2012年 総評
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このページは、2012年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。

総評案1(ヘビーファイアアフガニスタン)

大飢饉時代。
昨年の「七つの大罪」がもたらした選評ラッシュの勢いはどこへやら、2011年度同様にスレ住人は飢えに飢えていた。
もはや恒例と言わんばかりに、話題になりえる選評が届かないまま半年以上が過ぎようとしていた。
「我に七難八苦を与えたまえ」と大小問わずあらゆる作品の検証が進むも、いっこうに住人達の満足いくクソゲーは現れず。
延々と戦略的撤退を続ける期待の星の発売延期が伝えられる度に、漏れだす溜息。
もはやクソゲーは出ないのではないだろうか・・・・
そんな重々しい空気がスレ内に充満し、住人の不安はますます募るばかりだった。
その時が来るまでは・・・ よもや最初の刺客が思いもせぬ方向から襲来しようとはまだ誰も知る由もなかった2012年の後半、奴らはやってきた。
はるばる海の向こうから。

かつて修羅の国から一隻の黒船が到来したのは記憶に新しい。
しかし今回は、まさかの北米市場からのリアル黒船が来てしまったのである。
しかも二隻も。そのうちの一つが『ヘビーファイア アフガニスタン』(通称:アフガン)。

北米WiiwareDLランキング1位というスレ住人にとってはもはやフラグでしかない実績を引っさげ、日本市場に上陸を果たした『HEAVY FIRE』シリーズ最新作。
伏兵として3DSに姉妹作『ザ・チョーズン・フュー』も先に潜伏していたが、両作品が双方のフィールドで派手に戦火を広めるとは誰が想像しただろうか。
当作品は北米市場でWii、PS3、PCとマルチで展開され、PS3版のみが日本語でローカライズされる。
一見するとFPSに思われがちだが、タイムクライシス系統の「隠れるレールシューティング」に該当する。
アーケードゲームではおなじみのジャンルであり、そこそこ安定したゲームデザインも確立されているためクソ化するはずはないのだが、
同ジャンルでかの征夷大将軍『デスクリムゾン』が盛大にやらかした実績もあるため全くの安パイとは言えず、その教訓が海外にまで波及していなかったことが判明する。

まず大まかなゲーム内容を見てみよう。
プレイヤーは新米の海兵隊となり、アフガニスタンのゲリラを掃討していく・・・ただそれだけである。
特定のリーダーが登場したり巨大な陰謀に立ち向かうといったバックストーリーはなく、最後はヘリを一機撃墜して仲間と喜んで終わる。
ただそれだけである。
全くもって地味すぎる設定ではゲームを盛り上げる事は出来ず、一部を除けば各ミッション間の繋がりもなく、
毎度ぶつ切りのストーリーにプレイヤーが没入できる隙は微塵もない。
ミッション間でなぜか挿入されるチュートリアル用の射的ゲームにも何の説明もなく、ただプレイヤーを冷めさせるだけ。

演出面にも問題は多々ある。
次世代機としては申し分のないグラフィックでありながら、敵は初代プレステ並みのもっさりした動きで迫ってくる。
無駄にローリングしたり明後日の方向に撃ちまくったりと、まるで何世代か前のゲームをプレイしているのような錯覚に陥る。
銃声はサイレンサーでも付けたのかと思うくらいに小さく、終盤で入手するロケットランチャーはポップコーンの仕上がりのような音を出す始末。
なかば棒読みの無線はゲーム内容と一致せず、人質を全員殺害しても全員の安全を確保したと嘘の報告をしだす。
ルート分岐も一切なく、時折挟まれるQTEを失敗しても、ダメージも演出の変化もなくボーナスポイントが加算されないだけ 。

これだけを見てもゲームとして十分に酷い出来だが、これはほんのウォーミングアップにすぎない。
このゲームの真価はそのレールシューティングとしてのありえない仕様にある。
その最たる事例が、ダメージ後の無敵時間が全く無い点である。
FPSならば敵の集中砲火にあえばそのまま絶命という流れも珍しくもないが、
移動が全てオートで行われるレールシューティングにおいては安全地帯の確保は敵を順序よく倒すこと、そして身をタイミングよく隠す事になる。
しかしどういうわけか、画面の両端から複数の敵が致命傷となる弾丸を撃ち込んできたり、隠れることの出来ないシーンも出てくる。
さらには隠れている最中にも敵に捕捉され、文字通り頭を隠して尻隠さずな状態にもなる。
逆に言えば隠れながら敵を撃てるが、画面に敵がいないにもかかわらずガンガン撃たれるシーンが最終ステージでも発生しうる。

ダメージマークもただ穴がぽつんと画面に表示されるだけなので非常にわかりにくく、気付いた頃には連続でダメージが入っていることもよくある。
これらの合わせ技によりダメージがほぼ不可避な場面にプレイヤーは遭遇することになるが、チェックポイントからリスタートしてもダメージは残ったままという心折設定。
多くの敵を同時に攻撃できるグレネードもモーションが非常に遅いため、使い勝手が悪い。
ある程度慣れれば立ち上がりながら投げられるようにもなるが、どのみち画面上の敵を一掃できるわけでもない。
加えて改造していない状態ではメイン武器はあっさり弾切れを起こし、ハンドガンで大勢の敵を一度に相手にしなくてはいけないためテンポも非常に悪い。
多くの購入者がFPSと勘違いして買ってしまったという報告が上がっているが、開発側がFPSと間違えて作ったのではないかと疑いたくもなる。

この他にもゲームの煩雑さを物語る仕様はいくつもある。
まずゲーム難易度はノーマルとハードの二つが用意されているが、
車両以外はどの敵もどこを撃っても1撃で倒れる上に配置に差がないため、最大の違いが実質、画面の明るさだけとなっている。
逆光や影の強度が増し、元々かなり見えづらい敵をさらに見えなくしている。
オプション画面の輝度で調整すれば多少は改善されるものの、なぜかゲーム内ではなくテレビ本体で調整する必要がある
しかし、問題はそもそも敵が見えづらい点にあり、遮蔽物から完全に身を乗り出しているのに発見できない事が多い。
ノーマルでも煙や炎の後ろにいたり逆光や影に完全にとけ込んでいるなど当たり前で、ようやく見つけて倒したらと思ったらまだ残っている事がよくある。

配置されている距離が異様に遠い者もおり、スナイパーゲームではないかと疑うレベル。
しかし取り付けられた照準器を覗くことは決してしない。
シューティングであるにもかかわらず選べる武器は連射系4つだけで、
しかも持ち運べるのはメイン1丁と弾切れを起こした時にしか使えないハンドガンのみ。
武器の交換もカスタマイズ画面でしか行えず、変える度に改造や全ステータスを毎回リセットしなければならない。

またMove対応ソフトでありながらキャリブレーション等のセッティングにも難があり、
オンラインが対応しているのがランキングの反映のみ、説明書もモノクロ5Pと極薄で説明不足、
AVアンプを使うと画面が真っ黒になる、ゲーム中に存在しないアングルを多用するPV詐欺など、つつけばつつくほどにボロが出てくる。

あげくにローカライズ作品としての信じられない有り様も次々と露呈する。
音声は英語のみであり、追加された読みにくい日本語字幕はあろうことか何行も画面中央に表示されプレイを妨害してくる。
さらには極薄の説明書も北米版では英仏両言語合わせて20Pものボリュームもあり、
日本版には記載されていないボーナスポイント全般についてもしっかり明記されている。
そして元々19.90ドル(約2000円)のゲームを5980円で売るという暴挙にまで出ている。
余談ではあるが、3DSの姉妹作が5ドルから5000円と10倍の値をつけてるあたり、販売元のハムスターがいかに本気なのかが伺える。

ゲームそのものの異臭もさることながらそれにさらなる拍車をかけてくるローカライズの在り方は、まさに衝撃そのものであった。
長い飢饉にピリオッドを打った初の洋ゲーの上陸をスレ住民は歓迎し、新たなフィールドへの道が開拓されることとなった。


その後を追うように、早くもスレに到来したもう一隻の黒船、それが「デュークニューケム フォーエーバー」(通称:DNF)

前作の発売から開発に14年もの歳月をかけた事ですでに壮大なフラグを立てて登場した本作。
海外では『DOOM』や『QUAKE』シリーズと並ぶ絶大な人気を誇る古参FPSとしてシリーズファンからは大きな期待を寄せられ、
それを見事なまでに裏切られた悲痛な叫び声も幾ばくかはスレに届いていたが、
海外ゲームという性質上なのかローカライズ版のプレイ報告がなかなか来なかった。
しかし、アフガンが道を切り開いてくれたためかようやくその選評が届くと、事態は一変する。
元々のゲームのクソっぷりに加え、なんと日本版限定の酷い扱いまでが露呈しスレ住民は多いに沸き上がった。

本作は『Duke Nukem』シリーズ四作目として1998年に発売を予定されていたが、実際に北米本国で発売されたのが2011年と、
当初の予定から13年もかかるという前代未聞の大延期を繰り返していた。
ゲームエンジンと開発チームの相次ぐ変更による開発リセット、あげくに開発会社自体が閉鎖される等様々なトラブルに見舞われただが、
2010年の突然のプロジェクト再開発表から1年後にようやく販売される事に。
途方もない難産であったためか訓練され続けたファンには発売直前の1か月延期などもはや何の意味もなさず、
それに呼応するかのように公式サイトの「延期へのお詫び」をクリックすると「NOT FOUND」になる毅然とした態度を見せている。
大手レビューサイト「Game Trailers」は「恥知らずの忌々しき後継者」と酷評、「1UP」では初の0点をつけられ、
日本版が延期の末ようやく2012年に発売日を迎える頃には、Steamでのオリジナル版の価格が300円まで暴落していた。

それでは「14年も掛けたんだから面白くて当然だ」と意気込む主人公の台詞で始まる本作の全容を見ていこう

「デューク・ニューケム」といえば、筋肉モリモリのマッチョマン「デューク様」が銃器片手にお下品なジョークを飛ばしながら
宇宙人を次々と薙ぎ払い地球を救う、痛快FPS。
幾度の侵略から地球を守ったデューク様がスターダムを駆け上がり、立ちションをしている場面からゲームがスタートする。
だがそんな豪快なキャラ設定とは裏腹にゲーム中では体力設定がとてつもなく低く、
ちょっとでもダメージを受ければこそこそと敵から隠れ自動回復を待ち、ちょこちょこと顔を出して敵を一体一体倒していくという小物ぶりを発揮する。
弾数も少なく持てる武器が最大で2つなため、徹底的に節約にいそしむ姿からもキャラとのギャップをバリバリ感じることができる。
「クソを手にして投げつける」などデューク様お得意の下品なジョークも序盤こそ健在なものの、
ゲーム開始30分後からは息切れでもしたかのようにほとんど無くなり、次第に「クソを投げつけられたのは俺達」とプレイヤーに気付かせる。

ゲーム中の謎解きは完全にノーヒントで次の目的地や具体的な指示もなく、あげくにマップすら存在していない。
無駄に広大なフィールドで迷子になっているデューク様に突きつけられるのは、
毎回30秒はかかるロード中の「困ったらWEBのQ&Aを見ろ」の文字、つまりは「ググれカス」である。
なお、公式にQ&Aが存在しているわけでもないことも言及しておこう。
肝心の謎解きも「重しを乗せるだけ」といったとてつもなく地味な作業が延々と続く。

こうした謎解きの合間に派手な戦闘が行われればよいのだが、
そもそも戦闘自体があまりなく、敵の種類の少なさと相まって余計に地味さが増す。
さらには敵のAI調整も雑なため、銃を持っていようともこちらに突撃しゼロ距離発射をしかけてくる。
かと思えば、命中率も異常としか言えず、どれだけ離れていようともゴルゴもビックリなくらいに正確に弾を当ててくる。
一体どちらがデュークなのかと問いたくもなる。
加えてどこに隠れていようとも、透視能力でもあるのかと疑うぐらい正確にグレネードを投げ込んでくる。
中にはダメージを負う度にワープする雑魚敵がおり、現れた瞬時に正確無比な弾丸を浴びせてくる。
背後にまで現れることもあり、囲まれてしまえばそのままゲームオーバーといったバランス崩壊もまざまざと見せつけてくる。
一方でラスボスは容姿から攻撃方法、止めの演出にいたるまで最初のボスの使い回しであり、異様なほど弱い。
最後の最後で真逆のバランス崩壊をみせ、がんばってクリアしたプレイヤーの失笑を買うことには成功している。

このようにFPSとしても問題だらけのDNFだが、これらをさらにヒートアップさせるのがシステム面での問題だ。
先にも述べた通り、ローディングには30秒もかかるわけだが、どういうことかインストールにはHDDの容量が4.6G以上も必要である。
超高画質のムービーシーンが満載というわけでもない上に、敵などの物体が動くだけで頻繁に処理落ちまで起きる。
エリア移動、リトライとあらゆる場面でローディング発生するため、そのたびに長い待ち時間によるストレスが加算されていく。
加えてオートセーブのタイミングもめちゃくちゃで、一例を挙げれば、戦闘で死亡するとその直前の謎解きまで逆戻りする。
戦闘終了後にトラップで死亡した場合でも戦闘前に引き戻される等、心折設計にもきちんと配慮がなされている。

こうしたゲームそのもののクソ要素だけでも十二分に酷い惨状なのだが、そこにさらに汚物を投下したのが本作のローカライズ版である。

まず日本語音声と英語字幕、または英語音声と日本語字幕という組み合わせが出来ない。
収録された言語はゲーム機本体の言語設定に依存しており、設定が日本語のままでは英語音声も英語字幕も一切選択できない。
また日本語キャストには立木文彦、喜多村英梨、後藤邑子と豪華な声優陣が参加しているが、
その名前はスタッフロールはおろか説明書にすら記載されていない。
加えて日本では海外で配信済みのDLCが一切配信されず、システムの不具合を直すパッチも同様の扱いである。
例えば、不評だった武器枠を2つから4つへと拡張するパッチは日本版では未実装かつ解禁予定一切なし。

18禁指定がされているにもかかわらず大量のエログロ表現が規制され、上記パッチ未配布と合わせて完全なダウングレード版となってしまっている。
しかし最大の問題点は日本限定のオンラインサーバーの隔離であり、その事実が公式に発表されたのがまさかの発売当日だった。
そのため、ただでさえ購入者が少ない本作のユーザー同士の対戦が国内では一か月ほどでほぼ不可能となった。
オンラインプレイでの過疎ぶりは凄まじく、5月7日時点での1時間以上の対戦プレイをした人数は20人にも満たない状態に(30分でも40人程度)。
発売半年後にはランキング下位に「プレイ時間 00:00:00」の表示が並ぶ異様な光景が広がっていた。
なお、当ゲームの検証を行ったスレ住人同士が協力し合い、ようやく対戦が実現できた事も付随しておきたい。

かつては下ネタを武器に一世を風靡したはずの人気の洋ゲーも、ローカライズで全く別の方向で笑いを取りにくることになってしまった。
シューティングという安定した人気ジャンル、そして洋ゲーという未知の分野から連続して2作品も輩出された事にスレ住人のテンションは最高にハイとなった。

一方、海外からの思わぬ攻撃に国内のゲームが黙っているはずもなく、一体の魔物が蠢き出すのであった。
満を持して登板したイメージエポック、そしてその背後に威風堂々と立つ大御所バンダイナムコゲームズが放った刺客の名は「時と永遠~トキトワ~」(通称:トキトワ)

ゲーム史上「初のHDアニメーションJRPG」を謳い文句に、モーションが全て手描きのキャラクターを3Dの空間で動かすという画期的な試みがされている本作。
新規タイトル、和製RPG、ヒロインの人格を入れ替えながら物語を進めていく様は、どことなく前々年度の覇者の姿を彷彿させるが、
その大先輩に恥じない盛大な滑りっぷりを見せてくれるのであった。

まずは目玉のアニメーションについてみていこう。
発売前に公開されたPVでは、移動も戦闘もどちらも不自然なカクつきが目立ち、とても良質なアニメーションとは言いづらい出来映えであった。
原因はその圧倒的に少なすぎる作画枚数である事が容易に伺え、特に戦闘ではかの伝説のアニメ『MUSASHI -GUN道-』並とも一部では囁かれた。
そしてそのままのクォリティで発売を迎えるトキトワであったが、その後も口パクと音声が見事なまでにずれることや、そもそも口パクすらなくキャラがしゃべっているシーンまで発見される。
しかもサブシナリオでは一切声が出ずに口パクのみとなっていた。

キャラ同士の視線の不一致、距離感の無さなどいたる所から演出のダメさ加減が露呈し、移動シーンでは横移動のアニメーションが用意されなかったためか、
前後させる事しか出来ないことも判明する。
次世代機におけるフルアニメーションを売りにしているとは思えないあまりもの稚拙な完成度から、PC"FX時代の作品以下とまで言われる始末。
これだけ貧相な演出内容であるにもかからず、インストールに要する容量は4.5GとわずかにDNFに届かず、
一体両作品のどこにそれだけ容量を食う要素があるのかと改めて問いたくなる。

しかしトキトワの本質的な問題は、その見た目よりもむしろRPGの部分にあるといわざるを得ない。

まず戦闘であるが、初代ドラクエと同じく1vs1の方式になっている。
しかも敵が複数いた場合、1体倒すと次の一体に画面がスクロールしグダグダな演出の中、戦闘が継続される。
これで敵のバリエーションが豊富であるならばある程度は仕方ないのだろうが、色違いを除けばボスを含めてわずか20体しかいない。
パラメーターが全く同じ敵まで存在し、HPや攻撃力、防御力、経験値、GP、落とすアイテムまでもが完全に一致することさえある。
さらには攻撃パターンまでも一定のものばかりで、パターンさえ覚えてしまえば「回避>攻撃」を繰り返すだけの単純作業へと早変わりする。
元々ボイスのバリエーションも少ないため、「止まらないわよ!止まらないわよ!止まらないわよ!」と同じパターンを頻繁に繰り返す結果となり作業感がさらに増す。

戦闘バランスも褒められたものではなく、平均的なRPGよりも装備品によるパラメーターの上昇率がかなり高いため、わざわざレベル上げをする意味がほとんどなくなる。
その一方で、装備品を整えるために必要なお金は逃走するとかなりの額を失うリスクを負い、
スズメの涙ほどしかゴールドが得られない安全な戦闘を延々と繰り返さなければならない。
それを考慮してか、序盤の敵と終盤の敵との経験値の差がほとんどなく、
もしレベル上げを必要とするならば倒すのに数分もかかる終盤の敵よりも数秒で終わる序盤の敵を延々と狩り続ける方がいいという顛末に。
その結果、弱い物いじめを繰り返すヒロインの姿を見続けるハメになる。

また、戦闘中における能力のアップ/ダウン効果の数値も異常であり、
自らに防御アップと敵への攻撃ダウンを一回ずつ行うだけで数百の被ダメージがあっさりゼロになる。
ラスボスでも数回同じようにかけるだけで被ダメージがなくなるなど、もはや調整を放棄しているのではないかと疑ってしまう。
先の装備品でのパラメーター変動を加えると、推奨レベル50のラスボスでさえレベル30程度で倒せてしまう。

さらには魔法攻撃が通常攻撃に比べ圧倒的に強く、インフレ具合もひどいものとなっている。
例に挙げると、最初の攻撃魔法を覚える頃の通常攻撃は60~70程度のダメージであるが、その魔法だけで4000ものダメージを叩き出せる。
終盤で覚える究極魔法にいたっては通常攻撃の1000倍以上の威力があり、ラスボスを含む全ての敵に大ダメージを与えられる。
かの大先輩にここぞと反逆するかのように、「武器と装備を整え、レベルを上げずに魔法で殴れ」と主張しているかのようだが、
どのみちバランスが崩壊しているという意味ではただの両極端な悪い2例でしかない。
しかしその一方で魔法が効かない雑魚敵もおり、通常攻撃の弱さから戦闘が非常に長引くという逆のバランスの悪さも同時に有している。

また、ヒロイン「トキ」と「トワ」の人格を入れ替える「デュアルソウルシステム」も見事なまでに滑っている。
それぞれの人格が入れ替わるタイミングがレベルアップ時限定なため、一方が新しいスキルを覚えた場合、
もう一方に入れ替わると使えなくなるというデメリットが生じる。
つまり、場合によってはレベルアップする事で弱体化するという事もありえる。
さらに両者には髪と声以外に変化がほとんどなく、パラメータもほとんど差別化されてないなど、
何のためにあるのかよくわからないシステムとなっている。
そしてストーリー面でもこのシステムが大きな矛盾を生む要因となっている。

本作は結婚式の真っ最中に主人公が謎の集団の襲撃を受け絶命し、その命を救うためにトキとトワが時間を旅するというもの。
別人格の二人のどちらかが最終的に結婚できるという流れなのだが、作中に5回開かれる結婚式のアニメーションは全て使い回し。
そのためトワの状態であるにもかかわらずトキの映像が流れ、最後にトワを選んだ際には「まるでトキみたいだ」の一言で全て済まされる。
しかし直後のキスシーンではトワに変わっているので、プレイヤーが大混乱の中、ゲームの幕が閉じるのである。

幸せの絶頂にある主人公の死から始まる物語はその設定からシリアス路線が想像されるが、
実際は製作陣の寒いギャグと内輪ネタに彩られ、シナリオの隅々に極寒の風を吹かしている。

まず、主人公が前年度の次点作のバイト君並みにうっとうしい性格であり、プレイヤーの没入感を妨げている。
また、ドラゴンとの不当な契約を消費者センターに訴えると連呼し、
所有しているアナログテレビには砂嵐しか映らずナイター中継を観たいから戦うと言い出すなど、
典型的ファンタジーの世界観を完全に無視した会話が平然とキャラ同士で飛び交う。
緊迫したボスとの対峙で早口言葉合戦を始める、デューク様と同レベルのセクハラ発言や下品な演出もあり、
重要なイベントアイテムを「う~~~ん!!ひり出すから受け止めろよぉ~~~!!!出る~~~~!!!!」という台詞とともに暗転中に手渡される。

お使いイベントで入手した「ゲロマズケーキ」を手渡すと「わけのわからないイベント」をよく達成できたと褒められたり、
「カクザ島」「グラニュー島」「オサ島」の寒いネーミングにゲーム中でセルフツッコミを入れ、
画面外のプレイヤー達に冷凍魔法を頻繁にかけてくる。
これらの寒いネタを自画自賛するゲーム会社社長の分身「ミカゲール」なるキャラクターをわざわざ登場させているあたり、
2007年の偉大なる先輩から何も学んでいない事がよくわかる。

またアフガン同様にプロモーションの仕方にも問題はあり、ダメな部分を極力隠すというせこい手法に打って出ていた。
そもそもアニメーションの問題点は作画の枚数不足だったため、静止画ならそこそこクォリティーが高く
紙媒体のメディアでは好評価で取り上げられていた。
さらには体験版を一切配信せず、発売直前のTGSでの試遊台も設けずトークに徹し、
発売前に購入者にさわらせないことを徹底する。
その結果か初週販売本数は32000本と売れすぎたトキトワの購入者らは、
阿鼻叫喚の地獄にたたき落とされたことは言うまでもない。

餌に使用されたCGも、ふたを開けてみれば収録されているのがたったの11枚で、残りは全て有料DLCというあこぎな商法にも手を出している。
しかも一本500円の追加シナリオはそれぞれ10分程度しか収録されておらず、
CGだけが見たいのであれば無修正のまま公式サイトに載せてあるので買わない方がマシという、ゲーム本編よりも面白いオチが用意されていた。

バグも無く仕様通りでプレイヤーに様々な苦痛を与えてくる姿は、依然としてストロングスタイルの和製クソゲーが健在であることを証明した。
大先輩の『スベリオン』にも決して引けを取らないトキトワは、日本のクソゲーもまだまだ捨てた物ではないとスレ住民を安堵させるのであった。

2012年には最終的に3本のクソゲーが大将争いに残った。
しかしたった3本といえ、ぞれぞれのポテンシャルはこれまでの大将クラスに恥じぬ出来であり、
バグすらもないくせにやたらとハイレベルなクソを数多くのプレイヤー達に投げつけた。
海外から、そして国内からも我こそはと言わんばかりに立ち上がった3者らは、どれをとっても今年度の覇者にふさわしい内容といっても過言ではないだろう。

そんな苛烈な戦いに勝利し、見事に王者の座を勝ち取った作品、それは: 『ヘビーファイアアフガニスタン』

その理由は、あらゆる点において他の二作品よりも一歩リードしてしまっていることにある。
まずジャンルとして比較しやすいDNFからすれば、
両者ともシューティングとして粗雑な作りではありプレイスタイルも同じようにコソコソと隠れてチマチマと敵を倒す方法にならざるを得ない。
だが、アフガンの場合はレールシューティングの性質上これを強制され、FPSであるDNF相手に「動けるだけマシだろ」と言えてしまう。
さらにはバリエーションは少ないとはいえ一応はエイリアンの種類があるDNFに対し、アフガンは民兵と車とヘリぐらいしか敵がいなく、
きちんとしたストーリーもない、武器の種類もハンドガン合わせてたった5つ、自由に切り替えも出来ない、
SEもおかしいなどシューティングとしての最低限のことが出来ているかすらも怪しい。

過疎状態のため連絡を取り合わなければ対戦すらできないDNFではあるが、
そもそもオンラインプレイ自体元からないのがアフガンである。
しかもマルチプレイは一画面共有なため、一人が隠れる動作を行うと全員が隠れてしまため
リアル軍隊並みの連携が求められるアフガンは、
一歩間違えれば殺伐とした空気を生み友情破壊にも繋がる危険性がある事が後の検証で判明する。
よもやこんな形で前年の覇者の魂を受け継ぐものが現れようとは、だれが想像していたか。

そして同様の発売前詐欺を行ったトキトワではあるが、一応はゲーム内素材でごまかした猿スタイルだったのに対し、
PC版の映像とゲーム中に存在しないアングル多用のリアル詐欺PVをやらかしたのがアフガン。
一方では中身のないDLC販売を行い、もう一方は20ドルから5000円への値上げをすることで上手く張り合っている。
しかし、2つの難易度で2倍の水増しをしたアフガンの内容の薄さは凄まじく、
投げっ放しながらも真EDが用意されているトキトワには二週目をやる価値は一応あるかもしれないが、
画面が見づらくなるだけのアフガンにその価値は果たしてあるのだろうか。
ストーリーは稚拙ながらもムービーや会話があるトキトワに対し、
アフガンにいたってはミッション前の流れを10行ぐらいの長文を1分間だらだらと読むだけという手抜きまで披露してくれる。

インストール容量ではリードされがちかと思えば、アフガンまでもが2.3Gもの容量を食っているあたり、
お前らの胃袋はどうなっているんだと思わず問いたくなる。
ローディング時間では有無を言わせないDNFだが、アフガンも負けじと毎ステージ前に20~25秒の待ち時間を設けている。
DNF、トキトワと無駄に豪華な声優が参加しているのに対し、アフガンはローカライズで撮り直しがあったわけでもなく、
無線自体からもやる気の無い声がしょっちゅう流れてくる。
キャラ設定も難易度別に新米とベテラン兵士の違いはあれど、性能差など全く無い上に掘り下げも無く、ともに戦う仲間はほとんど空気化している。

OPとEDムービーすら用意されておらず、徹底した手抜き具合があらゆる場面から見て取れるアフガンは、
バグ以外は全方位に対応できるオールレンジスタイルのクソゲーとして完璧すぎる布陣を築いている。
その圧倒的火力で他の追随を許さない姿を、なぜゲーム中で活かせなかったのかと問わざるを得ないほどにクソゲーとして完成されているアフガンは、
新天地開拓という偉業とともに2012年のクソゲーのトップにふさわしい勇姿を存分に見せてくれたのではないだろうか。


振り返れば2012年はクソゲーのみならず、日本のゲーム市場全般が冷え込んだ年とも言える。
特にWiiにいたっては、新ハードの発売が控えていたとはいえ一年以上もWiiwareで新規ゲームが配信されず、
また他ハードにおいてもゲーム本数は軒並み低調であった。
様々な理由はあれど、やはりクソゲー界においてもその冷えきった風は吹き荒れ、
前年度同様に半年以上もの飢饉に苦しむ結果となった。
それゆえ、まったく未知のエリアから来訪者が複数到来したらのは、あるいは必然だったのかもしれない。

思い起こせばKOTYには毎年、新しい風が吹く。
決してクソ化はしないだろうと思われたADVからの革命児、スポーツゲーム、オンライン化に伴うパッチでの改悪、
修羅の国からの襲撃、和製RPG、国民的ゲー無、そしてついに来てしまった洋ゲー。

年々進化し続けるクソゲーの在り方は、あるいはゲーム市場の未来を反映しているのかもしれない。
そこには様々なドラマがあり、毎年異なった様相を提示してくれる。
クソゲーが出ない事は幸せな事である。だがクソゲーが無いゲーム市場も、なかなかどうして寂しいものである。
大物企業の撤退をはじめとするゲーム業界全般の衰退が危ぶまれる中、
これでもかと言わんばかりに張り合う国内外のクソゲー界の猛者達。
その姿にはまだ、ゲーム市場に秘められた熱い闘争心が依然として健在である事を示しているのではないだろうか。
この熱くも重い炎が今後のゲーム市場を活性化し、さらなるクソゲーを輩出してくる事を願わずにはいられない。

そんな期待も込めて、今後のゲームの未来に対して敬意と激励を、「ヘビーファイアーアフガニスタン」からの一言とともに送りたい:


ふぅあーーーーーーーー!





・・・・・余談ではあるが、携帯版、さらには2013年度据置版に既にハムスターが刺客を送り込んでいるあたり、あまり心配をする必要は無いのかもしれない


-終わり-

総評案2(時と永遠~トキトワ~)

昨年のKOTYは「七つの大罪」とも称された7本のクソゲーの選評が年末に集中し、史上稀に見る大混戦を繰り広げ、
大賞が決定した頃のスレ住民は既に疲弊しきっていた。
この頃、2012年側の方は特に話題となるような大きなクソゲーもなく、2011の審議が終わった後も暫くの間この束の間の平和は続いた。
もはや今年はクソゲーが出ないのではないだろうか、そんな一抹の不安と期待が住人にはあった。

しかし、その不安と期待はやはり裏切られることとなる。
はるばる海の向こうからやってきたクソゲーによって。

海の向こうから、というと2009年に修羅の国から海を渡ってきた黒船があった。
しかし今回はその黒船という名の通り海を渡った先、北米市場からやってきたのである。

8月13日発売、「ヘビーファイア アフガニスタン」(開発Teyon、国内販売ハムスター)である。
北米エリアのWiiwareでDL数1位という、正直スレ住民にとってはいつかの不安が頭をよぎるような実績を引っさげて国内へローカライズ。
Wiiwareというと安価なイメージがあるが、実際北米での値段は約20ドルである。
しかし、この国内版の値段は日本語字幕を追加しただけなのに5980円。
もっと言うとこの追加された字幕は画面ど真ん中に表示されるため、邪魔極まりない。
さらに説明書は北米版に比べて極端に薄くなっており、なんのためのローカライズなんだと思わせる。

そしてゲームの中身も散々たるものであった。
このゲームはタイムクライシスなどのアーケードでよく見られるレールシューティング方式をとったシューティングとなっている。
・・・が、このシステムが問題点だらけで、破綻してしまっているのだ。
まずこのゲームには被ダメージ後の無敵が存在せず、中盤以降突如精度が上がる敵からは連続してダメージを受けることがしばしばある。
それなのに画面の両端から敵が同時に襲ってきたり、隠れられないシーンまであるのだ。
しかも隠れていても敵がプレイヤーを捕捉してきたり、隠れているのに隠れることができていないシーンまである。
また被ダメージ時の演出も非常にわかりづらく、ダメージを受けたことを視覚的に認識しづらい。
この手のゲームは移動は基本自動であり、このゲームもそうなのだが、それによってほぼ確実にダメージを受けるシーンが出来てしまっている。
このゲームはリトライ時にHP残量までチェックポイント段階のものを持ち越す親切設計なので、場合によっては詰んでしまう。
これらの仕様から開発者はFPSと勘違いして作ったのではないかといわれるほどである。

ちなみにレールシュー界の伝説的クソゲー、デスクリムゾンにも無敵が存在しなかった。
この教訓は海を渡った先では教えられていなかったのであろうか。

システム以外にも多々問題はある。
ストーリーは新米の海兵隊となったプレーヤーがゲリラを討伐する。それだけである。
ほとんどのミッション間には繋がりも存在せず、ぶつ切りかつ無味なストーリーを味わわされる。
また、パッケージに20以上のミッションと謳っているが、実際は12のミッションがそれぞれ2難易度で遊べるだけである。
しかもこの2難易度の難易度差がほとんどなく、かさ増しにすらなっていないのだ。
グラフィックもPS3らしい迫力あるムービーが入ったかと思えば、アクションシーンではPS1時代を彷彿とさせるもっさりとしたモーションで敵が迫ってくる。
意味のないローリングや明後日の方向に乱射される銃弾など、時代を間違えた演出も多い。
銃声もサイレンサー完備かのごとく軽い射撃音を発し、ロケットランチャーにおいてはポップコーンのはじけたような音が響く。
敵も逆行や影に絶妙に溶け込んだ非常に視認しづらい敵が襲ってきたり、輝度を調整しても見えづらい敵が発生したりする。
照準器も覗けないゲームなのにスナイパーゲームかと見紛うほど遠くに配置された敵まで存在する。
武器交換はカスタマイズ画面でしかできず、そもそも4種類しか存在せずさらに1種類しか戦場には持ち込めない。
サブのハンドガンも一応存在するが、メイン武器が弾切れしないことには使えない。
一応Moveに対応しているが、照準設定のやりづらさや操作の煩雑さで、ただのお荷物仕様となっている。
2.3Gのインストールを経てもミッション前に2~30秒の長めのロードが入ることも、地味にクソゲーのエッセンスとなっている。

ここまでやらかしておいてPVだけかっこいいのはただの詐欺であろう。

余談だが、3DSで発売された姉妹作ももれなくクソゲーであり、値段も北米版5ドルから5000円と思い切りすぎた値段設定である。


ゲームそのもののクソさに更にローカライズでクソを乗っけてくる新しいクソゲースタイルに、KOTYは一躍湧き上がった。
その後を追うように、3月発売の北米からのローカライズソフトが話題となる。

3月29日発売、「デューク ニューケム フォーエバー」(開発gearbox、国内販売テイクツー・インタラクティブ)である。

こちらは本国アメリカで絶大な人気を誇っているDuke Nukemシリーズの4作目である。
が、当初の発売予定は1998年。そこから13年という前代未聞の大延期を経て2011年に北米で発売されたのだ。
そしてこの地雷臭通り、大手レビューサイトでは0点を記録し、他レビューでは「恥知らずの忌々しい後継者」とも評された。

そこにさらに泥を塗るかのごとく、日本版では描写の規制、外国で配布されていたパッチの適応及び配布なし、海外で配信されていたDLCなし、
日本のみサーバーの隔離(これは発売日当日に発表された)との知らせがあった。

案の定サーバー隔離により日本版でのオンラインを1時間以上プレイしたプレイヤーは20人にも満たない状態となった。
発売から1ヶ月ほど経った頃にはオンライン対戦はほぼ不可能となっていた。

さてそしてオフラインの部分はどうか。
このゲームは下品なジョークを放ちながら主人公デュークが敵をなぎ払っていくストーリーである。
しかしその下品なジョークは開始30分で枯渇し、しばらくすると前半のシーンにある糞をデュークが投げるシーンで糞を投げつけられたのがプレイヤーたちであることもわかってくる。
しかもその下品さが鳴りを潜める頃にはマップのないフィールドでヒントのない謎解きに出くわす。
その謎解きはほぼ重しを積むだけのような極めて地味なものしか用意されておらず、ただのつまらない作業と化している。
なお先述の通り謎解きも移動も完全ノーヒントであり、唯一ヒントを与えてくれるのはロード中、「困ったらWEBのQ&Aを見ろ」との文言のみ。
ちなみに公式サイトにはQ&Aなぞそもそも存在しない。

合間合間にある謎解きやイベントを進めていくと、プレーヤーは戦闘が少ないという違和感に気づく。
その戦闘自体もゼロ距離めがけて突進してくる敵がいれば、俺が真のデュークだと言わんばかりにゴルゴばりのスナイプ技術を見せつけてくる敵がいたりなど、非常にずさんなAIをしている。
更にはダメージを負うとワープするザコもおり、背後にワープされたら大ダメージ必死である。
隠れていようと容赦なく移動先を予測して投げ込まれるグレネードや打ち込まれる銃弾の嵐も、バランスのずさんさを見せている。
しまいにはラスボスがほとんど最初のボスの使い回しで非常に弱いという体たらくである。

ここまで書いておいて褒めるべき点が殆ど無いわけだが、更に根本的なシステムも酷い。
処理落ちは敵が移動するだけで頻繁に発生し、ロード時間はエリア移動で30秒もある。
インストール容量だけは無駄に達者であり、4.6GBとどこに容量を使っているのかと総ツッコミが入るレベルの量である。
またオートセーブも不親切で、戦闘で死ぬと戦闘前にやった謎解きを解く前に戻されたり、戦闘後に死ぬと戦闘前に戻されたりなど、歯がゆい設計である。

国内ローカライズにあたって日本語音声と字幕が搭載されているのだが、言語は本体依存で、つまり本体が日本語だと英語音声も英語字幕もできない。逆もしかりである。
そのせいでおそらく一番需要がある英語音声+日本語字幕が選択できない。
なお、日本語吹き替えを担当している声優はかなり豪華なのだが、スタッフロールには一切表記がない。

こうして2本の海外からのクソゲーが投下され、今年は海外からの刺客に日本のクソゲーが蹂躙されるのではないかと思われていた。
が、日本のクソゲー界がそれを黙っているはずもなく、自らをJRPGと銘打った日本の1本のクソゲーが発売されることとなった。

10月11日発売「時と永遠~トキトワ~」(開発イメージエポック、販売バンダイナムコゲームス)である。

このゲームは日本初のフルHDアニメーションJRPGとして、告知されていた。
そしてPVも公開されていたのだが、このアニメーションがいつかの粗製濫造時代のアニメを思わせるほどに非常にカクカクしており(特に戦闘時のアニメーションはかのMUSASHI~GUN道~を彷彿とさせるほど)、2ch内では見えている地雷と評されていた。
しかしこの予想は的中するどころか、さらにRPGとしてのお粗末さが発売してから明らかにされることとなった。

まずフルアニメーションであるのにそもそも口パクが合っていない。致命的なまでに合っておらず、しまいには口パクすらせずに喋りだす。
またキャラ同士視線が合わなかったり、物理的な距離感すらも合わせられていなかったりする。
移動時に真横に動くアニメーションが作れなかったのか、移動は視点移動と前進後退のみで行われている。
結局このフルアニメーションはPC-FXにも遠く及ばない出来であったのだ。
ちなみにインストール容量は4.5GBと、デューク同様どこに使っているのかわからない容量の多さである。

と、最大のウリがあっさり砕かれたトキトワであったのだが、更にRPG部分はそれを超える問題点だらけであった。

戦闘は1対1の初代ドラクエ方式である。敵が複数いても順番に1体ずつ、律儀に襲ってくる。
しかも敵の種類は色違いとボス除くと20体。更に行動パターンはほぼ全員似通っている。更にはパラメータまで一緒の敵まで存在する。
戦闘時の声のバリエーションも少なく、トキが「止まらないわよ!止まらないわよ!」と叫びまくるシーンに何度も出会う。
バランスもめちゃくちゃであり、装備によるパラメータ上昇がレベル上昇を大きく上回っているため、装備を整えれば途端に十数レベル上がったような強さが手に入る。
この手の仕様は最近のRPGでも見られるが、ここまで極端な例はない。
また敵からもらえる経験値は序盤と終盤で2倍程度しか差がなく、そのくせパラメータはどんどん上がっていくため撃破には時間を要し、レベル上げには終盤でも序盤の雑魚を狩るほうが早いと言う顛末に。
パラメータ上下効果の作用度も異常で、自分の防御を1段上げ相手の攻撃を1段下げれば数百の被ダメージは途端に0となる。
これはラスボスにも有効であり、推奨レベル50とあるものの、レベル30程度でも防具を整え相手の攻撃を下げれば被ダメージは0にできてしまう。

これまででも十分酷いバランスであるが、最もバランス調整の杜撰さが出ているのは物理攻撃と魔法攻撃の差であり、
序盤で5~60程度のダメージしか与えられない物理攻撃に対し、魔法は4000以上のダメージを軽々叩き出す。
終盤においては実に物理攻撃の1000倍にもなる魔法攻撃まで存在し、使用できるまでの条件を鑑みてもここまで来るとただのチートである。
ここまで書いて分かる人もいるかもしれないが、このゲームは「装備を整えて魔法で敵を倒す」ゲームとなっていて、かの2011年にあったレベルを上げて物理で殴るRPGの見事に逆を行っている。
ただ、どっちも非常にクソな戦闘システムであることに変わりはなく、この2本がクソな戦闘バランスの両極端な例とも言える。

そして、このゲームはトキとトワという2つの人格を持ったメインヒロインによるデュアルソウルシステムというものが存在するのだが、この存在がすべてを裏目にしている。
レベルアップによりトキとトワはスキルを覚えていくが、これがトキ(orトワ)で分かれており、もう片方にチェンジすると片方で覚えていたスキルは使えないといった仕様になっている。
・・・が、違いはこのスキルと髪の色と声くらいであり、パラメータはほぼ差別化されていない。
更にこの微妙な差異でストーリーにまで矛盾を生む。

ストーリーは、結婚相手の主人公が式の最中に襲撃され殺されてしまうところから始まる。
トキの王家としての力で過去に戻って歴史を変え、最後にトキとトワどちらか一人を選び結婚式を開くというもの。
この設定を聞いた上で、シリアスな物語が展開すると思わないほうが無理である。
・・・が、実際の本編は冒頭の死に際に放つ主人公の「俺は今最高にモテている」から端を発する寒いノリのおふざけがえんえん繰り返される。
主人公は前年度の次点作のバイト君並みにうっとうしい性格であり、プレイヤーの没入感もあったものではない。
また、ドラゴンとの不当な契約を消費者センターに訴えると連呼し、
所有しているアナログテレビには砂嵐しか映らずナイター中継を観たいから戦うと言い出すなど、
典型的ファンタジーの世界観を完全に無視した会話が平然とキャラ同士で飛び交う。
緊迫したボスとの対峙で早口言葉合戦を始める、デューク様と同レベルのセクハラ発言や下品な演出もあり、
重要なイベントアイテムを「う~~~ん!!ひり出すから受け止めろよぉ~~~!!!出る~~~~!!!!」という台詞とともに暗転中に手渡される。
人物場所にいちいち寒いネーム(例:グラニュー島)をつけてはセルフツッコミを入れ、開発元会社の社長までオマージュされ出てくる始末。

そして現代に戻って結婚式を開く場面は作中で5回あるが、これらはエンディングに至るまで全て使い回し。
デュアルソウルシステムでトワに戻っているはずの時でも、ひたすらトキの映像が流れ続ける。
最後にトワを選んだ場合などは、「まるでトキみたいだ…」という有り得ないセリフ一言でその現象が説明される。
しかしエンディングのキスシーンでは、アニメーションを発注していたのかいきなりトワに変わる。終わり良ければとか言う前にすべてが手遅れである。

ちなみに例に漏れず声優は豪華である。
が、声があるのはメインシナリオ部分と戦闘のみ。先述の口パク不一致と合わせて、声優陣に申し訳ない出来である。
さらにイベントCGは11枚しか存在せず、500円かけ10分ていどのイベント戦を行った後に見られるCGは公式サイトで既に見られるものである。

ここまでクソな要素を盛り込んでおいたにもかかわらず、バグはない。これもいつかのJRPGに似ている。
プロモーションも体験版無しで発売直前のTGSでも試遊なしのイベントのみと、この出来を見ると隠蔽かと思わせるほどである。
初週販売本数は32000と、前述した有様を見れば売れすぎにも程があるといって差し支えない。


先の海外から来た2本のクソゲーに対して、日本も純粋なクソで対抗する構図となった。
このまま年が明けるかと思ったのだが、ここで一つの大々クソゲーメーカーが、もはや恒例ともなりつつある「年末の魔物」としてやってくる運びとなった。

11月22日発売、「太平洋の嵐~戦艦大和、暁に出撃す!~」(開発、販売システムソフト・アルファー)である。
この社名を聞いてピンとくる人も多いであろう。そう、携帯機含め実に8本もの歴代KOTY次点(内2本大賞)を排出した稀代のクソゲーメーカーである。
そしてこの作品も例によって過去作の手抜き移植である。

このゲームのクソな部分を一文で挙げるなら、恐ろしく煩雑なゲームシステムにある。
非常に多様な要素が存在し、把握するだけでも手間のかかる要素はプレイヤーを困惑させ、
そしてその仕様の殆どは不要なものであり、プレイヤーは次第にこの多すぎる仕様という霧の中で路頭に迷う。
と言った、要は無の中の霧、「ゲー霧」である。

このゲームのクソな仕様を一つ一つ解説しようとすると、このゲームの根本的な設定や非常に多い固有名詞なども相まりあまりにも文章が長くなりすぎてしまう。
そのため、詳細に関してはwikiに掲載された有志の方の詳細な選評を持って代えさせていただきたい。
ここでは、主な面の部分のクソな点をすくって紹介する。

まずは演出面。
OPは07年に発売されたPC版からの使い回しである。PS3でもお構いなし。
ここから本編のCGのクオリティを察せた人は勘の良い人である。本編のCGも当然初期から進化しておらず、10年前のNHKの再現CGにも劣るとも評される出来である。
それ以外の解像度なども到底大概のPS3のゲームが表現している域に遠く及ばない。
戦闘はしょぼい火花を放つだけ。機銃も一発の発砲音だけでその行動時のすべての発砲音を賄う。
更には陸戦での歩兵はホバー移動。
また地味に音量調節の保存がされず、SEやナレーションに比べ爆音で流れるBGMの調整を起動時に毎回余儀なくされる。

またUIも非常に不親切。
もともとこのゲームは初代から攻略本と見紛うような暑さの解説書が同封されているのが定番である。
そして一般の方々ならPS3版の説明書は一見、分厚く、十分説明されているように見えるかも知れない。
しかし、本作をプレイするには不十分な説明しかされていないのである。正直に言って使い物にならない。
ほかにもボタン配置に統一性がない、重要なコマンドが何処にあるかわかりづらい(特に生産・技術関連はわかりにくい)、与えられた情報が何かわかりにくい説明、見づらい情報画面、プレイを補助することをしない・・・
と、プレイヤーに対して嫌がらせとしか取れないような不親切設計である。

そしてこのゲームの肝とも言える海上輸送。
海上輸送を選択する際に資源の輸送量を設定できるのだが、なんと、1ターンあたりの輸送量といった情報がないのだ。
大した問題ではないと思うかもしれないが、「輸送する品目が不足していると輸送しない」という仕様により問題となるのである。
定期的に輸送する以上、消費量を超えた余剰資源は然るところに輸送する必要がある。
そこで、島国という都合上余剰資源を輸送する際に海上輸送を利用することになるのだが、この時余剰資源量は与えてくれない上、海上輸送の仕様上1ターンに何往復するか不明なためどれだけの量を輸送すればいいか不明なのである。

また、輸送船の1種類に1隻しか資源を積めない。例を挙げると、容量10の輸送船があり、拠点から食料3、弾薬2、鉄2を運びだすとなると、容量内に収まるので1隻・・・ではなく1種類に1隻、つまり3隻を用意しないと運ぶことはできない。
コレは初代(PC98)時代に容量の都合上作られたシステムなのだが、未だ改善されていないのだ。
さらに特筆すべきはこれらの問題点を敵は見事に無視してくるということ。
今作では輸送ルールが適用されるのはプレイヤー側だけで、
それに対しCPU側は物質無限である上、ルール上では陸上部隊が湧かない根拠地でも土から人が採れるかのように陸上部隊を湧かせるのである。



・・・他にも不便な仕様は書こうと思えば多々あるのだが、残りは各自wikiを見て補完してほしい。が、この仕様まとめを見てこのゲームのクソさをしっかり把握できるものが、果たして何人いるのだろうか。
最後に、このゲームのクソな点をまとめたようなコピペ改変がひとつあるのでこれを紹介させていただく。

・戦艦10隻なら大丈夫だろうと思っていたら、非武装の輸送船20隻に襲われた
・停泊地から半日の海上なのに駆逐艦が燃料不足で自沈していた
・艦底に何かがぶつかったので調べてみると、地底から湧いた潜水艦だった
・海上封鎖で閉じ込めた敵部隊がいつの間にから消え去り、ワープで味方拠点を攻撃していた
・波状攻撃をかけられ疲れた、というか抵抗できなくなった大部隊を一人に陥落させられた
・フェニックスからメキシコシティの間を陸路で移動するのに半日
・開戦日に真珠湾が艦砲射撃を受け、艦船・航空機・陸上部隊、施設さえも撃破された
・航空機ならより安全だろうと真珠湾に奇襲攻撃を掛けたら、機体の損害が増えただけで逆効果だった
・被撃墜の8割が対空砲火。リストの上部から狙っていく仕様のため「戦闘機ほど危ない」
・「そんな危険なわけがない」といって出撃したエース・パイロットが一人も帰って来なかった
・「何も持たなければ襲われるわけがない」と手ぶらで出てきたCPUの輸送船を撃沈したら、
 攻撃に使った燃料の分だけこちらが損をしていた
・最近流行っている破壊工作は「積載1」 物資を1だけ積めば輸送船の自由を奪えるため
・海上拠点から半径1000km以内に潜水艦が湧き出る確率が150%。2つめの湧きポイントがある確率が50%の意味
・SSαのクソゲーによる被害者は1日平均12人、うち約10人がフルプライスで購入

以上である。
このゲームはクソゲーハンターを持ってしても殆どが霧に飲まれ、生還するものはほとんどおらず、クソの全容は把握できない、そんなゲームであった。


今年はこの4本がKOTY候補として名乗りを上げ、次点に入ることとなった。
そしてこの4本の中から大賞に選ばれたのは・・・「トキトワ」である。
理由はそのわかりやすいクソっぷりとすべてが裏目に出ている寒さにある。
売り文句のアニメーションの凄惨たる出来から始まり、バランスが崩壊した戦闘、面白く無い上に興を削がれるストーリー。
装備を整え魔法を唱えることにカクカクアニメーションを加えた戦闘と、声優面の良さを全てかき消すほど面白く無い上に嫌悪感すら覚える寒いノリを加えたストーリー。
これらはどちらもかのラストリベリオンに劣らない、いやむしろ悪化しているかもしれないほどである。
バグ以外は全ての方面においてクソっぷりを発揮している、フルKOTYアニメーションRPGとなったこの作品こそ、今年のクソゲーを飾るのにふさわしいものではなかろうか。

その点手抜きバグ無し全方位クソゲーとしてはデューク、アフガンも同様である。
最大の売りで全てのクソをもう一段階上塗りしたトキトワには一歩及ばぬものの、そのバランスの悪いシューティングやロードの長さ、そしてローカライズによる悪化とクソっぷりは日本の歴作と比べても遜色はないクソゲーとなった。

また、嵐も今までのSSα作品に勝るとも劣らない、とびきり煩雑なクソゲーとなった。
これがKOTY足り得なかった点を挙げるとするならば、それはクソの全容が把握しきれないことにある。
このゲームは膨大で煩雑な仕様の上にクソ要素が入っており、それを把握し切る前に大概のプレイヤーは手を止めてしまう。
この段階でクソゲーなのは間違いないのだが、どのように、どれくらいクソゲーかを説明できることができないのだ。
もしそれを説明できる人がいたとしても、この膨大な仕様の前に、それを把握できる人も殆どいないのだ。
似たジャンルや仕様のゲームも殆どなく、このゲームのクソさを具体的に説明することは敵わない。
自分もまた、このクソの全貌を把握しきれていない者の一人であり、このゲームは、KOTYにおいても「霧」の中にいるゲームなのだ。

思い起こせばKOTYには毎年、新しい風が吹く。
決してクソ化はしないだろうと思われたADVからの革命児、スポーツゲーム、オンライン化に伴うパッチでの改悪、
修羅の国からの襲撃、和製RPG、国民的ゲー無、そしてついに来てしまった洋ゲー。
通算7本ものKOTY次点タイトルを輩出したタカラトミーのゲーム事業撤退、そしてやってきた通算8本目で歴代最多のクソゲー輩出メーカーとなったSSαの新作。
年々「もうコレ以上は出ないだろう」と言われながらも、予想を裏切ってくれるクソゲーたち。
私達はこれ以上クソゲーが出ないことを祈りながらも、同時にまたどこかで今までを超えるクソゲーを願っているのかもしれない。
そんな複雑な思いを抱えながら、私達は今後輩出されるいろいろなゲーム達を見守っていこうと思う。
そこにクソゲーがないことを信じて、トキトワであるドラゴンとの戦闘前シーンで流れる掛け合いの一つを残し、今年のKOTYを締めようと思う。

「こんな不当なクソゲー、消費者センターに訴えますよ!」

総評案3 初期版(太平洋の嵐~戦艦大和、暁に出撃す!~)

2011年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)は、新たなる探求のはじまりであった。
来る日も来る日も繰り返される再検証、混迷する議論のさなか、
スレ住人たちの関心は次第に、より根源的な問いへと向かっていた。

「クソゲーとは、何であるのか」

さらに言うならば、

「クソゲーオブザイヤー、すなわちその年一番のクソゲーとは、いったい何であるのか」

掟破りの「申し開き」によって再評価され、王座を勝ち取った『誤当地』は、そんな問いかけに対して一つの答えを示唆していた。
一つのクソゲーを語り尽くすには、あらゆる切り口からの緻密なアプローチと、執念たぎる厚い記述が必要であると。
そして、タカラトミーが事実上ゲーム業界から撤退し、王位を返上したことで、運命の歯車は大きく動き始めた。
クソゲー界における「大空位時代」の幕開けである。

地獄の総評審議を終えてKOTYスレが平穏を取り戻した3月、
日本のゲーム業界には、米国からの最後通牒が届いていた。
PS3/Xbox 360向けに発売された、『Duke Nukem Forever』(デューク・ニューケム・フォーエバー、通称「DNF」)。
13年もの製作期間を経て、2011年に海外で発売された超大作の、日本語ローカライズ版である。
本作の全容を語るにはまず、伝説の男である主人公【デューク・ニューケム】について語らねばなるまい。
FPS(ファースト・パーソン・シューター)というジャンルの原始において、彼こそが太陽であった。
どこまでも広がる自由な世界、下品で奔放なジョークセンス、
鍛えた肉体と銃を繰り、エイリアンどもを蹴散らす圧倒的なパワー。
USAを体現する存在として、そして、『DOOM』や『QUAKE』と並ぶFPSの聖典として、彼の名は知る人ぞ知るところであった。
だが、長すぎる雌伏を経て、再び現れた彼の姿は、「腐ってやがる、遅すぎたんだ…」とばかりに変わり果てていた。
それでは、公式サイトで【これが"本物"のシューターゲームだ!!】と豪語するその実態を紐解いていこう。
まず、本作のゲーム性を総括すると、絶望的に地味で退屈なゲームだ。
FPSとは名ばかりの探索型ゲームであり、
ヒントもマップも与えられないまま、無駄に広大なエリアに放り出され、
重しを持ち運ぶ、小人になって進むといった、プレイ時間水増しのギミックを淡々とこなすだけ。
「困ったらWEBのQ&Aを見ろ」と言いつつ、公式サイトでは一切用意していないというまさかの「ググレカス」仕様も相まって、
プレイヤーのやる気はバターのように溶けていく。
主人公・デュークも、往時の威勢はどこへやら、
持ち前の下品なジョークは開始30分でネタ切れし、あとは粛々と作業を消化するのみ。
道中の戦闘では、弾の節約と自動回復狙いの隠れんぼが戦略の肝となる。
これだけでも海外大手ゲームサイトから、「10点満点中の0点」、「シリーズの面汚し」などの酷評を受ける出来であったが、
うれしくないことに、日本語版ではこのクソ溜めにさらに【おつり】がついてくる。
公式サイトでは、「販売延期のお知らせとお詫び」のジャンプ先が404 Not Found、と、製品の発売に先んじて喧嘩を売っており、
ローディングが約40秒、持ち運べる武器が二つしかない、といった問題点も、なぜか日本のみがパッチ未配布。
オンラインモードも日本のみ隔離措置で、発売1ヶ月時点で1時間以上プレイした人数が20人未満。過疎どころか、廃村状態である。
対戦できないのは言わずもがな、ランキング下位に「プレイ時間 00:00:00」と言う異様なスコアが並んでいたことも忘れがたい。
かくして、『DNF』は作中のデュークよろしく、alienすなわち「異邦人」たる日本人に対して全力で汚物を投げつけた。
ここに、和洋のクソゲー大戦が火蓋を切ったのである。

初めての外敵の脅威にうち震える日本のクソゲーハンターたちであったが、
それに続いて夏の盛り、終戦記念日の翌日に、とうとう本土上陸を許してしまうこととなる。
PS3専用ソフト、『ヘビーファイア・アフガニスタン』(通称「アフガン」)。
本国のWiiWare市場でDL数ランキング1位かつ圧倒的低評価という、あの元祖『人生』と同じ偉業を引っさげての到来である。
本作のジャンルは、「レールシューティング」。
ゲーム形式としては、画面内の敵を全て倒すたびに一定のルートを進んでいくものであり、
『タイムクライシス』や『ハウスオブザデッド』など、ゲーセンの定番であるガンシューティングと基本的には同じだ。
ところが本作の完成度はそれらの名作には遠く及ばず、むしろ世紀の迷作『デスクリムゾン』を彷彿させるものであった。
まずゲーム性については、独自の観点から【戦場のリアリティ】を徹底追求している。
たとえば、この手のジャンルでは「物陰に隠れて待つか、前に出て撃つか」の駆け引きがゲームの肝となるのだが、
本作ではいくら隠れようが関係なく撃たれたり、そもそも隠れる場所がなかったりと、面白くなるための鉄則を自ら叩き壊している。
敵配置はゲリラ戦の悪夢を忠実に再現し、光学迷彩とでも言わんばかりに背景にカモフラージュ。
撃たれるまでわからないどころか、撃たれても豆鉄砲のような極小の穴が開くだけで、「死ぬまで気づかない」。
リトライしても体力は回復しておらず、死ぬ直前と全く同じ状況を繰り返すゴールドエクスペリエンス・レクイエム状態が待っている。
かように過酷な現実の前では、主人公が口癖のように「ふぅあー!」という奇声をあげるのも無理からぬことであろう。
また、「全力で手抜きしたい」という、妥協なき【コスト削減】の精神も随所で光る。
ストーリーは刺し身のツマ、どころかタンポポ程度の存在意義しかなく、徹頭徹尾「目の前の任務をこなして終わり」。
人質救出のミッションで全員殺害しても不問で、車や倒壊物からの緊急回避に失敗しても無傷と、制作側の投げやり感が溢れている。
BGMは一種類しか存在せず、ゲーム時間の大半を占める通常ミッションでは終始無音。
効果音も、「まないたで野菜切ってる音」と評される拳銃、ポップコーンの音がするロケットランチャーなど、台所で収録可能なクォリティだ。
ハードモードでは「画面を暗くすれば敵が見えにくい(hard to see)」という、日本人にはない発想で既存ステージを流用しており、
「二つの難易度でボリュームも二倍だな」とばかりに、ミッション数をちゃっかり水増し表記していることにも注目されたい。
多人数モードも、レールシューの「レール」という部分に着想を得たのか、一人の動きに全員が連動する電車ごっこ形式である。
このように本気のクソゲーを作った開発会社の思いに応えたのか、
日本向け販売担当の「ハムスター」社も、入魂の【クソローカライズ】を見事にやってのけている。
手始めに、英・仏両言語対応20Pのマニュアルをモノクロ5Pに極限圧縮し、その一方で価格は3倍につり上げ。
それでいて日本版独自と言えるものはゲーム内の字幕追加のみであり、さぞかし手をかけたのであろうその日本誤訳の内容も、
開幕一番、「It was my seventh birthday...」というモノローグを「17歳の誕生日だった」と訳す衝撃的なものだ。
それらの字幕は画面中央の一等地を占領するため、作戦中に表示されると邪魔なことこの上なく、
素の背景に小さな白文字で書いてあるだけなので、判読すら困難である。
ともあれ、「和魂洋才」を体現するこの一人大隊によって、戦局は一気に日本不利へと傾いたのであった。

立て続きの猛攻に対して辛酸を舐める日本勢であったが、
金木犀の香る頃、ついに起死回生の神風が吹く。
製作「イメージエポック」、販売「バンダイナムコゲームズ」によるPS3専用ソフト、
『時と永遠~トキトワ~』(通称「トキトワ」)の推参だ。
本作のふれこみは、ずばり「"世界初"のHD(ハイビジョン)アニメーションRPG」であること。
その意気やよし、
「化物語」で話題沸騰のVOFAN氏をキャラクターデザインに招き入れ、音楽には古代祐三氏を起用、
むろん、声優も実力派を揃えている……と、
万全の布陣で臨んだはずの本作であったが、産まれ落ちた物体は未知のクリーチャーであった。
第一に、本作の売りであるはずの【アニメーション】であるが、完膚無きまでに「作画崩壊」している。
敵味方問わずアニメの枚数が極端に少なく、動きはカクカクで、同じパターンの繰り返しばかり。
いっ○く堂でもリスペクトしたのか、音声と口の動きを盛大にズラしたり、口を動かさずに喋ったりといった小技も披露する始末だ。 
ヒロインにいたっては「横移動のアニメーションを削られる」という惨い仕打ちを受けており、
マップ画面では前後移動・方向回転と言った具合にラジコン操作するほかなく、
ボス戦では前に向かって走りながらカサカサと水平移動する姿が哀愁を誘う。
第二に、【RPGとしての出来】であるが、これも実に壊滅的である。
ザコ敵のグラフィックは十数パターンしか存在せず、残りはカラーバリエーション。
あまつさえ、全く異なる外見の敵同士でも、能力値を丸コピペした痕跡が見つかる始末だ。
バランス調整は「魔法」至上主義であり、
攻撃魔法が物理攻撃の1000倍ものダメージを叩き出す一方で、補助魔法を使えばラスボス戦も無傷で済む。
物理の重要性を解いた偉大なる反逆者『ラストリベリオン』に対してさらに反逆する者が現れるとは、よもや誰が予想できただろうか。
第三に、【ストーリー】についてもふれよう。
本作は、主人公とヒロイン「トキ」との結婚式を成功させるために、何度も時をさかのぼって冒険する「ループもの」だ。
だが、何よりもまず、この主人公の人格そのものがそびえ立つクソであり、
童貞特有のゲスいモノローグと、場を凍らせるノリツッコミが全編にわたって猛威を振るうのである。
そんな彼に付き合わされるメインシナリオでは、プレイヤーは虚ろな目をしながら「早く終わってくれないかな…」と願うこととなる。
ファンタジーの世界なのに、ドラゴン相手にいきなり「消費者センターに訴えるぞ」という旨のセリフが飛び出し、
重要アイテムの引渡し場面では、「恥ずかしいから見るなよ!」→(画面暗転)→「ふんぬぬぬぅぅ~っ!」→(ブリュリュリュリュ…ポン!)。
ラスボスの動機は、「毎日ナイター中継を見ながらまったりしたい。そのためにお前らの『思い出』が必要だ」という意味不明なもので、
それに対する主人公の反応が「(ナイターが)毎日やってるわけないだろっ!」。
そのほか、不快なパロネタや、「オサ島」、「カクザ島」など、やる気のないネーミングを自ら茶化すメタネタも満載であり、
書いた人間に対して「殺意」という名のリアルな感情を呼び起こすことに成功している。
なお、しっぽまで○ンコが詰まっているタイ焼きのごとく、EDまでもがクソ要素だ。
ヒロイン「トキ」は2Pカラーの別人格を持っており、展開によってはこのアミバ(仮)と結婚するEDもあるのだが、
あろうことか花嫁入場のグラフィックがトキ版の使い回しであり、髪の色の違いは「まるでトキみたいだ…」の一言で片付けられる。
開発元のイメージエポックは「JRPG宣言」と称して日本のRPG製作をリードしようとしているが、
その結果については、本作公式サイトにおける「ひ、ひどすぎるよー!」という台詞が全てを物語っていたと言えよう。

にわかに風向きが変わった戦局の裏では、対米向け最終決戦兵器がひそかに建造されていた。
俗に、「年末には魔物が潜んでいる」と言うが、本年も例外ではなかったのである。
年の瀬迫る11月末、荒れ狂う大時化の海から突如現れた超弩級戦艦……
それが、「システムソフト・アルファー(SSα)」の手になる
『太平洋の嵐 ~戦艦大和、暁に出撃す!~』(以下、「嵐」)。
PCゲーム『太平洋の嵐5』を原作とし、各プラットフォームで圧倒的低評価を得てきた戦略SLGだ。
全方面で隙のないゲームづくりに定評があるSSαであるが、今回も予想の斜め上を行っている。
それでは、各論から見ていこう。
グラフィックは初代PS時代でも物議を醸すレベルであり、戦車はポリゴン一枚一枚が際立つ前衛的な造形で、歩兵はホバー行軍。
BGMはタイトル画面から割れんばかりの爆音が鳴り響き、その音量設定は起動のたびにリセットされる。
UIも、これまでのSSαゲーの中でも(下から数えて)1,2を争うクォリティだ。
根拠地選択ではレースゲーム並の繊細な指捌きを要求され、船の航路は「イライラ棒」形式で操作するハメになる。
【ゲーム性】そのものも、凶悪な仕上がりである。
第一に《戦略性》の観点から見ると、「細かすぎて伝わらないシミュレーションゲーム」という新境地に挑んでいる。
もともとこのシリーズは物資の「輸送」にスポットライトを当てた作品であり、
いかにして自軍の補給の流れを確立するか、いかにして敵軍の輸送ラインを通商破壊するか、が鍵となっていた。
だが、ナンバリングを重ねるごとにパラメータが複雑化の一途をたどっており、本作においては荒唐無稽なまでに肥大化。
コントローラを置いてあれこれと計算する苦行が、プレイ時間の大半を占めることとなる。
また、本シリーズでは「プレイヤーが戦闘機の搭乗員まで一人一人決められる」というきめ細やかな設定がウリであるが、
よく考えてみると指揮官がそんなことをしていたら過労死確実であり、実際、「舌を噛み切りたくなる」という選評者の言もあった。
一方、そんなプレイヤーの苦悩をよそに敵CPUはチート全開で作戦展開しており、
補給はステルス輸送で、妨害どころか包囲も無効。ガソリン・重油にいたっては無限にストックしている始末である。
あまつさえ、こちらの輸送は敵のワープ部隊によって叩かれるため、正直者が馬鹿を見るという虚無感がプレイヤーを襲う。
第二に、《戦術性》の概念は、敵CPUの思考回路が理解不能すぎて成立していない。
陸戦では戦力差10倍の相手が弾切れで頓死し、海戦では輸送船が迎撃に飛び出す。
バランスの面から見ても、たった10機の爆撃機で旧日本軍の最強艦隊(大和・武蔵・長門・伊勢を含む)を殲滅できる惨状である。
最後に【バグと仕様】について述べると、本作ほど「仕様そのものがバグ」という言葉が似合う作品も無かろう。
フリーズはもはやSSαの伝統芸能なので特筆しないとして、実は、本作に関して目立ったバグ報告はあまりない。
それもそのはず、どこまでが仕様でどこからがバグなのか、未だにわけがわからないのである。
「一度も硫黄島に上陸してないのに硫黄島決戦に勝ったんだが…?」
「俺の潜水艦が60隻くらい消えてるんだけど、それは」、と白昼夢のような世界がプレイヤーを終始幻惑する。
では、ここからは総論に入ろう。
本作はかつて名作と呼ばれたシリーズであり、核となるゲームシステム自体は、二十数年前に一作目が生まれた時点から変わっていない。
だが、原作者を欠いた不毛な建て増しが繰り返されることによって、もはや誰も制御しきれない複雑系科学へと変貌したのである。
どこからどこまでが正常で、どこからどこまでが異常であるのか……。
本作については、プレイヤーも開発者も文字通り五里霧中で、ゲームの実体は雲散霧消と言えよう。
誰が言ったか、本作を指して「ゲー霧」とは、言い得て妙である。

以上、4作品が2012年KOTYのノミニーである。
空位を巡って和洋の猛者が結集し、総力戦となった今回。
大量破壊兵器に、掟破りのBC兵器の応酬、
かつてない世界規模の戦火の中で、最後まで立っていたのは……

『太平洋の嵐 ~戦艦大和、暁に出撃す!~』である。

その理由はひとえに、本作が「最強のクソゲー」であったからだ。
スケールの大きさ、クソ要素の多さについては先述の通りであるが、本作にはもう一つの決定的な特徴があった。
とにかく、【語りにくい】のである。
「ゲー霧」の名にふさわしく、本作を言葉で捉えようとしても霧のように散り消えてしまう。
人は皆、クソゲーを掴んでしまったとき、おどけて語ることで、笑い飛ばすことで、傷を癒そうとするものだ。
それすら許さない本作は、怒りや悲しみ、苦しみを吐き出す機会すら与えない、まさしく最強のクソゲーの一つであると言えよう。
言葉にしにくい本作のクソさに対して、当初、侮りや訝りの目線が向けられたことは否めない。
だが、実際に目の当たりにしてきた者たちの反応は違った。

このゲームこそが「一番のクソゲー」だ。

だが……言葉によって全てを明らかにしなければ、その確信が認められることはない。
かくして、魔物をもとめて霧の海への遠征が始まった。
それは、二月にも渡る苦難の日々だった。
選評が書き上がったと言い残したまま失踪した者もいた。
西方の勇者は「ストレスで禿げる」と言い残し、本作を封印した。
志半ばで選評を諦め、原稿用紙100枚にも相当する目次付きレポートを残した者もいた。
そうして徐々に、ひたすらに強大で、いびつな、怪物の姿形が明るみになってきたのである。
──やがて、戦士たちが死出の船旅を終え、『嵐』の選評が出揃ったとき、
まるで霧の晴れた地平線に、途方もなく大きな日の出を見たかのようだった。
皆、敬礼し、心から戦士たちの帰還を祝福した。

強かった。
かつてない強敵だった。

各々の心に刻まれた実感、何よりもそれが本作の「最強」の証明である。
それに勝る根拠など、幾ら理屈を並べ立てたところで用意できまい。
そして、もし仲間がいなければ、ここに帰る場所がなければ、心折れて敗北していただろう。
本来であれば、関わったプレイヤー全てを呑み込み、誰からも語られることのない存在……
『嵐』は、クソゲーの海に現れた、伝説のリヴァイアサンであったのかも知れない。 

2012年のKOTYは、今までにない世界規模のウォーゲームとなった。
思えば、和洋のクソゲー界は長きに渡ってそれぞれの道を突き進んできた。
東に『コンボイの謎』あれば、西に『E.T.』あり。
西に『Big Rigs』あれば、東に『四八(仮)』あり。
そんな中で、本年は一つの交錯点であったとは言えないだろうか。
『DNF』や『アフガン』を検証しながら、海の向こうの罵声に対して、我々は奇妙な一体感を覚えていたのではなかろうか。
『トキトワ』が今夏北米に輸出されると聞いて、申し訳なさと意地悪な笑みが同時にこみ上げていたのではないだろうか。
そして、大賞を取った『嵐』は、ジャパニーズ・クソゲー・カルチャーをどこまでも雄弁に物語るものであった。
すなわち、「クソゲーで受けた苦しみは、意地でもネタにしてやる」。
愚かで、ささやかな、復讐者たち(アベンジャーズ)の文化がここにある。

最後に、この狂宴を盛り立ててくれた新世代の申し子たちを並び讃え、
極東より愛をこめて、次の言葉を贈ることでKOTY 2012を締めくくることとする。

「世 界 よ、 こ れ が ク ソ ゲ ー だ !!」

総評案3 最新版(太平洋の嵐 ~戦艦大和、暁に出撃す!~)

2011年のKOTY(クソゲーオブザイヤー)は、新たなる探求のはじまりであった。
来る日も来る日も繰り返される再検証、混迷する議論のさなか、
スレ住人たちの関心は次第に、より根源的な問いへと向かっていた。

「クソゲーとは、何であるのか」

さらに言うならば、

「クソゲーオブザイヤー、すなわちその年一番のクソゲーとは、いったい何であるのか」

掟破りの「申し開き」によって再評価され、王座を勝ち取った『誤当地』は、そんな問いかけに対して一つの答えを示唆していた。
一つのクソゲーを語り尽くすには、あらゆる切り口からの緻密なアプローチと、執念たぎる厚い記述が必要であると。
そして、タカラトミーが事実上ゲーム業界から撤退し、王位を返上したことで、運命の歯車は大きく動き始めた。
クソゲー界における「大空位時代」の幕開けである。

地獄の総評審議を終えてKOTYスレが平穏を取り戻した3月、
日本のゲーム業界には、米国からの最後通牒が届いていた。
PS3/Xbox 360向けに発売された、『デューク ニューケム フォーエバー』(Duke Nukem Forever、通称「DNF」)。
13年もの製作期間を経て、2011年に海外で発売された超大作の、日本語ローカライズ版である。
本作の全容を語るにはまず、伝説の男である主人公【デューク・ニューケム】について語らねばなるまい。
FPS(ファースト・パーソン・シューター)というジャンルのあけぼのにおいて、彼こそがヒーローであった。
どこまでも広がる自由な世界、下品で奔放なジョークセンス、
鍛えた肉体と銃を武器に、エイリアンどもを蹴散らす圧倒的なパワー。
USAを体現するキャラクターとして、あるいは、『Wolfenstein 3D』や『DOOM』と並ぶ古典FPSの名作として、
彼の名は知る人ぞ知るところであった。
だが、長すぎる雌伏を経て、再び現れた彼の姿は、「腐ってやがる、遅すぎたんだ……」とばかりに変わり果てていた。
それでは、公式サイトで【これが"本物"のシューターゲームだ!!】と豪語するその実態を紐解いていこう。
まず、本作のゲーム性を総括すると、絶望的に地味で退屈なゲームだ。
撃ち合いそっちのけで、ヒントもマップも与えられないまま探索に駆り出され、
重しを持ち運ぶ、バルブをひねるといった、プレイ時間水増しのギミックを淡々とこなすだけ。
「困ったらWEBのQ&Aを見ろ」と言いつつ、公式サイトでは一切用意していないというまさかの「ググレカス」仕様も相まって、
プレイヤーのやる気はバターのように溶けていく。
デューク本人も、往時のカリスマはどこへやら、
持ち前の下品なジョークは序盤で息切れし、あとは粛々と作業を消化するのみ。
道中の戦闘では、弾の節約や自動回復狙いの隠れんぼが戦略の肝となる。
これだけでも海外大手ゲームサイトから、「10点満点中の0点」、「シリーズの面汚し」などの酷評を受ける出来であったが、
うれしくないことに、日本語版ではこのクソ溜めにさらに【おつり】がついてくる。
公式サイトでは、「販売延期のお知らせとお詫び」のジャンプ先が404 Not Found、と、製品の発売に先んじて喧嘩を売っており、
ローディングが約40秒、持ち運べる武器が二つしかない、といった問題点も、なぜか日本のみがパッチ未配布。
オンラインモードも日本のみ隔離措置で、発売1ヶ月時点で1時間以上プレイした人数が20人未満。過疎どころか、廃村状態である。
対戦できないのは言わずもがな、ランキング下位に「プレイ時間 00:00:00」という異様なスコアが並んでいたことも忘れがたい。
かくして、『DNF』は作中のデュークよろしく、alienすなわち「異邦人」たる日本人に対して全力で汚物を投げつけた。
ここに、和洋のクソゲー大戦の火蓋が切られたのである。

未曾有の外敵の脅威にうち震える日本のクソゲーハンターたちであったが、
それに続いて夏の盛り、終戦記念日の翌日に、とうとう本土上陸を許してしまうこととなる。
PS3専用ソフト、『ヘビーファイア アフガニスタン』(通称「アフガン」)。
本国のWiiWare市場でDL数ランキング1位かつ圧倒的低評価という、あの元祖『人生』と同じ偉業を引っさげての到来である。
本作のジャンルは、「レールシューティング」(レールシュー)。
ゲーム形式としては、画面内の敵を全て倒すたびに一定のルートを進んでいくものであり、
『タイムクライシス』シリーズや『ザ ハウス オブ ザ デッド』シリーズなど、
ゲーセンの定番であるガンシューティングと基本的には同じだ。
ところが本作の完成度はそれらの快作には遠く及ばず、むしろ世紀の怪作『デスクリムゾン』を彷彿させるものであった。
まずゲーム性については、独自の観点から【戦場のリアリティ】を徹底追求している。
たとえば、この手のジャンルでは「物陰に隠れて待つか、前に出て撃つか」の駆け引きがゲームの肝となるのだが、
本作ではいくら隠れようが関係なく撃たれたり、そもそも隠れる場所がなかったりと、面白くなるための鉄則を自ら叩き壊している。
敵配置はゲリラ戦の悪夢を忠実に再現し、光学迷彩とでも言わんばかりに背景にカモフラージュ。
撃たれるまでわからないどころか、撃たれてもパチンコ玉程度の小さな穴が開くだけで、「死ぬまで気づかない」。
リトライしても体力は回復しておらず、死ぬ直前からのループを延々と繰り返すゴールドエクスペリエンス・レクイエム状態が待っている。
かように過酷な現実の前では、主人公が口癖のように「ふぅあー!」と自らを奮い立たせるのも無理はあるまい。
また、「全力で手抜きしたい」という、妥協なき【コスト削減】の精神も随所で光る。
ストーリーは刺し身のツマ、どころかタンポポ程度の存在意義しかなく、徹頭徹尾「なんとなく任務をこなして終わり」。
人質救出のミッションで全員殺害しても不問で、車や倒壊物からの緊急回避に失敗しても無傷と、本当に何のドラマも存在しない。
サウンド関連も、「まないたで野菜切ってる音」と評される拳銃の発砲音、
ポップコーンとよく似たロケットランチャーの爆発音など、台所で収録可能なクォリティだ。
ハードモードでは「画面を暗くすれば敵が見えにくい(hard to see)」という、日本人にはない発想で既存ステージを流用しており、
「二つの難易度でボリュームも二倍だな」とばかりに、ミッション数をちゃっかり水増し表記していることにも注目されたい。
多人数モードも、レールシューの「レール」という部分に着想を得たのか、一人の動きに全員が連動する電車ごっこ形式である。
このような本気のクソゲーを作った開発会社の思いに応えたのか、
日本向け販売担当の「ハムスター」社も、入魂の【クソローカライズ】を見事にやってのけている。
手始めに、英・仏両言語対応20Pのマニュアルをモノクロ5Pに極限圧縮し、その一方で価格は3倍につり上げ。
それでいて日本版独自と言えるものはゲーム内の字幕追加のみであり、さぞかし手をかけたのであろうその日本語訳の内容も、
開幕一番、「It was my seventh birthday...」というモノローグを「17歳の誕生日だった」と訳す衝撃的なものだ。
それらの字幕は画面中央の一等地を占領するため、作戦中に表示されると邪魔なことこの上なく、
素の背景に小さな白文字で書いてあるだけなので、判読すら困難である。
ともあれ、「和魂洋才」を体現するこの一人大隊によって、戦局は一気に日本不利へと傾いたのであった。

立て続けの猛攻に対して辛酸を舐める日本勢であったが、
金木犀の香る頃、ついに起死回生の神風が吹く。
製作「イメージエポック」、販売「バンダイナムコゲームス」の黄金コンビによるPS3専用ソフト、
『時と永遠~トキトワ~』(通称「トキトワ」)の参上だ。
本作のふれこみは、ずばり「世界初! HD(ハイビジョン)アニメーションRPG!」であること。
その意気やよし、
「化物語」で話題沸騰のVOFAN氏をキャラクターデザインに招き入れ、音楽には古代祐三氏を起用、
むろん、声優も実力派を揃えている……と、
万全の布陣で臨んだはずの本作であったが、産まれ落ちた物体は未知のクリーチャーであった。
第一に、本作の売りである【アニメーション】についてだが、「節約」と「リサイクル」を前面に出したエコな仕上がりになっている。
つまり、敵味方問わずアニメの枚数が極端に少なく、動きはカクカクで、同じパターンの繰り返しばかり。
いっ○く堂でもリスペクトしたのか、音声と口の動きを盛大にズラしたり、口を動かさずに喋ったりといった小技も披露する始末だ。 
ヒロインにいたっては「横移動のアニメーションを削られる」という惨い仕打ちを受けており、
マップ画面では前進移動・方向回転と言った具合にラジコン操作するほかなく、
ボス戦では前に向かって走りながらカサカサと水平移動する姿が哀愁を誘う。
第二に、【RPGとしての出来】であるが、これも実に壊滅的である。
ザコ敵のグラフィックは十数パターンしか存在せず、残りはカラーバリエーション。
あまつさえ、全く異なる外見の敵同士でも、能力値をコピペした痕跡が見つかる始末だ。
バランス調整は「魔法」至上主義であり、
攻撃魔法が物理攻撃の1000倍ものダメージを叩き出す一方で、補助魔法を使えばラスボス戦も無傷で済む。
物理の重要性を説いた偉大なる反逆者『ラストリベリオン』に対してさらに反逆する者が現れるとは、いったい誰が予想できただろうか。
第三に、【ストーリー】についてもふれよう。
本作は、主人公とヒロイン「トキ」との結婚式を成功させるために、何度も時をさかのぼって冒険する「ループもの」だ。
だが、何よりもまず、この主人公の人格そのものがそびえ立つクソであり、
童貞臭あふれるゲスいモノローグと、場を凍らせるノリツッコミが全編にわたって猛威を振るうのである。
その上、メインシナリオでは彼だけでなく関係者ほぼ全員の頭がわいており、
プレイヤーは虚ろな目をしながら「早く終わってくれないかな……」と切望することとなる。
ファンタジーの世界なのに、ドラゴン相手にいきなり「消費者センターに訴えるぞ」という旨のセリフが飛び出し、
重要アイテムの引渡し場面では、「恥ずかしいから見るなよ!」→(画面暗転)→「ふんぬぬぬぅぅ~っ!」→(ブリュリュリュリュ……ポンッ!)。
ラスボスの動機は、「毎日ナイター中継を見ながらまったりしたい。そのためにお前らの"思い出"が必要だ」という意味不明なもので、
それに対する主人公の反応が「(ナイターが)毎日やってるわけないだろっ!」。
そのほか、不快なパロネタや、「オサ島」、「カクザ島」など、やる気のないネーミングを自ら茶化すメタネタも満載であり、
書いた人間に対して「殺意」という名のリアルな感情を呼び起こすことに成功している。
なお、しっぽまで○ンコが詰まっているタイ焼きのごとく、EDまでもがクソ要素だ。
ヒロイン「トキ」は2Pカラーの別人格を持っており、展開によってはこのアミバ(仮)と結婚するEDもあるのだが、
あろうことか花嫁入場のグラフィックがトキ版の使い回しであり、髪の色の違いは「まるでトキみたいだ……」の一言で片付けられる。
開発元のイメージエポックは「JRPG宣言」と称して日本のRPG製作をリードしようとしているが、
その結果については、本作公式サイトにおける「ひ、ひどすぎるよー!」という台詞が全てを物語っていたと言えよう。

にわかに風向きが変わった戦局の裏では、対米向け最終決戦兵器がひそかに建造されていた。
俗に、「年末には魔物が潜んでいる」と言うが、本年も例外ではなかったのである。
年の瀬迫る11月末、荒れ狂う大時化の海から突如現れた超弩級戦艦……
それこそが、名門「システムソフト・アルファー(SSα)」による、
『太平洋の嵐~戦艦大和、暁に出撃す!~』(通称、「嵐」)。
PCゲーム『太平洋の嵐5』を移植元とし、各プラットフォームで圧倒的低評価を得てきた戦略SLGだ。
全方面で隙のないクソゲーづくりに定評があるSSαであるが、今回も予想の斜め上を行っている。
それでは、各論から見ていこう。
グラフィックは初代PS時代でも物議を醸すレベルであり、戦車はポリゴン一枚一枚が際立つ前衛的な造形で、歩兵はホバー行軍。
BGMはタイトル画面から割れんばかりの爆音が鳴り響き、その音量設定は起動のたびにリセットされる。
【UI】も、これまでのSSαゲーの中でも1,2を争う低クォリティだ。
チュートリアルなどという軟弱なものは用意せず、ゲーム開始と同時に意味不明なパラメータとコマンドが画面狭しと乱舞。
SSα恒例の、「マウス操作を機械的にパッドに割り振りました」と言わんばかりの複雑なボタン操作に加えて、
今作ではカーソル操作も一味違う。
根拠地に勝手に吸い付く左スティックと、超高速で動く十字キーを交互に駆使することが求められ、
瀬戸内海から船を出す際には、峠を攻める走り屋のごとくギリギリのドライビングテクニックが試される。
【ゲーム性】そのものも、凶悪な仕上がりである。
第一に《戦略性》の観点から見ると、「細かすぎて伝わらないシミュレーションゲーム」という新境地に挑んでいる。
もともとこのシリーズは物資の「輸送」、特に海上輸送にスポットライトを当てた作品であり、
いかにして自軍の補給の流れを確立するか、いかにして敵軍の輸送ラインを通商破壊するか、が鍵となっていた。
だが、ナンバリングを重ねるごとに設定項目が複雑化の一途をたどっており、本作においては荒唐無稽なまでに肥大化。
「どれだけ積載容量が余っていても、2種類以上の貨物を載せるのは断固拒否される」、
「1ターン辺りの輸送量は人力で計算しなければならない」、
といった変態仕様も重なり、コントローラを置いてあれこれと計算する苦行がプレイ時間の大半を占めることとなる。
また、本シリーズでは「プレイヤーが戦闘機の搭乗員まで一人一人決められる」というきめ細かな設定がウリであるが、
よく考えてみると司令官がそんなことをしていたら過労死確実であり、実際、「舌を噛み切りたくなる」という選評者の言もあった。
一方、そんなプレイヤーの苦悩をよそに敵CPUはチート全開で作戦展開しており、
補給はステルス輸送で、妨害どころか包囲も無効。ガソリン・重油にいたっては無限にストックしている始末だ。
おまけに、こちらの輸送は敵のワープ部隊によって叩かれるため、正直者が馬鹿を見るという虚無感がプレイヤーを襲う。
第二に、《戦術性》の概念は、敵CPUの思考回路が理解不能すぎて成立していない。
陸戦では戦力差10倍の相手が弾切れで頓死し、海戦では輸送船が迎撃に飛び出す。
バランスの面から見ても、たった10機の爆撃機で、大和・武蔵・長門・伊勢を含む旧日本軍の最強艦隊を殲滅できる惨状である。
最後に【バグと仕様】について述べると、本作ほど「仕様そのものがバグ」という言葉が似合う作品も無かろう。
フリーズはもはやSSαの伝統芸能なので特筆しないとして、実は、本作に関して目立ったバグ報告はあまりない。
それもそのはず、どこまでが仕様でどこからがバグなのか、未だにわけがわからないのである。
「一度も硫黄島に上陸してないのに硫黄島決戦に勝ったんだが……?」
「俺の潜水艦が60隻くらい消えてるんですが、それは」、と白昼夢のような世界がプレイヤーを終始幻惑する。
では、ここからは総論に入ろう。
本作のゲームシステムの礎は、二十数年前に、硬派SLGの極北とうたわれた初代『太平洋の嵐』が築いたものだ。
だが、原作者を欠いた不毛な建て増しが繰り返されることにより、
もはや誰も全容を把握しきれないカオス理論の大迷宮へと変貌してしまったのである。
ひとたび足を踏み入れれば、出口にたどり着くことは永遠にかなわず、足下は雲の上を行くかのように心もとない。
本作については、プレイヤーも開発者も文字通り五里霧中で、ゲームの実体は雲散霧消と言えよう。
誰が言ったか、本作を指して「ゲー霧」とは、言い得て妙である。

以上、4作品のノミネートを以って、2012年KOTYの大賞を発表しよう。
空位を巡って和洋の猛者が結集し、総力戦となった今回。
大量破壊兵器に、条約違反のBC兵器の応酬、
前例のない世界規模の戦火の中で、最後まで立っていたのは……

『太平洋の嵐~戦艦大和、暁に出撃す!~』である。

その理由はひとえに、本作が「最強」のクソゲーであったからだ。
はて、最強とはなんぞや。
歴代のKOTYを見てもわかる通り、「その年一番のクソゲー」が何かとは一口には言い切れない。
「最高」、「最凶」、「完璧」、「絶無」……
大賞に選ばれた作品は、それぞれ全く違った形で自らの勝利を掴み取ってきた。
本作の場合、スケールの大きさ、クソ要素の多さについては先述の通りであるが、
それにもまして、もう一つの決定的な特徴があった。
とにかく、【語りにくい】のである。
「ゲー霧」の名にふさわしく、本作を言葉で捉えようとしても霧のように散り消えてしまう。
人は皆、クソゲーを掴んでしまったとき、おどけて語ることで、笑い飛ばすことで、傷を癒そうとするものだ。
それすら許さない本作は、怒りや悲しみ、苦しみを吐き出す機会すら与えない、まさしく最強のクソゲーの一つであると言えよう。
言葉にしにくい本作のクソさに対して、当初、侮りや訝りの目が向けられたことは否めない。
しかしながら、実際に目の当たりにしてきた者たちの反応は違った。

このゲームこそが「一番のクソゲー」だ。

だが……言葉によって全てを明らかにしなければ、その確信が認められることはない。
かくして、魔物をもとめて霧の海への遠征が始まった。
それは、60日にも渡る苦難の日々だった。
選評が書き上がったと言い残したまま失踪した者もいた。
西方の勇者は「ストレスで禿げる」と言い残し、本作を封印した。
志半ばで選評を諦め、原稿用紙100枚にも相当する目次付きレポートを残した者もいた。
そうして徐々に、ひたすらに強大で、いびつな、怪物の姿形が明るみに出てきたのである。
──やがて、戦士たちが死出の船旅を終え、『嵐』の選評が出揃ったとき、
まるで霧の晴れた地平線に、途方もなく大きな日の出を見たかのようだった。
皆、敬礼し、心から戦士たちの帰還を祝福した。

強かった。
かつてない強敵だった。

各々の心に刻まれた実感、何よりもそれが本作の「最強」の証明である。
それに勝る根拠など、幾ら理屈を並べ立てたところで用意できまい。
そして、もし仲間がいなければ、ここに帰る場所がなければ、心折れて敗北していただろう。
本来であれば、関わったプレイヤー全てを呑み込み、誰からも語られることのない存在……
『嵐』は、クソゲーの海に現れた、伝説のリヴァイアサンであったのかも知れない。 

2012年のKOTYは、今までにない世界規模のウォーゲームとなった。
だが、一方で、クソゲーを通じて世界のゲーマーと心通じた年であるとも言えないだろうか。
思えば、和洋のクソゲー界は長きに渡ってそれぞれの道を突き進んできた。
東に『コンボイの謎』あれば、西に『E.T.』あり。
西に『Big Rigs』あれば、東に『四八(仮)』あり。
そんな中で、本年は一つの交錯点であった。
『DNF』や『アフガン』を検証しながら、海の向こうの罵声に対して、我々は奇妙な一体感を覚えていたのではなかろうか。
『トキトワ』が今夏北米に輸出されると聞いて、申し訳なさと意地悪な笑みが同時にこみ上げていたのではないだろうか。
そして、大賞を取った『嵐』は、ジャパニーズ・クソゲー・カルチャーをどこまでも雄弁に物語るものであった。
すなわち、「クソゲーで受けた苦しみは、意地でもネタにしてやる」。
愚かで、ささやかな、復讐者たちの文化がここにある。

最後に、2012年のKOTYを盛り立ててくれた新世代の申し子たちを並び讃え、
同年公開の映画「アベンジャーズ」から次の言葉を借りることで、この狂宴に幕を下ろそう。

「世 界 よ、 こ れ が ク ソ ゲ ー だ !!」