名称 | ウィザードリィ 囚われし亡霊の街 |
ジャンル | 3DダンジョンRPG |
対応機種 | PlayStation3 |
発売元 | アクワイア |
開発元 | アクワイア |
発売日 | 2011年1月27日 |
価格 | フルパック版:3,300円(税込) |
単体購入:計3,600円(税込) | |
対象年齢 | CERO:B(12歳以上対象) |
30年の歴史を持つダンジョンRPG『ウィザードリィ』、そのブランド復活を図る為に複数の会社が立ち上げた、「ルネサンス」プロジェクトの最新作。
本作のプログラムは「剣と魔法と冒険モノ(ととモノ。)」からの流用(さらに言うなら、ととモノ。は「ウィザードリィエクス2」のソースコードを流用している)が多く、スキルや魔法などかなりの部分で共通項が見られる。
そんな本作だが、セーブができなくなるバグ(後に修正された)などのバグはあったものの、シナリオ2までは高難易度ながらもなんとか遊べなくもない出来であった。しかし、レベルキャップが299まで解放されたシナリオ3の後半がほぼムリゲーとなってしまっている。
未だ昨年の興奮からさめやらぬ2011年1月27日、歴戦の猛者アクワイアよりディスクという実体を持たない亡霊のごとき刺客がひっそりと差し向けられていた。
その名は、Wizardry 囚われし亡霊の街。
PlayStation3オンライン配信専用3DダンジョンRPGである。
本作は1981年にその第一作が発売され、以降30年にわたり数々のメーカーやハードからシリーズが発売され続けているダンジョンRPGの老舗とも言えるタイトルであり残念な事に下火になりつつある同シリーズの人気を再燃させるべく複数の企業によって立ち上げられた「WizardryRenaissance」というプロジェクトの最新作である。
元来Wizardryシリーズとは重厚なストーリーや美しいCGムービーといった一般的な国内産RPGにおいて重視されがちな要素をほとんど無視(作品ごとに多少の差異はあるものの)し、
ほぼ舞台設定のみのストーリーと最初から口を開けているダンジョン内の探索だけを楽しむというある種骨太とも表現できる物である。
これだけ聞くと、なんだか無味乾燥で面白味の無い物のように思えるかもしれないがそれは違う。
サクサクと成長するもののちょっとした油断からあっさりと死に至る絶妙なスリルとゲームバランス、全滅の危険を背中で感じながら
「もう少し粘れるか?」「あと1戦すれば・・・」という心理学で言う所の行動形成と強化スケジュールを見事に体現した引き際を探りながらのレアアイテムの蒐集は非常に高い中毒性を持ち、多くのコアなファンを生み出してシリーズの存続に貢献し続けてきた。
では、以下に公式HPにおいて「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたいというのがWizardryRenaissanceのコンセプトでありWizardryの本質だと考えています」と謳った作品の出来栄えを解説しよう。
まず異変が起こったのは本作の発売日その当日。
「急にセーブができなくなった」という報告が本スレに多数書きこまれた。
セーブバグの発覚である。
本作では前述した油断からのあっさり死に馴染みの無い新規のユーザーへの配慮からか、ダンジョン内であっても任意のタイミングで自由にセーブができ、こまめなセーブさえしておけばいきなり全滅の憂き目に遭ってもやり直しが利く仕様となっている。
が、このセーブしようとしても画面が一瞬切り替わるだけで再びメニューに戻されるバグの発現により、新規どころか歴代のユーザーすら
「よし、キリの良い所でセーブを・・・あれ?できねぇ!?→最後にセーブしたのどこだっけ?」というゲームの内容とは無関係な事故によって思わぬ痛打を浴びる者が続出した。
ちなみにこのバグは不定期に発生し、発症すると戦闘や街に戻っても直らずそのプレイ中には二度とセーブできない。
ソフトリセットしてタイトルに戻っても「つづきから」が選択不能になっておりロード不能。
一度PSボタンを押してゲーム自体を終了し、再起動するより他に手が無い。
また不定期発生つながりと言えば、詳しい条件は不明だがゲーム内でワープの魔法を使った場合ワープ後に画面が真っ暗になりPS3がフリーズするという報告も出ており前述のセーブバグと合わせてプレイヤーに悪い緊張感を与える事に成功している。
さらに致命的とまではいかないものの気になる所を挙げていけば、
キャラクターグラフィックと異なる音声が再生される
ダンジョン内のイベントマスに進んでも何も起こらない場合がある
プレイヤーキャラのLvが一定以上になるとトレード(アイテム交換ミニイベント)のリストが更新されなくなり常に空になる
シナリオ2をクリアしているのにシナリオ3のクエストが始まらない
静止画のはずの一部のダンジョンで処理落ちする(戦闘中ももちろん処理落ち)
ダンジョンに入っても内部が描画されずダークゾーンのように表示されてしまう事がある等、枚挙に暇がない。
ダークゾーンバグに関しては発症した場合再起動或いはソフトリセットしてロードし直せば直る分いくらかマシとも言えるが上記の分も含め「チッまたか」という思いと共に怒りを高揚させる一助となっている事は確かである。
さて、既に十分酷いという感想をお持ちかもしれないが少し待っていただきたい。
ここまでの部分はあくまでゲームの不具合を紹介したものであり、本作の本質に触れたものとは言いにくい。
そう、問題はここからなのだ。
上記の多重トラップのごときバグを意に介さず本作のクライマックスとも言えるシナリオ3までゲームを進めたとしても、
そこには仕様という名の最強の敵が立ちはだかるのである。
では具体的に何が起こるのかと言うと・・・戦闘バランスの完全崩壊である。
シナリオ3に入る事により敵味方共にLvキャップが解放され、Lvを100以上に上げる事ができるようになる。
しかしまずい事にどうやら本作のプログラムはLv2桁までを想定して作られた「剣と魔法と冒険モノ」(以下ととモノ)という作品からの流用であるらしく単純に敵味方双方のLvを上げた結果信じがたい差が生まれる事になってしまった。
曰く、エンカウントしたら即死(あるいはステータス異常)魔法で即全滅した
曰く、エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅
(盾役が味方をかばう技能を使うも盾役ごと全員殺されるので死ぬ順番が変わるだけ)
等、圧倒的な戦力差にため息も出なくなる状態が漏れなく全員に襲い掛かる。
考えられる原因としては
ゲームの仕様上の問題でプレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで他の能力は概ねシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対しモンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していく事。
またどうやらモンスター側には通常のステータスとは別に「行動順の素早さ」のようなものが設定されているらしく
プレイヤー側が用意できる最速のキャラクターをパーティーに加えていようと悠々と先制、先殴りの連続でこちらが行動を起こす前に全滅という流れが鉄板になってしまうのだ。
ちなみにこの先制全滅の流れを何とかしようと特定のイベントを利用してHPの水増しを図る事もできるのだがどんなに頑張っても6人死亡全滅が4人死亡半壊になる程度で焼け石に水である。
こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら
特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するかまたは数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い)
この状況にはさすがに歴戦のシリーズユーザー達も閉口してしまい
この状況の周知が徹底されてしまって以後本スレは文句を言う者すら思いだしたようにしか現れない乾いた笑いの響くだけの悲壮感漂う荒野と化してしまった。
状況が出揃った後の総括としては問題の本質はチェック不足故のバグなどではなくそもそもテストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さであるといった所である。
(後日修正されたため書かなかったが、Lvが一定以上になると命中が0になる命中バグや
装備品の設定においても武者の兜、小手、鎧といった明らかに頭から脚まで一揃えのはずの防具がそれぞれ装備できる職業が違うなどやっつけ仕事にしても酷すぎるやっつけぶりがそこかしこに露見していた)
そして、おそらく当初望んだ形とは違うものではあるだろうが
公式HPで喧伝した通り「緊張感」「高揚」「悲壮感」をユーザーに叩きつける事に成功したアクワイアに一応の拍手を送る事で結びと変えさせていただきたい。
未だ昨年の興奮からさめやらぬ2011年1月27日、歴戦の猛者アクワイアよりディスクという実体を持たない亡霊のごとき刺客がひっそりと差し向けられていた。
その名は、Wizardry 囚われし亡霊の街。
PlayStation3オンライン配信専用3DダンジョンRPGである。
本作は1981年にその第一作が発売され、以降30年にわたり数々のメーカーやハードからシリーズが発売され続けているダンジョンRPGの老舗とも言えるタイトルであり
残念な事に下火になりつつある同シリーズの人気を再燃させるべく複数の企業によって立ち上げられた「WizardryRenaissance」というプロジェクトの最新作である。
元来Wizardryシリーズとは重厚なストーリーや美しいCGムービーといった一般的な国内産RPGにおいて重視されがちな要素をほとんど無視(作品ごとに多少の差異はあるものの)し、
ほぼ舞台設定のみのストーリーと最初から口を開けているダンジョン内の探索だけを楽しむというある種骨太とも表現できる物である。
これだけ聞くと、なんだか無味乾燥で面白味の無い物のように思えるかもしれないがそれは違う。
サクサクと成長するもののちょっとした油断からあっさりと死に至る絶妙なスリルとゲームバランス、全滅の危険を背中で感じながら「もう少し粘れるか?」「あと1戦すれば・・・」
という心理学で言う所の行動形成と強化スケジュールを見事に体現した引き際を探りながらのレアアイテムの蒐集は非常に高い中毒性を持ち、多くのコアなファンを生み出してシリーズの存続に貢献し続けてきた。
では、以下に公式HPにおいて「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたいというのがWizardryRenaissanceのコンセプトでありWizardryの本質だと考えています」と謳った作品の出来栄えを解説しよう。
まず異変が起こったのは本作の発売日その当日。
「急にセーブができなくなった」という報告が本スレに多数書きこまれた。
セーブバグの発覚である。
本作では前述した油断からのあっさり死に馴染みの無い新規のユーザーへの配慮からか、ダンジョン内であっても任意のタイミングで自由にセーブができ、こまめなセーブさえしておけばいきなり全滅の憂き目に遭ってもやり直しが利く仕様となっている。
が、この不定期に発生しセーブしようとしても画面が一瞬切り替わるだけで再びメニューに戻されるというバグによりゲームの内容とは無関係な事故によって思わぬ痛打を浴びる者が続出した。
だがさすがにのっけからこれはマズイと思ったのか、公式にバグを認める記述こそ無かったものの(これも本来企業の姿勢として問題だが)アクワイア側も幾度かのアップデートをリリース。
完治とまではいかないもののかなり発生頻度が低くなるまでに修正され、プレイヤー達は「これで安心してダンジョン探索に繰り出せる!」と一様に胸をなでおろしていた。
・・・そのダンジョンの深奥に本当の地獄が口を開けている事も知らずに。
セーブバグの収束以後攻略情報の応酬やwikiの編集に健全な活気を見せていた本スレに再び不穏な影が広がりだしたのは、
シナリオ3発売からしばらくの事だった。
表現こそ話し手によって様々ではあったが、口々に伝える内容は概ね一つ。
「どうも敵が強すぎる気がする・・・」
シリーズユーザーにはある程度折りこみ済のWizardryであるが故の終盤の敵の強固さ。
上記の発言が出始めた当初未だキャラクターの成長も含めたシナリオ終盤へと到達しきっているプレイヤーは少なく、
ぽつぽつと語られる理不尽な死に様の原因が新規プレイヤーであるが故のカルチャーショックによるものなのか、あるいは古参プレイヤーを含め攻略法が見つけられないが故の苦悩の現れなのか判断できる者は居なかった。
・・・そして、しばしの時が流れ多くのプレイヤーが最終局面に進むに至って事態の全貌が明らかになった。
曰く、エンカウントしたら即死(あるいはステータス異常)魔法で即全滅した
曰く、エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅
(盾役が味方をかばう技能を使うも盾役ごと全員殺されるので死ぬ順番が変わるだけ)
等、圧倒的な戦力差にため息も出なくなる状態が漏れなく全員に襲い掛かかっていたのだ。
何故このような事態を迎えてしまったのか、事態の引き金となったのはLvキャップの解放である。
シナリオ3に入る事により敵味方共にLvキャップが解放され、Lvを100以上に上げる事ができるようになる。
しかしまずい事にどうやら本作のプログラムはLv2桁までを想定して作られた「剣と魔法と冒険モノ」(以下ととモノ)という作品からの流用であるらしく
単純に敵味方双方のLvを上げた結果信じがたい差が生まれる事になってしまった。
ゲームの仕様上の問題でプレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで他の能力は概ねシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対し、
モンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していく。
またどうやらモンスター側には通常のステータスとは別に「行動順の素早さ」のようなものが設定されているらしく、
プレイヤー側が用意できる最速のキャラクターをパーティーに加えていようと悠々と先制、先殴りの連続でこちらが行動を起こす前に全滅という流れが鉄板になってしまうのだ。
ちなみにこの先制全滅の流れを何とかしようと特定のイベントを利用してHPの水増しを図る事もできるのだが、どんなに頑張っても6人死亡全滅が4人死亡半壊になる程度で焼け石に水である。
こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら、特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するか、または数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い)
それでもクリアできるのなら良いじゃないか。
という理屈はWizardryにおいては適当ではない。
冒頭部分でも書いたようにWizardryというゲームはストーリーを追ってその収束を見る事を楽しむという国内産RPGによく見られるタイプのゲームではなく
むしろエンディングは一つの通過点として、それ以後も自身の気が済むまでキャラクターを育ててはダンジョンに潜って妄想を膨らませ、レアアイテムを蒐集し、妙な縛りを加え、ひたすらニヤニヤと楽しむというタイプのゲームである。
しかるに、かくのごときゲームにあってアイテム蒐集や育てたキャラクターの活躍に直結する戦闘パートのバランスが完全崩壊しているという事は、楽しみの8割を奪われた状態と言っても過言ではないのだ。
この状況にはさすがに歴戦のシリーズユーザー達も閉口してしまい、この状況の周知が徹底されてしまって以後本スレは文句を言う者すら思いだしたようにしか現れない荒野と化してしまった。
状況が出揃った後の総括としては問題の本質はバグなどではなく、そもそもテストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さであるといった所である。
命中0の状態でありながら後日ダメージ量を増加させる修正を加え、特定職種の攻撃スキルを仕様と押し切る。。
特定条件下でキャラクターグラフィックと異なる音声が再生されるが、放置。
ダンジョン進入時にダンジョン内部が描画されずダークゾーンのように表示される場合がある、が放置。
プレイヤーキャラのLvが一定以上になるとトレード(アイテム交換のサブイベント)のリストが更新されなくなり常に空欄になるが、これも放置。
アイテムリストの不備から絶対に入手できないアイテムがありアイテムコンプ不可能となっている、がやっぱり放置。
また不具合ではないものの装備品の設定においても、武者の兜、小手、鎧といった明らかに頭から脚まで一揃えのはずの防具がそれぞれ装備できる職業がバラバラ。
などやっつけ仕事にしても酷すぎるやっつけぶりがそこかしこに露見していた。
極め付きとして全6回随時追加されたDLCがあるが、これの内容が装備品を含むゲーム内で得られるアイテムである。
前述した通りWizardryの大きな楽しみの一つはアイテム蒐集であり、それらはダンジョン内で危険をくぐり抜けた後の戦利品であるからこそ大きな価値を持つのである。
それを現実のお金を払う事でポンと入手してしまうのは自分の手で楽しみを潰す行為であり、こんなどこに需要が有るのか首を傾げるDLCを配信する事自体、Wizardryというゲームを愛してもいなければ理解もしていないという事の現れとも言えるだろう。
最後に、おそらく当初望んだ形とは違うものではあるだろうが公式HPで喧伝した通り
バグに始まり終盤にあっては常に全滅の危機に晒され続ける「緊張感」
あからさまなやっつけ仕事に加えて作品の醍醐味が何なのかすら理解していない事への怒りの「高揚」
そして、それらのほぼ全てにまともに応える姿勢を一切見せない事でユーザーの間に生まれる「悲壮感」
を見事に叩きつける事に成功したアクワイアに一応の拍手を送る事で結びと変えさせていただきたい。
おわり