2007年 次点

オレたちゲーセン族

ジャンルシリーズ物
対応機種プレイステーション2
発売元ハムスター
開発元M2、ゴッチテクノロジー、REAKOSYSその他
発売日2005年7月21日(第1弾)、10月27日(第2弾)、
2006年1月26日(第3弾)、3月23日(第4弾)、5月25日(第5弾)、
2007年2月8日(第6弾)
価格2,000円(税込み)
対象年齢CERO:A
  • ノミネートしているものの、総評では触れられなかった。丁度GT5Pとは逆の立場である。

要点

・レゲー一本に対して2000円。これ何てぼったくりバー?
・担当するメーカーによって移植度の当たり外れが大きい。しかも後半は全部ハズレメーカーが担当。
・外れは本当に外れ。移植度以前に商品失格なタイトルまである。
・当りは当りで特典つけても2000円は高いだろうと思うような古いタイトルばかり。
・トドメにMAME盗用疑惑。電凸してもメーカー側は完全無視してついには一部タイトル廃盤。

参考までにアタリ・ハズレ早見表(カッコ内の数字は弾数)。
(当り)
・スクランブル (1)
・クレイジークライマー (1)
・空手道 (1)
・タイムパイロット (1)
・ムーンクレスタ (1)
・イー・アル・カンフー (2)
(微妙に残念)
・バーガータイム (2)
・テラクレスタ (2)
・スーパーバレーボール (2)
・プーヤン (5)
(ハズレ)
・ソニックウィングス (1)
・クォース (3)
・熱血硬派くにおくん (3)
・熱血高校ドッジボール部 (4)
・ラビオ レプス (4)
・悪魔城ドラキュラ (5)
・魂斗羅 (5)
・サンダークロス (6)
・トリオ・ザ・パンチ (6)

選評

(出展:Wikipedia)
近年のリバイバルゲームブームに乗って、
過去のアーケードゲームを最新のゲーム機に移植するシリーズは各社より出ているが、
他社のリバイバルゲームは1本のソフトに多数のタイトルを収録しているのに対して、
本シリーズはあえて収録するタイトルを1タイトルだけに絞り、
その分アーケード版オリジナルの再現度を追求した事を売りとしている。
また、ソフト本体に映像特典DVD、ゲームミュージックCD、コレクションカード、公式ガイドブック、
保存版インストラクションカード、解説書の6点を加えた「豪華7点セット」となっている。
(出展終わり)


2005年7月21日。
次世代機の噂も絶えないこの時期に、そのシリーズは発売された。
オレたちゲーセン族。
往年の名番組「オレたちひょうきん族」をリスペクトした恥ずかしいタイトル、
パッケージに描かれた古いテーブル筺体等、その露骨とも言えるターゲットの絞り方もさる事ながら
「スクランブル」「タイムパイロット」等、素直にトリロジー化して売れば良さそうな古ゲーを
わざわざPS2のソフト1本で売る商魂と言うか銭ゲバぶりに多くのレトロゲーファンは失笑。
しかしながら「クレイジークライマー」「ムーンクレスタ」のニチブツや「空手道」のデータイースト(販売)、
テクノスジャパン(開発)等、2005年の時点で既に業務を縮小していたり会社が消滅したり等して
復刻が難しいとされていたゲームを高い再限度+おまけ付きで発売した事に対しては
一部のゲーマーから評価された。「ソニックウィングス」(ビデオシステム)以外は。
思えばこれが最初の警告だったのかもしれない。
アルゴリズムがめちゃくちゃで当時リアルタイムでプレーしていたプレイヤーから
「他がまともなのに何でこれだけ!」とあちこちで怒りの声が聞こえた。
そもそも第1弾のラインナップ6作品のうち5作品が80年代前半のゲームなのにソニックウィングスのみ
92年発売の作品で浮いてたために原作レイプに差恥プレイ上乗りという快挙を成し遂げた。


2005年10月27日。
第1弾「ソニックウィングス」の悪い流れを断ち切るべく第2弾、4作品が発売された。
この時発売された「イーアルカンフー」が前回の汚名を晴らす好移植。制作は懐ゲーの移植に定評のあるM2。
しかしこの時また別の問題が発生する。M2が移植したのは「イーアルカンフー」のみで、
「バーガータイム(発売当時は「ハンバーガー」、版権の都合でタイトルを変えた)」
「テラクレスタ」「スーパーバレーボール」を移植したのは「REAKOSYS」なる聞き慣れない名前の会社だった。
この会社が後にキーパーソンとして暗躍するのは後述するとして、そもそも何故1つのシリーズとして
くくられている企画にも関わらず移植を担当するメーカーがバラバラなのかという疑問、
ハムスターの姿勢が問われたもののこの次点ではまだ目立った被害はソニックウィングス以外出ていない。
この時点では。


2006年1月26日
年が明けて発売された第3段、前回のバーガータイムではSEが重なると割れて聞こえる、縦画面モードが無い、
テラクレスタにおいてもPSG音源版のみでマニアには評判だったFM音源版が収録されてないと
微妙に残念な移植だったものの第1弾のソニックウィングスよりはまだマシな出来で
再現度事体はさほど問題が無かった為、
M2程ではないがまぁそこそこの仕事はするだろうと誰もが思っていたREAKOSYSが突然やらかした。
「熱血硬派くにおくん」がまさかの地雷。初のアーケード版完全移植の鳴り物入りで発売された本作品は
「画面右端が途切れて出力されている為、画面表示をどの様に調整しても、ハイスコアの数値が常に切れて表示される」
「ボーナス設定のスコアが本来30000点なのに対し、300000点と表示されている」
等の再現度以前の問題に加え、あるユーザーがアーケード基盤と同じ動作でROMチェック
(コンフィグ画面で1P、2Pのスタートボタンを押しながらタイトル画面に戻る)を行った際に
「ROM2 ERR(エラー)」と表示されたとの報告が。
要するに、「移植した元のデータが 海 賊 版 」だったのだ。
海賊版を家庭用に移植したメーカーと言えば他にはサターンにペンゴを移植したセガくらいなものである。
当然、正規ライセンス版とは微妙に仕様が違う為、正規版用の攻略法が通用せず
(敵が硬すぎて従来の攻略法では確実に時間切れになる)それでなくとも
間違いかもしれないとは言え海賊版を移植するという暴挙は企業としていかなるものなのか。
さらには公式BBSではその問題に対する指摘、質問に対する明確な対応が何も無いまま閉鎖されてしまった。
企業ぐるみでどうしようもない会社である。
ちなみにもう片方の「クォース」に関しては「オープニングデモのスプライト処理が不正確で表示が不自然」
との指摘が聞こえた。スプライト命!な人種が多いオールドゲーマーにとっては残念な仕上がりだが
REAKOSYSとは別の会社らしい。半年も経って未だに委託する業者が統一されていない。


2006年3月23日
第1弾発売から数えること8箇月、第4弾にしてようやくハムスターも委託業者を統一するようにしたらしい。
REAKOSYSに。よりによって、である。何も知らない消費者に海賊版を2000円で売ったあのREAKOSYSである。
改心して神移植、とまでは言わないが少しはマシになっているだろう、等という甘い期待を抱いてはいけない。
「熱血高校ドッジボール部」、アーケード版くにお2作品がまさかの連続レイプという悲劇。
前回と同じく画面右端の処理が不正確な仕様に加え、音声のタイミングが不正確、パッケージに表記された
「処理落ちは当時のゲーム性を再現」と謳いながら実際プレイしたらそのような処理落ちが無く
(おまけにゲームバランスにも影響していた処理落ちで当然ながら当時のゲーム性は損なわれる羽目に)、
下手したらJAROから注意されかねないポカをやらかす。
「ラビオレプス」ここまでビデオシステムのゲームはぞんざいな扱いを受けていたがこれもご他聞にもれず
画面右端の処理が不正確な仕様(REAKOSYSは画面右端がよほどお嫌いらしい)に加えて
ニンジンボーナスタイムの終了音が無い、5面の冒頭で3面のBGMが鳴る、ラスボスの叫び声が無いといった
「音声面での」不具合が多数発見されている。
BGM命!な人種が多いオールドゲーマーにとっては非常に残念な仕上がりだが
これが終末に向けての前奏曲だとは誰も気づかなかった。
ちなみにビデオシステムブランドのゲームはここで打ち止め。
何と無残にも全てが糞移植だったのは悲劇としか言いようが無い。


2006年5月25日
第5弾は原点に立ち返る為か久々に80年代前半のゲーム「プーヤン」が登場。第1弾(ソニックウィングス除く)、
第2弾のイーアルカンフーの夢よ再び……と言うわけにも行かずハイスコアのセーブが反映されない残念な仕様。
当然、こんなファミコンレベルのゲームもまともに移植できないREAKOSYSが移植を手がけた
魂斗羅、悪魔城ドラキュラ(AC版)はお粗末極まりない内容でまずは魂斗羅。
再スタートの際に前回のスコアが残ったままの時がある、付属のDVDのノーミスプレイ動画が、
残機数0でのクリアとなっている、とゲーム本編と特典両方でポカをやらかす。
悪魔城ドラキュラ。オープニングのドラキュラの笑い声のタイミングが少し早い。
ネームエントリーのBGMが、終了後にフェードアウトしない。
付属のDVDのプレイ動画が3面までしか収録されていない。
とこれまたゲーム本編と特典両方でポカをやらかす。
本編での移植のまずさに加えて特典がこんな内容で2000円も払わせて宜しい物だろうか。
社内にゲームのうまい社員はいなかったのか。少しはゲームセンターCXの歴代AD陣を見習って欲しい。


2007年2月8日
これまでの集大成と言わんばかりの第6弾「サンダークロス」が発売される。
「スペースマンボウ」名義での移植は数多く存在するが
サンダークロスとしては20年近く経って初の家庭用ゲーム機への移植である。
これがまともなメーカーなら誰も文句は言わなかったが既に前科多数のREAKOSYS。
集大成は集大成でも一味違う。例を挙げても
・処理が重く、BGMやゲーム自体が全体的にスローテンポで、付属のサントラまでもが同様の状態。
・ファイヤーの効果音が割れている、一部アイテムを取得した際の効果音が無い、
ボス前でBGMがフェードアウトしない、4面の冒頭の轟音が無い、ラスボス戦はサウンドが鳴らず、
エンディングやスタッフロールは無音等、サウンドの再現度はシリーズ内最低水準。
・全体を通じてスプライト処理の優先順位が不正確な為、
本来は地形に隠れている筈の敵キャラが丸見えであったり、最終面では地形が崩れて表示される事もある。
・2P側のスコアが1P側に入ってしまったり、スクロールがガタガタしていたり、
ステージ終了後にフリーズしてしまう等、再現度だけでは無く商品としても問題が見受けられる。
と一体どうやったらここまで原作をレイプできるのかと問い詰めたい内容。
糞移植の真髄を極めなければここまで狂ったブツは現れまい。参考までに動画を。
(オレゲー版)http://jp.youtube.com/watch?v=Uw6BF2tR_kU [外部リンク]
(AC版)http://jp.youtube.com/watch?v=rge3HUzH9IA [外部リンク]
まず2コンの得点が1コンに入るようなゲームはこれから何世紀経っても現れないだろう。
そして不本意にもトリをかざる事となった「トリオ・ザ・パンチ」は
サンダークロスと同じく処理が重くてBGMとゲームがもっさり。
当時から糞ゲーとして有名だったとは言えさらに糞ゲーにしていいと言う訳ではない。
後に発売された携帯アプリ版の方が完成度が高かったのはどう言う事だろう。


2005年から足掛け1年半。崇高な目的とは裏腹に断続的に続いた原作レイプ&詐欺は
最悪の形で幕を閉じようとしていた。参考までに下のURLをご覧頂きたい。
http://www.hamster.co.jp/orga/enquete/ [外部リンク] 
この中には移植されなかったタイトルも混じっているが
正直言って移植されなかったタイトルのファンはホッとしているのではないか。
あれは悪い夢だったのか……誰もがそう思っていたこの時、思いも寄らない疑惑が持ち上がった。

MAME盗 用 疑 惑

各タイトルのCD-ROM内のSLPMファイルを展開した際の文字列データから、MAMEのソースコードを
そのまま使用していると思われる物が存在するとの報告がされたのは誰もがオレゲーを忘れかけていた時だった。

『Copyright (C) 1998 Juergen Buchmueller, all rights reserved』
『Technos.nkdodgeb........svolley.rabiolep』
『Copyright (C) The MAME Team 1999』
『Copyright (C) John Butler 1997』
『Copyright (C) The MAME Team 1999』
『Copyright (C) 1999, 2000 Bryan McPhail』

……この文字列は一体何を意味するのだろうか。MMRを呼べとでも?
MAMEの商用利用については認められていない。
また、オリジナルのソースコードに手を加える等して利用する場合であっても、
それらについての情報を公開する必要がある。それらを怠った場合は著作権の侵害となる
(過去にもWiiのバーチャルコンソールのようなサービスを行おうとした業者がMAMEを無断で使用して大問題になった事がある)。
さて、ここで改めて考えてみよう。オレゲーのタイトルラインナップの原作メーカーだが
金満コナミはまだ健在としてデータイーストとテクノスジャパンは消滅しているし
日本物産は業務縮小、ビデオシステムは現在存在するかしないかさえ解らない。
冷静に考えれば、たとえ権利者がいたとしても、その人物ないし法人が
ゲーム基盤やデータまでもを持っているとまでは考えられない
(天外魔境の第1作目も同じような理由で移植出来なかった)。
仮にあったとしてもそれを日本から韓国まで輸送する手間(REAKOSYSは韓国のメーカー)、
それをさらに解析する技術が果たしてREAKOSYSを初め原作レイプを起した会社に出来たのか甚だ疑問である。
最悪、無償ROM配布サイトからデータだけDLして……おっと、これは言い過ぎか。


ともあれ、2007年3月29日、元締めのハムスターは通信販売サイト『Hamket.com』を同年
4月30日に閉鎖と発表。
それと同時に、同サイトの商品リストから上記タイトルの約半数が削除され、
サンダークロスに至っては廃盤という処置が取られた。
この段階では、メーカーからMAME盗用疑惑に対するコメント等は一切されておらず、
今回の騒動との関係はいまだに不明である。
ハムスターはもはや無かったことにしたかったのだろうが一番無かったことにしたいのは我々ユーザーの方である。