2019年 次点

概要    

名称YIIK: ポストモダンRPGhttps://store.playstation.com/ja-jp/product/EP2081-CUSA12012_00-JPPS400000000001[外部リンク]https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000003858[外部リンク]
ジャンルRPG
対応機種PS4/NintendoSwitch
発売元Ysbryd Games
開発元Ackk Studios
発売日2019年01月31日
価 格1980円(8%税込価格)、DL専用
対象年齢CERO:D(17才以上対象)

参考動画    

トレーラー

任天堂による紹介動画

選評    

選評1    

https://docs.google.com/document/d/1euUxfkqyBMkhGLjFSXUFpbT8VBhYeuTH8JMIhEzlx4M/edit?usp=sharing

●はじめに
ラスボスやエンディング等の重大なネタバレ情報を多く含む。
2/18時点の情報を元に執筆されており、それ以降のバージョンアップや新情報等は考慮されていない。
筆者のプレイ環境はPS4なので、特に断りの無い場合はPS4でプレイした時のものとする。
エンディングは複数あるが筆者は1種類しか見ていない。
本著は以上を前提とする。

●基本情報
YIIK: A Postmodern RPG
開発はシンガポールのAckk Studioであり、販売形態はDL販売専用となっている。
プラットフォームはPS4、Switch、steamであり、発売日は1/31(steam版は1/17だが日本語対応は1/31なので実質同日)である。
値段は各機種ともに税込み1980円となっておりお手軽なロープライスゲームである。

●ゲーム概要
本作品は3Dで作られており、見下ろし型の視点でキャラを操作する街とダンジョンとフィールドから成り立つごく一般的な、それも90年代の古き良き時代を思わせるRPG+ADVである。

・戦闘
戦闘はコマンド戦闘方式に特殊な操作を組み合わせたものである。詳しくは後述する。
各キャラにはHPとPPが割り振られており、HPが無くなると戦闘不能になる。PPはスキルの仕様に消費する。
特殊なキャラとしてHPやPPを使用しないキャラもいるが、代わりにENと言う両方が合わさったものが割り振られている。
エンカウントはフィールドがランダム、それ以外はシンボルエンカウントとなっており、シンボルエンカウントに関しては一度倒すと復活しない仕様となっている。

ダンジョンには様々な仕掛けがあり、それらを主人公の持つ特殊なアイテム等で仕掛けを解き踏破する謎解き要素の強い物となっている。

・ストーリー
大学を卒業した主人公アレックスが地元に帰り、ふと気になった変な猫を追いかけたらサミーと名乗る女性に出会う。
初対面のサミーに何故か妙な親しみを感じていた。しかしサミーは超自然的な何かに連れ去られてしまい行方不明となったサミーを探す事になる。
探索するうちに様々な仲間との出合いがあり、その一方で宇宙の深淵を知ってしまい、やがて来る世界の崩壊と対峙することになる。

本作はマルチエンディングで2つ目のエンディングが確認されている。公式で3つ目のエンディングが示唆されているが2/18現在発見者は0である。

●戦闘の問題点
序盤はストレスが貯まるQTEを長時間何度もこなす耐久マラソンであり後半は強スキルの連打ゲーと化す。

・戦闘システム
戦闘はただのコマンド戦闘ではなくコマンド1つ1つにQTEがあり、キャラによってはミニゲームが挟まる。それらに失敗すると強制的にミス扱いとなるので毎回のプレイが必須である。
ちなみにQTEは設定で難易度を下げられる。下げれば劇的に成功しやすくなるものもあるが、焼け石に水の物もある。
仲間キャラは主人公を含め大雑把に7人いるが7人とも全く違うものになる。
例えば主人公がたたかうを選ぶと、画面に回転するレコードが出てきてヒットゾーンでボタンを押せば成功となる。(要はシャドウハーツ)
レコードが1周する迄に2回まではミスが許されるので適当に連打してもある程度攻撃が出来るのだが、うまくやれば2周3周と回転し何度も攻撃が出来る。
あまりに適当ではミスするが、うまくやってもそこまで強くない。

他の仲間のこうげきはレバーを倒してタイミングよく離すものであったり、ボタンを長押ししてタイミングよく離すモノであったり様々である。
これらもうまくやれば攻撃力が上がったりこうげきが全体化したりと恩恵があり、やはり適当では弱くキャラによっては主戦力になり得る場合もある。

最も難易度が高いのはマイケルという仲間のこうげきであり、タイミング良くボタンを押すと言うものだが判定が異常にシビア且つ一回でもミスると即終了となる。
しかも全員に言えることだがこうげきに失敗するとミス扱いになるので、何ターンも延々とミスを出し続けることになる。
そしてマイケルを必ず使用しなければならない序盤は敵が固くこちらの火力も低いので、戦闘が異常に時間がかかりマイケルに殺意が向くことになるであろう。
対して序盤から仲間になるヴェラのこうげきQTEは非常に簡単なのでQTEの難易度のお陰で主戦力になる。

戦闘にはたたかう以外にぼうぎょ、スキル、逃げる、アイテムがある。
スキルも各キャラどころか各スキル毎に操作が違いやはり失敗するとミス扱いになる。
例えば仲間のヴェラは3つのスキルを覚えるが1つはしょぼいゼルダのような戦闘が挟まり、1つは何故かエアホッケーが始まる。
もう1つが操作方法も覚束ない状態で始まるマリオUSAなのだが、初見でマリオUSAと見抜きアイテムを引っこ抜くと言う発想に至れるプレイヤーは余程のゲーム強者であろう。
筆者は制限時間も相まって3回目の使用でようやくルールを把握し初めて当てたのが5回目の使用だった。
ちなみにヴェラはマリオUSAを使用するのに必要なPPが15に対し最大PPがクリア時に50弱程度であった。
成功するかどうかも微妙なスキルに最大PPの1/3を使うのはどうかと思うが、他のスキルは対象限定だったり、はたまた敵味方関係なく全員に攻撃する(しかも味方にとってはそれなりに痛く敵に対しては誤差ダメージの)スキルなので遠慮なくマリオUSAを使えるのは長所であろう。
なお成功しても誤差程度でしかないダメージなのは目を瞑る事とする。
他にもボタンを触らなければ成功したが未だに成功条件がよくわからないスキル(実プレイ時にはボタンを触ると敵に攻撃防御のバフがついた)や、主人公の攻撃QTEの難易度を上げただけのスキル等様々なミニゲームが用意されており、退屈になりがちな戦闘を筆者の怒号や罵声で彩ってくれていた。
ものによってはミニゲームの無いスキルも一部あり、選ぶだけで即座に発動してくれる。

逃げるのにもちょっとしたミニゲームが挟まる。
ちなみにイベント戦闘で逃げ切れない場合でもミニゲームが始まり、頑張って逃げるミニゲームをこなしても出口で強制的に捕まってしまう。
ぼうぎょとアイテムは選べば即座に発動してくれるのでストレスフリーである。

敵が攻撃してくる時にもQTEが挟まりうまく行けばダメージの軽減や完全回避等も行える。
QTEが挟まらない攻撃も一部存在する。

・戦闘バランス
とにかくダメージがデフレしておりQTEをどれだけ頑張っても序盤は1ダメージ、精々2ダメージが出るかどうかである。
敵の体力は体力バーで可視化されており与えたダメージがある程度わかるのは幸いである。
中盤になると2桁ダメージがちらほら出始めるが、基本はQTEがうまく行かないときの4ダメージや、頑張っての12ダメージ程度である。
とあるキャラが20ダメージも与えた時はあまりの強さに筆者は感動してしまった。
終盤になると唯一のENを持つキャラが自身の最大ENの半分を消費し50ダメージを与える程である。
対して敵は異常に固い。最序盤こそ1や2のダメージでワンパンだが、そこを乗り越えると体力が7もある敵が出始め戦闘に時間がかかることとなる。
体力7に対しこちらの攻撃要員は3人である。うち1人はマイケルなので実質2人であり1体敵を倒すのに数ターンかけるか、お金の無い序盤に回復アイテムを贅沢に使うかの2択を迫られる。
それから中盤までは味方の火力は雀の涙程度だと言うのに敵の体力だけはきっちり上がっていくので戦闘にかかる時間はどんどん増えていく。
雑魚戦相手に2〜3分かかるのはザラであり、ボス戦もかなりの時間がかかる。
RPGお馴染みのミミックはどのタイトルでもそこそこ強いがこのゲームでも勿論強く、実プレイ時には一桁〜10そこそこ程度のダメージを駆使し倒すのに10分近くかかった。
ミリ単位でしか減らない体力バーをカスダメで減らす事に喜びを見出すプレイヤー以外にとってはもはや作業でしかない。
しかもQTEが毎回毎回発生するので疲れからミスする事があり、その度にため息を漏らす羽目になるだろう。

終盤になるとどうなるんだろうと心配してるだろうがどうか安心してほしい。
中盤あたりで主人公がLPスローと言う技を覚えるのだがここから戦闘がガラリと変わる。
この技を使うと敵に3桁ダメージを平気で与えラスボスでさえ3回も使えば体力を削りきれるのだ。
問題はQTEの難易度だがこちらも気にする必要はない。
ミニゲームはSTGのような物なのだが○を連打してれば大体成功するので難易度を下げる必要どころか画面を見る必要すらない。
この技の出現により主人公以外はアイテム要員兼肉壁と化し煩わしいRPG要素はLPスローを選びボタンを連打するだけで大抵は終了する。
通じないのはラスボスを含む一部イベントボスだけであり、ラスボス手前の中ボス群はほぼワンパンである。
ちなみにラスボスの攻略方法はわざと全滅すると言うものであり、気が付かずに30分戦ったプレイヤーもいるようだ。
攻略方法はほぼノーヒントであり手探りで探らなければならないのは、倒すだけのゲームに対するアンチテーゼとしてポストモダン的な表現したのかもしれない。
なにはともあれスキルを覚えてLPを投げればいいと言うだけのバランスにならなかったのは僥倖と言えよう。
蛇足だが睡眠を付与するスキルがあり、勿論ラスボスにも通じる事を付け加えておく。

●ストーリー等の問題点
戦闘やシステムで溜まったストレスに追い打ちをかける主人公の身勝手さが光る。

・ストーリー
詳しく説明すると長くなるので、詳細を知りたいなら是非ともプレイしてもらいたい。
時代は1999年でありY2K問題直前の話である。
序盤は化け物みたいなのや違う世界からの訪問者や幽霊等かなと思える存在が現れる。
しかし中盤に差し掛かるとパラレルワールドがどうのソウルメイトがどうの魂は同じだのとオカルトのようなSFのような何かになっていく。
最終的に主人公の魂はどの世界でも世界を滅ぼすのでこの世界も滅ぶことになるらしく、破壊に立ち向かう事にする。
話の大筋自体はわからないでもないが最近は凄惨な事件が多い事をY2Kだからなと皆が納得するのは首を傾げざるを得ない。
最後は大晦日に世界を滅ぼすものが現れるのだが、これの存在はともかく何故Y2Kと絡めて話に関わるのかもよくわからない。
話の本筋自体は強引だが納得できなくも無い。しかし出来の悪いSFでしかなく面白いと褒められるかと言うと疑問符が浮かぶものである。
筆者の見たEDはバッドエンドと言うかビターエンドと言うか、ハッピーでは無いが当然だろうなとは思えた。

矛盾点はパッと見無いが投げっぱなしの伏線がかなり多く回収はされていない。
伏線だけではなく思わせぶりな部分も目立つが、大半は思わせぶりなだけで話は広がらず今ひとつ消化不良である。
主人公の家にはほぼ母親しか出てこないのに本当は6人家族で他の家族にはほぼ触れられなくて家族構成が父親と母親と主人公以外は不明だったり、
とあるキャラクターの妹の痕跡で起きる不運な出来事が起きた理由だったり、
何故か海の向こうにRPGお馴染みの塔があるのにそこには行けなかったり、
その塔はただのオブジェクトかと思いきや作者が思わせぶりな事を言うだけでやっぱりいけなかったり、
ついに誰か到達したと思ったらバグを駆使しての到達だったりと消化不良感が非常に強い。

・キャラクター
主人公のアレックスがとにかく嫌なヤツと言う程の物ではないがクズに近い無職でストレスが溜まりがちである。
ローリーというキャラが消えた妹を探すのに手を貸して欲しいと主人公達に頼む。
アレックス達はそれらがサミーに繋がるかもしれないと協力する。
かなりの危険に合うが妹はとっくに死んでいた事が判明する。
安全な所まで逃げ出したがそこで意気消沈のローリーに対しアレックスが俺達は死にかけたんだぞと罵倒を浴びせるシーン等はかなりのクソ展開ではないだろうか。
確かに気持ちはわからんでもないがそこまで言う事なくない? と他の仲間に窘められる始末である。
そんな主人公が村上春樹よろしく謎の独白やモノローグを繰り返すのだが正直不快である。
ストーリー上読み飛ばしても大体わかるので連打で飛ばせるのは評価点と言えよう。
他には母親が失職した際に働きたくないでござるみたいな空気を出すが、プレイヤーの主人公に対する好感度は低いので何いってんだこのクズとしかならない。

●UI等システムの問題点
微妙に反応しない場合があったり変な仕様だったり、そもそもフリーズも多く場合によっては進行不能になるバグも存在する。

・色々な問題点
まず起動してはじめからを選択すると○けってい×キャンセル△ランダムとの表記と共に会話が始まる。
しかし名前入力の時には△が何の機能も果たさない軽いジャブでまずつまずくだろう。

アイウエオ カキクケコ
サシスセソ タチツテト
〜〜
パピプペポ
ァィゥェォ ャュョッ
スペース けってい

このような入力画面なのだがオとカの間でスペースが入力出来るに関わらずスペースがあるのは良いとして、スペースからけっていにカーソルを移動しようとすると何故か複数回キー入力しないと移動しない仕様になっている。
何故か伸ばし棒は無いので名前入力の際には注意が必要である。
妙にやりにくい名前入力を7回も終えたら「じゃあ今入力したのは全部忘れて!」の文言と共にゲームが始まる。
ゲームをはじめたら先ずはステータスを見てみたくなるものである。
メニューを開くと何も表示されておらずステータスを見てみようとすると間違いなくフリーズする所で第一ラウンド終了である。
これを回避するためにはゲームを初めて一番最初にゲームをセーブしてロードすればいいのだが、そこに至るまでにまたもや7回の名前入力が待ち構えている。どうか乗り切って欲しい。
ちなみに名前入力の際に主人公の名前を一文字にしてキャンセル直後に決定を入力すると名前欄がTrueと言う表記になる。
この場合どんな弊害があるのかはまだ試してはいない。

他にもゲーム中はしょっちゅうではないが思い出したかのようにフリーズするのでセーブは頻繁に行うべきである。
他には別データをロードするにはゲームを終了させなければならないがゲームを終了する際にもしょっちゅうフリーズするが些細な問題である。
余談だがセーブ画面だけは決定が×なのでたまに間違うのは笑って許せるようになるだろう。

フリーズ以外で再現度が高いバグではとあるダンジョンに顔のついてる壁がある。
その壁に対し向かって右側面から話しかけると壁の上にワープ出来てしまい、しかも鍵のある扉に辿り着けてしまう。
RTAに使えそうに思えるバグだがそこの扉をバグルートで開けてしまうと進行不能となるので注意する必要がある。

例えば大晦日に戦う事になるボスがいるのだが開幕に眠らせて眠らせたまま戦うと何故か進行が停止してしまいリセットを余儀なくされる。
そもそも勝利条件がHPを0にすることではないので眠らせる必要はないのだが、初見でそんな事がわかるはずも無く筆者は何度かやりなおすハメになった。

地味にイラつく要素もある。
例えばアイテムなのだが一列に下まで並んでいて、新規アイテムは一番下に収納される。
新しいアイテムの詳細を知りたいなら下までカーソルを動かせば良いのだが、カーソルの移動が妙に遅く地味なストレスポイントになる。

●評価点
クソゲーなので音楽はとても良くサントラが欲しくなる出来だ。
ザコ相手の戦闘曲ですら毎回違っていて音楽のアレンジによる舞台の表現などもあり手放しで褒められる。

キャラクターも主人公以外は個性的であのマイケルですら最終的には個性の塊になる。
アクも強いが不思議な魅力もあり嫌いにはなれなかった。

グラフィックはチープだが1980円という値段もあり気にはならない。
デザインはMOTHER2に影響を受けたのがそこかしこに見えていてこれもまたアクが強いが個人的には好みである。

●まとめとして
確かにつまらないゲームである。不思議な魅力もありただのクソとして切り捨てるのはどうかと思うが、こうしてクソ要素を並べるとクソはクソと客観的に思える作品だった。