名称 | ウィザードリィ 囚われし亡霊の街 |
ジャンル | 3DダンジョンRPG |
対応機種 | PlayStation3 |
発売元 | アクワイア |
開発元 | アクワイア |
発売日 | 2011年1月27日 |
価格 | フルパック版:3,300円(税込) |
単体購入:計3,600円(税込) | |
対象年齢 | CERO:B(12歳以上対象) |
30年の歴史を持つダンジョンRPG『ウィザードリィ』、そのブランド復活を図る為に複数の会社が立ち上げた、「ルネサンス」プロジェクトの最新作。
本作のプログラムは『剣と魔法と冒険モノ(ととモノ。)』からの流用が多く(さらに言うなら、『ととモノ。』は『ウィザードリィ エクス2』のソースコードを流用している)、スキルや魔法などかなりの部分で共通項が見られる。
そんな本作だが、セーブができなくなるバグ(後に修正された)などのバグはあったものの、シナリオ2までは高難易度ながらもなんとか遊べなくもない出来であった。しかし、レベルキャップが299まで解放されたシナリオ3の後半がほぼムリゲーとなってしまっている。
未だ昨年の興奮からさめやらぬ2011年1月27日、歴戦の猛者アクワイアよりディスクという実体を持たない亡霊のごとき刺客がひっそりと差し向けられていた。
その名は、Wizardry 囚われし亡霊の街。
PlayStation3オンライン配信専用3DダンジョンRPGである。
本作は1981年にその第一作が発売され、以降30年にわたり数々のメーカーやハードからシリーズが発売され続けているダンジョンRPGの老舗とも言えるタイトルであり残念な事に下火になりつつある同シリーズの人気を再燃させるべく複数の企業によって立ち上げられた「WizardryRenaissance」というプロジェクトの最新作である。
元来Wizardryシリーズとは重厚なストーリーや美しいCGムービーといった一般的な国内産RPGにおいて重視されがちな要素をほとんど無視(作品ごとに多少の差異はあるものの)し、
ほぼ舞台設定のみのストーリーと最初から口を開けているダンジョン内の探索だけを楽しむというある種骨太とも表現できる物である。
これだけ聞くと、なんだか無味乾燥で面白味の無い物のように思えるかもしれないがそれは違う。
サクサクと成長するもののちょっとした油断からあっさりと死に至る絶妙なスリルとゲームバランス、全滅の危険を背中で感じながら
「もう少し粘れるか?」「あと1戦すれば・・・」という心理学で言う所の行動形成と強化スケジュールを見事に体現した引き際を探りながらのレアアイテムの蒐集は非常に高い中毒性を持ち、多くのコアなファンを生み出してシリーズの存続に貢献し続けてきた。
では、以下に公式HPにおいて「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたいというのがWizardryRenaissanceのコンセプトでありWizardryの本質だと考えています」と謳った作品の出来栄えを解説しよう。
まず異変が起こったのは本作の発売日その当日。
「急にセーブができなくなった」という報告が本スレに多数書きこまれた。
セーブバグの発覚である。
本作では前述した油断からのあっさり死に馴染みの無い新規のユーザーへの配慮からか、ダンジョン内であっても任意のタイミングで自由にセーブができ、こまめなセーブさえしておけばいきなり全滅の憂き目に遭ってもやり直しが利く仕様となっている。
が、このセーブしようとしても画面が一瞬切り替わるだけで再びメニューに戻されるバグの発現により、新規どころか歴代のユーザーすら
「よし、キリの良い所でセーブを・・・あれ?できねぇ!?→最後にセーブしたのどこだっけ?」というゲームの内容とは無関係な事故によって思わぬ痛打を浴びる者が続出した。
ちなみにこのバグは不定期に発生し、発症すると戦闘や街に戻っても直らずそのプレイ中には二度とセーブできない。
ソフトリセットしてタイトルに戻っても「つづきから」が選択不能になっておりロード不能。
一度PSボタンを押してゲーム自体を終了し、再起動するより他に手が無い。
また不定期発生つながりと言えば、詳しい条件は不明だがゲーム内でワープの魔法を使った場合ワープ後に画面が真っ暗になりPS3がフリーズするという報告も出ており前述のセーブバグと合わせてプレイヤーに悪い緊張感を与える事に成功している。
さらに致命的とまではいかないものの気になる所を挙げていけば、
キャラクターグラフィックと異なる音声が再生される
ダンジョン内のイベントマスに進んでも何も起こらない場合がある
プレイヤーキャラのLvが一定以上になるとトレード(アイテム交換ミニイベント)のリストが更新されなくなり常に空になる
シナリオ2をクリアしているのにシナリオ3のクエストが始まらない
静止画のはずの一部のダンジョンで処理落ちする(戦闘中ももちろん処理落ち)
ダンジョンに入っても内部が描画されずダークゾーンのように表示されてしまう事がある等、枚挙に暇がない。
ダークゾーンバグに関しては発症した場合再起動或いはソフトリセットしてロードし直せば直る分いくらかマシとも言えるが上記の分も含め「チッまたか」という思いと共に怒りを高揚させる一助となっている事は確かである。
さて、既に十分酷いという感想をお持ちかもしれないが少し待っていただきたい。
ここまでの部分はあくまでゲームの不具合を紹介したものであり、本作の本質に触れたものとは言いにくい。
そう、問題はここからなのだ。
上記の多重トラップのごときバグを意に介さず本作のクライマックスとも言えるシナリオ3までゲームを進めたとしても、
そこには仕様という名の最強の敵が立ちはだかるのである。
では具体的に何が起こるのかと言うと・・・戦闘バランスの完全崩壊である。
シナリオ3に入る事により敵味方共にLvキャップが解放され、Lvを100以上に上げる事ができるようになる。
しかしまずい事にどうやら本作のプログラムはLv2桁までを想定して作られた「剣と魔法と冒険モノ」(以下ととモノ)という作品からの流用であるらしく単純に敵味方双方のLvを上げた結果信じがたい差が生まれる事になってしまった。
曰く、エンカウントしたら即死(あるいはステータス異常)魔法で即全滅した
曰く、エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅
(盾役が味方をかばう技能を使うも盾役ごと全員殺されるので死ぬ順番が変わるだけ)
等、圧倒的な戦力差にため息も出なくなる状態が漏れなく全員に襲い掛かる。
考えられる原因としては
ゲームの仕様上の問題でプレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで他の能力は概ねシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対しモンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していく事。
またどうやらモンスター側には通常のステータスとは別に「行動順の素早さ」のようなものが設定されているらしく
プレイヤー側が用意できる最速のキャラクターをパーティーに加えていようと悠々と先制、先殴りの連続でこちらが行動を起こす前に全滅という流れが鉄板になってしまうのだ。
ちなみにこの先制全滅の流れを何とかしようと特定のイベントを利用してHPの水増しを図る事もできるのだがどんなに頑張っても6人死亡全滅が4人死亡半壊になる程度で焼け石に水である。
こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら
特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するかまたは数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い)
この状況にはさすがに歴戦のシリーズユーザー達も閉口してしまい
この状況の周知が徹底されてしまって以後本スレは文句を言う者すら思いだしたようにしか現れない乾いた笑いの響くだけの悲壮感漂う荒野と化してしまった。
状況が出揃った後の総括としては問題の本質はチェック不足故のバグなどではなくそもそもテストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さであるといった所である。
(後日修正されたため書かなかったが、Lvが一定以上になると命中が0になる命中バグや
装備品の設定においても武者の兜、小手、鎧といった明らかに頭から脚まで一揃えのはずの防具がそれぞれ装備できる職業が違うなどやっつけ仕事にしても酷すぎるやっつけぶりがそこかしこに露見していた)
そして、おそらく当初望んだ形とは違うものではあるだろうが
公式HPで喧伝した通り「緊張感」「高揚」「悲壮感」をユーザーに叩きつける事に成功したアクワイアに一応の拍手を送る事で結びと変えさせていただきたい。
未だ昨年の興奮からさめやらぬ2011年1月27日、歴戦の猛者アクワイアよりディスクという実体を持たない亡霊のごとき刺客がひっそりと差し向けられていた。
その名は、Wizardry 囚われし亡霊の街。
PlayStation3オンライン配信専用3DダンジョンRPGである。
本作は1981年にその第一作が発売され、以降30年にわたり数々のメーカーやハードからシリーズが発売され続けているダンジョンRPGの老舗とも言えるタイトルであり
残念な事に下火になりつつある同シリーズの人気を再燃させるべく複数の企業によって立ち上げられた「WizardryRenaissance」というプロジェクトの最新作である。
元来Wizardryシリーズとは重厚なストーリーや美しいCGムービーといった一般的な国内産RPGにおいて重視されがちな要素をほとんど無視(作品ごとに多少の差異はあるものの)し、
ほぼ舞台設定のみのストーリーと最初から口を開けているダンジョン内の探索だけを楽しむというある種骨太とも表現できる物である。
これだけ聞くと、なんだか無味乾燥で面白味の無い物のように思えるかもしれないがそれは違う。
サクサクと成長するもののちょっとした油断からあっさりと死に至る絶妙なスリルとゲームバランス、全滅の危険を背中で感じながら「もう少し粘れるか?」「あと1戦すれば・・・」
という心理学で言う所の行動形成と強化スケジュールを見事に体現した引き際を探りながらのレアアイテムの蒐集は非常に高い中毒性を持ち、多くのコアなファンを生み出してシリーズの存続に貢献し続けてきた。
では、以下に公式HPにおいて「コンピュータRPGが我々に与えてくれた、あの緊張感、高揚、悲壮感・・・それを現在の技術で蘇らせたいというのがWizardryRenaissanceのコンセプトでありWizardryの本質だと考えています」と謳った作品の出来栄えを解説しよう。
まず異変が起こったのは本作の発売日その当日。
「急にセーブができなくなった」という報告が本スレに多数書きこまれた。
セーブバグの発覚である。
本作では前述した油断からのあっさり死に馴染みの無い新規のユーザーへの配慮からか、ダンジョン内であっても任意のタイミングで自由にセーブができ、こまめなセーブさえしておけばいきなり全滅の憂き目に遭ってもやり直しが利く仕様となっている。
が、この不定期に発生しセーブしようとしても画面が一瞬切り替わるだけで再びメニューに戻されるというバグによりゲームの内容とは無関係な事故によって思わぬ痛打を浴びる者が続出した。
だがさすがにのっけからこれはマズイと思ったのか、公式にバグを認める記述こそ無かったものの(これも本来企業の姿勢として問題だが)アクワイア側も幾度かのアップデートをリリース。
完治とまではいかないもののかなり発生頻度が低くなるまでに修正され、プレイヤー達は「これで安心してダンジョン探索に繰り出せる!」と一様に胸をなでおろしていた。
・・・そのダンジョンの深奥に本当の地獄が口を開けている事も知らずに。
セーブバグの収束以後攻略情報の応酬やwikiの編集に健全な活気を見せていた本スレに再び不穏な影が広がりだしたのは、
シナリオ3発売からしばらくの事だった。
表現こそ話し手によって様々ではあったが、口々に伝える内容は概ね一つ。
「どうも敵が強すぎる気がする・・・」
シリーズユーザーにはある程度折りこみ済のWizardryであるが故の終盤の敵の強固さ。
上記の発言が出始めた当初未だキャラクターの成長も含めたシナリオ終盤へと到達しきっているプレイヤーは少なく、
ぽつぽつと語られる理不尽な死に様の原因が新規プレイヤーであるが故のカルチャーショックによるものなのか、あるいは古参プレイヤーを含め攻略法が見つけられないが故の苦悩の現れなのか判断できる者は居なかった。
・・・そして、しばしの時が流れ多くのプレイヤーが最終局面に進むに至って事態の全貌が明らかになった。
曰く、エンカウントしたら即死(あるいはステータス異常)魔法で即全滅した
曰く、エンカウント→先制→パーティーのHPを根こそぎ奪う威力の物理攻撃で全滅
(盾役が味方をかばう技能を使うも盾役ごと全員殺されるので死ぬ順番が変わるだけ)
等、圧倒的な戦力差にため息も出なくなる状態が漏れなく全員に襲い掛かかっていたのだ。
何故このような事態を迎えてしまったのか、事態の引き金となったのはLvキャップの解放である。
シナリオ3に入る事により敵味方共にLvキャップが解放され、Lvを100以上に上げる事ができるようになる。
しかしまずい事にどうやら本作のプログラムはLv2桁までを想定して作られた「剣と魔法と冒険モノ」(以下ととモノ)という作品からの流用であるらしく
単純に敵味方双方のLvを上げた結果信じがたい差が生まれる事になってしまった。
ゲームの仕様上の問題でプレイヤー側はいくらLvが上がろうと変わるのはHPくらいで他の能力は概ねシナリオ2程度で頭打ちになってしまうのに対し、
モンスター側はLvに応じて素直に全能力が上昇していく。
またどうやらモンスター側には通常のステータスとは別に「行動順の素早さ」のようなものが設定されているらしく、
プレイヤー側が用意できる最速のキャラクターをパーティーに加えていようと悠々と先制、先殴りの連続でこちらが行動を起こす前に全滅という流れが鉄板になってしまうのだ。
ちなみにこの先制全滅の流れを何とかしようと特定のイベントを利用してHPの水増しを図る事もできるのだが、どんなに頑張っても6人死亡全滅が4人死亡半壊になる程度で焼け石に水である。
こんな状態の中それでもエンディングを迎えようとするのなら、特定のモンスターがドロップ、あるいはDLCで購入するエンカウント阻止アイテムを使用するか、または数歩歩いてはセーブを繰り返して地道に歩を進めるしかない。(ちなみにラスボスは弱い)
それでもクリアできるのなら良いじゃないか。
という理屈はWizardryにおいては適当ではない。
冒頭部分でも書いたようにWizardryというゲームはストーリーを追ってその収束を見る事を楽しむという国内産RPGによく見られるタイプのゲームではなく
むしろエンディングは一つの通過点として、それ以後も自身の気が済むまでキャラクターを育ててはダンジョンに潜って妄想を膨らませ、レアアイテムを蒐集し、妙な縛りを加え、ひたすらニヤニヤと楽しむというタイプのゲームである。
しかるに、かくのごときゲームにあってアイテム蒐集や育てたキャラクターの活躍に直結する戦闘パートのバランスが完全崩壊しているという事は、楽しみの8割を奪われた状態と言っても過言ではないのだ。
この状況にはさすがに歴戦のシリーズユーザー達も閉口してしまい、この状況の周知が徹底されてしまって以後本スレは文句を言う者すら思いだしたようにしか現れない荒野と化してしまった。
状況が出揃った後の総括としては問題の本質はバグなどではなく、そもそもテストプレイはおろかLvキャップ解放後の数値すら見ていないであろう開発側の愛の無さであるといった所である。
命中0の状態でありながら後日ダメージ量を増加させる修正を加え、特定職種の攻撃スキルを仕様と押し切る。。
特定条件下でキャラクターグラフィックと異なる音声が再生されるが、放置。
ダンジョン進入時にダンジョン内部が描画されずダークゾーンのように表示される場合がある、が放置。
プレイヤーキャラのLvが一定以上になるとトレード(アイテム交換のサブイベント)のリストが更新されなくなり常に空欄になるが、これも放置。
アイテムリストの不備から絶対に入手できないアイテムがありアイテムコンプ不可能となっている、がやっぱり放置。
また不具合ではないものの装備品の設定においても、武者の兜、小手、鎧といった明らかに頭から脚まで一揃えのはずの防具がそれぞれ装備できる職業がバラバラ。
などやっつけ仕事にしても酷すぎるやっつけぶりがそこかしこに露見していた。
極め付きとして全6回随時追加されたDLCがあるが、これの内容が装備品を含むゲーム内で得られるアイテムである。
前述した通りWizardryの大きな楽しみの一つはアイテム蒐集であり、それらはダンジョン内で危険をくぐり抜けた後の戦利品であるからこそ大きな価値を持つのである。
それを現実のお金を払う事でポンと入手してしまうのは自分の手で楽しみを潰す行為であり、こんなどこに需要が有るのか首を傾げるDLCを配信する事自体、Wizardryというゲームを愛してもいなければ理解もしていないという事の現れとも言えるだろう。
最後に、おそらく当初望んだ形とは違うものではあるだろうが公式HPで喧伝した通り
バグに始まり終盤にあっては常に全滅の危機に晒され続ける「緊張感」
あからさまなやっつけ仕事に加えて作品の醍醐味が何なのかすら理解していない事への怒りの「高揚」
そして、それらのほぼ全てにまともに応える姿勢を一切見せない事でユーザーの間に生まれる「悲壮感」
を見事に叩きつける事に成功したアクワイアに一応の拍手を送る事で結びと変えさせていただきたい。
おわり
*「亡霊シナリオ1」の内容に限った補足です。総評に利用する際はご注意下さい。
*「Wiz」というジャンルについてよく知らない、あるいは噂で「とにかく高難度」という先入観だけを持っている人向けの説明として、最初にジャンルの解説を行っています。
*スレ内で「亡霊のバランスのどういう部分が手抜きであるか、旧作との比較を行いつつ説明してくれ」という要望が出ており、それに応えて書かれたものです。通常の「選評」と異なり旧作との比較部分が多い内容になっているので、それを了解の上ご覧下さい。
___________________________________
従来のWiz(1〜5、外伝系)の基本説明
Q1 どんなゲームよ?
A1 3D(FP視点)ダンジョンに潜って戦闘してアイテムハントするハック&スラッシュ型ゲーム
Q2 シナリオとかダンジョン入る目的とかないの?
A2 申し訳程度にはある。申し訳程度なのがむしろ特徴だしそれ以上は別にイラネ
例 悪の美女が師匠監禁して危ないことやってるから止めてこい
例 女王の姉とじいやが失踪したから探せ
Q3 街とかフィールドとかはどんな感じ?
A3 1〜数個の街(設備は共通、店の品揃えが少々違う程度)がある
フィールドなんて存在しない。ダンジョンだけがある
たとえフィールドがあってもそれはフィールドっぽく見えるだけのダンジョンだ
Q4 どんなキャラでプレイするの?
Q4 名前と種族と職業を自分で決めたキャラでプレイ。キャラ6人で1パーティ
Q5 戦闘って噂通り高難度なの?
A5 高難度というより
「俺TUEEEE!の快感を保証しつつもそれなりの緊張感がある」という方が適切
Q6 シナリオ4の方が亡霊なんかより死にバランスじゃね?
A6 だからあれは我らがワードナ様が主人公のシャドウゲイト(RPG風味)だと言ったろうが!
___________________________________
亡霊の戦闘バランスは一言で言えば「手抜き」、
やや詳しく言うなら「プレイヤーを快適に遊ばせる工夫をしていない」だ。
旧作Wizの戦闘は厳しいものの、プレイヤーのやる気を保たせるバランス取りがきちんと出来ていた。
プレイヤーのステータスは「オール18」または「種族の基本値(5〜15程度)+10」
程度までしか伸びず、HP以外の数値は早々に頭打ちになるが、
攻撃回数・特殊攻撃耐性・補助魔法の効果などが見えないところで
レベル上昇によってしっかり補正強化される。
原則としてパーティのほうが先に動きやすいように行動順も調整されている。
なので初見の段階では倒せず全滅必至だった敵も、
適切にレベルを上げることでほぼ無傷で倒せるようになるのが普通だった。
また、せいぜいレベル13〜20程度がクリア要求レベルであった初期作品では
キャラが万一死亡→蘇生失敗→消失したとしても、新たなキャラを育てる手間はさほどかからず
リカバリは比較的容易だった。その上、シリーズを通じて概ね
・戦闘の逃走成功率が高く、小部屋にいる敵=宝箱を出す敵は
PC側が逃走しても消滅しないため戦う敵を効率よく選べる
・高経験値または良トレハン敵で、簡単に倒す方法が用意されているものがいる
・そもそも「稼げ」と言わんばかりのポイントが存在する
・ワープ魔法が使えない低レベルでも、稼ぎ場まで効率良く行くルートがある
など、いずれも死亡・全滅のリスクはあるが効率よく経験値やアイテムを稼げるシステムがあったので
一見シビアなデスペナルティもさほどのストレス源ではなかった。
Wiz5や外伝以降の要求レベルや敵の強さが跳ね上がる作品では、
・魔法やブレスを無効化するバリア魔法 ・敵の魔法無効化率を下げる魔法
・強力な状態異常魔法 ・罠回避/先制攻撃回避魔法
などが追加され、前述の魔法効果や能力のレベル補正もきちんと機能している。
敵が強力になっても、プレイヤーはさらにその上を行けるようにきちんと設計されていたのだ。
このように旧作ではプレイヤー側が強くなるため、死なないために取れる手段は多かったし
レベル上げも効率よくでき、レベルさえ上げてしまえばそうそう簡単に死ぬものではなかった。
なのでたとえ死亡することがあったとしても
「このレベルでも死ぬとは油断したわー、次は死なねー!」で済む。
しかし、亡霊はそのような工夫が根本的に欠けている。
まず、敵の攻撃に対して取れる防御手段が無さすぎる。
1 敵のレベルが上がれば上がるほど、敵の行動順が速くなる
→PCが先手を取れなくなる。最速種族が素早さカンストしても終盤では先手を取りきれない
→ちなみに一番速い種族はシナリオ3での追加種族。発売日組はさぞ…
2 先制攻撃を回避する術がない
3 魔法やブレスを防ぐためのバリア魔法が無く、沈黙の魔法も効きにくい
→敵に先手取られて高威力or即死魔法使われたら終わり
4 後半になると敵が超攻撃力すぎて、防具の防御力があまり意味を為さない
「当たらなければどうと言うことはない!」を地で行くが残念ながら当たるので死ぬ
→防御は紙でもとにかく回避率が高い装備にしないとすぐ当たって一撃で死ぬ
→回避が激高い装備は女性専用 →男性キャラ作った奴ご愁傷様
5 戦闘中に味方全体の回避率や防御力を上げる、要するにスクルト的な方法がない
→スカラはあるが6人中誰が超攻撃力で殴られるか分からないのに使ってる余裕などない
ついでに複数攻撃してくる敵も多いのでやっぱりスカラじゃ間に合わない
6 戦闘時に敵の種類やレベルや姿が不明な場合があるが、判明させる手段がない
→「敵の正体がわからない」自体はWizの伝統。旧作では正体判別のための魔法やスキルが存在したが
亡霊にはない。数グループが同時出現すると後ろの敵は姿もよく見えない。
そのフロアに慣れないうちは危険。
7 行動不能状態になっている敵の数が表示されない
→あるターンにPC側の攻撃で寝たり麻痺したりした敵が、次ターンも行動不能かどうかが表示されない
敵は行動不能から自然復帰してくるので、表示されないと「とりあえずほっといて他を先に殺る」
などの判断がつかない。FC版ですらできてたことを何故しないんだ!
8 「君主」という職業がスキルで味方をかばえるが、敵の複数攻撃はかばえない
9 「司祭」という職業がスキルでダメージに対するバリアを張れるがすぐ破れる
→必ず先制発動するのだけは救いだが、後半ではほぼ敵の一撃で破れ
少数の敵の初撃をかわす役にしか立たない
と、ごらんの有り様で、初代GBソフトの「外伝」の段階で既に1〜7までには
配慮できていたというのに、亡霊ではそんなちょっとした工夫もなく、
単に敵がレベルを上げて物理と特殊攻撃と魔法で殴ってくるだけだ。
こちらが防御面で出来る事など「回避率の高い防具を着る」以外ほぼない。
先手を取られて殴られることを前提に先読みで回復魔法をかけようとしても、終盤は唱える前に殴られて死ぬ。
次に攻撃面だが、「敵も味方もダメージがハイパーインフレしている」状態だ。
敵の攻撃力は終盤段階で、ダメージが4桁に達することなど珍しくない。
中盤段階でさえ、ダメージが数百に及ぶものがゾロゾロ並んで出てくる。
プレイヤー側もプレイヤー側で、「最大4桁ダメージ×複数回ヒット」レベルの武器が中盤から手に入る。
ダンジョン内で入手できなくても、街にある店で普通に買える。
中盤までは敵よりもこちらが先に動ける事が多く、その辺りまでは敵を簡単に殴り殺すことも
スキルで強化された魔法で焼き殺すこともまだ一応できる。
ただし、この段階でのプレイヤー側のHPは、HPの高い前衛職でもせいぜい400台といった程度。
つまりは中盤の段階で既に「当たらなければ(ry」の悪バランスは目立ち始めているのだが
それをプレイヤー側の武器ダメージをやたらに引き上げて、何とか誤魔化しているだけなのだ。
シナリオ1中盤以降の戦闘には、ギリギリの駆け引きも、プレイヤー知識も戦術も要らない。
とにかく先にダメージを浴びせられるかどうかだけが勝負の決め手なのだ。故に戦闘はつまらない。
後半では先に行動できないことを前提として、行動できなくても1ターン生存できるHPになるまで
レベル上げするしかない。このつまらない戦闘を繰り返して、だ。
おまけに戦闘で逃走すると敵が消えてしまうため、戦闘相手を逃走で選ぶことも出来ない。
寺院にお布施すれば経験値は買えるが、バグ技無しではそうそう大金は貯まらない。
ちなみに筆者が最終ダンジョン(の最終クエスト対応階層)に突入したときのレベルは、
それまで極端な戦闘回避もしておらず、ダンジョンはほぼマップを埋めた状態で25程度であった。
先人の選評にある「ボスは弱い」を検証するため、エンカウント抑制アイテムを購入して実験したところ
そのレベルでもシナリオボスはほぼ無傷であっさり倒せてしまった。
しかし、同フロアの雑魚相手にはエンカウント即全滅状態。
発売当初のレベルキャップが50だったということは終盤の想定レベルは50前後なのだろうが
ボスが半分のレベルでも軽く捻れる程度とは、あまりと言えばあまりではなかろうか。
戦闘以外にも、楽しさを低減させるストレスは多い。
頻繁に処理落ちするダンジョン、妙に遅いレスポンス、
アイテムを受け渡すのにいちいち点呼を取ってるのかお前ら、と叫びたくなる不便なUI
気に入らなくても非表示に出来ないキャラグラフィック
行動からワンテンポ遅れて再生されるキャラボイス
切ることができない上に画面が見づらくなる魔法エフェクト
正確なHP表示がやたら小さく、防御力・回避率も表示されない戦闘画面…
システム面の痛がゆさだけではない。
真っ暗に近く、照明魔法を使ってさえ一歩先もろくに見えないフロア
何の脈絡もなく頻繁に置かれる暗闇地帯とトラップ
魔法打消の罠と罠回避魔法を張っていないとダメージを喰らう罠が同マスに設置されるいやがらせ
ワープ魔法を使えるパーティしか立ち入らないようなフロアになぜか設置されているエレベータ
「かゆ、うま」「上から来るぞ!気をつけろ!」などのどっかで見たことあるが無意味なメッセージ
などなど、ダンジョン作りも意味不明でセンスが感じられない。
数だけはあるダンジョン内には、相互に連動する仕掛けやキーアイテムで通過できる関門などはない。
まんべんなく各フロアを歩き回って、退屈な戦闘をしつつレバーを探し、
それで閉じた扉を開けて次の階へ行くだけの作りで、旧作で出来た効率の良い探索などは望めない。
パーティ作りに関しても、後半は1ターン待つ余裕さえないので
「次ターンに発動」するタイプのスキル持ちの職業はほぼ死に職
僧兵は命中バグのやっつけ修正のおかげで死に職
魔術師はそもそも他職が上位互換過ぎて死に職
回避率装備の関係で男性は不遇ってレベルじゃない
HPが上がらず素早くもないノームは完全に死に種族
など、配慮の足りない手抜き仕様のせいで選択肢が狭まってしまっている。
ハクスラゲーなのに戦闘がダメ
トレハンゲーなのにアイテムは店売りが最強状態・低回避防具の意味薄い
ダンジョンゲーなのにダンジョンが低レベル
キャラ作成ゲーなのにキャラ選択の幅が狭められている
シナリオ3だけが亡霊じゃない。
シナリオ1だけでも充分お陀仏だよ、これ。