改編用ページ?
・・・・四八ショック・・・・
10年に一度のクソゲー
四八(仮)がKOTYの概念を覆す
その時、全てのクソゲーの地位が失われる
アクションもRPGもADVも
テーブルゲームでさえも
その運命を逃れることは
出来ない
だが
一つのクソゲーが生き残った…
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クソゲーオブザイヤー【2008】
2007年の覇者『四八(仮)』がKOTYに与えたショックは大きかった。
物語、システム、バグ、メーカー対応、制作者の香ばしさなど全方位に渡ってクソ。
クソゲーが出にくいADVというジャンルの不利を物ともせぬ十年に一つの逸材の出現に人々は恐怖した。
「四八の前ではどんなクソゲーも霞んで見え、以前の様に楽しむ事は出来ないのでは」と。
そんな中、2008年の開幕投手を務めたのが『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』だ。
投げた瞬間に分かるストライク判定、1球1球の投球・打球に挿入されるデモ、ストーリーはおまけとでも言わんばかりの極限圧縮。
一試合に二時間以上かかるというリアリティは、ゲーム自体を「投げろ!」と言わんばかりの玄人志向を突きつけた。
続いて現れたのが、『奈落の城 一柳和、2度目の受難』。
本格推理ADVを謳うものの推理の余地がなく総当りしかない捜査、迷って酔うばかりの3D移動、解読不能な暗号、
死んだばかりの人間が平気で屋敷内を歩き回り、自身の死について尋ねると「テキストがまだ無い」と語る衝撃の展開は
どんな名探偵にも推理できなかっただろう。
だが、スレ住人の飢えは満たされなかった。
四八の存在が、未だ住人の心に影を落としていたのだ。
そんな長すぎる旱魃に耐える6月、旱天の慈雨がもたらされた。
二年の長きに渡り延期を重ねた超大作、ファミ通で13点を叩きだしたデスクリムゾンの再来『大奥記』の上洛である。
歩行はホバリングで襖は自動ドア、キャラは終始無表情と、二年も時間をかけたのは尻のポリゴンだけなのかと思える質素さ。
膨大な空き部屋とロードに耐えつつ聞き込みをする様は「延々サマルトリアの王子を探す」ゲームと人々に言わしめた。
今年はこれで決まりかと皆が思い始めていた。だが……
ADV以上にクソゲーが出にくいとされるテーブルゲームから、『ジャンライン』が不気味な牌音を響かせて、背後に忍びよっていた。
麻雀というありふれたゲームでありながら、フリーズ頻発、点数計算の表示異常、同プレイヤー同士での連戦不可、発売日に謝罪文を出し、
素人ボイスのダウンロード販売、あげくDLC販売ミスで返金対応という、想像以上の和了役に360の雀士達の多くが静かに牌を伏せた。
しかも「公式ブログは麻雀素人が書いてました」とカミングアウトしてしまう「裏ドラ」まで乗ってしまっては飛んでしまうのも仕方ないだろう。
そして、クソゲーの老舗・アイディアファクトリーも、満を持してKOTYに名乗りを上げた。
常に低水準ながら一線を越えず、ファン層すら存在した同社だが、『神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』は
そんな菩薩のようなファン達にすら「買って金をドブに捨てたいのなら、実際にドブに捨てる方が建設的」と発言させる程の瘴気を放っていた。
転生學園シリーズの絵師を起用しタイトルも類似しているが、転生學園と関係ないだけでなく、学園物ですらない。
出会った瞬間に恋人になるスピーディーな展開で、クリアまでたったの6時間。ラスボス戦でもマヒさえさせれば後はトイレに行ってても勝てる戦闘。
一枚絵の合体技での「友情パワー」「魅惑的殺人(チャーミングマーダー)」など、敵よりプレイヤーにダメージを与える痛いセリフ。
どこを切ってもクソ要素という隙のなさはさすが老舗、円熟の技と言えよう。
以降、「真の地獄(クル・ヌ・ギ・ア)はこれからだ」との言葉が囁かれるようになる。
だが、まさにその通りとなるとは誰もが知る由も無かった。
名作ゴルフ漫画が原作の『プロゴルファー猿』が、ファミ通レビュー史上初のオール3点の快挙を成し遂げたのだ。
原作物ながらストーリーモードなし。使用キャラがたった6人の上にしょっぱい顔ぶれ。
肝心のゴルフも打てるポイントが数ヶ所しかなく、
誰が打っても全く同じ場所に玉が落ちる事がしばしばの、双六のようなゲーム性。
その結果クル・ヌ・ギ・アを遥かに超越した、クリアまで10分という前代未聞の記録を打ち立てた。ジャンルが「ゴルフ」でなく「なりきりゲーム」というのも頷ける。
そんな内容を想像させないPVの素晴らしいクオリティーを讃え「ワイは詐欺や! プロモーション詐欺や!」の名言も生まれた。
しかし、……それすらまだ「真の地獄」には程遠かった。
「年末には魔物が潜む」、この言葉は今年も正しかったのだ。
魔物の一体は『ジャンライン』。あのジャンラインがパッチと言う新たな力を得て猛威を振るったのだ。
パッチはゲームを改善するための物で、その為、通常はノミネートから外れても可笑しくはない。
実際『ダービータイムオンライン』は出走していない馬が優勝する、0着が存在、レースで同じ馬だらけと、
どれ1つ取っても競馬の概念を覆すクソゲーでありながら、改善されたためにノミネートを逃している。
しかしジャンラインは違った。パッチを当てた結果、以前とベクトルの違うクソさを発揮するという信じられない変貌を遂げたのだ。
麻雀は牌を集めて役を作るゲームだが、同種の牌を集めようとしたら勝手に違う牌が混ざったり、他人の牌を奪ってしまい数がおかしくなり二人とも勝てなくなったり、
並んでる牌が1つおきにしか選べなくなったり、選択肢に「はい」だけが3つ並んでいたり……
それは「進化するクソゲー」という、新たなクソゲーの可能性であった。
もう一体の魔物は『メジャーWii パーフェクトクローザー』。
あの2008年クソゲーの開幕投手を務めたメジャーが、携帯ゲームで1作中継ぎを経て(これもクソゲーだった)、タイトル通りKOTYのクローザーとして降臨したのだ。
1作目から開発会社を変えるにあたり、わざわざクソゲーマイスターの「ドリームファクトリー」を採用するところにタカラトミーの本気さが伺える。
ドリフ側もプログラマーを3人しか投入しないという万全の体制でこれに応え「追求したのは本格野球ゲーム」と世に放ったが、そこには我々の知らない野球の姿があった。
バッターは後ろ向きに構え、ピッチャーは首が180度反転し、内外野手は回転しながらのジャイロキャッチで一度に2アウトを捕る。
微動だにしない他の野手を尻目にセンター前ゴロを取るキャッチャーの縦横無尽の活躍ぶり。
走守はオートにも関わらずランナーは勝手に走塁してはアウトになる等酷いAI仕様である。
大きく逸れた悪送球がいつの間にかナイスキャッチされてたり、大量リードしていたのに延長戦に突入するなど、因果律さえ通用しないのだ。
実力者揃いの2008年であったが、年末の魔物の前に一人また一人と力尽きていき、KOTYは2匹の一騎打ちとなった。
……しかしメジャーの、バッターや審判が揃って尻を向け、主人公吾郎の首が反転する、それらの画像のインパクトはあまりにも強力だった。
また映画とのタイアップで多くの子供のクリスマスを台無しにした事や、公式サイトがアクセス不能になり
大晦日にもバグが報告されるなどの不断の燃料投下が、人々の心に熱い物をたぎらせた。
そして――戦いは決した。この激しい鍔迫り合いを制して、晴れて2008年のKOTYに輝いたソフトは、『メジャーWii パーフェクトクローザー』。
関連作も含めれば、年に3度もファンに煮え湯を飲ませたその鬼畜っぷりは、85年阪神の3連続ホームランのように、長く人々の記憶に残ることだろう。
ジャンラインは実力で決して劣るものではなかったが、麻雀はルールを知らぬ者も多くクソさが伝わりにくい事があり、
また「これはアプリの不具合に近く、クソゲーとは違うんじゃないか?」という意見も出た。
それらはテーブルゲームというジャンルに根を張る問題であり、接戦のためジャンルの不利が勝負を決める結果となった。
だがメジャーがいなければジャンラインが栄冠を得たであろう事は間違いなくその異形、…いや偉業は忘れてはならない。
KOTY史に残る名勝負に、「神はなぜ同じ時代にこの2つのゲームを送り出したのか」と人々は(とりわけ購入者は)涙したという。
振り返れば2008年は年頭の不安とは裏腹に、クソゲー七英雄と呼ばれるほどの多くのクソゲーを輩出した実りの多い年となった。
最後に見事大賞に輝いたメジャー2に感謝し、最大限の賛辞を送ることで2008年KOTYを締めくくりたい。
「追 求 し た の は 、 本 格 ク ソ ゲ ー」