2008年総評案?

08年クソゲーオブザイヤー 総評案


その1

2008年はこれまでにない程のハイレベルな戦いが繰り広げられた。

昨年の大賞である「四八(仮)」がそのありえないクソさでスレ住人の目を肥やしてしまい、

2006年までだったらノミネートされていたかもなぁ、というレベルのソフトもいくつかスルーされた。

これをスレ住人は「四八ショック」と呼び、今年はクソゲー飢饉かと囁かれたが、

一年を終えてみれば大豊作であったと言えるだろう。







今年の開幕投手を務めたのは「メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!」

Wiiバブルに何とかして便乗しようとして育成された、タカラトミーの隠し球である。

同じ試合中であるにも関わらずその状況になる度に何度も何度も現れる一枚絵の操作説明画面や、

打球の飛んだ方向に無関係に流される「意外性抜群の」打球デモ、

さらに1球1球投げる度にデモを流すなどして、一試合2時間以上という野球のプレイ時間を見事に再現してみせた。

投げた瞬間にストライクかボールかが相手にわかってしまう男らしい投球システムや、

ストーリーを圧縮しすぎて原作ファン以外お断りのADVパートもなかなか味わい深い。

まさにジャイロボールの名に恥じぬ、剛速球のクソを投げつけられた思いであった。







この一本が出てからしばらくノミネートクラスのクソゲーは現れなかった。

梅雨の時期までのこの間は「クソゲー氷河期」であり、

ゲーム業界的には大変喜ばしい期間であったが、スレ的には厳冬であったと言える。



しかし終わらない冬は無い。 5月も終わり梅雨の到来が近づく頃、

低得点ほど信憑性が高いことで有名なファミ通クロスレビューから突如として豪雨警報が発せられた。

あのクソゲー界の征夷大将軍デスクリムゾンと同じ13点を叩き出したソフトの名は「大奥記」。

大奥を舞台に女の戦いを描くというターゲット層不明な内容、2年にわたる延期という前情報は、

クソゲー飢饉で餓死寸前であったスレ住人にフルコースを投げ込むようなものであった。



「いざ出てみればただの駄ゲー・凡ゲーでがっかり」が

今年前半のパターンであったが、13点のこのソフトはさすがに格が違った。

大奥と言うより吉宗…いやFC版水戸黄門を髣髴とさせる質素倹約なグラフィック、キャラがめり込むどころか貫通する机、

移動はホバリングで襖の開閉は超能力と揶揄されるモーションの少なさ。

過去にお色気クソゲー「THEミニ美女警官」を製作した会社だけあって、尻の描写だけはPS2クラスなのが唯一の救いか。

ゲーム内容は多すぎる部屋をいちいち回って延々証言を集めるのがほとんどで、

登場人物は頻繁に移動するわ、部屋は大半が無人だわ、入るたびにロードが長いわで

あるユーザーに「延々とサマルトリアの王子を探し続ける作業ゲー」と言われる辺りに2代目将軍の貫禄が伺える。

せっかく集めた証拠を発揮する申し開きパートも、空気を読まないチャンバラSEと共に

証拠→悔しがる→証拠→悔(ry のループ。



某ゲーム雑誌では「悔しがる表情が良い」とレビューされていたが、実際はそんな機能は搭載されておらず、

その雑誌のスタッフは申し開きパートまで進める前にドロップアウトしたのだと予想できる。

さらに「これkら」という、江戸時代から一気に現代世界にユーザーを引き戻す誤字が用意されており

大奥の世界に浸りすぎない為の引きこもり対策も万全と言え、製作サイドの最後の良心が見え隠れする仕様だ。

開発会社ダフトの公式サイトでは、プログラム以外は関わってないとのリアル申し開きが始まる始末で

まさに宣伝文句通り、大奥記は底知れぬ伏魔"伝"(公式HPより)と言えよう。

尚、このゲームはマルチエンディングを採用しているのだが二年間延期して何をしていたのか、

という申し開きをダフトに聞く事がこのゲームの真エンドと言えるだろう。

(発売から三月を待たずしてサイトが404となり、
復活したと思ったら制作履歴から大奥記の名前が消えていた今となっては不可能に等しいが)

発売前日なのに提示された買取価格が200円という珍事も思い出深い出来事であった。







「テーブルゲーム」と言う安息の地にすらクソゲーの侵攻は休まらない。

360ユーザー待望の麻雀ゲーム「ジャンライン」は、フリーズバグは勿論の事、

見えるはずの牌が伏せ表示、チーの牌選択がままならない、点数計算がおかしい

そしてどこから牌を切ったかという相手の進行度を測る目安が非表示と、

麻雀ゲームの常識を超えて新たな次元へと飛翔する意欲作である。

オンライン対戦においても、部屋作成者が常に親になる先手必勝ルール、

ゲーム中に誰かが落ちたら対戦強制終了のちゃぶ卓返しルール、連戦不可能な一期一会ルールと、

斬新なルールを数多く採用し、歴戦の麻雀ファンをも大いに唸らせた。

社員が喋ったような出来のボイスデータを販売した上で、数日後に販売中止、返金対応とDLCにもぬかりはない。

発売初日に謝罪文を出す手厚いサポート体制に加え、

「素人が作ったのか?」との声に応えて社員ブログ書き手が麻雀素人をカミングアウトするサービス精神も好印象。

だが、「選評でクソゲーとしての面白さが伝わりにくい」という理由で次点入りも難しいと言われていた。

…この時点では。







次なる刺客が現れ、自動的に話題はこちらへと集中する。

「地雷地帯IFの作品は平均的に低水準だが規格外のクソは出ない」という住人の平和ボケを蹂躙し

当スレを待ち受ける「真の地獄」の幕開けを告げた核弾頭『神代学園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』である。

タイトルに「學園」と謳いながらも學園は殆ど関係無い上、「幻光録」は「幻想録」などの転生學園シリーズ続編を思わせる。

ジャケ絵に同じ絵師を起用するあたり、もはやフィッシング詐欺。

ストーリー演出のあまりの簡略化ゆえか、仲間キャラと出逢った瞬間には恋人になっていたり、

ラスボス撃破後も一瞬画面が白くなったと思ったら「封印は成功した」で儀式終了したりする。途中経過とかほぼなし。

好感度というシステムでキャラ別の感情度が存在する割に、キャラ別EDは存在しない。

戦闘においては、キャラの動作や魔法・召還ムービーなどの演出は一切無し。



唯一の演出である味方との「合体技」も、痛い技名とセリフ(声が揃ってない)、

シュールな一枚絵(ほぼ立ち絵の使い回し)の挿入、と敵よりもむしろプレイヤーの精神へ大ダメージを与える。

キャラ毎に弱点属性が設定されているものの特にダメージが増加するでもなく、

ラスボス含む殆どの敵に状態異常が有効なので、基本的に『麻痺させて後はオートバトルで放置』でよい。

他作のシステムをパクった割には劣化して、地味・単調・戦略性皆無と三拍子そろっている。

6時間程度でクリア可能というボリュームも、作品本スレにて

「何度も言うが買おうか迷ってる奴は本当にやめとけ。どうしても数千円ドブに捨てたいのなら実際にドブに捨てろ。

時間の浪費がないだけそっちのほうが建設的だ。」という名言が生まれた。

データに本作と無関係なアニメのOPが存在する点など、クソな点を挙げるとキリがなく、

このゲームのタイトルはいざプレイしようとする購入者達に対して

    クル・ヌ・ギ・ア

「これからが本当の地獄だ」と告げていたのであった。







10月末、ファミ通レビュー「ALL3」、即ち史上初「誰1人として4点以上をつけなかった」という奇跡を起こし

「現代で、こういうゲームに出会えるのは、ある意味貴重」という歴史に残る名言を生みだし

当スレッドをジャングルを駆ける猿の如き速度へ「ドギャ」っと加速させる怪物「プロゴルファー猿」が登場した。

今まで、クソゲーと呼ばれる物には酷いバグや電波なシナリオ、不快なシステムと言った、

そのゲーム特有となる頂点を取りうる何らかの武器を持っていたものが大半であった。

しかし、プロゴルファー猿はそれらの武器を一切廃し、クソゲー界に素手で殴りかかって来たまさに野生児である。

特定のポイントで大体の方向に大体のタイミングで打てば常に同質のショットが打てるゲーム性はゴルフゲームとしては異例であり、

ならば、キャラゲーとして評価するべきなのか?と言われれば使用キャラはのべ6人しかいない上、ストーリーモードも無い。



だが、強調しておきたいのはプレイする上でプレイヤーが不快に感じる事は無いだろうという事だ。

むしろ面白く感じてもなんら不思議は無い。

極端に底が浅いのだ。楽しみ続けるための要素が存在しない。一回クリアしてしまえば遊ぶ理由が無くなる知恵の輪。

この様なゲームをフルプライスパッケージで出したというのがファミ通ALL3の理由であろうと推測される。

発売前はPVやCMの出来が素晴らしかったこともあり「意外とただのがっかりゲーで終わりそう」

「ハードルが上がりすぎてノミネートは難しいかも」との不安も囁かれていた本作だが、

住人の想像を超越するがあまり『ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!』との

PV製作者への敬意の声も飛び出す等、その心配も杞憂であった事を実証したのだった。

お金に余裕があれば一度楽しみ、その後、このソフトをどうしたのか是非教えて欲しい。







そして2008年12月、既にノミネートされているにも関わらず、

「パッチをあてたら更にバグが酷くなった」という今世代機に於ける新しいクソゲーの在り方を示して

同一作品が改めてノミネートされるという奇跡が起こった。

宇宙麻雀の再来と揶揄される『ジャンライン』である。



そもそもパッチとはゲーム進行における不具合やバグを修正するためのプログラムであり、

購入者やスレ住民の多くはようやく配布された修正パッチの適用により、

ジャンラインがもたらした混沌は速やかに収束するであろうという無難な見解で推移していた。



しかし、彼らの淡い期待は脆くも崩れ去った。

ジャンライン製作会社のレコムが我々に送り出したパッチの内容は、

「修正」というよりも「改悪」でなかったら何かの呪いとしか思えぬものであり、

怪我をして病院に行ったら医療ミスどころか得体の知れぬ怪獣に改造されて戻ってきたような惨状であった。



「カン」や「ポン」をしたら何故か関係ない牌が巻き込まれるのは日常茶飯事。

さらに麻雀業界震撼の新ルール「先ヅモ」システムも搭載。

ロンしようと思ったら先にツモられていた。

何を言ってるのか分からねーと思うが俺にも分からねー。

というか誰にも分からねー。勿論製作陣も分かってないのだろう。

麻雀というゲームの根幹に関わる不可思議な現象にスレは沸き立った。

そもそも麻雀という完成されたルールのゲームを再現する試みは初代ファミコンの頃から無数に存在し、

ノウハウも蓄積された現代になってルールを完全に破壊するようなソフトが現れること自体が不可思議である。



また、麻雀を知らない人間にも一見して解るような改悪点が、ジャンラインというソフトの価値を高めている。

「牌がちょっと斜めになった」「手牌が突然ワープ」「牌の選択が飛び飛びにしか出来なくなった」……

このように卓上の時間と空間が歪んでいるとしか思えない数々の現象を眼前にした声、

「卓上にx,y,z軸の三次元にジャン軸(ライン)を加えた四次元空間が現れている」

――「宇宙麻雀」を超えた「四次元麻雀」がここに現れたのだ。



また、これらの致命的なバグだけに飽き足らず、

「パッチ配信直後に公式ブログと掲示板が閉鎖」「メールに対するコピペ丸出しの返信」といった、

昨今のクソゲー事情に欠かせない「問題ある運営」という要素もしっかり抑えている。

中でも「抗議の電話に対する『覚悟しています』という悲壮な返事」は、スレ住民に会社の悲惨な状態を偲ばせて余りあるものであった。



これらの事件は四八マンに次ぐ当スレマスコット、ジャッシー(仮)の姿とともに住民の心に深く刻まれ、

もう今年はこれで決まりになるかと思われた。







その他の候補作として

「最大32人の大規模オンライン対戦」の事前発表が発売直前に公式ホームページから削除されたが、

発売後数日に渡って「32-PERSON ONLINE MULTIPLAYER」という文言の入った動画を

一切の注釈もつけずに垂れ流し続けた「メダルオブオナーヒーローズ2」



収録されている各ミニゲームは

「操作性が悪いゲーム」「難易度バランスが悪いゲーム」

「操作性と難易度バランスが悪いゲーム」

の三つに全て分けることができてしまうが、

それ以前にまずパッケージ買いする人などいないであろう

「プレイグラウンド ~公園で遊ぼう~」



フラグ管理の甘さ故に死亡したキャラが普通に歩き回り、
話しかけてみると「テキストがまだない」などと発言され、

さらに移動の3D演出の酷さから本家wikiで「酔い止めを飲め」とまで言われた

「奈落の城 一柳和、2度目の受難」



出場していない馬が優勝するというありえないバグが発生した

「ダービータイム オンライン」



等、いくつかの作品名が上がる。

これらは一時的にスレを盛り上げはしたものの、

並み居る猛者たちの前に膝を屈し、オブザイヤーから姿を消していった。







では、今年の大賞を発表しよう。



2008年も残り3週間を切り、KOTYも最終回へと突入、

「野球は9回から」と言わんばかりに前作から更なる進化を遂げた投手がマウンドに帰ってきた。

『メジャーWii パーフェクトクローザー』の登板だ。



まずは15秒のロードから幕を開ける、驚きの試合内容を紹介しよう。

守備ではストレートを投げればスタミナが減らない男らしい投球システム。

「1球外すか、いや、でもフリーズするかも」という自分との駆け引きが熱いボール球。

明らかにエラーなのにアウトになる謎判定だけではいざ知らず、

1アウトのはずが2アウトになる「通称:ジャイロキャッチ」という現象はプレイヤーの度肝を抜くのに十分なインパクトである。

フェンスと守備に衝突判定がなく、壁をすり抜けて場外へと走り去るライトに加え、

さらに条件を満たせばどこに転がっているボールでも俊足キャッチャーが拾いに行く

「通称:センター前キャッチャーゴロ」等、野球のルールを根本から覆した。

なお「センター前キャッチャーゴロでファールになった」という訳の解らない事態まで発生した。

打撃に回れば、木製バットにも関わらず金属音が鳴り響く上に消えたり伸びたりする「如意バット」から始まり、

3イニング遊べば10本はHRが飛び出す爽快感溢れる打撃システム。

CPUは一切ボール球を投げない上に、明らかに早すぎるタイミングで振らないとバットにかすりもせず、

3バント失敗してもアウトにならない。

CPUによる強制オート操作の走者は、勝手に盗塁して速攻刺されるだけには飽き足らず、

フライをキャッチされても帰塁せずに、タッチアップも無しにそのまま得点する頼もしさ。



そもそも塁審の存在しない球場で常識的な判定を求めるのが無理な話か。

バッターと審判が背を向け、全てを見なかったことにしようとするのにも頷ける。

あまりの馬鹿馬鹿しさに、名も無き捕手はそのプロテクターを脱ぎ捨てるまでに至った。



このような試合に耐え得るよう鍛え上げられた選手達の肉体は

ついに人間の原型を留めることが出来なくなり、

首なしバッターが現れる他、バッターの下半身は消え失せ、

ついにはゴローの首までもが180度回転した。

この作品はホラーゲームとしての要素まで兼ね備えているのである。



また、試合だけでなく練習風景にもキラリと光るものがある。

通常、ノック練習とはコーチが様々な方向に打つ球を選手が捕る練習の事を指すが、

本作品のノック練習は「ピッチャーが投げてきた球を指定された選手へ打ち返す」事を指すのだ。

「サードに捕球させるようにボールを打て!」と言われて打ってみれば、

ピッチャーが驚異的な好守備を見せたり、お馴染みのスーパーキャッチャーが俊足を飛ばして捕球したりと、

試合でHRを打つよりも高難易度を誇る。

そもそもプレイヤーが内野ゴロを打つ練習をしてどうするのだろうか。

選手だけではなくコーチの気持ちにもなれる、一粒で二度おいしい要素と言えるだろう。



昨今のエコブームに便乗してか、当ゲームも前時代ハード並のグラフィックで制作費を節約、

「ラベンダー畑」と揶揄される観客席や、試合中でも誰一人いないベンチなど、

制作会社の省エネへの努力姿勢が伺える。

前作同様の圧縮ストーリーは試合の内容に関わらず原作通りに進行するため、

大量にリードしているのになぜか延長戦に突入したり、サヨナラ負けしたのに優勝したことになったりと、

「もう試合しなくてもいいじゃん」的なゲーム展開。



昨年クソゲーマイスターの称号を賜った「ドリームファクトリー」と、

今年最初のノミネート作品を繰り出した「タカラトミー」の最強バッテリーが作り出した

この「野球のようなもの」は、

投球・打撃・走塁・守備・その他全てがメジャー級のクソという見事な完成度を誇った。

さすがは「追求したのは、本格野球ゲーム」、完全に前作どころか野球を超えている。

まさに2008年度KOTYのパーフェクトクローザーであった。







今年のクソゲーオブザイヤーを振り返ると、

どのゲームも「企画の段階から全力でクソを作った」という印象だ。

これは昨年のKOTYスレにあった

「脱力して出たクソより、全力で出したクソの方がいいに決まっているだろう」

というレスに対するゲーム業界からの挑戦状だったのであろうか。





最後に、2008年クソゲーオブザイヤー大賞の選考において、

次の一言をスレの総意として本年のクソゲーオブザイヤーを締め括りたいと思う。



「追 求 し た の は 、本 格 ク ソ ゲ ー」






その2

              ・・・七英雄の伝説・・・

    

             数多くの悪しきクソゲーを倒し

                世界を救い、その後

               いずこかへ消えた・・・

 

  『メジャーWii投げろジャイロボール』『奈落の城 一柳和、2度目の受難』

    『大奥記』『ジャンライン』『神代学園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』

     『プロゴルファー猿』『メジャーWii パーフェクトクローザー』

 

             いつの日か、彼らは戻ってきて

            再びこのスレを救うのだという・・・

   

            クソゲー界が乱れる度に、人々は

             伝説を語り、救いを願った。

             しかし、平和が訪れると・・

              伝説は忘れられた・・・・





             クソゲーの興亡は繰り返す。

                メシジマによる

            四八ショックの時代が終わり、

        2008年クソゲーオブザイヤーの時代が始まった。



                 七英雄の名は

                  ふたたび

                 語られ始めた



               そして、クソゲーは来た

            

                 ・・・だが





              クソゲーオブザイヤー【2008】





【七英雄の紹介】



『メジャーWii投げろジャイロボール』

まさにジャイロボールの名に恥じぬ、剛速球のクソであり、今年の開幕投手を務めた。



Wiiバブルに何とかして便乗しようとして育成された、タカラトミーの隠し球である。

同じ試合中であるにも関わらずその状況になる度に何度も何度も現れる一枚絵の操作説明画面や、

打球の飛んだ方向に無関係に流される「意外性抜群の」打球デモ、

さらに1球1球投げる度にデモを流すなどして、一試合2時間以上という野球のプレイ時間を見事に再現してみせた。

投げた瞬間にストライクかボールかが相手にわかってしまう男らしい投球システムや、

ストーリーを圧縮しすぎて原作ファン以外お断りのADVパートもなかなか味わい深い。





『奈落の城 一柳和、2度目の受難』

総当りで進行するしかないストーリーとフラグ管理の甘さに失望する出来栄えだった。



死んだ筈のキャラが生きていて会話もでき、当人の死について尋ねると「テキストがまだない」と言い出すミステリー。

更に解いていない筈の謎がなぜか解決したことが全員の共通認識となっている等、

フラグ管理の甘さが一気に作品の評価を落とした例となった。

ちなみにこれらの問題を無視して推理しようにも、クリア必須の暗号に不備があり解けないものがあるという

致命的なミスがありプレイヤーをまさに奈落の底に突き落とした。





『大奥記』

あのクソゲー界の征夷大将軍デスクリムゾンと同じファミ通クロスレビュー13点を叩き出し、現代へと舞い降りた。



大奥と言うより吉宗…いやFC版水戸黄門を髣髴とさせる質素倹約なグラフィック、キャラがめり込むどころか貫通する机、

移動はホバリングで襖の開閉は超能力と揶揄されるモーションの少なさ。

部屋の大半が無人のマップをホバリングで迷走し、襖の開閉は超能力でこじ開け、集めた証拠を発揮する申し開きするだけのゲームあるユーザーに「延々とサマルトリアの王子を探し続ける作業ゲー」と言われ2代目将軍の座に君臨した。

さらに「これkら」という、江戸時代から一気に現代世界にユーザーを引き戻す誤字が用意されており、

大奥の世界に浸りすぎない為の引きこもり対策も万全と言え、製作サイドの最後の良心が見え隠れする仕様だ。

開発会社ダフトの公式サイトでは、プログラム以外は関わってないとのリアル申し開きが始まる始末で

まさに宣伝文句通り、「大奥記」は底知れぬ伏魔"伝"(公式HPより)であった。





『神代学園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア』

サブプライムの大波とともに姿を現し、「地雷地帯IFの作品は平均的に低水準だが規格外のクソは出ない」という住人の平和ボケを蹂躙した。



タイトルに「學園」と謳いながらも學園殆ど関係無い上、「幻光録」は「幻想録」などの転生學園シリーズ続編を思わせる。

ジャケ絵に同じ絵師を起用するあたり、もはやフィッシング詐欺。

ストーリー演出のあまりの簡略化ゆえか、仲間キャラと出逢った瞬間親友や、恋人になっていたり、

ラスボス撃破後も一瞬画面が白くなったと思ったら「封印は成功した」で儀式終了する。

喜怒哀楽システムや、選択肢による好感度というシステムでキャラ別の感情度が存在する割に、キャラ別EDは存在しない。

戦闘においては、キャラの動作や魔法・召還ムービーなどの演出は一切無く、唯一の演出である味方との「合体技」も、痛い技名とセリフ(声が揃ってない)、

シュールな一枚絵(ほぼ立ち絵の使い回し)の挿入、と敵よりもむしろプレイヤーの精神へ大ダメージを与えた。



さらにはラスボス含む殆どの敵に状態異常が有効なので、基本的に『麻痺させて後はオートバトルで放置』

6時間程度でクリア可能というボリュームにも関わらず、作品本スレにて

「何度も言うが買おうか迷ってる奴は本当にやめとけ。どうしても数千円ドブに捨てたいのなら実際にドブに捨てろ。

時間の浪費がないだけそっちのほうが建設的だ。」という名言が生まれた。





『プロゴルファー猿』

ファミ通レビュー「ALL3」、即ち史上初「誰1人として4点以上をつけなかった」という奇跡を起こしたそのゲームは、

期待していた人々の想像を遥かに超えるものであった。



キャラゲーなのに使えるキャラが6人という、近年まれにみる少なさの上、

「ドラゴンボールに例えると孫悟空、孫悟飯、ヤジロベー、サイバイマン、ビーデル、ビーデル(髪切ったver)」

とまで言われた微妙すぎるキャラの選抜。

おまけにストーリーモードまでないという始末で、

キャラたちの活躍するシーンを楽しみにこのゲームを買った人がメニュー画面を見たときの絶望感が目に浮かぶようである。

発売前はPVやCMの出来が素晴らしかったこともあり「意外とただのがっかりゲーで終わりそう」

「ハードルが上がりすぎてノミネートは難しいかも」との不安も囁かれていた本作だが、

住人の想像を超越するがあまり『ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!』との

PV製作者への敬意の声も飛び出す等、その心配も杞憂であった事を実証したのだった。





『メジャーWii パーフェクトクローザー』

「野球は9回から」と言わんばかりに前作から更なる進化を遂げた投手がマウンドに帰ってきた。



15秒のロードから幕を開ける、驚きの試合内容は 、守備ではストレートを投げればスタミナが減らない男らしい投球システム。

「1球外すか、いや、でもフリーズするかも」という自分との駆け引きが熱いボール球。

明らかにエラーなのにアウトになる謎判定だけではいざ知らず、

1アウトのはずが2アウトになることまである「通称:ジャイロキャッチ」という現象はプレイヤーの度肝を抜くのに十分なインパクトである。

フェンスと守備に衝突判定がなく、壁をすり抜けて場外へと走り去るライトに加え、

さらに条件を満たせばどこに転がっているボールでも俊足キャッチャーが拾いに行く

「通称:センター前キャッチャーゴロ」等、野球のルールを根本から覆した。

なお「センター前キャッチャーゴロでファールになった」という訳の解らない事態まで発生した。

打撃に回れば、木製バットにも関わらず金属音が鳴り響く上に消えたり伸びたりする「如意バット」から始まり、

3イニング遊べば10本はHRが飛び出す爽快感溢れる打撃システム。

CPUは一切ボール球を投げない上に、明らかに早すぎるタイミングで振らないとバットにかすりもせず、3バント失敗してもアウトにならない。

CPUによる強制オート操作の走者は、勝手に盗塁して速攻刺されるだけには飽き足らず、

フライをキャッチされても帰塁せずに、タッチアップも無しにそのまま得点する頼もしさ。



発売直後に「審判と打者が後ろを向いている」という凄まじいバグ動画で話題を呼んだが、その後ゴローの首までもが後ろを向いた。

昨年クソゲーマイスターの称号を賜った「ドリームファクトリー」と、

今年最初のノミネート作品を繰り出した「タカラトミー」の最強バッテリーが作り出したこの「野球のようなもの」は、

投球・打撃・走塁・守備・その全てがメジャー級のクソという見事な完成度を誇った。

さすがは「追求したのは、本格野球ゲーム」、完全に前作どころか野球を超越していたのであった。





『ジャンライン』

「当然」と言う概念を幻想と知らされる麻雀ゲーム、そしてパッチにより更に異形の物と化し

2008クソゲーオブザイヤー大賞に選ばれた麻雀ゲームである。



クソゲーにつきものと言われるフリーズバグは当然のごとく標準装備であり、

ルール上見えるはずの牌が一部伏せられ、チーで鳴いた場合の牌の選択方法が不自然、点数の計算がおかしいことなどは序の口である。

なんと、駆け引きに重要な要素である相手の切り牌が手元からか、直前に引いたものか識別不能なのだ

さらには本来ならば4枚同じ絵柄をそろえた場合に行われる「カン」という行為をしたら何故か関係ない牌が巻き込まれた、

これらの麻雀というゲームの根幹に関わる不可思議な現象はまさに「麻雀」ではなく「ジャンライン」と言う名の異空間であった。

そもそも麻雀という完成されたルールのゲームを再現する試みは初代ファミコンの頃から無数に存在し、

ノウハウも蓄積された現代になってルールを完全に破壊するようなソフトが現れること自体が不可思議である。



このあまりにも酷い仕様に「素人が作ったとしか思えない!」とユーザーが怒りに震える最中、

ジャンラインの社員ブログを『麻雀の素人が書いている』ことが判明し、火に油を注ぐ始末であった。

極めつけは公式サイトで有料ダウンロードしたボイスデータもオンラインのホストによっては反映されないといった素晴らしいサービスっぷりである。

そのダウンロードページでもVOICE_01が2つあり、発売からたった数日で販売中止、返金対応という離れ技をやってのけた。

こうして発売初日から公式サイトに初音○クを金髪にしたとしか思えない少女が頭を下げ、謝罪文が載せられることとなった。



だが、購入者やスレ住民の多くは「パッチで修正予定だし、ジャンラインがもたらした混沌は速やかに収束するであろう」という無難な見解で推移していた。

しかし、彼らの淡い期待は脆くも崩れ去った。

ジャンライン製作会社のレコムが我々に送り出したパッチの内容は、

「修正」というよりも「改悪」でなかったら何かの呪いとしか思えぬものであり、

怪我をして病院に行ったら医療ミスどころか得体の知れぬ怪獣に改造されて戻ってきたような惨状であった。



肝心の修正パッチの内容は、一部のバグが未修正のまま放置され、さらには役満多発のチート配牌の増加、

ゲーム進行速度低下、フリーズポイントの増加等、どう考えても改悪という表現しか考えられないような、

我々が従来持っていたパッチという概念を根底から覆す斬新なものであったのだ。



「牌がちょっと斜めになった」「カンを4回しても流局しない」「まだ切ってもいない牌で上がられた」「牌の選択が飛び飛びにしか出来なくなった」……



だが、上記に挙げた改悪点はいわば前座に過ぎない。我々はさらなる混沌を次々と目の当たりにするのである。

ルールを根底から覆す、麻雀業界震撼の新ルール「先ヅモ」システムの搭載である。

ロンしようと思ったら先にツモられていた。何を言ってるのか分からねーと思うが俺にも分からねー。

というか誰にも分からねー。勿論製作陣も分かってないのだろう。



更には上家の切った牌を大ミンカンしたら、下家の手牌の左端の牌が晒した牌に紛れ込んで、自分は多牌で下家が小牌に。

これにより一列に並ぶ牌が増えた結果、幾つかの牌同士がめり込んで融合するなど、このように卓上の時間と空間が歪んでいるとしか思えない数々の現象を眼前にした声、

「卓上にx,y,z軸の三次元にジャン軸(ライン)を加えた四次元空間が現れている」

――「宇宙麻雀」を超えた「四次元麻雀」がここに現れた。。



HDDなどの大容量ストレージを搭載し、オンライン経由で修正を行えるようになった今世代のゲーム機では

ゲームに支障をきたす不具合が生じた場合でも修正可能なため、

「それだけで大賞を狙うのは難しい」、「年内に修正されたら当然選外」などの厳しい意見もあった。

が、この「ジャンライン」はパッチを当てても不具合に不具合を重ねるという愚行を晒し、

オンライン機能が標準搭載された今世代機に於ける、新しいクソゲーの在り方を示してくれた功績は余りにも大きい。





【その他の英雄】



『ポイズンピンク』

「見えている地雷」と前評判は高かったが、テンポが悪いといった程度のガッカリゲー。



『メダルオブオナーヒーローズ2』

欧米版の売りである32人オンラインが無いことを発売直前までひた隠すなど

メーカー対応は糞の極み。しかしオフの内容はボリューム不足だがFPSとしては良ゲー~凡ゲー。



『公園で遊ぼう』

「クソっちゃクソだけどやってるうちに気に入ってしまって悪いレビューは書けないよ」と突撃した住人がボヤいていた。



『ダービータイムオンライン』

「未出走の馬が優勝」などのバグや、ラグがひどすぎるオンラインモードが話題になったものの、

その後サーバー強化やパッチによって改善され、ノミネートは難しいとの結論に至った。









              ジャッシー「七英雄はその後どうなったの?」

         スレ住民「七英雄は2008年が終わると鳥避けに変わったんだ」

                    ジャッシー「鳥避け?」

                 スレ住民「買ってみればわかるよ」

  


                 【2008】クソゲーオブザイヤー【完】