2012年 次点
概要
名称 | デューク ニューケム フォーエバー | |
ジャンル | ファーストパーソンシューティング |
対応機種 | PlayStation3 / Xbox360 |
発売元 | テイクツー・インタラクティブ・ジャパン |
開発元 | 2K Games & gear box |
発売日 | 2012年3月29日 |
価格 | 5,980円 (税込) |
対象年齢 | CERO:Z(18歳以上のみ対象) |
参考動画
要点
日本での知名度はかなり低い作品だが、本国アメリカでは絶大な人気を誇っているファーストパーソンシューティング「Duke Nukem3D」の続編。
※シリーズとしては4作目だが、1作目と2作目は2Dアクションなので別物である。
Duke Nukem3DはいわゆるDoom型FPSのブームに乗って発売された作品だが、個性豊かな敵キャラと主人公の濃すぎる魅力で空前の大ヒットを飛ばし、熱狂的なファンを獲得した作品。
当初1998年に発売される予定だったのだが、開発チームの相次ぐ変更等の不運に見舞われ発売が伸びに伸び、最終的に本国では13年後の2011年に発売された。
この時点で半端ない地雷臭を漂わせていたのだが、大手レビューサイトにて前代未聞の0点を付けられ、「恥知らずの忌々しい後継者」と評される等、酷評の嵐。
しかも日本版はDLCも修正パッチも配信されず、購入者が非常に少ない作品にも関わらずオンラインサーバーも隔離と、最悪な物に更に糞要素を盛り付けて販売。
スレでの呼称は英語表記を略して「DNF」。加えて、同国の某超大作映画に肖り「日本よ、これがクソゲーだ!」という名キャッチコピーがスレで誕生した。
イベント関連
- 開始直後は下品なジョークが所々に散りばめられており、笑いを誘うような部分もあるが、序盤の30分程であっという間にネタ切れを起こす。
- 2週目以降もイベントスキップは存在しないので、万が一周回プレイをする場合はただ邪魔なだけ。
- エイリアンに取り込まれた女NPCに近づくと、突如身体が破裂し小さいエイリアンが出てきて攻撃してくるという気分の悪くなるトラップがある。
- 微かな喘ぎ声と悲鳴がそこら中に響き「おうちに帰りたい」「助けて」などと言い、近づくと腹部の部分がボコボコっと膨らみ破裂して虫が飛び出す。
- 下品なんてものじゃなくただただ悪趣味な上、これが一マップに5~6個設置されている。助け出すことも不可能なため、ひたすら胸糞悪くなること請け合いである。
- ゲーム内でうんこを持って投げることが出来るのだが、曰く「糞を投げつけられたのは俺達(=プレイヤー)」。
- ちなみにうんこを掴むことでトロフィー・実績が獲得できる。
クソゲーを掴まされただけでなくトロフィーのためにうんこを掴まされるって何この罰ゲーム。
- 次に何処へ行けばいいのか、どのような謎解きなのかと言うヒントが一切無く、マップすら無い。
- 極端な説明不足も相まって、何をすれば良いのか、何の為にここにいるのかすら分からなくなる。
- 結果無駄に広大なエリア内をひたすらウロウロする必要がある。
- 見つけ出した先にアッと驚くような展開もなく、基本的にずっと地味なまま。
- 一応ヒント的な物がロード中に表示されるのだが、内容がまさかの「困ったらWEBのQ&Aを見ろ」。
- つまりは「ググれカス」ということ。ちなみに公式にQ&Aがある訳では無い。
戦闘関連
- 肝心の戦闘の割合がやけに少ない上に、内容もつまらない。
- 派手な戦闘は殆どなく、地味な戦闘を少々やった後はユニークさの欠片もない謎解きや行き先探索を強要される。
- それらもノーヒントな為に何をすれば良いのかも分からない。
- 挙句内容は重しを載せたりするだけと言うような、地味で似たような展開が続く。正に誰得と呼ぶに相応しい謎解き。
- 対して売り文句は『これが"本物"のシューターゲームだ!』(公式サイトより)であるから驚くしかない。
- 敵の種類が少なく、視覚的な派手さもほとんど無い。
- その演出が毎度一本調子かつ古典的で、既視感が凄まじい。
- ラスボスに至っては、姿形、攻撃方法、止めの刺し方までもが一番最初のボスの使い回し。
- しかも何故か非常に弱い。対して雑魚戦闘は後述する理由で鬼畜難易度と、どこぞの『亡霊』を彷彿とさせる。
- 途中で難易度の変更ができ詰まることはそう無いが、一部のマップやボスなどは鬼畜仕様で、突如として死に覚えゲーに大変身する。
- これ自体は特に酷いものではないが、後述するロードの仕様が重なって完全に糞と化している。
- 武器周りが古臭い上に超不親切設計。
- ズームボタンでアイアンサイト(銃の上に付いている○部分)を覗くことが出来ず、画面全体が狭まり拡大されるだけ。
- 遠くの敵を狙うにしても腰だめ撃ちを強いられる。
- しかも厳密にはズームと言うより、ほぼ瞬時に拡大画面に切り替わるためとても使いづらい。
- しゃがみ中、ジャンプ中(頂点に到達する瞬間)、移動中(前後左右)と、どんな体勢においても弾道の精度は全く同じ。
- 持てる弾数が少ない上に、2種類の武器しか持ち歩けない。
- 弾を節約する為には狙い撃ちをしなければならないが、後述する処理落ちがネックになる。
- あまりに不評だった為、海外版ではパッチにより武器を4つまで所持出来るようになった。
- 敵AIの出来が非常に粗末で、ゲームバランスの調整もずさん。
- 大抵の場合は突っ込んでくるだけか逃げるだけなのだが、小銃を持った敵ですら突撃してきて零距離で銃を撃ってくる。
- 対してエイムの正確さは異常であり、どれだけ離れていても文字通り針の穴を通すような正確無比な銃弾を浴びせてくる。
- 例えるならゴルゴ13(デューク東郷)に匹敵する腕前。デュークとは主人公の名前なのだが、これだと敵の方がしっくりくる。
- 透視能力があるのか、どれだけ隠れて移動しようとそれを見越した上でグレネードやら弾幕やらを浴びせてくる。
- 暗闇で敵から見えない設定の場面があり、ちょっかいさえ出さなければ何をしても気付かないと言う、超お粗末なステルスアクションの場面がある。
- しかし終盤で同じような真っ暗闇の中、全く同じ敵が正確無比な銃撃を浴びせてくる。
- ダメージを少しでも負うと即座にワープをしてくる敵がいる。
- 2秒ほど間を置いてランダムに復活するのだが、復活した瞬間に銃を正確に撃ってくる。
- 自力で避ける事は難しく、背後に復活されて連打を喰らうと体力のほとんどを持ってかれる。
- 運悪く囲まれたりした場合は抵抗しても無意味。
- 一部の敵は真上をウロチョロ飛び回り、攻撃が非常に当てづらい。
- こいつらも銃弾を当てたら即ワープを繰り返すため、もはや小バエのような鬱陶しさ。
- 敵にヘッドショットを決めてもそれらしいモーションは一切無い。
- そもそもヘッドショットが決まったかどうかすら分からない。
- 瀕死の敵に近づきボタンを押すことで、とどめを刺した上で体力回復が出来るという技があるのだが、自動の体力回復速度が早い為不必要。
- しかも、とどめを刺すモーション中に敵に囲まれたら即死しかねない。
- 反面敵の脅威がない場面では急いでHPを回復する意味も無い為、使う機会が無い。
システム関連
- 頻発する処理落ちに加え、呆れるほどに長いロード時間。
- 敵や物が動くだけでフレームレートが不安定になる。
- 頻繁に起こる処理落ちも相まって、敵の狙い撃ちが非常に困難。
- マップによって多少の差はあるが、基本的に32~36秒程度のロードが発生。
- これを死んでリトライするたびに強いられることとなる。
- 更に、エリア移動などでも同程度の時間が掛かる。
- 流石にまずいと思ったのか海外版ではパッチが出ており、20秒前後と半分近くに短縮されている。
- インストールする際の「必要HDD容量」は、破格の4.6GB以上。
- グラフィックが別段良いわけでもなく、一体全体何に容量を割けばここまでの大きさになるのか甚だ疑問。
- 例を挙げると、かの大作『MGS4』と殆ど同じ容量。繰り返すが、一体何をどうすれば超高画質ムービー満載のゲームと並ぶ大きさになるのだろうか。
- オートセーブのタイミングが無茶苦茶。
- 仮に"謎解き(A)→謎解き(B)→ミニイベント(C)→戦闘(D)"と進む場面があったとして、普通であれば各一つずつにオートセーブが入る。
- これなら死んだとしても直前からプレイしなおすことが可能。
- しかしDNFでは、戦闘(D)で死んだ際に謎解き(A)まで戻されるといった理不尽仕様。
- 異常なロード時間に耐えた挙句、一度やり終えた謎解きや戦闘をまた強要される。
- ついでに戦闘終了後に落下や罠で死んだ場合も、大抵は戦闘前に引き戻される。
- 英語音声と日本語字幕(またはその逆)といった組み合わせを選択できない。
- 発売前の情報では日本語英語両方の音声と字幕が入っており、好みによって切り替えられると宣伝されていた。
- 実際は本体設定依存で、本体の設定が日本語である限り英語の音声も字幕も選べない。
- 英語圏内にすれば日本語の音声も字幕も選択できない。
- ちなみに日本語音声を担当している声優陣は、「立木文彦、喜多村英梨、後藤邑子、etc」とかなり豪華。
- しかしクリア後に流れるスタッフロールはおろか、説明書のキャスト一覧にすら名前が無い。
- 対して海外の声優陣(米・伊・仏など)は記載されている。何故?
その他諸々
- そもそも発売に至るまでの過程からして地雷であることが見え見え。
- 実際に発売されたのは2011年(北米地域)だが、当初の発売予定はなんと1998年。
- 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『テリーのワンダーランド』などが発売された年。PS2やゲームキューブは発表すらされていない時代である。
- 当初の予定から13年と言う前代未聞の大延期である。詳細は下記参照。
- 1997年 ファーストトレイラー公開、および発売日を「1998年中頃」と発表
- 1998年 当時最新のゲームエンジンでの作り直しを決定、当初は「大幅な遅れは生じない」とされた、これが長い泥沼の始まりである
- 2002年 新開発チーム設立、及びゲームエンジン変更によりまたしても一から全て作り直し
- 2004年 当時最新であった物理エンジンの導入を公表し、更に開発が長引く事となる
- 2009年 公式サイトに「発売日:出来たら」と書かれて幾年が過ぎた頃、突然「DNF」のプロジェクト完全凍結及び開発会社の閉鎖が発表
- 2010年 シリーズ終了が確実視されていた中、「プロジェクト再開及び開発会社の変更」が発表された
- 2011年 発売直前に1ヶ月の発売延期がなされたが、訓練されつくしたファンにはどうと言うことはなく、6/14に海外での発売日を迎える
- 2012年 当初は国内でも2011年夏の発売予定だったが、延期を繰り返し、3/29に国内での発売日を迎える(この時点でSteamでは値段が300円程に暴落)
- 余談だが、公式サイトにて「販売延期のお知らせとお詫び」をクリックすると「Not Found」になる。
- 延期に延期を重ねていつまでも発売されないさまは、タイトルの頭文字を取って「Do Not Finish」と揶揄されていた。
- 何故か日本版だけが不遇の扱いを受けている。
- 海外では既に配信されているDLC(シングルキャンペーン含む)が日本では配信されない。
- 加えて前述したように、海外版では既にパッチで修正されている点がそのまま残っている。当ててから売れよ。
- 更に、エログロ要素もかなり規制されている。
- そして、オンラインサーバーが日本だけ隔離されている。
- しかも発表されたのは発売日当日である。
- 只でさえ極少数しか居ない日本版所持者同士でしか戦えない。
- オンラインの過疎っぷりが尋常じゃなく酷い。
- オンラインでの戦績を上位100名に限って見れるが、5/7時点で本作のオンライン対戦を一時間以上プレイした人数は20人にも満たない。
- 30分以上プレイした人数でも40名程度。
- 発売後半月ほどはランキング下位に「プレイ時間 00:00:00」と言う異様なスコアが並んだ。
- 発売から1ヶ月ほど経った時点では対戦はほぼ絶望的。
- 選評者によると「GW期間中にほぼ毎日20分ほどクイックマッチなどを試したが一度も対戦は出来なかった」とのこと。
選評
選評その1
2012年3月29日、最後の最後までもつれた前年度のKOTYが決定し、KOTY住民は束の間の春を謳歌していた
そんな中遠く海の向こうアメリカにてクソゲーの名を欲しいままにした作品が、ひっそりと日本に上陸していた
――「14年も掛けたんだから面白くて当然だ」
主人公のそんなセリフで始まる本作の名は「Duke Nukem Forever」(以下DNF)2kGamesより北米地域においては2011年6月14日に発売され
日本では2012年3月29日にPS3/Xbox360で発売されたFPS(一人称視点のシューター)である
デューク・ニューケムシリーズは日本での知名度こそイマイチだが、海外では絶大な人気を誇るシリーズで
1996年に発売された代表作「Duke Nukem 3D」はFPSの代名詞的存在であるDoomと並び称される程の超名作ソフトである
そのような人気シリーズ最新作である本作「DNF」だが、大手レビューサイト「1UP」にて同誌史上初の"0点"(100点満点)を獲得し
最大手「GameTrailers」には"恥知らずの忌々しい後継者"と評されるなど発売する前から各方面より酷評の嵐が降り注ぐ
そうなってしまった理由の一つに度重なる発売日の延期、開発チームの相次ぐ変更などによって生じた、悲惨な開発環境が挙げられる
しかもこの「DNF」はそこいらの延期とは文字通りケタが違う、実際に発売されたのは2011年(北米地域)だが、当初の発売予定はなんと1998年
1998年と言えば、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『テリーのワンダーランド』などが発売され、長野オリンピックが開催された年である
当初の予定から13年と言う前代未聞の大延期がなされた背景には何があるのであろう、以下に主だった略歴を紹介させていただく
1997年 ファーストトレイラー公開、および発売日を「1998年中頃」と発表
1998年 当時最新のゲームエンジンでの作り直しを決定、当初は「大幅な遅れは生じない」とされた、これが長い泥沼の始まりである
2002年 新開発チーム設立、及びゲームエンジン変更によりまたしても一から全て作り直し
2004年 当時最新であった物理エンジンの導入を公表し、更に開発が長引く事となる
2009年 公式サイトに「発売日:出来たら」と書かれて幾年が過ぎた頃、突然「DNF」のプロジェクト完全凍結及び開発会社の閉鎖が発表
2010年 シリーズ終了が確実視されていた中、「プロジェクト再開及び開発会社の変更」が発表された
2011年 発売直前に1ヶ月の発売延期がなされたが、訓練されつくしたファンにはどうと言うことはなく、6/14に海外での発売日を迎える
2012年 当初は国内でも2011年夏の発売予定だったが、延期を繰り返し、3/29に国内での発売日を迎える(この時点でSteamでは値段が300円程に暴落)
※余談だが公式サイトにて"販売延期のお知らせとお詫び"をクリックすると「Not Found」になる、謝る気はないようだ
因みに国内で販売するに当たって、海外では既に配信されているDLC(シングルキャンペーン含む)が日本では配信されないと発表された
日本版所持者への不遇はこれだけに収まらず、海外版では既にパッチで修正されている点(一部は後述する)がそのまま残っている
更にはいくつかのエログロ要素の規制と、オンラインサーバーが"日本だけ"隔離される事が明らかになった、因みに発表されたのは発売日当日である
エログロ規制はともかく、サーバー隔離をされると外国版所持者と対戦できない為、只でさえ極少数しか居ない日本版所持者同士でしか戦えない
この過疎ぶりを示す数字として「ランキング:トップ100」と言う本作のオンラインでの戦績を上位100名に限って見ることが出来るのだが
5/7時点で本作のオンライン対戦を一時間以上プレイした人数は20人にも満たず、30分以上プレイした人数は40名程度と言う見事な過疎ぶり
その過疎ぶりから発売後半月ほどはランキング下位に「プレイ時間 00:00:00」と言う異様なスコアが並んだ
発売から1ヶ月ほど経った時点では対戦はほぼ絶望的で、GW期間中にほぼ毎日20分ほどクイックマッチなどを試したが一度も対戦は出来なかった
本作のオンライン対戦をしたければ同ソフトの国内盤を奇跡的に所持してるユーザーを招待するしか方法は無いだろう
このような極端な過疎状態であるため、オンラインは評価対象以前の問題として、オフライン部分についてはどうか
ゲーム開始当初こそはお下品なジョークが好きであれば笑えるようなジョークが所々に散りばめられており、笑いを誘うような部分もある
オープニング後トイレで小便をするシーンより始まったり、糞を手にして投げつけるなど、そのお下劣さに往年のファンは懐かしさを抱いたかもしれない
しかし次第にユーザーは「糞を投げつけられたのは俺達じゃないか…」と気付く、そもそもこれらお馬鹿要素はほとんど序盤の30分程に集約され
中盤以降はネタ切れとでもばかりに鳴りを潜める、しかも2週目以降もイベントスキップなんて物は無いので仮に周回する場合はただの邪魔でしかない
ゲームを進めると、ある違和感に出くわす、本作は次にどこへ行けばいいのか、どのような謎解きなのかと言うヒントが出ず、マップすら無いのだ
具体的に言えば、最近のFPSでは大抵の場合画面上かマップに行き先が表示されるか、ヒントを教えてくれる物が多く、少なくとも目的くらいは分かる
だが今作ではそういったシステムは一切無く、極端な説明不足も相まって、何をすれば良いのか、何のためにここにいるのかすら分からない
そこを見つけ出した先にアッと驚くような展開があればまた違うのだが、基本的にずっと地味なままである
地味故に分かりづらく、地味故に達成感の無い、正に誰得と呼ぶに相応しい謎解きを延々と解き続けるのはもはや苦行
サクサク進めたいと思っても、そもそも何をすれば良いのかすらわからないため、無駄に広大なエリア内でもひたすらウロウロしなければならない
このレトロっぷりに懐かしさを感じる方もおられるのかもしれないが、流石に時代錯誤が過ぎる
しかしそういった道に迷ったユーザーを救うヒントがロード中に表示される、「困ったらWEBのF&Qを見ろ」(公式にF&Qは無い)つまりググれカスである
更に合間合間に発生するエリア間ロードにもヤキモキさせられ、ストレスは貯まる一方、この時点で大半のプレイヤーはゲンナリするだろう
そこらをグッと耐え、どうにかイベントポイントを発見しイベントを進めていると、戦闘の割合がやけに少ない事に気づくことになる
ユーザーが求めていたであろう派手な戦闘はほとんどなく、地味な戦闘を少々やった後はユニークさの欠片もない謎解きや行き先探索を強要され
それらもノーヒントなために何をすれば良いのかも分からない上、結局は重しを載せたりするだけと言うような、地味で似たような展開が続く
本作の売り文句として『これが"本物"のシューターゲームだ!』(公式サイト)とあるが、広報担当は一度でもこのゲームをプレイしたのだろうか
しかし少ないながらもその戦闘部分が面白ければ許せてしまうのがシューターの性、しかしそんな微かな希望もすぐに打ち砕かれる
豊富とは言えない敵の種類、戦闘の際も視覚的な派手さはほとんど無く、しかもその演出が毎度毎度一本調子かつ古典的で、常に既視感が付きまとう
ラスボスに至っては、姿形、攻撃方法、止めの刺し方までもが一番最初のボスの使い回しと言う体たらく、しかもえらく弱い
FPSに慣れた者にはそこまで難しいゲームでは無く、途中で難易度の変更も可能なので、あまり詰まることは無いのだが
一部のマップやボスなどは鬼畜仕様で、突如死に覚えゲーに大変身し、お世辞にもバランスが良いとは言えない
けれど理不尽な難易度をトライ&エラーで打破するというのは、昔ながらのファンには当たり前であり、必ずしもクソ要素とは言えないかもしれない
しかしこのゲームに限っては間違いなくクソ要素である、その理由は呆れるほどに長いロード時間である
マップによって多少の差はあるが、基本的に32~36秒程度ものロードを死ぬ度に強いられることとなる、これはエリア移動などでも同程度掛かる
最大の問題点であるロード時間だが、海外版ではパッチが出ており、20秒前後と半分近くに短縮されている、※日本版は除く
本作をプレイするにあたっての「必要HDD容量」は4.6GB以上、相次ぐ処理落ちに長すぎるロード時間、一体4.6GBもの大容量を何に使っているのか
そして現代のFPSでは当たり前の機能としてオートセーブがあり、DNFにも当然オートセーブ機能があるのだが、そのタイミングが無茶苦茶
仮に"謎解き(A)→謎解き(B)→ミニイベント(C)→戦闘(D)"と進む場面があったとして、普通であれば各一つずつオートセーブが入り
死んだとしても直前からプレイしなおすことが可能なのだが、DNFでは戦闘(D)で死んだ際に謎解き(A)まで戻されるといった理不尽がしばし起こる
ただでさえ尋常じゃないロード時間に耐えて、ようやっと終ったと思ったら一度やり終えた謎解きや戦闘をまた強要されるのだ
「戦闘終了したからセーブされただろう」と言う油断はこのゲームでは禁物である、戦闘終了後に落下や罠で死んだら、大抵は戦闘前に引き戻される
中毒性のあるゲームを「止め時が見つからない」と評する事があるが、クソゲーを評する時にも使う日が来るとは思わなかった
更に本作では、ズームボタンでアイアンサイト(銃の上に付いている○部分)を覗くことが出来ず、画面全体が狭まり拡大されるだけと言うレトロ感
遠くの敵を狙うにしても腰だめ撃ちを強いられ「遠くの敵はズームして覗き込んで撃つ」が当たり前の、現代のFPSに慣らされたものにはそれだけで一苦労
しかも本作では厳密にはズームと言うより、ほぼ瞬時に拡大画面に切り替わるためとても使いづらく、正直大抵の場面で使う価値がない
敵や物が動くだけで不安定になるフレームレート、頻繁に起こる処理落ちも相まって、敵の狙い撃ちを一層困難にする
狙い撃ちというと操作キャラをしゃがませて射撃を行ういわゆる「しゃがみ撃ち」は最近のほとんどのFPSでは反動を抑えたりするような利点がある
本作ではどうか、壁を相手に検証してみたところ弾道の安定や反動を抑えるといった副産物は一切無く
ジャンプ中(頂点に到達する瞬間)と移動中(前後左右)での弾道の検証も行ったが結果は同じ、どんな体勢でも同じ精度とは流石デュークである(棒)
狙い撃てないのならバラ撒けば良いじゃないかとお思いかもしれないが、本作では持てる弾数が少ない上に2種の武器しか持ち歩けず
弾を節約せざるを得ないため、弾をばら撒いたていたらとてもじゃないが弾は足りないので、ある程度は狙い撃つ必要が出てくる
特に武器が2つしか持てないという点は海外でも大変不評だった模様で、海外版では既にパッチにより武器を4つまで所持出来るようになった※日本版は除く
雑魚敵のAIの出来は非常に粗末で、大抵の場合は突っ込んでくるだけか逃げるだけなのだが、小銃を持った敵ですら突撃してきて零距離で銃を撃ってくる
せめて極端に近づいたら殴りかかる位の判断くらいは出来て欲しかった
このお馬鹿AIであるが、エイムの正確さは異常であり、どれだけ離れていても自分に向けて文字通り針の穴を通すような正確無比な銃弾を浴びせ
透視能力があるのか、どれだけ隠れて移動しようと、それを見越した上でグレネードやら弾幕やらを浴びせてくる
ある程度弾をバラけさせたり、敵に視覚と言う概念を作る技術すら無いのか、それともやる気が無いのか
他に敵AIのやっけつを示す例として「暗闇で敵から主人公が見えない」と言う設定の場面があり、横でどれだけ大きな音を立てようと
殴り合いや銃での撃ち合いをしていようと、ちょっかいさえ出さなければ気付かないと言うなんともお粗末なステルスアクションの場面があるのだが
終盤で同じような真っ暗闇で全く同じ敵が正確無比な銃撃を浴びせてくる、最初の設定はどこにいったのか
またダメージを少しでも負うと即座にワープをしてくる敵がおり、2秒ほど間を置いてランダムに復活するのだが、復活した瞬間に銃を正確に撃ってくる
このため自力で避ける事は難しく、背後に復活されて連打を喰らうと、体力のほとんどを持ってかれるため、どこか遠くで復活するよう願うしか無い
運悪く囲まれたりした場合は抵抗しても無意味で立ち回りとかそういったテクニック云々の話ではなくなってくる
更に一部の敵は真上をウロチョロ飛び回り、攻撃が非常に当てづらい上、銃弾を当てたら即ワープを繰り返すため、もはや小バエのような鬱陶しさ
敵にヘッドショットを決めてもそれらしいモーションも一切無く、そもそもヘッドショットが決まったかどうかすら分からず、爽快感は皆無
瀕死の状態の敵に近づき、ボタンを押すことでとどめを刺した上で体力回復が出来ると言う技があるのだが、そもそも本作は体力回復が早い上
そのとどめを刺すモーション中に敵に囲まれたら即死しかねない、かと言って敵の脅威がない場面では急いでHPを回復する意味も無い
最後までこの技を有効に使える場面に遭遇する事はなかった
崩壊したバランス、古臭い操作性、面白みのなく単調なマップ、ストレスを与えるだけの敵、死ぬ度に強いられる長い長いロード時間
本作の戦闘で得るものは爽快感などでなく、ただひたすらに「やっと終わったか…」と言う徒労感のみ
本作は発売前の情報では日本語英語両方の音声と字幕が入っていると宣伝され
「好みによって切り替えられる(GameWatch)」「もちろん英語音声の日本語字幕でのプレイもできる(4Gamer)」と報道されたが
実際には本体設定依存のため、本体の設定が日本語である限り英語の音声も字幕も選べないし、英語圏内にすれば日本語の音声も字幕も選択できない
最も需要が高かったであろう英語音声+日本語字幕が選択することが出来ないのは、ファンにはなんとも残念過ぎる仕様である
そもそも何故このような中途半端な仕様で出したのか、その中途半端な仕様で日英両音声両字幕を収録と喧伝したのか、理解に苦しむ
その日本語音声だが、ローカライズにあたって中々に豪華な声優陣(立木文彦、喜多村英梨、後藤邑子 等)をキャストに据えているのだが
クリア後に流れるスタッフロールはおろか、説明書のキャスト一覧にすら名前が無い(海外の声優陣(米伊仏 等)は記載されている)
そのスタッフロールですら処理落ちし出す(発生自体は稀)辺り、最後の最後まで自らがクソゲーであることを証明しているように思えてならない
こうして一時代を築いたヒーロー"デューク・ニューケム"は「Duke Nukem Forever」(デューク・ニューケムよ永遠に)とはなれず
「Duke Nukem "For Never"」(デューク・ニューケムは永遠にナシ)となった
おわり
選評その1補足
自分はPS3版をプレイしましたが、360版もほぼ同等の内容です
盛り込もうか迷ったが、取り敢えず外したもの
鏡を見ながら自分に惚れ惚れするシーンで「セクシーなうしろ姿、たまんねぇぜ」などと意味不明な事を言い出す(英語版では「I’m bringing sexy back」と言っている)
>誤訳?を入れだすとキリが無いのと、自分自身英語に詳しくないので、深く突っ込めない
低評価レビューが続出した頃、ある一つのショッキングな騒動が話題となった
DNFを担当していた広告代理店が「一部のレビュワーには悪意がある」とし「今後レビュー用の新作ディスクを送らない」と表明し
他にもEuroGamer等の大手サイトにも「2k Gamesのブラックリストに追加した」などと明らかな脅しを掛けていたことが明らかになった
後に「2K Gamesはこの件には関わっていない」と釈明した、関わっていない割にはとても具体的な脅しであったが、真相は闇の中である
>要素としては面白くて、載せたかったが、前置きが長くなりすぎなのと、2K Gamesに直接の責任があるわけではないので
エイリアンに取り込まれた女NPCに近づくと、突如身体が破裂し小さいエイリアンが出てきて攻撃してくる
近づく前は微かな喘ぎ声と悲鳴がそこら中に響き「おうちに帰りたい」「助けて」などと言い
近づくと腹部の部分がボコボコっと膨らみ破裂して虫が飛び出すと言うなんとも気分の悪くなるトラップ
これはもう下品なんてものじゃなく、ただただ悪趣味、しかもこれが一マップに5~6個設置されている
>やってて本当に不快でしょうがなかったが、個人の好き嫌いによる面が強いのでカット
水中でもショットガンやミサイルをぶっ放し、陸上と変わらぬ威力を保つと言う物理法則の無視っぷり
>バカゲーだしこれくらいはまぁ良いかと
中盤にてデュークがアーマーを着るように指示された際に「そんなのはタマ無し野郎どもが着てりゃ良い」と小馬鹿にするシーンがある
代表作であり前作でもある「Duke Nukem 3D」で体力の横にアーマーと言うアイテムがあり、とてもお世話になっていたはずなのだが
果たしてこれはデューク流の自虐なのか、ただ単にスタッフが忘れていたのか、恐らく後者だと思われる
>なんでやねんとは思ったが糞要素では無いか
そしてDNFはデュークと言う強烈な個性を生かしたキャラゲーとしての側面が非常に強いことも補足しておきたい
筋肉隆々、常にモテモテで皆に慕われるのデュークが色んな武器を手に世界を救う、そういうアメリカ的ヒロイズムを体現したデュークこそが醍醐味である
さて本作ではどうか、弾数も少ない上武器も2つしか持ち運べず、体力がとても低いためダメージを受ける度に物陰に隠れて体力の自動回復を待たねばすぐに死ぬ
現在流行してる要素を取り込んだつもりなのだろうが、中途半端に現代のFPSに迎合した結果、キャラゲーとしての魅力すら無くしてしまった
>書いてて前作との比較や主観が多いかなと感じたため