名称 | YIIK: ポストモダンRPG(YIIK: A Postmodern RPG) | |
ジャンル | RPG | |
対応機種 | PS4/NintendoSwitch | |
発売元 | Ysbryd Games | |
開発元 | Ackk Studios | |
発売日 | 2019年01月31日 | |
価 格 | PS4版:1980円→2016円、 Switch版:1980円(共に税込価格)、DL専用 | |
対象年齢 | CERO:D(17才以上対象) | |
参考 | PS4版は同年10月1日に定価変更 |
トレーラー
紹介動画(任天堂)
※本選評はネタバレを含みます。
■私が確認したバージョン情報
ハード:PS4PRo
ドライブ:内蔵SSD(2050GB Crucial MX300 2.5-inchi SSD)
verision:1.06(タイトル画面左下に記載されているバージョン情報)
■ソフト情報
名称:YIIK: A Postmodern RPG
プラットフォーム:PS4、Nintendo Switch
開発:Ackk Studios
ジャンル:RPG
販売形式:ダウンロード販売のみ
標準価格:1980円
■シナリオ
※シナリオ自体がクソゲーとして賛否両論なので細かく書いています。もちろんネタバレを含みますので注意してください。
○導入
1999年、物語の主人公アレックスは街で見かけた猫を追って工場跡地へと向かう。建物の中を進むアレックスは果ての見えない広大な空間にたどり着く。彼は戸惑いながらも好奇心に掻き立てられるのか立ち止まることなく足を進める。そして、その奥で同じように異空間に迷い込んだ少女、サミーと出会うのだった。
アレックスとサミーの二人は元の廃工場になんとか辿り着く。安堵のひとときを迎えた二人はエレベータに乗る。しかし、そのエレベータの戸が開いた先で姿を表したのは異形の生命体だった。
生命体を目の当たりにしたサミーは叫ぶ。
「放して約束したじゃない!もう連れて行かないって!」
その言葉が何を意味しているのかはわからないが、彼女が抱いた恐れは現実となり謎の生命体に連れ去られてしまう。何かの力が働いているのだろうか、連れ去られる彼女の苦悶の表情を浮かべ、瞳からは血の涙を流していた。サミーはアレックスに何度も何度も助けを求める。手を伸ばすアレックス、しかしその手は彼女に届くことはなかった……
○ゲーム中の原理原則※ネタバレ
過度のストレスを加えられるとアストラル投射が起きて、肉体と魂が分離される。分離した魂は物質世界とは別の精神世界にいくこともできるし、並行世界にいくこともできる。並行世界にいった魂は自分に適合した肉体があれば受肉化できる。この適合した肉体とは主に並行世界の自分自身を指す。
○関係ありそうで関係ないもの
YⅡK問題、ノストラダムスの大予言
○ネタバレストーリー中核のみ概要※ネタバレ
失踪したサミーを探すアレックスは、ローリーの妹の事件で上記のゲーム中の原理原則を知る。その上でサミーが自分からアストラル投射を起こしたという考えに疑問を感じていた。そんな折、白いアストラル体からレコードを探すように頼まれた彼は、ヴェラが別世界のアストラル体であることを知る。電波塔からヴェラの曲を流した一行はアンドロイドの少女。エッセンシャル2000に出会う。エッセンシャル2000が言うにはヴェラとサミー、エッセンシャル2000は並行世界の同一人物らしい。更にアレックスは彼自身が世界を滅ぼす存在になることを知らされる。この世界は、壊れかけていて本来であればマイケルは10歳のときに引っ越しており、代わりにサミーがやってきていることが発覚する。2000年1月1日にやってくるアレックスに向けて皆は戦いの準備をし始める。
2000年1月1日に現れたアレックスの顔をした隕石に一行は敗れ、アレックスはアストラル体になることを決める。やがて彼は並行世界のアレックス達が集まる集合意識体へと合流する。そこでかつて自分たちの世界を破壊したプロト=アレックスたちに一緒に世界を破壊しないかと誘われるがアレックスはそれを拒む。アレックスはヴェラと同様に他の世界で受肉しようとする。そこに現れたのは、名前も姿も変わってしまっているが、かつての仲間達だった。
「ウマ、エムブイティ、ジェム、ガンブレ、リアルタイムカスタマイズ!」
※適当に名前を付けててここで吹いた。
意気込んでプロト=アレックスの元にたどり着いた一行、彼らを待ち受けていたのはプロト=アレックスとエッセンシャルだった。実は彼女は並行世界のヴェラではなく、並行世界の女版アレックスだった。激戦の末、アレックスは再び敗れる。しかし、ロイという謎の人物がアレックスを助けてくれた。このままでは勝てない。考えたアレックスはエッセンシャルとプロト=アレックスの電源コードを抜くことにした。
「終わった。すべて終わった。俺たちのことを頼むよ」
世界はすべて破壊され、アレックスも何もかもがなくなった。終劇。
……冒頭は良いのに、その後がくそシナリオ。後半に行くほどクソ。
○シナリオ逆引き※ネタバレ
エッセンシャル2000 :黒幕。アレックス、およびプロト=アレックスと同一人物。最初に並行世界のヴェラやサミーだと言って騙してくる。目的はプロト=アレックスを殺してアレックスの集合意識体を牛耳ること。そのため、刺客としてアレックスを育てていた。
ヴェラ:並行世界で信じてたアレックスに浮気されアストラル化。物語の中心となる世界に移動してきて受肉化する。
マイケル:並行世界で助けを求めてきたアレックスを見捨ててアストラル化。世界が崩壊しかかっている影響で合体した。デフォルトで空を飛ぶ。
アレックス:自分が世界を破壊してアストラル化。エッセンシャルやプロト=アレックスと同一人物。つまり世界が破壊されるたびに集合意識体のアレックスはどんどん増えていってる。
サミーがアストラル体になる経緯が不明であることと、アレックスが大学に入る前あたりで様子が変わっていることから、その時期に何かが起きていたと推測されるが、シナリオに直接結びついていない。
○シナリオの良い点
序盤の引き込み具合は悪くない。ローリーの妹の話辺りから主人公アレックスの性格による影響のためか、徐々に感情移入ができなくなってくる。
ノスタルジックな雰囲気は良い。
○シナリオの悪い点
明らかな情報過多。その上、何度も裏を返してくるので読んでてつらい。
バックログ機能がない。アドベンチャーにしてしまったほうが良かったと思う。
用語集がない。
以上の三点から、物語が進むに連れ、ついてこれないプレイヤーを蹴落とす仕様になっている。
○アレックスの台詞や独白が酷い
※「」内は原文そのまま
「ケチを付けたくて仕方がない」→ヴェラがソウルサバイバーの説明を始めたときの独白。
「お前の妹なんかどうでもいい。俺たちが死ぬところだったんだぞ。お前は俺たちを利用したんだ。サミーの事件に関係があるように振る舞ってな」→妹が死んだローリーに対して
「貯金は?蓄えはあるんだろ?」→仕事をクビになった母親に対して
「30ドルもあればいいだろう」→バイトを抜け出すことをためらったヴェラに対して
「それはー…遠慮しておくよ」→無職のアレックスに仕事を紹介したローリーに対して。その後、アレックスの学士号取得マウントが始まるが、ローリーの職場でも学士号や博士号取得者がいることを説明されると黙る。
「俺は女を愛したことがない」→独白。
○全体的に説教臭い
親のスネをかじって大学を出たアレックスに対し、それを非難するような会話が何度も何度も入る。
学生ローンや卒業後の就職などの話がキャラクターの口から語られる。こういった会話が入るたびにアレックスの雰囲気が悪くなる。なお、物語の進行上、必要な設定だったのかは疑問が残る。
恋人?の浮気を目撃する設定があるのだが、これが二度繰り返される。わざわざ天丼する意味があったのだろうか。
「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」を地で長々説明する。しかも、それが直接的な原因ではないので必要ない設定にも感じられる。
人種差別に対して敏感な会話がちょくちょく入る。仲間内の会話でも流れをぶった切って入ってくる。なお。シナリオ上の必要性は皆無である。
■キャラクター
アレックス:大学卒業後ニート生活を楽しんでいる。少なくても1留。
サミー:謎の少女。
マイケル:カメラが趣味。
ベラ:ゲーセンの店員。
ローリー:肉壁
クラウディオ:レコード店の店長。アニメ好き。
ショーンドラ:クラウディオの妹。ウインドウにより立ち絵の太ももが見えそうで見えない。
エッセンシャル2000 :お気に入りだったのに。
■戦闘関連
○エンカウント
フィールドはランダムエンカウント、ダンジョンやタウンではシンボルエンカウントとなっている。ただし、レベルを上げすぎるとランダムエンカウントでも敵が出なくなる。敵シンボルは一度撃破すると一部を除きリポップはしない。タウンでの敵シンボルは街の住人と区別がつかないので注意が必要となる。その他に宝箱からミミックというモンスターが出現することがある。
○概要
ターンバトル制だが、頻繁にミニゲームが入る。ミニゲームについては糞度が高いので後に別記している。全滅時もHP、PPが全回復し戦闘開始から再戦できる。ペナルティーは特にない。
○バトル中の数字の表記
実際のダメージがとてもわかりにくい。ミニゲーム中に敵へのダメージ演出とともに数字が表示されるが、それは意味のない数字である。ウインドウに表示される「○○にダメージ!」と表現される数字が真値となる。敵キャラに数十もの数字が表示されているのに下のウインドウでは1桁の数字が表示されていることもある。なお、ウインドウに表示される実際のダメージ値は一瞬だけ表示されて即消える技もあるので注意が必要である。
○ミニゲーム
ターンバトルの単調な戦闘を飽きさせないためにか攻撃時、スキル使用時、防御時、逃走時など随所で様々な種類のミニゲームが発生する。このミニゲームは指示されたボタンをタイミングよく押すといったもの等で、これ自体は特にレスポンスが悪い等ということもなくさほど問題ではない。ただし、あまりにも頻繁に入りすぎている。例えば4人パーティで敵が3体出現した場合、1ターンに計7回(味方の攻撃xパーティ人数+敵の攻撃x敵人数、)のミニゲームが発生する。敵の全体攻撃時は仲間全員一人ひとりにミニゲームが発生する。これにより1ターンに10回ミニゲームになることも多々発生する。これらの過剰なミニゲームにより戦闘時間が間延びし、ゲーム進行のテンポが著しく悪くなっている。
また、ミニゲームの説明がないものや表示が間違っているものがある。特に逃走時のミニゲームで表示ボタンが間違っているのは致命的で、逃走を検討する=危機的状態に陥っていることがほとんどだと思うが、このボタン間違えに気づくまでは何度も回り込まれ更に危機的状況に追い込まれることになる。
○戦闘バランス
一部例外(後述)があるが、ゲーム全編を通してミニゲームでフルコンボをつなげることを前提に戦闘バランスが調整されている。また、全部のミニゲームをミスすると攻撃時であれば失敗、防御時では大ダメージを喰らうなどのペナルティが発生する。よって、戦闘の難易度(=ゲームの難易度)はプレイヤースキルに大きく左右される。とは言っても、後述するアシストモードによる緩和措置や壊れスキルもあるのでさほど苦労することはないと思われる。
○スキル:LPスロー
アレックスがLV8(選評者は下水道で取得)で覚える。ミニゲームはシューティングで、モンスターが多いほどシューティングの的も増える。おおよそ1-35ヒットくらいする。序盤にLPスローを覚えた直後(Lv8)だと、アレックスの通常コンボ8連のダメージと同程度の全ダメージ量の全体攻撃である。これがLv30くらいになると、通常コンボ8連の10倍相当のダメージを全体に与えるようになる。STR62だと、消費PP7のEPストライクで単体に90ダメージに対し、消費5のLPスローがミニゲーム1回成功だけでも全体に240ダメージを与える。これは、LPスローがミニゲームでの成功数が1回でも35回でも10%ほどしかダメージが変わらないためである。
更にLv37で通常攻撃8連の15倍の250ダメージ、Lv43で通常攻撃8連の50倍の1200ダメージほどになる。ここまでくると、他の攻撃をする意味がなくなっている。最終的にはラスボスも一撃でゲージがなくなる。(後述するが実際は少し残る)
なお、このLPスローは後述するタイムエネルギーを使ったスローモードと相性が悪いという特徴があるのでその点だけは注意してほしい。
○その他スレで話題に上がったスキル等
マイケルは「ヘイトショット」というスキルを初期状態から習得している。前述した画面上の意味不明な数字が低い数字を示すためカススキルのように思えるが、ウインドウを確認すると、多少マシなダメージを与えていることがわかる。一例だが、画面上の演出は[1,1,1,1]でも12ダメージ与えていた。逆にヴェラの通常攻撃は、表記が[1,4,8,12]で4ダメージのこともあった。画面上の数字はダメージではなくヒット数ではないかと思われる。混同しないように。
○タイムエネルギーによるスローモーション
L2ボタンを押しっぱなしにしている間、戦闘画面右上に表示されているタイムエネルギーを消費し、ミニゲームの目押しがスローモーションになる。このとき通常だと3回ボタンを連打できる間隔に対し11回連打ができることから約1/4倍くらいに遅くなっていると推測される。このタイムエネルギーを使えばミニゲームのタイミングが取りやすくなり、難易度が劇的に下がる。タイムエネルギーはターン経過や敵からダメージを受けるなどしたときに少しずつ溜まる。
なお、メニューのコンフィグからアシストモードの変更ができる。これをONにするとバトル中にタイムエネルギーのゲージの残量に関わらず無制限に使用することができる。アレックスの通常攻撃および、クラウディオの「武士の心得」の威力があり得ないほど上昇し、完全にゲームバランスが壊れる。
注意事項としては、戦闘をスローにする仕様なので決して戦闘時間が短縮されるわけではない。この方法ではテンポの悪さは健在である。
○まとめ
楽をしたければ、序盤はLPスローの全体攻撃とアレックスの単体攻撃(+スロー)とを使い分ける。中盤はクラウディオの武士の心得(+スロー)も併用する。終盤は開幕LPスローのみでよい。何かの間違えで仲間にターンが渡ったときには防御させるのがベストだろう。どうせ次のターンにアレックスがLPスローで決めてくれる。
エンティティにはアレックスの攻撃はLPスローも含め一切効かないので、ヴェラのバニッシュやエッセンシア2000の通常攻撃で対抗することになる。工場跡のエンティティはエッセンシア2000の攻撃しかダメージを与えられないので注意。
以上から、パーティキャラを決める際にミニゲームの難易度が重視され、必然的に使うキャラが固定化される傾向にある。公式チートで進めるならアレックスだけで良いため他は肉壁と化す。
■敵キャラクタ
特徴的なモンスターだけ書いておく。
○雑魚敵
「ミミック」
HPが異常に高い。中盤ではLPスローでも簡単には倒せない。タイムエネルギーによるスローモーションを駆使しても苦戦する。ミミックの場合、宝箱に「ダリ」をぶつけても開かないので判別できる。なお、普通の宝箱でいくら「ダリ」をぶつけても開かないものも存在するので注意が必要。
○「シープマン」
早い上に全体攻撃を行うため、戦闘開始直後に防御のミニゲームを8回することになる。絶許。
○中ボス
「黄金のアルパカ」
雑魚を吸収してどんどん狂気じみた姿へと変貌する。少し面白かった。エンティティを食べることができるこいつが何者なのかは最後まで語られなかった。
○ラスボス(Aルート)
ラスボスは負けイベントである。5章の成長イベントはなんのためにあったのかと疑問に思う。戦闘バランスが崩壊したタイプの負けイベントではないので、アレックス達を成長させればさせるほど戦闘が長引く。体力ゲージは残り少しで減らなくなるのだが、Lv53のアレックスによるLPスロー1ヒットでその状態になってしまうので最大HPはいくつなのかは未知数である。
○ラスボス(Bルート)
Bルートにラスボスどころか戦闘が存在しない。強いて言うなら扉が強敵。「ダリ」をぶつけることに気づくのに30分かかった。ちなみにその扉の隣にある扉は!マークが出るただのダミーなので注意。「ダリ」をぶつける扉には「!」吹き出しはない。
■謎解き
序盤は簡単すぎるが、ヴェラのマインドダンジョンあたりからは良い難易度。
はしごや人間などを運ぶ△ボタンの説明、ろうそくを炎を押しっぱなしで消せることなど操作面で気づけないことが多々あったのが難点。檻の中にワープで戻されるところはスケボーで突っ切ったんだけど、あれは正解だったのだろうか。
■システム関連
○キャラクターの成長
経験値を溜めてのレベルアップ方式。レベルアップ時に主人公アレックスについては、どのパラメータにどれだけ割り振るのかを任意で決められるカスタム成長要素がある。
ただし、この割り振りは「マインドダンジョン」と呼ばれる脳内のダンジョンでしか行うことができず、1レベル上げるごとに階段を降りたり会話したりしないといけない。
エンティティが扉に取り付いていることがある。扉を開けようとするとヴェラのバニッシュ同様のミニゲームが始まる。エンティティに負けると、その扉で設定したステータス上昇は恒久的に得られなくなる。勝つと通常より上昇値が高くなる。
メニューで割り振れるように出来なかったのだろうか。
○ペルソナ進行
5章は進行が1-4章とは異なる。
「マインドダンジョンでトレーニング」は一切トレーニングできない。実際は「友達と遊ぶ」が固定でLvが1上がるトレーニングである。このペルソナ進行では、マインドダンジョンはセーブポイントから入れないので注意が必要。なお、クエストをクリアすると強制的に翌日になるので注意。マインドダンジョンのセーブしたデータを読み込んだ場合も翌日になる。
流石にこれはポストモダンではないだろとツッコミを入れたい。
■グラフィック
移動時は3Dだが、PS3レベル。カクツキが多少気になる。ヴェラがずっと怒り顔である。キスした直後の立ち絵では赤ら顔なのに、3Dは怒り顔である。
立ち絵は良い。ヴェラとのキスシーンの立ち絵は別にある。ローリーのキスはなかった。
ステータス画面の顔グラは酷い。特にショーンドラ。どっかの黒人レスラーのようになっている。
■BGM
良い。ミニゲーム時にBGMと連動していたらなお良かっただろう。
■バグ
※すべて確認済み
○開始時のバグ
現行のバージョンでセーブデータなしの状態でゲームを新規開始すると、すべてのアイテムがnoneと表示され進行不能になるバグが存在する。この状態ではメニューにステータスやキャラ画像が表示されない、メニューから装備画面を開いたり街から出ようとするとPS4がフリーズするなど様々な現象が起きる。セーブを行いソフトを再起動することで正常な状態に復帰することを確認した。
○コンフィグからタイトルに戻り、連続してタイトルからロードすると、たまに決定とキャンセルが入れ替わることがある。特にアレックスの家の1Fで顕著に起こる。画面移動すると直るためこのまま戦闘に入ったことはない。
○ヴェラのスキル「癒やしの歌」中にタイムエネルギーを使用するとフリーズすることがある。ダンジョンの奥深く、連続ミミック戦でこのバグが発覚したので泣きたくなった。
○アレックスの家でセーブをした後、一度フリーズするとロード後も外に出ることができないことがある。再度セーブしてから再起動すると再び扉が開くようになることがあった。ただの再起動では直らない。
○エッセンシアのマインドダンジョンのウェンディに右から話しかけキャンセルすると、壁の上にたどり着けてしまう。
■その他
○ゲームの進行状況の確認
目的地がわからなくなったときは、メニュー画面のヒントに次の目的地が書かれている。そのため迷うことは少ない。
○シナリオ分岐など
エンディングは二種類用意されている。三種類目が示唆されていたがそれはゲーム外なので、KOTYで審議するべきことではないだろう。
○レスポンス
ボタンのレスポンスが悪いことがある。特にマインドダンジョンの扉の開閉。一度キャンセルをすると、その場では○ボタンを受け付けないことが多かった。おそらく一度○ボタンを押した場所で連続して○ボタントリガーのイベントが発生しないように処理されている。
○ゆれる画面
人物に話しかけたときにアップになるのだが、たまにそのまま画面がゆらゆらと揺れ続ける。
○日本語訳
良い。
○決定ボタンの仕様
セーブおよびロードをするときだけ、上書きの確認のみ決定ボタンが「☓」になる。
○自宅前の墓にエアリス
ヴェラのマインドダンジョンに潜ることができるタイミングで自宅前の墓にエアリスが現れる。墓標にはⅦの文字。製作者いわく「アレックスの悔恨の象徴」らしい。おそらく無許可。
○はしごの持ち運びは△ボタン
ヴェラのマインドダンジョン攻略に必要なのだが、なんの説明もない。厳密には最初のダンジョンで説明を受けるのだが、それ以降使わないので仕様を忘れやすい下地が作られている。同様の事例として生贄や扉も△ボタンで持ち運ぶ。
○Item整頓
△ボタン。ただし武器の順番がめちゃくちゃ。
○高速化
フィールド移動中に□ボタンを押しっぱなしで高速移動。
Item選択中に□ボタンを押しっぱなしで高速移動。
戦闘中にR2ボタンを押しっぱなしで高速化。
○スケートボードによる移動
上述した□ボタンより高速移動が可能だが、坂に弱く僅かな上り坂でも頻繁に停止する。
○一部英語のまま
医薬品だけ説明文が英語のまま、風車の原っぱも英語のまま。フォントも異なるので処理ミスと思われる。
○クリア後
経験値を引き継いでの強くてニューゲームができる。しかし、二週目をやる人間はよっぽどの物好きだと思う。
○Tips
ロード時間には画面端にTipsが表示される。
「しっているかい?ほとんどの絵の具は有毒なんだよ」
■所感
良さと悪さが混在するタイプのクソゲー。せめて戦闘に特化するのか、シナリオに特化するのかどちらかを選ぶべきだったと思う。このどちらから一方が好きだったとしても、もう片方が確実に足を引っ張っているため、どちらかが琴線に触れてもトータルはクソゲーという結論になる。
全体的に雑で詰め込みすぎ。ミニゲーム+アストラル投射+多元宇宙論+5章だけペルソナ風システム。そして詰め込みすぎたせいかどれも雑に終わっている。個々の説明不足や調整不足を他で補おうと手を伸ばしているかのように感じた。
■おまけ
ろくな日本語の攻略サイトがないため
○POGの場所
フランクトン:アレックスの家1Fの本棚
フランクトン:ヘアーウィップで切る茂み
廃工場:コンテナ
ウインドタウン:コンビニの後ろの見えないゴミ箱
ショッピングモール:左奥のゴミ箱
山の電波塔:宝箱
フラッグスタウン:右端
マウンテンタウン:落下するエリアの先の宝箱
エッセンシア2000のマインドダンジョンボスのドロップ
○POG(レア)の場所
フランクとん質屋(4章から)
■選評rev.1.01(20190603)
誤字修正および微修正。Item整頓に明らかな間違えがあったので修正。
■選評rev.1.02(20190701)
トロフィー取得バグに明らかな間違えがあったので削除。
注:この選評は古いバージョンに基いています。大賞選定等の資料としては選評2を優先してください。(2019年7月7日時点の暫定措置)
●はじめに
ラスボスやエンディング等の重大なネタバレ情報を多く含む。
2/18時点の情報を元に執筆されており、それ以降のバージョンアップや新情報等は考慮されていない。
筆者のプレイ環境はPS4なので、特に断りの無い場合はPS4でプレイした時のものとする。
エンディングは複数あるが筆者は1種類しか見ていない。
本著は以上を前提とする。
●基本情報
YIIK: A Postmodern RPG
開発はシンガポールのAckk Studioであり、販売形態はDL販売専用となっている。
プラットフォームはPS4、Switch、steamであり、発売日は1/31(steam版は1/17だが日本語対応は1/31なので実質同日)である。
値段は各機種ともに税込み1980円となっておりお手軽なロープライスゲームである。
●ゲーム概要
本作品は3Dで作られており、見下ろし型の視点でキャラを操作する街とダンジョンとフィールドから成り立つごく一般的な、それも90年代の古き良き時代を思わせるRPG+ADVである。
・戦闘
戦闘はコマンド戦闘方式に特殊な操作を組み合わせたものである。詳しくは後述する。
各キャラにはHPとPPが割り振られており、HPが無くなると戦闘不能になる。PPはスキルの仕様に消費する。
特殊なキャラとしてHPやPPを使用しないキャラもいるが、代わりにENと言う両方が合わさったものが割り振られている。
エンカウントはフィールドがランダム、それ以外はシンボルエンカウントとなっており、シンボルエンカウントに関しては一度倒すと復活しない仕様となっている。
ダンジョンには様々な仕掛けがあり、それらを主人公の持つ特殊なアイテム等で仕掛けを解き踏破する謎解き要素の強い物となっている。
・ストーリー
大学を卒業した主人公アレックスが地元に帰り、ふと気になった変な猫を追いかけたらサミーと名乗る女性に出会う。
初対面のサミーに何故か妙な親しみを感じていた。しかしサミーは超自然的な何かに連れ去られてしまい行方不明となったサミーを探す事になる。
探索するうちに様々な仲間との出合いがあり、その一方で宇宙の深淵を知ってしまい、やがて来る世界の崩壊と対峙することになる。
本作はマルチエンディングで2つ目のエンディングが確認されている。公式で3つ目のエンディングが示唆されているが2/18現在発見者は0である。
●戦闘の問題点
序盤はストレスが貯まるQTEを長時間何度もこなす耐久マラソンであり後半は強スキルの連打ゲーと化す。
・戦闘システム
戦闘はただのコマンド戦闘ではなくコマンド1つ1つにQTEがあり、キャラによってはミニゲームが挟まる。それらに失敗すると強制的にミス扱いとなるので毎回のプレイが必須である。
ちなみにQTEは設定で難易度を下げられる。下げれば劇的に成功しやすくなるものもあるが、焼け石に水の物もある。
仲間キャラは主人公を含め大雑把に7人いるが7人とも全く違うものになる。
例えば主人公がたたかうを選ぶと、画面に回転するレコードが出てきてヒットゾーンでボタンを押せば成功となる。(要はシャドウハーツ)
レコードが1周する迄に2回まではミスが許されるので適当に連打してもある程度攻撃が出来るのだが、うまくやれば2周3周と回転し何度も攻撃が出来る。
あまりに適当ではミスするが、うまくやってもそこまで強くない。
他の仲間のこうげきはレバーを倒してタイミングよく離すものであったり、ボタンを長押ししてタイミングよく離すモノであったり様々である。
これらもうまくやれば攻撃力が上がったりこうげきが全体化したりと恩恵があり、やはり適当では弱くキャラによっては主戦力になり得る場合もある。
最も難易度が高いのはマイケルという仲間のこうげきであり、タイミング良くボタンを押すと言うものだが判定が異常にシビア且つ一回でもミスると即終了となる。
しかも全員に言えることだがこうげきに失敗するとミス扱いになるので、何ターンも延々とミスを出し続けることになる。
そしてマイケルを必ず使用しなければならない序盤は敵が固くこちらの火力も低いので、戦闘が異常に時間がかかりマイケルに殺意が向くことになるであろう。
対して序盤から仲間になるヴェラのこうげきQTEは非常に簡単なのでQTEの難易度のお陰で主戦力になる。
戦闘にはたたかう以外にぼうぎょ、スキル、逃げる、アイテムがある。
スキルも各キャラどころか各スキル毎に操作が違いやはり失敗するとミス扱いになる。
例えば仲間のヴェラは3つのスキルを覚えるが1つはしょぼいゼルダのような戦闘が挟まり、1つは何故かエアホッケーが始まる。
もう1つが操作方法も覚束ない状態で始まるマリオUSAなのだが、初見でマリオUSAと見抜きアイテムを引っこ抜くと言う発想に至れるプレイヤーは余程のゲーム強者であろう。
筆者は制限時間も相まって3回目の使用でようやくルールを把握し初めて当てたのが5回目の使用だった。
ちなみにヴェラはマリオUSAを使用するのに必要なPPが15に対し最大PPがクリア時に50弱程度であった。
成功するかどうかも微妙なスキルに最大PPの1/3を使うのはどうかと思うが、他のスキルは対象限定だったり、はたまた敵味方関係なく全員に攻撃する(しかも味方にとってはそれなりに痛く敵に対しては誤差ダメージの)スキルなので遠慮なくマリオUSAを使えるのは長所であろう。
なお成功しても誤差程度でしかないダメージなのは目を瞑る事とする。
他にもボタンを触らなければ成功したが未だに成功条件がよくわからないスキル(実プレイ時にはボタンを触ると敵に攻撃防御のバフがついた)や、主人公の攻撃QTEの難易度を上げただけのスキル等様々なミニゲームが用意されており、退屈になりがちな戦闘を筆者の怒号や罵声で彩ってくれていた。
ものによってはミニゲームの無いスキルも一部あり、選ぶだけで即座に発動してくれる。
逃げるのにもちょっとしたミニゲームが挟まる。
ちなみにイベント戦闘で逃げ切れない場合でもミニゲームが始まり、頑張って逃げるミニゲームをこなしても出口で強制的に捕まってしまう。
ぼうぎょとアイテムは選べば即座に発動してくれるのでストレスフリーである。
敵が攻撃してくる時にもQTEが挟まりうまく行けばダメージの軽減や完全回避等も行える。
QTEが挟まらない攻撃も一部存在する。
・戦闘バランス
とにかくダメージがデフレしておりQTEをどれだけ頑張っても序盤は1ダメージ、精々2ダメージが出るかどうかである。
敵の体力は体力バーで可視化されており与えたダメージがある程度わかるのは幸いである。
中盤になると2桁ダメージがちらほら出始めるが、基本はQTEがうまく行かないときの4ダメージや、頑張っての12ダメージ程度である。
とあるキャラが20ダメージも与えた時はあまりの強さに筆者は感動してしまった。
終盤になると唯一のENを持つキャラが自身の最大ENの半分を消費し50ダメージを与える程である。
対して敵は異常に固い。最序盤こそ1や2のダメージでワンパンだが、そこを乗り越えると体力が7もある敵が出始め戦闘に時間がかかることとなる。
体力7に対しこちらの攻撃要員は3人である。うち1人はマイケルなので実質2人であり1体敵を倒すのに数ターンかけるか、お金の無い序盤に回復アイテムを贅沢に使うかの2択を迫られる。
それから中盤までは味方の火力は雀の涙程度だと言うのに敵の体力だけはきっちり上がっていくので戦闘にかかる時間はどんどん増えていく。
雑魚戦相手に2〜3分かかるのはザラであり、ボス戦もかなりの時間がかかる。
RPGお馴染みのミミックはどのタイトルでもそこそこ強いがこのゲームでも勿論強く、実プレイ時には一桁〜10そこそこ程度のダメージを駆使し倒すのに10分近くかかった。
ミリ単位でしか減らない体力バーをカスダメで減らす事に喜びを見出すプレイヤー以外にとってはもはや作業でしかない。
しかもQTEが毎回毎回発生するので疲れからミスする事があり、その度にため息を漏らす羽目になるだろう。
終盤になるとどうなるんだろうと心配してるだろうがどうか安心してほしい。
中盤あたりで主人公がLPスローと言う技を覚えるのだがここから戦闘がガラリと変わる。
この技を使うと敵に3桁ダメージを平気で与えラスボスでさえ3回も使えば体力を削りきれるのだ。
問題はQTEの難易度だがこちらも気にする必要はない。
ミニゲームはSTGのような物なのだが○を連打してれば大体成功するので難易度を下げる必要どころか画面を見る必要すらない。
この技の出現により主人公以外はアイテム要員兼肉壁と化し煩わしいRPG要素はLPスローを選びボタンを連打するだけで大抵は終了する。
通じないのはラスボスを含む一部イベントボスだけであり、ラスボス手前の中ボス群はほぼワンパンである。
ちなみにラスボスの攻略方法はわざと全滅すると言うものであり、気が付かずに30分戦ったプレイヤーもいるようだ。
攻略方法はほぼノーヒントであり手探りで探らなければならないのは、倒すだけのゲームに対するアンチテーゼとしてポストモダン的な表現したのかもしれない。
なにはともあれスキルを覚えてLPを投げればいいと言うだけのバランスにならなかったのは僥倖と言えよう。
蛇足だが睡眠を付与するスキルがあり、勿論ラスボスにも通じる事を付け加えておく。
●ストーリー等の問題点
戦闘やシステムで溜まったストレスに追い打ちをかける主人公の身勝手さが光る。
・ストーリー
詳しく説明すると長くなるので、詳細を知りたいなら是非ともプレイしてもらいたい。
時代は1999年でありY2K問題直前の話である。
序盤は化け物みたいなのや違う世界からの訪問者や幽霊等かなと思える存在が現れる。
しかし中盤に差し掛かるとパラレルワールドがどうのソウルメイトがどうの魂は同じだのとオカルトのようなSFのような何かになっていく。
最終的に主人公の魂はどの世界でも世界を滅ぼすのでこの世界も滅ぶことになるらしく、破壊に立ち向かう事にする。
話の大筋自体はわからないでもないが最近は凄惨な事件が多い事をY2Kだからなと皆が納得するのは首を傾げざるを得ない。
最後は大晦日に世界を滅ぼすものが現れるのだが、これの存在はともかく何故Y2Kと絡めて話に関わるのかもよくわからない。
話の本筋自体は強引だが納得できなくも無い。しかし出来の悪いSFでしかなく面白いと褒められるかと言うと疑問符が浮かぶものである。
筆者の見たEDはバッドエンドと言うかビターエンドと言うか、ハッピーでは無いが当然だろうなとは思えた。
矛盾点はパッと見無いが投げっぱなしの伏線がかなり多く回収はされていない。
伏線だけではなく思わせぶりな部分も目立つが、大半は思わせぶりなだけで話は広がらず今ひとつ消化不良である。
主人公の家にはほぼ母親しか出てこないのに本当は6人家族で他の家族にはほぼ触れられなくて家族構成が父親と母親と主人公以外は不明だったり、
とあるキャラクターの妹の痕跡で起きる不運な出来事が起きた理由だったり、
何故か海の向こうにRPGお馴染みの塔があるのにそこには行けなかったり、
その塔はただのオブジェクトかと思いきや作者が思わせぶりな事を言うだけでやっぱりいけなかったり、
ついに誰か到達したと思ったらバグを駆使しての到達だったりと消化不良感が非常に強い。
・キャラクター
主人公のアレックスがとにかく嫌なヤツと言う程の物ではないがクズに近い無職でストレスが溜まりがちである。
ローリーというキャラが消えた妹を探すのに手を貸して欲しいと主人公達に頼む。
アレックス達はそれらがサミーに繋がるかもしれないと協力する。
かなりの危険に合うが妹はとっくに死んでいた事が判明する。
安全な所まで逃げ出したがそこで意気消沈のローリーに対しアレックスが俺達は死にかけたんだぞと罵倒を浴びせるシーン等はかなりのクソ展開ではないだろうか。
確かに気持ちはわからんでもないがそこまで言う事なくない? と他の仲間に窘められる始末である。
そんな主人公が村上春樹よろしく謎の独白やモノローグを繰り返すのだが正直不快である。
ストーリー上読み飛ばしても大体わかるので連打で飛ばせるのは評価点と言えよう。
他には母親が失職した際に働きたくないでござるみたいな空気を出すが、プレイヤーの主人公に対する好感度は低いので何いってんだこのクズとしかならない。
●UI等システムの問題点
微妙に反応しない場合があったり変な仕様だったり、そもそもフリーズも多く場合によっては進行不能になるバグも存在する。
・色々な問題点
まず起動してはじめからを選択すると○けってい×キャンセル△ランダムとの表記と共に会話が始まる。
しかし名前入力の時には△が何の機能も果たさない軽いジャブでまずつまずくだろう。
アイウエオ カキクケコ
サシスセソ タチツテト
〜〜
パピプペポ
ァィゥェォ ャュョッ
スペース けってい
このような入力画面なのだがオとカの間でスペースが入力出来るに関わらずスペースがあるのは良いとして、スペースからけっていにカーソルを移動しようとすると何故か複数回キー入力しないと移動しない仕様になっている。
何故か伸ばし棒は無いので名前入力の際には注意が必要である。
妙にやりにくい名前入力を7回も終えたら「じゃあ今入力したのは全部忘れて!」の文言と共にゲームが始まる。
ゲームをはじめたら先ずはステータスを見てみたくなるものである。
メニューを開くと何も表示されておらずステータスを見てみようとすると間違いなくフリーズする所で第一ラウンド終了である。
これを回避するためにはゲームを初めて一番最初にゲームをセーブしてロードすればいいのだが、そこに至るまでにまたもや7回の名前入力が待ち構えている。どうか乗り切って欲しい。
ちなみに名前入力の際に主人公の名前を一文字にしてキャンセル直後に決定を入力すると名前欄がTrueと言う表記になる。
この場合どんな弊害があるのかはまだ試してはいない。
他にもゲーム中はしょっちゅうではないが思い出したかのようにフリーズするのでセーブは頻繁に行うべきである。
他には別データをロードするにはゲームを終了させなければならないがゲームを終了する際にもしょっちゅうフリーズするが些細な問題である。
余談だがセーブ画面だけは決定が×なのでたまに間違うのは笑って許せるようになるだろう。
フリーズ以外で再現度が高いバグではとあるダンジョンに顔のついてる壁がある。
その壁に対し向かって右側面から話しかけると壁の上にワープ出来てしまい、しかも鍵のある扉に辿り着けてしまう。
RTAに使えそうに思えるバグだがそこの扉をバグルートで開けてしまうと進行不能となるので注意する必要がある。
例えば大晦日に戦う事になるボスがいるのだが開幕に眠らせて眠らせたまま戦うと何故か進行が停止してしまいリセットを余儀なくされる。
そもそも勝利条件がHPを0にすることではないので眠らせる必要はないのだが、初見でそんな事がわかるはずも無く筆者は何度かやりなおすハメになった。
地味にイラつく要素もある。
例えばアイテムなのだが一列に下まで並んでいて、新規アイテムは一番下に収納される。
新しいアイテムの詳細を知りたいなら下までカーソルを動かせば良いのだが、カーソルの移動が妙に遅く地味なストレスポイントになる。
●評価点
クソゲーなので音楽はとても良くサントラが欲しくなる出来だ。
ザコ相手の戦闘曲ですら毎回違っていて音楽のアレンジによる舞台の表現などもあり手放しで褒められる。
キャラクターも主人公以外は個性的であのマイケルですら最終的には個性の塊になる。
アクも強いが不思議な魅力もあり嫌いにはなれなかった。
グラフィックはチープだが1980円という値段もあり気にはならない。
デザインはMOTHER2に影響を受けたのがそこかしこに見えていてこれもまたアクが強いが個人的には好みである。
●まとめとして
確かにつまらないゲームである。不思議な魅力もありただのクソとして切り捨てるのはどうかと思うが、こうしてクソ要素を並べるとクソはクソと客観的に思える作品だった。
YⅡK反選評
バージョン情報
ハード:PS4
バージョン:1.06
キャラクターや世界観について
ストーリーを解説する前に、YⅡKの良さであるキャラクターや世界観について詳しく解説しておく。
キャラクター
YⅡKの仲間キャラ達について解説しよう。どのキャラも自分なりの考え方や悩みを持って生きている一癖も二癖もあるキャラである。本作はそんなキャラたちが、冒険の仲間としてだけではなく、本当の友達として付き合っていく物語にもなっている。また、本作はメインストーリー関連は基本フルボイスとなっている。
アレックス
25歳。大学を卒業後モラトリアム生活を満喫中。
好奇心は強いが、おぼっちゃまで世間知らずなきらいがある。
サミー
本作のヒロイン。不思議な雰囲気の少女。序盤でいなくなる。
マイケル
19歳。アレックスの親友。趣味はカメラ。後述のONISM1999の創設者でもある。終盤で並行世界の自分の人生を追体験し、心身ともに大きな変化を遂げる。
ヴェラ
本作のヒロイン。普段はゲーセンで働いている。仲間の中では一番まともな性格で、解説や静止役。
ローリー
田舎町に住む青年。親は悪い意味で放任主義、妹は亡くなる等、不幸な身の上。やさぐれているように見えるが、仲間を攻撃から庇ったりアレックス達の冒険に積極的に協力したり等、根は良い人。
クラウディオ
チェーン展開もしているレコード屋本店の店長。行方不明の弟を探し続けている。顔に似合わず少女アニメ好きで、自分の好きなアニメの事になるととても口が回る。
ショーンドラ
クラウディオの妹。フラフープが好き。見た目はチャラく見えるが、案外自分や周りの事をよく考えている。
エッセンシア
人造人間の女。アレックスや友達たちに別の世界の話を聞かせてくれる。どこまで本当かは不明。
本作の会話について
本作の会話はメインストーリーの謎に加え、各キャラの人生模様、悩み、過去話などの雑談が多い。また、初めて出会った相手とは、しっかり自己紹介でお互いの事を知る会話が入る。一見意味のない要素に見えるが、掘り下げや特徴付け、関係性理解に一役買っている。よって、キャラを単なる舞台装置としてではなく1人の人間として見ることが出来る他、アレックス一行達も、単なる冒険の仲間ではなく気の合う友達として付き合っているように見ることが出来る。会話そのものもノリが良くて面白いので、キャラクターに対して愛着、親しみを持ちやすい。
本作の会話例をいくつかご紹介しよう。時に優しく、時に厳しくも暖かいノリは、本作特有の良さと言える。
3章 アレックス、マイケル、ローリーでレコード探ししに行く道中の場面
ローリー「アレックスは、大卒?」
アレックス「ああ、今年卒業した。リベラルアーツの学士号を持ってる。」
ローリー「じゃあ、マジでうちの店で働きたくなったら言ってよ。マネージャーはリベラル・アーツの学士号持ちだし、遅番のマネージャーはダンス学の博士号を持ってる。」
マイケル「プーッ…ハハハハハ!」
アレックス(慌て顔)「べ…べつに俺は困ってないからな!焦らずじっくり職探しをしたいだけだ!」
4章 妹の死や将来に対する不安でブルー気味になっていたローリーを仲間全員で家まで迎えに行く場面
ローリー「誰?」
アレックス「アレックスと、ゆかいな仲間たちだ!」
ショーンドラ「なんであんたが主役なわけ?「ショーンドラと」、ゆかいな仲間たち、でしょ。」
アレックス「ショーンドラと、仲間たちだ…。」
4章 フランクトンでショーンドラを仲間に誘う場面
ショーンドラ「ものうげに町をさまよい、自分のものにならない女に思いをはせている、と。」
アレックス(慌て顔)「…え、俺、そんなふうに思われてるのか…?」
ショーンドラ「ウソウソ、からかっただけだってば。手がかりはあった?」
5章 世界の破壊を阻止する戦いにクラウディオを誘う場面
クラウディオ「いいぜ!あんたを信じるよ。」
クラウディオ「あんたのおかげで、オレは希望を取り戻せたんだ。弟が消えた時、一緒になくしちまったと思ってた冒険の心を、思い出させてもらったよ。」
アレックス「そうだったのか…?知らなかった…。」
クラウディオ「あんたらと出会えたことは、オレの人生で最高の出来事だと思ってるよ。あんたと知り合ってなかったら、オレは周りに無関心なままだったからな。」
アレックス「それはよかった。自分にそんな力があるなんて、思いもしなかったよ。」
ONISM1999
オカルト、都市伝説等、普段の生活では明るみに出ない話題を取り扱うフォーラムで、1~5章のストーリーはここの情報を基に進んでいく。オカルト風2chをイメージして頂ければ分かりやすいだろう。
訳の出来が良いおかげでただ読んでいるだけでも、本当に2chスレを見ているような気分になれる。一部キャラの裏設定やメインストーリーの事件の経緯なども書き込まれている為、読んでおくと更にキャラや世界観に浸りやすくなるだろう。また、一部スレはサイドクエストのフラグにもなっている。
問題点として、黒背景に黄色や緑の文字が基本であるためやや読みづらい(ネット黎明期らしい色合いだが)ことが挙げられる。また、再現性は低いがスレを開くとたまにフリーズすることがある。
サイドクエストについて
ONISMの特定スレを開くと受注できるサブクエストである。ゲーム進行に必須ではないが、こなすことで全員のレベルを1アップすることが出来るので、こなしておくとゲームを有利に進められる。サイドクエストの内容は、特定のシンボルエンカウントを倒す、特定のアイテムを持って特定の場所にいるモブキャラに話しかける等があり、比較的楽に経験値を稼ぐことが出来る。
世界観
YⅡKの舞台は1999年のアメリカである。
1999年と言うだけあってレコード屋やレコードが登場したり、「QuickTime」、「真空管」、「カセットテープ」等、懐かしの言葉も度々登場する。また、コンピュータを使用する際には、昔懐かしのダイヤルアップ接続音が鳴る。当時からコンピュータを使用していた人は懐かしく感じられるだろう。以上のように、要所要所でノスタルジーを印象付けさせている。
他には、モブキャラや看板はどこかおとぼけており、調べながらのプレイも面白い。
例: 人の家のドアを調べた時「ちょっと!勝手に人の家に入っていいと思ってるの!?ったく、ゲームじゃないんだから!」
キャラクターや世界観について総括
キャラが1人の人間であるかのように表現できている事や会話、印象付けに成功している世界観、おとぼけなモブなど、遊んでいて退屈しない要素が揃っている。これらの要素がゲーム全般においてふんだんに活かされており、進行や寄り道含め、気に入れば案外楽しく進める事が出来る。後述のメインストーリーや戦闘に関わっている要素でもあり、単なる光る点、加点要素止まりではなくゲーム全体を彩る評価点として成立していると言えるだろう。
メインストーリーについて
1~5章、6章で世界観が大きく変わるため、1999年編、ソウルスペース編と説明を分ける。
1999年編あらすじ
1章(選評2より引用)
1999年、物語の主人公アレックスは街で見かけた猫を追って工場跡地へと向かう。建物の中を進むアレックスは、自分が大切にしているパンダのぬいぐるみと出会う。パンダの協力を得て、アレックスは果ての見えない広大な空間にたどり着く。彼は戸惑いながらも好奇心に掻き立てられるのか立ち止まることなく足を進める。そして、その奥で同じように異空間に迷い込んだ少女、サミーと出会うのだった。
アレックスとサミーの二人は元の廃工場になんとか辿り着く。安堵のひとときを迎えた二人はエレベータに乗る。しかし、そのエレベータの戸が開いた先で姿を表したのは異形の生命体だった。
生命体を目の当たりにしたサミーは叫ぶ。
「放して約束したじゃない!もう連れて行かないって!」
その言葉が何を意味しているのかはわからないが、彼女が抱いた恐れは現実となり謎の生命体に連れ去られてしまう。何かの力が働いているのだろうか、連れ去られる彼女の苦悶の表情を浮かべ、瞳からは血の涙を流していた。サミーはアレックスに何度も何度も助けを求める。手を伸ばすアレックス、しかしその手は彼女に届くことはなかった……
2章
アレックスは親友マイケルと共に、廃工場を再び見に行くが、異形の生命体に追いかけられ、逃げ出してしまう。その後、異形の生命体についての情報をONISMで広報する。情報を調べていくうちに、2人はゲームセンターで働いていたヴェラと出会う。3人は、サミーと同じく行方不明になっている妹がいるという青年にメールで呼ばれ、ウインドタウンへ向かう。青年の名前はローリー。行方不明になった彼の妹を見つけるため、アレックス一行は下水道の奥へ突き進んでいった。
下水道の最深部で、一行は件の異形の生命体に遭遇する。ローリーは妹を見つけたと主張するが、ヴェラは「あれは妹じゃない。ソウルサバイバー[1]だ。」と反論する。その後ローリーから、妹はいじめが原因で既に亡くなっていると告げられる。
突然出現した黄金のアルパカに襲われた上、ソウルサバイバーが集まる異空間に迷い込んでしまい命からがら逃げるアレックス一行。気が動転したアレックスは、ローリーに対してきつく当たってしまう。
[1] 異形の怪物の通称。その正体は、アストラル投射を起こし肉体と魂を分離した人間の成れの果て、つまり別世界から来た人間。受肉したいがために1999年編の世界にやってくる。
世界の原理原則(選評2より引用)
過度のストレスを加えられるとアストラル投射が起きて、肉体と魂が分離される。分離した魂は物質世界とは別の精神世界にいくこともできるし、並行世界にいくこともできる。並行世界に行った魂は自分に適合した肉体があれば受肉化できる。この適合した肉体とは主に並行世界の自分自身を指す。
3章
ローリーの妹探しの過程でソウルサバイバーと世界の原理原則を知ったアレックス。しかし、アレックスはサミーが自分からアストラル投射を起こしたという事実に疑問を抱いていた。また、自分の夢に何度も出てくるプラスチックの女性についても気になっていた。
そんなある日の事、アレックスの家にソウルサバイバーが現れる。追いかけていって裏山の電波塔へ辿りつくと、ソウルサバイバーから「あるレコードを探してくれ」と頼まれる。
レコード探しの過程で、アレックスは(選択肢次第で)ローリーと仲直りし、クラウディオ、ショーンドラと出会う。ヴェラのマインドダンジョン[2]で目的のレコードを発見する一行。その後アレックスはヴェラに「自分は元ソウルサバイバーで、別世界から来た人間である」と告げられる。
[2] 各々の心の中に存在するダンジョンのこと。
4章
一行は、ソウルサバイバーとの約束通り裏山の電波塔で例のレコードを再生する。それにより、眠っていたあるアンドロイドが目覚めた。それはアレックスの夢に何度も出てきていたプラスチックの女性だった。「アンドロイドがソウルサバイバーに襲われている、助けなければ!」アンドロイドが戦っている光景を見たアレックスは、アンドロイドを見つけ出すことを決意する。
ローリーの情報収集をはじめ、友達皆の協力の甲斐あって、アレックス一行はアンドロイドを発見する。アンドロイドの名前はエッセンシア。彼女曰く、ヴェラ、サミーとエッセンシア2000は並行世界の同一人物であるらしい。3章でアレックスの家に現れたソウルサバイバーの正体はエッセンシアであり、自分自身の体を目覚めさせるため、アレックスの手を借りたという。
一人エッセンシアに引き込まれたアレックスは、エッセンシアと共に彼女のマインドダンジョンを進んでいく。
5章
エッセンシアのマインドダンジョンの果てに、アレックスは自分のマインドダンジョンの奥に辿りつく。そこでアレックスは、自分自身が世界を滅ぼす存在であることをエッセンシアに告げられる。しかし、どのような形で滅ぼすのかは分からないという。更に、この世界は既に崩壊を始めているという。
大切な友達や家族がいるこの世界を守ると決意したアレックスは、エッセンシアと共に友達皆へ協力を取り付ける。悪のアレックスが来たる2000年1月1日に向けて、一行はトレーニングを開始する。
そして2000年1月1日、トレーニングも空しくアレックス一行は隕石の形をしたアレックスに敗れ、友達は全員消え去り、アレックスの世界は破壊されてしまう。1人取り残されたアレックスは、肉体を捨ててアストラル体となり精神世界(ソウルスペース)[3]へ飛び込んだ。
[3] 肉体を捨てて精神体になることで行くことの出来る精神世界。見た目は宇宙そのもの。
1999年編まとめ
サミーを見つける、という目的を基にアレックスの交友、世界が広がっていく流れはよく出来ている。またメインとは他に、章ごとにも謎のストーリーが展開されていき、追いかけていって楽しめる作りになっている。先述のキャラの掘り下げエピソードや会話、世界観も活かされており、ONISM1999を調べたりすることでより世界観やストーリーに浸ることが出来るだろう。3章周辺のアレックスのキャラ特徴付けの部分はクセが強いものの、この特徴付けは意図的に行われているものと考えられる。
ソウルスペース編あらすじ
6章
肉体を捨てて、ソウルスペースを彷徨うアレックス。そのうちに、アレックスは並行世界のアレックスが集まる星に辿りつく。そこで、隕石アレックスの一部であるプロト=アレックス達と出会う。かつて自分の世界を破壊したプロト=アレックス達に、自分たちの仲間となり一緒に世界を破壊しないかと誘われる。アレックスはそれを拒み、隕石アレックスの後を追いかけた。
アレックスは、隕石版アレックスを追い続けるが、大人数のプロトアレックス達に対して立ち向かう勇気が出ず、別世界の破壊を何度も目の当たりにする。
追いかけて行った末に、まだ隕石版アレックスに破壊されていない世界を発見した。そこは、プレイヤー[4]の世界であった。しかし、プレイヤーの世界もプロト=アレックスによって破壊されかけていた。アレックスは並行世界の自分自身であるプレイヤーに、プロト=アレックスを倒す戦いへ協力してくれるように助けを求める。1~5章までの流れを見てきたプレイヤーはその助けに応じる。プレイヤーと共に、その友達[5]も駆けつけてくれた。プレイヤー達に対して、アレックスはプレイヤーの世界を必ず救うと約束した。
アレックスの軍団を退け、プロト=アレックスの元にたどり着いた一行、彼らを待ち受けていたのはプロト=アレックスとエッセンシアだった。実は彼女は並行世界のヴェラでもサミーでもなく、並行世界の女版アレックスだった。エッセンシアは、プロト=アレックスを倒してアレックスを自分だけのものにする事を目的としており、アレックスにトレーニング等をけしかけたのも、プロト=アレックスを倒してもらうためだったという。激戦の末、アレックスは再び敗れる。しかし、ロイという謎の人物がアレックスを助けてくれた。このままでは勝てない。
アレックスはプレイヤーと協力し、エッセンシアとプロト=アレックスの電源コードを抜くことにした。(電源コードを抜くと、分断を保てなくなりアレックスの存在が再びひとつになってしまうらしい。)
アレックス、ひいてはプロトアレックス、エッセンシア含むすべての並行世界のアレックスが、プレイヤーの中に統一された。
「自分がなりたかった自分そのもの」であったプレイヤーに"アレックス"のこれからを託し、アレックスはプレイヤーの中に消滅する。
[4] このゲームをプレイしている自分自身。要するにこの選評を読んでる君。
[5] プレイヤー世界における「マイケル、ヴェラ、ローリー、クラウディオ、ショーンドラ」のこと。 名前は、ゲームを始める時に入力した友達の名前になる。
ソウルスペース編まとめ
メタフィクション要素と絡めて、1999年編で出てきたアストラル投射や並行世界ネタを活かしている。ただ、1999年編の世界はなくなってしまい、かつ急展開の連続なので、肌に合わない人もいるだろう。
エッセンシアが嘘をついていたという設定は初めて聞くと呆気にとられるが、1999年編内でエッセンシア=ヴェラorアレックスどちらとも取れる描写が多々あるため、ミスリードとしては成功しているかもしれない。
アレックスの独白や説教臭い展開について
主に3章冒頭で、アレックスの性格の悪さを印象付けるかのごとく展開が入る。また、脳内会議のようなシーンで、アレックスは自らの欠点や言動の悪さを自覚しておきながら、改善する勇気が出ないダメ野郎であること、世間知らずのおぼっちゃまであることをダイレクトに見せつけてくる。
選評2で挙げられた
「お前の妹なんかどうでもいい」
「貯金は?蓄えはあるんだろ?」
「30ドルもあればいいだろう」
「それはー…遠慮しておくよ」
親のスネをかじって大学を出たアレックスに対しそれを非難するような会話
これらは3章序盤の台詞である。確かにクセが強い展開ではある。メタ的だが、物語が中盤にさしかかる辺りでもあり、アレックスの性格の悪さは意図的であることをプレイヤー側に暗示しているように取れる。4~5章で世界滅亡を知らされたのをきっかけに少しでも自分の行いを改善しようとする展開や、6章で自分自身の性格の悪さや世間知らずさを後悔する流れはこの描写のおかげで分かりやすくなっている。また、「俺は女を愛したことがない」という台詞は、先述のエッセンシア登場イベント直後の台詞であり、エッセンシア一目惚れ展開に繋がっている(いわゆる、恋は盲目)。
以上、合う合わないは別として、意味なくやっている展開とは言えない。
メインストーリー総括
起承転結の起承転の出来は良いが結で失敗してしまったストーリーと言える。1999年編の世界が崩壊してしまう展開とそれ以降は好き嫌いの範疇としても、エッセンシアの「嘘でした」は初回だと呆気に取られやすい。アレックスの性格の面やまとめ辛さでも好みが分かれやすいだろう。
とはいえ、起承転の部分における、アレックスの交友や見える世界が広がっていく流れや謎解き感の出来は良い物である。先述のONISM1999やおとぼけなモブなどもあり、楽しみの土台はあると言って間違いないだろう。また並行世界やアストラル投射要素をメタフィクションとして持ってくる展開は斬新で面白く、ラストに自分自身の友達がゲーム内のキャラを模して登場する演出もなかなか洒落ている。また、1999年編のストーリーやアレックスの交友関連の回収も果たしている。
戦闘について
戦闘の概要
エンカウント
町、ダンジョンではシンボルエンカウント、フィールドではランダムエンカウントとなっている。しかしこのゲームは町やダンジョン移動が大半を占めるため、シンボルエンカウントがメインと考えていただいて構わない。また、シンボルエンカウントは一度倒せば基本的にリポップはしない。また2章や6章では話しかけて戦闘になるシンボルもいる。
シンボルエンカウントについては、後述の方法で意図的にスルーすることが可能である。
バトル中のダメージの数値表記
ダメージの実数値はウィンドウで確認できる。
選評2で触れられていた攻撃時に敵の上に出る数字については、+の付いた青色の数字がコンボ数、白色の数字がダメージ実数値となっている。
色的にもコンボ数とダメージ実数値の判別は可能である。ただし、出る前に消えたり敵と重なって見えづらかったりするため、ダメージ実数値はウィンドウで確認することを推奨する。
戦闘とミニゲームについて
戦闘においては、攻撃、防御、スキル使用、逃走時にミニゲームが入る。
攻撃やスキルのミニゲームはキャラ、スキルごとに異なる。防御系は全員共通で、上から下に流れてくる照準が特定の場所に来たところでボタンを押せば防御、回避が出来るといったもの。
攻撃系のミニゲームは、ミニゲームのコンボ数で威力が変わるものと、コンボの概念がなく成功失敗のみが判定されるものがある。ミニゲームの長さはまちまちだが、短い物だと1~3秒程、並だと5~10秒、長い物で17秒程となる。キャラごとのミニゲーム内容や詳しい長さは参考資料としてまとめたので、そちらを参照してほしい。
本作の戦闘中は、R2ボタンで高速化することが出来る。高速化は無制限かつ戦闘中はいつでも使用可能であり、高速化中は通常時の約2倍の速さで戦闘が進行する。使うタイミングは、敵や味方の攻撃モーション中、被ダメモーション中、慣れたらアレックスやクラウディオのミニゲーム最初等になる。高速化の方法については、1章のダンジョンに書かれているので覚えておくこと。
参考資料: ミニゲームについて
ミニゲームについて
参考資料: ミニゲームについて(画像無し版)
ミニゲームについて(画像無し版)
スローについて
レベル2になると使用可能(アシストを使えばレベル1からでも使用可)で、戦闘のテンポを約1/4にすることが出来る。
スロー使用中はタイムエネルギーというエネルギーを消費する。スロー用のエネルギーになっており、相手の攻撃を喰らった際に回復する。また、アシストで無制限使用可能に出来る。
無制限にしない場合の効果的な使い方としては、アレックスの通常攻撃、高火力スキルのEPストライクを確実に当てる等。他はピンチ時に防御ミニゲームで回避を狙うくらいか。慣れないうちは通常攻撃のミニゲームで使うというのもあり。無制限にしない分には、数ターンに1度使える必殺技のようなものである。
スローというシステムの特性上、確かに戦闘スピードは落ちるが、先述の通り毎ターン使う必要があるほど難しいミニゲームはない。スロー必須レベルで難しいミニゲームはヴェラのフィードバックくらいであり、これも味方がダメージを受けるデメリットがあるため連発するような技でもない。以上より、難易度緩和かつ火力を伸ばせる必殺技のような要素になっている。
選評2では戦闘時間を短縮するスキルではなくテンポの悪さは健在と語られているが、高火力で敵を早く倒し結果的に戦闘を早く終わらせられるシステムでもあり、ゲームのテンポを阻害している要素とは限らない。
高火力スキルの存在
本作において、一部キャラには即席で高火力を出せるスキルがいくつか存在している。主にアレックスのEPストライク、ヴェラのベースドロップ、クラウディオの武士の心得がこれにあたる。アレックスのEPストライクは通常攻撃ミニゲームの高難易度版だが当てればレベル20あたりなら38の大ダメージ、ヴェラのベースドロップも消費こそ大きいものの成功すればレベル20あたりなら31程の大ダメージを与えられる。クラウディオの武士の心得については、コンボ数でダメージを増やすことが出来、特定コンボを稼げば敵を確定で行動不能に出来る。
これらの高火力スキルは順当にレベルを上げていけば3章序盤~中盤に覚えられる。3章自体も高火力スキル等を考慮されたバランスになっている。
また、特殊だがショーンドラのポーズ変更、アイテムスローも一応高火力を出せるスキルとなっている。特にアイテムスローはアイテムによっては習得レベルの18Lv周辺でも4桁ダメージを叩きだすことが可能である。
参考資料: 各キャラの通常攻撃+高火力スキル威力まとめ
YIIK各キャラの通常攻撃+高火力スキル威力まとめ
LPスローについて
アレックスがレベル8で覚える事が出来るスキル。威力はアレックスのちからとレベルに依存している。同じちからでも、レベルが高いとより高威力になる。
ちからを最優先で上昇させた場合、レベル25で大体70ダメージ程。レベル30あたりになると3桁ダメージが当たり前になる。
他のスキルとの差別化が出来なくなるのはレベル30周辺からだが、15~20レベルでも全体に40ダメージを与えられたりと、ゲーム全編においてバランスブレイカーになりえるスキルとなっている。弱点といえばたまに回避されることがあるくらい。
面白さにおいて最適かどうかはともかく、最速で戦闘を終わらせられるスキルであることは間違いない。とはいえ、使わないなら使わないで後述するゲーム中の戦闘のバランスは取れている。よってバランスブレイカーと見る事も出来れば、アシスト要素、イージーモード要素と見る事も出来る。
純粋にミニゲーム戦闘RPGとしてプレイしたい場合は使わないのもよし、早くストーリーを見たい場合は使うのもよし、といった具合に落ち着いている。
その他、ミニゲームについて
システムとは関係ない要素だが、ミニゲームで出てくるオブジェクトは基本的にキャラの武器や攻撃方法がモチーフとなっており、世界観やキャラの構築に一役買った要素となっている。この部分でも先述のキャラや世界観の個性が活かされており、キャラクターが気に入れば特定キャラを活躍させるキャラゲー的な楽しみ方も出来る。
シンボルエンカウントを無視する方法
本ゲームのシンボルエンカウントを無視する方法として、走って普通に振り切る、猫を投げて当てる方法がある。アレックスはフィールドで猫を投げることが可能で、敵に猫を当てるとシンボルが震えて麻痺状態になる。麻痺状態の間はシンボルに判定がなくなるので、素早いシンボルも通り抜けることが出来る。
シンボルエンカウントを無視した場合、当然経験値やアイテムは得られなくなるが、先述のサイドクエストで経験値の獲得が可能なことや、アイテムの入手にあまり困らないことから、一応のフォローは出来ている。
戦闘バランスについて
選評1、選評2でツッコまれていた戦闘バランスについて、進行に必須のダンジョンを元にして解説する。なお、LPスローが最速なのは先述の通りであるため、あえて使わずにプレイした場合どういったバランスになるかを解説する。
1章はほぼアレックス単騎かつレベル1である。与ダメは基本1、頑張って2くらい。しかし敵の体力も1~3となっており、与ダメを伸ばすのが難しいなりの調整はされている。また、1章は全ての敵の経験値が20とコスパが良いため、ランダムエンカウントと合わせて狩っておくと次章以降を楽できる。
2章は町で敵HP30~60の中ボス級が6体程(うち5体必須戦闘)出現する。ダンジョンの雑魚敵は大体HPが6~18、中ボス級で25程となっている。この時期ならマイケル、ヴェラのフルヒットで8~15程の火力が出せるため、ミニゲームをしっかりこなせば雑魚敵1匹あたり一発か二発ほどで十分倒すことが出来る。アレックスの5~10コンボでも同等の火力が出せる。ちなみに件のLPスローは順当に行けばウインドタウン~下水道で習得出来る。
3章序盤のミニダンジョンは敵HPが大体10~12、高いので22~25程。アレックス単騎で挑むことになるが、コンボやレベル次第で10~20くらいの十分な火力が出せるのでさほど苦労はしないだろう。ミニダンジョンの次にある前半のダンジョンは敵HPが16~30程で、ダンジョン奥にいるエンカウントは40くらいのHPを持っている敵も出てくる。後半のダンジョンも同じくらいのHP帯になっている。通常攻撃のみでは少々厳しくなってくるが、高火力スキルが使用可能なクラウディオが前半ダンジョンで加入する他、順当にレベルを上げていれば3章後半あたりでアレックス、ヴェラ、ショーンドラが高火力スキルを覚える。レベル20~25あたりなら、高火力スキルでは25~45程のダメージを叩きだすことが出来る(防御考慮)。よって3章は通常攻撃+スキルを考慮したバランスになっていると言える。
4章のダンジョンはアレックス、エッセンシア2人で探索することになる。敵HPは25~50前後、強いエンカウントでは80前後も存在している。HPだけ見ると大変そうだが、アレックスとエッセンシアの通常攻撃は火力を伸ばしやすいタイプであることや、高火力スキルのEPストライクもあるため、あまり苦労はしないと思われる。
5章以降にはダンジョンはなくレベル上げがメインとなる。5章から出てくる敵は、アレックス、エッセンシア以外の通常攻撃だと厳しくなってくるため、スキル戦闘がメインになる。イベントオンリーで7レベル上げられる他、サイドクエストも沢山追加されるのでそちらも活用しよう。大体50レベル程あれば6章のアレックス×4は苦労しない。ラスボスについてはLPスローを使わない方が早い。
以上より、ダンジョン攻略においてはミニゲームが出来れば無理のないバランス調整になっている。
ゲームテンポについて
ミニゲームを考慮したテンポについては、ミニゲーム自体がダメージや攻撃成功可否に関わっていることを受け入れられるかそうでないか、またはミニゲーム自体を楽しめるかどうかで変わってくるだろう。所謂人によって評価点にもクソ要素にもなりうる。ただ、どちらに転ぼうともゲームとしておかしい点では無いように思う。
戦闘バランスや高速化等を加味した場合、雑魚戦の戦闘時間は大体30秒~1分30秒周辺、強エンカウントで2分、一番長いのでも3分程であった。(2章を5~10LV、3章を15~20LV、4章を25LVで進行して測定)
選評1で触れられていた戦闘時間(2~3分がザラ)と比較するとかなり短い。いくらミニゲームで間延びすると言っても、ミニゲーム戦闘RPGの戦闘時間としては取り立てて問題とするほど長くはないように思う。
その他戦闘に関する情報等
防御行動について
防御行動中は、防御ミニゲームの照準のスピードが通常時の約半分の遅さになり、ガードや回避の場所にタイミングを合わせやすくなる。戦闘テンポに関しては自己責任で。
キャラ交代
戦闘中は、ターンを消費せず自由に後衛のキャラと交代が出来る。スキルや攻撃もそのまま出来るので、好きなタイミングでキャラを使い分けられる。
ボタン表示ミスについて
逃げるコマンドと、マイケルのミニゲームにおいて、×ボタンが点滅した〇ボタンになってしまっている。逃げるコマンドはともかく、マイケルのミニゲームにおいてはミスに気付かないとコンボを繋げにくくなり、運よく気付いたとしても一瞬で〇ボタンを判別するのは難しい。Switch版では発生しない。
ラスボスについて
ラスボスはHPがゼロになっても死なず実質の負けイベントとなっておりクリアにはラスボスの取り巻きの敵を倒す必要がある。ラスボス自体は2ターン目で全体即死技を使ってくるが、HPをゼロにしてしまうとこの攻撃は発動しない。手軽に負けるには逆にラスボスのHPを残したほうが良い。よってラスボスばかりはLPスローを使わない方が早い。
既存選評への反論等
シープマンと開幕8回ミニゲームについて
選評2に書かれていたシープマンについて、「早い上に全体攻撃を行うため、戦闘開始直後に防御のミニゲームを8回することになる。」とあるが、こちらに対して説明する。
まず、シープマン自体のすばやさは全然早くない。シープマンが出現するのは3章だが、この時点ならレベル10もあればクラウディオを除いてすばやさ装備なしでも先制可能である。ただ、シープマンはすばやさが高い敵と一緒に出現するエンカウントパターンが多いため、シープマンの素早さが高いと思うのも仕方ないかもしれない。
次に、シープマンの全体攻撃についてだが、シープマンは基本2人攻撃で、HPが半分を切った場合しか全体攻撃を使ってこない為、シープマン×2が出ても8回ミニゲームになることはまずない。また、瀕死の場合は回復をメインで使ってくる。そのため、シープマンが全体攻撃を使ってくること自体あまりない。
他の全体攻撃を使う敵は、ピンチ時のみ使用してくる、素早さが低めに設定されている等が多い。よってシープマンに限らず、開幕で8回防御ミニゲームが発生する状況は少ない。
戦闘総括
エンカウント方式、ミニゲームなど、良い意味でも悪い意味でもプレイヤースキルに左右されやすい。しかし、戦闘バランスはストーリーを進行する上で申し分なく作られており、一発逆転用の高火力スキル等も存在している。以上より、ミニゲーム戦闘RPGとしては十分に成立しており、ミニゲームの数の豊富さと出来も評価出来る。デザインも世界観やキャラの構築に一役買っており、本作を表現するには欠かせない要素となっている。
結論としてミニゲーム戦闘RPGとしての土壌は十分整っていると言える。画一的な評価は難しいが、プレイヤーがミニゲーム戦闘を受け入れられるかそうでないかで評価が大きく関わってくると言えるだろう。筆者はミニゲーム戦闘の種類や出来を気に入ったこともあり、テンポについても気にならずに楽しむことが出来た。
明確な問題点としてはLPスローの調整やボタン表示ミスなどが挙げられるものの、その他ゲーム進行において一撃で敵にやられる、エンカウントから逃げられない等の理不尽要素はない。
以上、戦闘のみでゲームの評価点を帳消しにする程のクソとして推すのは難しいだろう。
レベルアップについて
概要、時短テク等
YⅡKのレベルアップ方式について説明する。
セーブ用電話から行くことが出来る「マインドダンジョン」と呼ばれる脳内ダンジョンでレベルアップやスキル習得が可能である。溜めた経験値を消費してレベルアップする事が出来る。主人公のアレックスのみ、成長させるステータスをレベルごとに4つ割り振りすることが可能。アレックス以外の仲間の成長値はレベルごとに固定である。
基本は1レベルごとに6つのステータスから上げたい物を4つを選び、ステータスごとに1つずつ、計4つの扉に入って上げていく。全ての扉に入ると、階段にいるカラスに話しかけることで100経験値を消費してレベルアップ出来る。
自動割り振りシステム
選ぶのが面倒という人のために、自動で割り振りするシステムがある。
全ての扉に入る前にカラスに話しかけると「僕が選ぼうか?」と言って選択肢が表示され、はいを選ぶと自動割り振りが出来る。自動割り振りを使った場合、上げるステータスは勝手に選ばれ、また先述の扉は全部入ったことになる(スキルの扉は残る)。上げるステータスを選択済みだった場合は、変更することなくそのステータスを上げられる。なお、本当に自動で選んでいるわけではなく、レベルごとに選ばれるステータスは固定のようだ。
自動割り振りのみでレベル70まで上げた場合の各ステータスの上昇値を示しておこう。見ての通りHP、力、防御を中心に上昇していく。
HP:97 力:82 防御:81 運:1 PP:52 素早さ:69(Switch版調べ)
自動割り振りを利用したステータス一括上げ
自動割り振りシステムを使用した際に扉に全部入ったことになる仕様を利用して、ステータスを一括で上げる抜け道が存在する。やり方は、上げたいステータスを選んでからカラスに話しかけて自動割り振り機能を使うだけ。これにより、先述した扉に入る動作を実質1回で済ませることが出来る。テンポ改善の役に立ってくれるだろう。
レベルアップシステムについて総括
本レベルアップ方式は、自分自身の心の奥に入っていく、自分自信のレベルアップをダンジョンに見立てているという演出でもあるため、雰囲気作りの一環にはなっている。裏技的だが時短の方法もあり、少なくともメニューで選ぶ事では味わえない没入感は味わえるだろう。
バグ、その他情報
バグについて
フリーズバグについて
再現性高(確定フリーズ)
ウインドタウンのバス停で「ウインドタウンにとどまる」を選択する
ローリーのスキル「話す」
隕石アレックス戦でスムースジャズを使う
再現性少(確定ではないが可能性あり)
PCログイン時
ONISMスレオープン時
その他バグやミス
はじめからのプレイでメニュー画面を最初に開くとフリーズ(選評1, 2)
PS4版のみで発生する
正確には、メニュー画面を開いてステータス、装備等を選択するとフリーズする
セーブ後に再起動するか、戦闘を一度でも行うと発生しなくなる
セーブ画面でのみ決定ボタンが×ボタン
PS4版のみで発生する
逃げる時のボタン表記
PS4版のみで発生する
詳しくは戦闘の項を参照
その他補足情報
BGM
良い。ゲストのBGMは勿論、オリジナルのBGMも良曲揃いである。この点は手放しで評価できる。
訳
良い。日本特有の表現等も挟まれており、ローカライズにも関わらず違和感なく楽しむことが出来た。
海の上の塔
メインストーリーには関わらず。
ネームエントリー時の"True"について(選評1)
英語版のプレイ時、プレイヤー名をYⅡK作中に登場するキャラにするとセーブ画面の名前でTrueが付く仕様がある。メタフィクション要素を活かした小ネタと言ったところだろう。
(例 プレイヤー名を"Alex" にするとセーブ画面に出る名前が"True Alex" になる)
選評1で触れられた「主人公の名前を一文字にしてキャンセル直後に決定を入力すると名前欄がTrueになるバグ」はこの仕様がバグで出てしまったものと考えられる。
アレックスの家族構成について
世界崩壊の伏線に使用されている。同じモブが章ごとに「お前、高台の家に住んでる、エグルストン(アレックスの苗字)さんちの息子だろ?…姉ちゃんに、よろしくな。(1章)」「アレックス、俺もお前みてえに一人っ子だったらなあ…(3章)」と台詞が変わっている。4章でもアレックスの姉が通っていた大学についての話がある。アレックスの母や父もメインストーリー内で世界崩壊の一要素として触れられる。
選評総括
どの要素をとってもクセの塊のような作品であり、万人に受けるゲームではない。しかし、ゲーム中ずっと付き合うことになる要素であるキャラ、世界観の出来は評価出来るため、ハマれば案外楽しんで進めることが出来る。また、それらが上手く活かされたメインストーリーやキャラとの愉快な会話も楽しめる余地は十分にある。戦闘はミニゲーム戦闘RPGとしては成立しており、ミニゲームが受け入れられるかそうでないかで評価が変わってくる点である。明確にクソと言える要素は、せいぜいバグくらい。
画一的な評価をするのが難しいゲームだが、あえて言うならプレイする人の意欲、興味、価値観、求めるもの等によって評価感想が変わるゲームと言えるだろう。一概にクソゲーとして評価するのは困難であり、7月時点でも今年一番のクソゲーという称号は不相応である事を主張し、反選評とする。
付録
ミニゲームについて
ミニゲームについて
ミニゲームについて(画像無し版)
ミニゲームについて(画像無し版)
各キャラの通常攻撃+高火力スキル威力まとめ
YIIK各キャラの通常攻撃+高火力スキル威力まとめ
おまけ: PS4版とSwitch版との違い
大きなものだけ紹介
敵HPの違い
ダンジョンの敵HPが2章だと+10~20程、3章も全体的に+20程になっており、中には+40されている敵も存在している。このことからSwitch版は事実上のハードモードとなっている。
なお、2章ボスの「黄金のアルパカ」はPS4版, Switch版共に同じHPであった。このことからボスのHPは変わっていない可能性がある。
一部バグ、ミス等
詳しくは「その他戦闘に関する情報等」、「バグ、その他情報」の項を参照。
ミニゲームについて(画像無し版)
ミニゲームの大体のタイプ
ミニゲームといっても本作には15種類程の戦闘ミニゲームがあり、それぞれコンボや成否判定の出し方も違うため大まかに3つに分けて説明する。
不定コンボタイプ(以下、不定)
コンボ数の上限がなく、制限時間または一定数ミスするまでコンボを稼げるタイプ。ミニゲームの難易度はやや高めだが、プレイヤースキル次第でダメージを大きく伸ばすことが出来る。また、一部コンボを除きスローと相性が良い。
一定コンボタイプ(以下、一定)
あらかじめ稼げるコンボ数の上限が決まっているタイプ。1回あたりの上がり幅は大きく難易度も安定しているが、コンボ数が決まっているため最大ダメージはステータス依存になりやすい。
成否判定タイプ(以下、成否)
コンボの概念はなく、純粋にミニゲームを成功させるタイプ。成功すればダメージ、失敗すればミス等。他の判定があるミニゲームも存在する。ダメージは基本ステータス依存、ミニゲームによっては大成功的なものもある。
キャラごとのミニゲーム解説
説明の見方
[攻撃方法] - [ミニゲームタイプ]
アレックス
通常攻撃 - 不定
モチーフはレコード盤とレコードプレイヤー。
レコードプレイヤーの上で、黄色、赤色の面があるレコードが回転する。レコード針を模したポインタと、色の面が重なった瞬間にボタンを押すと+1コンボ。赤い面でボタンを押すと+1回転、黒い面で押すとミス。シャドウハーツのジャッジメントリングといえば分かりやすいか。
1回転中に3回ミスするか、+1回転を失敗するか、最大回転数レコードが回ったらミニゲーム終了。最大回転数は、アレックス装備している武器によって変わる。
時間は5秒~(目安)。2周で8秒ほど。どれだけ回転させるかで時間が変わる。スローとも相性が良く、火力を伸ばしやすい。
スムースジャズ、EPストライク - 成否
通常攻撃の赤色の面のみ版。赤い面でボタンを押せれば成功。スムースジャズは相手に眠りを付与出来る。一部的(機械系?)には効かない。EPストライクはアレックスの高火力スキル。時間は5秒程度。
LPスロー - 不定(実質成否)
10秒間のシューティングゲーム。左右に移動する敵に向かって弾を投げつける。敵に弾が当たると+1コンボになる。
コンボ数よりもステータスとレベル依存のダメージ割合が大きいため、コンボを稼がなくてもダメージが伸びる。そのためスローとの相性は悪い。調整なのか、コンボに関わらずたまに外れる。
マイケル
通常攻撃 - 一定
モチーフはカメラのフィルム。
ゲーム開始時にフィルムが横に伸び、緑色の線が左から右に流れていく。フィルムの特定位置にボタンが表示されており、流れてくる緑色の線と重なった時にボタンを押せば+1コンボ。タイミングがずれるか、押すボタンを間違えると終了。
コンボ数は1~4コンボ。コンボ最大数は装備している武器で決まる。マイケルが仲間になってすぐ手に入る武器でも3コンボが可能。3章で手に入る武器から4コンボが可能になる。
時間は2~4秒。
フォトシュート - 不定
カメラのフラッシュを連続で敵に焚き付けてダメージを与える。全体攻撃で、連打でコンボが増える。
ダメージが控えめなため、Switch版で出番があるのは2章~3章序盤。PS4版では2~3章、5章一部と長く使える。
ヘイトショット - 成否
カメラで敵の顔を撮影する。撮った時の表情によって効果が変わる。Bボタン(×ボタン)で敵の表情を変えられる。
驚き顔: 毒付与
目閉じ、むくれ顔: ダメージ+毒付与
ウインク、口すぼめ: 攻撃Down,防御Up
ほほえみ、笑顔: 攻撃Up,防御Up
ヴェラ(一部サミー)
通常攻撃 - 一定
これだけモチーフは不明。ただヴェラはキーボードで殴る攻撃、サミーも引いて打ち出す系の攻撃なのでイメージには合っている。スティックを下方向に引き、3カウント後に離すと成功する。マリオストーリーのハンマーをイメージしていただけると分かりやすいか。
コンボ数は3~4コンボ。基本は3コンボで武器によっては3コンボ目成功後にボタンが表示され、それに成功すると4コンボになる。
時間は2~3秒。全キャラ中一番簡単。
癒しの歌 - 不定
鍵盤がモチーフ。
表示されているボタンを押すと回復量が増加する。ヴェラ用のスキルだが、サミーも覚えている。
フィードバック - 一定
PONG風ミニゲーム。跳ね返しに成功した分だけダメージが増える。
敵味方問わず全体にダメージを与えるスキル。ボールの跳ね返りが某覇王鬼帝並なので、まともに成功させるならスローほぼ必須。上記の通りデメリット付きで多用しないスキルなのが救いか。
ベースドロップ - 成否
マリオUSA風ミニゲーム。制限時間6秒以内にベースアンプを持ち上げて、ドクロに投げてぶつけられれば成功。消費PPは重いが、消費に見合う高火力スキルである。
バニッシュ - 成否
ゼルダの伝説風の俯瞰視点ミニゲーム。
ヴェラを操作し、敵を回転切りで攻撃する。お互いライフは4つあり、敵のライフを先に0に出来ればミニゲーム成功。
成功した場合、敵がエンティティの場合は戦闘から強制離脱させられる。4章のボスを除き、エンティティ以外には効果なし。アレックスがマインドダンジョンでエンティティを倒す場合もこのミニゲームが発生する。
エンティティ自体が限られた場所でしか出ない敵なので使用機会は少ない。
ショーンドラ
通常攻撃 - 一定
モチーフはフラフープ。
水平のフラフープの左、右にボタンが表示されれており、フラフープについたボタンを押すとコンボ+1になる。タイミングは、指矢印ポインタがボタンと重なった瞬間~次のボタンを指すまで。ボタンを押し間違えると0コンボに戻る。規定数ボタンを押さず通り過ぎるか、3つほどボタンを押さずスルーするとミニゲーム終了。
コンボ数上限は初期装備は9コンボ。装備によって変わるが、ここでは割愛する。
時間は初期装備のもので約8秒。スキルのポーズ変更を使うと、1ターンポーズ変更に消費する代わりにダメージが増えた通常攻撃が出来るようになる。
フラポーズ
初期状態。小ダメージ。
ワイルドポーズ
攻撃時にPPを消費し、中ダメージ。
ストロングポーズ
攻撃時にHPを消費し、中ダメージ。
表記では大ダメージとなっていたが、ワイルドポーズとダメージは殆ど変わらない。
デビルポーズ
攻撃時にHPとPPを消費し、大ダメージ。
威力は凄まじいが、ショーンドラ含む味方の誰か1人もダメージを受けてしまう。
クラウディオ
通常攻撃 - 成否
モチーフは刀。
ミニゲームを開始すると、横になった刀が表示される。ボタン押しっぱなしで赤い線を左から右に移動させ、離して赤い線を止める。赤い線が止まった場所に応じて攻撃方法が決まる。
成否判定については成功(青)、トリック(緑)、失敗(茶色)の3種類がある。失敗の場合はダメージなし。成功の場合は通常ダメージ、トリックの場合はダメージ増加+全体攻撃になる。
ミニゲーム時間は1~3秒。ヴェラに次いで低難易度である。
武士の心得 - 不定
17.25秒間(初期装備の場合)、4方向で指定された方向を押すミニゲーム。間違えた方向を押すか制限時間がなくなると終了する。
成功数に応じて威力が上がり、一定コンボごとに技名も変わる。指定される方向は毎回同じなため、プレイヤーの記憶力と手捌き次第でダメージを伸ばすことが出来る。また、32コンボ以上稼ぐと、相手にスタンを確定付与出来る。余談だが最初の8回はコナミコマンドになっている。
エッセンシア
通常攻撃 - 不定
モチーフは彼女の武器そのまま。剣の先がコンパス風になっており、その部分でミニゲームをする。
コンパスの針先にあるピンクの部分が、色のついた場所を指した時にボタンを押すと+1コンボ。剣先が光った時にボタンを押すと良い。
ミニゲーム時間は3秒~。普通にやると大体5秒ほど? アレックスとエッセンシアのみで探索するダンジョンがある影響か、1コンボあたりのダメージ伸びが大きい。その代わりか、コンボ数だけHPを消費する。
防御、逃走ミニゲーム
防御ミニゲーム1(※画像は防御ミニゲーム1のもの)
黄色、赤のゾーンがあるバーで、上から流れてくる白色のポインタをAボタンでタイミングよく止める。
黄色ゾーンで止められるとDefenseになり、通常の半分ほどのダメージになる。赤色ゾーンで止められるとDodgeになり、攻撃を回避できる。
防御ミニゲーム2
防御ミニゲーム1の変更版。ゾーンが3つに分かれている。ゾーン3つすべてで成功すれば回避、1度でも失敗すると通常ダメージとなる。
防御ミニゲーム3
上記2つのミニゲームとは違い、黄色のゾーンがある2つのバーで、それぞれ方向キーとボタンが表示されている。上から流れてくる白色ポインタと黄色ゾーンが重なったときに表示されているボタンを押すとDefenseになる。回避は不可能。
防御ミニゲーム1~3のミニゲーム時間は2~4秒程。
防御をしていた場合は、ポインタの速度が通常の約半分になり、タイミングを狙いやすくなる。
防御ミニゲーム4
4章のボスである柚子戦のみで登場する防御ミニゲーム。ドットのキャラをを操作し、上、左、右から飛んでくるナイフをジャンプや横移動を駆使して避ける。ナイフを避けきれば回避成功となり、1回でも当たるとダメージとなる。
逃走ミニゲーム
ランゲームのように、左から右にキャラがダッシュするので、右から来る敵や障害物をジャンプで避ける。左から追いかけてくる敵が見えなくなったら逃走成功、障害物にぶつかったら逃走失敗となる。
ミニゲーム時間は10秒ほど。逃走不可能の戦闘では障害物は出現せず、5秒ほど逃げた後に正面から敵がツッコんできて逃げられなかった事になる。
追いかけてくる敵は基本ドクロだが、ソウルサバイバー、アルパカ、隕石アレックスには専用グラがある。