名称 | 時と永遠〜トキトワ〜 | |
ジャンル | アニメーションRPG | |
対応機種 | PlayStation3 | |
発売元 | バンダイナムコゲームス | |
開発元 | イメージエポック | |
発売日 | 2012年10月11日 | |
価格 | 通常版:7600円、限定版:9505円(税込) | |
対象年齢 | CERO:C(15歳以上対象) |
2012年10月11日、発売前から見えている地雷と評されていた「時と永遠〜トキトワ〜(以下トキトワ)」が発売された
まずは、何故見えている地雷と既に評されていたのかについて記したい
時は遡って2012年7月19日、販売販促のためのプロモーションビデオがyoutubeで満を持して公開された
トキトワはHDアニメーションのみによるRPGとして、発表があってから密かに注目されており
それに対して一定層の支持が付いていたことも事実である
しかし、それに反して公開されたPVは、移動シーンは不自然な歩幅で動き続け
RPGとして要である戦闘はとてもアニメーションとは思えない不自然なカクつき具合であり
伝説のクソアニメ「MUSASHI -GUN道-」の再来と呼ぶものまで現れ始めた
そのPVのあまりの酷さに2chのトキトワ本スレは大いに荒れ
次スレを立てただけでその者を社員の工作扱いするほどに荒んでいたことを述べておく
それでは実際のゲーム内容について語りたい
ゲームを開始して数分で分かることだが、致命的なまでに口パクと実際の声が合っていない
フルアニメーションを売りにしている作品としてはあまりにお粗末であり
そもそも口パクすらなく話している箇所すらあり
PC-FX時代のゲームをこの時代にして呼び起こさせるとんでもないシロモノである
マップの移動シーンでは、横に動くアニメーションを用意できなかったのか、前に進むことしかできない
上方向ボタンが前進、左右方向ボタンが視点移動、下ボタンが後ろに下がるという画期的な移動方法で
自由にアニメーションの中を縦横無尽に動き回れると思っていたプレーヤーはここで肩透かしをくらう
戦闘シーンもあまりにお粗末である
DQ1を彷彿とさせる1対1でしか戦えない戦闘から始まり
複数敵がいる場合でも1匹倒し終えたらまた敵が現れての1対1での戦闘が続くため、その場合非常に戦闘が長くなる
戦闘でのこちらの行動は前進と後退、攻撃か防御か回避、それとカウンター程度しか出来ないためやることが少なくすぐに飽きが来る
そもそもボスモンスターも含めて色違いを抜かせば敵の種類は十数体程度のバリエーションしかなく
敵の攻撃パターンも一部のボスモンスターを除いて一定の動きしかしてこないため
一度攻撃パターンを覚えてしまえば決まったタイミングで回避しつつ攻撃するだけの作業ゲーと化する
戦闘時の声のバリエーションも少なく「止まらないわよ!止まらないわよ!止まらないわよ!」
という同じボイスパターンを繰り返すだけの戦闘もここまで来るとご愛嬌である
戦闘バランスもめちゃくちゃである
そもそもステータスへ影響するものの装備の比重がものすごく高く、装備品を一つ上のものに上げるだけで
レベルを数レベル上げたのと同程度のステータス上昇を得ることが出来るため、レベルアップの効果が薄い
また、レベルアップに必要な経験値もめちゃくちゃで、序盤の雑魚敵と終盤の雑魚敵との経験値の差が僅かしかない
序盤では一匹70〜80程度もらえるが、終盤でもこれがようやく200程度になるだけである
序盤の雑魚敵戦闘は数十秒で終わるが、終盤だと数分かかってしまうため
最も効率のいいレベル上げの方法は、比較的序盤の敵を殴るだけの単調な作業となっている
また、敵に与えるデバフ効果(能力ダウン系状態変化)のバランスが狂っている
自分へのバフ効果(能力アップ系状態変化)と合わせて強化と弱化を一気にしてやれば
これまで一度に数百程度受けていた被ダメージが0へと変わってしまう
このバランスはラスボスまで続き、ラスボスですら攻撃ダウンと防御アップを重ねてやれば0ダメージである
推奨レベル50以上と示されているラスボスだが、レベル30程度で防具を整えたら通常攻撃は0ダメージだったことを付け加えておく
さらに、その戦闘でも攻撃魔法の威力が通常攻撃とは桁違いなまでに違う
一番最初に序盤で攻撃魔法を覚える頃は、通常攻撃では60、70程度のダメージしか与えられないのだが
攻撃魔法を使えばいきなり4000ダメージというすさまじいダメージ量を叩きだす
このインフレ具合は物語が進むにつれ加速し、中盤だと通常攻撃で300ダメージくらいのところであるが
序盤の頃に覚えた魔法をそのまま使うだけで30000ダメージと100倍程度のダメージ量となる
そのため、雑魚敵戦は適当なタイミングで避けつつ魔法を撃つだけの作業となるが
稀に魔法が効かない雑魚敵もおり、通常攻撃しか効かないため戦闘を長引かせるだけの要因となっている
トキトワのシステムの中に、デュアルソウルシステムというものがある
操作キャラであるトキの中にはもう一つの人格が眠っており、レベルアップでトワへと変化するというものであるが
このシステムが災いし、トキで新しいスキルを覚えた瞬間にトワへチェンジするためそのスキルが使えないといったことが起こる
そもそもトキとトワで使用出来るスキル等の成長システムが別々であるため、場合によってはレベルアップで弱体化する
そして戦闘時や移動時のモーションは髪の色等が違うだけで両者共に全く一緒であるため
覚えるスキル等やパラメータ等は両者で多少は違うのだが、大まかには同じであり
一体何のためにこんなシステムにしたんだろうとプレイヤーに疑問符を抱かせることに成功している
さて、トキトワはキャラクター部分を多く取り上げ、声優も豪華に使っているからそちら目当ての購買層に対してはどうだろうか
まずキャラクター部分だが、なんと本編でイベントCGが11枚しかないというびっくりな内容となっている
11枚以外にも求めるなら、肌色部分の多い海イベントや温泉イベントとなるが、これらは全てDLCで有料という潔さである
また、声優目当てで買った層にも残念な結果となっている
何とトキトワはサブシナリオでは一切声が出ないのである
サブシナリオ中はアニメーションの口パクだけが動き続ける奇妙な空間となっており
この時代にして据え置き機でまさかのノンフルボイスアニメーションRPGとなっている
必要HDD容量は4500MBなのであるが、一体何に容量を使っているのだろうか気になってしょうがない
ここまでつらつらと語ってきたが、このゲームで真に酷いところはシナリオである
結婚式を妨害されたのでトキの王家としての力を使って過去に戻ってその妨害の原因をなくし
最後にトキとトワのどちらか一人だけを選んで幸せな結婚式を開くというのがおおまかなストーリーだが
その原因を正して現代に戻って結婚式を開く場面は作中で5回あるが、これらはエンディングに至るまで全て使い回しである
そのため、デュアルソウルシステムでトワに戻っているはずの時でもひたすらトキの映像が流れ続け
最後にトワを選んだ場合などは「まるでトキみたいだ…」という有り得ないセリフ一言でその現象が説明される
エンディングのキスシーンでは、アニメーションを発注していたのかいきなりトワに変わるため、違和感バリバリである
肝心の本編部分も非常に冗長な作りとなっている
カクザ島やグラニュー島、オサ島に行こうといった絶望的なネーミングセンスの島へお使いに行かされるのはまだ許せる方で
ドラゴンと不当な契約を結ばされたから、消費者センターに訴えることでそれを無しにしようだとか
うちのテレビはアナログテレビだから、映るのは砂嵐だけどナイター中継を毎晩観たいからそのために戦うだとか
挙句の果てには、緊迫したシーンなのに関わらず、主人公とボスとの早口言葉言い合い合戦がスタートする
世界観を完全に無視しているセリフや、空気の読めないセリフで、プレイヤーを唖然とさせることに成功している
また、前述したデュアルソウルシステムの影響で、ボス戦闘後にレベルアップが生じた場合
今までトキと話していたはずなのにトワへ変わるといったことが起こり得るが、ボスはそれに対して何のリアクションもしない
急に戦っていた相手が別の人に変わるわけだから当然おかしいわけだが、何の説明も無しに淡々と進んでいく
発売前インタビューで、開発者自らとても笑えるシナリオに出来たと自画自賛していたが
ある意味その願いは失笑という形で叶ったのではなかろうか
ここまで長々と語ってきたが、最後にトキトワの良い部分を紹介しよう
まずは、動いてなければ非常に綺麗なアニメーションに見えるため、静止画だと面白そうに見えることである
このため、紙媒体でしか伝えられないファミ通では、発売直前には期待の新作第6位まで上り詰めた
また、広報戦略が非常に見事であった
体験版等を一切配信せず、発売直前にあったTGSでは試遊台を設けずトークショーのみで留めるなど
購入するまでプレイヤーにどんなゲームか出来るだけ知らせない広報展開に思わず息を呑んだ
その他にもゴールデンタイムにCMを流すなど売るための努力はしっかりしており
初週販売本数は32000ちょっととなかなかの売れ行きを見せた
販売元のバンダイナムコとしたらしてやったりなのではないだろうか
それでは、暴落するであろう中古相場を楽しみにしながら、トキトワ公式サイトのミニゲームのトキのセリフで締めさせてもらう
「ひ、ひどすぎるよー」
トキトワ本スレ等では「究極魔法だけ使ってればボスも瞬殺」等の書き込みが見受けられますが
筆者自身がその究極魔法を使えるところまでプレイせずにクリアすることが出来たので選評には入れていません
もしかすると雑魚敵戦と同じくボス等も魔法だけで倒せるクソバランスなのかも知れませんが
攻撃と魔力ダウンを当てて防御と魔法防御アップさえかければノーダメージですしちょっとやる気がないです
その他にもスリップダメージを当てるだけで全ボス勝てる等の報告はあるのですが
それを試すまでもなくしかもレベル上げもほとんどしていないのに簡単にクリアできてしまうところにクソ要素があると思います
一応そんなに簡単なのかと言われると、バフとデバフを使わなければ一度に数千ダメージを受けてしまう場面もありましたが
その数千ダメージすらバフとデバフを整えれば0ダメージになるクソバランスでした
もしかするとこれらを駆使しないのならば白熱したバトルになっていたかも知れません
2週目ではトキとトワを同時に選べるエンディングが存在するらしいですが
「このエンディングを見れたけど達成感があって良かったわー!」
等の好意的意見がネット上に一切見当たらないため、これは評価のプラス要素にはならないだろうとプレイしていません
筆者がプレイしたのは1週目だけです
発売前のバンナムTVによる配信で
「時と永久〜トキトワ〜」と誤字されていた件も含めようと思いましたが
バンナムの広報展開は非常に頑張っていたと思うので見送りました
トキトワは手抜きをしたからクソなゲームに仕上がったとかいうことではなく
真剣にスタッフが全力を出して作っていそうなのに関わらずクソなところが個人的にツボです
クソゲーマイスターの方々には是非プレイしていただきたい一品です