易度が高かったり、ストーリーが駄目であったりしても、「まぁwizだし」で片付けられることがほとんどなのである。本作も、発売日の当初はセーブバグで若干の論議はあったものの、パッチでおおかた修正され、たいしたクソゲーではなかったと判断されていた。
しかし12月に入り、当初ではわかり得なかったこのゲームの特徴が、選評者によってもたらされたのである。それは戦闘バランスを売りにするwizというゲームで起こってはならない、ハイパーインフレによる戦闘バランスの崩壊であった。
本作はシナリオ1からシナリオ3までが順次ダウンロード販売されており、シナリオ1からすでにおかしい戦闘バランスを指摘され始めていたが、酷評されてはいたものの、訓練されたwiz民を屈服させるほどの出来ではなかった。
異変は、本作のシナリオ3という場面に入ったところで起きる。
シナリオ3に入ると同時にレベルキャップが99から299に開放されるのだが、このゲームは他のレベル99までしかないゲームのシステムを流用しているらしく、味方のステータスがレベル99に到達するまでもなくHPと耐性以外は最高値に達するのに対し、敵側の能力はそんなことはお構いなしにモリモリと上がってゆく。
結果、終盤になってくるとバランスは完全崩壊。エンカウントしたが最後、味方よりも圧倒的に早い敵の先制攻撃で、成す術も無く全滅してゆくしかない。味方モンスターの活躍などで全滅を免れることもできるが、その場合もPT全滅がPT6人中4人死亡になるくらいで、焼け石に水である。
この状況をなんとかするためには、500時間というモンハンもびっくりのプレイ時間を使ってレベルを上げるか、裏技を使ってレベルを上げる(それでも一人につき10時間かかる。PT合計で60時間)、あるいは、DLCやレアモンスター狩りを行って手に入るエンカウント回避アイテムを使う、最終手段として、敵に会わないように数歩歩いてセーブを繰り返す。と、いくらwizだと言ってもあきらかにおかしい手順を踏まなければならないのである。ちなみにこうして辿り着いたラスボスは雑魚とは比較にならないほど弱い。
クリアできるならいいじゃん、という指摘があるかもしれないが、そもそもwizはダンジョンクリアが目的のゲームではないということは先述の通りである。
また、wizにおける目的であるはずのアイテム収集も、絶対に入手不可能なアイテムがリストに混入しているためにコンプリート不可能という事態に陥っている。ついでにレアアイテムもだいたいDLCで売りに出されており、レアアイテム入手の喜びも、「これ、300円で売ってるんだよな……」という脱力感に襲われることは必至である。
この意味不明な戦闘バランスとアイテムコンプ不可能という仕様は、訓練されたwiz民でさえ「我々の業界でも拷問です」とばかりに匙を投げるしかなかった。従来のwizには難易度に対応する様々な対抗手段が存在していたが、本作にはそのような要素はない。
勿論これら以外にも問題点があり、キャラグラフィックと異なる音声が再生されたり、ダンジョン内で意味不明の処理落ちが起きたりするなどの細かいバグも完備。小ネタでプレイヤーの精神をじわじわ削ることにも余念がない。
繰り返すが、wizというゲームに求められているのはダンジョンのハック&スラッシュ、つまり戦闘とアイテム収集である。単純な構成で済む上に参考になる偉大なる先人たちが無数に存在する中で、一般ゲーマーに比べて沸点の遥かに高いwizプレイヤーに匙を投げさせるという現実は、このゲームがいかに筆舌に尽くしがたいクソであるかということを如実に表している。
奇しくも、「緊張感(全滅の危機)」「高揚感(メーカーへの怒り)」「悲壮感(プレイヤーの嘆きの声)」 の三つを提供する、という、ある意味宣伝どおりの内容である本作。
シナリオ1〜3をDL販売した後、追加シナリオを含めたパーフェクトパックを別口で販売するなど、相変わらず商魂に溢れた売り方をするアクワイアは、『剣投資』の件と合わせ、スレ内で「アクドイワ」という蔑称が定着してしまうに至るのだが、それはまた別の話。
選評が出揃い、総評の作成に取り掛かろうとしていたスレに、大晦日を狙ったかのように襲撃をしてきたクソゲーがあった。
PIACCIより2月24日に発売された『piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜』(通称pia4)である。
ちなみに恋活と書いて「バイト」と読む。
かつて『ときめきメモリアル』シリーズと奇妙な縁があることで、一部で話題となった『piaキャロット』シリーズのナンバリングタイトル4作目である。
発売日が2月であるにも関わらず、これほどまでに選評が遅れてしまった理由は、「買う人間がどこにもいなかったから」という理由だった。
原作は「修羅の国」として名高いエロゲー業界のもので、今作はよくある「エロゲーから××シーンを抜いてコンシューマ向けにした」移植ゲーである。
大半のエロゲーからのコンシューマ移植は高評価を受けた作品によるものなのだが、本作は「パッチなしでセーブできるとか良ゲーじゃね?」という台詞が飛び出す修羅の国の住民をして、「エロ以外に評価できる点がない」と言わせしめた原作から、その唯一評価されているエロを抜いて発売されるということで、発売前から異臭を放っていた。そのため、突撃者はごく少数で、話題には出ていたものの、ここに至るまで誰も触れようともしなかったのだ。
しかし、とある勇者達の突撃により、その恐るべき全貌がここに明らかとなった。
C18の時にも持ち出したが、AVGというゲームは「シナリオをその他の要素で盛り上げる」という一言に集約される。C18の場合はこのその他の要素が壊滅的だったわけだが、pia4の場合、その他の要素もそうだが、シナリオが壊滅的だった。
修羅の国の住民が語った通り、そのシナリオは非常にチープで、場当たり的である。
新しく出てきては忘れ去られて全く触れられなくなる設定。バッドエンドを迎えるとヒロインとキスしてようが××してようが「何も思い出を残すことはできなかった」とほざく主人公。男嫌いのヒロインの目の前で幼女が溺れていたから助けた→素敵! といった、頭を抱えたくなる展開がプレイヤーへと押し寄せる。
さらに問題なのは、カットしたシーンへの対処である。
本作はコンシューマへの移植に際し、××な場面をカットしてお贈りしている。コンシューマ化に際して避けては通れない道だが、ほとんどのゲームでは、その××な場面に代替する要素(代わりのイベント、追加イベント、追加キャラなど)を用意してあるのが通例である。
しかし、pia4にそのような親切要素はもちろんなく、やられているのは「××な場面を含むイベントを全カットする」というとんでもない手法だった。
この手抜き手法により、元より薄っぺらいシナリオがさらなるカオスを生み出したのである。
ヒロインと格ゲーした → 続きをするために家に行って格ゲーした → 次の日になったらなんか男女の仲になっていた → さらにしばらくすると何故かヒロインが妊娠した(完)
ヒロインと何故か仲良くなった → ヒロインが仕事で失敗し、辞めると言い出した → オーナーがなんとかした → 主人公がバイトを辞めた後、ヒロインが妊娠した(完)
といった、今年でもどこかで見たかのようなぶつ切りシナリオがプレイヤーを熱烈に歓迎してくれる。しかもこれが8キャラ分存在するのである。コンシューマ化に際し、キャラクターの攻略ルートが1人分削れているが、これが救いに見えるほどの出来というのは凄まじい。
シナリオ以外の要素も「ひどい」の一言である。
本作にはAVGパートとSLGパートがあり、SLGパートで主人公のステータスを上げることができる。が、このSLGパートによるミニゲームで上がる主人公のステータスは、エンディング分岐以外に何一つ影響しない。ステータス次第で特殊なイベントが起きるということもなく、一本道のキーとなるイベント(エンディング含)に際して、ステータスが足りなければバッドエンド、というシステムなのである。邪魔以外の何者でもない。
セーブファイルの数が増えるとセーブ・ロードの挙動が一気に重くなり、たまにフリーズするようになるので、セーブファイルの数はできる限り押さえなければならない。そのため、一度バッドエンドを迎えたら素直に最初に戻ってやり直した方がいい。もちろん、SLG部分はスキップできないので、ひたすらイライラしながらステータスを上げ、詰まった部分まで(場合によってはエンディングまで)進まなければならない。ちなみにスキップ機能はたまに暴走を起こし、未読部分も含めてスキップするようになることもある。
AVGパートにのみ絞ったとしても、バックログが一つ前のメッセージを順繰りに表示するという凄まじく使いにくい仕様で、前の会話を確認することもままならない。当然のごとくクイックセーブ・ロード機能はない。選択できるファミレスの衣装がセーブ・ロードのたびにデフォルトに戻るなど、不備が非常に目立つ作りになっている。
キャラ絵はヒラメ顔のキャラや立ち絵の不安定さが目立ち、選評者をして「テキストの上はできる限り見たくない」と言わせしめる程度の出来。陸上競技場の場面でサバンナのような背景が現れたり、キャラクターのボイスが発生しない場合があったりと、C18ほどではないが、演出面も褒められたものではない。
ついでにXBOXLIVEに接続したり切断したりすると、オンライン要素があるわけでもないのに強制的にタイトルに戻されるという謎仕様も存在する。
ごらんの有様であるが、このゲームは過去にもあった「負の吸引力」のようなものを持ち合わせていたのか、検証のために多くの勇者が突撃を敢行し、多くの爆死者を出したことも追記しておこう。
悪夢のような年が明け、総評が投下されてゆく季節となった。
しかし、クソゲーはそのような平穏な時間を狙って来訪してきたのである。
遅れてきたそのクソゲーの名は……タカラトミーより9月1日に発売された『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。
思わず「またお前か」と叫びたくなるほどの、KOTY常連の『人生』シリーズ。9月に発売されたらしいこのゲームの内容が記されたその選評には、恐るべき人生ゲームの系譜が書き記されていた。
まず、2010年KOTY次点にノミネートされた前作『人生ゲーム ハッピーファミリー』からまるで成長していない姿が目に飛び込んでくる。
プレイヤーは10種類のキャラのどれかを選ぶ。名前もパーツも変更できない。
マップは全1種類で、「職業」「恋愛」要素は極少。
「ミニゲーム」「カード」「学校」などの復活もなし、シリーズお馴染みの天使の復活もなし。旧世代機種でできていたことも悉く実装せず。
使えて当然のMii機能は相変わらず隠し要素。
一周目からネタ切れを起こすイベント。
これらの要素は前作の選評でも判明していたことであるが、今作は有志による突撃により、さらに検証が進むこととなった。その結果。
ミニマップのイベントが数種類しかなく、これでもかというくらいに被る。しかもCPUは優先的にミニマップに行こうとする。
「おじゃましマス」による他プレイヤーへの攻撃が、何故か一定のプレイヤーに偏る。体感ではなく統計的に明らかに偏る。
金券や株は変動せず、存在する意図がほぼない。
後半になると収入等がインフレするため、序盤のお金稼ぎはほぼ無意味。
というか「最後のギャンブル」ですべて逆転可能なので終盤の人生すらほぼ無意味。
そうして算出された順位発表では最終資産が表示されない。
などのクソ要素が次々と発掘され、「去年の時点でもまともに検証されていれば間違いなくラスリベや√と大賞を争っていた」と評された。
唯一の希望、追加要素の「ご当地ネタ」は、各都道府県の名産やら名所やら遺産やらを紹介してくれるというものだが、その内容は「○○では△△っていう食べ物が有名なんだ! おいし〜♪」「ここにはこういう方言があるんだ! また一つ賢くなったぜ!」といったスイーツ(笑)以下のものであり、2007年を制した伝説級クソゲーと似た臭いを醸し出すことに成功している。
「マイナス50点のものに1点の追加要素を加えてもマイナス49点なんだよ!」とはスレ住民の声であるが、このご当地イベントによって元々あった数少ないイベントが潰れているので、「この追加要素はマイナスなのではないか」という議論すら沸き起こる始末である。
こうして、KOTY常連、強豪タカラトミーが、今回も危なげなくKOTYに名を連ねることとなった。
以上、奇しくも豊作で知られる2008年と同数の7本のクソゲーが出揃ったところで、今回の大賞を発表するとしよう。
史上稀に見る激戦となった、今回のKOTYを制した作品……それは『ドラゴンボール アルティメットブラスト』である。
「七つの大罪」とも評された今回の7本のノミネート作は、すべてがシリーズものの最新作ということもあってか、どの作品もある程度擁護できる点……否、相撲における「物申し」に当たる点が存在した。
『C18』は、文章や演出はともかくプロットそのものはまぁまともであり、声優の演技や背景のクオリティはそれなりに高い。
『剣投資』は、ゲームとしては少なくとも『UB』よりは選択肢も自由度も上であり、ゴリ押しゲーの中にも面白さを見出せる。
『待ing』は、一応建物を建ててそれを町人視点で眺めることができ、レゴブロックや積み木のような楽しみ方をすることは可能である。
『UB』は、ムービーが綺麗である。
『亡霊』は、シナリオ2まではなんとか遊べるという点と、強い敵は「神にも匹敵する」とか書かれているので、そのあたりは一応整合性も取れている。
『pia4』は、女の子と恋愛らしきものはできるし、キャラクターデザインや制服デザインはそれなりにかわいい。
『人生』は、人生ゲームっぽいボードゲームのような何かをすることは可能で、前回と比べるとパワーアップしている感じがする。
といった具合である。しかもこれらのノミネート作はジャンルがほとんど被っておらず、比較は困難であり、スレッド内ではゲハと思わしき煽りも交えた混沌とした大賞論争が激化し、殺伐とした雰囲気に包まれた。
クソ要素としてはどの作品も横並びであり、決め手に欠ける中、『UB』を選んだ理由は、「いかにゲームとしてクソか」という点での審査を行った結果である。
他の候補がゲーム部分を擁護されているのに対し、『UB』の擁護点は「ムービーが綺麗」という一点だけである。
しかしながら、ムービーや見た目が綺麗かどうかというのは、結局のところその作品が着飾っている外面に過ぎない。
グラフィックが重視されるゲームが存在し、本作にはそのような要望が存在するのも確かであるが、曲がりなりにも「対戦ゲーム」を名乗る以上、外面だけでなく、内面も備わっていなければならないのは当然のことだ。
外面だけは美しいウンコに触りたいと思うだろうか? 答えは否、断じて否だ。
申し訳程度の通常戦闘と二択のじゃんけん、連打しか駆け引き要素が無い本作は「対戦アクション」とジャンルに銘打たれており、「対戦格闘」ではない、という指摘があるかもしれない。
しかし、たとえ「対戦アクション」と定義しても、QTEの連続には「アクション」要素などない。
そして「対戦」要素は2択じゃんけんとたまに出てくる連打のみである。
確かに広義から見れば「対戦」かもしれないが、勝利してもカタルシスすら得られない「対戦」に価値を見出すことは困難である。
古今東西、他人と競い合いをする「対戦ゲーム」と呼べるものは星の数ほど存在するが、これほどまでに駆け引き要素のない「対戦ゲーム」がかつて存在しただろうか。
よって、「対戦ゲーム」としてまさに「理論上の最低値」に限りなく近いクソである『UB』は、他のノミネート作と比べ、形容するならば「ゲームとしての得点」に当たるものが最も低いと判断し、ここに2011年度版KOTYを与えることとする。
「七つの大罪」という大災害に見舞われた本年は、こうして幕を下ろした。
悪魔達の襲撃に勇敢に立ち向かい、散っていった者達に、もう一度惜しみない感謝を伝えたい。
罪が許されるそのときまで、勇者-クソゲーハンター-達は戦い続けるのだろう。
願わくば、今年こそはこれらの罪が浄化され、クソゲーの無い平和な世の中にならんことを……
………
……
…
悟空たちがKOTY2012へと向かう日…。体調が1ポイント回復する。
「悟飯、おめぇこの一年間どうだった?」
「楽しかったよ。ボクも成長できたし。」
「ふーん。ほんとこの一年はなんだったんだろ。よくわかんねぇや」
「またこようね、お父さん!」
「そうだな、またクソゲーしにくっかぁ!」
〜KOTY2011 (完)〜
司会:ただいまより「究極のクソゲー」VS「至高のクソゲー」の対決を行います。
この対決は「2011年でもっともクソであったゲーム」を提供した側の勝ちとなります。
それではまず、究極のクソゲー側から発表をお願いします。
栗田:まず私たちは究極のクソゲーを追究した結果、四八と同じADVゴミ「CODE18」を生み出しました。
これは誤字や脱字は当たり前、シナリオとボイスが違うという手抜きもしっかり完備いたしました。
審査員S:ふむ。誤字脱字はクソゲーの基本だからな。
栗田:しかしそれだけでは究極のクソゲーとは言えません。このC18は、文章と表示される画像を意図的に狂わせているのです。
山岡:これを見て下さい。雨が上がったと表示されても背景は雨が降ったまま、感動のメガネっ子との眼鏡を外したはずのキスの画像は眼鏡をつけたまま。
挙句の果てにスカイタワーの夕陽は謎の暗転をさせて浅草寺を表示させる。
審査員K:これは酷いクソゲーや。ちゃんとテストプレイをしたのか聞いてあきれるわ。
山岡:このゲームではBADENDルートで間違ってセーブした場合には、最終章直前であろうとニューゲームからやり直さないとダメな拷問システムも搭載しました。
これではどんなプレイヤーでもディスクを本体ごと叩き壊すこと間違いないでしょう。
審査員T:ふむ。さすがに、制作プロデューサーが発売日に自身のツイッターを非公開にしただけはあるわい。
社員B:すばらしいわ! まさに四八の流れを汲む最低のADVクソゲーじゃないかしら。
司会:では一本目の紹介が終わったところで、二本目の紹介に移ります。至高のクソゲー側、お願いします。
海原:よかろう。だが至高のクソゲー側の発表をする前に、一つ究極のクソゲー側に一つ言っておきたいことがある。
山岡:・・・なんだ・・・!!
海原:士郎、お前はC18がクソゲーたる所以を画像やシステムに求めているようだが、C18、いや他のクソゲーと呼ばれるもの全てがなぜクソゲー足りえるかという本質をまるで掴んでいない。
山岡:なんだとっ! お前にはそれが分かるとでも言うのか!
海原:クソゲーがクソゲーたる所以、それは表面的な画像や文章ではなく、作品全体に流れるクソゲーとしての存在そのもの、救われないほど終わっているオーラそのものだ。お前のような与太者には一生理解できんだろうがな。
山岡:くっ・・・ただのハッタリだろ・・・!
海原:ハッタリかどうか、実際にそれを今から皆さんにもお見せしよう。至高のクソゲーとして制作したのはこの「待ingメーカー4」だ。
審査員I:おお、あの良ゲーと言われた街づくりゲームがついにクソゲー化か。
海原:建てられる建物が全部で82種類と極端に少なく、BGMは昼と夜の2種類だけ、地形に至っては1種類だけという手抜きぶりだ。
前作まで好評だった住人との接触も極端に縮小した。住人の意思など完全に無視した一方的な作業感満載のプレイが売りである。
こんなファミリーベーシックでも作れるようなプログラムを、現代においてフルプライスで臆面もなく販売する。これが至高のクソゲーの在り方だ。
社員N:まあ! とてもSLGの体を成していない代物なのね!
海原:そして、このゲームが至高のクソゲーだと断言できるのは、ある大きな理由があるのだ。
栗田:何かしら・・・とても嫌な予感がするわ・・・。
山岡:まさか・・・さては「待ち」か!
海原:このゲームは驚くことに、ひたすら待つしかやることがない。何しろコントローラーを握っているよりも床に置いているほうが長いという有様だ。
建物を作ったらあとは待つことしか選択肢がない。次に作ることができるのは現実時間の10分後だ。それまで他のクソゲーでもしているがよかろう。
審査員T:おお、なんという香ばしい香り!
審査員E:この待つ時間の退屈さが哀愁を誘いますな!!
栗田:や、山岡さん・・・!
山岡:・・・やられたっ・・・まさかゲームすらさせないことでクソゲーを表現するとは・・・
司会:審査員の方々のストレスもかなり高まってきたようです。それでは究極のクソゲー側、三本目の紹介をお願いします。
栗田:私たちが次に紹介するのは格闘アクション「グラディエーターバーサス」です。
ファンも多いグラディエーターシリーズですが、余すところなくダメ要素・ゴミ仕様を散りばめることで、究極のクソゲーに仕上げてあります。
まずは実際にプレイしていただくことでその酷さを体験していただけると思います。
審査員M:こ、これはっ!! 酷すぎる!
社長O:回避や崩しといった好評だった行動を全て排除、ひたすらムカつくもっさり感がどこまでも付き纏うな!
役員K:それだけではありません。味方NPCがプレイヤーに対して嫌がらせのように魔法の誤射をして戦闘の邪魔をしてきます!
海原:・・・む・・・確かに酷いがこのゲーム、それだけではないな・・・
栗田:このゲームが究極のクソゲーである理由はメーカー側の悪質な課金搾取体制です。
フルプライスゲームであるにも関わらず、アイテムボックス拡張権、キャラクタースロットの拡張権、水増し容姿の追加DLCなど、その種類は多岐に渡ります。
社員A:そうよ! 剣投資なんて呼ばれ方をするのはプレイヤーの怨嗟の叫びなのよ!
山岡:特に力を入れたのは、ステータスを上昇させるための宝石をガチャガチャ販売して買い煽りをしたことです。
宝石を付けるために必要な宝石は極端に出にくくして、よりプレイヤーの出費が嵩むように設定するなど、その悪質ぶりはオンゲでも裸足で逃げ出すほどです。
審査員H:やはり、発売前にこのゲームの公式サイトに対し、ウィルスバスターが詐欺を警告したのは伊達ではなかったんだな・・・
栗田:あまりにも酷い搾取体制のため、発売後1週間でオンラインの過疎化させることに成功しました。
山岡:さらに一ヶ月後には製品版とほとんど変わらない体験版を無料配布し、ダメ押しに年末にはさらに超クソゲーに進化するアップデートも行いました。
おかげで現在では既存ユーザーも新規ユーザーも誰もいなくなり、本スレも葬式さながらの状態です。
社長M:か、海原先生っ! これは、非常にまずいクソぶりなのでは!?
海原:・・・確かに酷いクソゲーだと言えよう・・・しかし安心されたい。
私も糞下倶楽部の海原である。次のクソゲーでそれを凌駕してみせよう。
司会:いよいよ皆様のSAN値も削られて参りました。次は至高のクソゲー側の紹介です。お願いします。
海原:・・・さて、ここで皆さんに一つ問いたいことがある。皆さんは最初から見えた地雷であるクソゲーと、ラストに差し掛かってから一気にクソゲー化する本格終盤地雷ゲー。
どちらをより終わったクソゲーだと感じられるだろうか。
栗田:まさに究極の選択だわ・・・いったい海原雄山はどんなクソゲーを作ったというのかしら・・・
海原:至高のクソゲーとしてそれら二つの命題をプレイヤーに突きつける2本の作品を皆さんに見ていただこうと思う。一本目は「ドラゴンボール・アルティメットブラスト」
審査員D:ただでさえ地雷の多いキャラゲーか・・・
審査員T:ふむ。キャラゲーはKOTYには難しい。ただでさえ版権の問題でクソゲーが標準じゃからな。
海原:このゲームのクソぶりは、プレイすれば1分とたたず理解できる。まずは実際に体験していただこう。
審査員A:おほっ! 格闘アクションなのにひたすら止まってばかりいる!
審査員M:止まるだけでテンポが悪いのに、その間にコマンドを入れるだけっちゅーんが、何とも。
社長O:これじゃあ格闘ではなく、ただのじゃんけんだ!
T井副部長:社長〜、こりゃひどすぎますね〜。こんなの幼児でも楽しめませんよ〜。
海原:格闘ゲームなのにじゃんけんと連打しかない、極めて格闘クソゲーの基本に忠実なゴミゲーだ。
そしてそのクソの余韻を忘れない頭のまま、次はこのゲームをプレイしていただく。その名は「ウィザードリィ 囚われし亡霊の街」
審査員H:ほお・・・あの名作3Dも今や至高のクソゲーか。
海原:このゲームの序盤はクソゲーであると見極めるのは非常に難しい。しかし冒頭で述べたようにこのゲームは終盤になってから一気にクソゲーへと成長する。
栗田:何かしら・・・海原雄山が自分のプレイデータをロードしはじめたわ。
山岡:なんてことだ・・・雄山の奴・・・wizを400時間もプレイしやがっていたのか・・・!
海原:これはシナリオ3に入ってからの私のセーブデータだが、このキャラクターで敵とエンカウントを行う。その様子をご覧いただきたい。
栗田:あっ!
山岡:ああっ!!
審査員T:おい! ザコ敵とエンカウントした瞬間、何もできずに全滅したぞ!
審査員D:これはひどい! こんなゲームまともにプレイできるものではない!!
海原:ご覧の通りだ。キャラクターの能力はLVは99で頭打ちになるのに対し、敵のステータスは問題なく伸びる。
このためラストになればなるほど能力値の開きが尋常ではなくなり、このようなエンカウント即全滅の戦闘が度々起こるのだ。
山岡:いや・・・それだけじゃない・・・400時間プレイした雄山でさえアイテムリストがコンプリートされていない。
あれはコンプリートしないんじゃない、そもそもできない仕様なんだ・・・!
栗田:まるで四八を思い出させるような悪夢だわ・・・!
海原:このようにプレイヤーを理不尽に苦しめた挙句、ようやく到達したラスボスは驚くほど弱く設定した。最後の最後までクソゲーである基本に則っていると言えよう。
最初からクソゲーと分かるドラゴンボール、終盤に入っていきなりクソゲー化するウィザードリィ。どちらがよりクソゲーなのか。
それは審査員の皆様の判断に委ねさせていただく。
司会:皆さんの顔を見ると、怒りに震えている様子がよく分かります。それでは究極のクソゲー側の最後の紹介をお願いいたします。
山岡:・・・・・・俺は正直、今までクソゲーというものをナメていました。
栗田:山岡さん・・・突然何を言い出すの・・・!?
山岡:俺はそこに座っている男に、幼い時からクソゲーばかりプレイさせられ、発売日に定価で買い、その後捨て値となったソフトをワゴンで見る。そんな少年時代をずっと過ごしてきました。
社長O:山岡・・・
山岡:そこで俺は思いました。『クソゲーハンターになど俺はなりたくない! こんな家は飛び出してクソゲーなどとは縁を切ったゲーム生活を送ろうと』
海原:・・・・・・。
山岡:俺は家のクソゲーの山をハンマーでメチャクチャに叩き割って飛び出し、ハードもSSからPSへ、PS3からWiiへと勝ち組のゲーム機へと乗り換えた。
ところが、その勝ち組のはずのWiiでも連続して掴んでしまったクソゲーがある。それがこの「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」です。
審査員D:KOTY3年連続出場の猛者か。
審査員T:掴むも何も、当然の結末のようにも思うが・・・。
山岡:この作品の酷さは、「ゲー無」と言われた初代Wii ware1000円DL版からほとんど何も変わっていないことです。
一応おまけというにはささやかすぎるご当地ネタを増量してはいますが、これはゲームの進行に全く関係がありません。
つまりゲームがクソであることを完全に放置したまま、些細なマイナーチェンジでフルプライス販売をしているのです。
審査員M:さすがタカラゴミーや。やることがえげつないで。
山岡:俺がこのゲームを究極のクソゲーと位置づけるのは、そういったメーカー側の凝りも反省もしない態度ももちろんあります。
しかし何より酷いと思うのが、このゲームがファミリーやカップル向けに作られているにも関わらず、それらのユーザーに円満どころか、逆に亀裂をもたらしているという事実です。
社員A:あるレビューサイトでは、このゲームを夫婦でプレイして大ゲンカになったらしいわ。
社員H:まあ! ひどいわ!
山岡:究極のクソゲーとは単につまらない、むかつく、面白くないというだけではありません。
時には人生を狂わせ、人間関係を破壊してしまう。
それこそKOTYとして許さざるべき真のクソゲー、究極のクソゲーの姿なのではないだろうかと思う次第です。
海原:・・・・・・。
司会:いよいよ最後の紹介になりました。皆さんもうぐうの音も出ないほどやられておられるようですが、がんばってもう一本だけお付き合いください。
それでは最後の至高のクソゲーの作品をお願いいたします。
海原:・・・ここにおられる全ての方に問いたい。そもそも、クソゲーとは何であろうか。
栗田:今度は海原雄山まで・・・一体どうしちゃったのかしら・・・
海原:私はその問いに応える至高のクソゲーを追究し生きてきた。あるときはデスクリムゾン、またあるときは四八(仮)と、あらゆるクソゲーをプレイし、地雷を踏んできた。
そこにいる男が幼い頃、私がセガサターンのフタに接着剤をしこたまつけ、デスクリムゾンしかプレイできないようにさせたのはそんな思いからだ。
山岡:・・・・・・。
海原:そして私の求める至高のクソゲーがとうとう本年に現れた。そのゲームは「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活(バイト)〜」だ。
審査員T:修羅の国からの殴りこみがまたしても来たか。
審査員D:しかし18禁ゲームの移植はバグ姫を始め地雷がデフォルトです。よほどの作品でない限りは大賞は・・・。
海原:そもそも薄っぺらで何もないシナリオから、エロシーンだけごっそり抜き出して、ストーリーの補完はまったくせず、余計なバグだけは追加しておいた。
この作品はオリジナルからしてクソエロゲーと呼ばれている。この単語から単純にエロを抜けば何が残るのか、一目瞭然であろう。
栗田:確かに・・・単純でありながらそれでいて答えははっきりしている。極めて明快な結果だわ・・・!
このクソさは一言では表現できない。キャラ絵、背景絵、システム。どれを取っても一級品のクソゲーだ。
特にシステムは酷い。女の子とどれだけ仲良くなり、接吻、性交等が行われても、パラメータが少しでも足りなければそれだけでバッドエンドに突入だ。
その際主人公が「何も思い出を残す事はできなかった。この店で過ごした一ヶ月間は何だったんだ。」などとほざくが、女の子を妊娠までさせておいてこれでは、プレイヤーの脱力感はただならぬものがあるだろう。
もちろんフリーズバグや、既読スキップモードバグも完備で、どこをどう切ろうと真性クソゲーという、言わば完成形のクソゲーとも言える。
山岡:・・・待て雄山!!
栗田:山岡さんっ!!
海原:士郎。おまえは私がどんな思いでこのゲームをプレイしたのか理解できているのか?
山岡:な、なに・・・?
海原:これを見るがいい。ここに私がこのゲームをプレイした際につけていた記録がある。この中には、プレイ中に私が何を思ったのか、詳細に記されている。
審査員F:凄い! テキストファイルなのに133kbもある!
社員A:400字詰め原稿用紙、170枚分の内容よ!
栗田:しかもこれを読むと、あの海原雄山が、プレイ後半に行くにしたがって精神崩壊している・・・!
山岡:ば、ばかな・・・っ!! そんなものが大賞の理由になるか!
海原:何も私はこのレビューをもって、pia4を大賞にせよと言っているわけではない。
Pia4が真の意味で至高のクソゲーだと主張するのは、「真剣にプレイした者ほど精神に異常きたす」というゲームだからだ。
山岡:・・・・・・!!
海原:お前も気付いただろう。最初から地雷上等としてかかったゲームは、ネタとして楽しもうという一面が強くなる。
それがバグであろうと、ネタであろうと、それらを嘲笑うために楽しむということが主目的になる。
よってそこにこれといった負の燃料がない場合は、ただ全体を流して「単につまらなかった」という評を下してしまいがちだ。
審査員M:たしかにわては、四八プレイの時にメシジマを笑いのネタにしていたわ・・・。
海原:そういう意味ではこのpia4はその期待にすら応えない。
むしろマジメに主人公やヒロインの心情に感情移入、自己投影をすればするほど精神的におかしくなる。
なぜなら製作者が最初からシナリオを始め、ゲーム自体をどうでもよいと思って作っているからだ。
真面目にやればやるほどおかしくなる。主人公になったつもりで読むほど心が壊れる。
これを至高のクソゲーと言わずして、何をクソゲーと言おうか。
山岡:・・・・・・。
司会:それでは今回の勝負の結果を発表いたします。
今回は究極・至高のどちらのクソゲーも最低最悪であり、非常に甲乙、もとい丁戊つけがたい酷い出来でありました。
ですが至高のクソゲー側Piaキャロット4の「クソゲーとして楽しめるネタも皆無である上に、かといって真面目にやればやるほど精神崩壊を引き起こす」という腐敗した点は非常に類稀なものであり、これを勝者とすることに決定いたしました。
TT新聞役員側:おーっ! 勝ったぞ!
TZ新聞役員側:うううっ、負けてしまったか・・・
栗田:山岡さん・・・
山岡:・・・・・・
【試合後】
栗田「それにしても山岡さん、みんなの前で子供の頃の話をするなんて、珍しいですね」
山岡「ふん! 知ったこっちゃないね。あいつの悪行をお偉方にぶちまけてやりたかっただけさ!」
栗田「あ・・・海原先生」
山岡「・・・!!」
海原「・・・士郎。今回の勝負の結果は結果だ」
山岡「けっ・・・!」
海原「だが、2011年究極と至高の7作品、全て噂に違わぬ選りすぐりのクソゲーだった」
山岡「・・・・・・」
栗田「まぁ、海原先生にクソさを認めていただいたわ!」
海原「あとはお前の人生が、せめてクソゲーよりも面白くなるように生きるだけだ。まあ人生ゲームよりつまらない人生だろうがな。ふははははは・・・バタン・・・ブウン」
山岡「雄山の野郎!」
栗田「まぁまぁ山岡さん。ああ見えて海原さん、山岡さんがクソゲーハンターを続けていることを心底喜んでいらっしゃるのよ。それを分かってあげて」
山岡「・・・あいつのデスクリムゾン専用機、実はまだ持ってるんだ」
2010年、KOTYは『ラストリベリオン』というゲームと言う名の娯楽から逸脱した反逆者によりスレ住民は駆逐され、見事門番からクソゲーの王へと躍進した『ラストリベリオン』が大賞と言う名の王座に着いてしまった。
スレ住民は度重なるクソゲー達の侵略に恐怖した・・・ だが心の奥に、無意識にクソゲーを待ちわびる邪な想いが消える事は無かったのであった。
2011年のKOTYを振り返るとまさに待ちの一年であった。2010年の大賞が決定し、冬を越え、春を迎え、夏が過ぎ、秋に入ってもKOTY住民を唸らせるクソゲーは出なかったのである。
「もしやもうクソゲーは出ないのではないか?」「初の大賞無しもありうるか?」と、だがここから我々はクソゲー達の圧倒的な物量に蹂躙される事となる。
まずはサイバーフロント社から恋愛ADV『code_18』通称c18(しーじゅうはち)が10月中頃にして遂に今年度初のKOTY話題作となって襲い掛かって来たのだ。
本作は良ゲーとして名高い『Ever17』等の「infinity」シリーズの最新作であり、クソゲーが出ずただの雑談(鮫)スレと化していた本スレを沸き立たせた作品である。
恋愛ADVと言えば取りあえず見た目の良い自分好みのキャラから攻略して行きたいものだが
このゲームは周回によって攻略キャラが決まっており好きなヒロインを始めから選んで攻略することが出来なくなっている。
BADエンドに突入しセーブデータを上書きしようものなら問答無用で最初の一人目から攻略していかなくてはならない。
そして本作を語る上で欠かせないのがADVゲームで重視されるシーンと演出の酷すぎるミスである。
「台風が止んだのに背景は大雨」
「文化祭のコスプレ喫茶なのに制服姿のまま」
「お化け屋敷なのに背景は明るい教室」
などなど、上記以外にもかなりのミスマッチが見受けられせっかくのイベントも台無しである。その中でも一際話題をさらっていったのが
スカイツリーを意識したと思われる「スカイタワー」でヒロインと夕日を眺めるシーンの背景が何故か「浅草寺」になっているシーンで、「浅草寺と書いてスカイタワーと呼ぶ」
など住民はポルナレフ状態。誤字脱字や脱文も完備し、電車を降りたのにその後も延々と鳴り続ける電車の音などのSEミスも見逃せない。
肝心のシナリオも賛否両論で、俗に言うタイムパラドックスネタなのだがこの手のシナリオは扱いが難しく
シナリオの矛盾や複線回収も不十分と散々な出来であり、タイトルにもなっている
code(未来からのメッセージ)も説明がないままゲームは終了してしまう。『c18(しじゅうはち)』と
どこぞの伝説級クソゲーの名前と類似しており新たなるマスコット「C十八マン」が作られたのが唯一の功績かもしれない。
余談だがプロデューサーは発売日にツイッターを非公開にしている。
C18の議論も落ち着き季節はもうすぐ冬、このまま終わりを迎え・・・られるはずもなく
新たな戦士がKOTYの扉を叩いたのである。その名もアクワイアからの刺客『グラディエーターバーサス』(剣投資)である。
本作は古代ローマを舞台にした対戦格闘アクションゲームであり根強いファンを持つ「剣闘士」シリーズの最新作である。
本作は世界観ぶち壊しの魔法が追加され前作で好評だった「パリィ・ドッジ(弾く・回避)」を何故か削除し、ダッシュやジャンプ等のアクションも無く
ただひたすら攻撃を連打するゲームとなっておりプレイヤーは次々に剣闘士から狂戦士へと変貌していった(怒りと絶望的な意味で)。
システム上このゲームは「3vs3」で戦う事になるのだが
プレイヤー以外の2名はNPCとして共に戦う戦士としては余りにもお粗末な思考ルーチンであり
「プレイヤーに魔法を誤射」・「コンボ途中での割り込み」・「1vs1で戦っていたら敵を引き連れて戻ってきて乱戦に」と
全く役に立たない上に非常にイライラさせられる要因の1つとなっている。だがこれを回避する手段が1つだけあり
オンライン上で仲間を集い共に戦うというものである。だが初週売り上げが3000本にも満たず、発売して1週間で過疎るという事態に。
周りに頼れないのであれば自己強化するしかないと息巻いてみてもキャラを強化するため
にはお金と宝石が必須となっており同じようなミッションを何度も繰り返す事になるのだが
レアな宝石の出る確率は低くミッション時のムービーもスキップ不可なので更にイライラが募るばかり。
そんなプレイヤーを察してか、公式からのDLC(ダウンロードコンテンツ)で宝石が買えるようになり
公式サイトに「装備強化でライバルに差をつけろ!」と直々に激励してくれる。ちなみに100円と200円の2セットある。
しかしこの宝石販売が曲者で、宝石にはいくつか種類がありレア度も変わってくるのだがなんとこのDLC
ガチャガチャシステムであり購入してみないと何の宝石かはわからないのだ。数千円つぎ込んでも目当ての宝石が出ないとの報告もあり
アイテム欄拡張などの様々なDLCも続々追加され、ゲーム名はいつしか『剣闘士』から『剣投資』に定着し
社名の『アクワイア』を『アクドイワ』と呼ぶ者も出てきた。
流石発売前に公式サイトへ行くとウィルスバスターが作動して「オンライン詐欺に関係している兆候があります。」と警告されるだけはある。
後にアップデートが行われたがクソ要素は改善されず余計に悪化(魔法強化による誤射のダメージ増加など)。
ジャンラインを彷彿とさせる逆パッチにスレは恐怖と笑いに包まれたのであった。
そして何たる偶然か『剣投資』と同じ発売日に発売されたもう一本のゲームがKOTYに参戦することとなった。
その名もドリームクラブ等で有名なD3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(待)である。
簡単に内容を説明すると様々な建物を建てていき自分だけの街を作るというゲームであるが
このシリーズの特徴として街に住む住人と対話をしていき色々な問題を解決し親睦を深めて街を発展させていくというシステムが支持される理由の一つになっており
シリーズ初のHD機のゲームということでシリーズファンからも期待されていたのだが・・・その期待は脆くも崩れてしまうことになる。
今作は好評だった住人とのイベントは削除され、話しかけてもどうでもいい事しか喋らず生の息吹を感じないだたの人形状態。
建てられる物件も大幅に激減し地形もなんと1種類しかない。建物を建てるにはポイントが必要なのだが10分程待てば勝手にポイントが入ってくるので
物件を建てる→10分程待つ→建物を建てる→10(ryを延々と繰り返しだいたい5〜6時間でゲームは終わってしまうが
その大半はポイントが振り込まれるのを待つ待ち時間であり本作が『待』と呼ばれる所以でもある。
BGMも昼と夜の2つしかなく待ち時間は更に長く感じてしまうだろう、待ち時間に洗濯物を畳んだり、ちょっとした家事をこなせるのは良いところかもしれない。
操作性も悪くロードも若干長め、HDのはずがPS2並のグラフィックと全くやる気の感じられないゲームに仕上がっている。
そしてこの内容で7140円、DLCも有料でとてもこのゲーム内容では値段に釣り合うものではないだろう。
立て続けに現れた2本のクソゲーの侵略により疲弊したスレ住人だがその隙をクソゲーは見逃してはくれなかった。
そのクソゲーはスレ住人の予想を裏切る名前で飛来したのだ。その名も『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(UB)
バンダイナムコゲームスが地球に送り込んだ意外すぎるゲームである。
ドラゴンボールといえば説明不要の国民的作品であり昔から数々のゲームを世に送り出したキャラゲーの申し子である。
「キャラゲー=微妙ゲー」は暗黙の了解であり購入者もわかりきった上で購入する者が多く、確かに微妙だがクソでもないというゲームが渦巻くジャンルである。
だがこのシリーズは着々と徐々にだが粗を改善していきファンから愛され、ゲームとしても良質のものになっていったシリーズである。
そんなゲームがKOTYに宣戦布告とは誰が予想出来ただろうか?
このゲームは3D対戦アクションゲームと銘打っているがつまりは格闘ゲームである。
だがUBは格闘ゲームの姿をした別のゲームとなっていた。攻撃を当てていくと突如画面が切り替わりQTE(クイックタイムイベント)に突入し
プレイヤーと相手にボタンの2択を要求してくる。この2択に勝つと攻めを継続、負けるとコンボが中断されるという内容だ。このQTEの頻度がとても多く
何をするにも要求されとても戦闘のテンポが悪いのである。間合いを取るとQTE、気功弾を撃つとQTE、必殺技を使うとQTE,とにかく何をするにもQTEが始まるのである。
基本的に格闘ゲームは練習の積み重ねにより腕前が上がりプレイヤーが強くなっていくはずなのだがこのUBにはそれがほとんど無い。
何をするにも2択を迫られるので結局は運がいい方が勝つというシステムは格闘ゲームとしてはとても底が浅く満足出来るものではない。
これは格闘ゲームとしては致命的であり他にもボタンを連打をする場面もあるのだが、ゲームが強いほうが勝つのではなく連打が強いほうが勝つのである。
つまりこのゲームで勝つのはじゃんけん以下の戦略も糞もない2択に勝つ運と必殺技の撃ち合いに勝つための連打力があれば他の格闘ゲームの上級者だろうが
初心者でも勝利出来る可能性があるのだ。
しかもこのQTE,なんとモーションが全キャラ共通で最初はかっこよく見えるがすぐに飽きてしまう、ピッコロが腕を伸ばす等のアクションもないので
キャラゲーとしてキャラの個性さえ潰している始末、キャラクターの数も前作より減少し、人選も微妙でキュイ(ナメック星でベジータと戦った汚い花火)がいるのに青年悟飯や悟天、少年トランクスに餃子などの主要なZ戦士は出てこない。そのせいかストーリーモードもぶつ切りな場面も多い。
映像は綺麗だし必殺技はカッコイイのだがそれならDVDを借りて家でアニメを見たほうがいいだろう。
秋まで出なかったクソゲーも振り返ると4作品、もうすぐ今年も終わりかと感慨にふけっていた住民達だったが
この時すでに背後から忍び寄る亡霊がいると誰が気づいたであろう。
そう、その亡霊こそ1月27日から密かに潜伏していたアクワイア渾身の2発目
『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街(亡霊)』である。
ウィザードリィと言えばゲーム好きなら知らぬ者はいない程の有名シリーズである。発売してすぐにセーブが出来ないバグで話題にはなったのだが
アップデートにより問題なく遊べるようになりスルーされていたのだ。本作がまた日の目を見る原因となったのが「圧倒的なバランスの崩壊」であった。
亡霊はシナリオが1・2・3と分かれているのだがその崩壊はシナリオ3から始まる。レベルキャップが開放され更に育成が可能となるのだが
味方側は体力ぐらいしかまともに上がらず敵側はステータスが均等に上がっていくので終盤になるとエンカウント=全滅が当たり前になってしまう。
最初の街を出たらベヒーモスが出てきたぐらいのバランス崩壊ゲームをクリアするには
数百時間に及ぶ地道なレベル上げをするか、お金を経験地に変える裏技的な作業に勤しむか
敵がドロップorDLCで購入できるエンカウント阻止アイテムを使う、もしくは数歩歩いてセーブの繰り返しなどの
苦行をしなければクリアは絶望的である(ラスボスは弱い)。またアイテム収集が楽しみの一つであるゲームなのに
コンプリート不可や最強クラスの武器を購入できたり、DLCでアイテムを有料配信するなど
『wiz』の楽しみの一つである収集を完全に潰している。
またシナリオ3ばかりピックアップされるがシナリオ1と2もバランスは悪く、褒められた出来ではない。
襲い掛かる圧倒的な年末の魔物の群れ、止めとばかりに修羅の国から最後の刺客がやってきた。
その名も『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜 (pia4)』である。
本作は修羅の国のゲームでも結構な歴史を持つ人気シリーズの4作目にあたりCSへの移植作である。
だが修羅の国からの評判は散々でエロしか良い所がないと言われる作品であった。そんなエロしか取り柄のないゲームが
CS移植にあたってエロを抜いたらどうなるのか?分かりきった答えに誰も見えている地雷に突撃せず発売から10ヶ月も潜伏していたのだった。
まず本作はSLG要素と恋愛ADV要素の二つを持っている。まずはSLG要素を説明しよう。
主人公には体力や学力、容姿などのパラメーターがあるのだが、そのパラメーターはエンディング分岐にのみ関係があり
どのパラメーターを上げてもイベントなどは発生しない。しかも仕事の「デリバリー」だけを選んでおけば中盤頃には全ステータスは最大になるので
なんの面白みもない。同じようなシステムで有名なのはときめきメモリアルシリーズだろうが、ときメモは運動を上げれば体育祭で活躍できたり
文系・理系などのステータスを上げることで期末テストなどで上位になり、高感度が増えるといった様々な遊び要素があるが、本作pia4にはそんなもののひと欠片もなく
プレイヤーを楽しませたいといったものが何一つ伝わらず、SLG要素は無価値であると言える。
だが本作を語る上で外せないのは恋愛ADV要素の陳腐なシナリオだろう。
本来えっちな要素のあるゲームは移植にさいしてエロシーンが抜けるぶんシナリオを補完したりするものだが
pia4はエロシーンだけ抜き去りその後はプレイヤーに何の説明もないまま・・・
・「気づいたら妊娠していたヒロイン」
・「気づいたら実妹と一線を越えている」
・「同僚と格ゲーしてたら付き合ってた」
・「川で溺れていた子を助けたら付き合ってた」
プレイヤーはポカーンとしたまま現状を理解出来ないだろう。
BADエンドに入ると主人公が「何も思い出を残す事は出来なかった」と発言するのだが
実妹と一線を越えようが誰かを孕ませようが「何も思い出を残す事は出来なかった」とほざく主人公には頭が痛くなる。
ゴムは着用するのがマナーである。処理落ちやフリーズ、オートモードなのに操作を要求されたりスキップが機能しないなども完備。
それとエロゲーをCSに移植の際はだいたい追加キャラや追加シナリオを入れてくるものだが逆に攻略キャラが一人削除されているなど
何故移植したのかと小一時間問いただしたい。エロがあるぶんPC版を購入したほうが絶対に得である。
新年を向かえ総評作りに取り掛かっていたにもかかわらずアイツが帰ってきた。
誰からも望まれず帰ってきたアイツこそ『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』である。
強豪タカラトミーよりなんと人生ゲームが3年連続でノミネートをするという快挙を成し遂げて帰ってきた。
肝心の内容は・・・特に記載することもない例年通りの人生ゲームである。
前作『ハッピーファミリー』とほとんどゲーム性は変わらず一般ユーザーを毎年食い物にするダカラゴミーには頭が下がる思いである。
新要素のご当地ネタとは各県のどうでもいい情報を紹介するだけ。本作の詳細が知りたい方は2010年の総評を見ていただきたい。
あれだけクソゲーが出ないと騒いでいた秋から一転、気づけば7本ものクソゲーが発見・発掘された。
クソゲーなんて出ないほうが一番いい・・・そんな願いも空しく今宵伝説となる7本ものクソゲーが集結した。
では2011年クソゲーオブザイヤー大賞を発表しよう。
大賞は『街ingメーカー4』である。
2011年は7つものクソゲーが集結し、どれも皆違う様々な方向性を持った質の高いクソのオーラを身にまとい、どれが大賞でも不思議ではなかった。
ではなぜ『街ingメーカー4』(「待」)なのか?
ゲームとは娯楽の一つであり、娯楽といっても様々でゲームもその娯楽の中の一つでしかない。
では何故、多種多様な娯楽がある中で我々はゲームを選んだのだろうか?
単なる暇つぶし、という人もいるだろう。だがゲームとは日常世界で体験出来ないことを我々に与えてくれる。
リアルでは体験出来ないことも疑似体験できるのだ。
・小説のような物語を楽しんだり
・コロシアムで戦ったり
・ド派手な戦闘を楽しめたり
・謎のダンジョンに潜ったり
・一生出来ないような不思議な恋愛をしてみたり
・人生(ゲーム)の在り方を考えさせられるし
と様々な物を我らに与えてくれる、リアルではどれも体験出来ない事だ。
そういったものに惹かれて我々はゲームで遊ぶのではないだろうか?
そんな中、7つのうちの一つに異端児が存在する。
それが『街ingメーカー4』だ。
自分の好きな街を作る、これは体験出来ない物なのかもしれないが少し待って欲しい。本当にこのゲームで自分の思い通りの街が作れるだろうか?無理である。
前作に比べ大幅に建てられる物件が減少(工場の種類激減・漁場・農場・郵便局・交番・歯科・内科や外科病院・学校は総合学園1種類など)し地形も1つしかない。
そして好評だった街の人々とのイベントを削除までしてゲームの大半が待ち時間だ。
それなら常に思考し動きながらレゴブロックで自分好みの街を作るほうがまだ建設的ではないだろうか?
むしろ家で待たずに外へ出てぶらり途中下車するなり、モヤモヤスポットへ探検に出かけたり、休暇をとって旅行に行き、知らない街を探索し、美味しいものを食べ、地元の方々と交流を深める事によってその街を好きになるのではないだろうか?それは外に出て初めて得られる娯楽であり、『街ingメーカー4』では決して得られない『街』の魅力ではなかろうか?
つまり『街ingメーカー4』は娯楽としても街作りゲームとしてもやる価値のない娯楽とは程遠い、ゲームカテゴリーに分類されるゲーム商品だがゲームみたいな“何か”なのだ。
以上が大賞の理由である。
振り返ると7本ものクソゲーが現れ、その全てがシリーズ物という悲しい結果になってしまった。
その全ての作品がユーザーの求めるものとはかけ離れたものでありゲーム会社の方々にはもう一度
ユーザーが求めているものを真摯に受け止め考えて頂きたい。最後に全てのゲームを愛する方々を代弁し、この一文で〆ようと思う。
「ゲームが好きだから、我々は素晴らしいゲームを“待ち”続ける!」 (クソゲーも)
2007年の四八ショックから続くクソゲームーブメント。
KOTYスレを焦土としてきた凄惨なバトルロワイヤルの中で、
2011年は非常に印象的な年であったと言えるだろう。
様々な佳作・傑作・話題作が発売された2011年上半期…
しかし、スレ住人を唸らせるようなクソゲーは影も形も見えなかった。
その光景は「平成のクソゲー大飢饉」と呼ぶに相応しく、
予想外に長い干ばつでクソゲハンターたちは悩まされることとなったのである…
駄作を選外に送るどころか、審議すべき候補作すら上がらない有様。
ゲーム業界の生存競争の中では、クソゲーも事業仕分けされてしまう運命なのだろうか?
スレ全体がそんな平穏もとい悲哀に包まれていく中、
KOTYの競技場に遅すぎる報せが辿り届いたのは、秋も半ばの10月のことだった…
過去からの侵略を始めたタイムトラベラー…
学園恋愛ADV 『code_18』(通称 C18)の登場である。
本作は過去に『Ever17』や『Remenber11』といった話題作を輩出したinfinityシリーズの続編で、
倒産したKIDから引き継ぐ形で「6年ぶりのシリーズ再始動」と銘打って開発された意欲作でもあった。
しかし、発売日にシリーズファンが目にしたものは、
サイバーフロントによって魔改造された生ける屍だったと言えよう…
本作のストーリーは所謂「ループもの」であり、
各ヒロインを攻略しつつ、全体の真相を明らかにしていくという進行形式である。
その精神をシステムに反映し、5人もいるヒロインは攻略順が「完全固定」。
同じヒロインを周回し直すこともできず、セーブポイントを間違えたら最初からやり直しである。
タイトルにもなっている「未来からの18の暗号」を終盤までほとんど登場させず、
ほぼ同じ展開のシナリオを見せられ続けるという展開には、「ループを強いられているんだ!」と唸らざるを得ない。
さらにはループする世界への違和感を、シナリオだけでなく「演出ミス」という斬新な手法で再現。
盛り上がる場面で立ち絵・効果音・背景・CGといった肝心の部分が食い違い、
そのミスマッチはもはや「次元歪曲」というレベルだった。
「スカイタワーで夕日を眺める男女が浅草寺にいる」という珍妙奇天烈な光景には、
ループのし過ぎで崩れ行く世界の哀愁を感じずにいられないだろう…
選評者をして「クラスター爆弾」と言わしめたニューカマーは、
コードネーム「C18(しーじゅうはち)」という何処か懐かしい響きもあって、スレ住人に暖かく迎えられた。
しかし、例年と比べて今ひとつインパクトに欠けるルーキーに疑問符をつける者も多く、
スレはしばらくの間、C18マンの特訓場と化していた…
「残された日数は少ない、今年はこれで決まりか…」
スレ住人が半ば諦めかけていた11月後半。
クソゲー闘技場のリングに天から2体の魔物が降り立った。
そう、年末商戦によって駆り立てられた魔物たちが威風堂々乗り込んできたのである…
1体の名は『街ingメーカー4』(通称 待ing)。
都市を自分の思うままに作り上げ、発展させていく都市運営SLGのシリーズ最新作だ。
注目を集めたのはゲー無の系譜を思わせるその「薄さ」である。
本作では、前作で好評だった住人とのコミュニケーション要素を削除。
都市に生きる住人は無意味なセリフを吐くだけのMobと化し、
あとは1日に1回もらえる建設ポイントを消費して建設するしかやることがない。
建設ポイントも消費量と吊り合っておらず、
ゲームを進めれば進めるほど、プレイ以外の待ち時間だけが増えていく。
都市の不満を解消することでポイントが貰えるボーナスはあるが、それも雀の涙である。
建物の種類も前作から大幅に削減され、交番や郵便局といった生活のインフラは存在しない。
建物の内部に入ることもできず、
ボーナスポイントのためにビルの外壁を多段ジャンプで登るという非現実な光景が繰り返される。
BGMは昼・夜の違いしかなく、グラフィックも前時代的。
操作面でもアナログスティックしか使えないため、細かい動きができずイライラがつのっていく。
クリアまでの所要時間は5〜6時間。
大半が「眺めているだけ」の待ち時間というのだから驚愕である。
もう1体の魔物はKOTYというコロシアムに相応しい風格を持っていた…
コアなファンを持つ対戦格闘アクション、「剣闘士」シリーズの最新作
『グラディエーターバーサス』(通称 剣投資)がまさかの参戦を果たしたのである。
古代ローマの剣闘士をモチーフにした従来のシリーズから一線を画し、
魔法やエルフといったファンタジー要素を採用するという冒険にでたアクワイア。
この新たな挑戦に対して、
電撃Playstationのバイヤーズガイドも滅多に見れない「評価D」という賞賛を贈っている。
まず、開発陣が「10000通り以上」と豪語したキャラクターメイキングは、
種族の違い以外はほとんどが水増し要素。
実際はどう計算しても10000に届かない上、兜を被ってしまうのでそもそも意味を成さない。
そしてメインの戦闘では前作まであったパリィ、ドッジといった駆け引き要素を削除。
結果、スキルの少ない序盤はひたすら相手の防具を破壊するための連打ゲーと化し、
途方も無い作業感を強いられる。
しかし、スキルが整ったとしてもプレイヤーを待ち受けているのはさらなる苦行だ。
味方AIが味方の動きを一切考慮しておらず、
魔法の誤射やコンボへの割り込みといったお邪魔行為を頻発してくるのである。
味方のスキルを設定することもできず、最後までプレイヤーは孤独な戦いをしなければならない。
「オンラインで協力プレイすればいいじゃない?」 …と思うかもしれないが
初週売上2700本、1週間で過疎化したオンラインには何も期待できるものが無かった…
こうした苦行ミッションを打開するべく、公式サイトがDLCを展開しているものの、
そこでプレイヤーが目にするのは基本無料の課金ゲームと見紛う貧相な品揃えである。
わざわざゲーム内で手に入る強化アイテムをランダムセットで発売し、
「ライバルに差をつけろ」と購入を煽る商魂たくましい重課金体制には、
ウィルスバスターが「詐欺サイト」と太鼓判を押すほどであった。
「課金させるためにわざと糞なゲームを売りだしたのではないか?」
と思わせる力強さは、正に現代に蘇った剣闘士… いや、『剣投資』と呼ぶに相応しい風格であろう。
「偽」りだらけの剣投資
「飾」って眺めるだけの待ing
「誤」ちだらけのC18
10ヶ月の沈黙を破って続々入場してきた猛者達によるクソゲー三國志が開演か!?
誰もがそう思った時、強者の臭いを嗅ぎつけた意外な挑戦者がリングに乱入してきた。
その名は『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称 UB)。
まさかの国民的人気作の登場にスレ住人は目を疑った。
開発陣が「史上最高のドラゴンボールゲーム」と太鼓判を押す本作、
しかし、その実態は精神と時の部屋のごとき、超作業ゲーだったのである。
本作の特徴となっているのは戦闘システムの徹底的な「簡略化」だ。
前作「レイジングブラスト2」の難易度が高かったことを反省し、
戦闘システムをボタン連打とクイックタイムイベント(QTE)に大幅変更。
結果として「連打をしては2択のあっち向いてホイをくりかえす」という壮絶な運ゲーと化し、
頻繁に挟まれるQTEのために非常にテンポが悪い戦闘が続けられることになった。
駆け引き要素として「気力ゲージ」と、「必殺技ゲージ」が設定されているが、
防御用の気力ゲージは攻撃を受けるとガリガリ減り、肝心の防御につかえないという本末転倒ぶり。
プレイヤーは相手の必殺技を前に、
負け惜しみを言っては吹っ飛ばされるキャラクターの姿を何度も見ることになる。
参戦キャラについても前作からの大幅にリストラ。
マイナーキャラがいるのに主要キャラは削るという万人が首を傾げる人選で、
ストーリーモードも肝心のところがぶつ切りとなった。
オリジナルキャラを作れるアバターモードもあるものの、
作成できるパターンが少ない上、そもそも「戦闘システムが苦痛で育てる気がしない」と言われる始末である。
唯一褒められる点は綺麗なグラフィックぐらいだが、
QTEや必殺技の演出は基本的に「全キャラ一緒の動き」であり、むしろ作業感を加速させている。
一体、誰がこのゲームで徳をするのかと誰もが疑問に思う中、
公式PVが「地球のみんな、おらに現金わけてくれ!」と献金を迫るがめつさを見せつけ、
サイヤ人の力がクソゲー界でも十分通用することをスレに知らしめてくれた…
4大パワー超決戦がスレを焼き尽くす中、地中深く眠りについていた悪霊が目を覚ます。
選評が届かないために埋もれていた戦士たちが黄泉から帰還したのである…
「剣投資」を送り込んだアクワイアという闇から、
『ウィザードリィ 囚われし亡霊の街』(通称 亡霊)が蘇ってきた。
ウィザードリィ(Wiz)といえばダンジョンRPGの古典的名作であり、
単純ながらも完成されたシステムと難易度の高さから、
コアなファンを獲得してきたシリーズである。
しかし、「いしのなか」にいても動じないはずのWizプレイヤー達が匙を投げる地雷が、
このゲームには仕組まれていた。
それは細かいバグの存在を忘れるほど鬼畜な「戦闘バランス」である。
繰り返すが、Wizシリーズはもともと難易度の高いゲームであり、
「ダンジョンで強敵に遭遇 → 全滅」が珍しくないゲームなのだ。
だが、このゲームをシナリオ3まで進めたプレイヤーが遭遇するものは、
もはや戦闘と呼べるものではなかった…
「プレイヤー側は能力値がLv99以降でほぼ頭打ち」になるのに対して、「雑魚敵はそのLvに応じて、全能力値が上昇」する。
他ゲームから流用されたこの仕様の結果、
通常戦闘で「圧倒的な速さで雑魚の群れが先制をかけ、これまた圧倒的な攻撃力と魔法でパーティを瞬殺」していく光景が日常と化した。
もはや戦闘というよりも暇を持て余した神々の遊びである。
争いは同じレベルの者同士でしか発生しないのだ。
プレイヤー側で上がる能力はHPくらいであるため、レベル上げも根本的な解決にはならない。
生き残るためには何歩か歩いて細目のセーブを心がけるか、
敵の落とすエンカウントなしのアイテムでゲーム自体を否定するのかないのだ。
シナリオ2までは比較的まともに遊べる点が唯一の救いと言われたものの、
気がついたら「*くそげーのなかにいる*」というトラップは、いかなベテラン冒険者でも回避不能であろう…
そしてこの亡霊の声に呼応するように、
修羅の国から遅れて到着する戦士の姿があった。
『Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の恋活〜』(通称 Pia4)が
その実力を証明する選評とともに、リングに上がってきたのである。
本作はSLGと恋愛ADVをかけ合わせたシステムで根強いファンを持つエロゲの移植作。
しかし、移植元からして「エロシーンぐらいしか取り柄がない」と叩かれた所謂ガッカリゲーであった。
その全貌が明らかになるにつれて、スレ住人は改めて修羅の国の脅威を感じることになる…
まず、「Piアフォ」と揶揄されるシナリオだ。
この手の移植でよくある「エロシーンの代わりイベントを追加」
…などという余計なことは一切しない。
内容が薄い上に、「格ゲーしてたら彼女できた」というレベルの超展開が続き、
エロシーンが省略されたことでぶつ切り感がさらに加速する。
「気がついたら彼女を妊娠させていた」という怖ろしい結末には、某スタンド使いも戦慄であろう。
もう一対のSLGパートに至っては、ただ無駄なだけ。
各種パラメーターはバッドエンドの分岐にしか使用されておらず、
デリバリーだけで簡単に達成できてしまう。
イベントは必ずしも全部を見なくてもグッドエンド可能で、、
全て見ていてもパラメーターが足りなければ共通バッドエンドという簡易設計。
相手を妊娠させてもバッドエンドにいけば全て無かったことになる驚愕の展開が待っている。
グラフィック・背景といった視覚的な部分も不満が多く、
特に背景についてはサバンナのような陸上競技場、カオスすぎる妹の部屋など
じわじわとプレイヤーのSAN値を削ってくる演出でシナリオとあわせてプレイヤーを追い詰めた。
シナリオ・ゲームシステム・グラフィックとあらゆる面でダメだしを受け、
購入者をして「チャンピオンREDいちごでコミカライズされたマンガを買ったほうがマシ」
と言わせしめたその実力は、修羅の脅威が今後も我々を脅かすことの警告なのかもしれない…
さて、思いもよらぬクソゲー続出で盛況な年末年始を迎えたKOTYスレ…
どの作品が今年のKOTYに相応しいか熱い議論が交わされる中、
とあるゲームの選評が年をまたいでひっそりと届けられた。
2009年、2010年と虚無的なクソゲーを送り出した信頼のブランドが、
全く反省の色を見せずにまた「あのゲーム」で勝負をしかけていたのである。
タカラトミーから3年連続の出場、ゲー無の系譜の正統後継者。
『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』(通称 誤当地)の登場だ。
本作は2010年の『人生ゲーム ハッピーファミリー』に
全国各地の「ご当地ネタ」を組み込んでみたというものであるが、
ゲーム部分の増量は全くと言っていいほど無い。
キャラの少なさ、ミニゲームや特殊マスの不在、
天使や悪魔といった定番要素の排除、圧倒的なまでのイベント不足、
ゲームのルールを理解してないAI等々… 前作で不満だった要素は完全続投。
あまりの反省の無さに、「増量する部分を履き違えているのでは?」とスレ住人から総ツッコミを受けた。
その増量要素として取り扱われる「ご当地ネタ」は単なる豆知識紹介に留まっており、
肝心のゲームの進行にはほとんど関係がない有様。
仮にこれが+要素だとしてもゲーム全体がクソであるという事実は変わっておらず、
「一体どこを増量したのか?」という疑問をタカラトミーに抱かずにはいられない。
安定の薄さと、驚愕のフルプライス(\6090)。
このゲームをやって唯一良かったと思える点は、
「これなら俺の人生の方がまだ面白い」と自信を持てることだろうか…
さて、以上7本の出場者たちの紹介が終わったところで、
いよいよ今年の大賞を発表に移りたい。
2011年は奇しくも、シリーズ物の最新作が名を連ねた。
いずれも過去にはブランドとして名声と信頼を欲しいままにしてきた名作…
そこから産み落とされた闇の落し子達は、ゲーム業界の抱える闇を反映しているようである。
例年のようにズバ抜けた力をもつ魔物は居なかったものの、
各ジャンルでそれぞれ違ったクソさを見せつける戦士達の実力は甲乙つけがたく、
飢餓で荒れ果てていた荒野は、いつの間にか彩り豊かな百鬼夜行となっていた。
その中で他の猛者を押しのけて2011年の頂点に輝いたクソゲー、それは…
『グラディエーターバーサス』である。
本作が他作品に勝った理由は、
その純粋なまでの「クソさの追求」にある。
シリーズもののクソゲーは、手抜きやクリエイターの力不足といった要因によって
いわば本来あるべき原型から劣化したケースが多い。
しかし本作は「最初から闇の世界を目指して全力で作った」としか思えない… 一種の「潔さ」を持っていたのである。
新しく挑戦した要素がプレイヤーにあらゆる面でストレスを強いてくるという豪胆さ、
それは単純な劣化ゲーというよりも、突然変異で生まれたミュータントに近かった。
キャラ作成、戦闘、育成と全方位で救いがなく、もはや「クソゲーを作りたいから作った」としか思えない立派な出来栄えである。
そして誰がどう見てもクソゲーとしか思えないのに全力でプッシュしていく、強気なアクワイアの姿勢も高く評価したい。
フルプライスのクソゲーにクソ課金を合わせるという前代未聞の誰得商法には、
「開発陣はこのゲームを本当に楽しんでいるのではないか?」とすら思わされる。
キャンペーンでは運営自らが一般プレイヤーを狩り殺しまくったのも、
12月のアップデートでは不満点を全て残した上で改悪パッチを作り上げたのも、
クソゲーマイスターとしての「誇り」とクソゲーへの「愛」からなのかもしれない。
その自らの傷口に塩をすり込むが如き真摯な姿勢には、改めて大きな拍手を贈るべきだろう。
振り返って見れば、2011年は本当に波乱に満ちた年であった。
10ヶ月にも及ぶ大飢饉にスレ住人は飢え、ゲーム業界の衰退を感じずにはいられなかった…
しかし、その危機に呼応するように様々なジャンルから集い、
「ゲームがあるかぎり、クソゲーは不滅だ!」という危害もとい気概を見せてくれた7本のクソゲーたちがいた。
『C18』 『待ing』 『剣投資』 『UB』 『亡霊』 『pia4』 『誤当地』
互いにライバルでありながら、クソゲー全体の底力を見せつけたその勇姿は、
あの伝説的ヒーロー達のように、「栄光の7大クソゲー」として後世に語り継がれるだろう。
最後に、
同年公開のヒーロー映画『レッツゴー仮面ライダー』のキャッチコピーを借りて、
2011年のKOTYを締めくくるとともに、ヒーローたちへのエールとしたい。
『 世界よ、これが日本のクソゲーだ!! 』
KОTY2011 総評
様々な動乱が起こり日本列島を揺るがした2011年。
KОTYも例外ではなくクソゲーという名の災禍の槍に貫かれる事になるのだが、この年のノミネート作品はことごとく「ある罪」を背負っていた。
では早速だが、流れを振り返りながら9ヶ月もの潜伏期間を経て一気に噴出した7本
…いや7つの大罪達を紹介しよう。
年始から続く枯渇状態に喘いでいたスレに最初の災禍が降り注いだのは、9月も末の29日。
株)サイバーフロントより、『code_18』。(スレ呼称C18)が降臨した。
本作は不朽の名作と謳われる『EVER17』に連なる「infinity」シリーズの第四作である。
クソAVGのたしなみとして「合図」を「相図」、「どうしても」を「どしても」といった誤字脱字を多数配備。
他にも表示されるテキストと再生される音声の食い違いや、脱字どころか台詞がまるまる抜けている脱文(テキストは表示されないが音声が再生されるため分かる)
など細かくも地道にストレスを蓄積させてくれる仕掛けを連動させてボディーブローのように効かせてくる。
しかし、最大の問題点は上記のような些事ではない。
本作をKОTYレベルと言わしめたもの、それは「演出ミス」である。
「天候が回復した」と言っておきながら表示される豪雨のシーン。
「眼鏡をはずしてキスをした」と描写しておきながらヒロインの顔には眼鏡。
(元々が眼鏡on眼鏡の状態だったのなら間違いではないのだろうが)
果てはスカイタワーでヒロインと二人、沈む夕日を眺めるシーンで突然の暗転から表示される浅草寺など「なんじゃあこりゃあ!?」
と、思わず往年の刑事ドラマのような台詞を吐いてしまう程の不手際が感動的なシーン毎に襲い掛かってはプレイヤーのやる気を削いでゆく。
またAVG単体としてのシステムにも難があり、周回によって攻略ヒロインが完全に固定されているため自分の意思では選べない。
さらに、例えば3週目のヒロインでBADENDを出してセーブしてしまった場合
もう一度1週目ヒロインからニューゲームでやり直し、という苦行が待っている。
前述の演出ミスに加え、この不本意なノルマというコンビネーションでプレイヤーの意欲をバッサリ刈り取ろうとする手練は見事と言えるだろう。
このC18の出現により10ヶ月ぶりに健全な活気を取り戻すKОTYスレ。
しかし10月を迎えながらようやくノミネート1本というこの状態に寂しさを感じる住民も少なくはなく、残りの期間から見ても今年はこのまま不作で終わるのではと憂慮する書き込みが散見された。
…もっとも、そんなものは杞憂どころか極度に平和ボケした挙句の妄言であった事がすぐさま証明されたわけだが。
C18の検証もあらかた落ち着いた11月の23日、終息ムード漂うスレにふたつの災いが同時に降臨した。
ひとつめの災いは3D PUBLISHERの「街ingメーカー4」(スレ呼称 待ing)。
タイトルからも分かる通り、本作は箱庭ゲーとして人気を博してきた街ingシリーズの4作目にあたる。
街ingシリーズの特色と言えばやはり、個々の住民に名前や感情がありプレイヤーが都市開発者として彼らと親交を深めつつ街を開発してゆくゲームシステムだろう。
しかし本作は好評だった上記システムを見事に形骸化させ、「家に帰ります」「寿司に行きます」等のどうでもいい定型文を話すマネキンを眺めながら人口の水増しのみを目標とするゲームになってしまっていた。
それでもせめてHD機で箱庭遊びが楽しめれば…という希望はあっさり打ち砕かれる。
そもそもグラフィックはPS2レベルで、建てられる施設も何故か前作より減少。
ただ減っているというだけならまだしも、郵便局も霊園も交番も存在しない街をどんな風に発展させろと言うのか首を傾げてしまう有り様である。
また施設の建設にはポイントが必要になるのだが住民の要望に応えて得られるポイントは雀の涙ほどであり、結局は時間経過による充填を待たなければならない。
ひとつ建てては10分待ち、ふたつ建てては10分待ちを繰り返し、クリアまでの5〜6時間の大部分が「待ち時間」になってしまう様子はいつしか「待ing」と表現されるようになりクソゲーとしての地位を確立していった。
二つ目の災いは、アクワイアの「グラディエーターバーサス」(スレ呼称 剣投資)。
本作は一見地味だがスピーディーな戦闘の中にドッジ(寸前回避)やパリィ(攻撃はじき)といった戦略性を織り交ぜ高い評価を得ていた玄人好みの対戦アクション「剣闘士」シリーズの3作目である。
だが、いよいよHD機で剣闘士をと胸躍らせていたファンに浴びせられたのはローマの剣奴も頭を抱えるようなクソゲーの一撃であった。
まず公式PVにおいて10000通り以上と謳われていたキャラクターメイキングだが
実際には3×3×6×18の2916通りと3分の1にも満たない。
さらに言えば水増しパーツとも思える刺青を除いた場合、驚きの162通りとまさに桁違いである。
これはこれで問題だが、まぁゲーム部分さえしっかりしていれば…という思いはやはり裏切られる。
前述のドッジ&パリィが廃止された事でシリーズのウリであった戦略性が壊滅。
一気に連打系ゴリ押しゲーへと変貌を遂げてしまった。
進行に関しても一応ミッションクリア形式で進められはするが、内容はどれをとっても「3on3で敵を殴り殺せ」という一行に集約されるためにゴリ押し感が加速する。
またこの3on3というのがなかなかの曲者で、プレイヤー側のNPCは好んで本作から追加されたファンタジックな要素「魔法」を使う。
これだけなら好みの問題として喜ぶ人間も居そうなものだが、問題はこのNPC達の頭の中身だ。
積極的且つ頻繁にプレイヤーに向けて魔法を誤射、コンボを行っている最中に割り込んでは妨害、せっかく分断した所にわざわざ敵を引っ張って来て乱戦にした上でやっぱり誤射等、もうやりたい放題である。
さて、ここまでで十分ストレスフルな状況は理解していただけたと思うが実はもう一押しある。
剣投資は公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」との煽り文句を提示しており
おそらく発売後1週間を待たずして過疎化したオンラインでの課金合戦を想定したものだと思われるが、この内容がよろしくない。
狭隘なアイテムボックスの拡張、キャラクターメイクのパーツ増加はまだ良いとしても
装備品を強化するための消費アイテムがガチャガチャ形式で売られているのだ。
1回あたりのお値段こそ8個入り200円とお手ごろだがガチャガチャだけに当然欲しい物が出るとは限らず、6000円突っ込んでも望みのものが来なかったという涙と怒りを誘う報告も聞かれるあたり出現率の調整にも抜かりが無いのだろう。
この苛烈な守銭奴根性を見せつける事で、ついに「剣闘士」は「剣投資」の異名を勝ち取りスレにその存在を知らしめたのである。
思いがけず二重に降り注いだ災禍の中混乱なのかお祭り騒ぎなのかよく分からない様相を呈するKOTYスレだったが、12月8日さらなる追撃の刃が振り下ろされる。
バンダイナムコゲームスの「ドラゴンボールアルティメットブラスト」(スレ呼称 UB)だ。
本作は言わずと知れた国民的アニメ「ドラゴンボール」のゲーム化作品であり対戦格闘ゲーム「レイジングブラスト」シリーズ事実上の3作目である。
しかしキャラゲーとしても格闘ゲームとしても扱いに困るその出来には、多くの購入者が首をひねって考え込んでしまった。
本作の内容を一言で表現するなら、それは「ジャンケン」だと言えるだろう。
攻撃、移動、必殺技と、あらゆるタイミングでQTE(ボタン入力を求められるムービー)
が挿入されるのだがそのQTEの中身が「あいこの無い二択ジャンケン」なのだ。
当然勝敗は運に左右され、そこにプレイヤーのテクニックが介在する余地はほとんど無い。
格闘ゲームとして腕を磨こうにも、これではお手上げである。
ではキャラゲーとしてどうなのかと言えば、流れるムービーや演出自体は非常に美しい。
しかしこれもマズい事にサイバイマンでもゴジータでも全く同じモーションという具合でキャラゲーとして重視すべき個性が完全に死んでいる。
またキャラクターのラインナップもどういう経緯を経たのか前作より大幅減の64キャラ、しかもキュイは居るのに青年期ゴハンは居ないなど摩訶不思議な陳列状態を晒している。
一日あたり5分10分という単位でなら眺める楽しみを味わうゲームとして機能しなくもないが、対戦格闘アクションとしては完全にお釈迦と言って差し支え無いだろう。
ここまで短期間に怒涛のごとく押し寄せたクソゲー達の検証に、いよいよおおわらわになるスレ住民達。
しかし災禍の拡大はとどまるところを知らずUBの来襲も記憶に新しい聖夜、1月27日の発売以来地底に眠り続けてきた悪霊が目を覚ました。
アクワイアの「Wizardry 囚われし亡霊の街」(スレ呼称 亡霊)の出現である。
本作は30年の歴史を持つ3DダンジョンRPGの老舗タイトルWizardryの最新作であり
シリーズの人気再興を掲げたWizardryRenaissanceプロジェクトの作品でもある。
元来Wizardryシリーズの魅力と言えば、シンプルだが完成されたシステムと、よく調整されたシビアな戦闘と罠のバランス、そして中毒性の高いアイテム収集といった
派手さは無いもののハマると止まらなくなる、ご飯のお供のような味わいだと言えよう。
しかしながら本作では、このシリーズ伝統の「潜る→戦闘(収集)→帰還」というサイクルが見事に破壊されていたのだ。
戦闘バランスの崩壊という一事によって。
その様子が最も顕著になるのは3部作である本作のラスト、シナリオ3においてである。
本作では追加シナリオが配信されるごとにLvキャップの解放が行われてきたのだが、当然プレイヤー側の上限が上がると同時にモンスター側のLvも上昇する。
しかしWizardryというゲームの性質上プレイヤー側はどれだけLvが上がろうとHP以外のステータスは基本値+10までしか伸びず、装備品も加味した強さがシナリオ2程度でほぼ頭打ちになる。
対してモンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇してゆくため、終盤に至っては絶望的な能力差が生じてしまうのだ。
その結果どうなるのかと言えば…
エンカウントした瞬間に即死あるいはステータス異常魔法で全滅
エンカウントした瞬間にパーティーが消し飛ぶ威力の物理攻撃で蒸発
といった先制→全滅の嵐が雑魚戦ごとに吹き荒れてしまうのである。
もちろん100%全滅というわけではなく1ターン経過した時点で6人中1〜2人生き残っている可能性もあるが、全滅と3/4壊にどれほどの差があるだろうか?
少なくとも3ターン目が拝めないという点では同じだろう。
一応適正Lvと思われる200程度にまでLvを上げれば1ターン即壊滅という事態だけは避けられるようになるものの、そこまでの経験値を真っ当に稼ぐには数百時間のレベル上げ作業が必要になる。
さすがにこれは厳しく、亡霊本スレ及びwikiにおいてもゲーム内で通貨を経験値に変換する施設と資金増殖の裏技を併用するLvアップ方法が研究されてきた。
しかしそれも1キャラあたり10時間程度(1パーティー6キャラで60時間)を要するものであり、そんな工程を経てようやくスタートラインという状況がまともかどうかは論を待たないだろう。
尚こんな状況の中クリアを目指すのであれば「特定のモンスターがドロップ」あるいは「DLCで購入」できるエンカウント抑止アイテムを使用して雑魚戦を回避し、ラスボス(弱い)のみ倒せばОKである。
だがストーリーが添え物に過ぎず戦闘とアイテム収集を楽しむWizardryにおいて戦闘とそれに付随するアイテム収集を否定するという選択は作品の魂を抜き取るに等しく、その様子はまさに「亡霊」と呼ぶにふさわしいものであった。
急なノミネートの連続に次第に混迷を深めてゆくスレだったが、誘爆を始めたクソゲーという名の災禍はもはや止まるところを知らなかった。
PIACCIより「Piaキャロットへようそこ!!4〜夏の恋活〜」(スレ呼称 Pia4)
いいかげんに終わりかと思われていた年の瀬になっての急襲である。
本作はタイトルからも分かる通りPCエロゲ繁栄期より続く「Piaキャロットへようこそ!!」シリーズの4作目から18禁要素を取り除いてコンシューマ向けに移植した作品である。
通常こういった移植作の場合18禁シーンをカットする代わりに新規イベントを追加するなどしてストーリーの欠けた部分を補完するものなのだが、Pia4は一味違っていた。
セクシーなシーンにさしかかると画面が暗転し、事が済むまでの間がスッパリ切り取られるのみで何ら追加描写が存在しないのだ。
当然プレイヤーは暗転中に何がどうなっているのか知る由も無いので、気づかぬうちに男女の仲になっていたり、身に覚えが無いのに彼女が妊娠していたりという椿事が発生する。
ゲームの楽しみの大部分がシナリオに依存するAVGにおいてこれは重傷と言えるだろう。
またPia4には選択肢を選びながらテキストを読み進めるAVGパートの他にファミレスでのアルバイトを SLG風に仕立てたパートが有るのだが、これにも問題がある。
結論から言えば、ほとんど意味が無いのだ。
SLGパートでは仕事内容によって8種のステータスが増減するのだが、このステータスが役に立つのはGOOD or BADのエンディング分岐のみで他には一切影響しない。
と言うかエンディングの分岐判定はこのステータスのみによって行われるらしく、仮に判定時に要求水準に達していなければそこまでのシナリオ展開に関わらず強制BAD。
「何しに来たかわからん一ヶ月だった。働いてた事しか記憶にねぇや」
という定型文を、ルートによっては肉体関係を結んだ実妹に向けてほざく様子はある意味潔くすらあった。
こうなると、仕事内容は「デリバリー」のみ選んでおけば全ステータスが上昇するため考えて選択する必要が無いというのが救済措置にも思えてくるのだが、それなら最初から実装する意味が有ったのか甚だ疑問である。
これらの点に加えて謎の処理落ち、フリーズ、観客席が見当たらない陸上競技場など色々な所で練りこみの甘さを見せるPia4は、その全体の質の低さをもって突出した部分が無くとも十分にクソゲー足りえるという事実をスレに知らしめた。
当初不作と言われていた2011年だが、気づいてみれば年越し間際に滑り込んでまで6本もの災禍が大挙して押し寄せる大盛況へと姿を変えていた。
そして、ようやく年越しを迎えたスレでは慌しく検証と総評執筆の作業が行われようとしていたのだが…悪夢はまだ終わってはいなかった。
1月8日。2009、2010両年にわたって虚無ゲーの異名を欲しいままにした怪物の後継者
タカラトミーの「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ」(スレ呼称 誤当地)9月1日の発売日より3ヶ月を待っての降誕である。
本作はwii版人生ゲームシリーズ通算6作目の作品であり、基本設計は2010年度ノミネートの「人生ゲーム ハッピーファミリー」に準じるものである。
もうこれだけでおおよそ伝わってしまったかもしれないが、一応言っておこう。
そう、ゲー無だ。
マップの種類は全1種。
プレイヤーキャラは設定変更不能の10人、
看板キャラクターであるはずの天使と悪魔は引き続き不在、
1週目で枯渇し何度も同じものを見るはめになるイベント
そして肝心のご当地ネタは…
○○県「○○(←名産らしきもの)おいし?♪」概ねこんな感じだ。
この突撃者をして「マイナス50点のものに5点足してもマイナス45点なんだよ」
という秀逸な表現をさせる作品が6090円とは、さすがタカラトミーと言わざるを得ない
さて、以上7つのノミネート作品を紹介し終えたところで大賞発表の前にひとつ語らなければならない事がある。
冒頭でお話した本年度のノミネート作品がことごとく背負っている「ある罪」についてだ。
もうお気づきの方も多いかもしれないが、2011年度ノミネート作品は奇しくもその全てが「シリーズ物」なのだ。
それも過去において水準以上の高い評価を勝ち得ていたシリーズの。
改めて言おう、本年度のノミネート作品が背負っている罪とは
「名誉と伝統あるシリーズの名を地に落とした事」である。
空前の不況とゲーム機の進化に合わせて膨らみ続ける開発費の中、ただでさえ冒険的な新規タイトルは打ちだしにくい昨今。
売る側買う側双方にとって半分安牌である事が約束されたようなシリーズ物、その信頼を地に落とした罪の重さは計り知れないだろう。
では、ゲーム業界の発展に暗い影を落とした7つの大罪の中から本年度の大賞を発表しよう。
いずれ劣らぬ剛の者達の中、頂点の座に君臨したのは…
「Wizardry 囚われし亡霊の街」である。
本作が大賞に輝いた理由には
「そもそもまじめに作ろうとしたとは到底思えない」というものが挙げられるだろう。
作品紹介の部分でも簡単に触れたが、亡霊も含めWizardryシリーズに受け継がれている根幹のシステムというのは「キャラメイク、ダンジョン歩き、戦闘」のみを行うための至極単純なものであり、かつ完成されて久しい物である。
具体的にどんなものかと言うと、3Dダンジョンに潜って戦闘してアイテムハントをくり返すハック&スラッシュ型のゲームだ。
シナリオは基本的に添え物(例・悪い魔法使いが地下に居るからやっつけてきて)
フィールドは存在せず、一枚絵の街とダンジョンのみが存在する。
プレイヤーキャラクターは自分で種族やら職業やらを決めた6人で1パーティー。
肝心の戦闘バランスは確かに高難易度と表現する事もできるが、より正確に言うなら
「乗り越える快感を主とし、十分に力がついた後も適度な緊張感が保たれる」
といったところだ。
決して最大HPの数倍のダメージで叩かれて喜ぶゲームではない。
少々乱暴な言い方をすると、アイテム、モンスター、ダンジョンマップ、の3種のデータを作ったら、後は適当にばらまいて戦闘のバランスだけ取っていれば「そこそこの良作に仕上がってしまう」物なのだ。
加えて出来上がった物を受け止めるのは、一般をはるかに超えて寛容な多少のデスバランスには動じないWizardryユーザーである。
それを押して「この有り様」というのがどれ程のものかは未経験者であっても想像に難くはないだろう。
でもそうは言ってもWizardryって元々難しいゲームで、全滅も当たり前なんじゃないの?
という疑問はもっともだし、嘘というわけでもない。
だが旧作Wizardryの戦闘は厳しくともプレイヤーのやる気をへし折らないバランスがしっかり保たれていた。
前述の通りプレイヤーのステータスは基本値+10までしか伸びずHP以外の数値は早々に頭打ちになるが、攻撃回数・特殊攻撃耐性・補助魔法の効果などがLv上昇に応じてしっかり補強強化される。
戦闘中の行動順も原則的にパーティーの方が先に動きやすいように調整されている。
なので初見の段階では歯が立たず全滅必至だったモンスターもLvを上げて装備を整えればほぼ無傷で倒せるようになるのが通例だった。
またクリアに必要なLvがせいぜい20程度であった初期作品では
万一、死亡→蘇生失敗→キャラクター消失の憂き目に遭ったとしても新たなキャラを育てる手間も知れているためリカバリは比較的容易だった。
一見シビアに見えるデスペナルティも、そのダメージの大半はアクシデント発生時の精神的ショックが占めていたのだ。
Wizardry5以降の要求Lvやモンスターの強さがはね上がる作品では
・ 魔法やブレスを無効化するバリア魔法 ・モンスターの魔法無効化率を下げる魔法
・ 強力な状態異常魔法 ・罠回避、敵先制回避魔法
等が実装され、前述の魔法効果や能力のLv補正もきちんと機能している。
モンスターが強力になろうとプレイヤーがさらにその上を行けるようにしっかり設計されていたのだ。
亡霊にはこのような防御面における工夫が一切無い。
と言うか今「工夫」と呼んだこれらは既に過去において実装され成功を収めている物であり、新たに自分達で考えなくても猿真似すればそれで良かったのだ。
しかし亡霊の実際がどんなものかと言えば…
? モンスターのLvが上がるほどモンスターの行動順が早くなる
→終盤にあってはプレイヤー側最速種族の素早さが最大値であろうと先手を取れない。
? 先制攻撃を回避する手段が無い
?バリア魔法が存在せず、プレイヤー側の状態異常魔法はほぼ通らない
→先手を取られて即死or状態異常魔法を撃たれて全滅
? 敵の攻撃が超火力過ぎて防具の防御力が意味を成さない
→当たると死ぬので仕方なく回避性能の高い防具を装備するが当たる時は当たるor状態異常魔法で回避できなくなった所を殴り殺される
? 戦闘中に味方全体の防御や回避率を上げるドラクエのスクルト的な魔法が無い
→スカラに相当する単体版は有るが超火力が一気に味方全体に襲い掛かるので全然間に合わず、かかったキャラも効いてるんだか分からないくらいあっさり死ぬ
? 君主という職業が味方をかばえるが、前述の理由で死ぬ順番が君主からになるだけ
?司祭という職業が全ての攻撃を受け止めるバリアを張れるがマッハで割れる
→1ターンあたり何十発(1発が致死量)の攻撃判定の最初の1〜2発を防いで何になるだろう
ざっとこんな有り様で、敵の攻撃に対抗する手段がほぼ存在せず超火力で殴られるのを見越して回復魔法を選択していようと唱える前に瞬殺されるのが日常である。
攻撃面に関しても調整が投げやり、と言うかまじめに調整しようとした気配が無い。
敵も味方もハイパーインフレ、と言えば伝わりやすいだろうか。
3部作最初のシナリオ1中盤HP400程度の頃から数百に及ぶダメージ、終盤に至っては4桁ダメージが珍しくない。
つまりこの時点でもうシナリオ3の癌である「当たると死ぬ」の戦闘バランスが顔を覗かせているのだが、まだプレイヤー側が先に動けるので誤魔化せているだけなのだ。
もっとも、駆け引きも何もない先に撃った方が勝つというだけの戦闘が面白いわけもないのだが。
他にも
ダンジョン内で「ここに病院を建てよう」「かゆ、うま」などため息が出るようなメッセージがちょこちょこはさまれる
全編通してレバーを引いて扉を開けるしか仕掛けが無い
同一シリーズの装備品で装備できる職業がバラバラ
(ドラクエに例えると、はがねの剣を装備できるのは戦士 はがねの鎧を装備できるのは武道家、はがねの兜を装備できるのは勇者、のような状態)
HPの上昇率が種族毎に大きく異なり、低いものは事実上死に種族
等など、あらゆる所で「ちょっとまじめに作る気があれば…」と思わせるものだらけだ。
ハスクラゲーなのに戦闘がダメ
トレハンゲーなのに武器を除くアイテムの価値が低い
ダンジョンゲーなのにダンジョンが手抜き
キャラ作成&妄想ゲーなのに選択の自由は奪われる
と、長所を満遍なく否定された挙句実態が無いために叩き割る事もできず完全に死に体となった亡霊は心底人を消沈させるクソゲーとして歴史にその名を刻む事となった。
では最後に、伝統と栄光のWizardryシリーズより絶望感とインパクトを伴う一文を引用KОTY流に改変して結びと変えさせていただきたい。
「2011年、ユーザーは くそげーのなかにいる」
ラストリベリオンが初の先行逃げ切り大賞に輝いた2010年という時代は、このスレにとって一つの大きな節目だったのかもしれない。
2007年「四八ショック」から始まる3年間、KOTYは毎年現れるおぞましい「魔物」達に蹂躙され続けてきた。
歴戦のクソゲーハンターたちの予測をもはるかに超える彼らは、その強大過ぎる力を激突させスレを度々焦土に変えた。
しかし2010年、ついに「魔物」は現れずノミネートも過去最少となる4本まで減少。
それにも関わらずもたらされた「適度に日照らず続く平和」は、優秀な「門番」ラストリベリオンによる鉄壁ディフェンスの賜物であろう。
一年を通じて挑戦者を物理で撃破し続けたこの守護者は一種の頼もしささえ感じさせ、最終的には過去に例がないほど平和的に大賞に選ばれることとなった。
動乱の時代は終わったかに見えた。「魔物」や「英雄」、「王」が主役を担う神話の時代は、偉大な反逆者の出現によって一旦幕を下ろしたのである。
歴代最高にして最強の「門番」スベリオンがもたらした束の間の平和を謳歌しながら、スレ住人達は新たな不安を抱え2011年のスタートをきることになった。
「偉大なる(便利な)門番はもういない。ゲーム業界自体が活気を失う中、クソゲーが今年も都合よく現れてくれるのだろうか…」
悲しむべきことに、毎年杞憂に終わるこの「スレ住人たちの不安」は、ついに的中する事となった。
3月に発生した大震災により日本全体が停滞と自粛ムードに包まれた。
KOTYもその例外ではなく、門番どころか話題となるクソゲー自体がゼロのまま時ばかりが過ぎて行った。
門番不在のためスレにはクソゲー未満たちが跳梁跋扈し、届くのは度重なる発売延期の報せばかり。この長い長い冬は約7カ月もの間続くことになる。
荒涼としたスレに一条の光が差し込んだのは後半10月。
サイバーフロントによるADV『code_18』(通称「c18」)の登場でスレはにわかにいろめきたった。
名作ADVとして名高いinfinityシリーズの最新作として登場した本作であったが、
まさか同ジャンルにおける伝説の魔物『四八(仮)』と被る部分が
値段(7140円)と呪われた略称(しーじゅうはち)だけでなく、
クソ要素までに及ぶと誰が予想できたであろうか。
誤字脱字などは当然の如く完備、
セーブポイント間違いによる強制やり直しなどの理不尽仕様・フリーズ・バグなども標準搭載で、
さらに表示画像や効果音と文章の不一致も満載。
シナリオはもちろん矛盾や超展開のオンパレード、果てはタイトルのcodeの意味も最後まで有耶無耶のまま終わってしまうなど、
ADVクソゲーとしての基礎をきちんと押さえているあたり、本当に四八をリスペクトしたんじゃないかという程のクオリティの低さを見せつけた。
特に話題をさらったのはその演出ミスの酷さである。
「真っ暗なお化け屋敷」なのに昼間の明るい教室、「夜の浅草」なのに昼の仲見世が表示され、
「天候は回復した」のに雨が降り続いたり、電車から降りたはずなのに電車の効果音が続きっぱなしだったりするのは序の口。
ヒロインが眼鏡を外してキスするシーンなのに眼鏡をかけたままだったり、
スカイタワーでヒロインとデートするシーンなのに背景が夕暮れの浅草寺だったりする等、
魅せ場における強烈な盛り下げっぷりはもはや芸術の域である。
発売当日から本スレを阿鼻叫喚に陥れ、プロデューサーが雲隠れする事態にまでに発展させたその実力は伊達ではなく、
c18は四八(仮)の良き後輩として迎え入れられ、沈み込んでいたスレを大いに沸かせたのだった。
ようやく訪れた一粒の収穫を喜び安堵するスレ住人たちであったが、この時はまだ知る由もなかった。
それが大いなる災いと罪の一つに過ぎなかったことを。
年末の惨劇第一幕は11月末に同日に発売した2体の怪物によってもたらされた。
その一つがD3 PUBLISHERから発売された『街ingメーカー4』(通称「待」「待ing」)である。
「街の住人たちの触れ合いを通じて街づくりを行い発展させていく」という独特の面白さを開拓した人気シリーズ「街ingメーカー」の最新作で、
多くのファンの期待を背負っていた本作。しかし、その期待はあらゆる部分で裏切られた。
何故か出禁状態で建物の中に入れてもらえない主人公に、定型文みたいなどうでもいいセリフしか語らない街の住人達、
郵便局や交番のような必要最低限の生活インフラさえ無いほど激減した物件の種類、2種類しかないBGM。とても7140円のフルプライスとは思えない惨状である。
おまけにゲームの進行は凄まじく遅く、街を開発するために必要となる「ポイント」は中盤以降すぐに尽きるにもかかわらず、
ゲーム内時間で一昼夜経過するまでポイントは振り込まれない。
そのためその間ひたすら待ち続けなければならず、クリアに要する6時間のうち大半が待ち時間。
いつしか略称は「街」から「待」に変わり、
あまりのゲーム性の薄さ、時間浪費の虚無さからその価値は、モバゲー、積み木、レゴブロック等と比較されるまでに暴落した。
もう一体の怪物の名は、アクワイアより発売された『グラディエーターバーザス』(通称「剣投資」)。
これまた多数のファンを抱える「剣闘士」シリーズの最新作である。
が、その実態はファンを詐欺と搾取で虐殺する狂戦士であったと誰が予想できたであろうか。
「容姿の組み合わせは10000通り以上」と謳われているキャラクターメイキングは水増しにも程がある代り映えのなさな上、
ゲーム中は兜を被るのでそもそも顔は見えないという素敵な仕様。
肝心のゲーム内容は「3vs3」の対戦格闘型アクションであるが、
前作からの人気システム「パリィ」「ドッジ」は削除され、代わりに追加された「魔法」によって根幹から変貌している。
この「魔法」、なんと味方にもヒットしてしまうため、非常に頭の悪いNPCによる誤射誤爆が後を絶たない。
そもそも、古代ローマの剣奴をモチーフにしたシリーズに何故急にファンタジー要素を入れたのかもファンとしては首を傾げたくなる所である。
また、NPCの問題はこの誤射だけに止まらず、コンボの最中に割り込んで中断させたり、
一対一で戦っているところに他の敵を連れてきて窮地に陥らせたりと悪意さえ感じさせる低能さをいかんなく発揮。
かといって連れて行かずに1対3では勝負にならず、またスキルカスタマイズなどは無いため魔法を撃たないようにすることさえ出来ない。
唯一の回避方法はオンラインで他人と組むことなのだが、オンラインは深刻な過疎化が進行している有様でとても期待できない。
ならば自己強化するしかないのだが、そのために必要なお金と宝石、特に宝石はなかなか手に入らない。
そこで簡易入手のため登場するのがこのゲームの暗黒面の象徴とも言うべきDLC(ダウンロードコンテンツ)課金である。
恐怖の「ガチャガチャ」方式による宝石販売は、入手出来る物がランダムなため数千円突っ込んでも欲しい宝石が手に入らないこともざらな無限収奪システムと化している。
さらに、「キャラ枠」、「アイテムボックス拡張」、「容姿追加」など、
フルプライスならばゲーム内で無料で入っていて当たり前の物がカタログにずらりと並び、
メーカー側も公式サイトで「ライバルに差をつけろ!」と課金合戦を煽る始末。
いつしか略称は「剣闘士」から「剣投資」へと変わっていった。
過疎を憂慮したメーカーは発売一ヶ月後に無料体験版を配信したり、
アップデートを行うことでどうにか人口増加を計ったが、
「体験版だけやれば製品版は不要」といわれるほど差のない体験版だったためむしろ逆効果、
アップデートに至っては敵のAIばかりが強化され、NPCは馬鹿のまま「魔法」の威力を大幅に向上させたため誤爆の恐怖が激増、
完全に逆進化し、かつて2008年を沸かせた魔物「ジャンライン」と同じ道を辿ることとなる。
ホットな話題は止まるところを知らず、ウィルスバスターは発売前から公式サイトを「オンライン詐欺に関係している兆候があります」とその本質を見抜いた警鐘を鳴らしていたが、
その低クオリティと強欲搾取体制により、発売初週からオンラインは過疎状態、本スレでは売却報告が相次ぎ、電撃PSでは『四八(仮)』と同じ最低ランクの評価を獲得するまでに至った。
二体の同時襲撃を受けて息も絶え絶えなスレに、トドメの一撃とばかりに異質な気を纏って超戦士が襲来したのは12月。
バンダイナムコゲームスの3D対戦アクションゲーム『ドラゴンボール アルティメットブラスト』(通称:UB)である。
日本が誇る名作「ドラゴンボール」のキャラゲーで、ファンからも定評のある「レイジングブラスト」シリーズの最新作。
本来ここのようなゲーム界最底辺の天下一を決める舞台に上がることなどありえない、
エリート中のエリート戦士…のはずだったのだが。
クソゲーへと転落した最大の原因は、簡略化しすぎてしまったその戦闘システムであろう。
UBには昨今の格ゲーのようにプレイヤーに技術を要求する部分がほぼ無く、
かわりに頻繁に発動するQTE(クイックタイムイベント)が存在。
これはようするにボタン入力が必要な「2択のあいこなしじゃんけん」である。
キャラゲーにあるまじきほぼ全キャラ共通演出な上、テンポも非常に悪いのだが、
通常攻撃、必殺技、受け身、間合い変更などあらゆる局面でこのQTEは発生。
その成否を分けるのは技量でも戦略性でも無く二択に勝つ純粋な運のみ。
このため、対戦ゲーム本来の味である読み合いやテクニック要素などが完全喪失。
せっかく大迫力の演出や高評価のムービーがあるのに、
ゲームとしての根幹が深みもコクもない「2択のあいこなしじゃんけん」なので格ゲーとしては楽しみ様がない。
格ゲーとしてダメならファンアイテムとしてどうか、とファンのみをターゲットとした
キャラゲーとしての面で希望が残るが、そちらはもっとダメである。
何を思ったかキャラゲーのキモであるキャラ自体を大幅削減。
しかもキュイなど原作でも出番の少なかったキャラがいる一方で、
悟天や餃子、青年悟飯など主要戦士がリストラされる謎の人選。
そのためシナリオも歯抜け状態で、むしろファンの方がガッカリする仕上がりになっている。
これでようやく年末の襲撃がやんだかとスレ住人たちが安堵したのも束の間、
年末に現れた魔物たちのもたらす熱気(邪気)は、震災の混乱で上半期に眠ったままであった悪鬼たちをも呼び覚ました。
長期間潜伏していた恐るべきクソゲー達の選評が次々に届き、スレはさらなる混沌へと突入する。
最初に目覚めた悪鬼は、1月27日にアクワイアより発売されていた3DダンジョンRPG『ウィザードリィ囚われし亡霊の街』(通称「亡霊」)。
30年の歴史を持つダンジョンRPG「ウィザードリィ」の再興を目指して始まった「ルネサンス」シリーズの最新作で、
3つのシナリオから構成されている。
発売直後からセーブが出来ないバグが発覚し話題になっていたのだが、
アップデートにより改善。グラと異なる音声、イベントマス上で何も起きない、
ダンジョン内部が描画されない、稀にセーブ出来なくなって詰む等の不具合は残ったが、
進行に致命的な支障が出る程のバグは消えたので問題なく遊べると思われ埋もれてしまっていた。
まさか仕様そのものが進行に支障をきたす凶悪さだと気付かされる年末のその時までは。
特にそれが顕著に表れるのはシナリオ3(シナリオ1、2もかなりの極悪理不尽度だが3に比べればまだマシ)。
プレイヤーのレベルは後半HP程度しか上がるものが無いのに、敵は全能力が上昇。さらにほとんど確実に先制されるため、
エンカウントしたら何もできないまま全滅する確率がほぼ100%という、難易度以前の超絶理不尽が牙をむく。
一応お金でレベルを上げることも出来るが、
どの道敵を倒してお金を稼げないのでお金の無限増殖バグを使い数百時間かけて
ようやくレベル限界というクリアのスタートラインに立てる。
また、もう一つの手段としてエンカウント回避アイテムがあり、
これを使えばラスボスまで辿り着く事が可能(ラスボスは弱いので普通に勝てる)。
しかし、このアイテム自体が敵の落とすドロップアイテムなので、
「エンカウント=死」のこのゲームでは通常経路での入手は困難を極める。
しかしそこは商魂逞しいアクワイア、ちゃんとDLCで有料販売してくれているのでそこで購入すれば一応ラスボスへたどり着ける。
この他にも様々なレアアイテム等を販売しており、金さえ積めば大概の事は解決できる素晴らしい仕様になっている。生真面目にプレイなんかしてアイテムを収集するより買え、
というのがこのゲームの一番の攻略法なのかもしれない。
そもそも前作のイベントでのみ入手できるアイテムをリスト内に混入させているため
最初から仕様で「アイテムコンプ不能」という、
この手のゲームにとっては重大なミスを放置しているあたり、
ゲーム内でコンプ目指してアイテム収集するような楽しみ方をさせる気は微塵もないようである。
乱世の風雲に乗じ、ついに修羅の国も動き出す。
月下旬発売ながら売上数が確認できぬほどのステルス性を持ち、大晦日にまで潜伏し続けていた核機雷搭載の大型原潜が突如浮上を開始。
PIACCIのファミレス恋活ADV+SLG『Piaキャロットへようこそ!!4〜夏の恋活〜』(通称「Pia4」タイトルの恋活はバイトと読む。また通常版らしいが限定版は存在しない)
「Piaキャロ」シリーズといえば、かつて一世を風靡した人気の伝統ブランドであり、根強いファンも多い。
いつも据置KOTYを荒らしまわる修羅の国移植ゲームとは格が違う名門中の名門…のはずだったのだが
その性能は、処理落ち・フリーズバグ・湾曲空間背景などは修羅の基本装備だと言わんばかりに全搭載、
サバンナにしか見えない陸上競技場、移植なのにキャラを追加するどころか削除、ただの作業でしかないSLG部分等、
細かい部分をあげたらきりがないほどの劣化ぶりを見せつけプレイヤーを驚愕させた。
しかし所詮これらはこのゲームにおいて些事でしかない。真のクソ要素はシナリオそのものにこそある。
移植前ですらユーザーからはエロ以外は壊滅的評価しか得られなかった物体から、移植のため不自然にエロ部分を全削除してしまった結果、
修羅の国版「ゲー無」とも言うべき中身の無さと整合性の無さを持つ怪物が誕生。超展開を超えたカオスがプレイヤーを待ち受ける。
「格ゲーしていただけなのに、いつの間にか付き合っていた」
「いつの間にか従姉を妊娠させていた」
「いつの間にか実妹と一線を越えていた」
などはもはやサイコ物かスタンド攻撃の類。
おまけに、SLG部分のパラメータが足りなければ一線を越えていようが妊娠させようが
「この一ヶ月はなんだったんだろう。働いてたことしか記憶にない」と国会答弁並のオトボケ発言を炸裂させ実家に帰ってしまう。
ほとんど陵辱鬼畜ゲーのヤリ捨てエンドと大差ない外道ぶりである。
プレイヤーを狂わせやり込むほどに苦痛が増すという、この恐怖と狂気に満ちたシナリオの全貌をここで詳細に語ることは出来ないが、
無謀にもその一端を知ろうと求めるならば、当スレに届けられたある勇者の怨念とも言うべき手記をご覧頂きたい。
怒濤の年末ラッシュで半死半生の住人たち。だが年末の惨劇を乗り越えて迎えた年始に待っていたのは平穏ではなく、
6連撃によってもたらされた2011年最後の地雷の誘爆であった。
発売から潜伏期間三ヶ月以上を経て、年始に選評が届けられるなり異例の速度でノミネートを果たした最後の魔物。
KOTY5年連続ノミネートの強豪タカラトミーから発売の
『人生ゲーム ハッピーファミリー 御当地ネタ増量仕上げ』(通称「誤当地」「人生3」)。
もはや常連過ぎて説明不要かもしれないが、
人生ゲームブランドの安全神話を崩壊させた「人生ゲーム」シリーズの最新作で、
KOTY2009において四天王の一角を担った「ゲー無」の最終形態である。
何故か人生ゲーム要素ではなく地方ネタイベントを追加しており、
完全に増量するところを間違えているところから「誤当地」とも呼ばれる。
実体を得た代わりに値段は初代の約6倍に跳ね上がり、プレイ時間も1ゴールまで数時間かかるが、
道中は相変わらずの投げやり感溢れるイベントを何度も被らせるなどして苦行度を大幅増加。
「何も無いが安くて短く苦痛も少ない」という初代の数少ない弱点(長所)を完全に克服した仕上がりになっている。
完全版でありながら前作人生2の欠点は全て引き継いでいる・・・というか何も変わっていないので詳しくは過去の総評をご覧頂きたいが、
相変わらず一つしかないマップ上にはミニゲームもカードも仕返しマスすらなく、10人しかいない上に変化の無いプレイヤーキャラや、
肝心のルールを理解してないCPUがはびこる、天使も悪魔も見放した不毛な世界が広がっている。
当初はプラスに働くと思われた追加の御当地ネタも、人生ゲームに何の脈絡もなく割り込んでは観光案内ネタを発動させる為、むしろ人生ゲーム要素をさらに薄める方向に作用。
おまけに、「長野ではカラオケに行くと必ず県歌を歌う」等、県民も首をかしげるような偏見や誤情報も混入して、
本当に「誤当地」を体現してしまう始末である。
また、手抜きによる演出の酷さも凄まじい。
キャラが少なすぎる為日本各地にそっくりさんが大量に出現、
しかも年齢と容姿が人外設定でもない限りあり得ないようなミスマッチでも堂々と表示されており、
地元のおじさんから百歳越えの老人なども全て若いサラリーマン風の男性姿で統一されていたりする。
背景も各県にほぼ二つ程度なので、
石川県では能登半島に行ったはずなのに背景が兼六園に、
香川県では町中のうどん屋の前で瀬戸内海の風を感じたりする。
こうして、増量したのは苦痛だけかと言いたくなるほどの圧倒的虚無さと無価値さを見せつけ、
タカラトミーは今年も連続ノミネート記録を更新。もはや殿堂入りにすべきかとさえ議論される事態となった。
以上、七つのノミネート作品の紹介を終えたところで、今年の大賞を発表しよう。
奇しくも7作品全てが名作シリーズ物の最新作となったこの2011年KOTYの大賞に輝いたのは・・・
『人生ゲームハッピーファミリー 御当地ネタ増量仕上げ』である。
今回の審議は非常に難航した。7作品全ての実力が拮抗しており、さらにほとんどの選評が年末に一斉に押し寄せた為、
情報が圧倒的に不足していたのである。これに対し、当スレの勇敢なる検証班(クソゲーハンター)が出撃、数多の犠牲の果てに審議は進められた。
そのような中でこの誤当地が大賞に輝いた決め手は、その圧倒的な「手抜き」と「無」がもたらす致命的な盛り下げ力にある。
当初この誤当地はパーティゲームとして多人数プレイとして用いれば多少マシだろうと推測されていた。
ところが実際多人数プレイした結果「つまらなすぎて途中で相方が寝てしまった」
「人間関係にヒビが入った」等という予想外の報告が内外からもたらされたのである。
友情破壊自体はこの種のパーティゲームの宿命ともいえよう。
だがこの誤当地のもたらす険悪ムードは、通常の「ゲームを白熱させすぎた結果」ではなく、むしろその逆なのであった。
イベントもただつまらないだけでなく数も少ない為すぐに底が見えてしまい、
何度も何度も同じ話をみるだけのうんざりするような道中が続き、
自然と沈黙に陥りやすい状況がスタートからゴールまで常に付きまとう。
さらに子育て等による非常なテンポの悪さも特筆すべきもので、
マスに止まってポコポコ子供が生まれる度にイライラの種が激増、
「ガキ作るんじゃねえよめんどくせえ!」と思わず叫びたくなる後半には、
もはや「ハッピーファミリー」要素はどこにもなく育児ノイローゼがプレイヤー間に蔓延する。
さらに気の遠くなるような検証の結果、ルーレットの出目が明らかに異常な偏りを見せている事が発覚。
低い目、特に3が非常に出やすく、逆に7は非常に出にくくなっている。
意図した物なのか調整ミスなのかは不明だが、
ただでさえテンポの悪いゲーム進行をさらに遅らせることに寄与していることだけは確かである。
しかもここまで長引かせておきながら勝敗を分かつのは終盤のギャンブルイベントの一発勝負。
勝っても負けてもこれまでの人生は何だったんだと言いたくなる結末が待っている。
その他、初代人生ですらあった最終資産の表示を削除し虚無さを増した順位発表、
おじゃましマスによって何故か特定の順番のプレイヤーに集中攻撃が起こる最悪の調整ミス等、
とにかく負の方向に人間関係を悪化させる要素が大量にちりばめられている。
多人数プレイ用のパーティゲームでありながら、高速かつ高確率で雰囲気をぶち壊し、無理に続行などしようものならパーティムードもろとも友情を粉砕しかねない破壊力を秘めたこの誤当地、その危険度は自分一人が耐えればよい他のクソゲーの比ではない。
小学校教師のお小言のようなかたい事は言いたくないが、このゲームについてだけはたしかに、こっくりさん等と同じ方向性で「危険な遊び」と言わざるを得ない。
惜しくも大賞を逃した他6つのゲームもこの誤当地にクソさで決して劣るわけではない。
それぞれの個性的なクソ要素のうち、誤当地の持つクソ要素がその「人生ゲーム」というジャンルと相性が良すぎた(悪すぎた)、ただそれだけの差かもしれない。
また今年度は「待」「Pia4」のように「薄さ」、「無価値さ」にクソさの比重を置くゲームが多かったが、こと「無い」ことにかけては「人生シリーズ」は他の追随を許さない。
こうしたクソ要素の相性にも恵まれ、辛くも誤当地がこの接戦を制する事となった。
2011年、日本は未曾有の大災害によって日本全体が活気を失った。
その結果なのか、もたらされた今年の7作品は全てかつて好評を博したシリーズ物の堕ちた最新作たちであり、冒険心を失い過去の栄華にすがるゲーム界の暗黒面を象徴するかのような存在であった。
先人達の遺産とも言うべきシリーズを食い潰し、そのブランドへの信頼を完全に失墜させたこれらは「七つの大罪」と呼ばれ、歴史にその名を刻んだ。
また終わってみればノミネート作7つの大豊作であったものの、前述したとおりKOTYでは前半から中盤まで、混迷を極める業界を象徴するかのように、クソゲーとは言い難いゲーム達が持ち込まれては消えてを繰り返す大飢饉に陥っていた。
その消えていった者達の中には、あろうことか自分の人生をノミネートさせようとする者まで存在し、優しい住人が「今年発売じゃないからダメだろ…」とやんわりと説得し退場させるという、普段と違ってせつなすぎる選外送りが幾度か行われた。
「人生はクソゲー」と信じて疑わない方はその悲観的な結論を下す前に、一つでもいいので今年のノミネート作を手に取っていただき、それでもなお己の人生が本当にクソゲーと呼ぶに足るほどのものかご再考願いたい。
最後にスレ住人一同、二度と己の人生をKOTYに持ち込もうとする者が現れぬよう願いをこめて、この苦難の時代を生きる全ての人へこの言葉を贈りたい。
「大丈夫、俺たちの人生はタカラトミー製じゃない」