年末に潜む魔物に期待!
来るべき審議の時に備え、2009年 総評案1に総評案を集めるページを製作しました。
重くなってきたので、2009年 総評案2に分割。
使えそうなネタがあったら2009年総評案:アイディア・断片・小ネタ等?にどうぞ
現在一番支持を得ている以下の総評(仮)(総評案13)を2010年1月25日(月)いっぱいまで様子見状態とする。
それまでの間にこれ以上の支持を得る総評案が登場しなかったり、大幅な変更を必要とする指摘などが無ければ、
現在の総評(仮)が、最終的なクソゲーオブザイヤー2009の総評として決定される((仮)が取れます)。
2008年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)は、「七英雄」と呼ばれる七大作品によるバトルロワイヤルであった。
特に『メジャーWii パーフェクトクローザー』と『ジャンライン』の頂上決戦は
年が明けてなお1ヶ月以上に渡って繰り広げられ、動乱の中でKOTYスレは焦土と化していった。
だが、決着を迎え、疲れきった住人達の胸には、新たな苦難への不安と期待が早くも芽生え始めていた。
「果たして今年、七英雄を過去にするクソゲーは現れるのだろうか……」
2月の終戦から1ヶ月、ひな祭りに世間が沸く3月3日、焼け野原に小さな春が訪れた。
前年度覇者を擁するタカラトミーが、WiiWareにてダウンロード販売し始めた『人生ゲーム』(通称『人生』)である。
本作は前年発売の『人生ゲームWii EX』の機能縮小版として発売され、価格は1000Wiiポイント(1000円相当)。
人生ゲームといえば、40年以上前の発売から常にパーティーを盛り上げてきた安心の「ブランド」である。
だが、本作は「人生ゲーム」から「人生」と「ゲーム」を取り除いた《虚無ゲー》、否、《ゲー無》というほかない。
なんと今回の人生ゲームは、ミニゲームやお邪魔カードなどのパーティー要素が全て削除され、
主人公の名前を決めることもできず、子供時代、結婚、転職などの人生を彩る要素も一切無い。
マップはわずか20マスで一周し、BGMは20秒足らずでループする。その上どちらも一種類しかない。
イベントは文字が表示されるだけで、その内容も「ハンバーグが焦げたので3000万円没収」など投げやり感に満ちている。
もはやゲームというより「苦行」に等しく、本来短すぎるはずの15ターンでの強制エンディングすら救済措置に感じられる。
また、本作には実体が無いため、売ったり投げ捨てたりして怒りを発散することもできず、ただひたすら虚無感が残るのみである。
ともあれ、本作は低価格とブランドを武器に、長期に及んでWiiWare売上げランキング1位に居座り続け、
「クソゲーは更なるクソゲーに生まれ変わり、ダウンロード専用ソフトという新天地でも生き残る」
という新たな脅威を世に知らしめた。
強豪タカラトミーが早くも名乗りを上げ、まずまずの滑り出しとなったが、スレ住人はまだ安心していなかった。
前々年の「四八ショック」、前年の「七英雄」によって目の肥えたKOTYスレでは、例年に無く厳しい審査が続いていたのだ。
何本かの選外送りが続いたのち、ようやく新緑が芽吹いたのは5月。
ジャレコが放った渾身の3DアクションRPG『黄金の絆』(通称『絆』)の登場であった。
かつて『燃えろ!!プロ野球』で名を馳せた古豪の復活を、ファミ通編集部も誠実な低得点(5 4 4 4)で歓迎している。
主な内容は、「最大40秒のロードの嵐に耐えつつ、棒立ちの雑魚の群れをノーダメージで虐殺していく」というものだが、
時折「他の雑魚と全く見分けが付かない、攻撃力が異常な変異体」が混じっており、HP全快状態からでも文字通り一撃で殺される。
単調な作業から一転していきなりタイトル画面に戻されるゲームバランスはさすがジャレコといったところか。
「売り」である巨大モンスターはラスボス・隠しボス含めて5体いるが、
実際はどれも色違いのそっくりさんであり、行動パターンから死に際の演出に至るまでほぼ全て使い回しである。
また、製作者サイドの奇行もスレに話題を提供し続けた。
CMは名古屋城の金のシャチホコをバックに、「ぼくたちの失敗」という曲を流すだけの意味不明なもので、
社長にいたっては何度も自社作品を「クソゲー」とこき下ろし、あまつさえ「あのクソ開発会社め!」と責任転嫁する始末。
公式サイトはなぜか2ch風の掲示板を設置し、「ゲーム業界・ハード板」住人などの遊び場を提供する一方で、
HTML内に「ドラゴンクエスト」、「モンハン」などの単語をこっそり埋め込み、Google等の検索結果を操作しようと企んでいた。
冗談では済まされない経営状態にも関わらず、全力疾走をやめないジャレコの姿勢には惜しみない喝采が送られた。
しかし、その後は続かなかった。
KOTYスレが最も恐れていた「日照り」の到来であった。
日照りは厳しく、すでにノミネートしている作品を懐かしむことだけが束の間の癒しとなった。
中でも、『Let’s 全力ヒッチハイク!!!!!!!!!』(通称『ヒッチ』)は異質な存在感を放っていた。
日本一ソフトウェアから、『人生』と『絆』の間にWiiWareとして発売された本作は、
「恐竜とUFOがいたので中華料理屋を出たら、店主が包丁片手に追ってきた。ヒッチハイクで逃げろ!」という概要が示す通り、
一言で言えば「バカゲーを作ろうとして完全に滑ってしまった意味不明ゲー」である。
本編では道行く車を止めるためにポーズを取らされるが、リモコン判定が異常に厳しいため何度もゲームオーバーになる。
取ってつけたようなすごろくパートのゲーム性や、手抜き感漂うグラフィックもバカゲーとしての許容範囲を超えている。
パーティーゲームかと思いきや、「冗談はよしこちゃん」、「事実は小説よりも"木"ナリ」などと場を凍りつかせるギャグを連発、
さらには作中で「ジョークってのは、意味がわからなくても笑うもんだ」と臆面もなく自己正当化するため、
「バカゲーというものを馬鹿にしているのではないか?」という根本的なツッコミを受けることとなった。
11月、半年間の日照りで兵糧の尽きかけたKOTYスレに、「黒船」は唐突に現れた。
『戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜』(通称『姫』)。
萌えキャラ化した戦国武将達と恋愛しながら天下統一を目指す「本格戦国シミュレーション恋愛アドベンチャー」である。
本作品は、もともと昨年エロゲー板のKOTYにノミネートされた問題作であり、
PS2,PSPへの同時移植は、修羅の国であるエロゲー業界からコンシューマ業界のKOTYに侵攻が開始された歴史的瞬間であった。
思いも寄らぬ来訪者にKOTYスレは戦慄したが、「魔物」を渇望していたことも事実である。
発売と同時に多くの勇者達が特攻し、想像を遥かに越える全貌を瞬く間に明らかにしていった。
まず《歴史SLG》としてはどうだろうか。
メーカー自身が本作の魅力として「奥深い戦略」を豪語するだけあって、
0を下回ると上限値65535に化ける「軍資金」や、
兵数が欠けて鉄砲が余るとなぜか無敵の部隊が誕生する「軍備フェイズ」、
一度でも行うと住民感情が一揆寸前まで悪化しかねない「徴兵」コマンドなど、確かに常人には理解できない概念が多い。
メーカーは認めていないが、何者かの怨念の仕業としか思えない怪奇現象が数多く存在するのも特徴である。
武将が増殖・合体したり、見覚えのない武将がいつの間にか自軍に紛れ込んだりするのは瑣末なことに過ぎず、
「敵軍の武将を説得で引き抜いたが、次のターンには居場所がどこにも見当たらない地縛霊と化していた」
「敵の城を攻め落としたら、倒した直後に敵が復活して、ガラ空きになった自陣に攻めてきた」
「自陣のど真ん中の城にどこからともなく独立勢力が攻めてきて、勝手に全滅していった」
などの報告が『姫』本スレに相次いだ。
また、いつの間にか自陣の城に見知らぬ武将が住み着いていることがあるが、
そのような城は入ったが最後、もう二度と外に出ることはできない「ブラックホール城」と化しており、
全国各地で知らぬ間に味方武将が巻き込まれているという悲劇が発生する。
続いて《恋愛AVG》としての評価を紹介しよう。
シナリオは移植に際して(大人の都合で)大幅にカットされており、
プレイヤーにろくな説明もないまま、主人公とヒロインがいつの間にか男女の仲になっている。
フラグ管理も随所で破綻しており、新たに追加された萌え武将を仲間にする方法が未だに見つかっていない。
ヒロインである戦国武将達は原画家の変更によって魅力を増したが、美しい花にはトゲがつきものである。
「イベント中にいきなり全く違うキャラの絵になってしまった」
「台詞が文字化けしていて何を言っているのか分からない」
「顔の上にバグった顔が重なっていて、ズレた部分がヅラにしか見えない」
「ブラックホール城に飲み込まれていたのに気付かず、セーブしてしまった」
など、嫌がらせのような現象が多発し、プレイヤーのやる気を根こそぎ奪い去っていく。
なお、これらのバグに加えてゲームバランスも崩壊しており、乱数調整と数百回のセーブ&ロードなしではクリアすら難しい。
さらに、『姫』の衝撃と前後して、同じ会社から出た別の作品が注目を集め始めていた。
その名は『戦国天下統一』(通称『天下』)。3月に発売され、早くからノミネートの可能性を指摘されていた歴史SLGである。
特に理由もなく敬遠されていた本作であるが、些細なきっかけからメスが入り、とんでもない伏兵だった事が判明した。
操作性は「極悪」というほかなく、城攻めの画面では必要なデータをほとんど参照できず、
一つの情報を見るために何度もたらい回しにされ、そのたびに数秒のロードが発生する。
加えて敵勢力は日本全国で十数秒の長考を頻繁に行い、その間プレイヤーが操作不能な時間は数分にも及ぶ。
グラフィックについても異常なまでに低品質であり、特に戦闘画面はPS初期の水準にも満たず、
「3500人以上」と謳われた武将も、有名武将以外は兜と色を変えただけのモブ扱い(通称「モ武将」)という「顔面統一」仕様。
だが特筆すべきは、あまりにも過酷なゲームバランスであろう。
《政略面》では、同盟国が何の脈絡もなく裏切り、
政略結婚で他国の姫が嫁いできても次のターンには勝手に出家され、
武将は皆いくら給料を上げても貪欲に不満を述べ、隙あらば出奔を企てる。
《戦略面》では、数十倍の戦力差が「疲労度」の概念一つで覆され、
軽装なはずの弓兵や鉄砲兵が騎馬兵の突撃に傷一つ負わないなど、今までの常識を根本から否定している。
また、説明書を読んでもほとんど効果が分からない種々のコマンドの中に「強襲」というものがあり、
これを使えば小田原城をはじめとする天下の堅城がわずか1ターンで陥落する。
海上移動には「航路」や「距離」の概念が存在せず、東北の武将が九州の城を急襲することも平然と起こりうる。
かくして、『天下』、『姫』と連続で核地雷を世に送り出した「システムソフト・アルファー」(通称「SSα」)は、
かつて歴史ゲームで『信長の野望』と並び称された『天下統一』ブランドを完全に食い潰し、一躍その名をKOTYスレに轟かせた。
以上、候補作を紹介し終えたところで、今年度のKOTYを発表することとしよう。
混戦を制し、見事栄冠を勝ち取ったソフト……それは『戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜』である。
受賞理由としては完成度の低さはもちろんのこと、強烈に記憶に残る悪夢のようなバグの数々が挙げられる。
だが、発売元であるSSαの極悪非道な搾取体制も付け加えておかねばなるまい。
次々と明らかにされていくバグについて、サポートや釈明を一切行おうとしないメーカー側の良識が問われる中、
SSαは本作のバージョンアップ版と見られる『戦極姫2』をエロゲーとして発売することを突如発表し、
かたや製品未満のβ版、否、α版とでも言うべきコンシューマ版を掴まされた購入者達からは断末魔の悲鳴が上がった。
また、データ解析で見つかった不適切な音声や未使用CGは、「完全版」の発売が既定路線だった可能性を示唆していた。
これには、それまで仏のように寛大な心で「有料デバッグ」に取り組んでいた『姫』スレ住人達もついに堪忍袋の緒が切れ、
KOTYスレもまた、最後まで残っていた健気なファンすら平然と踏みにじったSSαのやり方に驚愕させられた。
なお、時を同じくして携帯ゲーム機版KOTYでは、並みいる強敵を抑えてPSP版『戦極姫』が大賞に決定しており、
ここに、姉妹作によるKOTY二部門制覇という偉業が達成されたことを特記しておく。
両機種合わせて初週のみで1万人以上も生まれたとされる本作の被害者には合掌せざるを得ない。
2009年もまた、2008年と同じく不安に満ちた幕開けであった。
待つべきか、妥協すべきか……
意欲作を軒並み「選外」送りにする日々の中で、誰もが心の奥底で「魔物」の到来を待ちかねていた。
そうした中で『人生』、『ヒッチ』、『絆』、『姫』、『天下』と、彩り豊かな5作品がノミネートされた。
特に、虚無を極め、おびただしい本数を売って何の罪もない一般人を泣かせた『人生』と、
異次元のバグと極悪なサポートという修羅の国の理(ことわり)を見せつけた『姫』の最終決戦は、
クソゲー界における世代交代を十分に納得させるものであった。
これら5作品をなぜか「四天王」と呼ぶ住人もいたが、『姫』本編にも「5人目がいる四天王」が登場するので問題はあるまい。
七英雄によって焦土と化したこの不毛な大地においても、気づけば新たな生命がたくましく根を張っていたのである。
最後に、見事栄冠に輝いた『戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜』の販売元であり、
2009年のクソゲー界に最も話題を提供した「システムソフト・アルファー」に、
スレ住人からのメッセージを贈ることでKOTY 2009を締めくくることとする。
「α版なのは社名だけにしてください」