2011年 次点

概要

名称code_18
ジャンル恋愛アドベンチャー
対応機種Xbox360/PSP
発売元サイバーフロント
開発元サイバーフロント
発売日2011年9月29日
価格通常版:7140円、限定版:9240円
対象年齢CERO:C(15歳以上対象)

参考動画

選評

選評その1

 2011年10月、KOTYスレ住人は10ヶ月にも及ぶ平和な日々を謳歌していた。
発売予定のソフトは名作が多く、今後クソゲーになりそうな可能性があるソフトは年末に発売される。
それすらもクソゲーかどうかすら分からない。
もはや今年はクソゲーは出ないのではないか?
出ないなら大賞はどうしよう? 手持ちで選ぶべきか、そもそも選ばないべきか?
そんな話をしていたKOTYスレに突然、クソゲーという名のクラスター爆弾が直撃したのである。

 直撃したクラスター爆弾のコードネームは「code_18」
余分なゲーム性も無い、ごく普通のオーソドックスなAVGであったはずのゲームジャンルからの突然の爆撃にスレ民は唖然とした。
 
 まずスレ民を驚愕させたのは、修羅の国に現れるAVGの如く、余りに未完成なその内容であった。
「合図」を「相図」、「どうしても」→「どしても」と書くような初歩的な誤字や脱字は当然の如く完備。
夜なのに昼の背景が表示される。
制服を着ているはずのヒロインがどう見ても私服。
深く考えずにヒロインの私服に小物を持たせた為に、食事前だろうが、風呂前だろうが、寝る前だろうがハンドバッグを持っている。
表示されているキャラの台詞と声優の台詞が違う。
電車効果音が電車から降りても鳴り止まず
「ヒロインの家→ヒロインの回想→科学部部室」の何と三場面に渡って延々と鳴り続ける等々。
まるで据え置き業界なのにエロゲ業界と間違って発売しているのではないかと思えるミスが連続していく。
しかもこれ等のミスは一部ではなく、全編に渡ってミスは連発される。
少なくとも電車の効果音は一度でもプレイすれば明らかに分かりそうなものだ。
なのにこの有様なのは、発売延期したにも関わらず、全編を通してのテストプレイが一度たりとも行われなかったことが窺える。

 ゲームシステムにも不備が多く目立つ。
攻略チャートが無いのは当然ながら、選択した選択肢に目印がつかないため
ゲーム攻略は「確かこの選択肢は前に選んだはず…」という自分の記憶のみが頼りとなる。

 さらにこのゲーム、選択肢によってヒロインが分岐する仕様ではない。
選択肢はBADENDかGOODENDになるかの判定のみで、ルート選択には関わってこない。
ではどうやって各ヒロインルートに入るのか?

 実はこのゲーム、週回数によって攻略できるヒロインが完全固定されているのである。
つまりどんな選択肢を選んでも固定ヒロインしか攻略できない為に
もし特定のヒロインをやり直ししたいと思っても、セーブデータが残っていない場合
ニューゲームで始め、一・二人目のヒロインをクリアしなければ三人目のヒロインを再プレイする事が出来ないのだ。
仮に四周目のバッドエンド中に一つしかないデータを上書きし、ゲームが詰んでしまったりすると
ニューゲームで元の場所に戻ってくるまでにゲームを三週しなければ戻ってこれない。
通常のAVGならば周回毎に増える選択肢を選べばいつでも
各ヒロインのルートに行けるようになっているのが普通なのだが
何故こんな面倒な仕様にしてしまったのだろうか。
同日発売のPSP版で存在するクイックセーブ・ロードが箱版では削除されている、謎の不遇仕様にも首を傾げざるを得ない。

 一方、シナリオは
ヒロインがとある男キャラに電話番号を教えたにも関わらず、後日その男キャラに出会ったときに『誰コレ?』と言ったり
場面切り替えが分かりづらく、いきなり三日ほど経ったり一人称で進むストーリーがいつの間にか三人称になり
部室での話なのにヒロインが教室の机の裏に隠れた後、会議室の机の後ろから様子を伺うと表示され
細かい違いがあるものの、一〜四人目まで大まかな展開が全て同じ
(ヒロインと出会う→ヒロインと文化祭の出し物を考える→主人公がヒロインの家で難あり家族と出会う→
難あり家族の為に関係が悪くなる→文化祭の出し物でヒロインと家族の関係を修復する→ヒロインとも関係を修復→ヒロインとキス)
等々、各種問題点や矛盾があるものの、一部では感動できる部分もあると思われるシナリオではあった。

 しかし、その感動できる一部に限って、演出が潰しに来るのである。

 両親の不仲により家族の絆を失ってしまったヒロインAは
主人公の活躍によりヒロインAが学園祭の野外ライブで家族に向けて歌う。
なのにそのシーンでは父親の顔が画面外に見切れ
直前に強風で中止になりかけた野外ライブは、天候が回復したおかげで再開できたというのに、背景では雨が降っている。

 祖父母に抑圧されて生きてきたヒロインBは
そのヒロインBは主人公の活躍により、家族の絆を取り戻し
兼ねてからの夢であった学園祭で行うコスプレ喫茶へと誘う。
なのにそのシーンのヒロイン立ち絵は、何とコスプレしておらず、全員制服姿である。

 弟との関係に悩んでいるヒロインC。
ヒロインCは主人公の活躍により、弟と仲直りし、家族の絆を取り戻す。
その直後に弟は真っ暗なオバケ屋敷で事故に会ってしまうという緊迫のシーン。
なのに暗幕により中が真っ暗なオバケ屋敷は、暗幕が全て外れており非常に明るく
さらに背景では全て外れているはずの暗幕を、シナリオでは「暗いから明るくしよう」と主人公が暗幕を剥がし始めたりする。
ヒロインCは特に酷い目に会っており
主人公が今まで友達としてしか意識していなかったヒロインCに恋愛感情を初めて抱くシーンでは
二人で一緒にスカイタワーからの夕日を眺めようとしていたにも関わらず
いきなり画面が暗転、何故か『昼間の浅草寺』にテレポート。
さらにはスカイタワーからビルに沈む夕日を見ながら
「こうしていると…」「まるで恋人みたいだな」という会話をしている背景では、何と『夕暮れの浅草寺』が表示される。
ちゃんと時間に合わせて背景変化をさせているのに、どうして場所を間違うのか
確信犯とも思えるような余りにひど過ぎる演出にはスレ住人も混乱。
「実は法力でワープしたのかも」「浅草寺と書いてスカイタワーと読むんだよ」等の仮説が立つほどであった。
さらにはエンディング後に表示されるCGがバグで一瞬しか表示されず
CGモードで確認して、やっと「ああ、こんなCGが表示される予定だったのね……」と思わせられるという有様だ。

 不器用な父親との距離が縮められないヒロインDも主人公の活躍により、父親との距離を縮め家族の絆を取り戻し、主人公とも結ばれる。
その恋仲となったヒロインDと、ついに念願のキスシーンへ。
大人しく控えめな眼鏡っ娘であるヒロインDのかけている眼鏡を外し、キスをする――。
なのにCGでは眼鏡が外れていない。
もはや恋愛ゲームとして完全に失格である。

 上記のように盛り上げようとすると全力で演出が殺しに来る不遇のシナリオだが
最後でシナリオも力尽きたのか、ヒロインEが出現する最終シナリオではシナリオ自ら自殺を敢行する。

 ゲーム冒頭で「飛行ユニットの研究が完成した。よし、次はタイムマシンだ!」と
まるで「日本を統一した! よし次は銀河統一だ!」と同等レベルの超理論を展開する主人公だが
その理由付けが何と「実は俺はタイムマシン事故で百八十年後から来た未来人だったんだよ! 未来に戻るためにタイムマシンを開発しようとしていたんだ!」
とどう考えても超理論を筋が通るようにする為だけに考えられたような設定を持ち出してくる。
しかしその設定の為に、百八十年後の人間で戸籍も身寄りも何もなく、役に立たない発明ばかりを行い、ゲーム中バイトをしている描写が一切ない主人公が
どうやって四年もの間、アパートに一人暮らしして、学校に通えているのかという問題が浮上。

 そして主人公はタイムマシンの完成の為に、終盤スカイタワーへと向かう。
何故なら高所から落下し擬似無重力状態を作らなければ、タイムマシンが起動しないからだ。
さらに「擬似無重力状態を作るには400メートル以上の高さから、落下しなければならない」と力説する自称科学者の主人公。

 だが現実には擬似無重力状態を作る為に、そんな高さは必要なく、学校の屋上から飛び降りれば十分に擬似無重力状態は作れる。
そもそもタイムマシンには飛行機能が付属しており、無理してスカイタワーへ向かう必要は全く無い。
飛行機能で適当な高さまで上昇し、落下すればいいだけだ。
だからこその「飛行ユニットの研究が完成した。よし、次はタイムマシンだ!」ではなかったのか。
一体、何のために飛行機能を作ったのだろうか。

 さらにはタイトルにも使われているcodeだが、これは未来からのメッセージを意味している。
これがcode01 code02と順番に送られてくるのだが、ヒロインDクリアまでは何故かcode02までしか送られてこない。
なのに最終シナリオでいきなり07〜15まで怒涛の九連打で送信されてくる等
もはやタイトルに使われているギミックですら完全に持て余しているという状況である。
なぜ他ヒロインルート中に少しずつcode03やcode04が送られて来て、真相が解けていくような仕様に出来なかったのだろうか。
このせいで他ヒロインルート時にはcodeの謎が一切解けないため
ゲーム本筋の話が進まず、余計に同じ展開の他ヒロインルートが長く感じてしまう事に拍車をかけている。
ちなみに妙に短く送られてくる未来メッセージだが
主人公が「何故、こんなに短い内容なんだろう…」と疑問を抱いているにも関わらず
『なぜ短くしか送れないのか?』という説明は最後までなく結局、謎のままである。
重要な伏線の回収し忘れもバッチリだ。

 そんな多くの矛盾をはらんだシナリオや、感動シーンをことごとく摘み取る演出に泣かされるゲームではあるが
エンディングに流れる歌は作品に合った内容で、これまでの疲れを癒してくれる。
順番に表示される数枚のCGも実に幸せな内容で、大事な癒しポイントだ。
code18の本スレでも「最後のCG達と歌は良かった」と一様に評価が高いのである。

 ――なのにこのCG達、何故かCGアルバムリストに追加されない。

 その為に、もう一度該当のCGを見ようと思ったらエンディング前のセーブデータから始めて見るしかない。
だがエンディングのスタッフロールと一緒になってるせいか
スキップすると順番に表示されるCGまでスキップされ、見れなくなってしまうのである。
だからCGが表示される場面に行くにはスタッフロールを全て見終わらないといけない上に
自動で進んでしまうので、じっくり見ようとしても一時停止すらできない。
ゲームの最後に表示される締めCG達が
「CG閲覧モードでは見せません。もう一度見るにはスタッフロール終わるの待ってください。でも見せるのは数秒だけだよ!」という
本当に、最後の最後まで、手抜きなく手抜きなクソゲーであった。


 このように余りの多くのクソ要素に、何をもってクソゲーと判断するか逆に苦しめられるゲームだが
一つだけはっきりしている致命的な点がある。
それは「あらゆる場所において手抜きがされている」という点だ。
手抜きは、見えない所で行えばクリエイターの知恵や技術でもある。
見えている部分で手抜きしも、重要な部分でなければ目をつぶってくれる事もあるだろう。
しかしこのゲームは、最もプレイヤーに『魅せ』なければならない部分で、あり得ない手抜きをしてしまっている。
そこに力を入れなければ、どこで力を入れるのだろう。
そこが出来ていなければ、何の為の存在するゲームなのだろう。

 恋愛要素も他ヒロインとの恋愛はループにより無かった事にされ
サスペンスやSF要素も穴だらけで楽しめない。
泣き要素も演出によって、ことごとく潰される。
かといってアクション要素やRPG要素も存在しない。
ではこのゲームは何というジャンルのゲームなのだろうか。
何が残るというのか。

 何か一つの要素だけでも、抜き出ているものがあれば。
何か一つでも助かっていれば、こんな事にはならなかったはずだ。
それも、ほんの少し。
力を入れなければならない部分だけでも、ほんの少し直せば、ここまで酷くはならなかったはずなのだ。

 正に良い場所も悪い場所も関係なく、全てを均等に破壊するために作られたような、クソゲーのクラスター爆弾。
それが「code_18」であった。


 それでは最後に発売日に失踪してしまったプロデューサーのツイッターアカウントに
送りたかった質疑応答を添えて、最後にしたいと思う。


Q・この四人の中で体育会系で「あんた絶対科学者とか方向性間違えてるわ」と言われる主人公が
  「さすがにこいつには体格がかなわない」と言うほどの
  超デブキャラがいるらしいんですが誰だと思いますか?


  http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/284538 [外部リンク]


A・一番右です。どういう事か説明して下さい。

選評その2

[参考資料画像]
http://sakurachan.dip.jp/up/src/up20247.zip [外部リンク]

[追加参考資料画像]
http://www.boxloader.net/small/index.php?dwn=20277 [外部リンク]
(パス:sage)

[序文]
年の瀬も迫る10月、KOTY据え置きスレは1年中不作の年であれば良いな、
という期待感が往々に迫りつつ年末の魔物を待ち遠しいと思うスレの流れであった。
だが、その中でギャルゲーの世界より9/29にサイバーフロントから発売された恋愛ADV「code_18」が姿を現したのである。
この作品は過去、KIDより発売された神ゲーと言われてきた「Ever17」やオチの内容で賛否両論だった「Remember11」の「Infinity」シリーズの第4段として発売をされた。

恋愛ADVと言えばゲーム性が無ければ音付きの紙芝居であり変なゲーム性を入れることがない限り、
クソゲーと認定するには進行不能のバグと言った重いものが無ければ選評さえ非常に難しいものであると言える。
だが、そんな音付きの紙芝居が重いバグが発生しなくとも、
「如何にバグと手抜きの積み重ねだけでここまで酷くなるものか」
「全ての要素に酷いものがあるだけで十分推薦したくなる」という事例としてこの選評を提出させていただきたい。


[注意:選評者のプレイスタイル]
・完全AUTOによりボタンを押すのは選択肢とセーブ・ロード時のみ。
 設定は初期設定のデフォルト状態。
 AUTOによる音声の無い主人公の台詞や「」無しのメッセージは完全表示後、約1〜2秒間じっくり読むことが出来ている。
・プロローグループの対策として既読スキップを使用。
※この「既読スキップ」については、
 後にバグの発生として語るので覚えていただきたく思う。


[誤字・脱字・脱文の多さ]
※注意書きとして:これはあくまでも「一例」である事を表記する。

※誤字
先輩のコスプレは、以前、写真撮影時に来ていたあのボディースーツ。体のラインがハッキリでるあの服だ。

【志虎】「だいたいお前、ねーちゃんにあんな怪我させておいでだなぁ……うわっ、また来た!」」

と、鳥倉は伝言版となっているホワイトボードを持ちだし、ひっくり返す。

【逸人】「できるさ、やってやる。相手が誰だろうと、そう簡単に負けれるわけにはいかない」

※脱字
どしても晴夏たちは、話を色恋沙汰に持ち込みたいらしい。

有里佳のやつ、何を考えいるのか知らないが、騒がしくなるのは間違いなさそうだ。

【義人】「なら俺たちは買い出し組だな。つでにクラッカーとかも買ってこようぜ」

【神原】「……ところで飛野、おまえ最初からパーティーなどやろうと考えいたのか?」

※脱文
【ひかり】「えー!」
この後に「え? 兄貴」と音声が再生されている。

【有里佳】「逸人、あんた絶対、菜菜莉のこと離しちゃだめだよ!」
この後に「後はあんたしか居ないんだから」と音声が再生されている。

選評者が流し見で見ていただけでも一部でこれだけのものが出ていることを表記させていただく。
近年のコンシューマーのADVの中では非常に酷く、
修羅の国と良い勝負とはいわなくとも、末端には入れるぐらいのレベルで多く存在している。


[グラフィック]
見れなくは無いぐらいにクオリティは低い……が、実はイベント絵には大きな問題がある。
1つは「明らかに人間の骨格外になっている絵がある」というところである。
これはヒロインBのシナリオで、
コスプレ喫茶用にコスプレを揃えた後でヒロインA・Cと共に写真撮影をするのだが、
ヒロインBが腰に右手を当てている絵がどう見ても、
「右手首を脱臼させないと実現できない方向に曲がっている」のである。(参考資料:骨格1.jpg)
ちなみにこれは「ヒロインCが主人公とお風呂に入って背中を流すシーン」でも左手がおかしい方向に行っている。
(参考資料:骨格2.jpg)
(ちなみに選者は両方のポーズを実践したが、手首だけでなく肘も痛めたことを表記しておく)

そしてもう1つは、「背景と同じ箇所で展開されているイベント絵が全く別の場所である」という絵が存在している。
例えばヒロインDと主人公が言い合いをするシーンで、
「グループディスカッションに使われる会議室のような空き部屋」にて行われているシーンなのに対し、(参考資料:場所1.jpg)
その時に使われていたイベント絵は背景が違うものになっているのである。(参考資料:場所2.jpg)
構図的にこういう場所があるかもしれないとの指摘があると推測されるが、
そもそも床の色からして違うのは建築的に説明が付かない。

また、「シナリオと摺り合わせが行われていないイベント絵」も存在している事を明記しておく。
これについては[演出面の問題]をご参照いただきたい。

[手抜き]
また、このゲームにおいては手抜きと言える物が多数存在している。

「立ち絵を複数表示するときは一定のスピード(大体1秒)で1体ずつ表示する(最大4体)」
「立ち絵やエフェクトを消さずに表示したまま暗転をしてその後にそれらを消すことが多い」
「名前が【???】となっているのに正体が解ってる人の立ち絵が表示される」
「暗転が常に1種類だけで終わるので時間経過や回想、ゲームオーバーの違いが解り難いし単調」
「そもそも時間経過や場所移動が昼→夕方、教室→屋上の切り替わりでも暗転と同じく1種類の切り替わりで背景→背景になっている。回想でもこのパターンがあり、同じく解り難いし単調」
「ルビのふれているところがあるのに何故かルビがふれられていない箇所があって()で括られている」
「BGMはフェードイン・アウトも無く只管にぶつ切りで次の曲に繋げる」
「アルバムモードのヒロインEの立ち絵が見切れている」(参考資料:手抜きオマケ.jpg)という小さいところから、

「立ち絵とテキスト(演技)が全く合ってない箇所が多数」
テキスト例1:ひかりは呆れたように笑いながら言う。でもその眼差しはなんとなく温かい。(追加参考資料:ヒロインA.jpg)
テキスト例2:有里佳はキョトンとした顔を浮かべる。(追加参考資料:ヒロインE.jpg)
テキスト例3:「時任さん、逃げてむ無駄よ」(追加参考資料:ヒロインB.jpg)
(注意書き:ヒロインEを追いかけるヒロインBがシリアス口調の演技なのだが完全に微笑である。誤字の方が面白かったので取り上げてしまった)
テキスト例4:そう言うと、柚子は一瞬口ごもって、微妙な顔をする。
(追加参考資料:ヒロインC2.jpg)(追加参考資料:ヒロインC1.jpg)
(注意書き:1の台詞は確かに微妙さを演技として出しているが表情は普通の表情である。2にて前のテキストで「微妙な顔」とある事をご確認いただきたい)
※注意書きとして、モブキャラに関しては差分が足りないのでしょうがないと思うが、
 各ヒロインに関しては対応できる差分があるのにやってないのは手抜きの証拠と言える。

 また、今回はテキストから出来るだけその表情が解り易いものをピックアップした。

「全く台詞にもテキストにも話題に上がらないキャラが何故か立ち絵で表示されている」
※会話開始前にヒロインEは立ち絵で一瞬、表示はされるが、並んで表示される理由が無い。
(追加参考資料:ヒロインE表示.jpg)(追加参考資料:ヒロインE消去.jpg)
(追加参考資料:ヒロインE表示〜消去まで会話1.jpg)(追加参考資料:ヒロインE表示〜消去まで会話2.jpg)
(追加参考資料:ヒロインE会話参加時.jpg)
※必要であれば消去〜会話参加時までのテキストをまとめる。

「立ち絵を切り替える時に切り替え最中のキャラが2人に分身する」(追加参考資料:分身.jpg)

「回想シーンなのに何故か主人公の自室にいきなり回想対象の立ち絵が表示される」
テキスト例:
(追加参考資料:元文.jpg)(追加参考資料:回想.jpg)

「回想シーンで声が加工されているところとされていないところがある。加工されているのはほぼヒロインEルート」

「雨のエフェクトがあるのに雨のシーンで使ったり使わなかったりと意図がわからない」
(追加参考資料:出発地点.jpg)(追加参考資料:途中地点.jpg)
※途中地点は他2箇所を経由している。全て同じ区域である。
(追加参考資料:ゴール地点.jpg)

「逆に真下に降る雨の絵が書き込まれているのに斜めに降る雨のエフェクトが表示されている」(追加参考資料:縦雨斜雨.jpg)

と言ったじっくりやればかなり目に付く事まで、非常に多々あり過ぎるのは如何なものかと思う。
人によってはバグと言われてもしょうがないのではないだろうか。
(事実、選者としては目に付くものはバグであると思ってはいるが手抜き項目とした)
(事象のみをピックアップしたが資料が必要であればいつでも用意するのでご指摘いただきたい)

○○※何故か飛ばせるムービーと飛ばせないムービーの謎※○○
このゲームにおいてムービーは「時間をループするムービー」「OP」「1人目ED」「トゥルーED」の計4つだ。
最初に見るムービーというのは他ADVと同様飛ばせないのがシステム上の都合だと思われるが、
1度見た「時間をループするムービーが飛ばせない」というのは設計としてはちょっといただけない。
しかも「トゥルーEDのムービーは一度も見ていなくても初回プレイ時にAボタンで飛ばせる」
という1回目以降どうでもいいムービーは絶対飛ばせなくて、
最後のEDムービーは初プレイでもAボタンで飛ばせるという親切設計だ。
大きなお世話である。


[演出面の問題]
これについては他の選者も語っていたが、基本的に良いシーンを全て致命的な演出ミスによってぶち壊しているのが問題である。
大体のものは他の選者が挙げているのでここでは酷い物でイベント絵から解りやすいものを画像付きで説明をし、
他選者が挙げられていないものを私の方で補足させていただく事とする。
(スカイタワーや雨のシーン等の説明が必要であれば第二稿の方で追記)

まずはヒロインAルート。
ルートの終盤の方でヒロインAと共に学園祭の出し物を見ていくシーンの中でヒロインCの居る喫茶店に行くのだが、
ここでのテキストが「フリフリなメイドさんだかウェイトレスさんだかの衣装を着ていても」
となっているのにも関わらず着ている服が制服なのだ。(参考資料:服違い.jpg)

続いてはヒロインBルート。
これは他の選者が挙げられた件の詳細になる。
祖父母を学園祭のコスプレ喫茶に招く……までは良かった。
しかし、このイベントシーンではヒロインBも含めて全員が「制服」の立ち絵である。
しかも、ヒロインBはイベント絵があるにも関わらず、そのイベント絵ですら「制服」なのだ。(参考資料:コス制服.jpg)
だが、このシーンで使われるべきイベント絵のコスプレは、
実は別の日にコスプレ喫茶の宣伝用のポスターのために撮った写真のイベント絵では描かれているのである。
(参考資料:骨格1.jpg)
これはコスプレ喫茶のシーンにて、
「先輩のコスプレは、以前、写真撮影時に来ていたあのボディースーツ。体のラインがハッキリでるあの服だ。」
とあり、以上のコスプレであることは明々白々である
何故、かなり前に撮った写真のイベント絵はコスプレで本番では制服なのか。
これはテキストだろうとなんであろうとごまかしの効かない物である。

続いてもヒロインBルートだが少し時間が戻り、学園祭の準備をしつつ自分の実験のため屋上で作業をし、
寝てしまい夜まで居たらヒロインBが腕枕のようにして寝ている……までは良かった。
問題なのはヒロインBは起きた後でも「イベント絵は常に寝ている」のである。(参考資料:シナリオ1.jpg)
テキストでは「目を見開いたまま、硬直した。」とあるのだから差分ぐらいは作るべきでは無いだろうか?
シナリオとの摺り合わせが出来ていない典型的な例である。

次はヒロインルートDだが、これもシナリオとの摺り合わせが出来ていない。
まずはヒロインEの嘘に対し性根をたたきなおそうと手を振り上げたシーンで、
「何故か手を振り上げているはずなのに既にヒロインDに止められるように叩かれた後」
になっているというシーンがある。
(参考資料:シナリオ2.jpg)
細かい話かもしれないが、叩かれた後ならともかく叩かれる前にこの絵が表示されても困るだけである。

またヒロインDルートの最後のシーンで「学園祭が終わった後の夜なのに、次のイベント絵は昼である」
(参考資料:シナリオ3.jpg、シナリオ4.jpgで番号続きの流れ)
ということと続いて
「夜の浅草を素材の調達で闊歩している時に何故か昼の仲見世の背景が表示される」というものだ。
昼と夜の前後をしっかりと整えて作成されていない上、
仲見世の背景はちゃんと夜のものが存在しているのに昼のものを使用しているのは致命的なミスである。
(仲見世の夜の背景はヒロインAのルートで確認をしている)
(その背景が流れる時間も1秒ずつのため印象に残りやすいものであると補足させていただく)

続いてはヒロインEルートにて、
ヒロインBとヒロインDが協力して主人公の作成したタイムマシンのプログラムの修正パッチを作成するシーンがあるのだが、
ここにも致命的な欠点がある。
それは「既に完全撤去された部室のものが復活している」ということだ。
これは場所違い1〜3のjpgを見ていただければ解ると思う。
主人公のためにヒロインたちが頑張ると言うシーンで、
細かくともこのようなシナリオとの摺り合わせが出来ていないミスがあるのはいただけない。

以上のように「盛り上がる」「何かしらの展開がある」シーンにて、こういうミスが多く発生しているのは非常にいただけない。
これが一瞬で終わるならまだしも、しっかりと視認出来るレベルであるのは余計に問題であるといえる。


[バグ]
以上まで挙げたものも十分バグになると思われるが、
この下は軽重問わず本来のバグの意味その物に当たる事例を出していきたいと思う。

○○※名前の後に「?」や「@」が付いている。※○○
(参考資料:名前?付き.jpg)
これは1回も会った事もないキャラに名前の末尾に「?」と付いていたり、
理由は解らないが名前の後ろに「@」が付いていたりと、何故一目で解るものが放置されているのか疑問である。
特にプロローグに出てくる参照いただいている画像のキャラは台詞が何度もあり、
ゲーム開始時から続けて見れば解るため本当にデバッグをしたとは言い難いものである。

○○※そもそも名前がはみ出ている。※○○
(参考資料:名前はみ出.jpg)
これは台詞が少ないとは言え一目で解るレベルである。余談ではあるがこのキャラには音声が無かった。
(次の「連れの男子生徒」も無かったが他に音声の無いキャラは記憶が正しければこの2人だけである)

○○※何故か名前も一緒にメッセージウインドウに表示されている。※○○
(参考資料:名前も一緒.jpg)
これは大体スマートフォンのメールのシーンにて多く発生をしていたが、ほとんどのものは通常の会話文同様
「名前」と「メッセージ」は分けられていた。が、何故かいくつかのものでこの現象が発生している。
これもまた流して見ていてもすぐに解るレベルである。

○○※SEが止まらない。※○○
これは他選者が挙げている内容と同様「電車効果音が電車から降りても鳴り止まない」
という現象がヒロインAのルートにて発生していた。

○○※全般的にサイズの小さい立ち絵は頭が見切れているが、背の高いキャラは普通・小さいサイズどちらも髪形すら見えない。※○○
これについては以下を参照いただきたい。

ヒロインAの父親の頭の上が見切れている。(参考資料:頭切れ1.jpg)

ヒロインBの祖父の頭の上が見切れている。(参考資料:頭切れ2.jpg)

この現象はゲーム全編で起こっており、
通常シーンからヒロインA、Bそれぞれのルートのクライマックスのシーンにて発生をしているのである。
また問題があり本スレやツイッターの情報からヒロインAの父親の頭に関しては、
「モニターやテレビの映し出す範囲によっては目の位置まで見えなくなっている」という現象を確認している。
またこの現象について本スレにて、「PSP版ではしっかりと髪型も含め頭まで見えている」という事を確認している。

○○※スキップモードの罠※○○
ゲーム中の「スキップモード」というシステムがあり、
これを「既読」にすると既に通ったシナリオを自動的にスキップを行うシステムがあるのだが、これが正常に動作をしていない。
「既読スキップをONにした状態で未読のシナリオ箇所を高速で駆け抜けていってしまう」
という現象が発生しているのだ。
これを読み返すにはバックログの機能を使えばいいのだが、それが良いシーンや重要なシーンで発生をしてしまえば、
その辺の感動や衝撃も全て既読スキップによる未読箇所のスキップの衝撃で呑まれてしまうのである。
事実、ヒロインBを夜に自宅へ送った後のシーンや
ヒロインEの正体が解った後の重要なタイムトラベルやタイムパラドックスの説明のシーン、
ヒロインEルートの世界が崩壊するタイムリミットやそのイベント絵が使用されているシーン、
EDムービー後の未来に戻ったヒロインEと両親(主人公とヒロインA)との会話でも発生している。
また、1周目では確実に気付かないであろうヒロインAの学園祭のシーンで色々な展示物を見ているシーンでも発生していることを確認している。
これほどまでに杜撰な品質管理も珍しいと選者は思う。

恐らくこれに対しては「それなら最初からスキップモードを使わなければいい」という論が予想をされるが、
「特に大きな展開も無い同じ長さで最初のものと同じプロローグを、ヒロインBからヒロインDの攻略時に何度も見させられるのは苦痛である」
という事を記しておく。


[シナリオ面の破綻]
○○※メインテーマである「ループ」の破綻。※○○
ここでは題材となっている「ループ」について破綻面を挙げたいと思う。
この項目での問題点は2点ある。
◎1、ヒロインEは主人公とヒロインAの娘であること。
◎2、ループ発生の原因。
まず、ヒロインEがヒロインAの娘である事は、トゥルーエンドのムービーにて全て「確定事項」として存在している。
そしてループ発生の原因は「主人公が死ぬ事」で発生しているのである。
つまり、「娘が存在しない=タイムパラドックス=ループ」という1つの形を表現しているのである。
「世界崩壊の発生→主人公の死」という位置付けにしているのもこのゲームのストーリーではあるが、しかしここで重大な問題が発生する。

まず◎1からの問題だが、これについては各ヒロインルートの存在によって更に2点の問題を発生させている。
(ヒロインEルートはトゥルーの為問題点から省いている)
☆1、他ヒロインルートでは絶対にヒロインEが生まれない。
☆2、ヒロインAルートではヒロインEが生まれるはずなのにタイムパラドックスが発生している。

☆1を簡単に説明すれば、「ドラゴンボールで言うところのトランクスが絶対に生まれない世界」
または「ドラえもんで言うところのセワシくんが絶対に生まれない世界」という事である。

まず、「他ヒロインルートだと娘が生まれる要素が欠けてしまう」という現象が発生する。
これはトゥルーエンドの「確定事項」が問題になるからである。
他ヒロインに主人公がくっ付いた場合、ヒロインEの母親であるヒロインAとの関係はなくなってしまうため、
「確定事項」である「娘の誕生」が「不成立」になってしまうのである。
(この確定事項が「ヒロインEがヒロインAの娘」だけであれば、ドラえもんのセワシ理論で強引に押し切れた可能性もあるのだがと明記する)

また、それを回避したとしても次に待っているのは「主人公の死」である。
主人公が死んだ時点で「主人公が未来まで存在しないのにヒロインEが生まれるからタイムパラドックスが発生する」
という現象をようやくプレイヤー側が理解するのだが、
結果論ではあるが主人公がその場で死ぬ事でこのルートの未来には娘が存在しないことになる。
「主人公の死=ヒロインEの不成立」となりタイムパラドックスが発生するのは良いとしても結局は結果論になってしまい、
将来的に生まれないのは確約されている事になる為、「ではこの娘は誰?」と言う事になってしまう為に矛盾が発生してしまうのだ。
(ちなみにヒロインEの年齢は自身の台詞から16歳とプロローグで判明している(「子供……? それ、わたしのこと!? これでも十六よ!」)
 そしてヒロインEは2038年前後の未来から来ており、高校1年生として転校してきたという設定から逆算しても2022年に誕生していたと言う説明になる為、
 既に仕込んであったなどという言い訳は通用しない事を明記しておく。
 エンディングムービーで主人公が社会人の服装になっていた為、
 こちらも逆算しても精々卒業2年後というところであるのでやはり言い訳は通用しない。
(2038年というのは台詞にて「違うわよ、そんな先じゃない。せいぜい、二十年くらいよ」とあったため)

また、☆2についてだがこれもまた、「ヒロインEが誕生する因子が成立したのに何故主人公は死ぬのか」という大きな問題が発生している。
これに対してはトゥルーエンドまで進めても説明はない。
世界崩壊で死ぬと言う説明も厳密には無いため、「ループの発生=主人公の死=世界崩壊」で推測は出来るものの、
ならば何故それでも駄目だったのかと言う説明が無い以上、このシナリオには大きな破綻があると言わざるを得ない。

これらに対してのフォローが無くヒロインEが存在しているのは、タイムパラドックスを扱う作品としては非常に稚拙と言える。


更に◎2からの問題だが、これは主人公のスマートフォンに度々送られてくる「未来からのメッセージ」に起因する問題である。

これはヒロインEのルートで主人公自身が
「もう気づいているかもしれないが、俺たちが受信するメッセージの送信者は、未来の飛野逸人自身だ」と発言している。
だがこれでは、「主人公の死=タイムパラドックス=ループ」は完全にシナリオとして崩壊してしまうのである。
何故ならば「主人公が死んだ時点で未来など存在し得ないものになる」からだ。

これを「平行世界からのメッセージ」として片付ける事は容易だが、それはタイムマシンやタイムトラベルの話では用いられない手法である。
なぜなら平行世界論は自分の世界の未来ではなく、平行世界は平行世界としての未来を構築するものだからである。
平行世界から自分の未来を構築・変化をさせる必要であるのなら、それに対してのリアクションや説明が必要だがそれも無い。
それ以前に、娘の方が「未来から来た」という「確定事項」が存在する為、どちらにしても平行世界論はありえない。

以上の結論よりまとめとして、
1、ヒロインEの存在が成立しない状態でヒロインEが未来から来る事は不可能。
2、未来からのメールを送っているのが未来の主人公であれば、「死んでいるルート=タイムパラドックスの発生」となり説明不能。
となるため、このゲームのシナリオは破綻していると言える。

これについて解り易く説明をするならば、
「未来から娘が来ようが主人公からメッセージが届こうが、シナリオが最後まで全部解らないうちは各ヒロイン最後で主人公が死んでも問題無い」
という放り投げになっているように選者は思う。

○○※もう1つのテーマである「家族愛」の破綻。※○○
また、テーマ面でも存在している「家族愛」について、これにも非常に問題のある箇所が存在する。
ヒロインA(以下項目内の略称をA)は両親の不仲があり離婚届にサインがされた状態まで進んでしまうのだが、
これをAルートにて主人公が解決する為にAと共に遁走し、Aが学園祭で歌うコンサートに来ると言う約束を取り付け、
最後は両親も来た上でAの歌を聞いて仲を取りもつ……という普通の話である。
だがしかし、学園祭の終わった後でAの回想風の独り語りがあり、
「ちょっとだけ嘘をついた」
「実は、お父さんとお母さんは、仲直りというほどには至ってない」
「お母さんの狙いは、私の読み通り、困らせて自分の方に私とお父さんを振り向かせることだったけど、そんな簡単にはみんなの関係は戻らなかった」
とこれまでのルートでやってきたことは一体なんだったんだという無駄な回答を突きつけられてしまうのである。
これで後の方に
「でも、逸人がたてた作戦は、大成功にしたかったし、それくらいの嘘、許されるし、私たち家族の努力で解決すべきものだと思う」
「そして、これからも、私だけを見ていて!」と言われてもプレイヤーは困るだけである。
ちなみにこれはヒロインEのルートで他ヒロインの家族の仲もちゃんと修復させてみんな幸せになる的な主人公の台詞があるのだが、
トゥルーエンド攻略後でも「Aの家族の問題は解決されておらず、投げっぱなしのまま」
なのである。

○○※「世界崩壊」のタイムテーブル的な破綻。※○○
他のヒロインでは全て「2018年10月13日19時半前辺りに世界崩壊が始まって」いる。
(ループの開始がムービーにて以上の年月日と時刻を表示している)
これがヒロインEのルートでは「学園祭当日(2018年10月13日)の8時5分に発生する」と語っている。
まず問題なのは「何故、前に時間が移動したのか」ということだ。
これに対しては何の説明も無い上、原因らしい原因も無いためシナリオが投げっぱなしになっている感が非常に強い。
更にこれまで主人公がループして記憶が保持されている状態であるのだが、「崩壊の時間が移動している事には何の言及も無い」のだ。
これでは説明が付かないだけではなく理由も無いため、世界崩壊が最後の最後にして形骸化してしまっているのである。


[人物設定とシナリオがかみ合っていない]
○○※科学者志望の人間の科学知識が間違っている点※○○
細かい話ではあるが主人公が静電気に対して

【逸人】「この大きさだと静電気をためるのも大変だぞ」
威力もかなりのものだろう。心臓の悪い人やペースメーカーをつけた人間は遠ざけなければな。

との言葉を残していたのだがこれは問題がある。
静電気とペースメーカーには直接の因果関係が無く、
2009年1/15に放映されたNHKの木曜ドラマ「Q.E.D. 証明終了」の第二回で静電気によりペースメーカーを破壊するトリックが放映されたのだが、
これが誤報であるという事を認めてNHKが謝罪をしたのである。

※ドラマの原作はマガジンGREATの1998年11月号にて収録。

※謝罪報道は以下の通り。当時のニュースソースが既に消えている為、2chのバックログより掘り起こし。
http://unkar.org/r/news/1235802662 [外部リンク]

※医学的に実証されていないとする論文は以下の通り。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002520924 [外部リンク]

そもそも心臓の弱い人間に静電気が駄目ならば、AEDが使えなくなるということは考えなかったのだろうか?
主人公が科学のオタクであるのなら、シナリオライターにはこの辺の下調べぐらいはしてほしいものだと思う。


[システム面の不備]
システム面では最低限の機能として「SAVE」「LOAD」「OPTION」「TITLE」という4つがある。
だが、PSP版では「クイックセーブ」「クイックロード」「ショートカット」という機能があり、
ADVを遊ぶものとしては必要な機能までが後から発表されたPSPより劣るという始末である。
(以上のPSPのシステムは「Infinity」シリーズでもKIDが作成したシステムそのものに近い)
おかげで360版は
「セーブをしていない状態でバッドエンドを迎えた場合、最初から1人目のキャラを攻略しなければならない」
という面倒な仕様になっている。
(PSPの場合はショートカットがあるので、突入したルートのキャラのシナリオを最初から始められる)
スキップが高速であるので問題無いように見えるが、
少ないとは言え選択肢を間違えればBAD ENDに行ってしまうのが面倒であるのは一目瞭然と言える。
「Infinity」シリーズを出していたKIDのロゴを出していながら、往年のKIDシステムすら踏襲できていないのである。

その上、PSPでは実装されている
「攻略キャラごとにメニューのシルエットが絵に変わる」という機能が360版だと
「5人目のルートに突入した時点で開放される」という、一体どこでフラグ管理を間違っているのかと言うバグも発生している。
攻略の達成感と言うところでも360版には全くそれが無いことがお分かりいただけると思われる。

また、BAD ENDに行ったとしても特に演出も無く、
暗転後に「システムデータをセーブしますか? YES/NO」と聞かれるだけである。
明確なゲームオーバーの演出もお知らせも無く、いきなり聞かれて唖然とする他無いのはお分かりいただけると思う。


[Infinityシリーズを受け継いだものは?]
これについては「ループ」をしているという事であろう。
実際、シリーズのどの作品においても「発生している無限の如きループの輪から脱出する」
ことを目標とし、クリアした際にはこれが達成される事を意味したエンディングになっている。

確かにループから脱出する為に主人公が奮闘しているのは確かだが、
シナリオ面での指摘をした通りこの作品にはそのループにすら問題が発生している。

結局のところ踏襲したのは「ループ」という言葉そのものではあったが、それ自体も非常にお粗末な出来だったのは否めないところである。

また、今までのシリーズとは違い「サスペンス的な閉塞空間からの脱出」
も学園恋愛物となってしまい方向性が全くの別物になっているところもシリーズとは言えない点である。

また、シリーズ作の設定を全て無視しているのは否めない。
なぜなら、Ever17の事件の翌年であれば、あるものが事件となって世界中がパニックになっているという設定がある。
それを無視した作りもまた杜撰という他無い。


[発売までの顛末とその後]
そもそも開発陣の蓋を開けてみれば、
シナリオは「Ever17」のノベライズを担当した今作の原案・監修である「日暮茶坊」が所属する「ランアンドガン」ではあるが、
「Infinity」シリーズ最初の「Never7」から原案・シナリオを担当した「打越鋼太郎」や当時のディレクターだった「中澤工」がノータッチなだけではなく、
BGMも別シリーズ扱いだった「12Riven」まで担当していた「阿保剛」ではなく「milktub」になり、
OPやEDの歌には欠かせなかった「志倉千代丸」も関わっておらず、
あまつさえこの作品のプロデューサーは3作目の「Remember11」時にデバッガーだっただけで開発に関わってない、
グラフィックの質が酷かった「12Riven」で「我々はクオリティの高いチームです」と迷言を残した「若林健」である。
「Infinity」シリーズと銘打ったは良いが、全くと言っていいほど当時の開発陣は関わっていないのである。

さて「Infinity」シリーズと銘打って発表されたわけだが……、発売前から嫌な予感を漂わせる事例がちらほらと出てきていたのである。
まず、発売日が約半年ほどズレている。
これだけであればゲームの発売日の話だけで済むが……それだけではない。
全くと言っていいほど情報が流れてこないのだ。
公式のHPはトレイラーやOPムービー、キャラ紹介や特典までは載せるものの、
発売プラットのページでCEROの情報が現時点まで「CERO審査中」になっているのである。
トップページは更新されているのだからコレぐらいはちゃんと更新して欲しい物だ。

そして約半年のズレによってキャラクターの設定が大幅に変わってしまっているのである。
特にヒロインEについては、

※以下は電撃オンラインより抜粋
ttp://news.dengeki.com/elem/000/000/333/333489/

--抜粋ここから--

「先輩のためじゃないですしー」

子どもっぽく、ちょっぴり小悪魔な妹系。
ときどきドジな一面を見せる。
調子がよくにぎやか、制服を身につけてはいないが、主人公のことは「先輩」と呼んでいる。
オタク知識が豊富で、中でも特撮に詳しいようだ。

--抜粋ここまで--

とあるが、本編中で「主人公のことは「先輩」と呼んでいる」という事もなければ
「オタク知識が豊富で、中でも特撮に詳しい」というシーンは一切存在しないという、設定すらまともに構築できていなかったのである。
ちなみに一番まともに踏襲が出来ているのはヒロインBぐらいなものだろう。
もっとも「イベント会場などでは、少し名の知れたレイヤーらしい」というのは本編では無かったが。
流石に発売近くになった発表や説明書ではこの設定ではなくなっていたものの、
シナリオに不安を感じさせる内容であった事に間違いは無いと言える。

また、昨今のADVでは体験版を発表する物だがこのゲームには予告すら無かったため、
本スレでは「売り逃げをする気ではないか」という論調さえ聞こえ始めていたのである。

そして発売が迫りシナリオやサウンド等の開発陣がツイッターで懸命に宣伝をしている中、
プロデューサーの若林がゲーム発売当日になって突然「ツイッターを非公開にした」のである。
しかも同時に「KIDブランドでゲーム作ってるプロデューサーです」
という紹介文まで消すと言う始末であり、もはや売り逃げをするのは間違いないと見られていた。
10月21日19時現在、ツイッターは未だに非公開になっているのである。

雑誌インタビューにて
「code_18はInfinityシリーズの入門編のようなものです」とは答えていたが、
「プレイヤーが入門をしに行った結果、お粗末な出来で三行半を突きつけられる」という状態になっているのは言うまでもあるまい。


[末文:私見総評として]
シナリオのネタ自体は決して悪くはない。むしろ、磨けば良い物になるであろう感じはした。
だが、それをぶち壊したのはシナリオ構成の稚拙さとシナリオ自体の破綻・矛盾、
そしてそれらを悪い意味で引き立ててしまったゲームその物の全体的な作りにある。
正直なところを言えば、今まで挙げた物では済まないぐらい問題点はまだまだ存在する。

ループ物であれば必ず「タイムパラドックス」という一番大きな点に気をつけつつまとめなければいけないはずだ。
それを逆手に取り「タイムパラドックス=ループの発生」というアイディアまでは良かった。
しかし、この作品ではPVにもあった「因子の成立」ばかりに気を取られ「因子の不成立」については完全にスルーされている。
これによってループ物であるのに矛盾を呼んでしまったのはいただけない上、ゲームの作り自体にも構成のまずさや手抜きが目立ち、
更にバグがとどめを刺して駄目な点を更に引き立てる原因があったのは非常に稚拙極まりない。
正直なところ検証をすればするほど他にも同様のバグが見つかるなど、本当にデバッグをしたのかと疑われてもしょうがない話である。

その上、プロデューサーが発売日にツイッターを非公開にしたのは、自らネガティブキャンペーンを貼ったと言わざるを得ないだろう。
もっとも、この出来では非公開にしてでも周りとの接触を絶って、罵詈雑言も絶ちたかったのであろう。
そんな事をしても悪評が広まるだけ無駄な話ではあるのだが。

そんなハイクオリティプロデューサーに、選評者から一言。


「クソゲーという名の負の無限ループへようこそ……」

(完)