名称 | ノーモア★ヒーローズ 英雄たちの楽園 |
ジャンル | 殺し屋アクションアドベンチャー |
対応機種 | PS3/Xbox360 |
発売・企画元 | マーベラスエンターテイメント |
開発元 | フィールプラス |
発売日 | 2010年4月15日 |
価格 | 5800円(税込) |
対象年齢 | PS3版CERO:D/Xbox360版CERO:Z |
スレでの呼称はノーモア。2007/12/6にWii専用ソフトとして発売された「ノーモア★ヒーローズ」の移植版。
Wii版との違いとしては豪華日本人声優陣による吹き替え、残酷表現の追加(Xboxのみ)、映像が美麗化している点がある。
劣化で済まされないレベルにシステム面が酷くなっており、ロード&フリーズ&音ズレ地獄という有様で、ゲーム自体の面白さが台無しに。
そして過去に開発会社に最悪な移植をさせた挙句、「仕様です」の一点張りで何の対応もしなかったマーベラスだけあってメーカー対応はやっぱり最悪。
桜が狂い咲きとなる時期を終えそろそろ散り始める時期である4月15日に、桜吹雪でなく血飛沫をあげるゲームが発売された。
「ノーモア★ヒーローズ 英雄たちの楽園」である。……しかしその内容は、残念ながら多くのプレイヤー達を失望させ「ノーモア★疲労ズ プレイヤーたちの失楽園」とでも揶揄すべきものになってしまった。
このゲーム、とにかくあらゆる事で疲労が大量に積み重なる。
但し、安心してほしい。肉体的な疲労は伴わない。精神的な疲労だ。その理由を以下に説明していく。
まずは、読み込み。
このゲームでは”ランキング戦”という、ストーリーを進めるために必須な戦いを行うために必ずかなりの資金が必要になる。
そのための資金は”ランカー”という、ランキング戦でのメインの対戦相手を殺した際にでも手に入るのだが、それだけではとても足りない。
そこで、主人公はバイトミッションとフリーファイトミッション(一撃食らうとそこで強制終了となる、ザコ敵殲滅モード)というイベントを数多くこなすことでお金を貯め、次のランカーへの挑戦権への資金源とし余ったお金などで自身を強化するのだが、その過程で大量の読み込みをいちいち必要とし、プレイヤーを精神的に疲労させる。
具体的にはまずゲームスタート時のメニュー画面入りまでに20秒程、移動の為に自宅から街へ出る際には平均50秒以上、ありとあらゆるイベントの読み込みでも30秒以上と、イベントで敵を殺す前にプレイヤー自身のやる気が殺されてしまう。
挙句の果てにはミッションを街で受け、それを失敗するとリトライを選択できるのだが、わざわざ街を読み込んでからリトライさせるためにその度に余計な1分を必要とし、再びミッションを受けて読み込み完了までには更に数十秒読みk(ry……という呆れるほどのテンポの悪さである。
また、基本的にランキング戦は難易度が高めとなっている上に、終盤では初見殺しやガード不能の一撃必殺技を放ってくるランカーがわんさと登場する。
その為、プレイヤーはランキング戦の為の諸経費を主人公の強化などの別経費に必然的に充てることになるのだが、これらの読み込みの所為で強化しようとお金を貯める気にすらなれなくなってしまい、仮に強化に充てるとすると、その都度読み込みにかかる時間で本来必要な以上に時間を削られてしまう。
しかもその読み込みの狂い咲きを乗り切ってゲームを進めていると、今度は高確率でのフリーズが待っているという有様。それすらも乗り越えるとトドメに一部の実績が解除不可能という楽園(バグ)が待っている。
続いて、音ズレ。
ストーリー上の重要なシーンでムービーが入るのは昨今のゲームの盛り上げ役としてはよくあることだが、ここでも疲労がたまる。それがこの”音ズレ”だ。
ストーリー中、主にランキング戦前後のムービー内にてかなり頻繁に、その上あまりにも酷い量の音ズレが起こる。
……というか、はっきり言うと音ズレしないイベントシーンの方が少ない。
例えば、「お前もだろ」という主人公の台詞の数秒後に口パクを披露する羽目になる脱力さ加減や、敵の「デストローーイバスターーー!」という必殺技の決め台詞の数秒後に光る股間を披露(している瞬間は音ズレにより無音)する始末。
毎回、高確率でキャラクターたちの織り成す珍妙な腹話術の披露宴を見て、プレイヤーは疲労してその時点でやる気が萎えてしまう。
見ているとアイタタタと精神的にくる疲労を骨の髄まで堪能させられるのだ。
ちなみに本作は日本人声優による日本語吹き替えムービーと元々使われていた英語音声ムービーとの切り替えが可能であるが、残念ながらそのどちらでも音ズレはしっかりと発生するという気合の入れようが腹話術の披露宴をより一層盛り上げる。
プラス面としては「豪華日本人声優陣による吹き替え」と「CERO:Z指定化による残酷表現の追加」(XBOX360版のみ)、「映像の美麗化」が挙げられるが、それらも、
一つ目は前述した音ズレによってゲームへのやる気まで他の事に吹き替えさせられてしまうし、
二つ目は中途半端に規制が入ってしまったおかげで少々豪快さに関する魅力が落ちてしまっている。
三つ目に至っては元々キャラクターがトゥーン的な表現であるため、その喜びも半減し、
それでも確かにステージの背景は格段に美麗になっているのだが、実はメインマップとなる街の背景には本来wii版で行けたはずの場所が含まれている。
ちなみに画面一杯に表示されるマップでは普通に通行可能なように表示されるため、表示させたまま前方を確認せずにマップを頼りに橋へ入ろうとすると、障害物にぶつかって主人公が大クラッシュしてしまう。
もしかしたら処理の軽減や広すぎる街の探索への作業感の緩和の為の処置なのかもしれないが、たとえそうであったとしても前述した最大1分の手厚い読み込みのご厚意のおかげでまるで役には立っていない。
こうして振り返ってみると、本作は良い追加部分に大量の改悪部分が覆いかぶさって見事に旨味を殺してしまっているという印象を受ける。
殺し屋アクションというジャンルの本作ではあるが、まさかゲーム自身が己の魅力を殺す殺し屋だったとはプレイヤーの考えにも浮かばなかっただろう。
それでは最後に、大量の改悪部分を追加して販売し、その後これらの事柄に対してテンプレ回答しかしないマーベラスエンターテイメントに、本作の宣伝部長を務めたプロレスラー、ミノワマンの言葉を借りてこう叫びたい。
「商品ならケッカン(欠陥)とれよ!」
その1を書いた人の完成版が投下予定